IPEの果樹園2007

今週のReview

9/17-9/22

IPEの風

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世界の英字紙HPからコラムを要約・紹介します.著作権は,それぞれ,元の著作権に従います.

******* 感嘆キー・ワード **********************

イラク分割1, 自由民主主義, APEC, 原爆の廃絶, サイバー・ウォー, 中国の逆流, サブプライム・ローン危機, 9・11記念日6年後, 安倍首相辞任

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ただしFTFinancial Times, NYTNew York Times, WPWashington Post, LATLos Angeles Times, BGBoston Globe, IHTInternational Herald Tribune, CSMChristian Science Monitor


YaleGlobal, 6 September 2007

Wars That Defy Categorization

Dilip Hiro

(コメント) 現実を歴史において概念化する力の不足が,ブッシュ氏の思考を狂わせた,と論説は述べています.

「ブッシュが日本やナチス・ドイツを責任ある民主国家に改造したと言及するのは空想である.2003年より前のイラクと違って,1930年代はじめのドイツには民主主義の歴史があった.1933年にヒトラーが政権に就いたのは,クーデタではなく,選挙によってである.

ブッシュの間違った考えは,イラクを侵略,占領してきた英米の前提からくる全体への誤解に由来していた.特に,911の攻撃を1941年の日本による真珠湾攻撃と同一視し,定をヒトラーと,バース党をナチ党の変種とみなした.実際には,サダムはヒトラーよりスターリンに,バース党はナチより共産党に似ていた.」

さらに,ユーゴスラビアの解体と比較するのは間違っており,もしクルド人地区を分離して米軍が他の地区に介入すれば,それはインドとパキスタンの分離以上に大きな犠牲と混乱した歴史をもたらす,と警告します.

インド独立の際にも,一人一票制度では多数を占めることができないとイスラム勢力が反対し,国民会議派は緩やかな連邦制を妥協案として示しました.しかし,イスラム同盟はこれを拒み,分離独立を主張します.その後,独立は地区によってエスニック・クレンジングを生じ,およそ100万人が殺され,1200万人が住居を失って流浪しました.

イラクを分割すれば同じ殺戮と逃避が生じ,安定化のために周辺諸国が侵攻するでしょう.もちろん,911と同様に,イラク戦争を概念化する先例はないが,その正しい材料と比較するべきだ,と.


FT September 6 2007

After the neocons: people will still vote for democracy

By Philip Stephens

(コメント) ブッシュの民主化宣言,世界の自由の守護者である,という自負は砕け散りました.ネオコンたちは,それに協力したブレアも含めて,政治的な島流しに遭っています.もはやアメリカは独裁国家とも手を組み,民主主義や自由を唱えるよりも,人権を無視する支配者がジャーナリストを殺すことにも目をつむって,その方が平和を維持できると考えるのでしょうか?

かつてライス国務長官は主張しました.「アメリカの政策は何十年も世界の他の場所で独裁体制を温存してきたが,それは悲惨な失敗であった.過激派の種を蒔いてしまったのだ.長期的な安定が短期的なご都合主義の犠牲になった.」

それはエジプトへの警告でした.しかし,今やアメリカには時間がありません.イランは地域の覇権を狙い,アメリカはリヤドやカイロにも友人を求めます.クレムリンや北京も大いに自由を楽しんでいます.

Philip Stephensは,アメリカがドイツや日本で成功したのにイラクでは失敗した,と主張します.それはブッシュ大統領が「民主主義」を「選挙」に単純化したからです.民主主義には,それを支える多くの制度が必要でした.特に,「法の支配」が重要です.

ネオコンが放逐されても,アメリカは民主主義の拡大を支持するでしょう.なぜなら,民主主義は人々によって選択された政治体制だからです.たとえ成長する中国や,石油に潤うロシアでも,いずれ中産階級が形成され,彼らは法の支配や政治的発言,自由を求めるはずです.それが「自由民主主義」の基礎となるのです.

Foregn Policy September/October 2007

How Capitalism Is Killing Democracy

By Robert B. Reich

(コメント) 他方,Robert B. Reichはこうした議論を批判します.なぜなら,世界経済はますます政府よりも大企業によって支配されているからです.そして企業に社会的な善意を期待してはいけない,とRobert B. Reichは主張します.

「民主主義は,その最善の状態では,パイの分割方法について,私的な財と公共の財とを支配するルールについて,市民たちの議論を促し,集団として決定することを可能にする.何としても必要であるのは,世界資本主義と世界民主主義とのこの違いを知ることである.一方は経済ゲームであり,他方はルールを決めることである.」

なぜ資本主義はこれほど世界中で勝利しているのに,民主主義は衰退してしまうのか? それは企業が,消費者や投資家に競って支持されるために,莫大な資金を使ってロビー活動,広報活動,買収,業者へのリベートを行い,また,自分を有利にする法律を作らせるからだ,と指摘します.その結果,平均的な市民の声は政治に反映されなくなってしまった,と.

市民たちは,民主主義を介して,この社会にルールや法律を求めなければなりません.労働関係法により,雇用主と労働者の関係を調整します.私たちは,消費者としては望まないようなことも,市民として支持するでしょう.株式の売買にわずかな税金を課すことで,資本の移動は幾分緩やかになり,コミュニティーは投資による将来の姿を考える時間を得ます.年金のためのファンドが収益を減らすと気になるかもしれませんが,市民として自分はそれを支持する,と.なぜなら,それによってグローバリゼーションによる失業への雇用保険や賃金保障,再訓練が行われるのだから.

「民主主義の目的は,我々が個人として達成できないような目的を達成することにある.しかし,企業が政治を自分たちの競争的な地位を改善し,維持するために使ってしまえば,また,企業がその能力も権限もない社会的責任についてまで口出すなら,民主主義はその役目を果たせない.経済成長と,職場の不安や所得格差,気候変動のような社会的問題との間で,民主主義がトレードオフを扱えなくなる.その結果として,消費者と投資家の関心がいつも公共の関心を圧倒する.」

私たち一人一人が,市民として,民主主義を生かす必要がある,と訴えます.


FT September 6 2007

Do not let Detroit derail trade deal

By Bruce Klingner

The Japan Times: Friday, Sept. 7, 2007

APEC's purpose is missing

By GREGORY CLARK

LAT September 8, 2007

Posturing on climate

Sept. 10 (Bloomberg)

APEC Turns Into the Bin Laden, Kim Jong-Il Show

William Pesek

(コメント) 自由貿易圏や開発協力は,もちろん,魔法の杖ではありません.提唱したからと言って,必ずご利益があるわけではないのです.

アメリカの自動車業界と民主党,議会の保護主義勢力は,市場割り当てや労働・環境基準などをすでに,強く反発しています.「アメリカのシンボルは鷲であって,ダチョウではないことを思い出せ」と,Bruce Klingnerは批判します.それは,農民など,韓国の反対派を鼓舞するでしょう.

LATは,シドニーのAPECがまるで環境サミットになってしまったことを批判します.ブッシュ,胡錦涛,ハワードが,それぞれに政治パフォーマンスを見せ,他の問題には触れずに政治ショーを演じたからです.安倍首相の名は見えません.しかし,ハワードの求めに対して,ブッシュはテロとの戦いを宣伝し,胡錦涛は環境問題に責任がある物が応分に支払うように,と丁重に拒みました.以上,合意などなし.

GREGORY CLARKはAPECの由来を質し,その意義をたたえているようです.日本の左派勢力に対抗した小島清氏のアイデアが起源である,とします.問題は,日本がそのエンジンではなくなり,それが中国に変わったことでしょう.

6月末に結ばれた米韓自由貿易協定は,韓国経済を自由化し,その市場アクセスを拡大することで,3年以内に,2国間の94%の貿易が自由化される,ということです.それは中国市場に吸収されてしまうという懸念に対する両国政府の対抗策でした.

William Pesekは,世界のリーダーの一人として目立ちたかったハワードにも,テロとの戦いに支持を得たかったブッシュにも,ともにみじめな会議であった,と考えます.そして,1番目だったのは,ホテルに現れて排除されたビン・ラディンに扮するTVコメディアンであったとか.・・・どこにでもこんな人はいます.

合意できないことばかり目立ったわけです.温暖化防止の合意も,北朝鮮に対する合意も,グローバル・クレジット・クランチへの合意も,・・・・成立していません.市場統合や共通通貨への威勢の良い話はありません.

とりとめのない歓談を政治家の写真撮影会として格好よく利用するだけです.それなら本当は,ハワードでも,ブッシュでも,安倍でも,ノテウでもなく,ここに招かれていないけれど,ビン・ラディンと金正日が来るべきでした.二人よりも他の指導者の方が先に引退しそうです.(実際に!)


LAT September 7, 2007

Rein in loose nukes

The Guardian, September 9, 2007

Undermining peace

Jimmy Carter

(コメント) LATは警告します.「広島型原爆の60倍の核兵器をアメリカ中西部上空に飛ばせたというのは,再び軍縮を話し合う時である.」

「先週,広島型の10倍の破壊力を持つクルーズ・ミサイルを搭載して,B52爆撃機6機がアメリカ中西部上空を飛行した.ノース・カロライナからルイジアナまで.」

1.こうした間違いは今後も起こるだろう.特に,インド,パキスタン,北朝鮮のような,事実上の核保有国で.2.莫大な株の核弾頭が存在することで,統計学的に,その可能性は高まる.3.核兵器を保有してもテロは防げない.間違った安全保障への楽観を与えてしまう.だから,世界全体の核保有を減らす時だ.

北朝鮮とイランの核保有を防ぐために努力が重ねられています.しかし,NPTにおいて核保有を認められた諸国の核兵器削減はどうなったのか? カーター元大統領の意見に日本人の多くは同意するでしょう.

「世界には,アメリカ,ロシア,中国,フランス,イスラエル,イギリス,インド,パキスタン,そしておそらく北朝鮮により,およそ30000個の核兵器が保有されている.その削減交渉は何も進んでいない.冷戦の最中と同じように,誤操作や誤情報により,世界的規模の大殺戮が起きる可能性は今もある.」

また,インドについてブッシュ政権が核保有を受け入れた政策転換を批判します.この点は異論もあるでしょうが.確かに,ブラジルも,エジプトも,サウジアラビアも,日本も,核兵器を保有しようと思えばできるようになった,というわけです.

NPTと核資源供給国NSG(the Nuclear Suppliers Group)そしてIAEAが協力して,核保有国が削減に取り組み,核管理と核廃絶を進める体制を構築するべきです.


NYT September 7, 2007

The New Social Contract

By DAVID BROOKS

(コメント) 社会保障というのは,それぞれの社会に固有の歴史があり,その合意に基づいて支持される社会契約なのだ,と思います.ニュー・ディール以来の社会保障に代って,アメリカも21世紀の新しい社会契約を求めています.それはアメリカ人にとっての合意ですから,ヨーロッパの社会保障を理想としていません.アメリカ人は,より強く,次の価値を主張します.安全,互恵,責任,自立.


WP Friday, September 7, 2007

The Partitioning of Iraq

By Charles Krauthammer

LAT September 8, 2007

The 'surge' is working

By Max Boot

LAT September 8, 2007

Amid civil war, reports mean little

By Steven Simon and Ray Takeyh

FT September 9 2007

Petraeus cannot salvage a debacle

(コメント) Charles Krauthammerは,イラク自身が現実に分割しつつあることを認めることだ,と考えます.イラクが民主的な統一国家として成功してほしいが,それは当面不可能である.そうであれば,住民たちの移住やぶんりが続く過程を安定化して,下からの分離独立を肯定するべきだ,と.

Max Bootも,増派は成功した,と考えます.あるいは,Steven Simon and Ray Takeyhは,内戦状態の国に入って外国の軍隊にできることなど何もない,と報告書の意味を否定します.アメリカ政府の考えている和解や政治的安定と,イラク国内で戦い各党派が考えている和解とは,意味が違うのです.たとえばシーア派は,スンニー派の独裁体制によって負わされた損失や痛みに対する補償,あるいは報復を求めています.

ワシントンで増派がどのように評価されても,イラクはそれ自体の変化を遂げていくのです.党派やエスニシティーを越えたイラクの再建を望む者が多くても,イラクの内戦や無秩序は異なる未来を示しています.

FTも,9・11の6周年により愛国心を強調する効果もあったが,報告書によってアメリカは厳しい現実を直視する時を迎えた,と考えます.しかし,イラク人の死者が数千人から8万人に及んだ水準から減った,と評価するのは間違いです.その理由は,エスニック・クレンジングがかなり進んだから,ということです.アメリカには勝ち目がない.誰もスーパーマンではない.

FT September 10 2007

America’s self-inflicted war wounds

By Gideon Rachman

上院外交委員会におけるぺトレイアス将軍の証言は9・11を記念するホワイトハウスの飾りになってしまった.そうするべきではなかった.これはクズだ.将軍によるイラク復活への苦悩は,単に,イラク侵攻がニューヨークとワシントンを襲ったテロ攻撃に対する狂った反撃であった,ということを示したのすぎない.

9・11から6年がたって,アメリカは再考するべきだ.いまや明らかなように,イラク政策はブッシュ政権の最大の失敗だ.もはやテロ対策がアメリカ外交の中心であってはならない.サダム・フセインはテロ攻撃に参加していないし,アル・カイダとも重要な関係はない.

イラク侵攻でテロ問題はむしろ悪化した.1.アフガニスタンから関心が失われた.2.イラクを破たん国家にし,テロの温床にした.3.アル・カイダにイラクのナショナリストもその仲間にした.4.世界中でアル・カイダの新兵募集が容易になった.5.伝統的なアメリカの同盟国も積極的に協力できなくなった.

アメリカが撤退しても,スンニー派が多数のシーア派を支配することは起きないだろうが,アル・カイダは拡大する.しかし,アメリカ軍の姿が町やTVから消え,反感が弱まるかもしれない.イランの台頭など,従来の地域問題は悪化する危険がある.ブッシュ政権の「テロとの戦い」に代って,伝統的な目標が重視されるだろう.

WP Monday, September 10, 2007; A15

The Bottom-Up Partition

By Jackson Diehl

NYT September 11, 2007

The Road to Partition

By DAVID BROOKS

FT September 11 2007

Iraq needs ‘oil for peace’ deal

By Nick Butler

NYT September 12, 2007

Iraq Through China Lens

By THOMAS L. FRIEDMAN

LAT September 12, 2007

Another $100 billion for Iraq?

FT September 13 2007

Lessons from the rubble of Iraq

By Philip Stephens

(コメント) イラクは,アメリカ政府が望むような統一国家の強化ではなく,アメリカの要請にもかかわらず彼らが最初から望んだような,緩やかな連邦制に向かっている,とJackson Diehlは考えます.統一政府の下で石油利権を分かち合うのではなく,異なる政府,裁判所,軍隊を持つのです.だからぺトレイアス将軍が増派の評価に与えられたアメリカ政府の求める基準と関係なく,イラク人の望む苦しみに満ちた分離を,少しでも円滑に進めるため,協力する方がよいでしょう.

闘争が道義的な問題に及べば,パレスチナとイスラエルが交渉を重ねて合意できないように,紛争には終わりがない.最悪の内戦と殺りくに至る道を閉ざすには,分離させるしかない,とDAVID BROOKSも考えます.

他方,もし各派や関係者に理性的な妥協が可能であれば,Nick Butlerの考えるような石油資源の開発と繁栄に参加する道筋が(内戦や分離より)重要なはずです.世界第3位の石油埋蔵量を持ち,それは戦争が始まる前,1300万バレルを産出すると考えられていました.しかし,200万バレル以下に落ち込んでいます.

イラクの生産低迷は世界の石油価格を上昇させています.マイセンは宗教的な理由があるけれど,石油の富に関する分割争いでもあります.イラクのGDPの6割,政府予算の9割が石油収入です.戦争を勝つには,軍事的な手段だけが重要ではないのです.

中国国内ではイラクのことに関心がない,とTHOMAS L. FRIEDMANが指摘します.イラクのことを知らない,緑に覆われた美しい大連の町でインタビューしながら,イラクのある事件を思い出しています.若者たちが負傷し,数百万ドルの高性能ヘリが旋回する.・・・そして気づくわけです.アメリカの富や才能はイラクで消耗されている.その間に中国のパワーは発展し続けている.

さらに数か月の増派を続けるなら,アメリカはもっと他に次の1000億ドルを支出した方が良い,とPhilip Stephensは考えます.ペトレイアス将軍の報告は,要するに,「イラクはあまりにも重要だからアメリカ軍の駐留が必要だ.それがいつ撤退できるか,それは分らない.」というものです.

アメリカは世界のどこにでも介入する能力を持った,唯一の覇権国です.アメリカがこれ以上に強くあり得ない時期に,アメリカが国際システムを作りました.ルーズベルトやトルーマンは,パワーを指導力に変えることの重要性を知っていた,と.


FT September 7 2007

Threat from cyber warfare lies in the future

By Stephen Fidler

(コメント) 「サイバー・ウォー」と言っても,ゲーム・ソフトのタイトルではありません.

「照明が消え,インターネットが切れた.銀行は閉鎖され,現金自動支払機も動かない.ラジオもテレビも放送が中断され,空港や鉄道の駅にも入れない.街の通りには自動車が溢れる.長い不確かな夜が過ぎても,電力や通信は回復しない.事実,それらは何カ月も復旧できないだろう.人々はパニックに陥り始める.商店の略奪が始まる.警察は秩序を回復できない.蓄えは底を尽き,価値あるものは燃料と食料と水になる.」

これはアメリカ下院の本土防衛委員会で,サイバー・ディフェンスの専門家Sami Saydjariが証言した予測です.国教に軍隊が終結するのを観察する余裕もなく,敵の姿も分らぬまま,ある日,突如として始まる戦争です.しかも,その被害は甚大です.「アメリカは一夜にして第3世界の国になる.」

Saydjariは,原爆を開発したマンハッタン計画を継承せよ,と提言します.ペンタゴンのコンピューターに中国からハッキングが行われた,というニュースに関心が高まります.中国人民元は,すでに,アメリカの弾道弾などを無力化するため,GPSへのサイバー攻撃を実験した,と発表しています.

他方,それを回避する研究や訓練も行われています.そもそも,核と同じように,サイバー攻撃が敵を十分区別しない,使用できない攻撃手段であることも指摘されています.台湾海峡の衝突で,中国人民軍がその能力を過信するとき,本当の危機が現れます.


FT September 7 2007

Lunch with the FT: Fadela Amara

By Pan Kwan Yuk

(コメント) Fadela Amaraはフランスの著名な市民運動家で,今はサルコジの都市政策大臣です.彼女は移民の集まる郊外を華麗に再開発したことで有名になりました.ときには“ghetto warrior”と呼ばれます.あなたは元社会主義者ですね? サルコジ政権に入るのは裏切りではないですか? と聞かれています.

「私は社会主義者であり,今後も常にそうだ.サルコジ氏は私が社会主義者であることを知っている.しかし私たちは,貧しい郊外に住む移民たちの生活を改善する必要がある,という確信を共有している.」

インタビューの最後にも,FTの記者は繰り返しています.なぜあなたのような苛烈な社会主義者が,サルコジの保守中道政権に加わったのか? 「なぜなら私は事態を変革したかったから.」


FT September 7 2007

Economists of scale

By John Kay

(コメント) ケインズとシュムペーター,ガルブレイスとフリードマン,今なら,セン,スティグリッツ,クルーグマン,・・・ 経済学者たちの仕事と影響力を興味深く概観しています.


Foreign Affairs, 7 September 2007

The Great Leap Backward?

Elizabeth C. Economy

(コメント) 「後ろ向きの大躍進!」が中国で始まる,というわけです.消費者はそれを知らずに,安価な中国製品を買っている.それは本当のコストではない.

中国の成長は,水を汚染し枯渇させ,土地を砂漠化しています.中国は環境破壊の面でトップ・リーダーになりました.オリンピックを前に,中国政府の環境保護のスローガンは過熱します.

しかし,中央政府の掛け声は決して実情を把握できていません.地方政府は,今も,環境保護よりも成長の加速に資源を集中しています.環境保護が動き出すには,もっと下から政治・経済改革が必要です.地方政府も,NGOsや多国籍企業と協力して,地元企業経営者への環境教育に取り組むべきです.

温暖化ガスの削減が免除されたことや,水の汚染問題,ゴビ砂漠の拡大と交差,などが紹介されています.そうした問題を解決するためには,共産党から腐敗をなくさねばなりません.共産党は,環境の二次的な影響,すなわち,成長の維持と住民の健康状態,社会的連帯,国際的な地位の改善にしか関心がないのです.

すべての繁栄する経済は,長期的な環境問題にも対処しなければなりません.中国政府も,アメリカやEU,日本のように,経済成長と環境保護を両立させる政策を目指すべきでしょう.共産党は緑の党になるわけです.企業やNGOsも含めて,中国の政治的転換のために協力することが重要です.

FT September 9 2007

A choking hazard

LAT September 10, 2007

China's eternal empire

Niall Ferguson

The Japan Times: Tuesday, Sept. 11, 2007

Scaremongering about China, as usual

By TOM PLATE

(コメント) 中国の大気汚染は,韓国から日本,それどころかロサンゼルスの住民をも不安にします.中国の海洋汚染は太平洋の魚を汚染します.

Niall Fergusonは,中国の基礎を据えた始皇帝の墓から発掘された騎馬兵の土器に感心します.ヘンリー・フォードがT型車で繁栄をもたらしたように,2000年前に始皇帝は中国のモデルを開発したわけです.今も中国は,始皇帝と同じように,反対派を弾圧し,書物を焼き,なまりで汚染された人形を輸出します.それは,中国の工業化が私有財産を認めてこなかったからです.今も共産党政府は住民から土地を奪って工場を立てます.

中国について新しい恐怖を発見することがゲームになっています.TOM PLATEは,その過剰を戒め,21世紀の潜在的な超大国に正しく接することを求めます.

FT September 11 2007

Chinese inflation

Sept. 12 (Bloomberg)

China Is Fiddling While Its Economy Overheats

William Pesek

FT September 12 2007

The price of a pig

(コメント) 6.5%のインフレ.中国の消費者物価が上昇しています.生産者物価は抑制されていますが,都市の消費者はインフレを経験し,実質金利はマイナスで,さらに株式投資に向かうでしょう.企業もコスト上昇を価格に転嫁します.「石油危機」ではなく,「ブタ不足」で,食料物価は18.2%も上昇しました.マック・カレンシーで有名なハンバーガーの値段も,先週,30%引き上げられた,と言います.党大会が終われば,金融引き締めと人民元の増価を進めると思われます.しかし問題は,バブルです.

1989年に起きた天安門事件の重要な背景は,インフレ高進であった,とWilliam Pesekは指摘しています.中国人民銀行は,自分たちをECBだと思いたがっているが,それは間違いだ.発達した金融市場を持つヨーロッパでは小刻みな金融政策が効果を発揮するが,中国には効果がない.発展途上諸国ではどこでも,金融を引き締めるために一気に金利を引き上げるしかないが,それは中国共産党が許さないだろう,と.

中国の支配層は低成長を恐れているが,もし市場の過熱を放置すれば,最後には天安門事件が再発します.なぜなら豊かな沿岸諸都市には説得できても,一日2ドル以下で暮らす数億の貧しい国民には許せないことだから.企業の過剰投資求められず,累積債務はバブルの破たんを待っています.

「ミルトン・フリードマンのような市場崇拝者には反対されるだろうが,中国はこうした過剰を増税によって削除するべきだ.特に,キャピタル・ゲインへの課税である.」 とPesekは主張します.アメリカから世界の主要中央銀行に潤沢な流動性供給,金融緩和が波及しているときに,中国だけが金融引き締めに向かうことも問題です.

他方,世界市場をもっと信用するFTは,人民元の増価を求めています.

FT September 12 2007

Beijing nightmare: the rise of real politics

By Victor Mallet

Asia Times Online, Sep 13, 2007

Beijing's silly season begins

By Kent Ewing

(コメント) 「中国の指導者たちが夜中に目が覚めるとしたら,その理由は何か? ・・・」 Victor Malletは考えます.軍が権力者に逆らうからではない.対外的な「ハード・パワー」も「ソフト・パワー」も,中国は蓄積している.外交政策ではなく,13億人の国民を統治することが彼らを不安にする,と.成長は都市への流入民を増やし,社会不安を蓄積しています.

指導者たちは消防士のようなものだ,と言います.各地で燃え上がる大衆抗議が拡大するのを消して回ります.急成長の負の側面を気にするようになりました.「調和」,「安定」,「環境保護」.しかし,そうしたレトリックと現実との乖離に,最後は政治的に応えなければなりません.

法律を整備して当事者に争いを委ね,市場を整備して利益の分配を決めさせる.共産党も,次第に,それを必要としています.

「調和ある社会」を政治スローガンにした胡錦涛の政治体制が,街頭の抗議活動,ウェブ上の抗議声明やチャット・ルームの会話,はては携帯電話による各地の抗議集会などで歓迎されれば,指導者の面目を保てません.それを抑圧し,封じ込める政策が進められました.ウェブ規制の理由はポルノの取り締まりですが,実際は,政治表現の規制である,というわけです.

政治的な自由とセックスの自由が同時に叫ばれるのは,やはり,正しいのかもしれません.


Asia Times Online, Sep 8, 2007

If the North had won the Korean War ...

By Andrei Lankov

(コメント) 「もし北朝鮮が朝鮮戦争で勝利していたら,・・・」という論説を,読まないでは済ませられない,と感じる人はどうぞ.

実際アメリカが国連軍として介入しなければ,ある時点で北朝鮮が半島の95%を「解放」していたのです.完全な統一は,その後の粛清と虐殺をもたらしたでしょう.しかし,韓国が無ければ,改革に取り組んだかもしれません.

中国の経験や,東欧諸国と比較し,ソ連崩壊や中国の市場開放などを経て,北朝鮮の体制は現在のベトナムに近いと予想します.


The Guardian Saturday September 8, 2007

Horror and honour

Tom Cargill

(コメント) イギリスが軍隊と経済援助を与えて,軍事支配者から住民を救ったシエラレオネが,2回目の選挙に向けて政治対立を強めています.ブレアの人道主義的な国際介入による成果として賞賛されてきた例も,結局,ブッシュのイラクと同じになるかもしれない,というわけです.

イギリス政府の各省庁が移設されたような印象を与えるほど,積極的に政府機能を支援したにもかかわらず,政治家たちの腐敗や抗争を抑えることはできませんでした.


NYT September 9, 2007

It Monetary Policy, Not a Morality Play

By TYLER COWEN

NYT September 9, 2007

Bernanke, the Fed and 2008

By TOM REDBURN

FT September 11 2007

Challenge of rescuing world economy

By Martin Wolf

(コメント) 何か問題が起きると,責任者探しが始まる.ヘッジ・ファンド,投機家,銀行を越えて,それを救済したという意味で連銀が責められます.しかし,こうした道徳論は現実を説明するわけではなく,経済政策の指針にもならない,とTYLER COWENは注意します.

失敗した投資が助かるかどうかは連銀が決めることではなく,金融市場の取引を継続させて,流動性を維持することが重要でした.サブプライム・ローンの処理がどうなるかは別にして(それは議会とブッシュ氏が相談することです),連銀にはクレジット・クランチを防ぐ責任があります.

連銀には金融緩和が求められていますが,それは市場だけでなく,政治からも要請されるわけです.しかし,サブプライム危機が民主党に有利か,あるいは景気悪化により減税を好む共和党に有利か,バーナンキも含めて,予想に苦しんでいるでしょう.

YaleGlobal, 12 September 2007

 “Fed, We Have a Problem”

Jeffrey Garten

NYT September 13, 2007

British Central Bank Critical of Cash Infusions

By CARTER DOUGHERTY

FT September 13 2007

Capital, not liquidity, is the problem

By Charles Goodhart

FT September 13 2007

Challenge facing the ‘academic’

By Samuel Brittan

(コメント) Jeffrey Gartenは,サブプライム危機を回避せよと最も強く求めたのは,アメリカ市場への投資家・債権者である中国だろう,と考えます.バーナンキが危機を回避すれば,それは将来に危機の種を撒いたかもしれません.同時に,ポールソン財務長官は中国に急行しました.

アメリカが金利を下げて中国の保有する資産の利回りを悪化させ,またドル安を招いて(同時に人民元高を求めて)中国が保有する資産に為替差損をもたらしても,中国政府は許すでしょう.アメリカが軽い不況になるのもやむを得ない,と考えるかもしれません.しかし,資産市場の悪化とドル安が悪循環で続くなら,中国は許せないと考えます.それは中国の銀行や,輸出業者や,労働者を傷つけるからです.

アメリカの金融市場に今後も問題が起きるでしょう.そしてそのたびに,中国が重要な買い手として登場します.ポールソンには分かっています.「もし中国が財務省証券を購入しないどころか,その購入を控えようというそぶりを見せただけで,ウォール街はパニックになる.サブプライム危機など,子どものいたずらに見えるだろう.」

Gartenは指摘します.「これは現代金融史における重要な転換点であるだろう.ちょうどイギリスが1世紀にわたって金融界を単独で指導した後,金融の指導権をアメリカと分かち持つ必要があったように.」

Charles Goodhartは,問題が流動性ではなく,情報の透明性やリスク評価の難しさである,と主張します.金融規制の在り方を改善しなければなりません.中央銀行は金融市場の円滑な調整を維持するために,たとえ資本市場でも,事実上の「最後の貸し手」になるしかありません.しかし,中央銀行が現金と交換する債権を拡大することは間違いです.銀行に対する国際間のリスク評価と資本準備規制であるバーゼルUも,危機を悪化させる効果がある,と日本では以前から主張していたことが繰り返されています.

バーナンキが1930年代の大恐慌を国際比較している,というSamuel Brittan記述に興味を持ちました.


WP Sunday, September 9, 2007

The Trade Paradox

By Moises Naim

(コメント) 現時点の自由貿易論です.WTOの設立以後,自由貿易に対する政治的な反発が強まっています.ドーハ・ラウンドは成果を生まず,抗議活動だけが有名になりました.

貿易自由は,インターネットやコンテナ輸送の技術革新と,中国やインドなどが一方的に市場開放した結果,世界貿易を拡大しています.ところが,自由化によって不利益をこうむるものは短期的に特定集団に集中しており,強い政治的な抗議を行います.他方,自由化による利益は莫大でも,長期にわたって広く分散して発生します.

Naimは,他の自由貿易論も述べています.貿易取引は国内にも影響し,中国が食品衛生基準や工場の取り締まりを強化したように,国際基準を適用します.また,いかなる国も単独では繁栄できず,国際協調が望ましいことを教えます.多くの貧困国が貿易を拒み,成長のチャンスをつかむ国は自由化に取り組みました.

たとえ国内の政治的反対が強くても,貿易自由化をあきらめてはならない,と主張します.


LAT September 9, 2007

Fading superpower?

By David Rieff

(コメント) 21世紀もアメリカが覇権を示すと信じる前提には,二つの議論があります.一つは,単独であれ,集団であれ,挑戦者がいない.中国もEUも,世界を指導できない.もう一つは,アメリカは国際公共財を供給しており,世界からその役割を続けるよう求められている.・・・

David Rieffは考えます.しかし,これは帝国の支持者が唱える楽観的な議論です.歴史的に見れば,政治的な覇権は経済的な力に支えられており,アメリカの経済力は明らかに衰退しつつあるのです.アメリカの政治家や評論家は,しばしばアメリカの覇権か,さもなければ世界の無秩序・衰退・破滅を選択せよ,と迫ります.しかし,実際にはアメリカの覇権が終わり,世界は確実に多極化するしかないでしょう.それが破局でないように,アメリカ語の国際システムを準備することです.


The Guardian, September 10, 2007

Ending a trade in misery

Julie Bindel

(コメント) 売春を違法にして廃絶しようとしているスウェーデンの紹介です.売春を廃止するには,セックス・サービスを購入する(意図を示した)ことを犯罪として取り締まるべきか,それとも,売春それ自体を合法化するべきか?

スウェーデンは,売春行為にかかわる双方にこう教育を施すことで,売春を抑制しようとしています.それは,飲酒運転,喫煙,子どもへの折檻,などと同様に,抑制されるでしょう.セックスを買う行為は,女性を傷つけるだけでなく,社会に破壊的な影響を与える.

厳しい取り締まりによって,スウェーデンへの女性の人身売買は減少しました.


Toughness after Sept. 11 BG September 11, 2007

Derrick Z. Jackson Has Sept. 11 changed us? Not much BG September 12, 2007

Peter Tatchell 9/11 - the big cover-up? The Guardian Wednesday September 12, 2007

(コメント) イラクと戦争するより,もっと燃費の良い自動車を開発して,中東の石油に依存する関係を断つべきではなかったか? あるいは,戦争するより,飽食と肥満の好景気持続や,崩壊するまでに膨張した住宅価格とローンをやめた方が良かった? アメリカは9・11で失ったものについて,もはや世界から同情されていません.

ブッシュ政権が議会に行わせた9・11調査委員会でさえも,政府職員に妨害された,と言います.Peter Tatchellは,委員たちは勝手に間違ったことを宣伝し,それについていまだに告発されていない,と批判します.9・11委員会の報告書が重要であるのは,アメリカ政治におけるカバー・アップ(隠ぺい工作)として,です.

それに変わる四つの情報源が示されています.1) Scholars for 9/11 Truth2) 250+ 9/11 'Smoking Guns' a website3) The 911 Truth Campaign4) Patriots Question 9/11,です.


FT September 11 2007

US is crucial to Japan’s economy

By Richard Katz

FT September 11 2007

Who will govern the Bank of Japan?

By David Pilling

The Guardian Wednesday September 12, 2007

Contradictions of a client state

John Gittings

(コメント) 周知の議論ですが,Richard Katzは,日本の景気回復がますますアメリカへの輸出に依存している,とその脆弱性を指摘します.日本はアジアの生産拠点を経由して,アメリカ向けの輸出で成長を刺激してきました.サブプライム・ローン危機でアメリカ経済が減速し,ドル安が加速すれば,円安から円高に,日本の輸出は抑制されるでしょう.

日銀総裁の後継問題とその金融政策について,FTのDavid Pillingは疑問視します.日本経済の行方は金融政策にかかっている,と考えたからです.参議院の多数を制した民主党が,来年3月の総裁指名に拒否権を握るわけです.人事の争いが健全な金融政策を導くように期待していました.

しかし,日本は首相を失うという珍事によって世界を驚嘆させます.John Gittingsは,その原因を,ナショナリストとしての主張や外観と,日本がアメリカの “a client state” (属国)であるという現実との,矛盾を持て余したのだ,と主張します.それがGavan McCormackの新著の題名でもあります.Client State: Japan in the American Embrace (Verso)

今日の東アジアが,台湾や北朝鮮の存続だけでなく,中国の毛沢東体制転換など,不安定化する危機を抱えているのに加えて,日本もその代表的な不安定国家に名を連ねるわけです.日本とは,「発育不全の政治システム,隷属的な国際関係,挫かれたナショナリズム」です.

今となっては安倍氏が日本の右翼と結びつき,ナショナリストとして諸外国から警戒されたことも忘れられがちです.しかし,むしろ大衆に支持されないことに気づいた今こそ,右翼の行動主義が心配です.

Chris Hogg What led Shinzo Abe to resign? BBC 2007/09/12

Back to the past in Japanese politics FT September 12 2007

Abe’s resignation FT September 12 2007

The end of a beautiful dream in Japan Asia Times Online, Sep 13, 2007

William Pesek Let's Get Marx Brothers Out of Japan's Economy Sept. 13 (Bloomberg)

Japan Tokyo's political comic strip The Guardian Thursday September 13, 2007

(コメント) テロ特措法を継続するために野党と談合して失敗(あるいは条件として合意)したから辞めたのではないか? 改革を継続しないような首相はいらない.喜劇俳優や漫画本の主人公たちは叩き出すべきだ! 日本が占めるべき世界政治や世界経済の地位や発言力と,日本が示す政治家の惨めな質との落差は,世界のメディアを憤慨させています.


The Guardian Thursday September 13, 2007

Wake up, the invisible front line runs right through your back yard

Timothy Garton Ash

LAT September 13, 2007

We're losing in Afghanistan too

By John Kiriakou and Richard Klein

NYT September 13, 2007

Hobbling Mexico Democracy

(コメント) 9・11から6年たって,アメリカではテロ攻撃が再発していないが,ヨーロッパでは未遂も含めて潜在的に広まっています.Timothy Garton Ashは,テロの前線がアメリカではなく,ヨーロッパ諸都市の内部に築かれた,と指摘します.なぜなら,アメリカよりヨーロッパが,イスラム教徒の社会的統合を妨げているからです.私たちが彼らの心を失えば失うほど,ジハードの戦士が供給されるでしょう.

ヨーロッパの主要問題が,脱共産圏から,脱イスラム教徒の再統合化に向かいます.あるいは,アメリカやイギリスにとっての戦後処理問題,帰還兵たちの再統合化です.その前線は,イラク,アフガニスタン,パキスタンへとつながります.

アメリカはイラクにさまよううち,アフガニスタンを放置し,タリバンとアル・カイダの土地に戻してしまいました.国境を接したメキシコでさえ,その民主主義は崩れつつあります.

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The Economist September 1st 2007

Who’s afraid of Google?

Mosques in the West: Islam, the American way

The politics of mosque-building: Constructing conflict

Malaysia at 50: Tall buildings, narrow minds

Ecuador: A wannabe Chavez short of oil

Colombia: Share gusher

Israel and Palestine: Still campaigning for co-existence

Tanzania: President Kikwete’s hard road ahead

(コメント) Googleは世界情報圏の統一と監督を目指し,誰でも他人を検索し,誰でも他人をスパイできる?世界を開拓しています.それが善意や理想や楽しみだ,というのは扱いにくいですが,実際は,金儲けである,という側面を市場や法律で制御しなければなりません.

他方,人々の信仰は,コミュニティーや親密圏の核心にありますから,それを教会やモスクの建設によって競い合うのは信仰を政治に,政治を戦争に,引き戻す危険があります.互いに強硬派や実力行使,悪魔への聖戦を叫ぶ政治家を制御し,和解を求める政治的ルールや表現を模索します.

マレーシア,エクアドル,コロンビア,イスラエル,パレスチナ,タンザニア, ・・・シエラレオネ,日本.世界の多様な政治クラブが示す運動会や芸術祭,巨大建造物や巡礼について,比較する物語が読みたいです.