今週のReview
8/4-8/9
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世界の英字紙HPからコラムを要約・紹介します.著作権は,それぞれ,元の著作権に従います.
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******* 感嘆キー・ワード **********************
文明論、 中国のインフレ、 アメリカのインフレ、 ユーロ圏のガバナンス、 インターネット世代の愛国心、 ベルリンのオバマ、 ドーハ・ラウンド決裂、 ジンバブエのインフレ、 日本のインフレ
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ただしFT:Financial Times, NYT:New York Times, WP:Washington Post, LAT:Los Angeles Times, BG:Boston Globe, IHT:International Herald Tribune, CSM:Christian Science Monitor, WSJ:Wall Street Journal Asia
LAT July 22, 2008
By Michael Shermer
NYT July 30, 2008
OPEC 2.0
By TIM WU
(コメント) 人類は、化石燃料から再生可能なエネルギーへの移行を必要としていますが、そのを実現する経済的・政治的条件が形成されていません。Michael Shermerは、ある宇宙飛行士の文明論を展開します。地球外の生命体を求めて、どのような文明がありうるかを考えたそうです。
文明類型1は、その星のエネルギーを利用し、類型2は、その惑星系の太陽のエネルギーを利用し、類型3は全銀河系のエネルギーを利用します。人類はまだ、文明0.7です(最近でもやっと0.72です)。
Shermerが分類した理由はよく分かりませんが、地球上に存在する異なる文明とエネルギーの利用水準を、0.1から、予想も交えて、1.0まで描き出しています。例えば、0.1の文明は、アフリカの移動集団です。彼らは石器程度しか持たず、集団間の争いは階層的な支配によって抑えられます。0.5で国家が登場し、0.7で民主主義や市場が登場します。
グローバリゼーションとは、文明類型1.0の可能性を全部実現する社会です。発達した科学と、地球規模の市場によるエネルギーの利用が実現します。しかし、裕福な、発達した民主主義国でも、グローバリゼーションへの反対は強く、地球規模で国家間の紛争や差別をなくすことはできていないし、誰もが最高の可能性を生きる経済・政治条件を享受していません。
未来学の楽観的な雰囲気を伝える論説は、その希望を語ることで終わります。
TIM WUは、私たちが石油において経験した文明の失敗を、情報についても犯しつつあるのではないか、と警告します。それは、私たちの生活に占める情報の交換や処理にかかわる費用、さらにはエネルギー消費が増えていくことに示されています。
このままでは、情報処理や情報交換の方式を支配する一握りのOPEC(あるいはメジャー)によって、私たちの生活は支配され、搾取されるでしょう。情報通信の世界企業だけに頼らず、人類にとっての民主的な管理体制と合理的な抑制、グローバル・システムへの移行が求められます。
YaleGlobal, 22 July 2008
China’s Rumble With Globalization – Part I
Xu Sitao
(コメント) 中国の成長(特に、貧困層の生活と社会的安定)を脅かすインフレの加速に対して、中国政府は直接介入によって価格を抑制しようとしています。他方、西側諸国の中央銀行は、政府からの独立性とインフレ目標によって、インフレを抑え込むための金融引き締めに向かいつつあります。中国では、地方政府が成長の持続を願い、雇用不安や賃金抑制を恐れているために、急速な景気の減速は受け入れられず、インフレに対する見せしめ的な処罰や、低所得者層への補償を連発するかもしれません。
Xu Sitaoの記事が指摘するように、この景気過熱は中国政府による政策の失敗という側面があります。世界のインフレ傾向に対して、国内の石油価格や電力価格を抑制し、人民元の調整もなかなか進みませんでした。国営石油会社は価格を抑制されて、増産せず、ガソリンを購入するときに他の製品を購入させて損失を回避しようとします。成長が続けば、市場価格のゆがみがますます大きくなるでしょう。
それは北京オリンピックが終わるまで、あらゆる社会不安や経済対立の原因となりそうな調整を回避する、という中央政府の姿勢によって認められたことです。オリンピックが終われば、どうなるのでしょうか?
Xu Sitaoは、中国経済が西側諸国とも、ベトナムやインドとも、違う点を強調します。中国のインフレ率は、まだそれほど顕著ではなく、インフラや教育水準、都市化など、世界市場での価格競争力を維持する条件があります。中国の貿易収支は黒字を維持しています。また、上海の株価が半減し、住宅価格も急落したように、一部で生じていたバブルが破裂し、インフレ期待は抑えられました。問題は、所得の上昇率が消費者物価の上昇率よりも低い都市の底辺住民、20%に所得補助を行うことです。
共産党政府の公式の目標である「調和ある社会」の実現には、こうしたインフレ抑制においても多くの妥協点を探る必要があります。政治的に、すべての要求を満たす政策はありません。例えば、資本規制を撤廃すれば、外貨準備が減って内外に均衡へ向かうでしょう(緩やかな人民元高、資本輸出、貿易均衡化)が、株価が下落した今、資本流出と一層の暴落を招く危険もあって支持されません。
こうして中国の成長持続は、世界がスタグフレーションを回避するための重要な逃げ道ですが、中国にとってはインフレ率が高まって、環境を破壊する現在の発展パターンを転換する方が望ましい、とXu Sitaoは考えます。
Asia Times Online, Jul 25, 2008
Step by step to democracy in China
By Kent Ewing
The Guardian, Monday July 28 2008
Which China?
Catherine Sampson
(コメント) インフレ抑制や成長の減速について、中国政府は慎重な漸進主義を取りそうですが、民主化、もしくは国民に対する政府の責任についても、民主化をまったく否定するのではなく、漸進主義的な変化を企てているわけです。その一つとして、人民代表大会で行われる、なんでも採択してしまう方式から、中央委員会に権限を集中させるやり方the tenure systemへの移行です。執行委員は政策を決定するとともに責任を取ります。
また、汚職や腐敗に関する捜査を行うthe Central Commission for Disciplinary Inspection (CCDI)においても、中央の権限が確立されようとしています。これらは、一党支配による権力の集中を、チェック・アンド・バランスの制度化で健全な形に維持しようとする試みです。しかし、それが共産党内部の欺瞞に終わらないためには、一定の民主化圧力と不断の改革が必要です。あるいは、警察や地方の共産党本部に対する不信感や暴動、または、北京オリンピックを取材するために集まった世界中のメディアによる監視、が一定の役割を果たすのです。
他方、Catherine Sampsonは、オリンピックの騒ぎによって中国政府による人民の抑圧体制を見誤ってはいけない、と主張します。特に、オリンピックによる国際的威信回復や外国メディアへの反発から、愛国心を利用して支配を正当化するような政府と、中国国民とを、混同してはいけません。医療や教育、出産から賃金まで、政府が決めていた時代に比べて、今では人々の意見が政府と異なる点はより大きくなっています。
つまり、中国、というとき、どの中国のことを言っているのか?
FT July 29 2008
Chinese factory workers gain recognition for their grievances
By Tom Mitchell in Shenzhen
FEER July 30, 2008
Don't Bet on the Renminbi
by Calla Wiemer
NYT August 1, 2008
In China, Low-End Industries Give Way to High-Tech
By DAVID BARBOZA
(コメント) Tom Mitchellが伝えるのは、出稼ぎ労働者たちを組織するthe Shenzhen Migrant Workers Associationの話です。
Calla Wiemerは、人民元を問題にします。投機的な買いが増える人民元ですが、本当に人民元は急速に増価するのか、記事は疑います。中国の所得が急速に伸びて、消費の増加が追いつかず、急速に貯蓄を増やしている、というのはなるほど大変だな、と思います。普通だったら、不況になるはずですが、それだけ輸出を伸ばしている、ということなのでしょう。
だから、人民元は増価しない、というのです。貯蓄と投資のバランスを回復するには、輸出が伸び続けるか、資本輸出を行っても良いわけです。ファンダメンタルズが調整される過程で、緩やかな増価が起こる程度であって、貿易黒字を一気に解消するような増価は起きない、と考えます。
中国でも、まるで日本みたいに、若者に夢を与える計画があるのは面白いです。バッテリーの会社が紹介されています。BYD(Build Your Dream)という会社です。
FT July 30 2008
Dirty air and the Beijing Olympics
FT July 30 2008
China’s Olympics
NYT July 31, 2008
More Pressure on Beijing
(コメント) 北京オリンピックについての記事です。大気汚染、人権、情報統制、などが有名です。オリンピックの期間だけ大気汚染が少し緩和されても、中国の長期的な課題はこれからです。
オリンピックは交通渋滞を呼ぶのか、と思えば、工場も事務所も休業するしかない、ということです。さらに、ホテルの予約も空港の利用者数も期待外れ、大型テレビなども売れていない、とか。
たとえ開会式に行くとしても、ブッシュ大統領は中国政府によるオリンピックに備えた事前の反体制派への弾圧や拘束を批判しました。
Rosa Brooks Radovan Karadzic: Just a moral hypocrite LAT July 24, 2008
ROGER COHEN Karadzic and War’s Lessons NYT July 24, 2008
Stefan Wagstyl and Neil Macdonald Karadzic’s can bring closer ties to Europe FT July 25 2008
Paddy Ashdown in Sarajevo Europe needs a wake-up call. Bosnia is on the edge again The Observer, Sunday July 27 2008
GWYNNE DYER Radovan Karadzic falls victim to soft power The Japan Times: Wednesday, July 30, 2008
(コメント) カラジッチが13年かかって、ようやく国際刑事裁判所に立ちます。
独裁者や大量虐殺の指導者は、自分がむしろ社会の是正を助け、間違った人々の治療を施していると感じていたようです。カンボジアのポルポト、ルワンダのフツ族指導者たち。あらゆる動物の中でも、人間だけが物語を話す。・・・関係者の記憶も複雑で、あいまい、情緒的であり、詳しい事情まで理解できません。
カラジッチが望んだように、ボスニアは分離独立し、目覚ましい復興を遂げたけれど、さらに国内のセルビア人勢力が分離する動きを示しています。虐殺についての記憶も、次の歴史的局面に悪用されるかもしれません。
Asia Times Online, Jul 25, 2008
Bernanke blighted by tunnel vision
By Hossein Askari and Noureddine Krichene
FT July 28 2008
America must not act rashly over inflation
By Mark Gertler
(コメント) バーナンキのインフレ容認・促進政策について批判しているHossein Askari and Noureddine Kricheneの論説には中身がありそうです。
新興諸国の需要増を非難するバーナンキは、インフレが貨幣の追加供給によってしか発生せず、新興諸国の通貨は国際的に流通しないし、概ね黒字国であることを忘れている。そして、アメリカや日本こそ、高価格の石油を自分たちの通貨を追加に発行することで、輸入し続けることができる、というのです。
バーナンキは、アメリカの財政赤字やイラク戦争、金価格、住宅価格、石油価格、食糧価格、など、内外にドルを供給し続けて、ドル安と低金利を容認し続けています。これは、ドルの過剰供給による世界的なインフレ政策です。
しかし、Mark Gertlerは、あわてて金融引き締めに走るな、と主張しています。なぜなら、コア・インフレーションは抑制されたままであり、石油や食糧価格の上昇は必ずしも持続するものではないからです。もし金融引き締めを必要とするとしたら、それは生産規模の実質的な拡大を遂げてきた新興諸国でしょう。
他方、日本の1990年代が教えているように、金融システムが脆弱な状況では、インフレを抑制する過程が複雑で、しかも慎重さを要することに、Mark Gertlerは注目します。
FT July 24 2008
Sarkozy is right to call for an end to secrecy
By Francesco Giavazzi and Charles Wyplosz
FT July 27 2008
Sarkozy has to take a more subtle approach
By Wolfgang Münchau
The Japan Times: Tuesday, July 29, 2008
Credit Sarkozy for working to revive a club
By CHRIS PATTEN
FT July 30 2008
Reforms that would help euro punch its weight
By Benjamin Cohen and Paola Subacchi
(コメント) ECBとユーロ圏のあり方について、サルコジの批判が興味深い応援を得ています。FTの記事(Ben Hall in Paris and Ralph Atkins, “Sarkozy in drive to hold ECB to account,” FT July 20 2008)によれば、サルコジ大統領がECBに対して、ユーロ圏の財務閣僚会議として説明を求め、望ましい金融政策についての合意と協力関係を築くべきだ、と主張しました。ECBの物価安定性重視に対して、フランスなどは常に反感を持ち、財政安定協定について見直す際に、金融政策の枠組みが再論され恥じたわけです。
インフレ目標や政治からの独立性を何よりも尊重するなら、こうしたサルコジの発言は「トロイの木馬」でしかありません。しかし、Francesco Giavazzi and Charles Wyploszは、中銀の「独立性」を「説明責任」よりも重視することに反対します。
中央銀行も、重要な公的機能を担う官僚制度の一つに過ぎません。彼らは選挙されたわけでもなく、専門的な知識によって、金融政策の変更を判断します。政治圧力からの独立性は、中央銀行に不可欠ですが、同時に、民主主義が機能するためには、あらゆる官僚制度が説明責任を果たさなければなりません。
また、サルコジが求めるように、議事録を公開し、もっと頻繁に話し合いの場を設けることを論説は支持しています。これは独立性を損なうものではなく、むしろ、市場に情報を与えて金融政策の透明性を高めることになるでしょう。それは金融政策が効果的であるために重要な条件です。
Wolfgang Münchauは、サルコジの攻撃を批判します。そのようなECB攻撃は成功しないし、好ましくないだろう。むしろ、コミュニケーションの弱点を突くべきだ、と。議事録は、個人名を伏せるのが良い。そして、サルコジのECB批判は無視すること。あるいは、地中海クラブについてのCHRIS PATTENの指摘も、厳しい批判を含みます。
しかし、同時に、EUの改革を進めるサルコジの発言は重要な論点やアイデアを含んでいるようです。特に、Benjamin Cohen and Paola Subacchiも、サルコジの発言を取り上げています。世界の金融システムを改善するためには、ドルと並んで(そして、代わって)ユーロが重要な役割を果たす局面も出てくるでしょう。そのためにも、ユーロ圏の発言を統一しなければなりません。ユーロ圏の共通政策を示し、その政治的な合意を確保することで、ガバナンスが確立されるからです。
彼らはそのための制度改革モデルを三つ示しています。1.ユーロ圏の金融(そして財政)政策がどのように決定されるのか、議事録を公表して透明性を高めること。これによって、特定の国の利益を取引するような行動を牽制できる。2.ECB内に執行部を設けるように、ユーロ圏諸国の中から少数の国で執行部を設けて、EMU諸国から意見聴取した上で、統一見解を示し、政策を実行する。3.ユーロ圏内で、ウェイトを付けた投票制度を導入する。そして小国の主権には特別な配慮を示す。
こうした論争を読むと、ECBの総裁が、他国のような通貨主権を代表していないこと、が問題だと思いました。アメリカでも日本でも、金融政策を決める中央銀行の立場は、それが通貨と国家との同一視によって、政治的に自動的に保証されています。ところが、ユーロはそうではない。ユーロ圏内の政治的な不協和音は、直ちにECBの金融政策に対する不満を生じます。
ガバナンスを確立するとは、この不満を制度的にうまく吸収する、あるいは、個々の加盟国の不満をユーロの国際的な役割から切り離す、そのような制度を確立する(加盟諸国がそれを承認し、信頼する)ことを意味します。国家を超えたユーロの実験は、まだ半ばにも達していなかった、と感じるわけです。
また、ガバナンスを確立できているはずの日銀が、バブルの発生やその処理において、また国際通貨制度における発言において、これほど小さな役割しか果たしていないことは、ガバナンスをめぐる別の考察が必要なのでしょう。
The New Yorker, July 28, 2008
by Evan Osnos
(コメント) 中国のネオコンやアルカイダが、ネットの世界で繁殖しているとしても、いまさら誰も驚くことではないようです。
音楽と照明で盛り上げられた画面に登場するのは毛沢東であり、彼の与えた警鐘が強調されます。「帝国主義は、われわれを滅ぼす意図を放棄することなど決してないのだ。」それに続いて、株価暴落の映像。インフレに苦しむ庶民が「豚もぜいたく品になってしまった」と嘆く。世界通貨戦争の始まりだ。アメリカの金融破たんでその借金を支払うのは中国人だ。
・・・9・11の陰謀説が欧米を席巻している現象にも驚きますが、中国インターネット世界の変貌も、それに負けない勢いでナショナリズムや愛国主義、陰謀中心の世界観を蔓延させているのです。・・・さらに映像は続いて、チベットの「平和的な抗議」という暴動、それをめぐる西側メディアの「中国包囲網」。これは、新しい冷戦だ! 外国のジャーナリストたちは、すでにウェブ世界で、多くの脅迫や襲撃予告を受けています。
インターネットの発達は、情報世界の様相を一変させて、個人が直接に情報を得ることで国家による操作を排除し、ナショナリズムは消滅する、という予想もあったのですが、中国ではそうではない。あるいは、ネットの書き込みから無差別殺人へ向かう日本でも、テロ映像や政治家を中傷する映像の蔓延する欧米でも、むしろ、逆ではないか? 極端なもの、刺激的なものへの関心が政治を加速します。
記事は、この謎のビデオの制作者をたどって、彼がそこに属し、中国のエリートを育てる有名大学の様子を紹介しています。彼や友人たちは、西洋の政治哲学を学ぶ大学院生で、西側メディアに失望し、YouTubeに中国を支持する映像がないことに憤慨しました。また、中国政府のメディア規制や思想統制にも反対します。国民が望む保守主義のはけ口を表現した、ということでしょう。
Gabor Steingart Obama's Romantic Revolution SPIEGEL ONLINE 07/25/2008
DAVID BROOKS Playing Innocent Abroad NYT July 25, 2008
Chrystia Freeland Obama-love could hurt what it cherishes FT July 25 2008
John R. Bolton One world? Obama's on a different planet LAT July 26, 2008
Walter Russell Mead Obama the irony man LAT July 27, 2008
Jeremy Seabrook Obama and the illusion of leadership The Guardian, Sunday July 27 2008
Jeff Jacoby Missing from that Berlin speech BG July 27, 2008
Gregory Rodriguez Ich bin ein Obaman LAT July 28, 2008
ROGER COHEN Bad in Berlin, Perfect in Paris NYT July 28, 2008
James Carroll In Berlin, hope for the fall of other walls BG July 28, 2008
(コメント) オバマによるベルリン訪問と演説は、政治的な計算と芸術的演出の粋を極めたものでした。当然、そうでしょう。それは一面ではポップ・スターのショー・ビジネスです。しかし、多面で、政治家にとって言葉だけでは意味がありません。その行動や、実現したものによって評価されなければなりません。しかしオバマの場合、将来の行動とその結果を予想するしかないでしょう。
オバマの演説は、その理想の高さによって、彼以外のものではあり得ない内容です。世界中の紛争を、イスラエルも、宗教対立も、白人と黒人の間、ヨーロッパ人とアメリカ人との紛争も、オバマは解決したいと述べました。ダルフールのジェノサイドを終わらせ、グローバリゼーションが自由な取引だけでなく、公正な取引であることを求めました。
いずれのメディアでも、このロマンチックな主張に対する慎重な姿勢は当然でしょう。「世界を作りかえる。」「中東の新しい夜明けだ。」・・・ 「壁を壊して、橋を築く」と、オバマは繰り返し主張しました。新しい土地にやって来たアメリカ人の楽天主義は、基本的に変わりません。しかし、ケネディーやレーガンに比べて、オバマの楽観には現実がともないません。
DAVID BROOKSは批判します。It’s just Disney.
グローバリゼーションの中で、指導者に求められるものは何か? そのカリスマ性は何から生じるのか? オバマの人気と、ブラウン首相の不人気は、何を意味するか? とJeremy Seabrookは考えます。指導者はグローバル経済を運営しなければなりません。また、権力とは経済的繁栄や社会正義を実現することです。
しかし、世界経済はおおむね完全な自律性を実現しています。また、オバマが描くのはアメリカが中心となった世界秩序の回復です。
NYT July 25, 2008
NYT July 29, 2008
In Latest Trade Talks, China Emerges as a Player
By STEPHEN CASTLE
BBC 2008/07/29
Poorer nations face talks collapse fall-out
Duncan Bartlett
The Guardian, Tuesday July 29 2008
A new approach to free trade
Kevin Gallagher
(コメント) 貿易自由化交渉は7年を費やして決裂しました。それは多くの予想したことであり、驚きではないけれど、タイミングは最悪でした。世界不況が懸念され、国際商品の価格が上昇して保護主義に向かう傾向がある中で、国際的な自由化は実現しないことを示したからです。
欧米が農産物市場の自由化を拒んだこととともに、新興諸国の反対も重要でした。自分たちの工業製品輸入について関税を引き下げようとはしませんでした。他にも、特定の商品や条件が、全体の合意を妨げました。それは多角交渉によって克服するべき重要な論点でしたが、WTOのメリットは示されなかったわけです。
中国の代表Chen Demingがハーヴァード大学the John F. Kennedy School of Government at Harvardで学んだことは興味深いです。中国は農産物輸入の自由化を遅らせることを求めました。
パスカル・ラミー事務局長が最後の調整を求めたWTOの新しいG7とは、アメリカ、EU,インド、ブラジル、オーストラリア、日本、そして中国でした。世界貿易におけるバランス・オブ・パワーを大きく変えたのは中国です。そして、中国の脅威が、他の新興諸国や発展途上諸国にも、自由化への警戒感を強めました。
農産物は世界貿易の8%でしかない、とBBCの記事は伝えます。グローバリゼーションは保護主義への抵抗力を強めています。しかしWTOが弱まれば、各国は貿易を守るために二国間で、また地域に依拠して、貿易取り決めを求めます。すでに世界には約200の二国間・地域貿易協定があり、10年で400に達すると予想されます。
WTOによる自由化交渉の後退は、二国間・地域の貿易協定に、もっと社会的な目標を加える動きを強めるでしょう。例えば、環境規制や労働条件に関する合意です。オバマはNAFTAの見直しを提唱し、このような傾向をすでに示しています。
STEPHEN CASTLE and MARK LANDLER Hopes of World Trade Deal Collapse NYT July 30, 2008
Raj Patel Muted woe at WTO The Guardian, Wednesday July 30 2008
Timothy Wise and Kevin Gallagher A bad deal all round The Guardian, Wednesday July 30 2008
Jack Thurston Politics beats economics, again The Guardian, Wednesday July 30 2008
'WTO Failure Reflects Changing Global Power Relations' SPIEGEL ONLINE 07/30/2008
Doha's Demise WP Wednesday, July 30, 2008
(コメント) 多角的な自由化が失敗すれば、アメリカやEUと同じように、中国やインドも、世界的な交渉より、二国間の交渉で市場を開放させる方が利益になる、と考えるかもしれません。地域的な貿易ブロックをつなぐ形で、国際的な自由貿易体制が再編できるのか、グローバリゼーションの将来を見なければ分かりません。
多くの利益がもたらされるのに、さまざまな技術的な争点を解決できずに合意を放棄したのは、主要国の政治的な関与・意志が不十分であったからだ、とWTOスタッフは証言しています。日本や欧米諸国がそうであるように、インドや中国は国内の貧しい農村にとって自由化が及ぼす影響を抑制できなければ、合意に参加できないと強く主張しました。これは、ある意味で、政治的に当然の流れでしょう。
アメリカは国内の農業団体から強い自由化圧力(他国への開放要求)を受けています。他方、EUや日本は国内農業部門の保護を続けるつもりです。それは地域内の合意と政治的補助金という制度を、世界的な自由化と共存させる試みを求めています。保護主義は抑えるけれども、国内制度には手をつけない、弱いWTOを望んだ結果だ、と考えることができます。
1999年にシアトルのWTO総会を打倒した民衆の抗議活動は、その後も、貿易自由化に反対してきましたが、今回のドーハ・ラウンド決裂について目立った勝利宣言はありません。なぜか? とRaj Patelは問います。シアトルでは、民衆の声を聞かない国際機関や多国籍企業の利益擁護に終始した主要国政府が非難されました。今回の失敗は、彼らがそれに応えようとしたからではなく、新興諸国が貿易交渉において発言力を強め、欧米諸国と同じように利益を追求したからです。世界の貧しい民衆や労働者の声を聞く姿勢が欠けているのも同じです。
WPの論説は、貿易自由化交渉を破壊することで、中国は自分たちが拒否権を持っていることを示したのであり、WTOに加盟させることで国際的なルールに従わせる、と中国の参加を支持した者たち(クリントン政権や知識人たち)は間違っていた、と批判します。
KEITH BRADSHER Trade Talks Broke Down Over Chinese Shift on Food NYT July 31, 2008
Multilateralism not dead as a Doha FT July 30 2008
DANIEL IKENSON Greasing the World Economy Without Doha WSJ July 30, 2008
Philip Stephens Blindfolds that wrecked a deal to boost global trade FT July 31 2008
STEPHEN CASTLE and KEITH BRADSHER China痴 Shift on Food Was Key to Trade Impasse NYT July 31, 2008
The End of Free Trade? WSJ July 31, 2008
(コメント) 中国の自由貿易に対する強い支持を変えさせたのは、最近の食糧安全保障に対する不安であった、とKEITH BRADSHERは指摘します。
FTは、ドーハが失敗するのはこの3年の失望によって予想できたから、むしろWTOの有用さを救出する方が重要だ、と考えます。交渉が不調で、期限を延長すればするほど、1990年代の世界貿易を反映した多角交渉の条件・枠組みが根拠を失い続けました。その意味では、今後、もっと迅速な合意形成が求められます。
今できることとしては、すでにさまざまな差別的貿易取り決めが増えていますが、既存のルールを利用してWTOはこうした協定を告発するべきです。そして、アメリカは嫌うけれど、WTOの紛争処理メカニズムを充実させることです。さらにFTは、少数の関係国が集まって、有益なルールを決めることも重視します。
DANIEL IKENSONは、関税率の引き下げも重要だが、世界貿易量を増やす方が重要であり、そのためには、ほかにも多くの改革が必要である、という点を強調します。WSJの論説は、世界経済の拡大には、通貨価値の安定、成長促進政策、自由貿易について、世界的な指導力を発揮することが重要だ、と主張します。
NYTの記事は、穀物の価格上昇でも、大豆や綿花の価格上昇でもなく、中国の参加が自由化交渉を頓挫させた事情を述べています。交渉はあまりにも複雑で、ラミー事務総長にも仲介できなくなったわけです。アメリカとEUの対立だけでなく、中国の事情とインドの事情は異なります。ブラジルの関心も異なります。貧しい発展途上諸国は、自由貿易が自分たちを豊かにするのか確信を持てません。
第二次世界大戦後の国際秩序がそうであったように、工業製品の自由化は合意しても、農産物について、また、自由化の過程やスピードについては、国によって異なった扱いを必要とするのです。
BG July 25, 2008
Risks and rewards in Russia's resurgence
By Alexandros Petersen
(コメント) 東ヨーロッパにミサイル防衛網を築くことに反対するロシアは、空軍をキューバに送ったようです。新しい冷戦の始まりか、とアメリカの危機意識を高めます。
グルジアやウクライナにNATOを拡大することにもロシアは反対ですし、ジンバブエやスーダンに安保理が制裁を行い、国連軍を送ることにもロシアは反対です。市場改革の混乱と破たん国家寸前のロシアが復活したことを喜んでいたはずが、この対立を考えれば、あのままでよかったのか? しかし、もし欧米の政策と一致する点があれば、イラン、北朝鮮、国際テロ、温暖化、エネルギー、などで多くの成果を期待できます。
Asia Times Online, Jul 26, 2008
Seoul has desert island dreams
By Donald Kirk
(コメント) 日本政府が竹島を日本領土であると教科書に記載させたのは、以前から官僚制度の中で、変更箇所の見直しがあったからでしょう。日本の政治情勢や保守主義の扱いが重要であったのかな、と思います。他方で、韓国政府はアメリカからの牛肉輸入問題で国民の反発を買い、その信頼を大きく損なっていました。アメリカ政府は、むしろ北朝鮮との交渉を急ぎ、冷却塔の爆破など、政治的なショーを演出していたときです。韓国と北朝鮮、アメリカ、日本、という関係が、竹島問題で再びねじりを加え、南北朝鮮の協力する話題に転じたことを感じて、これは日本の韓国政府に対する支援操作であったのか、などと私は疑いました。しかし、韓国人観光客を殺害した事件は、ますます南北関係を悪化させているようです。
記事は、韓国政府の八方ふさがりを描いています。朝鮮半島の情勢が、いつか、劇的に変化する瞬間を、私は今も待っています。
The Japan Times: Saturday, July 26, 2008
What is the greenback's sustainable value?
By MARTIN FELDSTEIN
(コメント) ドル暴落は起きるのか? ドルの望ましい水準はどこか? MARTIN FELDSTEINにも、わかりません。
アメリカの旅行者に聞けば、ドルは安くなっています。しかし、7000億ドルの貿易赤字は、資本移動(すなわち、証券の輸出)によって均衡しています。経常収支がいつまでも赤字のままで良いとは思えません。ドル安は続きます。資本移動が続いても、長期均衡を回復するようなドルの水準が問題です。
将来の石油価格は、アメリカの赤字を変化させます。また、アメリカと主要な貿易相手国とのインフレ格差も重要です。ユーロ圏とはほとんど差がないけれど、人民元のインフレ率よりはかなり低いのです。アメリカと中国の貿易不均衡は、人民元の増価がなくても、このインフレ率の差によって解消するはずです。
いずれの変数も、他の変化によって影響されますから、ドルの水準だけを決めるというのは難しいでしょう。
NYT July 27, 2008
Can Hank Paulson Defuse This Crisis?
By STEVEN R. WEISMAN and JENNY ANDERSON
(コメント) もしヘンリー・ポールソンが2006年にゴールドマン・サックスを辞めて財務長官にならなかったら、今も、ウォール街の名士として世界中を会社のジェット機で回っていたでしょう。
共和党員で、自由市場のイデオロギーを信じるけれど、財務長官として金融市場のトラブルがあれば真っ先にこれを処理・監督する。アメリカ政府内にポールソンという人物がいたことに感謝したくなる記事です。
NYT July 27, 2008
A Modest Proposal: Eco-Friendly Stimulus
By ALAN S. BLINDER
FT July 29 2008
The world cannot grow its way out of this slowdown
By Kenneth Rogoff
WSJ July 29, 2008
Obamanomics Is a Recipe for Recession
By MICHAEL J. BOSKIN
(コメント) 景気刺激策としてアメリカ政府は戻し税を使って積極的な財政出動を行っている、というニュースを見ながら、それは金持ち優遇ではないか、などと思いました。刺激策というなら、低所得者層への財政支出が効果的でしょう。
ALAN S. BLINDERの示す刺激策は、環境保護に役立つような形で支出されます。例えば、古い自動車の廃棄と下取り価格の上乗せを支援します(a Cash for Clunkers program)。また、そのような自動車を所有しているのは貧しい人々であり、低所得者への所得移転や、景気刺激策に有効です。
Kenneth Rogoffは、世界の過剰な通貨供給に強く反対しています。国際商品の価格上昇はその表れであり、世界の金融引き締めが必要です。特に、世界の通貨供給を支配する主要国の中央銀行が金融システムの監督に失敗し、金融危機や不況を恐れて救済や金融緩和で対応し続けていることを批判します。たとえグローバリゼーションが賃金を抑制しているとしても、基本的な商品の価格上昇は必ず賃金にも波及します。金融機関は個別に清算しなければなりません。
他方、共和党寄りのMICHAEL J. BOSKINは、オバマの経済政策とその思想Obamanomicsを厳しく批判します。すなわち、法人税の芸界税率を引き上げ、石油会社の利益に追徴課税し、NAFTAを勝手に改訂し、社会保険制度を変えてしまう。歴史的に見て、大恐慌を悪化させた政策に似ている、と。
FT July 27 2008
Brown must revisit his social democratic roots
By Vernon Bogdanor
(コメント) ニュー・レイバーの誕生を指導したゴードン・ブラウンが、資本主義的なグローバリゼーションの機能不全に対して、再び、社会民主主義の復活を指導しなければならない、と主張しています。100年前には、ロイド・ジョージがやったように。
WP Monday, July 28, 2008
Unfinished Business at Freddie and Fannie
By Lawrence Summers
NYT July 28, 2008
Another Temporary Fix
By PAUL KRUGMAN
(コメント) 二人の説明を読んでも釈然としません。ファニーメイとフレディーマックとを非常時に救済する法律を作ったことで、システム危機を免れなした。しかし、金融システムの改革はまだこの先の問題だ、ということです。
Jonathan Weil Freddie, Fannie `Fair Values' Hardly Look Fair July 28 (Bloomberg)
Jean-François Lepetit, Etienne Boris and Didier Marteau How to arrive at fair value during a crisis FT July 28 2008
Thomas Palley Don't blame Fannie and Freddie The Guardian, Tuesday July 29 2008
There is no magic cure for mortgages FT July 29 2008
Chuck Turner and Merelice Fighting the foreclosure crisis BG July 29, 2008
Caroline Baum Fannie Mae, Freddie Mac Live to Die Another Day July 30 (Bloomberg)
(コメント) イギリスの住宅市場についても、さまざまな救済策はあっても、市場を損なうだけで効果は限られている、とFTは考えます。要するに、失敗した投資を政府が救済しても、長期的には良いことなど何もない、と。
他方、貧しい人々が住宅から追い出される(特には、自殺する)ことを防ぐ方法、住宅価格や資産が適正に評価される方法(会計基準の改善)、などは今も模索されています。
The Guardian, Thursday July 31 2008
Zimbabwe's zero hour has been tried before
Mark Tran
The Guardian, Thursday July 31 2008
Zimbabwe issues new currency to tackle inflation
Larry Elliott
(コメント) ジンバブエの中央銀行は、100億ジンバブエ・ドルを1ジンバブエ・ドルに転換しました。それでもパンを変えない、と記事は紹介します。
いくらゼロの数を変えても、ハイパー・インフレーションは止まりません。ドイツで1920年代に起きたハイパー・インフレーションを止めたのは、新しい通貨連テンマルクの価値を補償するアメリカの金Goldでした。1924年、アメリカの銀行家ドーズが示した改革案によって、ドイツの賠償金は現実的な額に減らされ、アメリカは2億ドルの融資を行います。
史上最悪のケースは1990年代のユーゴスラビアとして紹介されています。内戦と分裂に至る時期、インフレ率は1993年に時間当たりで2%、価格は2日で倍になりました。ガソリンが不足して、人々は自動車に乗るのをあきらめ、バスも一部しか運行できませんでした。そのバスがあまりにも満員なので、車掌は運賃を集められなかったそうです。1993年10月1日から1995年1月24日まで、物価は5に15個のゼロを付けた%で上昇しました。結局、1994年、ドイツ・マルクに1対1で固定します。
WP Thursday, July 31, 2008
New Premises in Iraq
By Henry A. Kissinger
(コメント) イラク情勢が安定化の兆しを見せたことについて、保守派の主張が回復する手がかりをつかんだわけです。まず、増派は正しかった。そして、オバマなどの、期限付き米兵撤退論は間違っている。そして、中東世界の秩序回復は可能だ。
まずイラク国内情勢を安定化し、新しい国内秩序を近隣諸国にも承認させ、安保理の常任理事諸国がそれを認め、それに反する介入や妨害行為を排除する、という手順です。
キッシンジャーが国務長官であったのは、1973年から1977年まででしかないことに驚きました。
YaleGlobal, 31 July 2008
Revisiting the “Axis of Evil” – Part II
Scott Snyder
(コメント) 北朝鮮は、およそ20年間も、アメリカの外交政策を制約してきましたが、国際秩序を破壊する危険性はどれほどあるのでしょうか? その打開策はどこにあるのでしょうか?
Scott Snyderのアメリカ外交に関する要約は、何一つ目新しい外交戦略を示すこともなく、原則を主張しています。私はこれを読みながら、ブッシュ政権が金大中大統領の太陽政策を破壊したことが、アジアにとって冷戦時代をおよそ20年間は延長したのだな、と感じました。その間に、中国の離陸は完成し、日本はアジアの政治経済秩序に関する発言権を失ったわけです。
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The Economist July 19th 2008
Twin twisters
The International Criminal Court: Justice or expediency in Sudan?
Wind Power: Turbine time
World trade: Defrosting Doha
Economics focus: Land of the rising price
(コメント) ファニーメイとフレディーマックの支える天井が落ちてくる悪夢に、金融関係者は眠れないようです。いったん国有化し、資産=住宅価格をできるだけ維持して、緩やかに破産処理し、時期を見て、できるだけ市場価格が回復してから分割して民間部門に売却しよう、というシナリオでしょうか? いつでも、どの国でも試みたことです。成功する見込みは?
国際刑事裁判所を利用して、テロリストや独裁者に圧力をかけ、政治的な和解を促す。大国による軍事介入もありうる、という圧力。国際法というのは、そのようにしか機能しません。
風力発電の話は面白く、ドーハ・ラウンドの話はアメリカ国内政治と国際的な政治取引という迷路です。日本経済に、ようやく、待望のインフレが始まった、と喜ぶべきか、生活費の高騰や不況を恐れるべきか? 債務処理には有利、金利引き上げにも有利、貯蓄の活用に向かうかもしれない。しかし、望ましインフレではなく、生活水準を低下させる。