今週のReview
9/1-9/6
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世界の英字紙HPからコラムを要約・紹介します.著作権は,それぞれ,元の著作権に従います.
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リヴァイアサン、 オリンピック、 ロシア対NATO、 アフガニスタン、 オバマ民主党大会、 メディカル・ツーリズム
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ただしFT:Financial Times, NYT:New York Times, WP:Washington Post, LAT:Los Angeles Times, BG:Boston Globe, IHT:International Herald Tribune, CSM:Christian Science Monitor, WSJ:Wall Street Journal Asia
FT August 21 2008
The return of the state: How government is back at the heart of economic life
By John Plender
Asia Times Online, Aug 28, 2008
Leviathan's return
By Sreeram Chaulia
(コメント) 不況と財政赤字、金融危機と救済融資、政府系銀行・企業、新興諸国の成長、資源・エネルギー開発、そして、軍備拡大競争。・・・国家が、リヴァイアサンが戻ってきた・・・?
John Plenderは、特に金融危機と住宅価格の下落によって、国家の介入は避けられない、と多くの者が感じている。しかし、同時に、Fedの独立性が危ういだろう。政府を批判するイデオロギーは根強いけれど、政権を求める各政党(イギリスの保守党、アメリカの民主党)は政府の優しさを強調する。“libertarian paternalism”
人々は苦しんでいるが、政治家は何も役に立たない。政府に不信。市場に不信。規制に不信。・・・ 何が次の時代を導くのか、指導的な大国もとほうにくれている。
Sreeram Chauliaは、反ネオリベラリズムの流れを見出します。企業家や銀行家は、規制のない世界で好き放題に荒らしまわった。「企業本位のグローバリゼーション」はもうこりごりだ。人々の声に支持されて、国家の復権が始まるでしょう。
With no Leviathan watching and correcting the accumulating imperfections, the markets entered the badlands of profiteering by bending the basic rules of accountancy, transparency and corporate social responsibility.
カール・ポランニーが考察したように、近代の工業化された世界には二つの運動がある。そして、市場が拡大して国家の役割が縮小する時期と、社会的関心が強まって国家の役割が重視される時期とが交代する。社会の安定が脅かされたとき、それを守る者は国家しかない。
経済と軍事・エネルギーのリヴァイアサンである中国やロシアは、次の世界について、自信があるのでしょうか?
Aug. 22 (Bloomberg)
Here's to Hoping Nouriel Roubini Is Proven Wrong
William Pesek
NYT August 24, 2008
Finding the Mess Behind the Mess
By TYLER COWEN
FT August 24 2008
How a euro-molehill became a mountain
By Ralph Atkins
(コメント) 今となっては、ルービニの悲観論は正しかったのです。脱帽だ、とWilliam Pesekは書きます。しかし、彼が間違っていてほしい、と願うのも当然です。アジアは特に。
アジアがアメリカの不況に引きずられる危険は大いにあるようです。アジアは、輸出に頼り過ぎであり、外国投資家に強まるリスク回避嗜好にも苦しむでしょう。あるいは、アジアをもっと長期で展望するか。
日本の10年に及ぶ停滞が、アメリカや世界にも再現するか? アメリカ経済の問題はいくつかあるけれど、日本のように銀行の整理を遅らせるために停滞を選択することはない、とTYLER COWENは考えます、が・・・?
ユーロ圏についても、Ralph Atkinsは非常に強気です。
Stifling Tibetan voices The Guardian, Friday August 22 2008
Victor Matheson Caught under a mountain of Olympic debt BG August 22, 2008
オリンピックの成功を理由に展開された治安維持の体制は、オリンピックが終われば本格的な反政府勢力の弾圧を始めるでしょう。ラサの宮殿にはスナイパーが待機している、とThe Guardianはイギリス政府の関心を喚起します。
オリンピックにかけた費用、約400億ドルは、その成果をもたらすのでしょうか? 期待されたように観光客の増加はなく、大気汚染対策で閉鎖させられた工場などの損失も合わせて、とても利益をもたらしたとは考えられません。
長期的に見ても、オリンピックの結果は好ましいものではありませんでした。観光地としての知名度は高まっても、観光客はいつまでも続かず、莫大なインフラ投資は、スポーツ関連施設として限られた用途しかありません。
1976年に夏のオリンピックを開催したモントリオールが債務を支払い終わったのは、ようやく2年前でした。韓国のオリンピック施設も、その後は利用されていない、ということです。
唯一、その成果を確信するのは、自国に対するプライドや政府への信頼が高まることです。しかし、そのために、400億ドルも必要なのか?
Philip Bowring China's next challenge IHT Friday, August 22, 2008
JAMIE F. METZL Washington's 'Sputnik moment' in Beijing The Japan Times: Friday, Aug. 22, 2008
Amir Taheri Bye-Bye 'Olympics Excuse' FEER August 23, 2008
中国には多くの難しい問題があります。しかし、誰もが受け入れてきたのは、北京オリンピックがあるから、という理由でした。それが終われば、解決策を求められるでしょう。
たとえば、オリンピックのためには外交政策で敵を作らない。しかし今後も、どんな独裁者の腐敗した国にも援助し続けるのか? ロシア、日本、インド、韓国との関係をどうするのか?
国内問題こそ、多くの重要問題が待っています。私有制、共産党、社会保障制度、地方分権化、一人っ子政策。軍・官僚制度の近代化と再編成。腐敗・汚職。少数民族。信仰の自由。
中国の政治体制は、自由化、民主化、開放に向けて変わるでしょうか。中国が国際システムの中で重要な役割を果たすには、オリンピックが成功するだけでは不十分です。北朝鮮やイランに核兵器が拡散しないように協力し、また、国内に中産階級が育つ一方で、3億人もの貧しい季節労働者の条件を改善するために奮闘する、そんな中国が国際社会の一員になることを世界は待っているでしょう。
Seeming is believing in Beijing BG August 23, 2008
THOMAS L. FRIEDMAN Melting Pot Meets Great Wall NYT August 24, 2008
中国とアメリカのメダル獲得数が圧倒的に多いのは、オリンピックが単なるスポーツだけではない、と教えています。きっと中国も、アメリカも、自分たちの優秀さと政治システムの正当性を高めた、と考えるでしょう。
しかし、THOMAS L. FRIEDMANは、どちらの国も相手から学ぶことだ、と指摘します。一国二制度と似た、1オリンピック・2政治体制。アメリカの多様さと、中国の規律や集中。
アメリカは、他のどの国のチームとも違って、そのすべての特徴を示していた、とFRIEDMANは考えます。だから「ノアの方舟チーム」と呼びます。世界中からの移民たちが、選手となり、コーチとなっています。ところが、アメリカでは移民規制の声が高まっているのです。
中国は、底辺から積み上げる強い社会がもたらすパワーを示しました。しかし、例えば、中国でも環境保護は下から要求しますが、規制を変えるのは上からです。中国の官僚たちは、オリンピックを自分たちの成功だと思うでしょう。
しかし、専制国家は必要ないのです。アメリカのバスケット・チームが負けたのは、チームとして戦えなかったからです。アメリカの議会がばらばらなように。
万里の長城も、人種のるつぼも、お互いから学ぶことは多いのです。
NICHOLAS D. KRISTOF Slipping Over the Great Firewall of China NYT August 24, 2008
EDUARDO PORTER Going for the Gold NYT August 24, 2008
Jeff Jacoby China's totalitarian games BG August 24, 2008
Ai Weiwei Gold is not the real measure of a nation The Guardian, Monday August 25 2008
オリンピックで金メダルを集めるのは、専制国家による育成・強化か、ふんだんにお金をかけることだ、とEDUARDO PORTER考えます。1988年のソウル・オリンピックは、ソ連がメダルを集めた最後のオリンピックですが、ソビエト圏が128個、西側が97個、その他は16個でした。
1996年から2004年まで、アメリカがロシアを抜いてトップでしたが、北京では中国に抜かれました。中国はソウルで5個の金メダルしかなかったのに、その後の急速な成長により、選手の育成と富裕とを組み合わせて、アメリカを抜きました。
中国がオリンピックのために行ったことは、ひどいものだった、とJeff Jacobyは批判します。北京市民を150万人も立ち退かすなんて! 警察国家のオリンピックだ。
確かに中国の得た金メダルは51個で、アメリカもロシアも上回った。しかし、とAi Weiweiは自分の国を批判します。中国のスポーツ文化は市民に広まっていない。それどころか、国民の衛生状態もひどいままだ、と。政府は金メダルの数より、むしろHIVの感染者数や、学校給食の品質を問題にしてはどうか?
Daniel A Bell China: a new openness to the world? The Guardian, Monday August 25 2008
The price of China's Olympic Games LAT August 26, 2008
TONY BLAIR We Can Help China Embrace the Future WSJ August 26, 2008
ゴードン・ブラウン首相は支持率が低迷して困っているでしょうが、その理由の一つは前任者と比べられるからです。トニー・ブレアは並外れた政治家であり、雄弁家でした。その才能は、こうした短文からもよく伝わっていると思います。
私たちは、中国の大変革を、しかも明らかに良い方向への変革、を理解しなければなりません。ブレアは何度か中国を訪れて、特にハイテク企業の若い、自信にあふれた企業家たちに接して、中国の開放と変化は止められないだろう、と確信します。オリンピックの熱気にもそれを感じます。
These people weren't living in fear, but looking forward in hope. And for all the millions still in poverty in China, for all the sweep of issues -- political, social and economic -- still to be addressed, that was the spirit of China during this festival of sport, and that is the spirit that will define its future.
中国を単に脅威とみなすことは間違いです。まだ人口の60%が農業に従事し、今後、数億人が都市に移住して生活するようになるでしょう。中国の大変革の中にこそ、私たちの未来があり、チャンスがあるのです。ブレアは、中国の変化を恐れてはならないし、中国の政治的な安定は非常に重要ですが、同時に、チベットや人権で中国の現在の姿勢を批判することもやめない、と述べます。
Power and influence is shifting to the East. In time will come India, too. Some see all this as a threat. I see it as an enormous opportunity. But we have to exercise a lot of imagination and eliminate any vestiges of historic arrogance.
私たちは中国を必要としています。さまざまな問題の解決には、中国の積極的な参加が不可欠なのです。アメリカの新大統領が中国との強固な関係を構築することが、その基礎である、と。
This means that the West needs a strong partnership with China, one that goes deep, not just economically but politically and culturally. The truth is that nothing in the 21st century will work well without China's full engagement.
日本は? そのとき、日本はどうするのでしょうか。ニクソン訪中?
Pallavi Aiyar China’s Olympic Run – Part II YaleGlobal, 29 August 2008
Charles Krauthammer NATO Meows WP Friday, August 22, 2008
NATO? どこで鳴いたかな? ミャオ? (NATOは、ネイトー、と発音します。)
保守派の論客KrauthammerはNATOの弱腰を非難します。
26カ国の軍事同盟、9億人を守り、世界のGDPの半分を支配する・・・はずですが、ロシアの「侵略」でもなく、「攻撃」でもなく、「侵入」でもない、軍事「行動」は「平和維持の役割と矛盾する」!? これがNATOの声明です。Krauthammerに言わせれば、ミャオ〜!
制裁もなし。G8から追放もせず、WTO加盟を拒むこともなく、ソチの冬季オリンピックをボイコットもしない。サーカシビリを支持するとも言わなかった。単に、ロシアとNATOの次期会合がキャンセルされただけ。
NATOの内部には意見の対立がある。ドイツは考える。これはもっぱら軍事対立とするべきではない。かつてのソ連と違って、ロシアはヨーロッパ経済と深く結び付いている。EUで処理するべきだ。あるいは、国連が扱う? ・・・ロシアの拒否権があるのに?
新しいヨーロッパである東欧諸国は、グルジアで試されているものをよく知っている。ロシアの目的は、1.南オセチア、アブハジアをグルジアから切り離す。2.親西側のサーカシビリ政権を打倒する。3.東欧をロシアの影響圏に取り戻す、ことだ。
Richard Holbrooke What the West Can Do WP Friday, August 22, 2008
サーカシビリ政府を生き残らせ、プーチンを敗北させるために、西側が何をできるのか?
プーチンはサーカシビリを嫌い、暗殺を企て、あるいは、軍事的な圧力で投資をやめさせ、通貨価値を暴落させ、経済の崩壊を狙うでしょう。だから、西側はただちに、サーカシビリの身辺警固を強化し、軍事支援、経済支援を表明するのです。アメリカ政府が公式に支援を表明することで、プーチンの目的は達成できなくなるでしょう。グルジアのインフラを再建し、難民を助け、負傷者を治療します。
長期的に見れば、グルジアはロシアの隣国として平和的に共存しなければなりません。41歳のサーカシビリは、2003年に、母国を崩壊から救いました。しかし、今は戦略を慎重に考えるべきです。EU加盟は認められず、軍事支援も得られないでしょう。ロシアを挑発することは許されません。グルジアの隣国はロシアであって、たとえサーカシビリでも自国をメキシコの隣に移すことはできません。
Quentin Peel Russia’s reversal: Where next for humanitarian intervention? FT August 22 2008
RAMESH THAKUR Payback time for Russia The Japan Times: Friday, Aug. 22, 2008
William Courtney and Kenneth Yalowitz How To Deter Russia WP Saturday, August 23, 2008
西側の主要な目標は、ロシアの攻撃を思いとどまらせることであって、グルジア侵攻に報復することではない。
それ故、西側はロシアの攻撃に対抗し、地域の抑止体制を強化し、また、グルジアの復興を支援しなければなりません。そうすれば、ロシアが軍事的な圧力で近隣慮国をロシアに従わせるとしても、より多くのコストを覚悟しなければならないでしょう。
EUやNATOへの加盟は、ロシアの強い反発を招き、しかもグルジアの行動を抑制するわけではありません。
むしろ、グルジアを含む中央アジアの地域安全保障(カザフスタンやキルギスタンも含む)が、トルコに至るエネルギーの輸送を確立し、貿易や投資をもたらし、密接な経済統合と政治的な連携を育てるでしょう。それは、何よりも、ロシアの軍事的進攻を破滅的試みとするのです。
Who Needs Russia? WP Saturday, August 23, 2008
Tom Porteous Georgia: a challenge for Europe The Guardian, Sunday August 24 2008
SIMON SEBAG MONTEFIORE Putin in the Shadow of the Red Czar NYT August 24, 2008
RONALD STEEL A Superpower Is Reborn NYT August 24, 2008
コーカサス地方における心理的葛藤は、第三次世界大戦の始まりではない。むしろ、冷戦終結の最後のカーテン・コールである。アメリカ政府は、ロシアの「勝利」によって、その理解を固めなければならない。
ソ連は消滅したが、ロシアは大国である。そして、世界は大国によって動いている。大国はその周辺に小国の影響圏を維持し、尊敬されなければならない。だから、アメリカがミサイル防衛網やNATOを拡大するのは間違いであった。ロシア人から見れば、それはキューバやヴェネズエラとミサイル防衛網の協定を結び、基地を建設するようなものである。
大国が周辺地域でその利害を尊重されるようにふるまうのは当然であって、アメリカがラテンアメリカでそれを否定されたら、反撃するのではないか? ロシアの冷戦終結による退却は大き過ぎたのであって、石油と天然ガスを利用して復活したロシアがそれを回復するのは避けられない。アメリカの指導者たちも、理想的な話を繰り返すより、それを認めることだ。
つまりアメリカ政府は、ロシアと冷戦後の大国として対話を続け、ロシアがNATOに加盟しない限り、周辺地域をNATOに加えない。そして、少数民族の分離独立運動に対処する統一方針をヨーロッパ諸国と相談して決めることだ。
US watches other powers shape events FT August 24 2008
アメリカが世界を舞台に行ってきた秩序構築のワンマンショーを、今度はロシアが演じる番です。観客でいるのは楽しくない、と分かったでしょう。ましてや、自国の運命が出し物になると。アメリカのブッシュ政権はレイム・ダックです。そして、さらに中国やインドが台頭し、パキスタンでも、中東でも、中央アジアでも、アメリカの将来が試されます。
Vartan Oskanian The Caucasus moment IHT Sunday, August 24, 2008
Jonathan Steele Crisis of lies and hysteria The Guardian, Monday August 25 2008
Ralf Beste, Susanne Koelbl and Dirk Kurbjuweit Has Merkel Changed her Tune on Georgia? SPIEGEL ONLINE 08/25/2008
Victor Yushchenko Georgia and The Stakes For Ukraine WP Monday, August 25, 2008
ウクライナの大統領が訴えます。グルジアの戦争は、そのままウクライナに波及する、と。ロシアに攻撃されても、国際機関は守ってくれない。クリミアを拠点に、ロシア艦隊が黒海沿岸を支配する。ウクライナは、もっと強力な国際協力を支持したい。国連やOSCEは、紛争地域に平和維持部隊を送るべきである。
Russia’s grip on energy FT August 25 2008
DOMINIQUE MOISI Russia's neurotic invasion The Japan Times: Monday, Aug. 25, 2008
中国がオリンピックの金メダルで国際舞台にアピールしたとき、ロシアは小国に侵攻して軍事力でアピールした。新しいパワーの階層秩序が見えてきた。
冷戦の再現ではない。もっと単純だ。ようこそ、帝国主義間対立の世界へ!
Gareth Porter Georgia war rooted in US 'self-deceit' Asia Times Online, Aug 26, 2008
What may keep Putin up at night CSM August 26, 2008
おめでとう、グルジア征服、とロシア人は祝福してくれるいでしょう。しかし、オリガークたちは陰口をたたきます。・・・プーチンが経済に何をしてくれたか?
ソ連は市場を気にすることなく隣国を支配しました。ロシアは違います。そして、ソ連とは違って、ロシアにはオリガークがいます。西側が冷戦に勝ち残ったのも、市場と資本家が見方に付いたからです。
ロシア経済は、あまりにも石油や資源の輸出に依存し、富が極端に集中しており、経済は空洞化してインフレ高進に庶民の不満が高まります。
もっと中国から学んではどうか? KGBからソ連を学んだプーチンは、経済的に孤立する方が強いと考える。国家のパワーを高め、安全保障を支配する。しかし、西側の市場に依拠して富を得ているオリガーク達は、いつまで、プーチンの軍事的ナショナリズムに従うだろうか?
ある夜、プーチンが目覚めると、権力を失ったことに気づく。
Lionel Beehner Should Georgia follow Bosnia's model? The Guardian, Tuesday August 26 2008
Dmitry Medvedev Why I had to recognise Georgia’s breakaway regions FT August 26 2008
メドヴェージェフ大統領の説明です。「火曜日、ロシアは南オセチアとアブハジアの領土の独立を承認した。」
民族は、その意志によって独立できる。ロシアは、ソ連から14の共和国が独立するのを認め、自国ではなくなった土地から2500万人のロシア人が帰還するのを受け入れた。独立は国連憲章が認めている。サーカシビリはあまりにも愚かで、ロシアが進める平和と共存を拒んだ。ロシアが反対したのに、西側もコソボで過ちを犯した。
Countdown in the Caucasus: Seven days that brought Russia and Georgia to war FT August 26 2008
Russia’s gamble could backfire FT August 26 2008
短期的には、ロシアがすべてのカードを握っている。少なくとも、そう見える。しかし、長期的にはどうか? アブハジアも南オセチアも、到底、国家にはなれない。他方、チェチェンなど、独立を求める少数派は声を上げるだろう。
Dmitry Medvedev Why I had to recognise Georgia’s breakaway regions FT August 26 2008
Stuck in Georgia NYT August 27, 2008
Mikheil Saakashvili Moscow’s plan is to redraw the map of Europe FT August 27 2008
サーカシビリ大統領は、西側が「政治的、金融的に強く支援する」ことを望みます。軍事的、とは書いていません。
われわれはまず何より、ロシアのオーウェル的な戦術を明確にしておく。モスクワは、彼らがグルジアに侵攻したのは南オセチアの市民たちを守るためだった、と言う。5年もかけて、彼らはこの口実を作るため、南オセチアとアブハジアに違法なパスポートを配って、彼らが守るロシア市民を「生産した」のである。ロシアの少数民族に対する関心が単なる皮肉でしかないのは、たった一言で十分わかるだろう。チェチェン!
ロシアはヨーロッパの国境を勝手に書き換えるつもりだ。
BERNARD-HENRI LÉVY Russia Is Brazen, Europe Weak WSJ August 27, 2008
ロシアの軍事侵攻が与える教訓について。1.ロシアの権力は非常に冷酷だ。チェチェンが示してきたように。ロシア語を話す人々は、バルチック諸国にも、ポーランドにもいる。2.新しいロシア政府も、国際的な抗議、説得、警告に無関心だ。彼らは冷戦のルールで今も動く。3.ロシアは理想や原則を悪用しても恥じない。4.ヨーロッパは、フランスの和平案が示したように、弱腰だ。5.西側の世論はクレムリンのプロパガンダに操作されている。
Ramesh Jaura Russia sets off alarm bells Asia Times Online, Aug 28, 2008
Henry R. Nau How Reagan would've dealt with Georgia LAT August 28, 2008
軍事侵攻に対して、外交的に圧力をかけるか、軍事的に対抗するか? この問題はアメリカ外交にとって何ら新しいものではない。アメリカには二つの伝統がある。
国際的なリベラリズムによれば、W.ウィルソンがやったように、国際機関を介して、平和的な外交を展開する。貿易を増やし、近代化を助けることで、世界の緊張は緩和し、自由が前進する。
伝統的なリアリズムによれば、T.ルーズベルトがやったように、十分な軍事力を用意して、個別に敵を撃破する。たとえ近代化を助けても緊張は緩和されず、むしろ自由を嫌う敵対者を増やすだけかもしれない。
問題は、どちらの伝統も、外交と軍事力を組み合わせることに失敗したことだ。二つを組み合わせることに大きな関心を払った第3の伝統は、H.トルーマンやR.レーガンがそうであったが、伝統的な国際主義である。
民主主義の国とは外交を行い、非民主主義の隣国が軍事力に訴える地域には、十分な軍事力を展開する。こうして自由は、犠牲を最小にして拡大できる。軍事力が交渉を支えるのである。
Seumas Milne Georgia is the graveyard of America's unipolar world The Guardian, Thursday August 28 2008
Ian Bancroft The recognition game The Guardian, Thursday August 28 2008
Philip Stephens Putin maps the boundaries of greater Russia FT August 28 2008
ロシアの歴史によれば、この軍事侵攻は、西側すべての失策であった。最初に西側が解体したのはソ連である。冷戦後の秩序を考えもせずに、旧ソ連は解体し、富を求めてEUになだれ込むのを認めた。その映像をプーチンは繰り返し、繰り返し、国民に流してきたのだ。それはロシア人だけでなく、西欧でもロシアへの宥和思想を広めてきた。
しかし、このロシアの犠牲者イメージは間違った演出だ。ソビエト帝国は、1991年、ロシアのエリツィンによる反クーデターにより崩壊した。ロシアがソ連から国々を解放したのだ。
確かにロシア人の多くは1990年代の混乱を残念に思っているだろう。そして政府はそれを、アメリカや西側、EU,NATOのせいにする。歴史上、帝国を失った国はいつも屈辱を感じている。
西側がロシアの頭越しにEU拡大を合意したり、クリントン政権がNATOを利用したことは間違いだったかもしれない。90年代の経済混乱にIMFが関与することも不十分だった。しかし、西側がロシアの経済崩壊を企てた、と言うのは正しくない。
プーチンは、1991年に戦車に乗ったエリツィンが解決した問題を蒸し返そうとしている。プーチンは、ロシア人のいる土地すべてに主権を主張している。これはソビエト帝国の復活である。
中国は、自由な民主主義を採用していないが、オリンピックで示したように、安定した世界秩序に参加することを望んだ。ロシアは力によって支配し、冷戦を再現することも恐れない、と自慢する。
ロシアは何を得るのか? それは、国際的な最下層の地位である。外国政府も、投資家も、ロシアと友好的に話し合うことが無価値であると分かった。たとえ資源や核兵器はあっても。
William Pfaff Saakashvili's folly IHT Thursday, August 28, 2008
DAVID HOWELL How to handle an angry bear The Japan Times: Thursday, Aug. 28, 2008
日本が第二次世界大戦で行った野蛮な侵略行為を正当化するものではないが、日本の戦争動機が影響圏の喪失を恐れ、重要な資源、特に石油の供給を断たれるのではないか、という不安にあったことは間違いない。ロシアも同様の正当化を行っている。
ワシントンやブラッセルはロシア人の屈辱を顧みなかった。自分たちの優位を前提に、民主主義はどうせよ、経済自由化はどうせよ、と説教ばかりした。ロシア人たちの地位を貶め、孤立させた。それは彼らの中に怨嗟の念を蓄積したのだ。
アメリカは強力だが、軍事的な意味ではない。パワーや価値が変わったのだ。ロシアに対する圧力は、外国投資家から、またオリガークから生じる。彼らは世界中に資産や預金を保有しているから。オリガーク達が西側の価値を信じているとは言えないが、世界経済が安定して、繁栄することを好む。
だから辛抱強く待つことだ。石油や天然ガスの価格は引き続き高いかもしれないが、民間投資家は西側との良好な関係を望む。西側の政治家が勇ましい演説をしても無駄だ。もし新しい世界秩序の性質を理解するなら、政治家たちは黙って、市場の判断にロシアを委ねるべきだ。
MELIK KAYLAN How the Georgian Conflict Really Started WSJ August 28, 2008
Mikhail Molchanov Punishing Russia could prove costly Asia Times Online, Aug 29, 2008
WP Friday, August 22, 2008
The Key to Rebuilding Afghanistan
By Robert B. Zoellick
FT August 27 2008
Afghan harvest
(コメント) 日本のNGOスタッフが殺害されて事件を知った今では、NGOだけでなく国際機関を介しても、日本人がアフガニスタンの平和や経済復興に貢献できる途を考えてしまいます。
さまざまな言語に分かれ、腐敗や汚職が横行し、アヘンの生産が社会を侵している限り、アフガニスタンの復興にはまだまだ時間がかかる、とZoellicは認めます。しかし、一方ではテロの掃討に国際社会が協力しながら、他方で、地域住民の生活を回復させ、彼らが活気づくことが重要です。すなわち、開発や民主主義を彼ら自身の手で進めることです。まずは農業から。
世界銀行がここで述べていることは、まるで亡くなった伊藤さんが語っているようにも思えます。
FTの記事は、アフガニスタンがますます麻薬の生産・輸出と、海外からの援助に頼っている、と述べています。反政府軍は麻薬の栽培によって資金を得、政府は治安の回復に失敗して投資が減ってしまいます。こうしてますます、人々は麻薬に頼るのです。
さらに記事は、アメリカ・NATO軍が資金や兵士の不足から空爆を多用したことを批判します。それはテロリスト狙って成果を上げたかもしれないが、多くの市民が犠牲になった、と。人々はアメリカ・NATO軍を好ましく思いません。
FTは主張します。もっと現地の人々の生活を再建することが重視されるべきだ、と。地元の政府が再生し、治安維持や法の支配を実現することが重要です。学校、病院、電力、灌漑施設、道路や市場が必要です。インフラ工事だけでなく、資源の開発によって雇用が生まれるでしょう。
PAUL KRUGMAN Now That’s Rich NYT August 22, 2008
オバマもマッケインも、中産階級からリッチに上昇した、という評価に、KRUGMANは反対します。The Wall Street Journal のRobert Frankが“Richistan(冨者の国)”で書いたように、本当に裕福な人々はアメリカではなく、まったく別の世界の住民です。
マッケインの税制をオバマの税制と比べるときには、「富裕層」と「中産階級」にとって何を意味するのか、考えることです。共和党がいつも主張するような、まじめな勤労者に増税をもたらす民主党、というのは間違いです。
DAVID BROOKS Hoping It’s Biden NYT August 22, 2008
Tim Rutten Obama's VP strategy LAT August 23, 2008
Melissa McEwan Obama's small change The Guardian, Saturday August 23 2008
Michael Tomasky The five things Biden brings Obama The Guardian, Saturday August 23 2008
なぜ民主党の副大統領候補はJ.バイデンか? アメリカ大統領選挙を動かす力学の問題です。
BOB HERBERT Voters Want More From Obama NYT August 23, 2008
Mark Halperin Is Obama overshooting? LAT August 24, 2008
オバマの評価は期待を高めすぎて、失速するのではないか? オバマ陣営は270票を超えれば当選するのに、370票を狙うのか? それは間違った戦略ではないか? アメリカ大統領選挙の問題は、どの州を取るか、である。270を超える票が取れる州を数えて、資源と時間を集中しなければなりません。
What the Voters Know NYT August 24, 2008
Mr. Obama's Show WP Monday, August 25, 2008
Mr. Obama’s Task NYT August 25, 2008
民主党大会の意味を的確に要約し、成功の条件を示します。オバマは人々に希望を与え、無限の可能性を信じさせる優れた政治家ですが、何をしてくれるのか分からない、という有権者は多いでしょう。
Gideon Rachman Why Obama looks vulnerable FT August 25 2008
オバマは大統領候補として弱い、とGideon Rachmanは考えます。その知性や洗練された態度、ハンサムで、スターの素質があるにもかかわらず、それだけでは大統領になれない。
オバマの弱点は、民主党から大統領になったカーターやクリントンと比べると明らかです。彼らは白人で、アメリカ南部の州の中道的な知事でした。オバマは北部出身で、黒人の元大学教授です。ケニア出身の黒人の父と白人の母を持ち、インドネシアで一時期を過ごしたことや、大学ではマルクス主義や構造的フェミニズム、新植民地主義、ユーロセントリズム、家父長制、も議論した、などという経歴に、多くのアメリカ人が親しみを感じるはずはないのです。
マッケインの経歴ならすぐにハリウッドの映画ができるでしょう。しかし、オバマの青春はオフ・ブロードウェー(商業ベースに乗らない、実験的な演劇)です。
経験がないことよりも、黒人であることが問題です。オバマは「脱人種」の政治を掲げますが、それだけで白人労働者の支持が得られないのは明白です。マッケインは多くの不利な点を抱えていますが、すでに有権者の関心はイラクよりも景気に移りつつあります。そして、黒人に有利なことをするのではないか、と言うオバマへの疑念を否定し、マッケイン陣営の人種戦略を非難すればするほど、人種戦争の選挙に巻き込まれるのです。
オバマが敗北する可能性は、もちろん、ある。
DAVID BROOKS The 21st-Century Man NYT August 26, 2008
オバマとは何か? マッケインと支持率の差がなくなって、民主党は心配しています。ああしろ、こうしろ、という意見が飛び交って、陣営はバラバラです。しかし、オバマ自身がその政治的な信条や選挙戦のメッセージを、彼が何者であるかを、明確に示したはずです。
古い政治と手を切る、ということ。多文化で、世界化した時代に登場した「21世紀少年」です。オバマは未来を表し、私たちの未来を切り開く希望なのです。
その核心が試されるでしょう。最も手ごわいのは、民主党の専門家たちです。
BOB HERBERT The Dog That Isn’t Barking NYT August 26, 2008
Jim Lobe Biden as Obama's 'bridge' Asia Times Online, Aug 27, 2008
Robert J. Samuelson The Rise Of Fantasy Politics WP Wednesday, August 27, 2008
Rosa Brooks He's Barack Obama, not the messiah LAT August 28, 2008
オバマは普通じゃない。妖怪や亡霊、救世主であることを期待される。・・・かわいそうに。
Poor Obama. When Hillary, Michelle, Teddy and Bill act like normal people, everyone's happy. But Obama's never allowed to just be a regular guy. He's supposed to be a cross between a new Jack Kennedy and a new Martin Luther King Jr. -- someone who can transform politics-as-usual, cast aside the old divisions of race, class and partisanship and lead us into a future full of hope and ... you know, change. He's supposed to be transcendent.
ヒラリーの支持者たちは、こんな宗教劇にうんざりです。多くの民主党員も、大げさな演説はもういいから、何をしてくれるのか話すべきだ、と不満を示します。民主党はこの演出をやめるべきです。
Timothy Garton Ash The story's great, the rhetoric soars, but soon Obama must heed Canute The Guardian, Thursday August 28 2008
オバマを救世主に仕立てたのは、アメリカの政治によくある感傷的な演出に拠るものだ。しかし、バラクとミシェルのオバマ夫妻がアメリカ大統領候補になるまでの話は、十分に感動的だ、と称えます。マーチン・ルーサー・キングが有名な演説をした場所で、45年後にオバマが民主党の候補として承認されました。
ジョー・バイデンは、オバマが大統領になれば、アメリカも、世界も変わる、と主張しました。オバマを支持するものだけでなく、世界がそれを望んでいることは驚きです。
確かに世界は大きく変わり、同時に行われているグルジアからのロシア軍撤退を見ても、アメリカが指導力を示すことは難しい状況です。世界の様々な国で、アメリカでも、ますます多くの人が中国は将来アメリカに代わって覇権を握る、と考えています。
しかし、オバマはアメリカの本当の力を体現する人物です。世界中から集まる素晴らしい才能やエネルギーに富んだ人々が活躍する国として、その人種対立や旧式の政治を批判するオバマを人々は愛します。
Mr. Obama’s Moment NYT August 28, 2008
Obama's history, and America's BG August 28, 2008
ROBERT A. CARO Johnson’s Dream, Obama’s Speech NYT August 28, 2008
Timothy Egan When FDR found 'the forgotten man' IHT Thursday, August 28, 2008
リンドン・ジョンソンやF.D.ルーズベルトの時代と比較して、オバマはどうでしょうか? Caroの描く、キング牧師とジョンソン大統領の対峙は、感動的な瞬間です。
NYT August 23, 2008
Bernanke Urges Broader Oversight of Financial Firms
By LOUIS UCHITELLE
FT August 25 2008
A practical approach to the regulation of risk
By John Eatwell and Avinash Persaud
FT August 25 2008
The Fed and the credit crunch
Aug. 25 (Bloomberg)
Fed's Barn Doors Are No Obstacle for Its Horses
Caroline Baum
Aug. 28 (Bloomberg)
Weasel Brokers Whine When Faced With New Rules
Susan Antilla
Asia Times Online, Aug 29, 2008
Central banks need a Basel lll
By Hossein Askari and Noureddine Krichene
(コメント) 金融危機だけでなく、それが求めたアメリカの金融システム改革と規制をめぐる葛藤は続いています。バーナンキは “macroprudential regulation” を提唱します。
他方、John Eatwell and Avinash Persaudは、個別の金融機関がリスクを回避しても金融システムのリスクは抑えられない、と考えます。では、システムとしてリスクを抑えるには何が必要か? 1.システム・レベルで、たとえば住宅価格が40%下落する場合のようなストレス・テストを行う。2.その法的な資格にかかわらず、高度なレバレッジを利用するすべての機関を規制する。3.資産価格の上昇や下降に合わせて変動するようなチャージを、資本に課す。
またHossein Askari and Noureddine Kricheneは、国際的な新しいBIS規制を議論しています。ただし、商業銀行のためではなく、中央銀行の国際規制がBISVです。
WP Saturday, August 23, 2008
'The Game Is Over'
CSM August 25, 2008
The big secret in U.S. housing
By the Monitor Editorial Board
FT August 26 2008
How to shore up America’s crumbling housing market
By Martin Feldstein
Aug. 27 (Bloomberg)
Asia Is About to Give U.S. a Kick in the Fannie
William Pesek
(コメント) 住宅価格がまだ下がると思う内は、住宅を買うのが控えられます。住宅価格がまだ下がるから、金融機関の損失は膨らみます。金融危機が終わらなければ、景気は悪化し、住宅価格も下がります。将来の価格に不確実性が大きい限り、危機は続くのです。
住宅の価格が債務よりも下がれば、マイナスの債務を証券化したまま、住宅所有者は家を出て債務を免れます。それは金融機関に蓄積し、金融不安となります。債務不履行と住宅差し押さえは、住宅市場の需給を悪化させ、住宅価格を下落させます。その結果、ますます多くの債務者が家を出ます。
まるで大恐慌の時の農場と、それに融資した銀行の倒産みたいです。
Martin Feldsteinは、以前の提案を繰り返します。政府はマイナスの証券化を回避するために融資せよ、と。すべての住宅所有者はモーゲージの20%まで低利の政府融資を受けられる、とします。この融資によって、住宅所有者は債務額を20%減らし、しかも金利負担を減らします。住宅所有者は差し押さえを免れ、住宅市場の需給が回復します。
WP Sunday, August 24, 2008
They Can Only Go So Far
By Francis Fukuyama
(コメント) 今も世界には、民主主義と資本主義以外に選択肢はない、とFrancis Fukuyamaは確認します。アメリカの支配は終わっても、イデオロギーの時代は再現しない、と。
WP Sunday, August 24, 2008
Rice's Not-Quite-Shining Moment
By Jim Hoagland
The Japan Times: Sunday, Aug. 24, 2008
Bush legacy leaves U.S., Asia room to build
By THITINAN PONGSUDHIRAK
Asia Times Online, Aug 26, 2008
Let's talk about World War III
By Nikolai Sokov
Asia Times Online, Aug 26, 2008
A really rough stretch for Pax Americana
By Jim Lobe
WSJ August 26, 2008
Russia's Aggression Is a Challenge to World Order
By LINDSEY GRAHAM and JOE LIEBERMAN
Asia Times Online, Aug 27, 2008
Here we go again
By Martin Hutchinson
FT August 27 2008
Russia could push China closer to the west
By Geoff Dyer
The Guardian, Thursday August 28 2008
Designing the cold peace
Sergey Lagodinsky
Asia Times Online, Aug 29, 2008
Tehran exploits US-Russian tensions
By Jim Lobe
CSM August 29, 2008
Farewell to world peace?
By Charles Kurzman and Neil A. Englehart
(コメント) 大統領ではないけれど、パウエルやライスはアメリカ政府の高官を務めた優秀な黒人です。Jim Hoaglandは書きます
I long have had friendly relations with Rice. More to the point, we both grew up in the segregated South, drawing from that experience many of the same global lessons about politics and the ability of people to change for the better.
しかし、グルジアの危機は悪化させたかもしれません。
第三次世界大戦、コールド・ピース、パクス・アメリカーナ、米中ロの綱引き、アジア、などのタイトルに魅かれて集めました。
南コーカサスをめぐる米ロの対立は、劣勢のロシア軍がヨーロッパの米軍基地を爆撃し、核攻撃を含めたヨーロッパの第3次大戦となります。この戦争に参加しない中国とインドは、将来の覇権を狙います。
ロシア軍が破壊したのはグルジアの町だけではありません。近代史上最長の戦争がない期間を終わらせました。それでも世界は、ますます戦争を国際関係の手段として受け入れない政府によって秩序づけられて行くでしょうか?
FT August 24 2008
The global consensus on trade is unravelling
By Lawrence Summers
The Wall Street Journal, 27 August 2008
Nobel Laureates Say Globalization's Winners Should Aid Poor
Joellen Perry
(コメント) 世界の経済政策は、戦争やオリンピック以上に重要です。そして、世界経済を支えた重要なエンジンであるアメリカの消費は、株価と住宅価格が下落する中で、逆噴射し始めています。国際経済の不均衡を調整するために、アメリカが消費するより貯蓄し、輸入を減らして輸出することを喜べるでしょうか? そのためには、アメリカに代わるエンジンを探さなければなりません。
問題は、黒字諸国の多くが国内の消費を抑えたまま、輸出を伸ばし、対外資産を増やす競争をする専制国家であることです。戦後のリベラルな合意、すなわち、いずれの国も市場を開放し、統合することで消費を増やせる、という目標が共有されなくなりました。市民たちの生活水準より、国家間の競争に政策の関心が向けられます。
また、4人のノーベル経済学賞受賞者は、グローバリゼーションと技術進歩がもたらす不平等を是正するために、政府が積極的に介入し、制度を整備する必要がある、と主張しました。
NYT August 26, 2008
Gulf Countries Remain Tied to the Dollar
By LANDON THOMAS JR
(コメント) M.フェルドスタインも、A.グリーンスパンも、アラブ産油諸国はインフレを抑えるためにドル・ペッグを離脱するように求めました。しかし、サウジアラビアは離脱しません。最近のドル安から幾分ドル高に変わったことも歓迎します。外貨準備も財政も、大幅な切り上げによって悪化します。今のままで良い、というのです。ここではマネタリズムは成立しないし、賃金も弾力的だ、と主張します。
しかし、インフレが高進して、出稼ぎ労働者たちは不満を強めています。物価は何もかもが急速に上昇しており、賃金の引き上げは送れます。労働者たちは必死に働いても、家族への送金が減って、憤慨します。
The Guardian, Tuesday August 26 2008
Rich countries once used gunboats to seize food. Now they use trade deals
George Monbiot
(コメント) 農産物でも、水産物でも、豊かな国では資源が枯渇します。あるいは、それを規制して供給が減ります。すると、豊かな国の業者は貧しい国に入って収穫を増やします。貧しい国の土地や海は、豊かな国に輸出するために荒れて行きます。農産物や水産物は、かつてローカルな社会が依拠する重要な栄養源でしたが、今では外貨を獲得するために国外に流出してしまい、時には、多くの人々が飢えるのです。
かつては軍艦や傭兵を派遣したが、今では小切手帳と弁護士が、貧しい国から資源を奪っていきます。Monbiotは、豊かな国と取引することを非難するのではない、と言います。しかし、貧しい国の人々が食料を得る十分な購買力を得なければなりません。それは加工してから輸出したり、彼らが雇用されるようにして、初めて、貿易は彼らの利益にもなるのです。
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The Economist August 16th 2008
Russia resurgent
Russia and Georgia: A scripted war
Globalization and health: Importing competition
Globalization and health care: Operating profit
People-trafficking and people-smuggling: Drawing lines in a dark place
The global economy: Rebalancing act
(コメント) ロシアの行動は十分に予想されていたのであり、サーカシビリはそれでもリスクを取る政治家です。国境を超えて、軍事的な紛争を選択することが政治的に許されているように、売春や強制労働のために人々を売買することも禁止できませんでした。それが、主要国間では次第に非合法化されつつあります。
医療サーボスは今まで国内で充足するはずのものでした。しかし、医師や看護湯の輸出は活発に行われており、逆に患者が世界中の医療サービスをインターネットで選択しても、やめさせることはできません。国際収支不均衡や民間の国際資本移動も、かつて厳しく規制されていましたが、今では自由であり、不均衡の拡大や調整過程について、ショックの管理と協力の合意が模索されます。たとえ、それが「不況」と呼ばれても。