IPEの果樹園2007
今週のReview
3/19-3/24
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世界の英字紙HPからコラムを要約・紹介します.著作権は,それぞれ,元の著作権に従います.
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スイス軍の越境, EUの環境規制, EUの将来, 株価下落の連鎖, セブン・シスターズの変貌, 中国による円安調整, ブッシュのラテンアメリカ訪問, 従軍慰安婦, 民主主義の条件, 将来のリベラルな国際秩序1,2, 子供の奴隷労働, プライベート・エクワティ, 養豚の工場
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ただしFT:Financial Times, NYT:New York Times, WP:Washington Post, LAT:Los Angeles Times, BG:Boston Globe, IHT:International Herald Tribune, CSM:Christian Science Monitor
NYT March 10, 2007
By PETER STAMM
(コメント) 3月1日,スイス軍の兵士170人が国境を越えてリヒテンシュタインに入ったことは,ほとんどの新聞が伝えませんでした.
もちろん,それは軍事侵攻ではなく,スイス軍が夜間,悪天候によって,方向を間違えたのです.この事件は軍事的にも経済的にも,二国間に何の問題も生じませんでした.リヒテンシュタインには核武装や大量破壊兵器の密輸が疑われる理由も無く,そもそもこの150年間,軍隊がありません.
しかし,リヒテンシュタインは君主制を維持し,スイスよりも先に国連に加盟し,スイスが参加していないヨーロッパ経済圏に参加しています.それでも,リヒテンシュタインをスイスの27番目のカントン(郡)と呼ぶほど,人々は同じ方言を話し,同じ通貨を使用して,自由に行き来しています.
他方,スイス軍の歩兵が道に迷って任務を全うしなかったことについても,スイスでは当然のことと受け取られました.彼らはライフルを持つだけで武装していません.リュックには訓練の行軍用に重りを入れていました.500年間の中立政策により,交戦するような敵を考えることはできないし,特に東欧の社会主義圏がEUに入って,軍隊の存在理由が失われています.スイス軍は災害救助やスポーツ行事の補助活動に励んでいます.その意味では,リヒテンシュタインの君主制と同じくらい,その意味が変わっています.
軍事予算も減り,スイス軍は行軍をもっぱら得意とする集団として,石油枯渇後の世界で最も活動的な軍隊になれるでしょう.この事件は,少なくとも,軍事紛争が回避できることを示しています.つまり,愚かな越境行為が起きた際は,誰も知らぬ間に迅速かつ静粛に兵士たちを帰還させ,翌日,謝罪会見を開くことです.
The Observer Sunday March 11, 2007
Will Hutton
IHT Tuesday, March 13, 2007
A third way for the environment
David Howell and Carle Nakhle
FT March 15 2007
Why emissions curbs must be simple
By Martin Wolf
(コメント) サッチャーが執拗に,ヨーロッパとの違い,EUへの敵意をイギリス人に吹き込んだにもかかわらず,イギリスはヨーロッパだ,とWill Huttonは喜びます.
それはEUの合意形成にイギリス政府も貢献したからです.Huttonにとって,EUが環境政策で統一した政治的意志を示したこと歴史的に重要な成果でした.ドイツのメルケル首相が合意形成を促し,EUは温暖化ガスの排出量を削減し,化石燃料への依存を減らし,再生可能なエネルギーへの転換を促すことになりました.それは確かにヨーロッパ企業の負担を強いるものです.しかし,だからこそ,決して一国ではできなかった,と考えます.
京都議定書後の国際体制を目指すためにも,EUが率先して一歩進むことができました.他国の様子を見て自分から動こうとしない政府ばかりです.そんな中でメルケルは,京都議定書をまとめる責任者でした.EUの議長国であることを利用して,フランスの原子力発電所を組み入れ,また,東欧諸国には達成年度を遅らせることを許して,EUの合意に対する反対を押さえ込んだのです.
EUは化石燃料への依存だけでなく,ロシアや中東地域への依存を脱し,独自の世界戦略を展開する基盤を得るのです.
David Howell and Carle Nakhleも,環境問題への政治的合意形成を期待します.厳しい環境規制や課税強化は,企業の競争力を損ない,消費者にも価格上昇の付けが回るとして反対されます.それはEU加盟国間の政治対立につながり,12カ国は反対するだろうと言われました.
しかし,EUは一方においてエネルギー供給と安全保障について目標が一致しており,他方では温暖化ガスを減らして,環境にやさしい,クリーンな世界を子孫に残すという長期的目標でも一致しています.これらは矛盾した目標ではないし,政治的対立は克服できます.環境破壊による終末論を信奉して一切の妥協を拒む者や,温暖化の科学的な根拠など存在しないと主張する者は,政治的な合意に入らないでしょう.しかし,他の多くの者は,生活水準を維持し,貧しい諸国の開発を可能にし,同時に,海面が上昇せず,きれいな大気や河川,自然に親しめる生活や森林を守りたいと考えています.
EUは,政府間の対立を同盟に転換できます.さまざまな目標を統合する長期のプランを示すことです.
Martin Wolfは,環境破壊が政府介入主義者の隠れ蓑になる,と疑念を示します.さまざまな党派とイデオロギーが “man-made climate change hysteria” を煽って,自分たちの立場を強化するために利用します.彼らは結果的に「市場」や「自由企業経済」を破壊するでしょう.しかし,市場リベラル派も,環境破壊について正当な関心を払っている,と.
「いかなる政策も世界的に実施しなければならない.それは安定的な誘因を作り出すものでなければならない.それは管理が容易でなければならない.それは新技術への投資と普及を図るものでなければならない.それは人々ができるだけ自由に過ごせるものでなければならない.二酸化炭素排出に統一した価格を付けること,理想的には課税,がこうしたことを行うだろう.それ以外のことはすべて不要であり,不毛である.」
William Keegan Listen to Mr Greenspan - there's nothing so fragile as a bubble The Observer Sunday March 11, 2007
GRETCHEN MORGENSON Crisis Looms in Market for Mortgages NYT March 11, 2007
John Authers The Short View: Dr Doom’s diagnosis FT March 14 2007
Jephraim P Gundzik A sea-change in risk perception Asia Times Online, Mar 16, 2007
(コメント) マルクスの復讐・・・? 社会民主党政権の下で,労働者の交渉力が強くなりすぎたせいで,移動性の高まった資本は外国へ逃避するようになった.今度は労働組合が政府や資本と必死に協力するようになっている.その結果は? 利潤が増え,所得格差が開き,投資が過剰に行われて,最終的には資産市場の水準が高くなりすぎた.そして今度は,資産価格の水準を引き下げる動きに拍車がかかる.・・・
アメリカの住宅モーゲージ市場は,アメリカ財務省証券よりも多く,6兆5000億ドルの規模があります.その変調は,重大な影響を世界に及ぼすかもしれません.
問題は,流動性という言葉の意味が変わったことだ,とカウフマンは言います.かつて,流動性とは,資産と比べた現金保有量のようなものでした.しかし,今や,企業も家計も流動性と信用の利用可能性とを区別しなくなりました.現金は重要だが,いつでも借りることができる,と.証券化が進んで,リスク評価モデルが普及しました.ところが,そのモデルは市場の「ファンダメンタルズ」が一定であると仮定し,市場の構造が変化することを考慮しません.こうしたモデルが利益をもたらすほど,リスクを取る行為がもてはやされました.
それは,アメリカと日本の金融当局がそれを助長した,とJephraim P Gundzikは考えます.すなわち,日本型のデフレが起きるのを恐れたグリーンスパンが金融緩和を急ぎ,世界のリスク評価が変化して金利とドル価値は低下し,貴金属の国際価格や株価・住宅価格が上昇したまま,その後の崩壊を準備していた.それにもかかわらず,人口動態などからデフレを経験した日本は,金融政策に過度に依存し,グリーンスパンの成功を輸入しようとゼロ金利,さらには「量的緩和」まで突き進んだ.キャリー・トレードが,日本だけでなく世界の投資家たちのリスク評価を狂わせた,と.
・・・アメリカと日本の中央銀行が主催し,世界最大の投資銀行やブローカーたちが加わった「仮面舞踏会」が終わる.住宅市場の変調からアメリカの景気,株価が動揺し,ついにドル価値が下落し続けて,貴金属の価格上昇とインフレを波及させる.・・・?
FT March 11 2007
The new Seven Sisters: oil and gas giants dwarf western rivals
By Carola Hoyos
(コメント) 世界の政治権力構造を左右する重要な要因として必ず挙げられるのが,エネルギー,特に石油の供給です.面白い記事です.
「怒れるエンリコ・マッテイが『セブン・シスターズ』と呼んだのは,第二次世界大戦後に中東の石油供給を支配したアングロサクソン系の会社であった.イタリアの近代的エネルギー産業を興したマッテイもわずか50年でこれほど根本的な権力の移動が起きるとは,想像もしなかっただろう.」
その生き残りである,アメリカのエクソン・モービルとシェブロン,ヨーロッパのBPとロイヤル・ダッチ・シェルは,世界の石油・天然ガス生産量のわずか10%,石油埋蔵量のたった3%しか占めていません.それでも彼らはガソリン・スタンドを支配し,ディーゼルや石油化学産業を支配しています.それゆえ売り上げでは上位を独占しているのです.
石油・天然ガスの埋蔵量や新技術,新市場への支配力を考慮すれば,新しいセブン・シスターズは次の7つの会社です.サウジ・アラビアのアラムコAramco,ロシアのガスプロムGazprom,中国のCNPC,イランのNIOC,ベネズエラのPDVSA,ブラジルのペトロブラスPetrobras,マレーシアのペトロナスPetronas,です.彼らこそが新しいルールを決めるのであり,その他の石油企業は新しいルールに従うでしょう.
この変化を強いた最も重要な要因は,資源ナショナリズム,です.石油の最後の供給調整国,中央銀行として生産量の拡大に投資するサウジ・アラビアはそのトップを走ります.1930年代に石油資源を国有化して,この動きを先導したメキシコ政府は,その後,中東にも広がり,1980年代,90年代の石油価格下落で後退しました.しかし,最近の石油価格高騰はベネズエラやロシアに従来の開発契約の見直しを可能にしています.
しかし国有企業は,メキシコのPemexがそうであるように,石油価格の上昇による利益を再投資に使わず,政府の財政を通じてさまざまな人気取りの支出に消尽してしまいます.石油供給を維持する長期的な投資や技術開発も,近視眼的な議会は認めません.
石油の新しいルールで最も顕著な点は,中国やインドの猛烈なエネルギー需要と,それを満たす石油資源開発投資が現れたことです.旧セブン・シスターズが母国の世論を意識して投資を控えるような紛争地域で,新しいエネルギー争奪戦が過熱しています.また,Petrobrasはブラジル沖の深海油田を開発した技術で世界の海底油田を開拓しています.
旧石油資本は,彼らがいつか技術や市場に関する協力関係を求めてくるかもしれない,と淡い期待を抱いています.しかし,将来石油価格が若干下がる時期があっても,彼らの支配は揺るぎそうにない,と.日本は,石油供給をめぐる新しいルールに,どのように参加するのでしょうか?
FT March 12 2007
The yen beckons China’s dollars
By Fred Bergsten
(コメント) 円高や円安をめぐって(アメリカの利益を棚に上げて)為替レートを云々するFred Bergstenの発言を,以前から日本の政府関係者や金融市場は嫌っていたように思います.おそらくこの論説にも,またか,と憤慨する人がいるでしょう.
1.中国政府は1兆ドルを超える外貨準備をドル資産から分散しようとしている.さもないと,アメリカが持続可能な経常収支の水準に調整するまで,ドルは約20%も減価するから,中国は史上空前の為替差損をこうむるだろう.
2.問題は,何に分散投資するか,である.その規模から言って,選択肢は限られている.ユーロか,その他のヨーロッパ通貨,そして円である.しかし,ユーロや他のヨーロッパ通貨に投資するのは好ましくない.なぜなら,それらの通貨はすでに過去5年間ドルに対して調整してきたから.
3.それに比べて,円に投資することは為替レートの国際調整を促す意味でも,中国が為替差益を得られるという意味でも,非常に好ましい.今の円は著しく過小評価されており,日米で協調介入した1998年や,G5がプラザ合意によってドル安・円高を促した1985年よりも減価している.
4.中国の外貨準備がドルから円に移されれば,持続的に円高・ドル安が進み,為替レートの国際調整と世界の経常収支不均衡を解消することに役立つ.人民元と並んで大幅な増価を必要とする唯一の通貨である円に投資することが,中国の利益になる.
5.中国による対日投資と円高が二国間の摩擦になる,と恐れることはない.中国も日本もアジア通貨間の協調体制(チェンマイ・イニシアチブやアジア通貨基金)を支持しており,日本にもドル準備の一部を人民元に投資するよう呼びかけることだ.両国間で為替レートの望ましい調整を合意し,協調介入すれば良い.
6.かつてプラザ合意で行ったような為替レートの調整が,今であればアジア諸通貨を含めた形で,必要である.中国は為替差損を抑えるために外貨準備を分散しなければならない.この二つは,中国が円に分散投資することで実現できる.こうして世界の安定と調整も促される.
・・・中国の分散投資を利用して日本に円高を強いる! これは,中国を操って日本も道連れにする形でアメリカの対外不均衡維持とドル安調整を助けるために,アメリカがよくやる謀略なのでしょうか? 確かに,すべての国家は自分勝手であり,帝国主義的です.
しかし,もし調整のための国際的なルールに基づき,専門家グループが望ましい調整過程を研究するとしたら,多分,同じような政策(強調点は異なる)を提言するのではないでしょうか? こうしたアイデアや新秩序への構想を,アメリカの政策シンク・タンクではなく,日本から提示できないことが残念だと思います.
FT March 12 2007
Russia’s tame parties are no safety valve for social discontent
(コメント) アジアの「管理フロート」ではなく,次の話題はロシアの「管理デモクラシー」です.
年末の大統領選挙に向けて,プーチンの与党と管理体制は万全です.それが民主主義に見えないとしても.自分がその後継者を指名するわけです.ロシアの有権者は,西欧型の民主主義よりも,プーチンの管理デモクラシー,あるいは,以前のソビエト型デモクラシーを支持する,というのが驚きです.それほど90年代の経済崩壊は嫌われているのです.
ところが,クレムリンは不安を感じているようです.市場改革派や共産党の影響は残っており,さらに,官製の野党や反体制派が本当に人々の不満を集めてしまうかもしれません.人々は貧しく,その不満を表明する場はありません.
FT March 12 2007
Halliburton goes to Dubai
NYT March 13, 2007
The Death of Geography?
(コメント) イラク占領や復興で大きな利益を得て,ブッシュ政権,特にチェイニー副大統領との関係が問われている,戦争から国家の再建まで? 巨大エネルギー・ビジネス,ハリバートン社がドバイに移りました.そもそも1940年にパリからヒューストンに移って来たそうです.・・・そこに石油があるから!
アメリカ政府からの莫大な契約を奪い取って,さっさとアメリカから抜け出す世界企業に,政治家たちの不満は高まるでしょう.・・・これでアメリカの法律を気にせずに商売できる?
Gideon Rachman How to help the huddled masses through immigration FT March 12 2007
Elizabeth Corcoran Silicon Valley's Immigration Problem Forbes, 12 March 2007
Jeff Jacoby Illegal immigrants are here to stay BG March 14, 2007
Immigration Misery NYT March 15, 2007
(コメント) 9・11以後,国外退去させられた多くの移民の一人として,アメリカ社会や経済の魅力は失われており,政府の再考が必要だ,とGideon Rachmanは主張します.シリコン・バレーも技術者や労働者が不足し,開発作業に支障をきたしています.合法であれ,非合法であれ,アメリカは移民労働者たちに大きく依存しています.
彼らは犯罪者だろ? そうだろうか? もし多くのドライバーが毎日,ハイウェーの速度制限を越えて働いているとしたら,彼らは犯罪者なのか? そうではない.むしろスピード制限が安全な走行にとっても低すぎるのであり,引き上げるべきだろう.
移民を規制し,排除すればするほど,非合法移民たちの労働条件は悪化し,他方,農家は作物が収穫できないことを心配します.
The Guardian Monday March 12, 2007
Michael Lisman
BG March 14, 2007
A 'New Deal' for Latin America
By Mark L. Schneider
(コメント) ブッシュ大統領による中南米訪問の目的は,一つには,自由貿易体制を確立することです.しかし,南北アメリカ自由貿易圏はベネズエラの石油と資金,ラテンアメリカの地域経済圏という対抗勢力によって阻まれています.
CAFTA中米自由貿易協定は,ブッシュ政権の成果として示したいはずですが,それが地域の繁栄や安定につながると信じる者は多くないでしょう.治安の悪化や貧富の格差,麻薬など,自由貿易では解決できない問題は山積しています.そこで,ブッシュ訪問のセールス・ポイントが,彼らの認める数少ない社会政策,「教育」への投資になったのではないか,と思います.
Mark L. Schneiderに言わせれば,これは「ニュー・ディール政策」です.2015年までにラテンアメリカから絶対的貧困をなくす,とブッシュ大統領は約束します.もちろん,この問題こそ各地で反米の左派政権を誕生させている背景だからです.
政治家や政策担当者,そのイデオローグは,支持者たちを説得するために,たいてい,自分たちの過去・歴史から理由を見つけます.アメリカが同様の厳しい経済困難と貧困の広がり,政治不安に直面した時代をさがせば,それは大恐慌です.ニュー・ディール政策やテネシイ渓谷開発公社によって,莫大な社会インフラ投資,開発投資が行われました.
世界銀行は報告します.ラテンアメリカとカリブ海域では,国民の所得上位10%を占める裕福な階層が全所得の48%を得てしまう.逆に最下位10%が得るのはわずか1.6%でしかない,と.
確かに,奴隷制によって富を支配したアメリカ南部は,同様の貧困が社会や政治を支配していたのかもしれません.もしブッシュ大統領が,ラテンアメリカも同じように変わることをアメリカが助けよう,というのであれば,チャベス大統領の「21世紀型社会主義」と競い合うことです.
The Guardian Monday March 12, 2007
No truth and no reconciliation
Justin McCurry
Asia Times Online, Mar 16, 2007
The need to dwell on Japan's past
By Ralph A Cossa and Brad Glosserman(president and executive director, respectively, of the Pacific Forum CSIS)
FT March 14 2007
An accountability gap is holding back Japan’s economy
By John Plender
(コメント) 従軍慰安婦問題は,その後も,日本でほとんど取り上げられていません.これはメディア・コントロールでしょうか? その一方で,渡辺何某大臣が官僚の天下りを禁止する厳しいルールの作成を提示し,これについて政府の方針を自民党が批判する,という,まるで正反対の騒動が何度も報道されています.
・・・私には不思議であり,不快です.天下りに関して,このように政府と与党が対立を騒ぎ立て,時間をかけて,「抵抗」したり「批判」したりすることを演出しているのではないか? 「小泉劇場」を再現したいだけではないか? 野党もまた,日本が関わった過去の戦争に対する毅然とした姿勢を示すより,何某大臣の光熱費とか,怪文書,怪メール,スキャンダル探しに明け暮れるのか?
Justin McCurryは憤慨します.安倍政権は,従軍慰安婦が日本軍の政策ではなかったし,女性たちが自ら買春していたか,あるいは,軍隊ではなく第三者が介在していた,と主張した.かつてその責任を認めて謝罪した河野談話は間違いだった,と自民党は主張している.
・・・なぜ日本の外務大臣は外国のメディアに英字の論説を掲載してもらい,あるいは,外相自ら海外メディアの取材を受けて,公式に証拠を挙げて反駁しないのか? もちろん,安倍政権の支持する考えが他国ではまったく通用しないのであれば,それを受けて日本の国会や選挙で論戦し,詳しい情報を示して,国民の判断を求めるのが良いでしょう.
近隣諸国や安全保障を共有する同盟諸国の主要メディアや政治家が,安倍というのは,北朝鮮を非難することで政治的な評価を得てきた保守強硬派で,最悪の歴史捏造者だ,という声に対して,日本の政治指導者として何も答えようとしないのは外交的威信を放棄することであり,異常です.
John Plenderは,日本に関する他の話題,すなわちライブドアの株価吊り上げと粉飾決算に問われている堀江被告について書きます.村上ファンドの事件も含めて,日本の投資家の行動が変化する過程で,さまざまな衝突が起きたわけです.しかし変化は実現し,さらに進む,と期待します.日本の企業や株式市場,金融システムが新しいガバナンスを得て,十分な利益と配当を出し,輸出よりも国内消費に依拠して,技術革新や完全雇用を維持する経済のダイナミズムを発揮する時代に向かって,漸くここまで進んだ,・・・と楽観できるなら,本当に良いのですが.
メイン・バンク制度の後退した穴を埋める新しいルールは見当たらない,という評価です.
The Japan Times: Thursday, March 15, 2007
North Korea prefers Bush?
By GREGORY CLARK
(コメント) ニクソンでも,毛沢東でも,強力な指導者による外交の転換は短期間で起きます.日本の安倍政権は変化から取り残され,拉致問題の解決に関してさえ,交渉から取り残されています.ブッシュはすでに舵を切ったのではないか?
The Guardian Monday March 12, 2007
So you think you live in a democracy?
Ronald Dworkin
(コメント) アメリカもイギリスも(もちろん日本も),民主主義の条件を満たしていない,とRonald Dworkinは批判します.その条件とは?
「政府は人権を尊重しなければならない.すなわち,信仰の自由を尊重し,その他の良心の自由を尊重する.政府は富を,その経済に参加しているすべての者が公平な分け前を得るように,分配しなければならない.何よりも,政府は選挙を実施し,いずれの市民も単に投票数としてだけでなく,説得しなければならない相手として,その他の政治論争を進めなければならない.」
ところが政治家たちは有権者を無知な消費者として扱います.選挙スローガンとサウンドバイトを撒き散らせばよい,と.なぜか? アメリカには二つの異なる文化があって,その間では政治論争など無駄だから,という説が広まっているからです.一方にはレッド・カルチャー.信仰を公言し,ビールを飲んで,アメリカ中部に暮らし,共和党に投票する.他方にブルー・カルチャー.信仰は(あるとしても)プライベートな問題であり,白ワインを飲んで,東西両海岸に住んで,民主党に投票する.
しかしDworkinは,二つの基本原則を認めて,政治論争を回復できる,と主張します.1.それぞれの生命・生活を,挫くのではなく肯定する.2.誰でも自分の人生についてその評価を他人に委ねることはできない.この二つの原則を認めた上で,すべての政治論争はその倫理的な問いに答えなければならない,と.
さらに,すべての若者に,中学や高校で,主要な政治論争の背景を詳しく説明して,それに加わるよう訓練するべきだ,と提言します.
FT March 13 2007
Adam Smith’s hidden hand is vanishing
By Philip Augar
(コメント) 金融市場においてはアダム・スミスの「見えざる手」が働かない,という話です.情報はきわめて非対称で,投資銀行やヘッジ・ファンドの幹部が桁外れの報酬を得ています.それは,金融市場の新しい手段が複雑で,利用者に十分理解できないことと,強化された金融規制の誤りも重なっている,と.
FT March 13 2007
Why liberalism is the right future for a declining Europe
By Martin Wolf
(コメント) Angus Maddisonの数値による棒グラフは,鮮烈なイメージを伝えています.1700年から2003年までの世界経済を見れば,中国やインドの割合が減少し続け,最初はヨーロッパ,すなわち英独仏が拡大します.しかし,急速にアメリカが大きくなって,その後は,中国が復活し,インドも回復し始めたことを示しています.日本はすでに縮小しつつあります.
もし人口や工業生産,成長率,軍事力だけで見れば,ヨーロッパの衰退は避けられません.しかしMartin Wolfは,ヨーロッパの成功はそのような基準で測るものではなく,諸国家が互いに拡大する中で戦争することを止めて,共通の法律を受け入れ,協力する仕組みを通じて加盟諸国を拡大することに成功した点を強調します.それは,第二次世界大戦後に,主に,ドイツの政策思想家や指導者たちが描いたヨーロッパのリベラリズムです.
どれほどヨーロッパ憲章が議論されても,それによってヨーロッパ合衆国が生まれることは無い,とWolfは考えます.むしろリベラリズムが繁栄するためにこそ,その経済を再生し続けることが重要だ,と.すなわち,1.雇用増加,2.福祉国家の改革,3.自由企業,4.アイデアへの投資,5.発展途上諸国の開発を助ける,6.温暖化ガスの排出量規制を円滑に行う,7.中国やインドなど,新興市場の繁栄する未来に適応する.
「安定と協力のゾーン」,「自由と法治のゾーン」として,ヨーロッパは将来の繁栄を手にするでしょう.・・・日本政府には,その構想があるか?
The Guardian Tuesday March 13, 2007
The threat of Balkanisation
Sami Khiyami(the Syrian ambassador in London)
(コメント) シリアの駐英大使はアメリカの中東政策を批判します.それは,一部,アラブ世界の反米感情によって歪んでいるかもしれませんが,非常に説得的な,あるいは反論や妥協の余地を残す現実的な理解です.
・・・アメリカはロシアや中国などの台頭に懸念を深め,保守強硬派は中東の石油を支配することがぜひとも必要と考える.そのためにはアラブ世界を分断する必要がある.それはまた,彼らが特に重視するイスラエルの防衛にとって重要だ.彼らが中東に介入する口実は,9・11によって与えられた.国民の復讐心を煽り,イラクへの軍事侵攻に結び付けて,イラクの分裂や中東諸国の秩序を破壊し続けている.それは中東のバルカン化を目指すものだ.
イラク占領には失敗し,その結果,今は中東の親米勢力を助けることと,イランの脅威を誇張してイラクに米軍を駐留させることを目指している.他方,シリアは,イラクからの外国の軍隊の完全撤退と,アラブ諸国家による秩序の安定を目指している.憲法と統一イラクを守るイラク軍に秩序を委ね,バース党関係者とその活動を合法化すること.賢明で,公平で,断固とした政府が平和をもたらす.それは,パレスチナとイスラエルについても同じだ.・・・
YaleGlobal, 13 March 2007
Globalization and Child Labor: The Cause Can Also be a Cure
Susan Ariel Aaronson
(コメント) アフリカにおける子供の奴隷労働を終わらせるには,どうすれば良いのか?
2000年にBBCなどが調査して,ガーナや象牙海岸には1万5000人もの子供奴隷が働いている,と報道しました.アメリカの政治家たちが憤慨して,ココアとその加工品の輸入を禁止する法案を準備しました.これに対して西アフリカのココア業界は130億ドルの市場を失う不安でパニックに陥り,法案成立を阻止するために自主的な規制を行います.それがココア議定書the Cocoa Protocolです.
実際,象牙海岸だけでも,ココア関連産業で700万人が働いており,もし禁輸されれば脆弱な経済基盤が破壊されるでしょう.それに比べて,子供は労働者の1%にも満たないのです.貿易を阻止することが子供を働かせる背景にある諸要因を解消することも無いでしょう.すなわち,無学,貧困,他に生活の糧を得る手段が無い,という事情です.
2001年9月に成立したココア議定書は,子供奴隷をなくすために,企業だけでなく,組合や市民団体,政府も加わって,国際労働基準を満たす農場には証明証を発行し,2005年7月までに子供奴隷を一掃するはずでした.ところが,実際は,監視や規制がまったく行われず,2006年のBBCによるカカオ農場の調査で,広く子供が働かされていると分かりました.
この結果に失望し,ココア議定書を離脱するNGOも現れました.しかし,公正貿易運動や政府による保証ラベルには限界もある.その確認は難しく,WTOにも問われかねない.むしろガーナと象牙海岸では政府が議定書による監視を強め,さらに,子供を学校に通わせるよう授業料を免除し,学校に行かせると家族の所得が上がることを説得している.
ココア議定書は単一部門の改善の試みでしかなく,子供奴隷をなくすことにはならない,として経済全般の対策を求めています.特に,大人たちの賃金が家族を養う十分な水準に引き上げることです.
Bloomberg.com, 14 March 2007
The Secret World of Modern Slavery
By Michael Smith and David Voreacos
(コメント) アマゾンの森林から炭を作る奴隷労働の話です.約1000の炭焼き工場で彼らが賃金も支払われずに作った木炭が,製鉄に使われ,その鉄はGMやトヨタにも使用されます.それは,たとえば,自動車,トラクター,流し台,冷蔵庫の一部となってアメリカの消費者に届きます.
ラテンアメリカでは1888年に奴隷制が廃止された後も,現在なお約100万人の男女がほとんど賃金なしで働かされている,とILOは報告しています.
FT March 14 2007
The rise and fall of angst-driven economies
By Guy de Jonquieres
(コメント) なぜある国は成長するのに,他の国は成長しないのか? 資源があるから? 平和や政治的な安定性? 勤勉や倹約の文化? 宗教?
不安や苦悩から成長を加速するケースもある,とGuy de Jonquieresはアジア諸国の例を挙げます.日本,韓国,シンガポール,中国,・・・ しかし,急速に成長した日本の奇跡を支えていた人々の集団的な熱気は,最近訪れた日本から完全に消えていた,と書きます.人々は目標を見失い,厳しい仕事を嫌い,自分だけの楽しみを求めます.日本人は成熟した,と.また,不安から達成される成長の加速は,しばしば,偏狭な視野に固定されがちだ,と警告します.日本はバブルを放置し,韓国のチェボルも金融危機に陥り,・・・中国も多分.
FT March 14 2007
Private equity can help itself ? and the public
By Jeffrey Garten
プライベート・エクワティ投資会社がヨーロッパで企業資産の剥ぎ取り,アメリカでは反競争的行為で告発されている.さらにワシントンではそのパートナーたちが税金をごまかしたのではないか,という嫌疑も起きている.そのために,アメリカの主要プライベート・エクワティ(Blackstone, Texas Pacific, KKR and Carlyle)が自分たちの業界団体(the Private Equity Council)を組織し,イギリスでも同様な動きがある.
しかし,これでは不十分だ.彼らの規模や所有する企業の広がりから見て,また,プライベート・エクワティがパートナーたちにもたらしてきた富,それを取り巻く謎,さらに,もっと大きな,政治的に微妙な問題が起きるという懸念を考慮すれば,彼らが議会にロビー活動を行い,わずかな情報を示したとしても,批判や監督官庁の介入を免れることは無いだろう.そこで,彼らが検討すべき手段を示しておく.
最も優先するべきは,プライベート・エクワティが関わる莫大な金融レバレッジについて,それが世界の金融システムにリスクを広める危険をなくすことだ.世界に氾濫するチープ・マネーの奔流が干上がって,いくつかのプライベート・エクワティが債務支払に問題を抱え,その影響が銀行やヘッジ・ファンドに拡大するかもしれない.
潜在的な問題を避けるために,大手のプライベート・エクワティは自ら資本構成や借入れ,債務支払戦略,に関する詳しい情報を,極秘扱いで,中央銀行に提供することだ.こうすれば,当局が金融安定性を維持する責任に見合った正しい情報を得ていることを誰も疑わないだろう.さらに,主要プライベート・エクワティは彼らの行動に関する誤解を解くように,その他の情報も集める独立の権限を持つ機関を設置することだ.
(第二に)公開する情報としては,コスト・カットの名目で,短期的な利益を得るために雇用を削ぎ落としたのではないか,環境規制を無視したのではないか,重要な研究開発活動を取り除いたのではないか,元の活気あるコミュニティーを空洞化したのではないか,といった疑いに応えるものがなければならない.それはまたプライベート・エクワティが公開される前に行っていた投資に関する情報も含む.データは主要会計事務所の監査を受ける.独立機関と第三者による立証は情報の信頼性を得るために欠かせない.そのような信頼性は業界団体の報告では決して得られない.
第三に,プライベート・エクワティがこれほど関心を集める理由として,そのパートナーたちが得ている報酬がある.それゆえ,こうした者たちはその企業名を冠した寄付・慈善組織を設けて,その規模と範囲に見合った活動を行うべきだろう.
ファンドによっては,労働者たちの再訓練を助けたり,産業再編によって苦しめたコミュニティーに投資するものもある.カーネギーやロックフェラーが慈善かとして活躍するまでには長い時間がかかった.しかし,ビル・ゲイツはもっと短期間にそれを成し遂げ,その起業と彼自身にとってプラスの効果を与えている.新興の大富豪たちもこの点を忘れないように.
こうした手段を取ったとしても,大衆の関心は尽きず,メディアの非難は続くだろう.もし詐欺行為が暴露され,脆弱な金融的基礎が露見し,政府による調査が始まれば,彼らの努力も無駄になる.
しかし明白なことは,プライベート・エクワティが自分たちのことを熟慮しておりますという程度の戦略にとどまるなら,いい加減な理由で非難を浴びるだろう.
それは良くない.世界には,公開市場も必要だが,それと並んで,あるいは対抗して,プライベート・エクワティも必要である.確かにプライベート・エクワティの投資家たちは数十億ドルという利益を得ている.それは彼らが因習的な経営に挑戦し,自分たちが起業を所有しているように考える経営陣と戦ったからだ.彼らは大規模な企業再編の尖兵であり,こうして新興市場の企業が世界的なプレーヤーに育つ.彼らを助けることで,プライベート・エクワティは公共の利益を実現している.
FT March 15 2007
Europ must rein in the power of private equity
By Brendan Barber
WP Thursday, March 15, 2007
The Private Equity Boom
By Robert J. Samuelson
(コメント) 資本主義の二面性は,一方で投資をめぐる個人の強欲であり,他方で利益を上げる工夫や改善を通じて達成される人々の生活水準向上なのです.後者を訴えるけれど,長い眼で見れば,融資によって企業を買収し,バブルとその破綻の影響を増幅するのではないか? それゆえ,さまざまな規制が議論されています.
NYT March 14, 2007
By NICOLETTE HAHN NIMAN
(コメント) 世界最大の豚肉生産業者,Smithfield Foodsは豚の妊娠箱gestation cratesを廃止すると発表しました.環境についての弁護士であるNICOLETTE HAHN NIMANは,それで十分とは考えません.現代の「動物工場」に関して,その生命に対する虐待,異常な繁殖・飼育・処理過程,人間に及ぼす悪影響,などを問う論説です.
窓も無い建物に,鋼鉄の檻の中で,豚は誕生し,捕食し,排泄し,屠殺されるまで飼育されます.彼らは生涯歩くことも走ることも無く,さまざまな病気やバクテリアにさらされ,それゆえ,人間では許されないような膨大な抗生物質を投与され,ひたすら体重を増やすだけです.もし自由に走り回って,自然の中で育つなら,豚は犬のように細い,という獣医の言葉が紹介されます.
この生き物たちが味わう悲惨な生活を忘れることはできない,と筆者は書きます.アメリカ人の多くも,自分たちの食べる豚肉を,その屠殺だけでなく,誕生や飼育においても,人道的に扱われることを望みます.1958年に,人道的屠殺に関する法律Humane Slaughter Actができました.妊娠箱の廃止は,小さな一歩です.
FT March 15 2007
The west cannot hide from the disordered world beyond
By Philip Stephens
Foreign Affairs, 15 March 2007
The New New World Order
Daniel W. Drezner
(コメント) Philip Stephensは,私たちが向かえる将来のイメージを示します.新しい世界地図は,1.原始的暴力・カオス圏,2.貧困・疫病圏,3.武装過激派・暴力政治圏,4.若者・移動人口圏,5.地下資源・腐敗圏,などから成っています.しかもこれらは互いに影響し,強め合います.
しかも,私たちは認めるしかありません.私たち,秩序・繁栄圏に生きる人々の生活も,こうした圏域から資源に決定的に依存しているのです.それゆえ,たとえ孤立主義を支持し,「帝国主義」の冒険を非難する人々も,こうした他の圏域と無縁ではありえないのです.これはネオコンの信奉者に限りません.
国連は,2050年まで,毎年200万人がわれわれの圏域に流入すると推計します.戦争も貧困も,ギャング団もテロリスト組織も,圏域を越えて浸透します.ヨーロッパや日本は,それでも空の中に閉じこもっておけば,われわれ異常に世界の混乱を死活的に考えているアメリカが介入するはずだ,と嵐の中で静観することを賢明と見なしています.
しかしアメリカ人は,もはや新しい紛争や破綻国家に自国の若者を送らないでしょう.皆のために問題を処理する役目は引き受けたくないのです.新しい世界地図には,もう一つの圏域が存在します.新興勢力圏です.世界の権力シフトは急速に進んでおり,中国とインドの台頭がアメリカの一方的な秩序構築能力を殺いでしまいます.
この新しい世界を既存の世界的組織や機関が統治する能力は非常に限られています.旧式な権力構造や権力者たちは自分の支配を容易に手放しません.つまり,世界は常に移動する同盟関係,言うなれば,アラカルト多角主義によって統治されるほかないのです.
西側の利益は,このボロボロの世界に,圏域を超えて安全,繁栄,そして,民主主義的な自由という価値を輸出することにあります.そして時が経てば,新興勢力圏においても同様な価値が生まれるだろう,・・・と期待して,彼らからの支援を待つのです.
Daniel W. Dreznerは,ブッシュ政権の「ユニラテラリズム」を,むしろ新興勢力を加えた世界機構に向かう過渡期の模索であった,と理解しています.ブッシュの帝国? ・・・いやいや,それは誤解だよ・・・本当は,・・・という話です.「失敗は成功の始まり」説? 「必要は発明の母」説? 「理性の狡知」説?
The Guardian Thursday March 15, 2007
Labour doesn't need to be coy about its egalitarianism
Anthony Giddens
(コメント) 労働党のブレア政権を理論的に支援してきたAnthony Giddensが,ゴードン・ブラウンに勝利の戦略を示します.世界市場において生き残るためにも,増税によらず環境への負荷と社会的な不平等を是正し,もっとEUを支持して,イラクからの撤退だけでなく,それを超えた外交の課題を示し,福祉国家の再構築にも独自のアイデアと指導力を示せ,と.
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The Economist, March 3rd 2007
A walk down Wall Street
Markets: Grey Tuesday
South Africa: The long journey of a young democracy
The end of the blues: A special report on America’s South
Beijing Olympic frenzy: Inflated by the Olympic spirit
Foreign Policy: Turn and turn again
Latin America and the United States: Spring break
Divorce: For richer and poorer
Container ships: Maxing out
(コメント) 2月27日の灰色の火曜日について,多面的な要因の整理が見られます.南アフリカとアメリカ南部の報告が比較を意図したわけではないとしても,興味深いです.アメリカ南部のように,アフリカや,世界中の荒廃した貧しい地域も,暴力や法律による変化を準備しています.
今はアメリカの住宅市場が,そして,次は北京オリンピックが,世界恐慌の鍵を握ります.それと並行して,アメリカは中東でもラテンアメリカでも外交による秩序の再編を再開しました.
「結婚は愛情の問題である.しかし,離婚はビジネスだ.」 EU内部でも各国の離婚に関する法律は大きく異なり,ますます増えるグローバルな(そして裕福な)カップルによる離婚処理の国際競争が起きています.あるいは,これこそ古典的なグローバリゼーションの基礎である,パナマ運河も,マラッカ海峡も無視した,超巨大コンテナ輸送船の話も面白いです!