今週のReview
10/5-10/10
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世界の英字紙HPからコラムを要約・紹介します.著作権は,それぞれ,元の著作権に従います.
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******* 感嘆キー・ワード **********************
金融危機と救済案、 絞首刑にせよ、 国有化、 E.T.への投資、 サマーズ、 ルービニ、 ウィプロシュ、 アイケングリーン、 スティグリッツ1,−2、 ロゴフ、 ウルフ、 大前、 ローチ、 フェルプス、 世界統合企業
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ただしFT:Financial Times, NYT:New York Times, WP:Washington Post, LAT:Los Angeles Times, BG:Boston Globe, IHT:International Herald Tribune, CSM:Christian Science Monitor, WSJ:Wall Street Journal Asia
NYT September 24, 2008
Dear Iraqi Friends
By THOMAS L. FRIEDMAN
(コメント) ブッシュ大統領がイラクの指導者たちに、正直な手紙を書きました。・・・
「アメリカは大変なことになった。金融システムに9・11を生じたのだ。
イラクから撤退するのがいつになるか、これまで論争してきたが、今では問題にならない。金融機関の救済に7000億ドルを要求されたアメリカ国民は、毎日、10億ドルをイラクの駐留で失い続けることなど許してくれないだろう。
大量破壊兵器を理由に私は戦争を始めたが、中東世界からアルカイダのようなイスラム原理主義のテロ集団を掃討することが戦争の目的となった。しかし、金融のメルトダウンは世界からアメリカの指導力を奪うだろう。
すでに私は選挙の機会を与え、イラク国民が自分たちで社会契約を結ぶように求めた。スンニー派も、シーア派も、その他の武装勢力も、政治的合意と石油財源の使い方を話し合えばよい。アメリカ軍が話し合いの条件を保証する時期は終わった。
今までイラク国民の苦しみを理解できなかったが、アメリカ国民が家を失い、金融街も崩壊するに及んで、あなたたちの苦しみを少しは理解できるようになった。
アメリカ国民は、今、自分たちの国を再建しなければならないのだ。
ジョージ・W・ブッシュ」
Asia Times Online, Sep 27, 2008 Financial crisis threatens US influence By Jim Lobe
金融危機は、アングロ・サクソン型の経済=社会モデルが今まで持っていた影響力を損なうだろう。世界はむしろ中国にモデルを求め始めた。ネオリベラリズムへの批判、グローバリゼーションへの反対の声は強くなる。
もし他国で、メキシコやアジアで起きたような金融危機が再び生じても、アメリカは「最後の貸し手」として、それを救済する力を減じただろう。アメリカの政策の優先順位は変わり、海外援助は最初に削られ、軍事的な関与も抑制されるだろう。軍事予算は大きくなり過ぎだ、と国民が思い始める。
アメリカ国民にとって、今は国内の秩序を立て直すときである。
Asia Times Online, Sep 27, 2008 Glaring gaps in the financial system By Thomas I Palley
The end of voodoo economics Ian Williams The Guardian, Friday September 26 2008
Save America, not Wall Street Bernie Sanders The Guardian, Friday September 26 2008
Catharsis, Then Common Sense By Charles Krauthammer WP Friday, September 26, 2008
救済法案に反対するのは間違っている。7000億ドルを用意しても、それを使うのはポールソンでもバーナンキでもない。ブッシュ政権はすぐに終わる。
ウォール街には、もちろん、金融犯罪者もいただろう。しかし圧倒的に多くの者は優秀な金融専門家であり、良いことをしていると信じていた。もし彼らの収入を制限するなら、最も優秀な者からアメリカを出て、明日にはロンドンやアブダビで良い仕事に就くだろう。
今回の金融危機は多くの善意によって準備された。そもそもカーター大統領が、貧しい黒人家庭にも住宅が買えるように、と願って成立させた法案が、ファニー・メイやフレディー・マックを誕生させたのだ。
ウォール街を処罰してほしい、という群衆の要求に応えて、議会は正義を示したいのか? それなら遠まわしでなく、今すぐやればよい。極悪人たちを並べて鎖につなぎ、ウォール街を行進させるのだ。そして群衆の大歓声に応えて、絞首刑にすればよい。
金融システムを救済する法案は、こうしたことと何の関係もない。
How to Spend That $700 Billion By Sebastian Mallaby WP Friday, September 26, 2008
7000億ドルでもまだ足りない。アメリカの金融システムは、預金を取る銀行のおこなう融資だけでも14兆ドルある。だから、救済法案がすべての銀行を救済することはできない。
救済が成功するとしたら、民間投資が加わるからだ。7000億ドルは銀行の流動性を補うだけで、資本不足を解消しない。ポールソンは銀行の資本の補充を強制しなければならない。そして政府も直接に銀行の株式を購入する。
NYT September 26, 2008 What About the Rest of Us?
NYT September 26, 2008 Where Are the Grown-Ups? By PAUL KRUGMAN
今や金融システムは融資を行わず、現金をため込むだけだ。これは銀行の取り付けを思わせる。救済考案への批判は左右から行われているが、この危機を放置することはできない。
KRUGMANも、不良資産を高く買い取って銀行を救済する、というポールソン案に反対します。
A Better Way to Aid Banks By William M. Isaac WP Saturday, September 27, 2008
政府が不良資産を買い取るよりも、FDIC、連邦預金保険機構が銀行の預金引き出しを保証する方が良い。そうすれば民間資本も帰ってくる。
すなわち、1.預金者、債権者の不安を取り除く、2.金融分野の先物売りを禁止する、3.市場価格ではなく、公正な価格で資産を評価する、
Bailout Politics WP Saturday, September 27, 2008
NYT September 27, 2008 Buy the Loans By FRANK PARTNOY
I've watched the economy for 30 years. Now I'm truly scared Will Hutton The Observer, Sunday September 28 2008
危機の大きさを考えれば、英米の銀行をすべて国有化しなければならない、とWill Huttonは主張します。金融市場において銀行自身が取り付けに走っている。もし同じ行動が個人の貯蓄者にも及べば、1929年が再現するだろう。
これは資本主義の終わりではないが、あるタイプの資本主義が終わるだろう。金融システムが再生するには「信頼」が必要だ。しかし、信頼は双方によって再生される。すなわち、銀行と預金者だ。この点で、預金者たちは銀行の重役たちが高額の報酬を得ていたことを許せない。
「政府主導で、アングロ・アメリカ型の金融システムにおける所有・構造・規制・動機を転換し、公平の原則を中心に据えなければならない。すなわち、報酬の分割比率、リスクの分散である。それがない限り、長期的な信頼や健全性は回復しない。」
Everybody Calm Down. A Government Hand In the Economy Is as Old as the Republic. By Robert J. Shiller WP Sunday, September 28, 2008
これは社会主義だ。アメリカの否定だ。という反対派の声に対して、Robert J. Shillerは応えます。
まず、アメリカの資本主義はその成立から今まで、ずっと政治的な介入によって発展してきた、と指摘します。それは、共産主義に対抗するイデオロギーとして主張される「資本主義」より、「アメリカン・システム」と呼ぶべきものです。高速道路や運河、鉄道のようなインフラを政府が提供し、それ以外では経済的な自由が支配的なシステムです。
さらに、Shillerはこれを「金融民主主義」と呼び、この大規模な金融救済を転機として、政府がそのためのインフラを整備するだろう、と考えます。その際、議会が主張するように、金融機関だけでなく、住宅債務者も救済するべきでしょう。ウォール街の大失敗を追求しなければなりません。しかし、最も重要なことは金融インフラを守ることです。
金融を改革することは、資本主義を廃棄することではない。ソ連崩壊前でも、モスクワ市民は市場の働きをよく理解していました。ソビエトの社会主義システム崩壊によって、資本主義が正式に採用されたとしても、その前と考え方は同じである、というわけです。同じような大変化がアメリカにも必要になっている。
投資銀行や証券市場に頼る金融システムは、アメリカ市民の信用を失いました。新しい金融システムの構築に必要な原則として、モラル・ハザードの扱い方、リスクの分散、ウォール街ではなく市場への信頼、革新的アイデアの実現、は残ります。
The Long-Term Cost WP Sunday, September 28, 2008
NYT September 28, 2008 Green the Bailout By THOMAS L. FRIEDMAN
19世紀にあったバブルとその破裂は、多くの者の資産を奪っただろうが、鉄道輸送のシステムを残しました。それは大陸規模の旅行や輸送を容易かつ安価にしました。20世紀後半のITやインターネットによるバブルも、マイクロソフトやIBM、グーグルを残しました。21世紀初めに起きたこの金融サービス・バブルはどうでしょうか?
今回のバブルは、建てられなかったフロリダのマンションや、使う者のいないプライヴェート・ジェット、誰も理解できな金融デリバティブだけが残される。しかも悪いことに中国に対する債務が山のように残っている。
救済策ではなく、アメリカの再建策が必要だ。金融エンジニアリングではなく、実物経済の再調整、トランスミッションとしての金融部門より、雇用や成長をもたらすエンジンが必要だ。アメリカン・ドリームを実現する次のエンジンを始動すること。それは何か?
THOMAS L. FRIEDMANはそれを、E.T.と呼びます。・・・エネルギー革命。
NYT September 29, 2008 After the Deal, the Focus Will Shift to Regulation By FLOYD NORRIS
NYT September 29, 2008 The Bailout Handbook By BARRY MEIER
FT September 28 2008 Taxpayers can still benefit from a bail-out By Lawrence Summers
金融救済法案を縮小するのは間違いだ。それは拡大するべきである。
第一に、7000億ドルは金融機関に与えるのではない。資産を買い取るのだ。その価格や財政への負担は今後の景気に依存する。クライスラーの救済や、クリントン政権が行ったメキシコ危機への救済融資は、不況の際の住宅貯蓄部門への救済と同じく、納税者に負担ではなく利益をもたらした。
第二に、政府が不良資産を買い取る限り、民間投資をクラウド・アウトする心配はない。市場で吸収した資金を市場に戻すだけ。
第三に、政府は景気を安定化させるために不況に対して財政赤字を増やすのが正しい。これまで公共の時期に赤字を減らさなかったブッシュ政権は失敗した。失業が急速に増えつつあり、金融政策には緩和する余地がない。今こそ、財政刺激策は間違いなく必要である。
第四に、長期的な財政の健全性は必要であるから、政府支出の見直しは必要だ。
FT September 28 2008 Paulson’s problem presents lessons for us all By Wolfgang Münchau
FT September 28 2008 Paulson’s plan
Paulson Plan Is Still a Pig, Even With Lipstick Caroline Baum Sept. 29 (Bloomberg)
ポールソンとバーナンキは上院の委員会で金融救済法案について質問を受けましたが、関係者によるその評価は低い、とCaroline Baumは考えます。
コミュニケーション・スキル:評価C・・・彼らは奮闘したが、聞いてる側は理解できない。
分析力:評価C・・・原因は? 関係は? 点線が引けただけだ。
信用性:評価C+・・・ゴールドマンサックスの信用性があるから。
授業準備:評価D・・・学生たちは不十分と感じただろう。
社会性:評価D・・・学生たちはもっとほかに手段があると感じた。彼の提案に従わないだろう。
不良資産には透明性がない。資金が足りなくなったのであれば、他の店がそうしているように、まず在庫を換金することだ。それらは99セント・ショップに並んでいる。そのために政府は店を助けていない。
Three Paths to Safety Might Not Work This Time John F. Wasik Sept. 29 (Bloomberg)
The real solution to the financial crisis: recession By Yves Smith CSM September 30, 2008 edition
LAT September 29, 2008 Bailout court
The end of the Reagan Revolution Steven Guess The Guardian, Monday September 29 2008
Not so much bail-out as rip-off Nouriel Roubini The Guardian, Monday September 29 2008
銀行のシステムに危機が発生すると資本を増強しなければならない。そうでないと信用が収縮して経済全体が深刻な不況に落ち込む。
しかし、たとえ公的な資金を利用するにしても、そのためにはいくつかの方法がある。(by purchasing bad assets or loans; an injection of preferred shares; an injection of common shares; a purchase of subordinated debt; an issuance of bonds to be placed on the banks' balance sheet; an injection of cash; credit lines extended to the banks and government assumption of government liabilities) ポールソンの提案のように、銀行から不良資産を政府が買い取る方法は、最も効果的なものではない。
IMFは世界中の42の銀行システム危機を取り上げて、その解決策を比較・検討している。42のケースにおいて、32のケースでしか政府は介入していない。10のケースは公的資金を使わずに解決した。政府が不良債権を買い取ったのは7ケースに過ぎない。また、たとえチリのように政府が不良資産を買い取っても、金融機関の配当を中止させ、利潤は不良資産の買い戻しに使われた。
不良資産の買い取りは例外である。それが行われたケース(Mexico, Japan, Bolivia, Czech Republic, Jamaica, Malaysia, and Paraguay)でも、6ケースで、政府は優先株や劣後債の購入と組み合わせた。
スカンジナヴィア諸国(スウェーデン、ノルウェー、フィンランド)のケースは銀行システム危機を解決するモデルになっている。不良債権を買い取らず、政府は直接に銀行の資本を増強した。逆に、傷んだ不良債権を買い取った日本やメキシコは財政負担が大きくなった。ポールソン案は、納税者を犠牲にして、銀行の株主や債権者の利益を守るだけである。
もっと安く救済できるのもかかわらず、不況を回避するためには救済が必要だ、という間違った脅迫を政府は繰り返している。これは利益は彼らに、損失は国民に、という、銀行家のための、金持ちのための社会主義だ。
無謀な投資家や銀行家たちを救済し、債務者や支払いに苦しむ住宅所有者の負担を減らさない、それを納税者の負担として行う、こんな提案を支持してはいけない。もっとよい救済策があり、専門家たちが提案しているのを見よ。
Bankrupt Economics By Robert J. Samuelson WP Monday, September 29, 2008
この金融危機は近代経済学の破産である。テキストに書いてある不況の回避策は、現在の危機を鎮静化しない。金融部門と実物経済との大きな違いが焦点となっており、今の危機が大きな不況をもたらすのを回避しなければならない。
Michael Mussaは政府の主張を支持して、もし短期市場が安定しなければ深刻な不況が来る、と警告する。企業は破産しないために労働者を解雇し、支出を減らすから。預金保険機構も最後の貸し手も、今のような金融システムに耐えられるか? 分からない。
NYT September 26, 2008
What the World Wants to Know
By ASIF ALI ZARDARI, MICHELLE BACHELET, BERNARD-HENRI LÉVY, HU SHULI, RORY STEWART, LILIA SHEVTSOVA, ENRIQUE KRAUZE, YOICHI FUNABASHI, PAUL MARTIN, VICENTE FOX, RAMACHANDRA GUHA and IVAN KRASTEV
WP Saturday, September 27, 2008
What They Really Said
(コメント) オバマとマッケインとの大統領候補討論について、その前に、何を聞きたいか、その後に、彼らは何を述べたか、マスメディアは専門家たちの解説・評価を紹介しています。
例えば、パキスタンのASIF ALI ZARDARI大統領は問います。あなたはテロとの戦いがイスラム教徒への攻撃であると誤解されている現状で、イスラム教の同盟諸国とどのような協力を行うのか?
また、チリのMICHELLE BACHELET大統領は、ラディカルな社会的価値の実現を求めて問います。保護主義や国内の補助金を削れるか? 国際的な協調を組織し、国際法に従うか? ポスト京都議定書や国連人権委員会に参加するか? テロだけでなく、世界の飢餓、貧困、不平等、を減らす戦いを支持するか?
第1回目の討論は外交政策がテーマでした。専門家たちが二人を評価します。すなわち、Henry A. Kissinger, Michael O'Hanlon, Ronald D. Asmus, Michael Rubin, Nancy Soderberg, Stephen P. Cohen, Danielle Pletka, Patrick Clawson, Michael J. Green
NYT September 28, 2008
Impulsive, Impetuous, Impatient
By NICHOLAS D. KRISTOF
BG September 30, 2008
Avoiding the choices of 1914 and 1938
By H.D.S. Greenway
(コメント) もしマッケインが1962年のキューバ・ミサイル危機に直面した大統領であったなら、第3次世界大戦が起きただろう。もし大統領になれば、ロシアとの冷戦に突入し、イランや北朝鮮とも戦争するだろう。ブッシュの第1期政権に戻るわけだ。
FT September 25 2008
In praise of free markets
BG September 26, 2008
America's loss of value
The Observer, Sunday September 28 2008
A shattering moment in America's fall from power
John Gray
WP Sunday, September 28, 2008
A World of Risk Beyond Wall Street
By Jim Hoagland
(コメント) 市場の自由を支持するか、批判するか? 大司教が先物売りのトレーダーを泥棒と同一視するのは間違いだ、と、そのような風潮をFTは懸念します。かつて、株価暴落の後、不況を緩和するために政治家たちはスムート=ホーレー関税に訴え、市場を嫌ったヨーロッパの民衆はファシズムを支持しました。
他方、アジアでも、ラテンアメリカでも、アフリカでも、自由市場の規律を受け入れるように主張してきたアメリカ自身が、危機に際して、他国には想像もできない規模で政府による市場介入を実施することを知って、アメリカの外交政策全体に彼らが不信の目を向けるのは確実です。アメリカの主張は自分に都合のよいことを他国に押し付けているだけだ。もっともらしい主張も、結局、すべて偽善だ。
John Grayは、この金融危機によって、第二次世界大戦後のバランス・オブ・パワーは大きく変化し、アメリカの時代は完全に終わる、と主張します。ソ連崩壊、冷戦終結以後、アメリカが世界中に求めた自由市場のモデルは破棄されるでしょう。そして、帝国の末期には、たいてい戦争と債務が急増します。
・・・歴史上最大規模のバブル崩壊に直面して、政治指導者たちはうろたえるばかりだ。政治は醜い文化戦争に向けて混乱を深めるだろう。アメリカの指導力は急速に退潮し、世界には多くの大国が乱立する。
FT September 28 2008
Washington’s waning way: how bail-outs poison a free market recipe for the world
By Alan Beattie
SPIEGEL ONLINE 09/29/2008
SPIEGEL INTERVIEW WITH GERMAN FINANCE MINISTER STEINBRÜCK: 'We Were All Staring into the Abyss'
FT September 29 200
French and German anger misses the fact
Charles Wyplosz
(コメント) Charles Wyploszの意見には、いつも耳を傾ける価値があると思います。
フランスやドイツの政治指導者たちが、一斉に、アメリカの金融危機を非難し、アメリカ的な個人主義や資本主義、投機、を非難し始めました。Wyploszは彼らに反対します。金融市場は完ぺきだと信じるのは間違いです。危機をもたらすような背景、特に、情報の非対称性、伝染、群集行動は深刻です。
英米社会では個人主義が重視されますが、それ以外ではむしろ個人主義より集団主義、社会的な連帯が重視されます。だから市場が繁栄をもたらす間は従いますが、危機に直面すると容易に市場を批判し、英米の個人主義を攻撃するのです。
しかし、ドイツやフランスの政治指導者たちが英米型の資本主義を否定する根拠はなく、先物売りや投機を非難することも間違っています。金融は投機を含んでおり、それを否定しても、異なる金融の仕組みを示せるわけではないのです。政府の役割が強調され、グローバリゼーションが世界各地で逆転するかもしれませんが、彼らの誤解から生まれる経済・金融のモデルが優位を示すことはないでしょう。
IHT Monday, September 29, 2008
Wall Street's slow demise
By Ron Chernow
Businessworld, 1 October 2008
The Virus of Greed
Nayan Chanda
The Japan Times: Saturday, Sept. 27, 2008
The world's new hot spot
By DAVID HOWELL
LAT September 28, 2008
A conversation with Zbigniew Brzezinski and Brent Scowcroft
The Guardian, Sunday September 28 2008
China and Russia have always been great powers
BBC 2008/10/01
US superpower status is shaken
By Paul Reynolds
(コメント) 新しい世界秩序に関する論争が続いています。カスピ海沿岸、コーカサス地方が、石油資源を狙う諸大国にとっての焦点となっています。世界各地でアメリカは圧倒的優位を失い、中国やロシアなどが紛争に加わります。
LATで読む二人の世界戦略が面白いです。Brzezinskiによれば、テロリズムはアメリカへのイデオロギー的な挑戦ではなかった。現代には三つの深刻な問題がある。1.人類のすべてが政治的に覚醒した。2.大西洋沿岸から極東へパワーがシフトした。3.解決することが難しい世界共通の問題、環境破壊、温暖化、が深まった。そして、アメリカでさえ自信をなくした。特に9・11を国民がテレビで観て、その乱れた感情を政治的に利用された。アメリカは恐怖に突き動かされる国になってしまい、世界に向けて解決策を示すことはできなくなった。
世界にとってアメリカの指導力は必要か? という問に応えて、アメリカのユニークさを考えます。
Quite a few Americans entering college could not locate Great Britain on the map. They couldn't locate Iraq on the map after five years of war. Thirty percent couldn't identify the Pacific Ocean. We don't teach global history; we don't teach global geography. I think most Americans don't have the kind of sophistication that an America that inspires, and thereby leads, will have to have if it is to do what this 21st century really will demand of us.
Scowcroftは考えます。冷戦がすべてを単純化し、力を集中させた。冷戦が終わって、何百もの細かい争点が現れているのに、アメリカは巨大な大砲で一つの標的だけを狙っている。その意味で、アメリカの圧倒的優位は終わった。しかし今も、アメリカだけが世界を照らせる。
WP Sunday, September 28, 2008
Here's How It's Done, Hank: A Parable From a Crisis of a Century Ago.
By Jean Strouse
(コメント) 1907年のパニックを鎮静化したJ. Pierpont Morganの時代を振り返ります。
「101年前、同じく初秋に、世界的な規模の金融逼迫が生じて、世界の相場は何か月も攪乱された。ダウジョーンズ工業平均はその年の最初の3か月で25%も下落し、記録的な企業の収益にも関わらず、3月に暴落した。春には日本の銀行が全面的に破たんし、エジプトの株式市場も崩壊し、サンフランシスコ市は資金が調達できなかった。アメリカの株式市場が8月に再び下落し、ニューヨークタイムズはその損失を10億ドル(今日の価値で約150億ドル)と推定した。」
証券市場の混乱を救ったモルガンは英雄として絶賛され、その後、その力を恐れられ、個人が担う役割ではないと非難されます。
IHT Sunday, September 28, 2008
Sweden's crash and recovery
By Carl Bildt
The Japan Times: Monday, Sept. 29, 2008
Learning from BOJ's choice to do nothing
By TOM PLATE
WSJ SEPTEMBER 29, 2008
What We Can Learn From Chile's Financial Crisis
By MARY ANASTASIA O'GRADY
(コメント) スウェーデン、日本、中国の金融危機から何を学ぶべきか?
スウェーデンの外相は述べています。「救済策は超党派の支持がなければ不可能だ。われわれはこれを実現した。銀行システムを改革する過程でも合意を維持した。われわれは決して過去の規制過剰な時代に戻らなかったし、金融部門の政府管理を永久に続けるつもりもなかった。逆に、体系的にしかも管理された形で再編成することで、1980年代の規制緩和の有利さを残すことができたし、市場の条件が許す限り、銀行の民営化やcredit stockも利用した。」
1982年のチリの経済危機についても言及されています。
The Guardian, Monday September 29 2008
Chinese walls
Guo Tianyong
FT September 29 2008
Asia rides high - for the moment
By Gideon Rachman
YaleGlobal, 29 September 2008
Can Asia Rescue the Global Economy?
Linda Lim
(コメント) アメリカの納税者より、アジアの貯蓄がアメリカの金融部門を救済するのでしょうか? しかし政府系投資ファンドは透明性を欠き、アメリカ国内で摩擦を生じている。また、ドルが安くなってアジアに向けた輸出を伸ばすような気配もない。アジア諸国はいまだに貯蓄と輸出を維持しており、ドルに対する輸出競争力を為替レートの介入水準にしている。
つまり、アジアがアメリカの金融危機を救済する見込みは小さい、というわけです。
IHT Monday, September 29, 2008
Lessons from Asia's crash
By Philip Bowring
FT September 30 2008
Asian pain
FT October 1 2008
America’s chance to kick its Asian addiction
By David Pilling
(コメント) アメリカは大幅に金融緩和とドルの価値を下落させて、対外債務の帳消しや景気刺激策としてアジア市場を利用したいと思うでしょう。為替レートの変動や市場開放が、ようやく、アメリカの不均衡解消にとって役立つことをアメリカ国民も理解するわけです。
「アメリカはアジアのロープで首をくくるのか?」・・・「否、アジアの流動性におぼれ死ぬのだ。」
アジアは輸出して貯蓄し、それをアメリカに流し込んで、アメリカはイラクとアフガニスタンで戦争しながら、消費し続けました。中国と日本だけで世界の中央銀行の外貨準備(ほとんどがドル建ての短期資産)を40%も支配するのです。
「ウォール街の9・11は、アジアの世紀へ向かう重要な里程標である。」と、David Pillingは書きます。アメリカは戦争に敗北し、金融危機によって経済秩序も崩壊しつつある、と見るアジアの政治家や投資家は増えています。しかし、まだ今は、アメリカの損失はアジアの政府や投資家の損失でもあります。だからアメリカ経済が再生することを望むわけです。
アメリカの貿易収支や資本収支が急速に変化しつつあります。アジアはそれに合わせて、成長を維持するために貯蓄を減らし、国内で消費しなければなりません。しかし、中国には一部でバブルも生じており、アメリカのように債務を増やして消費せよ、と奨励することは避けるでしょう。
FEER October 1, 2008
The Great Crash of China
by Brian Klein
The Japan Times: Thursday, Oct. 2, 2008
Should Asia brace for more mega storms?
By MICHAEL RICHARDSON
Asia Times Online, Oct 3, 2008
SE Asian memo to Wall St
By Shawn W Crispin
Oct. 3 (Bloomberg)
China Could Be Dragged Down by Wall Street Crash
William Pesek
(コメント) アメリカではなく、中国の金融危機こそ多くの人々が恐れてきたことです。
中国はアメリカへの輸出が減って不況に向かうかもしれません。「劇的なバランスの転換が必要だ。もっと国内消費を増やすこと、通貨を増価させて、医療や年金、教育に投資すること。」
NYT September 29, 2008 The 3 A.M. Call By PAUL KRUGMAN
2009年に入って数か月したころ、午前3時にホワイトハウスの電話が鳴る。いくつかの巨大ヘッジファンドが破たんするだろう。市場が明けるとすぐに大暴落が始まる、と電話の声は大統領に告げる。そのとき、オバマが大統領であれば、彼は情報を得ており、金融や経済についての知識もある。しかし、マッケインが大統領なら、考えるのも恐ろしい。
NYT September 29, 2008 A Cure for Greed By EDUARDO PORTER
Asia Times Online, Oct 1, 2008 Danger - Ben and Henry at work By Hossein Askari and Noureddine Krichene
ポールソン=バーナンキ案の何が間違っているのか? 第一に、ポールソンが言うような信用市場の停止は起きていない。投機的な融資が止まっただけである。第二に、バーナンキが言うような投資家の不安を鎮めることは中央銀行の目的ではない。むしろ、財務省が行うことが流動性や物価にどのように影響するか、注意しなければならない。インフレやドル暴落に協力してはならない。
今後、景気の後退は避けられないだろうが、ヘッジファンドや投機的な融資に政府が支払うことは景気対策として考えるなら最悪の手法だ。投機的な債務者と金融機関の不良債権は、契約に従って民間主体で解決させるべきだ。
ポールソン=バーナンキ案の新しさは、失敗をごまかすために、「空が落ちてくる!」と叫んだだけである。
LAT September 30, 2008 Bail out the bailout
LAT September 30, 2008 No one's clean in this mess Jonah Goldberg
Bail-out blues Joseph Stiglitz The Guardian, Tuesday September 30 2008
住宅バブルが破裂して銀行には大きな損失が生じる。根本的な危機の条件を見ないポールソン案と違って、銀行の資本を増強する方法はほかにもある。スカンジナヴィア諸国やバフェットが行った。また、住宅債務者に対する改善策が必要だ。
ポールソン案では銀行のシステムが回復せず、不況も回避できない。
I'm a bail-out sceptic Kenneth Rogoff The Guardian, Tuesday September 30 2008
たとえウォール街のロケット・サイエンティストたちが失敗したとしても、政府が買い取って、数兆ドルに及ぶモーゲージ・サブプライム・ローン市場の混乱を解きほぐせる、というのは信じられない。とすると、この案はアメリカ政府がクズ債券の最後の買い手として救済するという話になる。誰がそれを評価するのか? もちろん、・・・ウォール街で職を失った人々を雇用して!
こんな提案を党派にかかわらず研究者たちが批判するのは当然だ。
健全な金融部門は成長を促すだろう。しかし、今のウォール街は膨張しており、縮小するべきだ。同時に、預金保険機構は拡大して取り付けを避けるべきだし、政府は金融機関の資本を直接に増強するべきだ。住宅債務者にも救済策が必要だ。破産法は改正されるべきだ。
The free market preachers have long practised state welfare for the rich George Monbiot The Guardian, Tuesday September 30 2008
Bring back Keynes Ann Pettifor The Guardian, Tuesday September 30 2008
How to Run a Rescue By Paul C. Light WP Tuesday, September 30, 2008
Congressional Neroes WP Tuesday, September 30, 2008
NYT September 30, 2008 What痴 Worse Than a Flawed Bailout?
FT September 30 2008 Congress decides it is worth risking depression By Martin Wolf
アメリカ議会が救済法案を否決したのは、理解できることであるし、同時に、大きな失敗である。提案は欠陥だらけであったが、それを否決することで事態が改善するとは思えないからだ。金融市場はアメリカ政府の無能さを知っただけだ。
直ちに改善した提案を示すことだ。金融部門が立ち直ったら納税者に返還できるような手法がある。ヨーロッパも含めて、中央銀行は流動性を維持することに万全を期すべきだ。
われわれはなすべきことを知っている。金融機関を資本強化できるし、金融システムを再編できる。問題は政治的な意志がないことだ。・・・それは? 富と権力の配分を変えることも辞さない?
FT September 30 2008 America must seek aid for a global credit line By Kenichi Ohmae
1.個別の問題ではなくシステムを問題にせよ。2.一連の事件を追うのではなく、正しい問題を正しい時期に扱え。3.世界で統一したシステムを築け。
しかし、大前研一の提案は、巨額の外貨準備を持つ国から融資を受けて不良債権処理をする、というものです。金融機関が倒産しそうな場合に、五兆ドルを上限とした融資枠を設ける、というのです。これによって、金融システムの危機を意識することなく、個別の金融機関が整理できます。
日本の経験から見て、アメリカの銀行は、1.流動性危機、を経験した後、2.不良債権処理、3.企業倒産による融資困難、という段階を経るだろう、と警告します。日本は15年を要したが、アメリカもこの混乱を脱したとき、指導者が世界に向けて金融システムの再建を呼びかける。日本も含めて、世界はこれに応じなければならない。
FT September 30 2008 The bail-out failure and blame game
FT September 30 2008 Consequences of no bail-out
Pass this dreadful bailout BG September 30, 2008
Enough scapegoating By Stephen S. Roach IHT Tuesday, September 30, 2008
キンドルバーガーに従って、現在の金融危機を分析し、解決策を提案します。すなわち、三つうち一つを達成しなければ、危機は自己増殖する、というのです。1.価格が底を打つ。2.市場が閉鎖される。3.中央銀行が介入する。
議会が示した改善策は利用できる資金を制限した。しかも救済に対する要求が多い。これではパニックは収まらない。
次には、金融政策が重要となる。1987年にグリーンスパンが示したように、無制限の流動性を供給するべきだ。そして、金利を大幅に引き下げる。さらに、主要国の中央銀行と協力する。この三つがパニックを鎮静化するために必要だろう。
Ideology, Politics, Ignorance Derail Rescue Plan John M. Berry Oct. 1 (Bloomberg)
Paulson Fashions `Powell Doctrine' for Markets Caroline Baum Oct. 1 (Bloomberg)
Paulson's leaky bail-out Avinash Persaud The Guardian, Wednesday October 1 2008
この救済案は失敗する。せいぜい時間稼ぎでしかない。それにしては7000億ドルは高い買い物だ。問題は流動性不足ではなく、資本不足である。ポールソンは納税者にすべてを求めるが、債権者・株主にも負担を求めるべきだ。
Good day for democracy Joseph Stiglitz The Guardian, Wednesday October 1 2008
政治は単純だ。選挙で決まる。そして下院の435人は数週間後に選挙がある。ブッシュ政権の信頼が失われ、ウォール街もそうなった。下院議員たちが救済法案を支持するはずがない。
問題を創り出した張本人たち、数か月前まで経済の好調さを主張し続けた政府が、その崩壊を理由に救済法案を提出している。アメリカ国民は自分たちの税金で彼らが仲間を助けるだけではないか、と疑っている。
企業の福祉を中心に据えた経済哲学、企業の繁栄が国民にも行き渡るという、新しいトリクル・ダウン理論を、アメリカ国民は信用できなくなった。
10年前にも、IMFと財務省の救済案は、韓国、タイ、インドネシア、ブラジル、ロシア、アルゼンチンに対して失敗した。ただしウォール街はその投資をほとんど取り戻したのだ。
彼らとアメリカ国民との違いは一つだけだ。彼らは尋ねられもしなかったが、アメリカ国民は救済案を議会で否決できたことだ。経済学者は合意している。景気の悪化は進むから、さまざまな刺激策や救済策が必要だ。他方、環境汚染と同じように、金融システムの汚染者たちがコストを負担しなければならない。それは公平性の問題であるとともに、効率性の問題でもある。
ウォール街は嘆いているが、救済法案の否決は民主主義の勝利である。
The Trickle-Up Bailout By Jonathan G.S. Koppell and William N. Goetzmann WP Wednesday, October 1, 2008
NYT October 1, 2008 Rescue the Rescue By THOMAS L. FRIEDMAN
アメリカの政治システムは、どれほどの愚か者でも運営できるように天才たちがうまく設計してくれている、と思っていたが、そうでもないようだ。これほどの混乱に対処できる政治システムはないだろう。政治家は計算している。自分たちは株を持っていないという者や、ウォール街の莫大な報酬を許せないという者。
Message to Congress: Don’t get cute. Don’t give us something we don’t need. Don’t give us something designed to solve your political problems.
われわれの政治システムはひどく壊れているから、本当に危機的な状況でしか機能しない、と思っていた。しかし、この危機に及んでも機能してくれない。・・・とにかく今は、火を消すことが重要だ。それ以外は、後で、考えてくれ!
The Japan Times: Wednesday, Oct. 1, 2008 U.S. Treasury Secretary Paulson is wrong By LUIGI ZINGALES
WSJ OCTOBER 1, 2008 We Need to Recapitalize the Banks By EDMUND S. PHELPS
満足できる雇用水準で経済を安定させるというケインズ主義者たちは、市場が自然と均衡する、と考える新古典派と同じように、間違っている。
構造が変化すると規範的な活動水準も変わってしまい、価格や金融政策でも、それを回復させることはできない。
どうすればよいのか? うまく要約できませんが、日本よりもスウェーデンのケースを支持し、住宅所有者への補助や救済を批判し、ビジネスの活性化を求めています。
LAT October 2, 2008 Bailout handouts
LAT October 2, 2008 Time for an FDR moment Rosa Brooks
今は失敗を恐れているときではない。金融機関の救済ではなく、人と、インフラと、知識について、FDRのように大胆に実験し、投資せよ。
From empire to democracy Howard Zinn The Guardian, Thursday October 2 2008
The best of intentions go bust Barry Eichengreen The Guardian, Thursday October 2 2008
Barry Eichengreenの意見も、常に、きっと読む価値があると思います。ウォール街の金融危機が何から生まれ、何をもたらすのか? 世界を貫通する主要な因果関係の網の目を描きます。
「強欲や腐敗を危機の原因だと考えるなら、その対応は荒涼としたものになる。結局、人間性を変えることはできない。むしろ政策の意図せざる結果や、政策の失敗を究明することで、正しい政策を目指すことができる。」
Eichengreenの指摘する原因とは、1970年代の株式取引手数料の自由化、1990年代のグラス・スティーガル法による商業銀行と投資銀行の分割を破棄したことでした。こうした規制緩和は市場を効率的にして、利益をもたらすものでしたが、意図しない結果をもたらしました。複雑なデリバティブを使った商品が開発されて、銀行はレバレッジを使った利益の増大を目指したのです。規制・監督局はその変化に遅れました。
さらに、世界的な規模の不均衡が拡大しました。連銀は2001年の不況に対して金融を緩和しました。金融革新も加わって、金利水準は低下し、それは支出を刺激し、人々の貯蓄をマイナスにしたのです。他方、中国が台頭し、GDPの半分を貯蓄するという行動を示しました。アジアでは1997-98年の金融危機後に投資が減少していました。それらはアメリカの財務省やファニー・メイ、フレディー・マックの証券に向かったのです。
こうした条件が金融危機を激しくしました。そして、危機による金融部門の収縮は避けられません。外国の中央銀行もアメリカの財務省証券によって損失をこうむり、対米投資を減らすでしょう。アメリカの経常赤字も、アジアの経常黒字も減少し、アメリカ人は貯蓄を再開します。予想外なことにドルは増価しましたが、それは緊急避難先としてであり、危機のマイナス評価がドルへの投資とその価値を減らし始めるでしょう。
これが、概ね、Eichengreenの描く危機の様相です。
The US democratic-capitalist model is on trial. No schadenfreude, please Timothy Garton Ash The Guardian, Thursday October 2 2008
下院で金融救済法案が否決された事態を、現代のアメリカ版民主主義とアメリカ版資本主義とは衝突した、とAshは書きます。ヨーロッパなら、危機になれば国家が救済に登場するのは有権者にお受け入れられます。アメリカでは、そうではない。特に21世紀初めのアメリカでは、豊かな者がますます豊かになり、貧しい者を無視してきたのです。レーガン革命以来、アメリカ人は資本主義と民主主義とを同一視しましたが、中国の非民主的資本主義が躍進するさまは、アメリカの金融危機と並んで、二つの関係を再考させます。
FT September 29 2008
Fortis and the need for urgent European reforms
Daniel Gros and Stefano Micossi
(コメント) レバレッジによってユニバーサルバンクも金融危機に巻き込まれました。さらに、一国の政府では救済できなくなっています。
FT September 29 2008
European bank bail-outs
NYT October 1, 2008
Shaky French-Belgian Bank Gets $9 Billion Injection
By MATTHEW SALTMARSH
The Guardian, Wednesday October 1 2008
Dithering Britain needs its own plan, and it may hinge on joining the euro
Will Hutton
(コメント) もはや一国の通貨では、金融危機を回避できないでしょう。イギリスがユーロに加盟する(あるいはポンドにとどまる)条件は、もう一つあるわけです。ポールソンやバーナンキがイギリスの金融危機を救済するでしょうか?
FT October 1 2008
Icelandic banks
NYT October 2, 2008
European Officials Debate Need for a Bailout Package
By STEPHEN CASTLE and KATRIN BENNHOLD
SPIEGEL ONLINE 10/02/2008
BAILOUT DIVIDE: Europe Looks for a Financial Crisis Plan
WP Thursday, October 2, 2008
America's Second Chance
NYT October 2, 2008
Show Us the Hope
NYT October 2, 2008
Save the Fat Cats
By NICHOLAS D. KRISTOF
NYT October 2, 2008
The Reckoning
By JOE NOCERA
FT October 2 2008
This is the ‘1979 moment’ for casino capitalism
By John Monks
(コメント) 短期の金融的な利益を追求する資本市場が、そのまま、長期の生産的投資を適切に導く条件となるだろうか? 労働組合は反対します。1979年が強力な労働組合を解体する転換点であったように、2008年は金融ビジネスの力を破壊する年になります。
FT October 2 2008
Central bankers and the slowdown
FT October 2, 2008
Why Federal Reserve Policy Is Failing
By Thomas Palley
The Japan Times: Monday, Sept. 29, 2008
Putin of Arabia as America's foil
By MAI YAMANI
The Guardian, Tuesday September 30 2008
It's over, and Putin won
Jonathan Steele in Grozny
IHT Thursday, October 2, 2008
The vicious circle
By Tatiana Mitrova
IHT Thursday, October 2, 2008
Europe and Russia both have options
By Robert Johnston and Clifford Kupchan
BG September 30, 2008
The fragility of the global nuclear order
By Graham Allison and Ernesto Zedillo
(コメント) 北朝鮮、イラン、パキスタン、温暖化対策として原子力発電所建設の増加、など、核拡散防止体制は危機を迎えています。核兵器の国際管理体制を格段に強化しなければなりません。専属の要因を増やし、国際安全基準を強化し、予算を拡充します。
NYT October 2, 2008
Life in Zimbabwe: Wait for Useless Money
By CELIA W. DUGGER
(コメント) 1930年代のドイツ、1940年代のギリシャ、ハンガリー、1993年のユーゴスラビア、に並ぶ、現代のハイパー・インフレーションです。年率で4000万%。1USドルは、すでに10兆ジンバブエ・ドルです。
その解決策は政治的な転換です。ムガベの支配が終わること。J.サックスが語っています。
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The Economist September 20th 2008
What next?
The financial crisis and the election: The politics of despair
The financial crisis: Wall Street’s bad dream
Saving the Wall Street: The last resort
Investing banking: Is there a future?
Emerging markets: Beware falling BRICs
Accounting: All’s fair
Economics focus: Beyond crisis management
(コメント) 金融危機の進展は速く、2週間前の記事を要約するのはやめました。アメリカ政府と連銀は金融危機を鎮静化するために行動しなければなりません。そのコストは、個々の救済ではなく、金融システムを根本的に改善する賢明な政策によって抑制できます。過去の金融危機から学ぶべきだ、と指摘します。
たとえば、IMFのWorking Paper (WP/08/224)を読むように、と教えています。
http://www.imf.org/external/pubs/ft/wp/2008/wp08224.pdf
The Economist September 20th 2008
Global business: In praise of the stateless multinational
A bigger world: A special report on globalisation
The presidential election: America not quite as its best
Lexington: Richard Milhous McCain
Resources: Economies of scales
Fishing and conservation: A rising tide
Zimbabwe: Can the new deal work?
(コメント) 多国籍企業が、次第に、世界統合企業へと転換するかもしれない、という議論は、特に新興市場の企業が多国籍化して、急速に先進諸国の市場を侵食してきたことで真実味を帯びています。北からも、南からも、企業の世界化はビジネスの世界基準を形成し、各地の資本主義に影響を与えています。その代表は、Lenovoであり、Mittalです。そして、新興市場が形成し始めた膨大な中産階級に需要を満たすために、先進諸国の企業は新興市場と連携を深めなければなりません。世界統合企業は、文化や政治をも変えるのです。
アメリカ大統領選挙が、再び、文化戦争を始める情勢には、金融危機と重ねて不安を強めます。海洋資源、日本人の好きな魚が獲れなくなるとしたら、その国際規模での対策は急務です。すなわち、海洋資源にも所有権を!? 経済破たんを深めるジンバブエの連合政権が成功するとしたら、国際的な支援がその条件であり監督者です。