IPEの果樹園2007

今週のReview

1/8-1/13

IPEの種

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世界の英字紙HPからコラムを要約・紹介します.著作権は,それぞれ,元の著作権に従います.

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2007年の予想, ソフト・ランディング? 労働党, 戦争の偉人, サダム・フセインの処刑, EUの悲観論, 歴史, デジタル金本位制, 《精神》

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ただしFTFinancial Times, NYTNew York Times, WPWashington Post, LATLos Angeles Times, BGBoston Globe, IHTInternational Herald Tribune, CSMChristian Science Monitor


CSM December 28, 2006

Milton Friedman: Objective scientist first, free-market promoter second

By Mark Skousen

CSM December 28, 2006

John Kenneth Galbraith understood capitalism as lived - not as theorized

By Joseph E. Stiglitz

(コメント) CSMがなぜ二人の経済学者を紹介したのか知りませんが,的確な要約だと思いました.フリードマンは厳密な実証によって経済学や資本主義の地位を高め,(そうは書いていませんが)支配的なイデオロギーにしたわけです.大恐慌の経験は,フリードマンにとって,市場や資本主義の失敗を示すものではなく,金融政策(政府の介入)が間違っていたのです.

これほどフリードマンが正しいのなら,ガルブレイスはまるで道化師のように惨めな社会改良家になるではないか? Joseph E. Stiglitzは,彼ら二人が非常に似ていた,と考えています.ともに討論の名手であり,数学ではなく言葉によって,人びとにアイデアを広め,社会に強い影響を与えました.フリードマンは科学者としてノーベル賞を得ましたが,ガルブレイスは単なる社会評論家と見なされています.これは不当な評価である,とStiglitzは考えます.

なぜなら,フリードマンはモデルにふさわしい完璧な経済を描きましたが,ガルブレイスはもっと醜い,間違った,不完全な現実,アメリカの資本主義,を生き生きと描きました.二人とも大恐慌を経験しましたが,ガルブレイスの得た教訓は違います.市場は失業を解決できないから,政府はケインズ主義を受け入れて積極的に雇用を増やすべきだ,と.

ガルブレイスが理解したように,「見えざる手」は本当に見えないし,その意味で,存在しないのです.無制限な市場が何をもたらすのか,正確には分かりません.それは汚染をもたらし,研究を抑圧します.情報は不完全であり,市場は非効率で,間違っています.

ガルブレイスは,市場が機能するためには拮抗力が必要である,と理解していました.それはゲーム理論によって,経済のダイナミズムを理解する中心的な知識になったのです.経済学の理論に逆らって彼が求めたのは,普通の市民にとって,重要な現実性と包括的な理解です.


The Guardian Friday December 29, 2006

2007: there may be trouble ahead

Robert B Reich

ドル安やイラク情勢の悪化は続く.ブッシュ政権をなだめ,国内の社会不安を緩和するために,中国は財政支出を増やし,環境汚染対策や社会サービスに取り組むだろう.その結果,石油や一次産品価格の上昇もあって,中国からアメリカへの資本移動は減る.その結果としてドル安は,産油諸国やバフェット,世界の主要企業にドル離れを促し,更なるドル安を招く.

アメリカ人が海外から購入するものは何でも高くなり,それでも財政赤字や個人消費が続く限り資本流入を必要としているアメリカでは,金利がかなり上昇する.アメリカの住宅保有者の多くがモーゲージの支払いに苦しみ,銀行が破綻する.住宅や自動車の購入が急減し,失業が増える.労働者たちの賃金は下落するが,アメリカの世界的な資産家たちは貯蓄の価値を外貨で守っており,さらに裕福になる.このことが経済的なポピュリズムやナショナリズムに火をつける.6月,議会はブッシュ政権の貿易一括交渉権更新を拒否する.

一方,シーア派がバクダッドを支配し,スンニー派は首都にミサイルを撃ち込んで,イラク情勢は悪化し続ける.年頭から増強されたアメリカ軍はイスラム過激派の反撃を招き,アメリカの支援するイラク議会を孤立無援にする.ブッシュ大統領は「名誉ある和平」を模索し,猶予時間を求めるが,議会の民主党員たちは年内にアメリカ軍を撤退させない限り防衛予算を削ると脅す.7月,イギリス首相となったゴードン・ブラウンは10月までにイギリス軍がイラクを撤退すると発表する.世論調査はブッシュ政権の支持率が15%でしかないことを示すが,ブッシュ氏は「気にしない.」

9月始め,ヒラリー・クリントン上院議員は公式に2008年大統領選挙への立候補を表明する.「アメリカを軌道に戻す」ため,また夫の政権に近づくため.しかし,彼女よりも,まだ立候補を表明していないバラク・オバマ上院議員の方が民主党員に支持されている.同時に,共和党候補として最も支持されているジョン・マッケイン上院議員も,2020年までにアメリカを「エネルギーで自立させる」計画を発表する.彼はまた,アルカイダより中国を,アメリカの利益に対する長期的により大きな脅威である,と発言する.

10月,CNNのアンカーマンであるルー・ドブが,第三党「アメリカ優先"America First"」の候補者として大統領選挙に名乗りを上げる.アメリカ経済の復活と,軍隊を削減して良き中産階級の再生を図る,アメリカへの非合法移民の流入を阻止し,アメリカ企業が雇用をアウトソーシングするのを防止する,と公約する.初期の世論調査が,ドブは有権者から35%という驚異的な支持を得る.

FT December 29 2006

US stays out of Iran, Sarkozy wins in France and investors endure bumpy ride

The Guardian Friday December 29, 2006

2007: new policies for a new year

Peter Tatchell

FT December 30 2006

A good year ahead for the global economy

BG December 30, 2006

Next year's inevitable news

The Guardian Saturday December 30, 2006

And is there life on Mars?

Interviews by Alexandra Topping and Michael Savage

(コメント) 2007年を予想して,NATOはアフガンを生き延びるか? Yes. アメリカはイランを攻撃するか? No. ロシアはグルジアを攻撃するか? No. アフリカは中国の一部になるのか? ある程度は. キューバはフロリダの一部になるのか? まったく違う. オバマは立候補するか? Yes. ドーハ・ラウンドは進展するか? No. ドルは暴落するか? No. 日本は景気回復するか? Yes. 株価は暴落するか? 時には. 石油は50ドルを超えるか? No. オイル・マネーはドルからユーロに向かうか? No. ・・・

Peter Tatchellは,イギリスの内外における政策転換を提唱します.1.英米軍はイラクから撤退し,アフリカ,中東,アジア,ラテンアメリカの諸国から編成した国連軍が治安維持の役割を交代する.2.イスラエル軍がヨルダン川西岸の入植地から撤退するように制裁などの圧力を強める.3.国民医療制度の偽装された民営化をやめる.4.原子力エネルギーではなく,雇用をもたらすエネルギー節約に投資する.5.単一の法制度による平等な権利を保障する.6.難民,7.信仰,8.国王より大統領,9.動物実験,10.議席数,について法制度を改善する.

世界経済は緩やかに減速するだろう,とFTは予想します.石油価格,戦争,テロなど,リスクも考えられます.アメリカの消費者が住宅市場の不況から貯蓄を突然増やし,偶然,リスクの実現と重なる場合,主要国の中央銀行は対応が遅れるかもしれません.

BGは2007年の主要な出来事を示します.それは,アメリカ大統領選挙の候補者争いであり,国連の制裁に対するイランの対応,イタリアのベルルスコーニや,タイのタクシン元首相に関する告発,ブルームバーグやプーチンのメディア争い,チェイニー副大統領が北朝鮮との交渉を一気に推進し,中東ではイランに対抗するシーア派連合の核開発が進む,ブルームバーグは共和党や民主党の買収を図って政党を新設する,フランスのシラク大統領は失脚して旧エリート層が糾弾される,ブッシュ大統領は牧場からアル・ゴアに祝福を送る,・・・

各分野の専門家が予想すると,どうなるか? たとえば,火星で生命は見つかるか?

FT January 2 2007

The good, the bad and the ugly scenarios

By Wolfgang Munchau

WP Wednesday, January 3, 2007; A19

The Big Economic Worry

By Robert J. Samuelson

Jan. 4 (Bloomberg)

Sucking Sound Is Global Liquidity Drain

Mark Gilbert

(コメント) Wolfgang Munchauは,アメリカのFRBやFTなどが予想するソフト・ランディング・シナリオ(01%の成長)よりも,ハード・ランディング・シナリオ(不況)の方が起きそうだ,と考えています.問題は,住宅市場が悪化しても,金融政策はコア・インフレーションに縛られて十分に緩和できないことです.もっとひどい世界布教も起きるかもしれません.それは景気の減速によって各国の政治的な反発が強まり,貿易摩擦などを悪化させるからです.

生産性が高まることで,私たちの生活水準は向上してきました.Robert J. Samuelsonは,一世紀前,アメリカ人が支出の43%を食料に,14%を衣服に向けていたこと,今では,それぞれ,13%と4%に過ぎません.それ以外の支出は,自動車,テレビ,電話,旅行,インターネット,・・・そして,住宅に向けられたのです.同じことは労働力の配分にも示されています.1900年には,アメリカ人の41%が農場で働いていた,とSamuelsonは書いています.機械化,品種改良,農薬によって,はるかに少ない労働者がより多くの農産物を収穫しています.

しかし,彼は生産性の上昇が衰えた,と悲観します.それは投資を続けられないからです.アメリカは外国の貯蓄を吸収して投資しており,次第に,外国の投資家はアメリカのほかへと関心を移すでしょう.しかし,投資だけでは十分でない,と分かっています.技術,熟練,経営,動機付け,学校,勤労精神,企業家精神,リスクを取る態度,向上心,競争,政策,金融市場,・・・

世界の主要な中央銀行家たちは,デフレからインフレへと,金融政策の関心を移しています.

FT January 4 2007

New Year resolutions for Asian economies

Jan. 4 (Bloomberg)

Surprise, Surprise! China Economy May Accelerate

William Pesek

(コメント) アジア経済はどうでしょうか? 2007年は,もちろん,アジア金融危機の10周年です.危機を招いた欠陥は修復されました.不良債権を抱えた銀行,企業のバランス・シート,過剰投資,マクロ政策,短期資本流入への依存,などは解消されました.しかし,アジアの景気回復はまだ偏っています.中国が急速に拡大しており,日本や韓国は停滞しています.台湾やタイも十分に成長していません.中国の成長には問題があります.景気後退がくれば,不良債権や金融システム不安が生じ,資本市場も混乱するはずです.アジアはまだ外部の市場に依存しています.計上収支の黒字を累積しつつ,為替レートの調整を遅らせる姿勢は,欧米の景気後退で政治対立を生じるでしょう.

中国は,1.過剰貯蓄をもたらす政策と企業の過剰投資を改め,2.金融市場の改革を進めて,人民元の増価を許し,3.国内消費を促すようなバランスの取れた成長を目指すべきです.日本は,景気回復を妨げるようなマクロ政策を取らず,生産性上昇と企業活動を促すような構造改革を進めるべきです.その他のアジアでは,民間・政府投資を促し,インフラ整備や国内需要を刺激し,外部のショックに備えることです.

しかしWilliam Pesekが紹介しているように,多くの警告にもかかわらず,中国経済の拡大は加速しそうです.中国政府による引き締め策の効果は終わり,政府はもはや経済が過熱していると恐れては居ないし,これ以上の引き締めがもたらす影響を嫌っているからです.実際,中国経済は公式の統計異常に拡大している可能性があり,しかも,裕福な諸国はますます中国など貧しい諸国の成長に依存しています.

中国経済の姿は,歴史上なかったものであり,アダム・スミスもマルクスもケインズも,今の中国を見ていたら,その経済学を書き直したでしょう.だから,金融政策も財政政策も教科書どおりに利用できないのです.たとえ中国の政策担当者たちが優秀な人びとであるとしても,人民元の増価に人びとが便乗する投機熱が高まれば,それを抑えることは難しいでしょう.企業家精神を鼓舞しながら,他方で,インターネットを検閲し続けるようなことも続けられないでしょう.

13億人の42%が一日2ドル以下の生活水準であれば,中国は成長できる限りすることを優先し,それが危険と分かっていても,アジア諸国は中国の拡大を歓迎します.中国がインフレの爆発を心配しない限り,その成長の上限を試し続けるでしょうし,ドル暴落は起こらないでしょう.


BG December 29, 2006

Political early adopters: It's your time

By Ellen Goodman

(コメント) 多くの新聞や雑誌が特集記事を組み始めたそうです.アメリカは白人男性以外の大統領を受け入れる用意があるか? つまり,ヒラリーHillary Rodham Clintonあるいは,オバマBarack Hussein Obamaを大統領に?

社会学者も,心理学者も,選挙参謀も,社会変化と心理を読むときに苦しむわけです.現実が変化したから人々の態度が変化する場合もあれば,その逆の場合もあるでしょう.変化に抵抗することもあれば,変化を渇望することもあります.現状維持の力や,反動について,人びとは悲観的でありすぎる,とEllen Goodmanは考えます.


The Guardian Friday December 29, 2006

A return to the politics of envy could serve us well

Peter Wilby

(コメント) かつて新しい労働党も,ケ小平と同じように,人びとが薄汚れた金持ちになることを心配するのはやめよう,と呼びかけました.富裕層が好ましくないとしても社会の底辺が豊かになれればよれで良い,という意味です.

しかし,そんなことは間違いでした.シティーの金融エリートたちが90億ポンドの年末ボーナスを受け取ったというのです.それが労働者たちの平均的な賃金を引き下げ,富裕層の投機的な住宅購入が価格を引き上げて,労働者たちの夢を奪ってしまったことは明らかです.もし90億ポンドを労働者に一人ひとりに分けて配れば,350ポンドにもなったでしょう.

富裕層が商店の品物やレストランを高級化してしまい,庶民の選択肢は減りました.富裕層は優秀な会計士をそろえて税金を減らし,庶民のための公立学校や社会資本を損ないました.富裕層の寄付による美術館や研究所は,エリートに偏ったものでした.一握りの富裕層が,選挙区のすべての有権者のためではなく,自分たちのために政治家たちや政党を利用したのです.所得分配が不平等になると,犯罪や自殺者が増え,殺人事件が増えています.

しかし,政治に何ができるのか? 金融ビジネスはますます新しい技術に依拠して,少数の者が莫大な富を管理します.これを法律や税金で苦しめることは,それに依存する多くの雇用を脅かすでしょう.Peter Wilbyは,労働党が薄汚れた金持ちが増えることに,もっと関心を払うよう求めただけです.


LAT December 29, 2006

Genghis Khan: Law and order

By Jack Weatherford

(コメント) 歴史に名を成す戦争の偉人たちであれば,イラクをどのように扱うだろうか? と専門家たちに問いかけました.ジンギス・カン,シーザー,リンカーン,ワシントン.

テムジン,もしくはジンギス・カンは,ウォルマートの従業員よりも少ない部族を率いて世界を征服し,空前の帝国を築きました.その孫の代には,太平洋の朝鮮から地中海に面するシリアまで,通商の陸路を完成し,世界を征服する目標を達成しました.彼がバクダッドを攻撃した理由は,シーア派の暗殺団をカリフが取り締まらなかったことでした.

ジンギス・カンは,征服が土地や町に対して行われるのではなく,人に対するものであることをよく理解していました.2003年のアメリカのようにバクダッドに殺到して勝利を祝うようなことはなく,むしろ小さな町を占領して,バクダッドを不安にさせました.他の宗派を説得し,圧力をかけて降伏を待ったのです.

ジンギス・カンは,カリフとその息子たちをただちに処刑しました.彼らが宮殿で贅沢におぼれ,国を守ることを怠った,という理由です.刑務所や拷問を許すことはなく,生かしておくと問題を起こすと思う者を直ちに処刑しました.占領後の数ヶ月は殺戮が続きましたが,権力の移行が終わったとき,殺戮も終わりました.そして,モンゴルの支配に従うことをアラーの意志としたのです.

モンゴルの支配は職人やその信仰を保護し,宮殿のためではなく,商業の発展のためにそれを奨励しました.税金を抑え,あるいは撤廃し,女性にも教育を与える一方で,腐敗した役人たちには法律を厳格に守らせました.

「イスラム原理主義者たちはモンゴルの支配を天罰と呼ぶ.しかし,アメリカのイラク支配が,特に少数派の信仰集団から,絶えざる難民を排出したのに比べて,モンゴル支配の下には,キリスト教徒,イスラム教徒,ユダヤ教徒,さらには仏教徒までが,ジンギス・カンの大法令にしたがって生きるため,移民として集まってきた.」

Caesar: Diplomacy and power

By Adrian Goldsworthy

(コメント) シーザーの軍隊は,BC58年,今のフランスとベルギーに当るゴールに侵攻しました.多くの部族は彼を解放者として歓迎しました.6年後,彼らの多くは反抗しましたが,シーザーは幸運と技巧によって勝利します.その後は外交に腐心しました.その原則は,各部族と友好関係を保ち,戦争の機会や原因を与えないことでした.

当時のゴールは言語も宗教も異なる多くの部族に分かれていました.民主主義など求めず,シーザーはローマ帝国を拡大して,統一した法律をその後の5世紀にわたって与えたのです.シーザーは帝国において軍事も民事も支配していました.自分で侵攻を計画し,占領を実行できたのです.しかし敗北や撤退は許されませんでした.それは権力を失い,死を意味したからです.毎年.冬には彼が戦果をローマの群集に報告し,強い支持を得ていました.僅かに敗北したとき,彼は即座に兵員を倍増しました.ローマには戦争に勝つために資源が無限にあることを示したのです.

シーザーは平和を維持するために威嚇を用いました.兵士たちを見せしめに処刑し,脅威となる隣国に侵攻したのです.彼がイラクを支配したなら,イランやシリアを空爆したでしょう.彼は重大な失敗も犯しましたが,最終的な勝利を疑いませんでした.敗北を認め,作戦を変更して,次の勝利をもたらしたのです.シーザーのような一匹狼の指導者は戦争を勝利に導けるが,本国の支配を転覆する危険もある,というわけです.

Lincoln: Focus on the real foe

By Harold Holzer

Washington: The crying game

By Joseph J. Ellis

(コメント) リンカーンの言動は,ブッシュ大統領がしばしば好んで言及します.戦争とその大儀,国内政治の重要性,メディアの統制,など,彼らは似ている部分があるからです.しかしリンカーンなら,先制攻撃によって戦争を始めませんし,失敗した閣僚を6年も擁護しません.特に,彼は大衆の気分を読み,コミュニケーションに努めました.今,リンカーンがイラク占領を指導するなら,1.真の敵であるテロリストに攻撃を絞り,2.柔軟に作戦を変え,3.戦争の目的を頻繁に,情熱的に,正確に,伝え,4.自分が前線に立って,5.神を正当化に使ったりし無いだろう.

ワシントンが今のイラクを任されたら,彼は何もできずに混乱するだけでしょう.しかし,戦略的なジレンマを正確に伝えるなら,彼は状況を直ちに理解するはずです.なぜなら,それは独立戦争で彼が経験したことに似ているからです.

「強力な軍隊で,降伏を拒む武装した少数派を含む,広大な土地に拡散する外国人を支配することができるか?」

ワシントンは,イギリスとの戦争を,二つの軍隊によるコンテストであると考えていました.それゆえ,戦争の最初に大きな敗北を味わいます.しかし,彼は戦略を変えました.勝利する必要はないのです.たとえイギリス軍が何度勝利しても,時間の経過と大陸の広さは独立派の側に味方します.ワシントンは,完全に敗北しなければ良い,と理解します.そしてイギリス軍も,果てしない土地で戦うことは無益である,と悟り,植民地を放棄します.

ワシントンなら,バクダッドで,アメリカが企てている帝国計画に涙するはずです.そして,ベーカーとハミルトンによるISGの報告書に従うでしょう.


The Rush to Hang Saddam Hussein NYT December 29, 2006

Tariq Ali Lynched by the mob The Guardian Saturday December 30, 2006

Death of a dictator LAT December 30, 2006

Andrew Cockburn So long to 'our' tyrant LAT December 30, 2006

NAJMALDIN KARIM Justice, but No Reckoning NYT December 30, 2006

Christopher Hitchens Keeping faith with a bloody tradition LAT December 31, 2006

Jim Hoagland What the Dictators Can't Stop WP Sunday, December 31, 2006; B07

Anne Applebaum Hussein in His Place WP Monday, January 1, 2007; A13

Amity Shlaes Iraq Stands Up for Saddam's Victims at Long Last Jan. 2 (Bloomberg)

Peter W. Galbraith A regrettable rush to execution BG January 3, 2007

Jeff Jacoby More relief than regret BG January 3, 2007

Saddam Hussein The Guardian Wednesday January 3, 2007

Richard Dawkins Losing his mind The Guardian Wednesday January 3, 2007

THOMAS L. FRIEDMAN A Hanging and a Funeral NYT January 3, 2007

Richard Dawkins Saddam should have been studied, not executed LAT January 4, 2007

The Ugly Death of Saddam Hussein NYT January 4, 2007

(コメント) サダム・フセインの死刑執行は,議論を呼ぶ(そして,都合のわるい情報を漏らす)時間を与えないように(?),速やかに終わりました.同時に,シーア派やイラク国内で政治的に利用するために(?),死刑執行がビデオ録画されました.自爆テロの犯人が録画されるように.政治がテロと違うのは,人々が正当と認める制度に依拠して行われることです.個々の人物や決定が争われると同時に,そのシステムが問われています.

サダム・フセインが死刑に値するかどうかは,全然,問題ではありません.多くの大量虐殺や戦争,毒ガスの使用,政治犯への拷問,などが明らかです.問題は,彼を死刑にすることでイラクの未来が改善できるかどうか,だけなのです.しかし,誤りと政治的な介入と分裂した意見に汚れた裁判は,そのたった15分の大雑把な手続きで死刑判決を決めました.あわただしい処刑は,人びとにフセインのことを思う時間など許さず,家族を内戦から守るだけで精一杯です.そして,何よりもイラクが平和になるかもしれない,という最後の希望を失った,とNYTは伝えます.

それは法の支配ではなく,権力を失った者が群集のリンチにより抹殺されただけでした.アメリカの命令で判事を入れ替え,フセインの弁護士は殺害されたのです.ニュルンベルグ裁判では勝利者が威厳をもって正義を示したが,フセインの裁判は野蛮で醜悪なショーでした.死刑を嫌うはずのEUの指導者たちは沈黙しました.

サダムは疑いもなく独裁者でした.しかし,多くの者が都合よく忘れているのは,彼がその醜悪な罪を犯した時期に,今やイラクを占領しているアメリカの,重要な同盟者であったことです.アメリカはその犯罪の多くを容認してきたわけです.サダムは,独立を遂げたイラクにおいて,イラク人によって裁かれるべきでした.

なぜ,同様に多くの虐殺をアメリカによって容認されてきたインドネシアのスハルトは保護を受け,サダムは処刑されたのか? なぜ今日のイラクの混乱に責任ある者たちが放免して,サダムを糾弾するのか? もしサダムが処刑されるなら,ムバラクもそうだな・・・ と,アンマンのハシム家やサウジの王族はワシントンと冗談を言い交わすだろう,とTariq Aliは描いています

最後の瞬間に,フセインの処刑執行人たちは「地獄へ行け,サダム!」と叫びました.非難された男は,「お前たちは今のイラクのことを言っているのだな」と言い返します.処刑されたフセインの死体が消えると,証人たちはシーア派のスローガンを唱えました.Peter W. Galbraithは,フセインの裁判や証拠,証言,判決に瑕疵はないが,処刑はシーア派の報復として行われた,と考えます.特に,フセインをあわてて処刑したことは,クルド人への虐殺など,他にも多く告発されるべき犯罪の立証を難しくした,と指摘します.これにより犠牲者の多くが,真実の究明と救済を受ける機会を失ったでしょう.

THOMAS L. FRIEDMANは,奇妙な日だった,と書いています.土曜日の朝,サダムは絞首刑にされました.BBCは,それを「21世紀の公式な正義を行ったというより,18世紀の公開絞首刑に近い」と伝えました.「それはかつてここで何が行われたかを思い出させる.」 しかし,何が奇妙か? 同じときに,フリードマンがその放送を観たように,アメリカではフォード元大統領の国葬が行われていたからです.

国家を分断した男と,国家を統合した男の葬儀.虹色のアメリカとして,異なる者たちへの和解と癒しを与えることを政治家の誇りとする指導者を生むような国に,自分が生まれることのできた幸運を感謝した,と.Michael Mandelbaumは,民主主義は違いを争うが,それが可能であるのは基本的な価値を信じているからだ,と述べます.その価値は,輸入することはできるが,輸出することはできない.われわれにできるのは,それを輸入したくなる状況を促すことだけだ,と.

サダムの処刑は,民主主義の価値を彼らが信じていないことを示しています.もしシーア派の指導者たちは,人殺しは十分だから,サダムを終身刑にして,新しい国を統一すると表明したら,人々は驚嘆し,喜んだであろう.他方,ブッシュ大統領が米兵を増やしても,イラク社会が統合を望まないなら,成功する見込みはない,と.


BBC 2006/12/29

Can Merkel fix the EU?

By William Horsley

The Guardian Thursday January 4, 2007

Today's European Union is 27 states in search of a story

Timothy Garton Ash

(コメント) EUの指導力は失われ,改革は低迷し,拡大による調整の疲労が深まっている,と言われています.しかし,メルケル首相はEUの議長国になります.最大の経済規模を持つドイツが,さまざまな問題解決に指導力を求められます.責任の重さを考えると良く眠れない,とBBCの記者にドイツの官僚が漏らしたそうです.

EUの目標を明確にするため,三つの分野に,メルケルが挑む問題は分けられます.1.新しいヨーロッパ憲法を定め,政治的意志決定のルールを明確にする.2.共通の外交政策を決める.3.エネルギー安全保障や環境破壊対策など,長期的な必要に応える.こうした重要な問題で,メルケルは指導者たちに明確な方針を示し,責任ある選択を求めるつもりです.

Timothy Garton Ashは,EUの成功が過小評価されている,と考えます.27カ国に達したEUは,現代の最も偉大な平和的体制転換です.

「元旦,再び静寂の帝国は拡大した.新しい植民地はこの吸収を解放として祝福した.ルーマニア人やブルガリア人の多くにとっては,そうなるだろう.二十年前,彼らは独裁者たちの貧しい奴隷だった.チャウシェスクとその秘密警察を覚えているだろうか? 今,彼らは新しい帝国の市民である.世界最大,最多のコミュニティーを統合した,自由民主主義の帝国だ.腐敗,失業,その他,現在まだ余りにも不完全な民主主義について不満があるにしても,これは前進である.一方,帝国の周辺では,諸国が列を成して叫んでいる.『私たちを入れてくれ! お願いだ!』 歴史上の他の帝国で,このようなことが起こりえたか? 静寂の帝国は自ら望んだ帝国であり,合意の共同体なのである.」

ヨーロッパ大陸のいたるところで,人びとの暮らしは改善され,自由を得ました.それは50年前の春,冷戦が最も激しかった頃,西欧の6カ国が後にローマ条約と呼ばれる条約に調印して始まりました.それは1957年には夢想さえもできなかったことです.

しかし,ベルリン宣言を発表する政治家たちの気分は,祝賀会とは程遠いものです.陰鬱で,気分が悪く,将来の見通しもない.個人としては生活の改善を享受しながら,集団としてはこの帝国に満足できない.これほどの成果を上げながら,これほど悲観されている企画も珍しい,とAshは驚きます.

その成功が余りにも大きかったために,短期的には調整の苦しみが増したからです.また,6カ国で合意したようなシステムを継承していることが問題です.トルコ,移民,犯罪,テロ,などがポピュリストの煽動政治家たちに利用されました.EU拡大とアジアからの安価な商品流入とが重なったことも不安や反発を生みました.同様に,高齢化や温暖化,ロシアからの供給に依存しているエネルギー問題が重なっています.問題を解決するための協力する,政治的共同体の意志を示すときです.

1950年代から90年代まで,ヨーロッパ共同体は一つの大きな歴史的物語の中にあった.もちろん,異なる国民はヨーロッパの中の自分たちについて,自分たちにとってのヨーロッパについて,異なる物語を持っている.しかし,戦争の記憶を共有した2世代の政治指導者たちには十分な共通の基礎があった.それはもはや無いのだ.われわれがどこから来たかを示す(選択された)歴史を結びつけるような,また,われわれが向かおうとしているところを見通せるような,効果的な政治的物語が必要だ.今のヨーロッパにはそれが欠けている.」


NYT December 30, 2006

Ghosts in the Machine

By DEBORAH BLUM

(コメント) 「甲殻機動隊」の話か,と思いました.身体のゴースト効果に関心を持ちました.記事は,最新の脳神経科学が,電気によって反応する機械として人体を説明し,その誤作動という形で超自然現象を科学的に解明するかもしれない,と指摘しています.過去にも優れた科学者たちが超自然現象を真剣に研究しました.他方,合理主義者は,人間が自然現象に何でも意味を与えたがる傾向を重視します.結局,それは何でもない,人が見たいものを実際に見たと思ってしまうだけなのだ,と.

DEBORAH BLUMはジャーナリズムの教授であり,ゴースト・ハンターを研究した著書があります.科学者であっても,神秘的な何かに刺激されるほうが,本当に何かを発見できるかもしれない,と「幽霊」にも寛容です.私が思ったのは,日本の信仰集団と,テレビに登場するさまざまなポップ・オカルトのブームでした.


The Japan Times: Sunday, Dec. 31, 2006

Japan turns a corner

FT January 1 2007

Abe puts relations with China as priority

By David Pilling in Tokyo

FT January 3 2007

Procreation does not result in wealth creation

By Victor Mallet

Jan. 5 (Bloomberg)

Something Has Got to Give on Japanese Economy

William Pesek

(コメント) 日本の政治や経済の停滞について,さまざまに解釈されてきました.いずれも当っているでしょう.安倍首相の国内向け発言と,海外向け発言が,(意図的に)食い違っている印象を受けます.新年の抱負に,中国との関係改善を優先する,など,国内ニュースに無かったことです.私は,靖国参拝の扱いでもそうですが,日本政府の情報操作や虚偽の二面性に,深刻な危うさを見ます.

英語圏では今も,中国に比べれば極端に少ないですが,日本経済の行方を議論しています.Victor Malletは,人口の減少が低成長や国家の衰滅,民族の絶滅に至るかのような主張を退けます.若者が減れば,年金・医療費の負担や軍隊を維持できなくなります.しかし,インドのように若者が増えても,社会が彼らを養い,十分に教育するコストを支払えるわけではありません.

なぜ政治家たちは,生活水準の改善ではなく,GDPの規模を重視するのか? 単に人口が増えることではなく,生産的な労働力を増やすことの方が重要です.世界中どこでも,人口が増えないから停滞するのではなく,人びとが都市に移住し,安全で豊かな暮らしを実現できたから,子供の数を減らしたのです.人口の増加が富をもたらすわけではない,と.(重商主義も,重人主義も,間違いです.)

William Pesekは,安倍政権の経済政策を批判します.確かに,憲法改正や愛国心については議論しています.しかし,どうすればGDPの170%に達した公的債務を減らせるか,その場合,景気回復を妨げないように何をするか,市場に向けて説明しません.まるで,小泉構造改革で日本の問題はすべて終わったかのように楽観することこそ問題だ,と.

外国人投資家に比べて,日本の消費者も投資家も,その将来について,日本を指導する政治家たちの手腕を信頼していない,というわけです.


The Guardian Monday January 1, 2007

Ten ways to save the union

Iain Macwhirter

(コメント) 本当にスコットランドはイングランドとの連邦制から離脱するのでしょうか? あるいは,イタリアはEUから? ケベック州はカナダから? 北海道や沖縄は日本(本州)から?

Iain Macwhirterは,スコットランドの分離を回避するために,10項目を挙げて政府に対応を求めています.1.鉄道,すなわち交通・輸送インフラの整備.2.トライデント,すなわち核武装.3.ニュース・メディアの支配.4.移民,多文化主義論争.5.エネルギー政策.6.財政.7.上院改革.8.下院の比例代表権.9.首相・閣僚.10.ユーロ加盟.

同じ問題を,北海道や沖縄についても考えてみるべきでしょう.あるいは,なぜアメリカや中国の各地域は政治的統一を維持しているのか?


IHT Monday, January 1, 2007

America needs history as never before

Arthur M. Schlesinger Jr.

(コメント) 安倍首相も歴史を学びなおしてはどうでしょうか? 歴史は定まったものではなく,現在の視点から常に見直される,とArthur M. Schlesinger Jr.は述べます.EUも,アメリカも,中国も,ロシアも,あるいは,世界最小の流浪の民も,彼ら自身の歴史を模索しています.歴史を知ることで,私たちの信じる視点がしばしば間違っていたことを理解できます.歴史を知れば,私たちの未来に,予想もしない可能性が多くあることを理解できます.歴史は,思い上がった権力者を自制させ,国民を導くガイドにするのです.


NYT January 2, 2007

Central Banks Tiptoeing Away From the Dollar

By JEREMY W. PETERS

(コメント) 中央銀行が外貨準備をドル建資産からユーロ建資産に変えつつあります.しかし,ドルの長期的な地位がこれによって変わることはない,と記事は伝えています.なぜなら,中央銀行はユーロをドルに代わる基軸通貨として受け入れたからではなく,単にリスクを分散する投資家の標準的な行動を取っているに過ぎないからです.しかも,その額は小さく,移転は緩やかです.為替レートの長期的な変化にも影響しないでしょう.

日本の円についても繰り返されてきた議論です.外貨準備を累積するだけで,アメリカ・ドルを脅かすことはできない.もしドルを売れば,彼らの利益を大きく損なうだけだ.むしろ金利の対立した動きが金融市場を混乱させる.・・・など.これは,もちろん,アメリカからの解説です.


FT January 3 2007

Technology, not globalisation, drives wages down

By Jagdish Bhagwati

(コメント) Jagdish Bhagwatiは,アメリカの失業や低賃金を,グローバリゼーションや中国からの輸入のせいにしてはならない,と主張します.それはデータが示しています.労働組合の衰退も,以前から続いています.直接投資は流出と同じくらい流入しています.結局,失業や賃金の停滞をもたらしているのは,労働を節約する技術変化です.海外への工場移転は,かつて,輸出の増加や国内の生産性上昇と高賃金につながりました.今では,こうしたJカーブが起きる前に,次の失業が襲って来ます.しかし,この技術変化はグローバリゼーションと関係ありません.

FT January 3 2007

Multilateral muscle needed for Doha deal

(コメント) FTは,明確に,二国間や地域内の自由貿易協定に反対しています.自由化をもたらすには二つしか方法が無い.一方的な自由化か,多角的(WTOによる)自由化である,と.それ以外の自由化は,政治的な宣伝でしかなく,多角的自由化を妨げ,時間と努力を無駄にします.アメリカ,EU,日本,中国などが,競争的に自由化するとか,地域内で自由化するほうが容易だ,という主張を否定します.


Jacob Weisberg Failure in Iraq was not inevitable FT January 3 2007

Jonah Goldberg Isolation, the right and wrong LAT January 4, 2007

BOB HERBERT Another Thousand Lives NYT January 4, 2007

BRENT SCOWCROFT Getting the Middle East Back on Our Side NYT January 4, 2007

(コメント) 敗北も,勝利も,不可避ではない.さまざまなイデオロギーでブッシュ政権のイラク戦争が失敗したことを説明するのは間違いだ.どのような戦争も,戦う正当な理由は必ずしも勝利を意味しないし,敗北によってすべてを否定されるわけでもない.ベトナム症候群によってアメリカの外交政策が歪められた失敗を繰り返すべきではない,とJacob Weisbergは主張します.

Jonah Goldberg は,アメリカ政治における"isolationism"の変遷と用法を解説しています.方針転換が遅れるほど,アメリカ兵の死者は増えていきます.他方, BRENT SCOWCROFTはISGの提言を「非現実的」と批判し,中東におけるアメリカの戦略的利益を示します.軍の撤退それ自体を目的にしてはいけない,と.


FT January 4 2007

Digital gold and a flawed global order

By Benn Steil

(コメント) アメリカの権威あるシンクタンク,外交評議会のBenn Steilが,変動レート制に代えて,デジタル金本位制,を提唱しています.変動レート制の問題は繰り返し指摘されています.しかし,固定レート制や金本位制に変えることには強い反対があります.アルゼンチンが為替レートを規制し,貿易や資本取引や価格を規制したことを紹介しています.

とはいえ,弱小な通貨が大国の金融政策に従属したり,外貨準備を累積して国際対立を深めたりするより,むしろ世界の安定した通貨秩序に直接参加するほうが良いでしょう.つまりドル化する,さらに,デジタル金本位制に参加することです.それは,多分,金為替本位制に近いものでしょう.


Forbes Magazine, 4 January 2007

Migranomics Instead of Walls

Ernesto Zedillo

(コメント) もし非合法移民たちがアメリカ経済の必要を,市場のダイナミズムにしたがって,合法的に満たせるようにしてやれば,移民にまつわる多くの問題は解消し,アメリカにとっても移民たちにとっても利益になる,とErnesto Zedilloは考えます.すなわち,移民の「完全自由化」論です.

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The Economist, December 23rd 2006

Happiness (and how to measure it)

Liberalism and neurology: Free to choose?

Economics discovers its feelings: Not quite as dismal as it was

Maldives: Waving or drowning?

Genghis Khan’s Legacy: Battle for Mongolia’s soul

A child of Bethlehem: No end of history

(コメント) The Economist 2006-2007年のクリスマス・新年特別号は,《精神》を主題にしていたようです.幸福,自由意志,満足,ソウル(魂),あるいは,願い.

仕事が単に報酬を得るための苦役ではなく,それ自体が喜びであるような人びと.欧米化や中国まで,世界のリゾートとして愛されるモルジブの中に広がる苦悩.中国による需要が新しい雇用や所得上昇をもたらすけれども,独立を失うのではないかというモンゴルの不安.キリスト教徒やイスラム教徒が歴史的に共に暮らした平和な町が,インティファーダの対立やイスラエルの築いた壁によって分断され,生活を翻弄される子供たち.

もし自由意志が無ければ自由主義や資本主義は無く,もし満足や幸福が個人によって計測されないなら経済学も無い・・・?


America and China: Big guns, small prizes

Japanese education: The wrong answer

(コメント) アメリカのトップ・エリート交渉団は,長期的に正しいけれども短期的には成果の無い,中国との話し合いを終えました.日本政府・与党は,見当違いの教育改革によって,再び世界の顰蹙を買っています.