今週のReview
3/10-3/15
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世界の英字紙HPからコラムを要約・紹介します.著作権は,それぞれ,元の著作権に従います.
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NAFTA, 食品の安全と自給率, 中国, バーナンキ, 日本への失望, ヒラリー復活?
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ただしFT:Financial Times, NYT:New York Times, WP:Washington Post, LAT:Los Angeles Times, BG:Boston Globe, IHT:International Herald Tribune, CSM:Christian Science Monitor
FT February 25 2008
Globalisation ‘a blessing’ for west Europe
By Chris Giles in London
FT March 2 2008
Europe loses when it legitimises low wages
By Wanja Lundby-Wedin and John Monks(president and general secretary of the European Trade Union Confederation)
(コメント) EUの経済諮問委員会The European Economic Advisory Groupがグローバリゼーションは雇用を減らすのではなく,むしろ全体として増やす効果がある,と結論しました.確かに,ある種の職場は雇用を失いますが,全体として,雇用が生まれるのを妨げている労働市場の硬直性を取り除く上で効果的であるから,という理由です.
問題は,グローバリゼーションの利益が均等に分配されないことです.豊かな高度熟練労働者は利益を受け,貧しい低熟練労働者は海外生産や移民労働者と競争して損失を強いられるでしょう.だから,所得分配も不平等化します.
対策としては,ドイツのような,最低賃金の引き上げを批判します.それは国際競争に面した部門の雇用を減らし,失業手当を増やして失業のまま留まる動機となります.むしろ再訓練や,雇用の再配置による賃金低下を補償する仕組みを支持します.
ヨーロッパ労働組合連合のWanja Lundby-Wedin and John Monksが書いた論説は,EUの労働市場統合が,法廷による判決を介して,既存の労働協議による合意形成を解体させることを危惧しています.スウェーデンの建設現場で,労働協約の外からラトビア人の労働者を雇うことは許されるのか,EUの法律は最低賃金を認めましたが,労働協約による制限を認めませんでした.
ヨーロッパ,特にスウェーデン弥デンマークの社会民主主義,「社会的市場」モデル,グローバリゼーションにおける「フレクスキュリティー」の模索は,これによって否定されてしまいます.政府は自国の労働者を守ることと,EU統合によって労働者の移動性を促し,労働市場を改善することとの対立に,社会的なバランスを求められます.同一労働同一賃金は,人種差別的な外国人排斥や,保護主義へ向かう反発を強めてしまいます.
企業はEU内のどこにおいても自由にサービスを提供する権利を持ち,労働者たちは同一労働同一賃金の権利を持ちます.この二つを労働市場の競争と最低賃金だけでその実現を図るなら,これまでの労働協約は失われてしまいます.ヨーロッパ法廷は,もう一つの原理として労働協約を認め,社会的なバランスを示すべきです.
FT February 28 2008
The pressure on UK living standards
By Samuel Brittan
(コメント) ここではイングランド銀行が言及したという「イギリスの人の生活水準が低下する可能性」を考察しています.その主要な理由は,食糧やエネルギー価格の高騰,もしくは,イギリスの交易条件悪化です.
メルヴィン・キング総裁の話は,他にも,ポンド安と輸出の拡大,そのためにも資源の弾力的な再配置,が言及されたようです.失業率は若干上昇し,また,貯蓄率も上昇する(消費は減る)と考えます.イギリスは世界経済の5%でしかなく,中国はすでに7.2%のインフレを経験しています.それゆえ,イギリスが生活水準を高めるかどうかは,やはりアメリカのバーナンキにかかっているようです.
Catherine Belton Anointed enigma: The quiet rise of a dedicated Dmitry Medvedev FT February 28 2008
メドヴェージェフとは誰か? その人物について.
Frederick Kempe Russia's Medvedev Deserves Handshake, Nosehold Feb. 29 (Bloomberg)
VICTOR EROFEYEV Russia痴 Last Hope NYT February 29, 2008
ロシアの権力がともなう邪悪さを拒むことなく,プーチンの功績をたたえ,メドヴェージェフへの期待を表しています.しかし,その叙述は平静で,真実を衝いているように思います.
メドヴェージェフは,フルシチョフなのか,あるいはゴルバチョフなのか? スターリンは死んだけれど,プーチンは生きている.
An electoral sham that shames Russia FT February 29 2008
Benjamin Bidder Russian Money Wins the Battle for Grozny SPIEGEL ONLINE - February 29, 2008
チェチェンの首都グロズニーから,ロシア大統領選挙の暗黒面を伝えます.チェチェン戦争(1994-96,1999-2000)の外観はなくなっても,ラムザン・カディロフの死と恐怖による支配が続くのです.
空爆を伴ってロシア軍が占領し,その後,プーチンの訪問を機に資金が流れ込み,首都の再建が進みました.ロシア軍に協力した民兵たちは今もチェチェン政府によって保護され,反政府軍は分裂し,弱体化したようです.チェチェンでは,投票によって,政府とプーチンへの忠誠だけが示されます.全体主義,個人崇拝,ミニ・プーチン・ランド.
多くの若者が殺され,多くの若者が国を離れて,失業率と自殺率は高く,出生率は下がって赤ん坊が消えました.コソボの独立が希望である,と老人は語ります.
STEPHEN KOTKIN Now Comes the Tough Part in Russia NYT March 2, 2008
メドヴェージェフの勝利は,プーチンの政治的な作品というより,経済的グローバリゼーションの勝利である.プーチンが高い支持を得ているのは,彼が安定と豊かさ,中産階級への上昇をもたらした,と信じる人が多いからです.ロシアの民主主義は失敗したけれど,資本主義は成功しました.それは,グローバリゼーションの一部であったからです.しかし,中国とロシアの資本主義が成功するグローバリゼーションとは何を意味するのか?
Aslundは,ロシアの成功が,エリツィンによる自由化と私有財産の確立にあった,と主張します.次の課題としてメドヴェージェフが求められるのは,良い統治,政府の改善である.
Anne Applebaum Why Russia Holds 'Elections' WP Monday, March 3, 2008
秘密警察とメディア,主要産業界を支配する権力エリートたちが決めたプーチンの後継者を,わざわざ選挙で肯定しなければならない理由とは何か? 西側が軍事介入する恐れはないだろうが,ロシアの支配者たちは西側の主張がロシア国民に及ぼす影響を恐れているのです.個人に集中する資産への関心,大衆の不満に火が付き,ウクライナのような反政府デモによる政権転覆が起きるかもしれない.それを抑えるには,西側の民主主義的な体裁とその茶番への失望を植え付ける必要があるのです.
同様に,プーチンはナチスとアメリカの民主主義を同様に扱い,ソビエト帝国の郷愁を刺激し,外国の投資家や資産家を批判し,ロシア・ナショナリズムや移民排斥を擁護します.
Take a chance and talk to Medvedev FT March 3 2008
Gideon Rachman Medvedev will not declare cold war FT March 3 2008
Russia's make-believe election BG March 4, 2008
アメリカ政府は,ロシアの民主化や人権を守りながら,共通の利益,たとえば,イスラム過激派との戦い,核拡散の防止,世界経済の安定化,に向けて協力しなければならない.ロシアの新しい指導者が,ロシア国民と共通の利益を支持する代表としてふるまう限り.
Jeffrey Mankoff A chance to mend relations with Russia BG March 4, 2008
ROBERT R. AMSTERDAM Gazprom-ization of EU energy security The Japan Times: Tuesday, March 4, 2008
Putin’s Mini-Me (or Not?) NYT March 4, 2008
GWYNNE DYER Russia is on the right path for Russians The Japan Times: Wednesday, March 5, 2008
ロシア人は全然違う.ロシアの価値観は民主的でも西側でもない.ロシアとの新しい冷戦が起きる.・・・などというロシア異質論が繰り返されますが,それは間違っている.ロシア人が考える民主主義や自由化とはエリツィンの時代であり,その社会的混乱,猛烈なインフレと失業,ギャングの時代です.
More of the same in Russia? The Japan Times: Wednesday, March 5, 2008
NINA L. KHRUSHCHEVA Putin's unwilling executioner? The Japan Times: Wednesday, March 5, 2008
(コメント) 石油価格が上昇し,富の分配をめぐって権力者の介入は正当化される余地が大きい,ということのようです.プーチンの時代が歴史的に評価されるまで,まだ,メドヴェージェフの政治的なスタイルも寿命も分りません.
FT February 28 2008
Democrats’ cheap shots at Nafta
(コメント) 民主党は大統領選挙を通じて,貿易自由化がアメリカの国益を損ない,NAFTAは失敗だった,と主張するようです.次の大統領がNAFTAの見直しを開始するかもしれません.
NAFTAは全体として自由化を進めた良い協定であったが,それを承認する過程で強調されたほど,雇用を増やす効果は明確に示せなかった.この点で反発が強いのは当然だ,とFTは注意します.自由貿易体制の下で,かつてのような完全雇用政策を主張することは問題です.
また,特定の部門で失業者が出た上に,所得分配が急速に悪化したのは,貿易自由化よりも,新しい技術の性格による,と考えます.未来志向のNAFTAをビル・クリントンは選択しましたが,民主党とその支持者たちは,その賭けに負けた,と考えているようです.
WP Saturday, March 1, 2008
Stop Hating on NAFTA
By Carlos M. Gutierrez(U.S. secretary of commerce)
アメリカの商務長官は全く逆です.NAFTAが嫌われていることを憂慮し,もしNAFTAが無くなったら,アメリカ経済だけでなく,農民も,労働者も,コミュニティーも,その利益が大きく損なわれる,と主張します.なぜなら,他の豊かな工業諸国に比べてアメリカ経済は好調であり,アメリカは世界最大の輸出国であるから,それを損なうことは甚大な被害を及ぼすのです.NAFTA崩壊の影響は世界に及び,その供給ラインや情報網が損なわれます.アメリカ経済の不調が保護主義を刺激するとしても,その原因はサブプライム・ローン危機であり,NAFTAではありません.
中米や韓国とFTAを結ぶように,国内市場を閉ざすことより,新しい市場を開放することで対応するべきである,と主張します.
NYT March 2, 2008
Game of Chicken in the Andes
WP Sunday, March 2, 2008
Democrats, Off Course On Trade
By Sebastian Mallaby
BG March 3, 2008
So negative about NAFTA
(コメント) アメリカがコロンビア,ペルー,エクアドル,ボリビアに対する特恵制度を設けたことで,アンデス地域の麻薬栽培と密輸が減っただろう,とNYTは評価します.麻薬戦争を拡大するよりも,彼らに輸出市場と雇用を与えて,麻薬栽培・密輸から撤退させる方が賢明です.
大統領候補者の指名争いまでは,共和党が自由貿易を強く支持し,民主党は移民政策の改革を支持していることが,それぞれ,グローバリゼーションのメリットを生かす優位を示していました.しかし,選挙が近づくと,次第に,共和党は安全保障と排外主義を,民主党はポピュリズムと保護主義を,強調するようになりました.
貿易自由化交渉も,交渉に参加する国が増えれば,それにつれて長引きます.また,簡単な問題だけ先に解決して,あとには難しい問題ばかりが残っています.ヒラリー・クリントンは自由化交渉の「戦略的な一時停止」を唱えました.また,オバマとの討論では,両者ともNAFTAの再交渉を支持しています.
この民主党によるユニラテラリズムは,カナダとメキシコを憤慨させました.冷戦に代ってWTOを攻撃することが民主党の外交や国際秩序に加わったかのようです.また,国内の環境保護のためにキャップ・アンド・トレードを支持する一方で,WTOを無視して,それに伴う貿易の制限や関税を考慮しています.
メキシコや中国への工場移転が急増して脱工業化している,という心配は現実によって否定されました.アメリカの工業生産は増えています.しかし,雇用は新しい技術に応じて減少しています.失業や賃金低下に対する補償は必要ですが,NAFTAを否定することでは解決できません.
FT March 3 2008
Obama’s free-trade credentials top Clinton’s
By Jagdish Bhagwati
(コメント) ヒラリー・クリントンとオバマでは,オバマの方が良いだろう,とBhagwatiは選択します.なぜなら,どちらも自由化交渉やWTOを批判し,保護主義を隠しませんが,その行動には差があるからです.
インタビューへの回答や,選挙のための公約作りに参加した顧問たち,両者が依拠する労働組合の違い,その対策に関して,二人を比較します.オバマの保護主義的なレトリックは大統領として実現することにならず,Bhagwatiは,「自由貿易を支援する新しい貿易アーキテクチャー」を構築するように求めます.
YaleGlobal, 3 March 2008
The Lure of Protectionism in Ohio
Morgan Robinson & Susan Froetschel
FT March 4 2008
Mexico and Canada
The Guardian, March 6, 2008
Much ado about Nafta
Robert Lawrence
LAT March 6, 2008
The real trade questions
By Robert A. Pastor
(コメント) オハイオは旧工業地帯であり,大統領選挙の重要な転換を歴史的に記録した土地のようです.グローバリゼーションへの不満や不況の声は早くから高まり,劣勢にあるヒラリー・クリントンがもち直すのを助けました.
オハイオにおけるテレビ生産の推移は,グローバリゼーションの間違いを示している,と労働者たちは考えます.2000年には21万台であった中国やマレーシアで生産されたカラーテレビの購入量が,2002年には270万台になったそうです.2003年には,外国企業の子会社でないアメリカのテレビ生産者はたった一つだけになりました.
しかし,ショッピング・モールで消費者に変われば,貧しい国から輸入される安価な商品の豊富さに感謝するでしょう.一日わずか数ドルで,長時間働くアジアの労働者たちがこれらを作るのであり,たとえ同情するとしても,同じ条件で彼らに代わってやりたい,とは思わないはずです.
保護主義の主張はオハイオの労働者や家族に不安と期待をもたらすけれど,もし実行されれば破滅的である,と指摘します.プロクター&ギャンブルやホンダのような多国籍企業が支える地域の経済と雇用を損なうでしょう.
アメリカが解決しなければならない問題は多くありますが,それはNAFTAを破棄しても変わりません.近隣諸国との関係を悪化させるだけです.
NYT March 6, 2008
Grand Old Protectionists
By ROBERT E. LIGHTHIZER
(コメント) ジョン・マッケインは自由貿易を支持するのでしょうか? リンカーンからレーガンまで,共和党には保護主義の伝統があります.豊かな中産階級のアメリカを守る,というイメージです.
BG February 29, 2008
A level playing field for cities
By Edward L. Glaeser
(コメント) 近代的生活や経済活動に占める都市の重要さは著しいものです.それ自体が強力な資源の吸収力を示す都市に,それ以上の政策で,育成する必要はありません.しかし,都市間の競争に等しい条件を示すことで,貧困層や環境に与えるコストを減らすことができるでしょう.
WP Friday, February 29, 2008
(コメント) 中国などからの輸入が増えて,アメリカでも食品やおもちゃ,など,安全性が問題になっています.同様の機関the Consumer Product Safety Commissionを介して国民の安全を確保するはずでしたが,それに失敗してパニックになりました.アメリカ政府は迅速に行動し,CPSCの予算を増額して,検査体制や基準を厳格にしました.検査結果や消費者の苦情は速やかに公表され,生産者のデータベースが整備・公表されて,消費者も追跡できます.
それでも,世界中に分散する生産者が国際的に中間財を交換し,加工する時代には,完全な監視体制を築くことは難しいでしょう.
The Japan Times: Monday, March 3, 2008
Boosting self-sufficiency in food
(コメント) 中国からの食糧輸入が食品としての安全性だけでなく,安全保障面でも外国への依存を心配させています.2006年度の日本の食料自給率は,カロリー換算で,39%でした.日本の水準は先進諸国の中では最低であり,例えばドイツは84%です.
自給率を40%以下から60%にまで高めた例として,論説はスイスを紹介しています.自由化と同時に,農業生産を増やすため農家に直接の所得補償を行いました.補償は耕作面積や家畜の数だけでなく,環境の維持や農薬の使用を減らすことも考慮された,と言います.こうした政策や基準を作るために,政治家や専門家,農民だけでなく,国民全体が議論を積み重ねたことを重視しています.食糧ではなく,国民を巻き込んで重要政策を熱心に議論する仕組みこそ,日本にないものです.
Priced Out of the Market NYT March 3, 2008
Consumer Watchdogs NYT March 3, 2008
Making food safe LAT March 4, 2008
(コメント) FAOの報告書は,人口増加や中産階級の増大する消費も原因の一つであるけれど,アメリカなどのバイオ燃料に対する補助金政策こそ,世界の食糧価格を上昇させている主要な原因だ,と指摘しています.そのせいで飢餓に苦しむのは世界の最貧層です.
消費者が商品に対する苦情のデータベースにアクセスできることは,被害の早期警戒と予防,危険な商品を生産した工業や国に対する批判とリコールの圧力,政府の安全管理体制や基準の見直し,を改善するうえで重要だ,と指摘されます.
生産者を基準に従わせるのは,十分な検査体制とリコールの強制力,情報の開示です.
FT February 29 2008
Outside Edge: A tax-free toast to Hong Kong
By Robin Kwong
(コメント) 香港の生き残り戦略として,ワイン取引への課税を撤廃することになりました.香港は,アジアの世界都市として成長していますが,同時に,様々な悩みを抱えています.高齢化,大気汚染,中国の高成長に埋没し,上海との競争に脅かされること.民主主義は10年間凍結です.香港政庁はさまざまな刺激策と介入を試みましたが,ワイン関連の雇用をもたらすポピュリズムである,と指摘しています.
The Guardian, March 1, 2008
Bottom dollar
Sasha Abramsky
Asia Times Online, Mar 4, 2008
Dead dollar sketch
By Chan Akya
The Wall Street Journal, 6 March 2008
It's the Dollar, Stupid
Judy Shelton
Asia Times Online, Mar 7, 2008
Why the dollar is so cheap
By Peter Morici
(コメント) ドル安の背景には何があるのか? Sasha Abramskyは,1970年代のインフレーションと80年代のマネタリズムを振り返って,アメリカが再びマネタリズムを採用するのか,考えます.すなわち,労働組合を潰して,インフレが収まるまで金利を引き上げ続けることです.
現実には,労働組合はすでに消滅しており,インフレを決める力などなく,アメリカ連銀は金利を下げ続けています.むしろ,アメリカが直面しているインフレは二つの側面がある,と考えます.ひとつは世界的なエネルギー・食糧・原材料の価格上昇です.もう一つは,アメリカが国内産業を空洞化して,消費と輸入・経常赤字を拡大してきたことです.
むしろ,金利を緩やかに引き上げながら,貧しい家族や住宅の差し押さえに対して財政的な補償を与える方が良い,と考えます.ほかの国であれば,これほどのインフレと経常赤字があれば,引き締め政策に転換することをIMFが命じたでしょう.しかしアメリカは,世界最大,最強の,ユニラテラリズムの大国です.他国の規範には従いません.
Chan Akyaは,アジア諸国の中央銀行がドルの外貨準備を使ってアメリカを救うことは,ドル外貨準備の新しい振替勘定となって,国際通貨制度の転換を促すかもしれません.ドルに代るものは何か? 金か,SDRか? ユーロか? 中国やインドか?
第二次世界大戦後の世界では,ドルが基軸通貨となって世界の通貨秩序を安定させました.通貨制度の変化は一般市民の生活にも,政治情勢にも,深刻な影響を及ぼします.通貨への政治的介入と国際対立こそ,自由貿易を解体し,大恐慌があれほど激しい形で,しかも世界中に影響を及ぼした背景です.ドル安への不安は,その再現を恐れる気持ちを表します.
オバマ,クリントン,マッケインは,ドルの価値を安定させるために何をするつもりか,答えなければなりません.オバマはポール・ボルカーを尊敬し,マッケインの経済政策顧問ジャック・ケンプはロバート・マンデルを尊敬します.前者は高金利と変動レート,後者は金による資産決済と地域通貨圏,を目指すべきだ,と考えるのではないか,と指摘しています.
ドル安によって不均衡の調整が促されるのか? あるいは,NAFTAの見直し,国際準備としてのドル廃貨,・・・大統領の交代を機に国際秩序が転換する機会も訪れます.
他方,日本,中国,韓国,台湾の外貨準備政策がどう変わるのか? 石油輸出国の政策,その他の国際商品市場はどうするか? ブッシュ=バーナンキの経済管理に不満があれば,人々はドルを売って,ユーロと金を買います.
The Guardian, March 1, 2008
A new-model Nato
John M Shalikashvili
BG March 5, 2008
NATO and the postmodern European generation
By Roger Cohen
The Japan Times: Thursday, March 6, 2008
New times require a new NATO strategy
By HENK VAN DEN BREEMEN, PETER INGE, JACQUES LANXADE, KLAUS NAUMANN, and JOHN M. SHALIKASHVILI
(コメント) NATOは変身を迫られました.冷戦が終結し,ソ連が崩壊しました.EUが拡大し,NATO加盟国も増えました.9・11によってアメリカが変わり,世界の安全保障に対する関心も変わりました.アフガニスタンを攻撃・占領する作戦に欧米が協力しています.
中国やインド,東南アジア,朝鮮半島,台湾海峡,ロシア,米軍基地,・・・ 何かの事件が契機となって戦略的見直しが始まり,その結果,日本と東アジアも大きく変わるのでしょう.その圧力は各地に充満しています.
The Japan Times: Sunday, March 2, 2008
Will 'rebirth' of China level the field?
By FRANK CHING
FT March 3 2008
Brazil’s lesson for China: do not ignore inequality
By Geoff Dyer
FT March 3 2008
Chinese equity supply
Al-Ahram Weekly, 4 March 2008
China Comes to Town
Dena Rashed
(コメント) 2008年8月8日8時8分に開幕する北京オリンピックは,中国の永遠の繁栄を願っています.永遠の階級闘争を唱えた毛沢東が亡くなってから,中国共産党はその政治的使命を模索してきました.そして永遠の繁栄に向けて国民を統一してきたのです.北京オリンピックの開催は,天安門事件で味わった国際的な孤立を挽回し,国際社会に指導的な地位を受け入れさせる威信回復が目的です.
しかし,北京の選手村で食品の安全管理ができない,大気汚染でマスクが手放せない,国内の人権抑圧や近隣地域への政治的干渉,エネルギーをめぐる独裁政府との友好関係,などは,中国の威信を傷つけます.直接投資の受け入れや輸出によって世界中に影響を広めていることと重なって,中国が国際政治のマイナスの焦点となってしまいます.
Geoff Dyerが示す中国とブラジルの比較は非常に面白いです.急速な経済成長が必ずしも繁栄する社会や安定を意味しないことは,ラテンアメリカの歴史が教えています.
確かに高級ショッピング・モールに殺到する中国人の購買意欲を見れば,ブラジルのリオデジャネイロに同じ物が売られても,それはエリート層だけのために防壁内に並べられるでしょう.この激しい貧富の格差や階級の固定化は,国際的な介入の歴史と,支配エリートが牛耳った政府の政策によって築かれたのです.同じことが中国でも生じているかもしれません.
成長の競争的な加速を共産党の主要目標にしたときから,政府は医療や学校に十分な投資をせず,むしろ有料化して,地方の村には医療費の債務で苦しむ農家の子供が学校に通えない事例が増えています.ブラジルのジニ係数は低下し,中国のジニ係数は急増しています.都市には十分な社会的給付や賃金をもらえない出稼ぎ労働者が底辺層を形成し,貧しい人びとは繁栄する中国をテレビで観るだけです.他方,都市の犯罪が増えています.
もちろん,中国政府は新しい社会モデルを模索しています.出稼ぎ労働者たちにも社会保障やまともな暮らしができる賃金水準を保証したいと願う政治家も多いでしょう.しかし,企業は課税を嫌いますし,地方政府はその歳入を競争的な成長のために使おうとします.成長はますます深刻な社会的軋轢を蓄積するのです.
土地や株式の価格高騰で富を得ているのは,もっぱらすでに富を得ている者たちでした.その意味では,中国が金融引き締めを維持し,株価の下落を容認した姿勢は立派です.中国株式市場の「正常化」が議論されています.また政府は,企業による株式発行を増やし,年金やさまざまな投資信託による株式の保有を目指しているようです.
メイド・イン・チャイナの洪水は,すでにアフリカまで覆って,世界市場を変貌させました.エジプトにおいても,中国からの輸入品を買うために行商や担ぎ屋が輸入商の前に集まります.しかし,安価な消費財に比べて,機械や高級財は中国製に圧倒されるわけではありません.また,中国の成功モデルを自国でも真似ようとし始めています.
LAT March 2, 2008
NYT March 2, 2008
How a Bubble Stayed Under the Radar
By ROBERT J. SHILLER
(コメント) バーナンキはジレンマに直面しています.インフレ目標論で金融引き締め強硬派のバーナンキと,不況やデフレを回避するためには,迅速,果敢に金融政策を使え,というヘリコプター=ベンとが対立しているからです.二つの異なる局面が同時に現れたのは,その原因がアメリカ国内ではないからです.インフレも金融逼迫も,国際的な市場統合を介して発生しています.そして,ドルはその相互依存関係と切り離せません.
ROBERT J. SHILLERは,なぜ繰り返しバブルが起きた後でも,専門家たちはそれが起きていることに気付かないのか? と問います.現在のサブプライム・ローン問題や住宅市場の崩壊が金融市場に波及したことは疑念を生じます.元からバブルが発生しない対策はなかったのか?
この点で,情報の伝達と評価の経路に微妙なずれ,ノイズ,が生じると,全体として大きな変更が決定メカニズムの全体に発生する,という説明が工夫されています.不確実で,曖昧な,担当者たちの気分が,動かし難い,明白な,機関の決定となって市場参加者たちを制約しています.情報は不確実・不完全で,意思決定は相互に依存し,公式・非公式に連動します.
では対策は何か? 情報を持ち寄ってタウン・ミーティングを開くことです.
FT March 4 2008
Commodities and inflation
NYT March 5, 2008
Double Bubble Trouble
By STEPHEN S. ROACH
WP Wednesday, March 5, 2008
The Housing Fix
By Robert J. Samuelson
(コメント) 供給のボトルネック,資源産業の整理統合,アジアの需要増加,いずれも最近の商品価格上昇に関する十分な説明にはなりません.それが消費者や企業への課税と同じ働きであれば,バーナンキが目指す不況阻止とインフレ抑制を両立させます.1970年代のような賃金上昇は起きていません.ところが金融緩和による資金がドル建資産から逃れて商品市場に入っているようです.バーナンキが期待するのとは逆に,インフレ高進が迫ります.
STEPHEN S. ROACHは,日本の1990年代と安易に対比して,バブル崩壊後の解決策,不況の回避を強調する連銀や政府の姿勢を批判します.確かに,金利を迅速に引き下げ,大統領と議会が一致して財政的な刺激策を採ったことは,一定のショックを吸収するでしょう.しかし,それで不況が必ず回避されるわけではありません.
2000年のITバブル崩壊に比べて,今回のサブプライム・ローンと金融機関の資産悪化はGDPに占める割合が違います.日本の場合も,土地・株式の価格暴落と金融機関の資産悪化が,日銀と政府による前例ない緩和策にもかかわらず,長期の不況をもたらし,その影響は20年近く経った今も続いています.日本の系列融資や不良債権処理が批判されますが,アメリカの住宅融資や差し押さえも,その処理が容易であるとは言えません.
むしろROACHが強調するのは事後の収拾策です.連銀や議会・政府の政策は,膨張した消費や資産市場に依存して成長と経常収支赤字を継続する状態に回復することを目指しています.循環的な不況ではなく,その過剰な消費に依存する経済を改めるには,ショックの緩和だけでは間違いであり,むしろ貯蓄と輸出促進,国内のインフラに投資することが望ましいでしょう.
ドル安によって輸出を伸ばし,アメリカ以外の国で消費を刺激することです.また,政府は将来の成長を高めるような高速道路や橋,港の整備に投資するべきです.
またRobert J. Samuelsonは,住宅価格の下落を歓迎しています.維持できないような高水準であれば,市場が均衡するまで下落するしか解決の道はないからです.
NYT March 2, 2008
Is a Lean Economy Turning Mean?
By PETER S. GOODMAN
(コメント) アメリカの労働市場と,特にオークランドで,それに巻き込まれた労働者・失業者たちの具体的な発言を紹介しています.政府などが唱える “job training” は役に立たない,と批判しています.
FT March 2 2008
Hillary Clinton gets it sincerely wrong
By Clive Crook
NYT March 4, 2008
Lone Star Liberals Are Back
By MIMI SWARTZ
(コメント) Clive Crookは,ヒラリー・クリントンの敗北した理由を「誠意の欠如」と断言します.ヒラリーは必死に誠意を宣伝しましたが,その場しのぎに過ぎず,それが偽物でしかないことを有権者に知られて,切り捨てられたのです.オバマとの政策の差が小さいのであれば,二人を分けるのは人物の魅力です.有権者に好まれ,聴衆を魅了することができるのは誰か? 彼女が自慢した政治経験や闘いの歴史は,有権者たちが聞きたくもない政治です.
NYTは,e-メールを使った,有権者に対する活発な働きかけを紹介しています.インターネットによる選挙や政治の変貌です.
FT March 2 2008
Why we need a world education bank
By David Manning
(コメント) 世界教育銀行World Education Bankというのは面白い提案です.David Manningは,日本で開催されるG8サミットの議題が,環境とアフリカだけでなく,教育への投資を組織するべきだ,というわけです.それは学校の建設だけでなく,教員の給与や生徒たちの給食にも充てられます.また,貧しい国に限らず,世界中の都市の貧困層にも適用されます.そして,教育投資によって大きな利益を受けるビジネス界からも積極的な投資を導きます.
サミットのテーマが,なぜ環境とアフリカに決まったのか,主催国である日本政府・国民との関係がよく分りません.一つテーマに加えてほしい,と私も思います.それは,高齢化や若者の失業に関する政策の開発・協力です.各国の現状を調査し,公聴会を開き,制度改革や政策提言・改善勧告をしてください.
FT March 2 2008
One way street? As its companies expand abroad, Japan erects new barriers at home
By Michiyo Nakamoto in Tokyo
Asia Times Online, Mar 5, 2008
The 'rape' of Okinawa
By Chalmers Johnson
FT March 5 2008
Asset-heavy Japan
NYT March 6, 2008
Time Is Short for Japan to Name a Central Banker
By MARTIN FACKLER
(コメント) 日本企業が外国投資家によって所有されること,沖縄における少女に対する米兵の暴行事件,日本政府・国民のバランス・シート,日銀総裁の指名に絡む自民党と民主党の政治的駆け引き.
任天堂やファナック,新日鉄が外国投資家や外国企業に買収されるのを政治家が恐れる気持ちはわかります.政治的な介入や規制を行うことが必ず問題であるとは言えません.しかし,なぜ規制するのか,なぜ介入が国民の利益を守るのか,明確に説明して基準を示してほしいです.
日本に欠けているのは,国際的に通用する日本の基準を示すこと,それを誰にでも納得できるような形で説明することです.
米兵による暴行事件の扱いが住民に強い不満を生じ,米軍基地の重要性を政府も国民に十分説明しない,政治家たちは国際金融不安を気にする様子もなく,日銀総裁が政治の不手際で空席になりそうだ,・・・改善できることが多くあるにもかかわらず,日本は十分に変わってこなかったことを悔やみます.
The Japan Times: Monday, March 3, 2008
Keynes and the end of economic history
JEAN-PAUL FITOUSSI
(コメント) ケインズが書いた文章は,その結論よりも,問いかけ自体が重要であることも多い,として,"Economic Possibilities for our Grandchildren"を例に挙げる.「資本主義システムは希少性の問題を終わらせるのか? すると,そのとき資本主義も終わるのか? そのような時代には人々がどのように暮らすと合理的に予想できるか?」
こんな面白い問いを立てることができるだけでも,なるほど,ケインズは偉いと思います.彼の答えは,Yes,でした.少なくとも絶対に必要なものは豊富に存在するから,人々は余暇を過ごすことに多くの工夫や才能を必要とするわけです.その点では,資本主義も必要ありません.
ただし,JEAN-PAUL FITOUSSIはケインズに同意しません.絶対的な必要物は変化するから,すべて豊富に存在する時代は来ないでしょう.ケインズは,一種のエリートによる共産主義を理想とした,と批判しています.
BOB HERBERT The $2 Trillion Nightmare NYT March 4, 2008
Amity Shlaes Stiglitz the Nobelist Gets Math Wrong on Iraq War March 5 (Bloomberg)
(コメント) J.スティグリッツが予想したイラクの財政負担(新著“The Three Trillion Dollar War”),推定で3兆ドルに及ぶ,が話題になっています.否,HERBERTは,十分に話題となっていないことに不満を示したのです.しかも,かつてないことに,ブッシュ大統領はイラク戦争中に減税までしました.
しかし,スティグリッツの拡大された仮想的な推定コストに対する批判もあります.たとえば,石油価格の上昇はイラク戦争によってどれくらい説明できるのか? 戦争せずに,サダムを封じ込めることはできたのか? そのコストは?
What We壇 Like to Hear NYT March 5, 2008
有権者たちは,アメリカの情報の透明性によって,候補者たちのことを詳しく知っている.オバマは公金による選挙を主張していたが,今では選挙資金を最も多く得ている.他方,ヒラリー・クリントンの所得税やその夫が誰の寄付で基金を設立できたのか,また,マッケインがこれまでどのような病歴を持つのか,まだ公開されていない.
民主党の候補者指名争いはまだ続くが,その間,有権者はもっと多くの問題について意見を聞きたいだろう.個人攻撃ではなく,彼らが重要な論点を議論すれば,それは民主党の比較優位になる.
Clinton wins may trigger bitter feud FT March 5 2008
共和党はマッケインに決定して選挙体制を準備できる.民主党はまだ数か月も候補者争いを続けて消耗する.アメリカの大統領選挙は勢いが重視される.それにもかかわらず民主党内部は分裂し,互いの欠陥を連呼する争いに変わった.最終的な決戦は,どちらかが降りれば避けられるが,互いの支持者があきらめそうにない.
Jonathan Freedland There's only one winner from this Democratic battle - the Republicans The Guardian, Thursday March 6 2008
Robert D. Novak Why Clinton Isn't Dead WP Thursday, March 6, 2008
オハイオの勝利はクリントンを救った.オバマは明確に読みを間違えた.
失業に苦しむオハイオでは,NAFTAへの不満が渦巻いていた.クリントンとオバマは互いにNAFTA批判を強めて,ヒラリーの夫がNAFTAを成果の一つにしてきたことや,オバマの経済顧問がカナダの領事館を訪ねたことが話題になった.・・・
民主党幹部たちは,ヒラリーを降ろすことに失敗した.
Michael Gerson Obama's First 100 Days WP Wednesday, March 5, 2008
オバマの外交的な未熟さはクリントン陣営によって厳しく批判されていない.リアリスト的な批判は民主党のリベラリズムが邪魔するからだ.しかし,マッケインなら激しく攻撃するだろう.
オバマ大統領が誕生すれば,最初の100日間で,アメリカの描く国際秩序がどれほど損なわれるか,容易に想像できる.たとえば・・・中東,カストロ,チャベス,NAFTA,イラク,アルカイダ,アメリカのイメージについて!
How to pick a president LAT March 6, 2008
Rosa Brooks It's your call, Hillary LAT March 6, 2008
もしもし,ヒラリー.午前3時の電話にも的確に応えることが大統領の条件です.あなたが自慢したように.そしてヒラリー,応えてください.あなたはマッケインを大統領にしたいのですか? マッケイン大統領は果てしない戦争への情熱を隠しません."Bomb, Bomb, Bomb, Bomb Bomb Iran?"を覚えていますか? 次の戦争を準備したくなければ,今すぐ候補者争いから撤退してください.あなたがオバマを非難してきたように,今やあなたが共和党の回し者です.
Philip Stephens 3am in the White House: McCain takes the call FT March 6 2008
午前3時の電話で非常事態に命令を下すのは,オバマではなくヒラリーが,そして,ヒラリーではなくマッケインが,ふさわしい?
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The Economist February 23rd 2008
Japan’s pain: Why Japan keeps failing
Cuba: The comandante’s last move
Northern Rock: Now make it work
Nationalising Northern Rock: A bank by any other name
Multicultural backtracking: The search for social glue
Global health: The side-effects of doing good
Agriculture: The next green revolution
(コメント) 日本が世界に示した「人を驚くほど失望させる能力」について,それを裏切ることなく示し続けてきた背景について考察しています.高齢化,投資不足,伊藤隆敏らの処方箋,安倍・福田と小沢の迷妄,それらは基準として脇へ置き,むしろ日本的政治家の生態学・文化人類学・社会学・政治学・経済学と,市民の対抗力をもっと知りたいです.
「センタク(選択・洗濯)」を称賛して,有権者が総選挙を求めるべきだ,というのは同感です.
ソ連崩壊後のキューバについて,ノーザンロック国有化,多文化主義の支援ファンド,ビル・ゲイツのマラリア撲滅に対する批判,は興味深いです.
遺伝子組み換え食品(GMフーズ)はまるでパーソナル・コンピューターのように広まり,新しい富裕層と開発競争が過熱しつつあります.マイクロソフトよりモンサントが重要になるかもしれません.今後,どうなるのか,怪物か,緑の革命か,中国やヨーロッパの対応に注目したいです.