IPEの果樹園2006

今週のReview

11/27-12/2

IPEの種

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世界の英字紙HPからコラムを要約・紹介します.著作権は,それぞれ,元の著作権に従います.

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ロシアの石油政治, サハリンUプロジェクト, フリードマン, イラクの政治文化

新ドミノ理論と世界資本主義, ブレアの新ベルリン会談, ゲオ・グリーンによる中米連携,

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ただしFTFinancial Times, NYTNew York Times, WPWashington Post, LATLos Angeles Times, BGBoston Globe, IHTInternational Herald Tribune, CSMChristian Science Monitor


CSM November 16, 2006

Putin's petro politics

冷戦の間,モスクワは核で武装していた.今や,ロシアの力は天然ガスと石油であり,近隣諸国がロシアからのエネルギーの依存しつつある.もしクレムリンがそれを政治の道具にしないのであれば,それは好ましい変化である.

しかし,そうとは限らない.

ヨーロッパはロシアの石油輸出の60%以上を輸入しており,モスクワは需要と供給に従い,調和のある商業的共存を体現しつつある.それこそ誰にとっても利益である.ロシアが,単なる経済的利益にとどまらず,より大きな「勝利」を求めなければ.

しかし,NATOとEUはロシアの足元にまで拡大しており,それを懸念したロシアもいわゆる近隣諸国への影響力拡大を目指す.ロシアから見れば,エネルギーは政治的圧力をかける(脅迫する,という人もあるが)手頃な手段でしかない.

西側がこれに気づかないはずはない.今週の報告書で,NATOはロシアが天然ガスの国際カルテルを目指していると注意した.ロシアには世界最大の天然ガス埋蔵量がある.アルジェリア,リビア,中央アジア諸国が加われば,OPECが石油でやったように,市場を操作するクラブを作れる.モスクワは,そのような考えはない,と否定するが,もし主要な供給国が望むなら,天然ガス・カルテルは「可能」である,という.

NATOが心配するのは,ロシアがヨーロッパに圧力をかけるため,そのカルテルを利用するのではないか,という点だ.昨年の1月,ロシアはウクライナへの供給を止めた.それは価格交渉において紛糾したからだが,同時に,西側陣営に加わったウクライナを懲罰するものであった,とヨーロッパは考えている.今度は,グルジアへの天然ガスの値段が二倍になっている.それは,ロシアに統合することを願っている,グルジアの分離独立主義者をそそのかすものだ.

西側の守りをめぐって,ロシアはヨーロッパ諸国を分裂させようとしている.たとえば,ポーランドを迂回して海底のガス・パイプラインを敷設し,ドイツに直接供給する計画である.ポーランド人はロシアのエネルギー政治に怒って青ざめ,EUがロシアとの経済協定を結ぶのを妨げている.

ロシアは東方も目指す.プーチン大統領は,燃料を渇望する中国のせいで,ロシアのアジア向けのエネルギー輸出が,10年間で,全体の3%から30%に増価すると予想している.アメリカは,中国がロシアと結託することを心配する.

それゆえ,石油のデタント(緊張緩和),エネルギー貿易を経済のみにより,地政学的な支配を目指さない,という合意を促すべきではないか?

その動機はロシア国内からも生じる.投資や生産企業の不足で,ロシアは国内の天然ガスが不足している.だからエネルギー生産への外国投資を許すかもしれない.

そのような動きは,今度は,ロシアとヨーロッパとを接近させ,モスクワが脅迫する余地を減らす.ただし,ロシアに,今までと違って,国際投資に関するルールに従うよう求めるなら,ヨーロッパの姿勢が分裂してはならない.

ルールと言えば,ロシアのWTO加盟が影響力を発揮するだろう.ブッシュ政権が加盟条件に合意したことで,ロシアの加盟は近づいた.WTOに入れば,ロシアは世界の貿易基準に従うだろうし,それができないときは制裁を受ける.

幸いなことに,それは冷戦ではない.ただし,パイプラインで武装したクマには,まだ爪があるのだ.

Russia moves closer to the WTO The Japan Times: Thursday, Nov. 16, 2006

Dmitri Trenin and Mark Medish Bush and Putin have a lot of work to do IHT November 16, 2006

Michael Richardson Can Asia Count on Russian Oil? The Straits Times, 16 November 2006

(コメント) ロシアがアメリカと合意し,WTOに加盟することは,その政治を開放的にし,石油による支配を透明にし,国際的な批判に応え,平和と協調を重視し,民主的にもするでしょうか? もちろん,チェチェンやグルジア,ウクライナだけでなく,EUや日本も,そうした変化を強く願っています.

ロシアのWTO加盟交渉は13年に及びます.特にロシアとアメリカは,WTO加盟に合意する条件として,さまざまな政治的調整を繰り返したようです.その過程で,ロシア周辺地域の不安定化と介入が双方から懸念され,石油供給への期待と不安が高まり,大量破壊兵器やイラク,そして今も,北朝鮮,イランにおける核開発阻止をめぐる駆け引き,が重要でした.WTOを介して,ロシアに国際貿易・投資のルールや知的所有権保護,規制や国有化の制限を求めたいアメリカと,WTOを介して,石油に限らず,世界経済と国際政治への影響力を強めたいロシアとが,交渉を繰り返してきたわけです.

サハリンTとサハリンUの開発計画が,ロシアと日本など投資諸国との間で紛糾しています.エネルギーをめぐってロシアと中国の関係が緊密化することを,日本やアメリカは警戒します.サハリン沖の開発でも,環境基準を満たさない,などと理由をつけて,ロシアの国営石油企業が支配を拡大するつもりでしょう.パイプライン敷設をめぐっても紛糾したように,ロシア,中国,日本が,エネルギー政治に陥りつつあるわけです.

FT November 22 2006

Kremlin makes life difficult on Sakhalin

Arkady Ostrovsky

(コメント) 「サハリンはロシアの縮図である.」 サハリンの巨大エネルギー開発国際事業に関して,詳しい情報はこの記事から得られます.

かつては日本の領土であり,1945年以降はロシア領となった辺境の島.自然の宝庫であり,世界でも有数の埋蔵資源がありながら,世界最貧の地域に数えられ,1990年代に住民の4分の1が島を去りました.石油に依存した経済.地域間の不平等.メディアの政治的操作.エネルギー・ナショナリズム.その結果,サハリンは,クレムリンと世界最大の石油・天然ガス企業との戦場になってしまったのです.

シェルが率いるサハリンUプロジェクトの規模は,200億ドル(2兆円以上).採掘にとどまらず,地震地帯にパイプラインを敷設し,天然ガスを液化する巨大な工場も建てます.

サハリンU計画の破棄を示唆する脅しに対して,主要国とともに,日本政府はロシアとの関係悪化を警告しました.それに対して,モスクワは一層の敵対的な姿勢を示したに過ぎません.その後,ロシアの高官は再交渉の理由を,コストの増大として説明し,サハリンUの特異な契約に従えば,ロシアの利益が失われる,と主張します.

さらに,ガスプロムはシェルとの採掘権交換契約を結び,サハリンUから25%を得て,シベリアの採掘権を50%与えました.その契約を終えてから,シェルはサハリンUのコストは高かった,と発表したのです.ロシア側はだまされたと感じ,サハリンUの高コストを押し付けられる契約の破棄を求めた,と記事は伝えます.しかし,シェル側は,コスト上昇の原因はロシア側の労働コストによる,と説明します.ガスプロムのスタッフの給与や資材の調達費用は高騰してきました.

その上,サハリンU契約が紛糾するのは,ロシア政府の姿勢が変わったからだ,と記事は考えます.かつて事実上の破綻国家であったロシアが,いまや石油価格の高騰により,好景気と国際政治の威信を回復しました.ロシアは,これまで行われた外国企業との契約を,強い立場から見直す姿勢に転換したのです.他方,シェルは西側の環境保護運動から厳しい批判を受け,国際機関や銀行もシェルへの投資に神経質になっていました.ロシア政府の高官は,抗した環境保護団体の写真や情報を利用して,シェルの計画を妨害します.

海底にパイプラインを敷設する工事に関しても,ロシアはローカル・コンテンツを求め,地元企業が多くの利益を得ています.それにもかかわらず,地域住民はシェルの計画を憎み,ナショナリズムが高まっています.地元の反対運動は,移民労働者の流入,人種の混合,土地などの価格高騰,を非難します.契約の再交渉を重ねることで利益を得るモスクワの住民たちは,ロンドン並の高級レストランに群がって生活を楽しみ,他方,サハリンの労働者たちは水道もない生活を耐えています.


Nov. 17 (Bloomberg)

Friedman Promoted Peace, Championed Free Market

Amity Shlaes

BG November 18, 2006

Milton Friedman, 1912-2006

The Guardian Saturday November 18, 2006

The deflation of Friedman

Richard Adams

NYT November 19, 2006

The Great Liberator

By LAWRENCE H. SUMMERS

(コメント) エネルギー,多国籍企業,ナショナリズム,独裁国家,・・・こうした現実に抗して,市場の働きを賛美し続けた思想家として,ミルトン・フリードマンに対する惜別の表明は続きました.

Amity Shlaes は,マネタリズムによるケインズ主義打倒や,80年代のボルカーによるインフレ退治ではなく,フリードマンの思想の核心を,市場の人間的な機能を示したこと,と理解します.それ以前の経済学は,市場を非人間的で,必要悪のように考えていました.これに対して,フリードマンは市場の方が慈善や政府による社会福祉よりも人間的である,と主張しました.すなわち1960年代に,福祉よりもマイナスの所得税を提唱しました.つまり,最低(保障)所得を下回れば税金ではなく生活費が支給されるわけです.この制度(EITC)はクリントン政権が支持しました.

1970年代には,チリのピノチェト大統領が経済自由化政策を支持し,フリードマンの同僚や学生たちが自由な市場を導入しました.その後,チリは政治的にも自由化され,ラテンアメリカで最も高い成長を示しました.もちろん,ピノチェト独裁政権でフリードマン思想が称賛されたことで,保守派として攻撃を受けたわけです.

フリードマンは自由市場の機能を信じていたし,政府はその貨幣(によって人々から富)を奪うことしかしませんでした.だから,フリードマンは,すべての減税は正しい,と共和党の減税策を支持したし,チリのピノチェト大統領も,中国の共産党も,市場を自由化するなら支持して当然であり,非難される覚えはなかったのです.その結果,裕福な者と貧しい者の差が生じました.それでも市場こそが,資源を本当に社会的に必要な用途に向けるから,と.

Richard Adamsは,小さな政府を主張したフリードマンの思想は,むしろ共和党による大きな政府をもたらした,と指摘します.ほかにも,彼の多くのアイデアは実践されて失敗した,と.「インフレーションは,常に,そして,どこでも,貨幣的な現象である.」というケインジアンとの論争は,マネタリズムの時代をもたらしましたが,今,マネタリズムによって金融政策を決める中央銀行はありません.たとえフリードマンを賛美するグリーンスパンでも,貨幣供給に政策を縛ることはなかったのです.

LAWRENCE H. SUMMERSは,ケインズを20世紀前半の最も影響力を持った経済学者,と呼び,フリードマンを20世紀後半の最も影響力を持った経済学者,と呼びます.進歩的なエコノミストの家庭で育ったサマーズにとって,フリードマンは悪魔だった,と.

しかし,サマーズはフリードマンの考え方に時代が変化したことを理解し,魅力を感じています.その成果とは,金融政策が財政政策よりも経済を変化させること.インフレを高めることは繁栄を意味せず,生活水準を下げさえすること.経済政策を景気変動に合わせて微調整できないこと.などです.

フリードマンは,変動レート制と金融市場の自由化を主張し,金融システムの機能を作り変えました.また,ベルリンの壁が崩壊する前に,鉄のカーテンの向こうで共産主義以外の体制を望む人たちが読み,異なる世界のあり方を教えた思想家とは,フリードマンでした.もちろん,サマーズはフリードマンが社会正義の問題に無関心で,集合行為の面で政府が積極的な役割を果たすことを軽視した,と考えています.それでも,世界の人々の生活を変える思想を示した偉大な人物としてフリードマンを称えます.

Niall Ferguson The death of monetarism LAT November 20, 2006

Robert J. Samuelson Friedman's Large Legacy WP Monday, November 20, 2006; A17

Martin Wolf Keynes v Friedman: both can claim victory FT November 21 2006

Michael Kinsley The great free market fraud The Guardian Tuesday November 21, 2006

Michael Kinsley A Capitalist Swindle WP Tuesday, November 21, 2006; A27

(コメント) マネタリズムとは何でしょうか? ケインズ主義はわかりますが,それに対抗する意味で,マネタリズムなど本当にあったのでしょうか?

貨幣数量説に期待の要素を加えて,インフレーションに新しい優れた説明モデルを与えたことは,それ自体,フリードマンが考える「経済学」の役割かもしれません.それが役に立たないとわかれば,破棄されることも承知の上で.つまり,マネタリズムなどなかったのです.

しかし,Niall Fergusonが書いているように,一部の人々がマネタリズムを信奉し,それを利用し続けた(あるいは,今も利用している)ことは重要です.サッチャー,ボルカー.しかし,バーナンキは貨幣量ではなく,インフレ率を目標にしようと主張します.マネタリズムが死んだのは,貨幣供給に関わらず,中国が消費者物価を支配し,インフレは石油価格や土地,株価に現れたからです.そうであれば,過剰な為替市場介入で貨幣供給を増やす中国に,次のマネタリズム信奉者がいるはずです.

フリードマンが現れる前は,アメリカでも失業率が18%に達した大恐慌によって市場の機能が疑われ,市場自由化は憎まれていました.しかし1962年に,フリードマンが『資本主義と自由』を出版し,100万部以上を売って,歴史的事件となったのです.経済的自由は政治的自由の条件である,と.自由な市場は,個人の選択と創造性を好む.そして,中央集権化された政府の下では,文明が進歩しない,と主張しました.ただし,フリードマンは社会の改善と個人の選択を区別しませんでした.

経済学の論争と言うのは,大抵,どちらが勝ったとは言えないような結果に終わるものです.そして,新しい論争に変わってしまいます.Martin Wolfは,ケインズもフリードマンも,それぞれ,自分が勝ったと主張するだろう,と考えます.なぜなら,現代の支配的な政策思想は,二人の思想を折衷して利用しているからです.論説は,二人の思想が異なりながらも真実を共有する由来を考察して,興味深いです.

彼らの思想が変わったのではなく,大恐慌がそうであったように,1970年代初めの変動レート制と石油危機が,社会における二つの思想に対する評価を逆転させたのです.しかし,ECBでも,日本銀行でも,金融政策をめぐる批判と論争は決して終わりません.

自由な市場が価格を決める,と言うのは,ポテトなら正しいかもしれない.しかし,大企業の株価も正しいのか? とMichael Kinsleyは問います.自由な市場がもたらす資本主義をすべて正しいと主張するなら,それはアメリカの経営者たちが犯した多くの犯罪を無視しています.フリードマンは間違っており,同じく,今年亡くなった偉大な経済学者,J.K.ガルブレイスの方が次の点で正しかった.自由な市場で企業の価格を決めることは,優れた経営をもたらさない.

John Greenwood Friedman’s ideas will live on FT November 22 2006

William Pesek Galbraith Means More to Asia Today Than Friedman Nov. 22 (Bloomberg)

Chan Akya When left is right Asia Times Online, Nov 23, 2006

David S. Broder Free Thinking To the End WP Thursday, November 23, 2006; A39

(コメント) John Greenwoodは,フリードマンの自由市場が示す革新的な思想を四つ挙げています.1.開発においても自由化・民営化を支持した.2.企業について株主の利益だけを擁護した.それ以外の目的をすべて否定した.3.公共サービスについて,政府は消費者の利益を実現できない,と反対した.学校でも,病院でも,政府が資金を出すことはかまわないが,経営は民間でなければならない,と主張した.二つをつなぐのがバウチャー制度であった.4.金融先物市場を発展させた.

William Pesekは,中国の膨大な外貨準備を考えます.そして,中国における為替レート,金融政策,成長,それらを理解するには,フリードマンよりガルブレイスだ,と.通貨・金融危機を経験したアジア諸国は,自由な市場の動きを緩和するために介入することを選択したからです.資本主義は,特にその初期では,本質的に不安定である,とガルブレイスは考えていました.他方,Chan Akyaは,アジアについてもフリードマンを称賛します.平等を実現する前に,まず自由化して富を創る必要がある,と中国もインドも気づいたからです.


WP Friday, November 17, 2006; A25

Why Iraq Is Crumbling

Charles Krauthammer

われわれはイラク人に共和国を与えた.しかし,彼らはそれを維持できないようだ.

アメリカ人は,自分たちこそ地球に悪をもたらす源泉だ,と認めるべきか? 北朝鮮の核や,ボリビアの貧困,イラクの宗派争い.しかし,われわれこそが悪なのか? ・・・間違った戦争? 少なすぎた兵士? 傲慢な占領? 余りにもソフトであった? どれでもどうぞ.

私には違う理論がある.思い返せば,われわれは多くの間違いを犯した.略奪者たちを撃たなかった.イラクの亡命者による政府をすぐに樹立しなかった.サドルやマフディ軍を2004年に早い段階で取り除かなかった.それは余りにも譲歩した占領であった.それにもかかわらず,問題の根源はイラクに,その政治文化にある,と思う.

われわれの目的は二つしかなく,単純であった.サダム・フセインを権力から排除すること.そして,自立した民主的な政府に代えること.

最初の目的は比較的簡単だった.しかし,イラク初の真に民主的な政府は,容易に形成できる見込みがないと判明し,寄せ集めの大臣たちは党派や民兵,地域の首領に奪われてしまった.

問題は,われわれが際限なく論争しているような,アメリカ兵の数ではないのだ.イラク軍の数でもない.問題はイラク軍の忠誠にある.抽象的なイラクに忠誠を奉げる者もいるだろう.しかし多くは,政治党派や宗派,民兵の指導者に信義を尽くす.

「リアリストたち」が言うように,アラブは本能的に民主主義には向かないのか? 確かに,政治的,歴史的,さらに宗教的な理由がある.アラブは,たとえば東アジアやラテンアメリカよりも民主主義を受け入れる条件がない.しかし,ここでの問題はイラクの特殊な政治文化だ.それはフセインの全体主義が蹂躙し,破壊してしまった政治文化である.

そこに残されたのは社会的な砂漠,信頼や善意の死滅,民主的な統治に必要な人的資本の枯渇であった.その中で個人は,モスクやクラン,民兵に頼った.国内の発展がこうした原始状態では,イラクの国民意識も非常に希薄である.幅広い連携を作って効果的な政府を組織するには,妥協の文化が育っていない.

先月,アメリカ軍はマフディ軍の暗殺部隊指導者をバクダッドで捕まえた.しかし,マリキ首相の命令で解放するしかなかった.2週間前も,サドル・シティーを包囲するアメリカ軍のバリケードを撤去せよ,という首相の命令に従った.暗殺部隊指導者の捜査や,行方不明のアメリカ兵を探すためにバリケードを築いたにもかかわらず.

これは戦争を指揮する間違ったやりかただ.しかし,イラク最初の選挙が結果としてこうなった.アメリカはサダム・フセインを他の独裁者に交代させることを望まなかった.われわれは中東の真ん中に民主主義を移植し,原理主義やテロの解毒剤としたかった.そして住民の約3分の2がシーア派の国であれば,シーア派が支配するのは当然だった.長く抑圧されたシーア派が国民全体を意識して,統治のためには妥協するかどうか,決して明確ではなかった.その答は今,明らかである.支配集団の連携において,妥協はないのだ.

しかし,幸いなことに,シーア派の団結に亀裂が生じてきた.マリキ政権を支えるシーア派の二大集団が,先月,武力衝突した.シーア派の団結が失われれば,宗派を超えた連携に依拠する新しい政府が模索されるかもしれない.より穏健なシーア派,クルド,少数派の地位を受け入れることで重要な地位を得たいスンニー派,が連携するだろう.

そのような連携が選挙後にも成立しそうだった.再び試みるべきだ.イラク人が統一した目標と行動を取るような,連立政府に結集するまで,この戦争の目的は達成できない.

Mahan Abedin Managing Iraq's collapse Asia Times Online, Nov 18, 2006

Close to collapse in Iraq LAT November 18, 2006

CARLA ANNE ROBBINS Waiting (and Hoping) for Jim Baker NYT November 18, 2006

Joseph R. Biden Jr. The Minimum Necessary WP Sunday, November 19, 2006; B07

OMAR GHANIM FATHI Republic of Dreams NYT November 20, 2006

(コメント) 民主的な政府を作るはずが,内戦と殺戮の大混乱を招いてしまいました.アメリカの目標を頓挫させるには,聖戦を煽って内戦が激化するように仕向けることでした.アメリカはいつも,草の根のナショナリズムでもあるサドル派を過小評価してきました.イラクの重要性を考えれば,イラク内にイランが浸透しようとするのは当然です.アメリカ軍撤退,イラクの連邦化,地域安全保障会議,・・・ ベイカー元国務長官の委員会が画期的な方針転換を示すことに期待するしかないのでしょうか.

Nikolas Gvosdev and Alexis Debat Channel the violence IHT November 21, 2006

U.S. should lead Iraq summit LAT November 21, 2006

MARK MOYAR An Iraqi Solution, Vietnam Style NYT November 21, 2006

Eugene Robinson The Only Real Option: Leave Iraq Now WP Tuesday, November 21, 2006; A27

Marc Erikson Iraq: Kissinger's 'decent interval', take two Asia Times Online, Nov 23, 2006

(コメント) 中間選挙を経て,アメリカ政治が示す答は,イラクを速やかに撤退せよ,です.反政府軍を鎮圧してからしか,名誉ある撤退はできない,と主張してきたキッシンジャーも,軍事的に勝利することはもはや不可能だ,と認めました.凄惨な内戦状態の中で,アメリカはいずれの党派を支持することもできず,現実的な解決を促進できないからです.ベイカー委員会は近隣諸国との協力で平和的な撤退を模索します.ブッシュ大統領が嫌うように,ベトナムからの無残な撤退劇を繰り返したくないのです.撤退が平和をもたらすことはありません.しかし,アメリカ軍が占領を続けることが,事態を好転させる見込みもなくなりました.


WP Friday, November 17, 2006; A25

Remember Who Sent You

By E. J. Dionne Jr.

NYT November 19, 2006

A New Class War: The Haves vs. The Have Mores

By ERIC KONIGSBERG

NYT November 21, 2006

In Web World, Rich Now Envy the Superrich

By KATIE HAFNER

(コメント) アメリカにおける不平等の拡大,グローバリゼーションと中産階級の消滅について.民主党は,サンフランシスコ連銀のJanet Yellenが行った講演を学び,Jacob S. Hacker"The Great Risk Shift."を読むこと.自由貿易とともに教育や再訓練を強調するにとどまらず,社会保障システムをグローバリゼーションに合わせて改革する必要がある,と訴えます.誰があなた達を議会に送ったのか,思い出すべきだ,と.

1990年と2004年のアメリカの所得を見れば,納税者の下位90%(平均所得28000ドル)は2%しか増えていないが,上位1%は57%,最上位0.1%(平均所得4500万ドル)だけであれば85%も増加している.まあ,しかし,10億ドル以上で買収される新興企業の創業者たちが,まだ20代の若者で,巨万の富に苦しむ話もありますが.


The American Prospect 11.17.06

The New Domino Theory

By Robert B. Reich

BG November 21, 2006

Asian lessons for Bush

(コメント) ベトナム戦争を拡大する過程で,アメリカは「ドミノ理論」を唱えました.もしベトナムが共産化したら,東南アジア一帯がドミノ倒しのように共産化してしまう,と.しかし,ハノイのAPEC首脳会議で唱えるのは「新しいドミノ理論」です.

ソ連は消滅し,中国は資本主義世界のスターとなり,ベトナムも成長を求めて市場自由化に取り組んでいます.この資本主義化のドミノも,40年前と同様に,アメリカへの脅威となっています.アメリカは市場を奪われ,雇用を奪われ,資本を奪われます.共和党員は共産主義国を憎むから,また民主党員は自由貿易を憎むから,ベトナムだけでなく,その次を狙うアジア,ラテンアメリカ,アフリカの新興諸国を恐れるのです.

イラクと中間選挙で敗北した弱いアメリカは軍隊を撤収し,自国の市場に閉じこもるでしょう.そして,「新しい冷戦」が唱えられます.ただし,今回の敵は「世界共産主義」ではありません.アメリカを脅かす「世界資本主義」です.

ハノイでブッシュ大統領が語ったのは「北朝鮮の核問題」だけであり,アジア各国の首脳が語ったのは「自由貿易の拡大」でした.つまり,APECの新しい課題とは,アメリカが朝鮮戦争を正式に終了して,朝鮮半島の非核化と北朝鮮との国交正常化を認め,WTOが貿易自由化に失敗すれば,APECがそれに代わる自由貿易圏を確保する,ということです.・・・もしブッシュ大統領や,中国,日本など,その他の首脳がそれを理解するなら.


Asia Times Online, Nov 18, 2006

Democrats to tackle the dollar

By Jephraim P Gundzik

FT November 19 2006

A golden opportunity for the US

By Marc Chandler

WP Monday, November 20, 2006; A17

Breaking The Trade Deadlock

By Sebastian Mallaby

(コメント) アメリカの貿易赤字とドル高の抑制は,外交政策と違って,民主党が共和党と協力してブッシュ政権に要求できることです.民主党政権は,過去にも,経済や貿易に政治介入し,あるいは,外国為替市場でドル安を煽った経歴があります.アメリカ議会で貿易摩擦が議論され,どのような保護主義や為替市場介入が求められても,それを抑えるため,日本や中国にできることはありません.むしろ日本の政府や業界は,アメリカ自動車業界を支え,円高を招く介入にも協力しました.

再び民主党の勢力が高まったアメリカで,今度は,中国へも政治圧力が高まるでしょう.中国の輸入促進と日本の円高は避けられません.

他方,アメリカの財政赤字と対外赤字を管理しなければならない財務省は,新しいドル債券の顧客開拓に熱心です.そこで,イスラム圏へのドル建債券売込みが関心を呼んでいます.金融革新により,イスラム法に依拠してレバノンの再建などを名目に,アラブ投資家から資金を集めます.これもアメリカのソフト・パワーになります.

Sebastian Mallabyは,アメリカの通商政策に両党の方針を一致させます.まず民主党は,貧しい諸国が貿易自由化を必要としている,と認めるべきです.世界の貧困解消にそむく方針を認めるわけには行きません.貿易自由化に反対する理由が国内の労働者に不安があることだ,と正直に主張するべきです.

他方,共和党は,1980年ごろから,アメリカ国民の多くは生活水準が停滞している,という事実を認めるべきです.政府はもっとグローバリゼーションに対応した国民の生活水準向上を助ける政策を実施するべきでしょう.それゆえ民主党と協力してセーフティー・ネットの改革に取り組むことです.

最後に,貧しい国の開発を支持し,国内のセーフティー・ネットを整備すれば,世界的な市場自由化を求めることができます.そのためアメリカは,WTOのドーハ・ラウンドを完成させる大幅な譲歩を提案し,EUや日本にも自由化を迫ることです.


The Guardian Saturday November 18, 2006

We need a new congress of Berlin

Robert Skidelsky

Project Syndicate, 20 November 2006

Getting Beyond Donald Rumsfeld

Joseph S. Nye

(コメント) 安全保障をどのようにして確保するか? 軍事力のほかに必要なものは? ・・・国際会議とソフト・パワーかもしれません.

ギルド・ホールの演説において,イギリスのブレア首相は,軍事力で少しずつ制圧する作戦が失敗した以上,新しい国際会議・新ベルリン会談を開いて,イラクにとどまらず,中東の政治的枠組みを変えることが必要だ,と提案します.

1.石油からの財源を共有することに合意した,緩やかな連邦制を導入する.

2.1967年の国境線に戻したパレスチナの完全独立をイスラエルは合意する.そして,パレスチナとレバノン国境を15年間,国際平和維持軍が監視する.

3.石油供給が安定的に維持されることを条件に,中東からすべての西側の軍隊が撤退する.

4.中東全域を非核化する.すなわち,イスラエルの非核化を条件に,イランは核開発を中止する.

5.中東地域に経済的な平和を実現する.イスラエルとパレスチナの関税同盟を作り,さらにヨルダン,レバノンへと拡大して,共通市場を形成する.

これはもちろん,アメリカで進むベイカー委員会の議論などを意識したものでしょう.イラク開戦の演説,7・21のロンドン自爆テロに対するサミットでの演説,など,国際政治に透明性と公正さを求める提案において,私はいつも,トニー・ブレアの具体的な想像力,構想力を称賛します.

R.スキデルスキーは書きます.「多くの者にとって,こうした考えは腐った宥和政策である.しかし,私はこれをリアリズムと呼ぶ.なぜならブレアの提案は,中東において大国が,特にアメリカが,その力を維持しているけれども,思いのままに意志を押し付けられないことを悟った,この好機を利用するものだから.これは本当の交渉と多国間での解決を分かち合うことを可能にする.もし5年待てば,不幸な結果をともなって,バランス・オブ・パワーは西側に対してさらに悪くなるだろう.

Joseph S. Nyeは,いつものように,テロとの戦争で敗北しつつあるのは,アメリカの外交政策にソフト・パワーが十分組み込まれていないからだ,と考えます.つまり,ハリウッド,ハーヴァード大学,ゲイツ財団,のような非政府の魅力的な機関をもっと中東で拡大し,利用することです.軍事力にはテロで対抗できるイラクの武装勢力も,核武装する北朝鮮の金正日体制も,アメリカのソフト・パワーには対抗できません.


LAT November 18, 2006

Allowing everything but the veil

The Guardian Tuesday November 21, 2006

The Dutch have reached a new level of authoritarianism

Naima Bouteldja

The Guardian Thursday November 23, 2006

A shattered self-image

Denis MacShane

(コメント) 同性婚,安楽死,麻薬,売買春,などを合法化してきた,合理的で有名なオランダの政治・社会システムが,これほど急速に,人種主義や文化による同化政策・統合化を目指すようになったことは驚きです.オランダ社会はイスラム教徒の一部がかぶるヴェールだけは,なぜ許せなかったのでしょうか?

安全保障を理由として,反移民感情を取り込んだ右派勢力の提案が法律になれば,その過剰な反動は移民たちを怯えさせ,また隔離と差別,そして反発を生むでしょう.つまり彼らが懸念するように,その法律がオランダの自由と合理的な文化を衰退させ,テロの温床を育てるわけです.

オランダは,ヨーロッパ最悪の全体主義国家に向けて,ヨーロッパ最速の転換を遂げるのか?


JIM YARDLEY China’s Path to Modernity, Mirrored in a Troubled River NYT November 19, 2006

JAMES TRAUB China’s African Adventure NYT November 19, 2006

Jeremy Grant and Krishna Guha Paulson urges flexible market regulation FT November 20 2006

PANKAJ MISHRA Gaining Power, Losing Values NYT November 22, 2006

MARVIN GOODFRIEND and ESWAR PRASAD What monetary policy does China need? The Japan Times: Thursday, Nov. 23, 2006

STEVEN R. WEISMAN Fed Chief’s Help Enlisted for Trip to Press China NYT November 23, 2006

(コメント) 中国の国際的地位が高まるにつれて,開発による環境破壊を是正し,アフリカの貧困解消に支援とモデルを示し,アメリカ政府や連銀,IMFの政策転換要請に対しても独自の改革で応えなければなりません.それはまた違った意味で有効です.インドとの関係改善で,中国の支配に抗議する亡命チベット人たちを,インド政府を通じて牽制できました.

NYT November 22, 2006

A Partner for Mr. Hu

By THOMAS L. FRIEDMAN

(コメント) フリードマンは中東和平と環境保護を組み合わせた「ゲオ・グリーン戦略」を提唱してきました.今度,それを拡大して,貿易不均衡と中国を取り込むわけです.つまり,アメリカ下院議長ナンシー・ペロッシから,中国,胡錦涛国家主席へ,次のようなメモが手渡されます.

・・・あなたは私の党が,今も,貿易摩擦と人権で中国をバッシングする,と思っているかもしれないが,そうではない.アメリカは国際安全保障を中国と共有するに当って,1972年の上海コミュニケで台湾海峡に注目した.私は,それに代わって,エネルギー供給に注目する新しい上海コミュニケを示したいと思う.

・・・アメリカと中国が石油消費を節約し,地球温暖化に貢献する姿勢を示すことで,私たちは国際秩序に指導力を発揮できるだろう.さらに,あなたは1兆ドルの外貨準備を持っているが,私たちは優れた環境保護技術と環境保護企業を持っている.それは長期的な利益を生む投資である.2008年の北京オリンピックを「グリーン・オリンピック」にしたいとあなたが考えるなら,アメリカ企業が一緒に仕事できるはずだ.・・・


Richard Katz Abe must be bolder on economic reform FT November 20 2006

William Pesek Forget Petrodollars -- Get Ready for Petroyen Nov. 20 (Bloomberg)

Politics of an energy boost The Japan Times: Monday, Nov. 20, 2006

Fred Hiatt Japan Shrinks WP Monday, November 20, 2006; A17

GREGORY CLARK Ideological laundry unfurled The Japan Times: Monday, Nov. 20, 2006

Working for a better society The Japan Times: Wednesday, Nov. 22, 2006

(コメント) 中国や韓国に対してタカ派であることは望まないが,経済改革ではもっとタカ派でなくてはならない,とRichard Katzは安倍首相を叱咤します.日本が真に成長を取り戻すには,国内の「二重経済」を新しい競争の促進によって解消するべきだ.そのためには,M&A,外国からの直接投資,証券市場による金融,FTA,などを活用できるだろう,と考えます.

ドルに変わって円への投資が促す,ドル安,円高への流れを,日本は阻止する理由があるでしょうか? なぜ日本経済は,通貨の膨張と萎縮を繰り返して,停滞するのでしょうか? 日銀を責め,アメリカを責める論争を,いつまで続けるのか? その間にも,日本の人口は減少傾向を強め,Fred Hiattのように,東アジアで日本が埋没することを警告する者が増えます.

オランダのヴェール禁止法案や,アメリカのイラク占領と同様に,日本の右翼が国際的な関心を集めれば集めるほど,日本の国際的な評価は下がります.そこで,民主党から安倍氏に,こんなメモが渡るわけです.・・・首相としてあなたは,まず右翼の言動に対して,国益を守る断固とした姿勢を取る,つまり,タカ派であるべきではないのか?


NYT November 19, 2006

The Face of Genocide

By NICHOLAS D. KRISTOF

NYT November 21, 2006

Boy’s Wish: Kill Them All

By NICHOLAS D. KRISTOF

(コメント) 男たちは殺され,女たちはレイプされ,家畜は奪われました.15歳の少年が,「もし銃を持っていたら,あいつらを全部殺してやる」と願うのは,殺戮と憎悪が重なるからです.2003年からダルフールで始まった大量虐殺は,既に,数百万人の犠牲者を出した,とNICHOLAS D. KRISTOFはNYTで訴え続けています.5月以降,ダルフールとチャドで難民を助ける団体の勇気あるスタッフが,13人も殺されています.

ホワイトハウスも国連も,その圧力は不十分です.


FT November 19 2006

The true nature of America’s mission

By Edward Luce

WP Wednesday, November 22, 2006; A21

Interventionism's Realistic Future

By Robert D. Kaplan

FT November 23 2006

Democracy falls victim to foreign policy realism

By Philip Stephens

(コメント) Robert Kagan の著書 “Dangerous Nation: America’s Place in the World” の紹介です.この本でKaganは,アメリカには「孤立主義」の伝統があった,という通説を否定して,モンロー宣言でも先住民との交渉でも,むしろ「ネオコン」に共通した価値を求める政策を,植民地期から一貫して発見します.

Robert D. Kaplanも,アメリカが完全にリアリストの政策に従う,とは考えません.アメリカが中国と同じように,ジンバブエ,ミャンマー,ウズベキスタンの独裁者や人権抑圧国家と利益を共有できるか? そんなはずはない.民主主義は確かに移植できないけれど,アメリカがウィルソン主義の伝統を捨て去ることもない,と.アメリカは二度と軍事介入しない,と考えるなら,それは間違いです.アメリカやNATOはこれからも行動するでしょう.しかし,注意深く,明確な協力を得て.

Philip Stephensは,アメリカ外交の理想主義とヨーロッパ外交のリアリズムを考察しています.


BG November 22, 2006

Diet for a hot planet

By Daniel Nepstad

(コメント) Frances Moore Lappeの革命的な料理本 "Diet for a Small Planet"を紹介しています.日本人がマグロを食べつくすように,このままでは肉食になった中国人が地球を食いつくすからです.あるいは開発によって,熱帯雨林,石油資源,などが枯渇し,地球環境が破壊されます.


WP Wednesday, November 22, 2006; A21

The Democrats' Economy Wars

By Harold Meyerson

(コメント) ルービン元財務長官によるハミルトン・プロジェクトに対抗し,グローバリゼーションに関して不安を抱く中産層により配慮した,もう一つ政策綱領をthe Economic Policy Institute (EPI)が作っています.民主党の大統領選挙に向けた政策論争がすでに始まっています.

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The Economist, November 11th 2006

The incredible shrinking presidency

Iraq: Judging Saddam Hussein

European aerospace: Set Airbus free to soar

Japan’s economy: Pitching for growth

Face value: Freelancers of the world, unite!

Petrol tax: Pogou or NoPigou?

(コメント) 中間選挙の結果に関わらず,アメリカの外の敵は存在し,外交政策が大きく変化する余地はない,と記事は主張します.フセインの裁判は,独裁者も裁判を逃れられない,という政治的な教訓を与えるために行われた,と考える人がいます.記事は,そうであれば,死刑にする必要もない,と.法の支配や民主主義を教えるために,また,死刑そのものを間違った法律と考えるから,The Economistは死刑判決を残念に思います.

他方,エアバスはボーイングの独占を破って消費者に利益をもたらしたにもかかわらず,経営に問題を抱えており,政治的な介入から切り離すべきです.日本経済はもっと外資を受け入れ,農業やサービス部門でも生産性を高めて,二重経済を克服するべきだ,という安倍内閣の政策諮問会議に入った伊藤隆敏の主張を紹介します.人口減少を逆転する取り組みも,道州制の提唱も,改革派としての証明には不十分です.

二つの記事で,経済を変化させる情熱において欧米は日本を超えている,と感じます.労働組合の性質を変えてしまった女性と,マイナスの外部性を抑えるピグー税として,ガソリン課税を提唱するホープ・ページと,それに反対するホーム・ページの話です.