IPEの果樹園2007

今週のReview

8/20-9/1

IPEの風

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世界の英字紙HPからコラムを要約・紹介します.著作権は,それぞれ,元の著作権に従います.

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ただしFTFinancial Times, NYTNew York Times, WPWashington Post, LATLos Angeles Times, BGBoston Globe, IHTInternational Herald Tribune, CSMChristian Science Monitor


FT August 9 2007

ECB intervention

FT August 9 2007

ECB in 95bn move on market turmoil

By Gillian Tett in London, Richard Milne in Frankfurt and Krishna Guha in Washington

Aug. 10 (Bloomberg)

Subprime Mess Finds Central Banks in Their Prime

William Pesek

(コメント) まるで日本の住専やタイの金融子会社に対する迂回融資が焦げ付いたときのような騒ぎだな,と思いました.いつでも危機は金融の自由化,金融技術の革新,すばらしい金融商品,金融の天才,強気の見通し,とんでもないものを売りつける詐欺師,金融監督や金融政策の失敗,などをともないます.

BNPパリバが子会社を介してサブプライム・ローンを大量に行っていた,というわけです.パリバが危ない? あるいは,自分たちの融資も危ない,信託や預金が解約される,・・・そんな不安が駆け巡って短期金利が上昇し,ECBは市場に通常の週3000億ユーロ(約45兆円)を超えて資金投入しました.木曜日の緊急介入は948億ユーロ(約14兆円)であった,とFTは伝えています.

サブプライム・ローンの問題はECBが直接に改善できない問題です.アメリカのFRBや日銀も同様の資金供給を始めました.

William Pesek は,パーティーの最中にお酒を取り上げるのが中央銀行の仕事であるはずだが,今回は,酒が出るようにバーを開けさせた,と指摘します.また,日銀が金融政策を正常化する前に,世界的な金融危機の防止に協力するため緩和し続ける,というのは,バブルに至った話と同じです.いずれの国でも政治家たちは不安をあおり,救済融資や緊急の緩和策について中央銀行に催促しています.

オーストラリアやアジアではお酒を取り上げる時かもしれません.しかし,アメリカではそうでもない,と考えます.グリーンスパンほどではないけれど,バーナンキも,今は,金融市場のy鎮静化を優先する時だから.

NYT August 10, 2007

Very Scary Things

By PAUL KRUGMAN

19989月,ヘッジファンドの親玉,LTCMが崩壊し,ある意味で今起きつつあるように,金融市場が崩壊した.98年の危機に際して,私は閉じられたドアの向こうで連銀幹部の説明を聞いた.彼は市場の深刻な状態を示した.一人の参加者が尋ねた.「われわれに何かできることはないか?」 連銀幹部は答えた.「祈ってほしい.」

私たちの祈りは通じたのだ.財務長官のロバート・ルービンと連銀議長のアラン・グリーンスパンは,協力してLTCM救済に動き,投資家たちにすべてがうまくいくと確信させた.パニックはおさまった.

昨日,ブッシュ大統領は彼のMBAにふさわしい表現力(怪しい!)で,市場に安心を約束した.しかしブッシュ氏は,言うなれば,少々(!)信用を失っている.他方,誰かに魔法が使える,というわけでもない.たった今,我々には救世主が足りないのだ.それが必要な時だから,非常に困ったことだ.

ここ数日金融市場で起きていることは,金融経済学者たちを心底不安にさせるものだ.流動性が枯渇した.いつもは市場を満たしている素材が,特に住宅モーゲージによる金融手段が,買い手を失って市場から締め出された.

これは,結局,ほんの一時的な恐怖かもしれない.しかし最悪の場合,債務不履行の連鎖につながる.

現在の金融逼迫の起源は,ここ数年の金融的な乱痴気騒ぎである.それは振り返ってみれば,ドットコム・マニアと同じ,不合理なものだった.住宅バブルもその一部であるが,何よりも,人々はリスクなど存在しないかのようにふるまった.

サブプライム・ローンが爆発したことを今ではみんなが知っている.それは通常の金融的な適格性を欠いた人々にも住宅の購入を可能にし,このローン(債権)で裏付けられた証券を投資家は大いに買いたがったのだ.しかし投資家は同時に高収益の企業債務,つまり一種のジャンク・ボンドを買いあさったから,ジャンク・ボンドと財務省証券との収益差は記録的に少なくなっていた.

その後,現実と向かい合う.一度にではなく,順々に.最初,住宅バブルが破裂した.その後,サブプライム・ローンが崩壊した.そして,投資家たちのジャンク・ボンドに対する不安は増大し,スプレッドは4%を超えている.

最近も,投資銀行のベアスターンズの運営する二つのヘッジファンドがサブプライム・メルトダウンで崩壊して,投資家たちの動揺が広まった.その後の市場は躁鬱病の患者のように,ダウジョーンズ工業株価平均指数が三ケタも上がったり下がったりする.それがこの2週間の常態だ.

しかし,昨日のBNPパリバ(フランスの大手銀行)による,彼らのファンドのうち三つを運営停止にした,という発表は最悪だった.停止する必要があった,とパリバは述べた.市場で流動性が枯渇したから,すなわち買い手がいないのだ,と.

流動性が枯渇すると,デフォルトの連鎖が起きる.金融機関Aがそのモーゲージを担保とした証券を売ることができないと,金融機関Bに対する債務に支払うための資金を調達できない.するとBはCに支払うお金が手に入らない.そして現金を持つ者はそれをどこにも動かさない.なぜなら,誰も融資を返済すると信用できないから.こうして事態はさらに深刻になる.

こうして真に恐るべき事態,流動性危機が発生する.これに対しては金融政策当局にも打つ手がない.

連銀は経済問題に対して,通常,金利を引き下げる.昨日,先物市場はそれを予測していた.連銀は,また,現金の不足する銀行に資金を与える.昨日,ECBは1300億ユーロを銀行に貸し与えたが,必要なら無限に資金を供給する,と言った.連銀も240億ドルを供給した.

しかし流動性が枯渇してしまえば,通常の政策が効果を失う.融資を行わないなら,資金のコストは無意味だ.銀行にキャッシュが溢れているとしても,そこで詰まってしまう.

さらに,もっと奇抜な方法もあるだろう.連銀と,特に政権にとって重要な危機の封じ込め策だ.政府の能力を疑われているから,と言うだけでなく,その他の事情により,そこまで至らないだろう.

この危機も1998年のように速やかに収まることを祈ろう.私はそれを当てにしていないが.

NYT August 10, 2007

A New Kind of Bank Run Tests Old Safeguards

By FLOYD NORRIS

FT August 10 2007

Central banks inject $120bn of liquidity

By Richard Milne in Frankfurt and Michael Mackenzie in New York

FT August 10 2007

Defining liquidity

Asia Times Online, Aug 11, 2007

Asia and the vicious cycle of bank bailouts

By Chan Akya

BG August 11, 2007

Borrowed trouble on Wall Street

The Guardian Saturday August 11, 2007

Financial markets :Squealing for help

The Guardian Saturday August 11, 2007

Verge of a meltdown

Gavyn Davies

WP Saturday, August 11, 2007

Bubble and Bust

WP Sunday, August 12, 2007

5 Myths About Jittery Markets

By Adam Lashinsky

(コメント) NORRISが書くように,かつてなら銀行が取り付け騒ぎになって,連鎖的に破たんが広がったはずです.ところが,長く起こり得ないと思っていた「取り付けRun」が,現代の金融市場で起きるようになりました.金融市場で流動性が消滅する,と言うことです.銀行融資ではなく,証券の市場発行によって資金を調達しているからです.その証券を購入するのが,大幅に銀行融資を利用した金融機関です.サブプライム・ローンも債務に依存した企業も,一斉に破たんしなければ,市場で吸収されたでしょう.信用不安は,株価下落や消費抑制によって,経済全般を不況に陥れます.

そこでFTが,「流動性」を再考します.資産が予想通りの価格で売れるなら,流動性があるわけです.その意味でも,貨幣は最も流動的な資産です.どのような資産も,リスクが伴うから収益がある,と考えます.私はこのような説明を,何か本質を見失った,トートロジーや言葉の遊びである,と感じました.FTは,この言葉の胡散臭さを,資産価格の暴落を説明する「過剰な流動性」に見ています.

欧米市場の金融的な変動に翻弄されるより,アジア諸国はもっと地域的な資産市場に注目した方がよい,とChan Akyaは指摘します.

WPは,チューリップの球根に熱狂したように,投資家と銀行はバブルに浮かれて大儲けしている,と指摘します.それが失敗したからと言って,システムを救済するという理由で,彼らを救済してはならない,と.不良な金融機関は閉鎖し,悪質な業者は告発しなければなりません.住宅を失った人々にも再出発を支援するべきです.銀行システムは,経済活動を健全に維持する社会的責務があるわけです.

金融危機? 心配ないよ,とLashinskyは指摘します.1.欧米の株価が暴落しても,世界経済な順調に拡大するだろう.2.中央銀行は貨幣を供給する全能の神である.市場の均衡化を見守っているだけだ.3.民間金融機関の指導者たちも,ドットコム・バブルの教訓を学んでいる.4.共和党政権は資産家に優しい.5.市場には不確実さが伴う.健全な投資に戻るだけだ.

FT August 12 2007

ECB bail-out sows seeds of crisis

By Paul de Grauwe

先週,中央銀行が大幅な介入で流動性を追加したことは難しい問題を提起する.それは正しかったのか? ECBは,他の中央銀行よりも,単独で多くの流動性を供給したが,それは過剰反応ではないか? こうした介入は将来の危機の種を蒔くことにならないか?

銀行は決済システムの中心にある.どのような理由であれ,決済システムが止まれば経済は苦しむ.貿易や投資が止まる.デフォルトの津波によって,健全な銀行や企業が破たんする.

だから,決済システムは集合財である.中央銀行は,最後の貸し手として,この集合財を守っている.危機の際には,無限に流動性を供給して,決済システムの機能を維持しなければならない.

簡単なように聞こえるが,問題がある.中央銀行は,現在だけでなく将来の決済システムについても安定性を維持しなければならない.

これはギリシャ悲劇に似たジレンマだ.先週,彼らはシステムに大量の流動性を投げ入れたが,馬鹿なことをやった銀行が破たんするのを免れた.多くの銀行が愚かな融資を行ったはずだ.リスクやポジションを無視してヘッジファンドに貸し出されたものもあった.

原則として,中央銀行は優良な資産に対してだけ融資することで,このジレンマを避けられる.無思慮な融資にふけった銀行は,中央銀行からの融資を受けられない.実際は,一時的な流動性問題なのか,バランスシートが悪化しているのか,区別するのは非常に難しい.現在の危機のように,損失を推定できないようなとき,特にそうである.

二つの問題が起きる.第一に,正義の感覚に反する.無責任な銀行が安価に逃げ出す資金を得る.第二に,現在の市場が安定化しても,将来の不安定化の種になる.中央銀行は,暗黙に,銀行の愚行を軽く処分することで,再発を奨励する.経済学者がしばしば指摘する,モラル・ハザード問題だ.

疑いなく,現在の危機も先行する中央銀行の救済措置がもたらしたものだ.市場におけるリスクの評価が甘くなっていた.

だから,中央銀行,特にECBの行動が問われる.ギリシャ悲劇のように,不可避性が指摘される.そうするしかなかった,と.決済が停止する危険は本当にあった.しかし同時に,あまりにも多くの金融機関があまりにも容易に認められ,モラル・ハザードが強まった.

どうするべきか? 19世紀の優れたエコノミスト,ウォルター・バジョットが主張したように,危機に際して中央銀行は罰則的な金利で無限に融資するべきだ.先週,中央銀行は子の助言を守らなかった.むしろ,わずかな短期金利の上昇に特にECBが大量の流動性を供給した.ECBがたとえ目標金利4%より0.5%の上昇を許しても,恐ろしいことは起きなかっただろう.

もちろん,わずかな罰則金利でモラル・ハザードは解消しない.それでも正しいシグナルになる.

もっと根本的な改革が必要だ.銀行の活動はますます金融監督や規制制度から外れている.危険な活動をヘッジファンドにやらせている.そのような行動を自動的に中央銀行が保護すると考えてはならない.その代価を支払わせるべきだ.こうしたヘッジファンドの活動を同じ金融監督や規制に従わせることだ.

国際協調が無ければ,それは難しい.しかし,将来も金融の安定性を維持するには,それが不可欠である.

WP Monday, August 13, 2007

The Pain, and Gain, of the Subprime Meltdown

By Sebastian Mallaby

(コメント) これは以前のジャンク・ボンドと同じように,金融市場の革新が,それをよく理解していない投資家によってブームをもたらし,破たんに至るケースです.問題は,いつも,これを煽った専門家たちがいることです.格付け機関やヨーロッパ系の銀行が疑われています.

FT August 13 2007

The credit crunch quandary

By David Hale

先週の出来事は金融のグローバリゼーションがどれほど進んでいるかを示した.ECB1550億ユーロも市場に供給したが,それはデトロイトの失業した労働者が住宅ローンを支払えなくなったからだ.彼らが2006年に得たローンは,頭金がなく,元本の返済や所得の証明書も不要だった.1980年代なら,こうしたローンのデフォルトで銀行が破たんしただろう.しかし現代では,ローンが証券化され,担保付債務証書(CDOs)に組まれて,借り入れた資金によりヘッジファンドが購入する.

いくつかのヘッジファンドが閉鎖されたことは市場を恐れさせた.それがどこまで増えるか予測する方法はない.サブプライム・ローン市場は流動性を欠き(売買が成立せず),透明性を欠くからだ.サブプライム市場は2006年後半に崩壊していたが,ヘッジファンドは6月まで証券に損失が生じていることを認めなかった.損失は大きなショックとなり,優良な証券でも資産価格が急激に下がった.

サブプライム・ローンの大失敗は,銀行が過度にリスクを取ったことで生じた.2001-2006年のアメリカ住宅ブームで,銀行は限界的な借り手に対する融資を急速に増やした.そのピークとなった半年前,13000億ドルのサブプライム・ローンがあり,モーゲージのストック総額の13%であった.それはウォール街の金融業者が質の悪いローンをCDOsに組み替える強い需要によって急増した.格付け会社も証券販売業者と協力して利益を得た.その報酬は通常の債券販売よりも3倍の手数料を得られた.第一4半期のムーディーズの収益は,こうした金融商品の販売によって46%も増えた.

連銀議長のバーナンキはサブプライム・ローンの失敗による損失を500-1000億ドル,アメリカのGDPの1%以下とみている.その損失は,1990年代初めにS&Lスキャンダルで生じた損失,GDP2.5%に比べるなら,ましである.問題はバーナンキの推定がいくつかの幸運によることだ.最終的なコストは住宅価格に依存する.信用ひっ迫が住宅価格をさらに下落させ,10%に及ぶなら,損失はバーナンキの推定の2倍になるだろう.

アメリカの住宅市場が総額で20兆ドルになることから,1000-2000億ドルの損失に経済は耐えられる.連銀にとっての問題は,ショック・ウェーブの拡大だ.金利が上昇し,住宅販売が落ち込み,住宅建設や価格がさらに低下する.ブッシュ政権はファニー・メーの信用拡大に慎重であるが,民主党はそれを主張している.

連銀は板挟みだ.アメリカ経済は好調で,コア・インフレ率も2%を超えている.消費が弱まったとも見えない.しかし,モーゲージが高金利であれば,住宅価格の下落が拡大する.1933年以来,経験していない10%もの下落になるかもしれない.大統領選挙の年になるから,バーナンキへの圧力が強まる.候補者たちはバーナンキの後継者を住宅市場のテコ入れに積極的な者を好むだろう.再選されるためには,住宅価格に配慮して金融政策を決めることになる.

Aug. 13 (Bloomberg)

Three Bubbles That Could Derail China's Economy

William Pesek

Asia Times Online, Aug 14, 2007

Asia has nothing to fear except monsters

By Alan Boyd

Asia Times Online, Aug 14, 2007

Hedge funds need trimming

By Peter Morici

Aug. 15 (Bloomberg)

Five Reasons to Welcome a Global Credit Crunch

Matthew Lynn

FT August 14 2007

Fear makes a welcome return

By Martin Wolf

(コメント) 「昼の後に夜が来るように,マニアの後にはパニックが来る.」 結局,最近の金融市場におけるパニックも19世紀のウォルター・バジョットが知っていたことばかりです.金融錬金術師たちが合成した,あまりにも完璧な確実性と低金利融資の世界.こんなものは崩壊するのが当然です.

これは新しい現象でもなく,金融資本主義として,ハイマン・ミンスキーが見ていたことです.その正しい対応も知られています.中央銀行は金融市場を救うのであって,特定の金融機関を救ってはいけない,と.優良な資産と交換に,懲罰的な金利で,資金をどんどん渡してやれ.ヨーロッパもアメリカも日本も,どんどん資金を供給したが,懲罰的な金利ではなかった.

金融市場には恐怖が必要である.それがないと,彼らは乱痴気騒ぎに耽る.それは外部から規制できない.さまざまな抜け道を作り,金融商品が開発されるから.市場は自分で規律を与えるしかない.すなわち,金融機関は破たんすることが必要だ.

20年間で4つも大きなバブルが起きた.日本の土地・株式,東アジアの通貨,アメリカの株式,アメリカの住宅.あまりにも多くの金融的な愚行が広まった.しかし,再び,救済融資が始まっている.

FT August 15 2007

Bumpy credit ride just beginning

By Avinash Persaud

(コメント) 「中央銀行は先週の金曜日に世界金融システムに流動性を追加したが,これで金融市場の混乱が終わったとは言えない.それはたんに始まりの終わりにすぎない.流動性の追加は長期的な猶予にならない.市場の浮動性は,次には一層悪質になり,信用機関の格付けが下がり,信用市場の崩壊が進み,それは株式市場に波及する.」

格付け会社は疑いを持って見られ,損失をこうむった投資家たちも犠牲を求め始めるでしょう.格付けが下がり,価格が下落した証券を持つ金融機関が,流動性の追加供給をさらに求め,ドルが減価する(そして円高)でしょう.

問題を複雑に,そして難しくしているのは,「証券化・セキュリタイゼーション」です.それは多くの利益をもたらしましたが,危機の局面では下落を加速し,さまざまな波及を強め,金利の引き下げによっても市場を安定できません.企業や銀行は予測できないリスクから逃れようとするだけで,危機を悪化させてしまいます.他方,緊急避難的に金利を下げることは,次のバブルを大きくしてしまうでしょう.

レバレッジを利用した金融機関がアジアの株式や資産を購入していることも重要です.

The Guardian Thursday August 16, 2007

Rein in big finance

Larry Elliott

(コメント) 「2か月前,同じ専門家たちはサブプライム・ローン問題が封じ込められる,と解説していた.株価が10%以上も下落し,オーストラリア,フランス,イギリス,アメリカに問題が波及する前である.」

企業収益は良好です.LTCM危機と同じように,急速に回復するでしょう.ただし,今回は危機がメキシコやタイ,ロシアで生じたのではありません.今の問題はアメリカです.過去のバブルを解消したのはアメリカの景気,特に住宅市場バブルでした.それが崩壊しつつあります.

LTCMは流動性危機でした.しかし,今起きているのは支払不能危機です.Elliottは,イギリス経済がドイツと違って,外国市場で需用される財を輸出する知識経済になったからではなく,投機によって成長していた,と批判します.規制を緩和して愚行を奨励し,公共部門を破壊して,その損失には税金を必要とするのです.

FT August 16 2007

The crooked path of capitalism

By Samuel Brittan

(コメント) 資本主義は,その誕生以来,300年にわたって熱狂と破綻を繰り返しました.人は,度を越した貪欲と恐怖を繰り返し,合理的に説明できない楽観から悲観に急変します.なにも珍しいことではない,とBrittanは書きます.それを消滅させることは不可能であり,優れた政策により緩和することを望めるだけです.

Brittanが指摘するのは,ケインズ学派の隆盛によって忘れられた,ハイエクらのオーストリア学派です.金融市場にも長期的な均衡を考えて,それをめぐって循環的な好況と金融破たんが起きる,と彼らは考えたからです.2001年の9・11により金融緩和に踏み切った世界の中央銀行は,今頃そのオーストリア学派の正しさに苦悩している,と上海のエコノミストAndy Xieは述べ,ベルギーのPaul De Grauwe,元イギリス大蔵大臣Lord Lamont,BISの勇敢なエコノミストたちも,同様に,指摘したようです.中国や発展途上諸国もその循環から逃れられません.

アメリカの,最も不用意なファンド・マネージャーたちは,わずかな問題にも中央銀行の資金供給を要求する.彼らは,金融危機が起きるたびに資本主義の最期と狂喜するルンペン・マルクス主義者と同じように,愚か者たちだ,と.

WP Thursday, August 16, 2007

Folly and the Fed

By George F. Will

WP Thursday, August 16, 2007

A Rate Cut on Hold

By Robert D. Novak

FT August 16 2007

Global growth

Aug. 17 (Bloomberg)

Bernanke Sees Lesson in the Depression

Caroline Baum

BG August 17, 2007

Avoiding the subprime siren song

By Cornelius Hurley

NYT August 17, 2007

With Markets Moving Wildly, Insight Suffers

By FLOYD NORRIS


The Japan Times: Friday, Aug. 10, 2007

A credible economic policy

FT August 13 2007

Japanese economy

FT August 15 2007

Subsidiaries in Japan

(コメント) 高齢化と年金問題,財政破たん,国債累積,デフレ脱却と景気の持続的な拡大,金融政策の正常化,などについて,安倍・自民党と小沢・民主党が詳しく論争した,という記憶はありません.彼らはどのような見通しで詮索を決めているのでしょうか?

日本の株式市場というのは,あるいは,資本主義は,本当に機能しているのでしょうか?


FT August 10 2007

Diversity is not black and white

By Christopher Caldwell

(コメント) Robert Putnamは政治分析に「社会資本」という考えを適用しました.それは「互恵と信頼の組織された規範,社会的なネットワーク」を意味します.「社会資本」は,健康,福祉,教育,富,豊かな社会生活と民主主義につながっているだろう,と考えたわけです.逆に,戦争であれ,資本主義であれ,その混乱で「社会資本」が枯渇し,破壊されてしまうことを心配します.

野球場に向かう人々が減ってしまうことは,いわば「社会資本」の低下です.Putnamは,残念ながら,その原因の一つを「エスニシティ・民族の多様さ」が増すことである,と考えます.もしそうであれば,これまで公共政策が掲げてきた目標は間違っていたことになるでしょう.社会の多様さを強さにする,という目標です.アメリカのさまざまな人々,3万人を調査して,エスニックな環境の多様さが増すと,彼らは社会生活から退いた,と結論します.逆に多様さの中で,ゲイや黒人は,同質さを中心とした強固なコミュニティーを形成します.

しかし,Putnamは多様さのプラス面を忘れません.多様性の増大に人々が過剰反応せず,社会の本質的な美徳にすることを考えます.たとえば,多様性は問題の解決を早める.しかし,Caldwellは,民族的な多様性と知的な多様性を混同している,と批判します.それはイデオロギーであり,多様性信奉です.


NYT August 11, 2007

A Bloodbath in Newark, and Beyond

By BOB HERBERT


WP Sunday, August 12, 2007

The Free-Trade Divide

By David S. Broder


FT August 12 2007

Asian economies on ‘demographic cliff’

By Andrew Taylor in London

(コメント) 人口変動が成長を刺激する効果はよく知られています.それは移民や戦争だけでなく,死亡率の減少や出生率の増加により,人口ピラミッドに変化が起き,成長(あるいは衰退)の効果を発揮します.住宅建設や公共投資が影響を受け,特に,労働力人口が増大し,その後減少します.アジア全体で,今,労働力人口が急速に増えているのです.他方,より発展した地域だけとれば,労働力人口が急速に減少し,高齢化が進むでしょう.

前者にとって,雇用を増大しつつ,環境を破壊しないような持続的成長を維持すること,後者にとっては,金融市場や社会保障制度を整備し,教育や技術に投資して労働力の高度化に向かうことです.それと並行して,労働力の国際移動もその役割を重視されるはずです.


FT August 12 2007

Why North Korea continues to defy the world

By Stephen Rademaker


BG August 13, 2007

Half of an immigration policy

NYT August 13, 2007

The No-Match Non-Solution

(コメント) 移民法の改正は失敗しました.現行制度を続けるしかないのであれば,国境線をますます軍事化し,非合法移民は自由な労働契約に従う理想的な労働者である,とブッシュ政権は考えるのか? そして国民が納得するよう,非合法移民を取り締まる強制措置を積み重ねる?

ヨーロッパの状況は,また,異なります.

FT August 13 2007

Immigrants must earn respect

By John Lloyd

フローレンスの町では,イタリア半島のどこでもそうだが,老人の比率が増えている.そこでは,特に静かな裏通りに,ヨーロッパの将来を示す情景が見られる.老人たち,そのほとんどが女性,をやさしく介護する,比較的若い女性たち.老人たちはイタリア人.介護者は,フィリピン,北アフリカ,アルバニア,あるいはサブサハラ・アフリカの女性たち.通常,そこには男性や子供がいない.彼らはほかの土地で貧しく暮らし,送金してくる.牧歌的ではないものもある.北欧の人々が愛するトスカナ地方の田舎で,バンに乗ったポン引きが東欧やアフリカの少女たちを降ろす.この地方の路上で,スリや売春が彼女たちの仕事だ.

発展途上諸国から家内のサービスや浴場のはけ口が提供される.その交換は,なお単一のエスニックを概ね維持するイタリアにおいて,多くのエスニックが混じるパリやロンドン,アムステルダムより,顕著である.介護やセックスの市場は,もはや地元の源泉から人的な供給を得られないのだ.

そうであれば,ヨーロッパ全域がますます急速にアメリカ化する.今やアメリカ的な指導者たちがヨーロッパじゅうに現れている.ゴードン・ブラウン,メルケル,サルコジ.彼らは次々に大西洋を越えて,ブッシュとバーベキュー・パーティーを楽しむ.今度のアメリカ化はマクドナルドやスターバックスではない.その店舗を満たす労働力だ.疲れた,貧しい,寄せ集めの労働者たち.

アメリカとヨーロッパは協力して非合法移民を取り締まる.雇用主は労働者の移民資格を確認し,違反すれば罰金を支払わせ,取引を停止する.スペイン政府はセネガル政府と協定を結んだ.移民労働者に1年限りのビザを発行する.あまりに多くの非合法移民がスペインに流入してくるから.

こうした政策は裕福で高齢化する諸国にはおなじみだ.彼らは若い労働者を求めている.しかし多くの市民たちは移民が引き起こす変化を警戒している.

ほとんどすべての研究が,移民はダイナミズムをもたらし,経済の生産性を改善する,と示している.しかしまた,アメリカの政治学者Robert Putnam は,エスニックの混在する社会では信頼が失われていく,と指摘した.多くのアメリカ映画は貧しいエスニック集団がもたらす犯罪を描いている.ときには,こうした犯罪が移民から3世代も4世代も後の人々を汚染する.

もしヨーロッパが同質的な諸国民であることを徐々にやめて,ダイナミックなアメリカ風の移民社会に変わりつつあるのであれば,ルールや強制力を強化しなければならない.そうしなければ社会は激しく混乱する.

西欧や北米に移住して社会に住みついた者は,おおむね,物質的に満たされている.この社会において労働力を売る人々は,その豊かさに加わる.彼らは無視されてはならない.市民であるとはどういうことか,他者に対して何を負うのか,知っておく必要がある.そうすることで彼らは,自分と子孫のために,この社会を尊重する.


The Guardian Monday August 13, 2007

Military families live in dread, while the rest of America is busy shopping

Gary Younge

(コメント) 「母さん,今日も僕は友人を亡くした.・・・」 バクダッドのアメリカ兵からの手紙を紹介します.9・11に衝撃を受け,彼は理想に燃えて入隊しました.しかし,彼の任務は終わらず,イラク派遣は長引きます.彼の最大の心配は,間違って市民を殺してしまうことです.


IHT Monday, August 13, 2007

The Middle East's nuclear surge

By Joseph Cirincione and Uri Leventer

The Japan Times: Wednesday, Aug. 15, 2007

U.S.-India agreement threatens to fuel nuclear proliferation as well as arms race

By SANDEEP PANDEY


NYT August 13, 2007

Inflation Surges in China

By KEITH BRADSHER

FT August 14 2007

Chinese dragon feels the heat

LAT August 15, 2007

China's new revolutionaries: U.S. consumers

By Nathan Gardels

NYT August 15, 2007

China, Unregulated

Aug. 17 (Bloomberg)

Beijing 2008 Is Building Up for a Big Letdown

William Pesek


BG August 14, 2007

A new Cold War with Iran?

By John Tirman


The Japan Times: Tuesday, Aug. 14, 2007

Health-care costs to squeeze capitalism

By KENNETH ROGOFF

(コメント) 世界中で医療費の高騰が資本主義を終わらせるのでしょうか? 少なくとも,平等な医療保険制度に対する社会・政治・道徳的なジレンマが資本主義の危機を招くだろう,とROGOFFは考えます.高齢者が増え,高額な医療技術が開発し続けられるからです.

アメリカの医療費は,すでにGDPの16%,2030年には30%,今世紀の後半に50%まで達すると予想されます.これほどの富を医療について平等主義的に再分配するのは,社会主義やマルクス主義にもできなかったことです.社会はいつまで高齢者への高額医療費を平等に負担し続けるでしょうか? 市場の資源配分は効率を高めるメリットがありますが,それには限界もあります.


FT August 14 2007

Zimbabwe regime may continue

By Alec Russell

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NYT August 17, 2007

Workouts, Not Bailouts

By PAUL KRUGMAN

(コメント) アメリカの住宅市場が崩壊するのを連銀は「封じ込めた」と称賛する声とは反対に,価格はフリー・フォールが続いている,とKrugmanは考えます.売れ残った住宅を公的機関が買い上げるべきでしょうか? そして,住宅バブル富豪たちは不安を払しょくできる?

市場の失敗に対する公的な介入は必要です.ただし,債券ではなく旧ローンを,大幅に割り引いて買い取ります.1980年代にラテンアメリカに対して行われたブレディー・プランに言及します.

Asia Times Online, Aug 18, 2007

The case for a Fed rate cut

By Thomas Palley

FT August 17 2007

On Wall St: Bernanke resists the ‘Greenspan put’

By Richard Beales

FT August 17 2007

We need more tha US rate cut to resolve the crisis

By John Plender

(コメント) さらに問題は,中央銀行の役割です.金融政策としては間違いでも,金融秩序の安定化のためには金融緩和が必要だ,と考えるかどうか?

サブプライム・ローンは,金融が,ますます銀行融資を証券化して売り払う仕組みによって,歪められたことに起因する,と考えます.このような金融商品による利益を求める結果,銀行はローンの質に無関心になるのです.そして,もし問題が「流動性危機」ではなく,「支払い不能」であるなら,中央銀行の緩和策は問題を残すでしょう.

FT August 17 2007

Fears of crash unfounded – for now

By Gillian Tett

(コメント) アメリカの金融市場とロンドンや東京との関係は? たとえば,ロンドンを経由して,ヘッジファンドが円を借り,それをドルに変えて,大量の住宅融資の証券を購入している,ということです.

FT August 17 2007

Man in the news: Ben Bernanke

By Krishna Guha

FT August 17 2007

The legacy of the tech bubble

FT August 17 2007

Yen carry trade

WP Saturday, August 18, 2007

The Feds vs. Innovation

By Stephen Goldsmith

FT August 19 2007

(Sub)prime argument for more regulation

By Barney Frank

IHT Monday, August 20, 2007

How Asia weathers the global credit crisis

By Philip Bowring

(コメント) アメリカが風邪を引けば,アジアは肺炎になるのか? 中国は資本規制によって,アメリカの金融マニアの感染から切り離されていました.つまり,オリンピック・バブルはまだ続くでしょう.

他のアジア諸国でも,株価の乱高下は感染しても,為替レートの暴落は回避できるでしょう.1997年の単純な再現はありません.むしろ,アメリカの不況とドル安を,アジア諸通貨の増価と成長加速で吸収する時代が,もうすぐそこに来ている,と思いたいです.

FT August 20 2007

The next big China effect

By Stephen Green

The Wall Street Journal, 20 August 2007

Sovereign Wealth to the Rescue

Michael Pettis

Aug. 21 (Bloomberg)

China's Inflation Will Stymie Subprime Response

Andy Mukherjee

IHT Tuesday, August 21, 2007

The financial gods that failed

By Paul A. Samuelson

(コメント) 「中央銀行の独立」と「インフレ・ターゲット」に祝福されたグローバリゼーションの福音が世界を満たすのか・・・と思っていたら,何と,住宅市場の崩壊で金融機関が破たんし始め,中央銀行が一斉に世界中で資金を注入し始めました.ミルトン・フリードマンが墓石に下でもがき苦しんでいるだろう,と言及しています.

大恐慌時のアンドリュー・メロン財務長官は,億万長者でしたが,「生産,生産,清算だ」と熱弁を振るったそうです.もっと正しい政策があったのに.

レバレッジを重ねた投資がなぜチェックされなかったのか? ボラタリティーは小さく,ドルの価値も安定している.国債投資には何も問題ない,とさっきまでファンド・マネージャーたちも話していた.教訓は遅れて学ばれる.

「モーゲージの証券化」とは何か? リスクと収益のバランスを取って作った商品により,正しく投資することができるはずだった.しかし,投資は何倍もレバレッジされていた.風向きが変われば・・・? LTCMの教訓を忘れたようだ.

サミュエルソンは将来について三つのシナリオを考えます.3分の1の確率で,2008年は穏やかな調整局面に入る.3分の1の確率で,中央銀行の流動性供給でバラ色の世界経済が回復する.3分の1の確率で,中央銀行が熱望したように,インフレ率は成長率より高く保たれるが,市場は不安定に上下へ跳ね跳びる.

LAT August 21, 2007

Stay the course

FT August 21 2007

The Federal Reserve must prolong the party

By Martin Wolf

(コメント) 「ヘリコプター」から「世界貯蓄過剰説」や「インフレ・ターゲット」,そして「最後の貸し手」へ,バーナンキ議長は金融政策論の体現者です.どれかの理論が正しい政策を決めるのではなく,市場が決めるのです.

何が変わったのか? 金融政策は金融資産の市場を介して効果を発揮するのが普通です.しかし,過去数年のアメリカでは,家計の住宅購入を介して,インフレや景気変動が影響を受けたのです.経常収支の赤字も,家計のバランスが失われれば崩壊します.

政府が財政赤字を抑制するように努めるなら,連銀は金融緩和して,まず市場の不安定な状態を抑え,資本流入を維持する必要があります.さもないと,アメリカは財政刺激策が必要になり,あるいは,経常収支の赤字を急激に抑える必要がある・・・ という予想で,世界経済が破局に近づきます.

FT August 21 2007

Do not cut rates

Aug. 22 (Bloomberg)

Bernanke Must Avoid Greenspan's Asia Bubble Mess

William Pesek

The Guardian Wednesday August 22, 2007

In praise of ... Hyman Minsky

NYT August 22, 2007

Pushing Fed to Act Early if Not Often

By DAVID LEONHARDT

NYT August 22, 2007

Fed Seeks Balance as Investors Clamor for Action

By EDMUND L. ANDREWS

WP Wednesday, August 22, 2007

Is the Boom in Peril?

By Robert J. Samuelson

(コメント) ジェフリー・A・フリーデンのGlobal Capitalismが言及されています.

「クレジット・クランチ(金融逼迫)」から「オーバーボローイング(過剰借入)」へ,危機の条件が変わっています.中央銀行は前者に対して対応できますが,後者には難しいでしょう.

FT August 22 2007

What this Minsky moment means

By George Magnus

The Daily Star, 22 August 2007

Amid the Mortgage Defaults, America's Day of Reckoning

Joseph E. Stiglitz

(コメント) 金融危機は,ブッシュの富裕層優遇減税と,グリーンスパンの金融資産価格安定化介入の残した国民への重荷です.

WP Thursday, August 23, 2007

The Fed Behind The Curve

By Robert D. Novak

FT August 23 2007

We need a better way to judge risk

By Charles Calomiris and Joseph Mason


FT August 17 2007

Pax Romana

The Japan Times: Saturday, Aug. 18, 2007

China's tough leap forward

By GLYN FORD

NYT August 19, 2007

A Chinese Century? Maybe It the Next One

By LESTER THUROW

(コメント) もうすぐ中国がアメリカの次の覇権国になる,などという予想をサローは否定します.中国の統計は間違っている.中国の成長がエネルギー消費に矛盾している.成長する年もあるが減速する年もある.

FT August 19 2007

Shanghaied by Russia and China

THE Guardian, August 20, 2007

Re-ordering the world order

Dilip Hiro

Asia Times Online, Aug 22, 2007

Rising powers have the US in their sights

By Dilip Hiro

(コメント) SCOについて,ソフト・パワーについて,エネルギーについて,歴史と自意識について.歴史は覇権国の出現について,何を教えているでしょうか?

Asia Times Online, Aug 21, 2007

China's gilded age coming to an end

By Kent Ewing

FT August 20 2007

The CEQ on FT.com: Lessons for China Inc

By Arthur Kroeber, managing editor, China Economic Quarterly

Asia Times Online, Aug 22, 2007

Asia looks for consensuses

By Scott B MacDonald

FT August 21 2007

America risks the fate of Rome

By David Walker

FT August 22 2007

Federal action needed to rebuild US

By Felix Rohatyn and Warren Rudman

Asia Times Online, Aug 24, 2007

As US sinks, Asia unable to swim

By Walter T Molano


NYT August 17, 2007

Asia Seen as Better Able to Deflect Waves From U.S.

By KEITH BRADSHER and JEREMY W. PETERS

BBC 2007/08/21

Japan seeks wider defence network

By Jonathan Marcus

Asia Times Online, Aug 23, 2007

Mega Indian welcome for Japan

By Siddharth Srivastava

Aug. 23 (Bloomberg)

Why Singh Is Staking His Job on India-U.S. Deal

Andy Mukherjee

NYT August 23, 2007

Japan Pushes for Stronger Partnership With India

By HEATHER TIMMONS


FT August 17 2007

Lunch with the FT: Edmund Phelps

By Ralph Atkins

(コメント) たとえば,こんな記述に興味が湧きます.

The creamy-white soup arrives, and I switch the conversation to Europe, which, Phelps believes, is doomed always to trail behind the US; the lack of innovation makes jobs dull and unsatisfying into the bargain. “I don’t begrudge Europe waiting to see what works in America before expending the resources to adopt this or that new good or technique,” he says. “I just think that the Europeans are depriving themselves of a high-employment economy and they are depriving themselves of intellectual stimulation in the workplace – and personal growth – by sticking to the stultifying, rigid system that I call corporatism.”


The Guardian Saturday August 18, 2007

Robot wars are a reality

Noel Sharkey

THE Guardian, August 20, 2007

The war on shapeless terror

Richard Sennett and Saskia Sassen

(コメント) 戦争というのは,機械のように人を殺せる兵士を必要としますが,ロボットなら申し分ない? また,戦争は市民に特別な心理状態と自由の制限,諜報活動を必要としますが,テロを強く意識した平和というのは,戦争と同じように申し分ない?


FT August 20 2007

Melting ice and Arctic adventures

(コメント) 北極も南極も,白クマとペンギンくらいしかいなければ良かったですが,・・・あいにく重要な資源がある.それは富と支配・軍事力の源泉であり,敵の手には絶対渡せない以上,必ず自分のものでなければなりません.国連などが安全に管理できる,とは決して信じないのです.


FT August 20 2007

European immigration

The Guardian Thursday August 23, 2007

After the gold rush

Will Somerville

(コメント) EUの新加盟諸国から生じた移民の規模は? それが旧加盟諸国の賃金水準に与えた影響は? ゴールドマン・サックスの調査報告が紹介されています.EUの中核諸国に,アメリカを超える率で,移民流入が続いている,ということです.しかし,EU外からの流入はそれより多い,と.

移民が賃金水準全般を引き下げたとは言えませんが,特に未熟練の低賃金労働者にとって,その賃金をさらに押し下げるという問題があるわけです.

また,東欧諸国の新規加盟によって得られた豊かな労働力供給は次第に枯渇する,という点で,次の移民をどこから得られるだろうか,とSomervilleは考えています.地球海沿岸,特にアフリカから,トルコから,インド・中国から?


FT August 21 2007

China’s capital controls

FT August 22 2007

Chinese investors unleashed abroad

(コメント) 中国は資本移動に関する規制の撤廃,自由化を検討しています.富裕層の投資家は,規制を回避して,すでに香港だけでなく国外に向かっているでしょう.移民規制でも,資本規制でも,規制による犯罪者の利益が,さらに深刻な犯罪を蔓延させます.

かつてアイケングリーンにインタビューしたときも,彼は資本規制ではなく,資本市場の整備と市場型の介入を重視しました.高速道路の設計を重視して,事故が起きないような構造にすることを求めたのです.ある程度の入場制限も必要です.しかし,市場を排除してやみ取引が増えるなら,結果はもっと悪くなります.

後者の論説は,同じような過程で,日本人はその痛みを知った,と指摘します.中国の投資家と政府がそれを回避できるか,あるいはショックに対して過剰な反応を避けることができるか,と懸念します.


FT August 22 2007

Japan’s economy: still just as crazy as ever

By David Pilling

(コメント) 日本では,移民流入も資本流出も問題にしていません.少なくとも表面上は.しかし,移民流入は続くでしょうし,資本流出も続くでしょう.もっと積極的に議論して,その体制を整えるべきだと思います.弱い個人が大きな損失を強いられるのではないでしょうか?

どちらの面でも,世界第二の経済大国,というのを思い出す人も少なくなってしまい,反面教師としてしか国際メディアに登場しない日本は,最終的に悲観論や依存症を脱却できたのでしょうか?

世界の株価暴落が波及すれば,土地や住宅のバブルに無縁であった地域の投資家として,日本人が世界の救世主になれたはずです.もちろん,よい物件について.円高が生じたら,それによって世界の資産を購入し,安価になった輸入材や石油を利用した投資が起きるのではないか,と思いたいです.サブプライム・ローンの不安で欧米のヘッジファンドが株を売りたいなら,日本人投資家が買えばよいでしょう.

金利を正常化したい日銀と,デフレを解消する必要がまだあるというエコノミストや政府の見解は対立したままです.世界の金融市場が動揺して,日銀は金利引き上げを延期しますが,その姿勢はあいまいです.バブル以後の日銀と政府への不信感は,高齢化する日本社会のガンとなりました.

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The Economist August 4th 2007

A good time for a squeeze

Upper-house elections in Japan: The humiliation of Shinzo Abe

America, India and the China bogey: A price too high

China’s military might: The long march to be a superpower

Japan: Keeping his head just above water

Sierra Leone: As you were

The credit squeeze: Abandon ship

(コメント) ちょうど良いときに住宅危機は起きた,と主張しています.バブルは破たんするしかないから,それが金融市場全体を機能麻痺させない程度に,経済全体が不況に陥らないときに,つまり,今なら,必要な調整過程である,というわけです.これほどの強気の楽観論を主張したのは,なぜか?


The Economist August 11th 2007

Is America turning left?

The Koreas: Mr Kim has the neighbours in

Asia’s rich and poor: For whosoever hath, to him shall be given, and he shall have more

Charlemagne: For your eyes only

Globalization and health: The maladies of affluence

Monetary policy: It ain’t easy

Economics focus: The mandarins of money