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IPEの風 8/4/08

財政再建の見通しや、官僚制度へのチェックも重要でしょう。しかし、国会は制度やルールを作り、変えるところです。

甲子園の高校野球が始まった上に、北京オリンピックでは選手村に世界中から選手たちが続々と集まっている、というときに、福田首相は内閣改造を発表しました。メディアや国民の関心が集まらない、というだけでも、内閣改造は時期を誤ったように思います。むしろサミットの直後に、予想外の形で行えば、もっと内外で注目されたでしょう。

漫画家の赤塚富士夫氏が死去したことの方がむしろ国民の関心を集めたようです。内閣改造で、世界の重要問題に日本政府が重要な発言をする、という期待もないでしょう。私が見る主要な英字紙のコラムに、日本の内閣改造について述べたものは一つもありません。

何のための改造か、福田首相の意図が見えません。衆議院の解散と選挙を行うためである、ということですが、そうであれば、もっと重要政策の方針を示してほしいです。そして、それにふさわしい閣僚を指名することでしょう。安倍首相の辞任(構造改革=愛国的内外再編の放棄)から、福田首相が取り組んだ、あるいは取り組むことを求められた重要問題は、確かにありました。思いつくだけでも、

・財政再建の基本として、道路建設と公共工事の見直し

・派遣労働者の権利強化、正規雇用と比べて公平な扱い、基本的人権としての生活権

・所得格差・地域格差・教育格差の是正、社会的弱者へのセーフティー・ネット

・高齢化にともなう年金・医療制度の見直し、社会保険庁、支払記録の紛失

・石油・食糧価格高騰、漁業、運送業、酪農業、など不況業種への対応

・地球温暖化対策、排出権取引、京都議定書後の国際的枠組み

・インド洋における自衛隊の給油活動、テロ対策特別措置法と参議院の与野党逆転

・北朝鮮拉致問題と非核化、6カ国協議

・世界の完全な核兵器廃絶、核拡散防止体制やIAEAの改革

・中国製の食品や工業製品に関する安全基準の合意

・中国、韓国、ロシアとの領土問題解決、海洋・大陸棚の資源開発

・ドーハ・ラウンド破綻後の東アジア貿易・投資自由化

・アメリカの新大統領の外交政策と日本の立場、対米関係の調整

・金融市場・金融システム・金融政策・円の積極的な改革と戦略

・将来に向けた戦略的な先端産業分野の開拓、雇用拡大

・若者の積極的な社会貢献や革新的取り組みの奨励

たとえば、これらの課題から各政党は三つの重要課題を選んで、その解決策を示してほしいです。なぜその三つが重要なのか、どのように解決するのか、各政党はパンフレットを作成し、党首会談を何度も行い、各政党の幹部がメディアにおける公開質疑に応じることです。

こうしたパンフレットを作成し、論争する過程と政策の実行が重視されるなら、選挙結果を受けて、日本の政党システムは今後も再編されるでしょう。メディアや財界、市民団体は、それを要求することです。社会党が消滅したように、次は、自民党が消滅するときだと思いませんか?

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かつて(今も?)女性解放運動は、家事労働に賃金を、と要求しました。あるいは、奴隷には賃金を支払わないのです。

・・・奴隷貿易や奴隷の市場にも、コスト計算が成り立っていた、と聞きました。・・・たとえ「自由」な労働者であっても、しばしば、賃金奴隷、と言われます。・・・農奴が土地から解放されて、都市の職場に移動するとき、労働者が誕生します。・・・子供は家を出て自活すると、一人前、と言われるのです。・・・有機的な統合から、機能的な統合へ、私たちの社会は変化しました。・・・なぜドルで支払うのか? なぜドルを受け取るのか? いつまでドルで投資し、保有するのか?

(政治)経済学には、こうした表現が点在します。宇宙人が地球に来て「貨幣」を発見するとしたら(そんなもの、を発見できないかもしれませんが)、これを「経済学の第一法則」と呼ぶでしょう。

なぜ、人と人との関係を「貨幣」で媒介するのでしょうか? 「貨幣」を用いることで、私たちは何に合意し、何を省略するのでしょうか?

今も、一般に、家族の所得は共有されています。それは狩猟採取社会のように、概ね、成人男性が家族の外から持ち込み、家族の成員に分配します。誰が家族の外に出て働くべきか、その獲得できる報酬を比較して、家族はもっとも有利な成員を派遣するでしょう。他方、所得の分配や消費においても、家族全体が長期的に生存できることを重視して決めるわけです。

私は市場の成立過程や効率性を問題にしているのではありません。面白いと思うのは、家族の中でどのように分配するかを決め、市場(の機会)は誰が外で働くのかを決める、という点です。家族内の分配原理が、家父長制であれ、合議制であれ、それに従うものを成員とみなし、彼らの生活を支配します。なぜなら、彼らが利用できる所得の総量と消費の仕方について、何かが求められる(コンディショナリティー)でしょうから。

家族と国家とを、安易に比較してはいけないと思いますが、ある国の貨幣が「国内の分業構造や生産性の構造」を前提に「国際分業」を決めるのは、共通した市場原理を示しています。国内の分配や投資の配分に従わないものも、世界市場の条件次第ですが、その国から外へ出て行きます。政治的な分配構造と、市場による所得の増大とが、「貨幣」によって、ある社会変化をもたらしているわけです。予め決まっているわけではなく。

規制緩和や市場自由化によって、ここには社会など存在しない、政府の役割は市場の自由な動きを保証するだけだ、ということになれば、独自の貨幣を持つ理由は、インフレ抑制にも互いに競争することが望ましいから、といった話になります。本当にインフレが克服できたら、あるいは、自分たちの通貨ではインフレを克服するのが難しいと思えば、それを廃止して、もっと優れた通貨圏に参加します。

私たちの社会は、歴史を見れば、この累積した貨幣による計算を、経済恐慌やハイパー・インフレーション、戦争による破壊・接収、占領と命令によって、一期に解体・解消・変形します。

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