IPEの果樹園2007

今週のReview

1/29-2/3

IPEの種

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世界の英字紙HPからコラムを要約・紹介します.著作権は,それぞれ,元の著作権に従います.

******* キー・ワード **********************

イラク1, イラク増派2, グローバリゼーション, 中国の宇宙軍拡, コーポラティズムの終焉, 中国からの分散化

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ただしFTFinancial Times, NYTNew York Times, WPWashington Post, LATLos Angeles Times, BGBoston Globe, IHTInternational Herald Tribune, CSMChristian Science Monitor


IHT Friday, January 19, 2007

Bosnia is no model for Iraq

Don Hays, R. Bruce Hitchner and Edward P. Joseph

WP Friday, January 19, 2007

A Plausible Plan B

By Charles Krauthammer

LAT January 25, 2007

Our mercenaries in Iraq

By Jeremy Scahill

LAT January 25, 2007

Fight today or occupy forever

Jonah Goldberg

Asia Times Online, Jan 27, 2007

Toward a new UN security role in Iraq

By Kaveh Afrasiabi

(コメント) ボスニアにおける内戦を終わらせたデイトン合意と,EU内における安定化と解決策を理想化し,イラクに適用することは間違いだ,とHitchner and Josephは主張します.外から合意を押し付けることはできても,その後の民主化や選挙がそれを支持する保証はなく,またEUの法律や制度を輸入しても,それが国内の分裂した政治集団を協力させる保証もないのです.

アメリカがたとえ兵士を増派しても,イラク政府が国民全体を代表できなければ,内戦の鎮静化は望めません.イラク駐留軍を指揮するDavid Petraeus准将は,バクダッドの治安を回復するため,アメリカ軍は単なるテロリスト掃討作戦ではなく,市街を地区毎に掌握して平和の砦を築くべきだ,と考えます.しかし,そのためにはマリキ政権の扱いも変えるべきでしょう.増派による戦略転換が十分な成果を示さなければ,アメリカ軍は撤退する,と知らせることです.

アメリカ兵の死者がゼロであれば,イラク駐留は維持できるのです.現状維持でも,撤退でも,増派でもなく,アメリカが敗北を認めない選択肢として,民間の軍事請負企業にバクダッドを守らせることも」検討されるでしょう.一定の区域を制圧するために空爆することも可能です.

スンニー派によるシーア派モスクの破壊が内戦の契機として言及されますが,アメリカ軍の介入方針にとってはファルージャにおけるアメリカ「市民」の虐殺事件が転機でした.その際,殺されたのは米兵ではなく,ブラックウォーターBlackwater社の社員でした.彼らこそ,民間契約で軍事サービスを請け負う会社です.Jeremy Scahillは,その片鱗を伝えています.

殺された社員たちの仕事は,国務省が2003年以来3億ドルの契約を結んだ内容の一部でした.Bremer行政長官から現在のKhalilzadまで,その警護は米兵ではなくブラックウォーターが提供します.火曜日,同社のヘリコプターが撃墜されました.ブッシュ大統領が計画する「市民コープ(協同体)the U.S. disaster response/reconstruction/war machine: a Civilian Reserve Corps」は,日本の自衛隊が海外派遣される現状と重なります.ブッシュは国民の税金を軍隊の民営化・「アウトソーシング」という実験に注いでいます.イラクこそ,その実験の怪物・フランケンシュタインだ,とScahillは考えます.

その規模は,すでに約10万人に達し,アメリカ軍に次ぐ規模です.48000人が軍事に関わり,一日の報酬が1000ドルを超える者が多く居ます.彼らは公式の身分が曖昧で,たとえ死亡しても政府は戦死者として数えません.市民コープのアイデアは,そもそも,ブラックウォーター社の保守的オーナーで億万長者のErik Princeが提唱していたものです.彼はブッシュに選挙資金を提供しています.

現代では,メディアを支配する経営者たちが政界を牛耳るように,民間軍事請負会社を所有する者が,破綻国家の再建や被災地域の治安維持から,国際秩序まで,何でもお金で解決するのでしょうか? 1961年にアイゼンハワーが警告したように,「軍産複合体」による民主主義の侵食はさらに進んでいます.

Jonah Goldbergは,イラクを朝鮮戦争と比較します.アメリカがもし,敗北することはできないし,勝利することも難しいと思えば,朝鮮半島のように永久に分断状態を維持するのでしょうか? 北朝鮮における人権抑圧や飢餓状態を見れば,武装勢力による分割の容認がイラクにおいて望ましい,とは思えません.民主党はブッシュ大統領のイラク増派に反対し,ダルフール介入を支持します.しかし,それは正直な反応ではない,とJonah Goldbergは批判します.イラク増派を,北朝鮮やダルフールと同じように,人権問題として支持するべきだ,と.

あるいは現代の傭兵に任せるのではなく,米英軍は撤退して,多国籍の(特にイスラム諸国の)国連軍を強化するのはどうでしょうか? 最初から,たとえ米英軍がフセイン政権を妥当しても,イラクの民主化と経済再建は国連が中心となって行うほうが良い,という意見がありました.


The Japan Times: Friday, Jan. 19, 2007

Laying a retirement lifeline for the poor

By ROBERT J. SHILLER

Project Syndicate, 22 January 2007

The False Promise of Financial Liberalization

Dani Rodrik

(コメント) ROBERT J. SHILLERは,金融が必ずしも利潤だけのために発展してきたのではない,として,ノーベル平和賞を受賞したユヌスの例を挙げます.他にも,貧しい者,社会的にめぐまれない者を助けたい,という慈善活動や理想主義の運動には,さまざまな貯蓄・保険・金融組織の新しいアイデアが利用されました.

Peter Tufanoは,貧しい人々が老後の年金を貯蓄できないのは,さまざまな緊急の支出に貯蓄を使う必要があるからだ,と指摘します.そこで,彼らが貯蓄を使ってしまわないように,より強い動機を与える工夫が必要です.ここでは,昔からある「宝くじつき貯金」が取り上げられます.

他方,Dani Rodrikは,金融自由化が成長を促し,貧しい者を豊かにする,という間違った前提で実施されていることを批判します.成長率の高い新興経済,たとえば中国やインドなどは,資本流入を制限しています.成長を高めるためには,為替レートの増価が競争力を損なうことに注意しなければならず,大量の資本流入や突然の流出は成長を破壊します.

金融自由化の前提は,現実を無視しています.貧しい国は貯蓄が少ないから,金融自由化によって資本が流入すれば投資が増え,成長が加速するだろう,と言うのです.また,一次産品価格の下落や石油価格の上昇,さまざまな景気変動によるショックを緩和すことができる.政府の間違った政策を,金融市場が監視し,規律を与える,とも主張されました.

Rodrikは,金融自由化によって投資が増えたり,成長が加速したとは言えないし,消費の平準化も起きなかった,と主張します.むしろ資本は流出してしまい,貧しい国の問題は貯蓄ではなく,投資の側にある,と考えます.特に,世界市場で取引されるような財を国内で生産できないことです.貧しい国が金融を自由化する場合はよほど慎重でなければならないし,自由化した国も為替レートの水準に注意しなければなりません.


FT January 19 2007

Idealist takes Davos stage

By Bertrand Benoit in Berlin

LAT January 21, 2007

Who screwed up globalization?

By Steven Weber and Ely Ratner

BBC 2007/01/21

Globalisation shakes the world

By Steve Schifferes

(コメント) グローバリゼーションを監視する政治指導者たちは,悲観主義から楽観主義に転じることができるでしょうか? 東ドイツの物理学者から17年で統一ドイツ首相となり,EU代表やG8議長にもなるアンジェラ・メルケルが,その役割を担います.

Steven Weber and Ely Ratnerは,ダヴォスの世界経済フォーラムに対抗して6年前から始まった世界社会フォーラムについて,その関心が間違っている,と主張します.企業や国際機関を責めるより,自分たちの政府を責めるべきなのです.IMFや世界銀行は政府間の合意で設立され,彼らの利益を代表します.

しかし,冷戦終結により,グローバリゼーションが経済的繁栄と民主主義を世界に広める,という楽観はすぐに失われました.むしろアメリカによる一極支配となって,市場統合の深化にもかかわらず世界政府がない状態は,アメリカにも手に負えないことが分かったのです.アメリカが国内的に求める政策や秩序が,そのまま世界に普及するわけではありません.アメリカ自身が,その負担に耐えかねているのに,他の国の事情を改善することはさらに難しいでしょう.

世界的に見て,アメリカが「公共財」を供給する役割は増えてしまいました.その結果として,反グローバリゼーションの声を高めるような事態を招くのです.環境破壊を防止せよ,セックス奴隷の国際取引を禁止せよ,・・・ 国際機関へのデモが増え,アメリカ政府は批判されます.予算についても,政治的な関与についても,そのような要求に応える余地はアメリカにありません.Weber and Ratnerの結論は,世界社会フォーラムは大国による世界支配の現実を直視して,アメリカと中国が新しい国際秩序に責任をもつよう求めるべきだ,というものです.さもなければ,どれほど彼らが非難しても,企業や銀行は利潤を増やすために,その他の目標や価値を破壊するしかありません.

グローバリゼーションはさまざまな問題で非難されると共に,繁栄をもたらすとして称賛され,それが何であるのか,誰も正しく定義していません.低賃金,高利潤,移民,低インフレ,低金利,高成長,貧しい国の繁栄,・・・ それは何によって形成されているのか? 良いものか? 悪いものか? Steve Schifferesは問います.

貿易から「アウトソーシング」,それも製造業だけでなくサービス分野でも,世界の雇用が急速に移転される程度とスピードに,主要国の政府や国際機関も対応できません.彼らは政治的な支持を,正統性を,失いつつあります.『中国が世界をメチャクチャにする』のではなく,世界的規模の規制が整わないままであれば,『グローバリゼーションが世界をシェイクする』のです.

LAT January 22, 2007

Schooled for unemployment

Niall Ferguson

Common Ground News Service, 22 January 2007

Muslims “Get” Globalization, But Does It Get Them?

Mehmood Kazmi

FT January 23 2007

Why British tolerance of foreign ownership is in question

By John Willman, Business Editor

(コメント) Niall Fergusonは,イギリスの次期首相と目されるゴードン・ブラウンがバンガロールで行った演説に辛らつな評価を加えています.イギリスは絶えず製品とサービスを革新し続ける,と述べて,急速に拡大するインド経済を称賛し,国連安保理の常任理自国になることを支持する演説だったようです.ところが,イギリスの教育投資は,その成果に比べて,余りにも高価ではないか,と.

ブレアがそうであったように,グローバリゼーションに対処する唯一の政策として教育への投資を強調するわけですが,その一方で,T.フリードマンのベストセラー『フラット・ワールド』の描くグローバリゼーションでは,もはや優れた教育の成果が十分に見合うのは国民の一握りでしかない,ということも明白です.かつてのように,たとえ学校をドロップアウトした若者たちでも,それなりの所得を得る機会は,急速に失われて,彼らのほとんどが失業者にとどまり,極めて貧しい階層を形成しつつあります.他方で,インドには優れた教育を受け,優れた成績を残しながら,十分な雇用機会のない若者たちがまだまだ多く居るのです.

Mehmood Kazmiは,教育よりも,メディアの役割を強調します.なぜアラブ諸国はグローバリゼーションを受け入れず,アメリカに反感を強めるのか? それは相互の文化的な理解が欠けているからです.しばしば偏見や誤解のほうが国境を越えて広まります.正しい情報を伝えたいなら,CNNやBBCなど,西側のメディアがアラブ世界で溢れる一方で,なぜアメリカ政府はアル・ジャジーラの配信を禁止するのか? イスラム圏でのエルビスやブリトニーが氾濫し,MTVが若者たちに音楽や映像を介して与える影響を,政府が宗教的・政治的に無視できないことも理解できるはずです.

自国の優良企業を外国資本に売ってしまうことは,どの程度まで,正しいのか? アメリカ政府は航空会社,ニュース会社,そして,安全保障に関わる多くの企業を外国資本が買収することを禁じています.フランスは11分野を指定し,ヨーロッパ内でもスペイン政府はドイツ企業によるエネルギー分野の買収に反対しました.

これに対して,イギリス政府は外国資本による買収を規制せず,むしろ歓迎しています.それがたとえロシアの国営企業ガスプロムによる買収であっても,また,ロンドン証券取引所であっても,です.なぜでしょうか?

一つは,シティーの利益,です.ロンドンが世界の金融センターであるために,世界市場の競争における優位を求めて外国資本が引き寄せられ,自国資本による企業の拡大よりも活発に買収・統合を行います.それはイギリス経済の成功を表現しており,長期的な衰退には至らない,という自信があるのでしょう.

それでも,イギリスから企業の上層部が外国に移り,イギリス人にとって上昇の機会が失われます.イギリス内で,知的財産の蓄積も行われなくなるでしょう.景気が悪くなれば,工場や支店の閉鎖がより頻繁に行われます.自国企業を失い過ぎれば,外国政府による企業買収の規制に対抗することもできません.しかし,多国籍企業の子会社の方が,自国企業よりも高い技術と生産性を持っています.

FT January 24 2007

Why globalising capitalism is hated

By Deepak Lal

IHT Wednesday, January 24, 2007

America no longer owns globalization

Nathan Gardels

Asia Times Online, Jan 26, 2007

Elite ponder threats to globalization

By D Ravi Kanth

FT January 26 2007

Global trade unionism

NYT January 26, 2007

Fearing Protectionism, in India

By FLOYD NORRIS

(コメント) Deepak Lalによれば,グローバリゼーションは,経済ナショナリスト(右派)と政府介入主義者(左派)によって反対されています.この不当な怒りの源泉は何か? とLalは問います.資本主義の普遍化を,ローマ法王Pope Gregory VIIの教会特化の分離によって得られた普遍的な法律・所有権に結びつけるのは,私にはグローバリゼーションを弁護する大げさな歴史解釈に思えます.確かに,グローバリゼーションと文化的な債を維持する道があるはずですし,それにもかかわらずナショナリズムや「中間の道」は求められるでしょう.しかし,このような歴史的図式化によって文明論を説くことこそ,聖書や世界企業の福音を真に受けすぎです.

アメリカ的グローバリゼーションだけが福音なのか? ダヴォスのテーマは,グローバリゼーションによる政治権力の平準化だそうです.・・・逆ではない? 確かに,軍事力以外では,貿易や工業生産力,GDP,そして通貨・金融でも,アメリカの地位は低下しています.アメリカ企業が先端技術を支配していますが,もはやアメリカがグローバリゼーションのルールを決めることはありません.アメリカ企業や技術はグローバリゼーションの助産婦でしかないのです.

見方によれば,権力が平準化したのは,D Ravi Kanthが指摘するように,グローバリゼーションが余りにも多くのリスクを抱え込んでいるからです.地球温暖化や貿易自由化交渉の頓挫,中東地域の不安定化,・・・誰もこれらを完全に支配したり,外部・他者に押し付けることはできません.

Yale Center for the Study of Globalizationの所長,Ernesto Zedilloは主張します.「グローバリゼーションへの脅威は,製造業やサービス業の世界センターになりつつある中国やインドから来るのではない.それは,人の移動や技術の利用を拒む,強力な工業諸国から起きるだろう.」 そしてインドにおけるウォル・マートの提携相手であるMittalは,アメリカがインドのハイテク労働者を拒むのであれば,インドはアメリカの農産物を拒むべきだ,と述べました.

多国籍企業が増えれば,それに対抗するため,労働組合も国際的連携や多国籍化を進めます.しかしFTは,国際的なストライキは起こりそうにない,と考えます.しかし,労働組合が連携することで,グローバリゼーションへの関心は広まるでしょう.企業の利潤が増え続けることに,彼らは同意しません.彼らは投票によってそれを表明するはずです.また,労働組合よりも,各国の貿易不均衡と保護主義がグローバリゼーションを阻止します.

中国でもインドでも不平等が蔓延し,グローバリゼーションから取り残された人々が激しい不満と政治的反発を示して,保護主義に向かう兆しがあります.D’Andrea Tysonは,民主的な社会は繁栄を分かち合わねばならない,と主張します.


Rob Watson China test sparks space arms fears BBC 2007/01/19

Crashing down to earth The Guardian Saturday January 20, 2007

China’s Muscle Flex in Space NYT January 20, 2007

Will Hutton Dire straits in the East China Sea The Observer Sunday January 21, 2007

Michael O'Hanlon A space weapons race is not the answer for America FT January 22 2007

Bruce W. MacDonald and Charles D. Ferguson Responding to China's antisatellite test CSM January 22, 2007

De-militarize space LAT January 24, 2007

Victor Mallet The geopolitical genius of China’s satellite kill FT January 24 2007

Michael Krepon Why we need the rule of law in space IHT Thursday, January 25, 2007

Elizabeth Economy China's Missile Message WP Thursday, January 25, 2007

(コメント) 宇宙空間の軍事的利用は1980年代に米ソが開始して,その後,両者による合意が成立しました.今回の中国による人工衛星の破壊は,旧式の弾道ミサイルに,最新式のレーザー技術を組み合わせたものだ,とBBCは解説します.それはアメリカが一方的に進める宇宙空間の軍事技術開発について,国際交渉を呼びかけるサインではないか,と.

そういえば日本政府も,北朝鮮のミサイル発射によって,にわかに宇宙軍拡に参加し,立て続けに人工衛星(偵察衛星?)を打ち上げ,アメリカ(そして台湾)とのミサイル防衛網にも合意しました.中国が人工衛星の破壊実験をしても,それほどかけ離れた行為ではないわけです.中国のミサイルは,もっぱら,台湾に向けられています.しかし,中国の有人宇宙飛行が世界の注目と祝福を受けたことも,これですっかり悪いイメージに変化しました.

アメリカ政府が多くの人工衛星によって地球上を監視する能力は,国際的に監視され,共有されているわけでもありません.中国の衛星破壊実験はその優位を損ないました.アメリカ政府もそれを理解しています.これがただちに覇権をめぐる宇宙戦争の始まりではありません.近隣諸国は,世論を軍拡競争に向けるためではなく,互いの行動規範と制限について国際協定に合意するために議論することです.

Will Huttonは,事態が一気に悪化することを懸念します.何よりも,中国は世界第二の軍事大国であり,その軍事予算はイギリス,ドイツ,フランスを合わせたものを超えているからです.その目的は台湾における主権を回復することであり,そのためにアメリカと日本の軍事力に対抗しなければならない.それが軍備拡大の理由だ,とHuttonは断言します.

中国はそれを否定しています.平和的な地位の向上を目指し,経済成長を目指して既存の国際秩序を尊重しています.政府は毛沢東主義を放棄した,と.しかし,西側諸国は安心できません.中国は毛沢東主義の一部しか放棄しておらず,共産党の政治=イデオロギー支配は変わりません.経済システムも不安定で,その高度成長の条件は持続不可能です.共産党の支配は,雇用とナショナリズムが支えている,とHuttonは主張します.

1914年以前のヨーロッパでビスマルクが取った行動は,今のアジアに当てはまります.領土・資源問題,ナショナリズム,憲法改正・軍国主義復活,互いの疑心暗鬼は収まりません.中国は国際協定や国連の介入を支持するように言いながら,その行動は権力政治そのものです.アメリカは中国の拡大をアジアで阻止するつもりは無いだろう,と.グローバリゼーションがどれほど進んでも,もし中国国内が不安定化すれば,政府はナショナリズムに訴えて,戦争さえも決断する・・・?

Victor Malletによれば,中国の衛生破壊実験で最も驚くべきことは,誰も驚かない,ということです.北朝鮮のミサイル実験がそうであったように,安全保障問題では,中国政府の行動を非難する根拠になるような国際協定はありません.そして,アメリカがそれを非難できない状態について十分に計算しているだろう,と.


Asia Times Online, Jan 20, 2007

China begins to define the rules

M K Bhadrakumar

(コメント) 冷戦期と違って,国際秩序は予想外な形で転換します.特に,中国の行動は予想できません.しかし,アメリカの有能な外交官John Negroponteは,上院の公聴会で,中国の脅威を否定しました.中国はアメリカとの友好関係を望んでおり,地域の安定要因となっているし,中国によるグローバリゼーションの加速はより多くの国を巻き込んで緊密な関係を築いている,と.

これは,ラムズフェルドの敵対姿勢からの大幅な後退ではないか? イラクの情勢悪化を受けて,アメリカ政府は外交の重心を若干調整し,その結果として,中国に地域の安定化を期待するようになったのだろう,とM K Bhadrakumarは考えます.

その要点は,George Shultz and Anthony Lakeが委員長となって超党派で3年間の審議を経た,いわゆるプリンストン計画Princeton Projectに示されています.21世紀のアメリカ外交に重要な視点とは,1.多国間交渉を重視し,2.ハード・パワーとソフト・パワーを統合し,3.軍事的威嚇よりも経済的利益で誘導し,4.世界に対する恐怖よりも希望を強調し,5.国内の外交・情報能力を蓄積してから対外的に行動し,6.情報化の時代に対応するものでなければならない,と.

たとえば,アジアについて,アジア域内ではなく,太平洋圏としてアメリカが積極的に関与し,日米関係を重視しながらも,インドやオーストラリア,中国との関係を友好的に深め,特に,中国の台頭については,中国以外のアジア諸国においても成長を維持することで包摂するのが望ましい,と考えます.それが,結果的に,中国を世界システムにおける責任ある国に変えていくわけです.

これに対して,中国のthe China Institute of International Studies 副所長であるRuan Zongzeは,「世界に自分たちだけの民主主義を押し付けようとしている」と批判します.その発想が中東でどれほどの混乱を引き起こしたか,アメリカ政府はまだ認めないのか? それでも中国は,中東におけるアメリカの外交を助ける有利な位置にいます.


The Guardian Monday January 22, 2007

The west persists in using race to decide who can cross its borders

Gary Younge

(コメント) Gary Youngeは,移民管理や移民政策というものが,どれほど差別的であるか,を示しています.彼はThe Guardianの記者ですが,イギリスの新聞社がインタビューのために背の低い黒人を派遣してくる,というのを信じようとしない人も居るわけです.

国境や国籍を理由に,職員や警官は移民たちに質問します.それは決して全員ではなく,彼らの恣意的な選択基準で選ばれた人々です.肌の色や身長,信仰,生まれた土地,資産,など,貧しい移民労働者ばかりを狙い撃ちにします.もし可能であれば,世界的な市民権が認められて,こうした差別的な扱いをなくすべきでしょう.


NYT January 20, 2007

A Product of the U.N. System

(コメント) キプロス出身のもと国連職員Benon Sevanがイラクの経済援助から多くの横領を行ったことは,すでに,ボルカーを委員長とした調査によって示されました.NYTは,国連事務総長になった潘基文が制度の改革に取り組む以上に,こうした外交に付き物の汚職や犯罪行為を一掃することを優先するべきだ,と注意しています.アメリカ政府との関係改善は,それが条件となるからです.

Project Syndicate, 25 January 2007

The Not So United Nations

Richard N. Haass

まず,大国間の戦争が起きそうにないというのは国連にとってうれしいニュースだ.しかし同時に,それ以外の国際紛争は頻発しており,緊急の課題が目白押しである.

その仕事に就く前に,潘事務総長は自分の職務を良く知る必要がある.国連事務総長には命令する権限がなく,大統領や最高経営責任者ではない.事務総長は,権力ではなく,影響力を持つだけである.

国連の権力は,安全保障理事会と総会とに分割されている.しかし,拠り根本的に,192の主権国家と国連との間に分断がある.国連それ自体は何の主権も持っておらず,主権国家の寄せ集めでしかない.国連が主権国家のように振舞うことはできないのだ.

国連は主要諸国,特に安保理で拒否権を持つ5カ国(アメリカ,イギリス,フランス,中国,ロシア)が合意する能力を反映している.彼らが合意するように助けるが,もし合意できなければ,事務総長が何を望んでも,国連には何もできない.ダルフールへの軍事介入に中国が反対するとき,ニューヨークではなく北京で,事務総長は説得しなければならない.常任理事国の新しい構成についても同じである.

他にも潘事務総長は,政府だけでなく,宗教組織やその他の指導者にもテロを否定するように説得し,濃縮ウランやプルトニウムを利用した原子力発電の安全性を高める国際機関を推進している.国連平和維持軍の拡大も考えているが,危険な任務に就く兵士たちを供給する加盟諸国には十分な訓練や装備が必要だ.

国連事務総長の最大の武器は,その発言である.潘氏が何を,どのように話すかによって,彼の影響力は強められ,多くのことが実行できる.特に,今のように,その最強の加盟国であるアメリカが国連と難しい関係にあるときこそ,事務総長の発言は重要だ.アメリカは,軍事的・経済的・政治的に,アフガニスタンとイラクに対して過大に関与し,国際協力を必要としている.国連が果たす役割は小さくない.


FT January 21 2007

Model change: how Sweden is to shed its vast state holdings

By David Ibison in Stockholm

FT January 22 2007

Germany in low gear

(コメント) かつては米ソに対抗できる経済モデルとして称賛されたこともありますが,西ヨーロッパのコーポラティズムがどうなるのか,私の関心はそこにあります.

スウェーデンやドイツでさえ,これまでの政府による協調型の市場経済が見直され,民間資本による競争を重視した,資本主義の運営に政府は口を出さない発想に,転換しました.スウェーデンの政権が交代し,40年以上もコーポラティズムを指導してきた社会民主党が権力を失いました.FTの記事は失業問題を指摘し,中道右派の新しい首相Fredrik Reinfeldtによる民営化の推進に注目しています.これまで多くが部分的な国営であった優良企業を,一斉に市場で売却することになります.しかし,首相はその姿勢をスウェーデン・モデルの放棄とは見なしません.国民には不安があるからです.

他方,ヴォルクスワーゲン社のPeter Hartzによる横領や雇用削減に修正を加えた事件などが,FTにコーポラティズムの弊害を主張させます.ドイツ企業の労使協調体制は,内部の不透明な長期的癒着や腐敗の温床となっていた,として,FTは企業改革の加速を求めます.ドイツ企業の統治構造は二重化しており,それが責任を曖昧にし,さらに投資や成長を妨げている,というわけです.

FT January 23 2007

European corporatism must embrace change

By Martin Wolf

(コメント) 昨年,ノーベル賞を受賞したEdmund (Ned) Phelpsが,コーポラティズムを批判しています.なぜなら,資本主義とは企業家精神により革新を求めて積極的に投資しますが,コーポラティズムでは不安定な市場を回避するために政府の介入を求めるからです.コーポラティズムに頼るヨーロッパは,アメリカに追いつくことはできても,それを超えることはできません.

Phelpsによれば,シュンペーターの「創造的破壊」がなければ革新は促せません.革新を吸収して資産価値が高くなれば,成長率も高まり,雇用が増えます.ヨーロッパはアメリカの生産性に近づきましたが,失業者が多く,成長を実現できない,とPhelpsは批判します.それゆえヨーロッパは,まず福祉国家を解体するというよりも,市場の変化を受け入れるような改革を取り入れる必要があります.ヨーロッパには,社会的結束を維持しながら市場のダイナミズムを受け入れる可能性もあるのです.


Richard McGregor Beijing to diversify investment strategies FT January 21 2007

Richard McGregor China’s multibillion dollar question FT January 21 2007

Andy Mukherjee Petrodollars Will Test Asia's Dollar Fixation Jan. 23 (Bloomberg)

Zhou Jiangong China seeks new ways to spend $1 trillion Asia Times Online, Jan 23, 2007

The trillion-dollar plan FT January 23 2007

Chinese economy FT January 25 2007

(コメント) 累増する外貨準備を,中国政府は何に使うのか? 外国企業や技術の買収,外国からの資源輸入は,当然,重要です.銀行の不良債権を処理したり,株式化を助けることも考えられます.また,地域の貧困を解消するために,金融機関を支援するかもしれません.あるいは,外交的な野心を満たすために使う?

しかし,どれほど有利な使い道をいろいろ考えても,ドルの価値を下げることは,そのすべてを超える損失をもたらします.中国は,まずドルの価値を守ることでしょう.外貨準備を累積しなくて良いような国内改革を急ぐことです.


WP Sunday, January 21, 2007

Worth Every Last Million

By Roy C. Smith

WP Sunday, January 21, 2007

The Equality Engineer

By George F. Will

CSM January 24, 2007

A fair way to shrink the wealth gap

By Dmitri Iglitzin and Steven Hill

(コメント) Roy C. Smithは,企業重役たちの高所得を非難する声が次第に政治家を促し,格差是正のために介入することに反対します.CEOたちの所得は企業の価値を高め,社会に富をもたらしたことに応じて増えたのであって,正当なものである.もし誰かを非難したいのであれば,80年代の企業買収ブームで大金を得たような者たちを攻撃するべきだ,と.

George F. Willは,政府が不平等を減らすために市場に介入するべきだ,というBarney Frank議員の意見を紹介しています.「上げ潮はすべての船を引き上げる.」 それでも,フランクは言います.「船を持つ者にはすばらしいだろう.」 市場が富を増やすとしても,不平等が拡大するのであれば,政府がもっと介入するべきだ,と.

失業者や貧しい国を助けるために,フランクは「資本主義プラス」を主張します.自由貿易や,グローバリゼーションによって強められた「創造的破壊」が労働市場をかく乱し,人々の生活を不安定化しているなら,自由化政策は政治的な基盤を失います.フランクの考える「公正貿易」とは,ブッシュ大統領の外交政策の目標,「世界から独裁者を追放する」というウィルソン的理想を,経済的に表現したものです.それは「武器を持たないウィルソン主義」です.

Dmitri Iglitzin and Steven Hillは,格差を解消する具体的な政策を検討します.


NYT January 23, 2007

The Mystery of the Chinese Baby Shortage

By BETH NONTE RUSSELL

(コメント) 昨年,アメリカ市民が養子にした中国人の子供は6493人,その前の年は7906人でした.先月,中国政府は国際的養子を厳しく規制する法律を準備している,と発表しました.

しかし,中国には多くの孤児院があります.それどころか,1979年に一人っ子政策が始まってから,約6000万人の女子が人口から「消えた」のです.彼女たちは殺されるか,捨てられ,中国社会に多くの孤児を生んでいます.それにもかかわらず,中国政府は2008年の北京オリンピックによる国際的地位向上に好ましくないから,国際的な養子を制限し,乞食や孤児を外国人の目に触れないようにしたい,と考えています.


FT January 24 2007

Disappearing tuna

FT January 26 2007

Urban sprawl and a waste of energy

By Christopher Caldwell

(コメント) ここで「消えた」のは,中国の女子ではなく,マグロです.2004年,世界中で200万トンのマグロが捕獲され,刺身や寿司ネタとなって,胃袋に消えました.それは種の絶滅に向かう,とWWFが警告しています.国際的な規制が強められています.もちろん市場も反応します.トロやマグロの値段が上がり,遠洋漁業の企業は合併し,整理されます.

とはいえ,そもそも人間が多すぎるのでは,という問題が都市では深刻です.土地,水,エネルギー,など,ますます不足していくようです.それは,環境問題による都市化や成長の制約です.ブッシュ大統領は,当面,イラク占領が成果を上げないことを認め,その代わりに,中東の石油に依存することを止める計画を示しました.そして,戦争よりも環境対策にアメリカは投資し,希望をつなぎます.

要するに,自動車への依存を止めてはどうか?


State of disunion BG January 24, 2007

Matthew Yglesias State of confusion The Guardian Wednesday January 24, 2007

The State of the Union NYT January 24, 2007

The state of a deeply divided union FT January 25 2007

THOMAS L. FRIEDMAN Running on Empty NYT January 26, 2007

(コメント) ブッシュ大統領の一般教書演説について,厳しい評価が並んでいます.さまざまな批判に応えず,議会が超党派で示した提言にも従わない以上,支持されないのは当然です.戦争を始めたときと同じように,ブッシュ大統領は極端な意見を示す小さな集団の意見しか聞かない,とBGは憤慨します.環境や社会保障に関する妥協も不十分だ,と.

そのうち,議会は提案するかもしれません.外交における大統領の権限を制限してはどうか,と.


Asia Times Online, Jan 24, 2007

Free trade: Japan and ... Switzerland?!

By Hisane Masaki

The Japan Times: Thursday, Jan. 25, 2007

Abe's aggressive agenda

By BRAD GLOSSERMAN

FT January 26 2007

Abe speech fails to mollify critics

By Michiyo Nakamoto in Tokyo

(コメント) 日本とスイスが自由貿易協定を結んで,何の意味があるのか? 金融と観光,それ以外に,何か大きな取引があるでしょうか? スイスと一緒に,知的所有権を守るため同盟する以外に,中国の台頭に刺激された対抗策であるのはもちろんです.しかし,農産物や移民労働者について,どこまで市場を開放するでしょうか.

安倍首相はヨーロッパを訪問し,NATOでも演説したようです.そして,自衛隊の海外派遣にも積極的な姿勢を強調しました.安倍政権なって,中国と韓国を訪問し,北朝鮮への制裁を主導し,今また,EUやNATOとの関係を強調する.しかし私には,空中を浮遊するような,曖昧な印象が強く残ります.安倍政権の内外におけるイメージ・ギャップは,将来,制約になるでしょう.

一般教書演説は注目されますが,日本の首相の所信表明演説には誰も注意しません.


Jan. 26 (Bloomberg)

BRICs Deserve Bigger Say in Global Economic Wall

William Pesek

(コメント) 日本の円安,アメリカの財政赤字,ヨーロッパの失業.・・・世界の関心は,次第に,それらから離れつつあります.William Pesek は,G7なんて重要ではない,と書きます.むしろ,BRICs(ブラジル,ロシア,インド,中国)が重要です.それは,グローバリゼーションが生んだ,世界経済の新しい原動力です.もはや単独の,あるいは主要国の「機関車」だけで世界は動きません.問題は,IMFなど,国際機関における彼らの発言力が不当に小さいことだ,と.彼らがますます世界の成長率や石油価格の変動,金利,賃金上昇,などを決めているのに,世界秩序は彼らを無視して予測できない転換を待っています.


The Guardian Friday January 26, 2007

Davos 07: five points about North Korea

Julian Glover

(コメント) 国際政治において,朝鮮半島の将来に関する関心はどうなのか? ダヴォスで,小池百合子?や中国人民軍の幹部が,北朝鮮への対応について率直に議論しました.

1.北朝鮮の関心は国内の政治秩序を維持することであって,核兵器を使用することではない.彼らは罠にかかったネズミだ.2.北朝鮮の内部事情は,イラク戦争のまえにアメリカ政府が亡命者から間違った情報を得たように,正確なことが分からない.3.アメリカは一貫した地域政策を示して,関与し続けるべきだ.アメリカが抜ければ,韓国も日本も(数週間で)核武装する.4.北朝鮮は中国の問題だ.中国が北朝鮮を擁護し,管理不能になった.中国は,統一朝鮮がアメリカの影響下に入ることを望まない.北朝鮮の崩壊も望まない.5.次の軍備拡大競争は宇宙で起きる.中国はアメリカが世界的な情報網を支配する状態を許さない.

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The Economist, January 13th 2007

Baghdad or bust

America in Iraq: The president’s last throw

Extending American health care: Sensible medicine from the status

The Economistは,意外なことではないかもしれませんが,大胆にも,ブッシュ大統領のイラク増派を支持します.イラクの治安回復は重要であり,それを助ける力はアメリカにしかない,と.まさに,ブッシュ氏と同じ理由で応援します.軍隊を増やし,政治・経済的な復興を支持すること,それ以外の選択肢は,イラクと中東をさらに深刻な事態に向かわせる,と考えます.

しかし,イラクで戦ったイギリス軍の将軍は,反ゲリラ作戦が成功する見込みは無いだろう,と指摘します.アメリカ軍は,すでに,余りにも多くのイラク人を殺してしまったからです.

他方,アメリカ国内では,州知事たちが社会保障制度の改革に取り組み始めました.アメリカには向かない,と言われてきた社会保障制度ですが,マサチューセッツやカリフォルニアで,全ての人々に医療保険の契約を義務付ける法案が検討されています.

The Economist, January 13th 2007

Chinese foreign policy: A quintet, anyone?

Manufacturing in Asia: The problem with Made in China

(コメント) 中国の経済成長と股肱最適な地位の上昇は,もはや,誰も否定できない事実であり,世界秩序の将来です.しかし,常識と言うものは,それほど正しくないわけです.

中国が次第に発言力を増せば,国際秩序を作り変えてしまう,と恐れる声が多いでしょう.しかし,中国自身は急速に,既存の国際秩序に参加し,その中で行動することを選択しつつあります.中国がアメリカのようになることはないでしょうが,イランや北朝鮮への制裁やダルフールへの国連軍派遣など,安定した秩序を重視する点で協調することも多くなりそうです.

中国の製造業が世界市場を支配する,と思われますが,早くも市場は変化をもたらしています.インテルも,ユニクロも,世界の生産拠点を中国だけに集中させることを転換しました.記事は二つの理由を重視します.一つは,中国沿海部の賃金など,生産コスト上昇.もう一つは,集中のリスクと分散化戦略です.すなわち,ベトナムやインド,タイ,シンガポール,など.

急速な成長そのものが,中国や世界の生産配置を次の局面に導いています.