IPEの果樹園2006

今週のReview

10/30-11/4

IPEの種

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世界の英字紙HPからコラムを要約・紹介します.著作権は,それぞれ,元の著作権に従います.

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IPE方法論 :ヴェール論争,ロシアのジャーナリスト殺害

安全保障 :スエズ紛争北朝鮮1イラク戦争の転換石油とロシア

貿易・投資 :ICBC

世界統治 :ソマリア難民とヨーロッパ移民政策

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ただしFTFinancial Times, NYTNew York Times, WPWashington Post, LATLos Angeles Times, BGBoston Globe, IHTInternational Herald Tribune, CSMChristian Science Monitor


The Guardian Thursday October 19, 2006

Clearly the lessons of Suez were lost on the Americans

Martin Woollacott

50年前の今月,イギリスとフランスの戦艦はエジプト攻撃のために結集しつつあった.スエズ運河をめぐる最後の交渉は挫折しつつあり,イギリスとフランスがイスラエル軍とエジプト軍とを分離するために監視するということで侵攻を正当化する計画が進んでいた.戦争は数週間後に始まったが,それはナセルに政治的勝利を,イスラエルに軍事的勝利をもたらし,イギリスは完全な破滅に陥った.しかし,もし策略が成功していたら,どうなっただろうか? 運河をすべて維持して,ナセルが破滅したのか? イーデン内閣があれほど気にした,中東におけるイギリスの地位を守れただろうか?

1957年にMichael Foot and Mervyn Jonesが書いた本の最後に,その答えがある.つまり,イギリスはゲリラとの戦闘に苦しみ,最後には,「テロリストの銃によって追い払われ,再び逃げ出しただろう.」 英仏軍の軍事的成功は,その最終的結果が,正しいか間違っているか,どちらにせよ,今,イラクについて批判されている状況に似たものであっただろう.半世紀を経て,アメリカがイラクで,イギリスのスエズ運河における失敗を繰り返した皮肉を見て,イギリス人は喜ぶべきか?

単純な結論を受け入れるには,余りに二つの事件が大きく異なっている.しかし,両者をつなぐのは,1956年のイギリスも,2003年のアメリカも,パワーが変化しつつあるときに「地位」に固執したことである.「地位」という考え方により,他国がイギリスもしくはアメリカに示す敬意や服従が揺らいでいたときに,それらを不自然なほど強く要求し,国益を損なうことになった.1956年の「運河」は,2003年の「大量破壊兵器」や「テロ」と同じように,その飾りでしかない.本質は,支配が失われつつあり,それを回復しなければならない,という西側の政治中枢におけるパニックであった.

1950年代のアラブ・ナショナリズムやソビエトの影響について,西側が抱いた不合理なまでの不安は,オサマ・ビン・ラディンやサダム・フセインの本当の危険性を誇張し,混成した2003年のアメリカにもあった.スエズのように,敵対的な指導者を打ち倒して,地域全体に戒めを与えるつもりであった.それは支配と管理の能力を示そうとしたが,今回は指導者を倒したけれど,失敗に終わった.1956年が今と違うのは,失敗したイギリスはアメリカに頼って,いくらかの影響力を残し,アメリカの政策を支持できた.明らかに,2006年には破片を拾ってくれる同類の大国は存在しない.アメリカは当時のイギリスほど衰弱していないが,イラクへの軍事介入で極端に悪化した危機をうまく裁く力がなかった.

イラクにおけるアメリカの計画が最終的に失敗なのか,成功なのか,まだ分からない.アメリカの介入によってイラク人が社会の新しいスタートを切ることはまだ可能であろう.しかし,スエズとそっくりな,支配を誇示する政策は既に破綻している.この地域におけるアメリカの優位は,イギリスの優位がスエズ紛争でそうなったように,固まるのではなく,瓦解した.

イラク戦争と占領は,振り返って,アメリカの中東支配が終焉した事件の始まりだったと,イギリスの中東支配が終わる基点となったスエズ紛争のように,将来,理解されるだろう.1956年にイギリスがそうであったように,西側の支配や影響力を低下させることを目指す,この地域に広がるさまざまな運動にアメリカも直面する.この点では,イーデンの時代の,より世俗的な,多種多様なアラブ・ナショナリストたちも,今日の,同様に雑多なイスラム主義者や世俗のナショナリストたちも,違わない.さらに,中国やインドがそのパワーを増大しつつあり,ロシアの影響力も残っているから,こうした諸国の関心が強まり,他にも多くの諸国がエネルギー資源を狙っているから,冷戦終結以来,それらを利用して地域諸国が行動する政治的自由は拡大している.

イギリスとエジプトが関係を修復した際,その後,外務省の幹部となるAnthony Parsonsがカイロに赴任した.そのとき彼は,イギリスがスエズで関わった愚挙から回復し,アラブ世界に残されたイギリスの諸問題を片付けるため,今後の中東政策は形成されねばならない,と確信していた.それは特に,イスラエル建国に至ったわけだ.

Parsonsは,イギリスとアメリカの利害を壊滅した,もう一つの事件であるイラン革命の際にイラン大使であったし,国連大使や,サッチャー夫人の顧問でもあった.彼が年齢を経るにつれて味わった皮肉とは,イギリス人や,その中の幾人かが回復を必要と認識すればするほど,それをもたらすパワーは失われた,ということだ.「物事を正すために,イギリスには何ができたのか?」 とParsonsはその回想で問いかけている.イギリスにできたことは,平和は領土よりも重要だ,とイスラエルを説得すること,そして,「危機の状況で必要なときだけ発作的な(軍事)行動に駆られるのではなく,・・・(常に)努力を怠らず,長期にわたって指導力を発揮せよ」と,アメリカを説得しようと試みただけだった.

スエズ紛争後のイギリスは,混乱した地域とそこにおける任務から撤退し,イギリス市民の幸福や快適さ,快楽を追求する,という考え方に惹かれて行った.しかし,特に左派の人々は,イギリスがまだ道義的な大国である,という考え方を引きずっていた.失望と危険に満ちた20世紀の世界に対して,イギリスは国家として大きな責任があるから,それを改善する義務がある,というのだ.

また,イギリスがかつて創り出した秩序は,今やアメリカがその保証人であるが,何らかの意味で優れており,ある意味では,必要なものであった,という考え方も引きずっていた.これら三つの,しばしば矛盾する目的(市民の幸福追求,世界改善への責務,アメリカの秩序を支持する)は,イギリス帝国の失敗や犯罪をごまかしたい,というわれわれの欲求に合致し,今ではアメリカの秩序となったものを支えるという,われわれの現状についても存在する.スエズ紛争からイラク占領までの年月を見れば,それらがいかに困難なものであるか分かる.


FT October 20 2006

Growing gulf sets young Muslims at odds with society

By John Lloyd

NYT October 21, 2006

Covered Faces, Open Rebellion

By PAUL CRUICKSHANK

BG October 23, 2006

Women and Islam

By Cathy Young

(コメント) ヨーロッパにおける大学やさまざまな学校で,イスラム教徒の女性がかぶるヴェール(niqabを禁止するべきかどうか,激しい論争となっています.イスラム法,対,民主主義社会,の衝突はさらに続くでしょう.元外相のジャック・ストローだけでなく,トニー・ブレアがそれを取り上げたのは,国民の支持を失った指導者の最後の使命感でしょうか? ロンドンでは激しい抗議行動が起きました.

彼らはマルクス主義を憎んでいますが,その主張は20年前の新左翼を想起させる,とJohn Lloydは警戒します.アメリカ・ヘリテッジ財団のAriel Cohenは,「そのイデオロギーは西側の世俗的・市場中心・寛容・多文化型のグローバリゼーションに対する挑戦だ」と言います.

PAUL CRUICKSHANKは,ヴェールを禁止する発言によって,むしろ逆に,イギリスのイスラム教徒の反感が先鋭化することを心配します.その戒律は宗派による限られたものですし,特に,イスラム教徒がイギリス社会から隔離され,失業し,貧困であるのは,彼らが対話を拒むからだ,という責任転嫁の含意を理解するでしょう.

Cathy Youngは,この論争に関して,イスラム教における女性の地位を問題にします.それはアメリカにおいても『テヘランでロリータを読む』の著者たちを巻き込んだ論争に発展しています.

こうした論争が活発に社会を改善する可能性を信じたいです.他方,日本のメディアには安倍政権と北朝鮮の問題で,日本は,中国は,戦争は,・・・と政治家やジャーナリストたちの「国家護持教徒」がヴェールをかぶったり,はがしたり,また,かぶったり,・・・ さらに果敢な論争が,日本の孤立した精神を柔軟に開くものであってほしいです.


FT October 20 2006

China's reserve riddle

FT October 20 2006

ICBC

NYT October 20, 2006

Hong Kong Set to Be No. 1 in 2006 Offerings, Surpassing London and New York

By KEITH BRADSHER

FT October 23 2006

The CEQ on FT.com: ICBC euphoria ignores China’s bank problem

By Joe Studwell, editor of the China Economic Quarterly

FT October 24 2006

China’s biggest bank goes to market

By Richard McGregor, Tom Mitchell and Geoff Dyer

The Guardian Tuesday October 24, 2006

In praise of ... the new China

FT October 26 2006

China's banking bet

(コメント) 中国の外貨準備は1兆ドルを越えて,シティグループ,エクソン,マイクロソフト,を買収し,GMとフォードの株も大幅に買い占められる規模に達します.しかし,中国から資本流出が起きている,とFTは指摘します.なぜか?

FTは,民間のホット・マネーと考えるよりも,中国政府の規制や介入を疑います.1.資本規制を回避するための偽装が行われている.2.金融機関が海外でドルを保有するように圧力をかけている.3.過剰投資を抑制する通達が,融資を控えた銀行に過剰な預金を海外で保有させている.

それゆえ,こうした資本流出は人民元をさらに減価させるわけです.金融自由化による投機が,国内規制と混じり合って,長期的に望ましい均衡レートからますます遠ざかるのではないか,という不安を生じます.

しかし,この時期の話題はICBC(Industrial and Commercial Bank of China)に集中しています.それは世界最大の株式上場です.その価値は推定219億ドルですが,中国国内や香港からの需要ははるかに大きく,その価格を誤らせると危惧されています.香港市場における二重性や価格操作の不安も指摘されます.巨額の不良債権を無視した,ICBC株への極端な需要について,FTは投資家に警告します.

ICBC株の上場により,ロンドン,ニューヨークを抜いて,香港証券市場の2006年発行額が世界最大となります.こうして,中国の主要銀行や大企業が,香港市場で次々に株式を発行し,それを欧米の投資銀行が世界の投資家に販売する,という時代が実現しました.

しかし,中国の株式を欧米の投資機関がどれほどポートフォリオに組み込むでしょうか? 逆に,中国からの投資が欧米市場に殺到するのかもしれません.

Joe Studwellは,株式上場で資金を集めれば不良債権問題や金融システム改革は解決する,という安易な考えを否定します.むしろ中国経済が,銀行システムに過度の依存していることが問題なのです.それは,オランダ病ならぬ,「アジア病」である,と.1997年の金融危機でも指摘されたように,アジア書庫億は銀行に過度に依存して,企業や銀行システムの問題を悪化させ,成長を損ないました.ICBCが巨大であるのは,喜ぶべきことではなく,憂慮するべきことなのです.

ノーベル経済学賞を得たMerton Millerは,銀行のことを,「破綻中毒の19世紀技術」と呼んだそうです.

The Guardian は,ICBCの株式上場をサッチャー時代のビッグ・バンにたとえて,中国はまだ民主主義を得ていないが,株式市場を通じて下部を購入した多くの投資家たちが,当時のイギリスと同じように,強い政治的影響力を発揮するようになるだろう,と予想します.


The Guardian Friday October 20, 2006

The next generation

Mark Lawson

(コメント) これは近未来SF政治戯作です.ブッシュ大統領の政策を継承するチェイニー大統領は,宇宙におけるイランとの交戦で戦死者を増やしています.これは「宇宙におけるイラク領域の出現だ」と,反対派に非難されます.

アメリカ政府は一貫して,イランと中国が協力して建設した毛沢東=ホメイニ国際宇宙ステーションを,実際は,アメリカ諸都市を宇宙から攻撃するテロリストたちの訓練キャンプだ,と主張してきました.2001年以来,そのような攻撃はないが,と尋ねられた報道官は,「それこそ,われわれが銀河系に駐留して,彼らを防いだという成果なのだ」と主張します.アメリカの宇宙軍は,また,地球外生命体からの攻撃を防ぐ最初の防衛ラインである,と.もちろん,彼自身は宇宙人がいるとは信じていません.・・・


Charles Krauthammer World War II Is Over WP Friday, October 20, 2006; A21

Paul Starr Bush's Pyongyang Boomerang The American Prospect 10.20.06

Scott Zhou All teeth and lips - for now Asia Times Online, Oct 21, 2006

Anne Wu and Jason Qian China's Camp David moment BG October 21, 2006

China squeezes Pyongyang The Japan Times: Sunday, Oct. 22, 2006

NICHOLAS D. KRISTOF Send in the Fat Guys NYT October 22, 2006

Christopher Hughes China's interests go well beyond the nuclear issue The Guardian Monday October 23, 2006

TOM ZELLER Jr.The Internet Black Hole That Is North Korea NYT October 23, 2006

Bruce Klingner North Korea is not done yet Asia Times Online, Oct 24, 2006

Maurice ‘Hank’ Greenberg America needs to negotiate with N Korea FT October 24 2006

(コメント) アメリカと中国の最初の関心は,日本が核武装する必要はない,と確信させることであったようです.ライス国務長官の歴訪は,何の成果も,他の取引をも示していません.

そこで? 中川政務調査会長が核武装論を支持したのも,アメリカと中国を意識した政治的暗闘における火遊びでしょうか.Charles Krauthammerの論説は,ちょうどその趣旨に呼応し,あるいは先取りしたものです.アメリカは,中国が北朝鮮の非核化,体制転換に,真剣な取り組みを促すために,核武装した日本列島を利用するべきだ.韓国のように宥和政策で対立するような同盟国ではなく,日本こそ核武装に値する,と.

Anne Wu and Jason Qianは主張します.「この数年間,中国政府は朝鮮半島の非核化を話し合う6カ国協議を進めてきたが,金正日の気まぐれでゲームのルールを乱され,アメリカ政府の北朝鮮に対する硬直した態度にも手を焼いてきた.中国は,その部分的で用心深い役割から踏み出し,非核化のプロセスを指導する積極的役割を担うときである.そうするためには,1978年にキャンプ・デーヴィッドでエジプトとイスラエルの平和条約を結ばせるにあたって,アメリカ政府が示した断固たる態度とその経験から学ぶべきである.それは,アメリカが二つの敵国の間に立って,双方の妥協できない立場から,潜在的に広がる共通の利益へ,また創造的な選択肢を利用することで異なる利害を補完的にする,という方向へ焦点を移すことだった.」

NICHOLAS D. KRISTOFは,北朝鮮が核実験に成功してしまったのは,クリントン政権が悪いのか,ブッシュ政権が悪いのか,とアメリカ人がその責任を非難し合っていることを指摘します.実際,最も悪いのは,こうした二極化した政治システムが互いを非難してバラバラであることだ,と.北朝鮮,キューバ,ビルマ,イラン,いずれもアメリカが制裁を課すことで,政府は経済が破綻した責任をアメリカに押し付けています.

もし北朝鮮が原子炉を停止した後,援助や貿易を増やしていたら,中国やベトナムのようになっていたのではないか? 他方,韓国政府が北朝鮮の開発区に投資して,無権利状態の北朝鮮労働者を雇用し,核開発に利用する外貨を稼がせるのを許すべきではなかった,と.アメリカが制裁を叫ぶより,近隣諸国は貿易や投資を控え,アメリカがi-Podを輸出したほうが良かった.

胡錦涛政府が重視するのは,北朝鮮が生き延びることではなく,北朝鮮ともつながる,衰退し,疲弊する中国北東部が,その経済や雇用を回復することだ,とChristopher Hughesは考えます.だから中国は国境貿易を支援し,経済・市場改革も輸出して北朝鮮を支援したのです.

しかし今なお,衛生写真で観ても,インターネットで調べても,北朝鮮は真っ黒です.

Kim Dae Jung President Bush: Talk to Kim Jong Il IHT WEDNESDAY, OCTOBER 25, 2006

Philip Bowring All they're looking for is a little respect IHT WEDNESDAY, OCTOBER 25, 2006

Andrei Lankov Why South Korea isn't keen on sanctions IHT WEDNESDAY, OCTOBER 25, 2006

International Herald Tribune

RALPH COSSA N. Korea: Who's to blame? The Japan Times: Thursday, Oct. 26, 2006

Susan L. Shirk China Gets Tough With North Korea YaleGlobal, 26 October 2006

(コメント) 1992年の南北和解合意を破った北朝鮮について,今,韓国で暮らす人たちは,毎日,何度か,北の空を見るのではないでしょうか? 何かが飛来するのではないか,何かの噴煙が見えないか,戦争がすぐそこに迫っている,という不安を感じるでしょう.

Kim Dae Jung(金大中,元大統領)は,三つの選択肢を検討します.1.軍事的選択肢: 朝鮮半島を焼き尽くし,日本にも被害が及ぶ.2.経済制裁: むしろ武器輸出で巨額の利益を上げており,核の輸出も始めるだろう.3.米朝の直接交渉: 安全保障を得られれば核を放棄し,アメリカからの査察団を受け入れても良い,と表明している.金大中氏はこれを支持する.

北朝鮮を信用しているわけではないが,チャンスを与えて,約束を守らないときに包括的な制裁を課すことが望ましい,と.そのために,アメリカ政府は政策転換を図ってほしい,と金大中は訴えます.アイゼンハワー,ニクソン,レーガンがそうであったように,たとえ悪魔とでも話し合うべきであり,政策転換は敗北を意味しません.アメリカが対話を拒んで戦ったベトナムには敗北し,その後,対話を通じて関係を改善したのです.

Philip Bowringも,北朝鮮を正しく理解することで,もっと現実的な政策を取れるはずだ,と考えます.アメリカだけは北朝鮮からの直接の脅威(戦争や経済破綻のコスト)を感じていません.体制転換を目的にするのでないなら,アメリカには多くの選択肢があります.北朝鮮の歴史,その自己認識から,彼らの行動原理を知るべきです.

北朝鮮の金正日と中国の胡錦涛とは,対決に至るのか? なぜなら中国は,北朝鮮とアメリカとの間で,選択を迫られているからです.中国は誇り・メンツを傷つけられました.北朝鮮を支持して,日本やアメリカとの経済関係を悪化させることにも利益を感じないでしょう.北朝鮮の混乱,統一朝鮮についての懸念は,中国が北朝鮮を支持してきた理由ですが,今回の制裁決議には参加しました.さらにアメリカに同調し,金融制裁にも協力し始めています.中国は,自国の国際社会における評価や地位を高めたいのです.

Susan L. Shirkは,アメリカ以上に,日本との関係回復を重視し,北朝鮮問題をその契機にできる,と中国政府は判断したようだ,と指摘します.中国の政治家の間にも,江沢民時代の反日ナショナリズムは好ましくない,と批判する声があるからです.


Walter Wells The 'secret plan' ploy IHT October 20, 2006

Colbert I. King The Real 'New Iraq' WP Saturday, October 21, 2006; A19

Joan Vennochi What's really going on in Iraq BG October 22, 2006

Jim Hoagland Stark Lessons From Iraq WP Sunday, October 22, 2006; B07

George F. Will Questions to Guide an Exit Policy WP Sunday, October 22, 2006; B07

Lawrence Kaplan Bush doctrine must survive Iraq war FT October 23 2006

Scuttling to victory The Guardian Monday October 23, 2006

How this US election may help Iraq CSM October 24, 2006

Jim Lobe A crash course on Iraq Asia Times Online, Oct 24, 2006

Simon Tisdall Treading a federal tightrope The Guardian Tuesday October 24, 2006

Patrick Seale A negotiated withdrawal The Guardian Tuesday October 24, 2006

Niall Ferguson America's Brittle Empire LAT October 24, 2006

Trying to Contain the Iraq Disaster NYT October 24, 2006

(コメント) ベトナム戦争を勝利に導く「秘密計画」を,選挙前にニクソンも吹聴しました.ジェイムズ・ベイカー3世の「代替計画」が,似たような政治トリックではなく,破滅に瀕したイラク国民を救う緊急計画であることをWalter Wellsは願います.

このままでは選挙のたびに共和党議員が消えていく,とGeorge F. Willは指摘します.そこで新しい計画で,次のような問題に答える必要があります.4万人で失敗したが,14万人あらできるのか? イラク治安維持軍ができても,それを指揮するまともな政府はあるか? アメリカ軍はイラク国民が定めた憲法に従う,というが,本当か? 自由と民主主義を約束したはずのブッシュ大統領が,こうした政府や憲法に介入するのではないか? アメリカのイラクにおける戦争は,ベトナム戦争の北爆よりも,さらに第二次世界大戦参戦と比べられます.

逆に,Lawrence Kaplanは,イラク戦争によってブッシュ・ドクトリン(民主化を進め,先制攻撃を認め,単独でも行動する)が葬られてはならない,と主張します.「ブッシュ・ドクトリンは,確かに,イラクで試された.そして,明らかに失敗した.しかし,・・・本当にイラクを越えて意味するものがないのか?」 イラク戦争後も,民主主義の理想を失うべきでないし,北朝鮮の核実験は,予防的戦争の重要性を示している,と.あるいは,国連が本当に武装解除してくれると信じて,待つのか?

Sebastian Mallabyも,イラクやアフガニスタンが,理性を欠いた強硬派が失敗しただけであれば良いが,そうではない,と考えます.

Niall Fergusonは,人口3億人のアメリカが,人口2700万人のイラクや3100万人のアフガニスタンを救済するのは,できないことでもないはずだ,と指摘します.しかし,テレビはアメリカのベトナムにおけるテト攻勢と比較して,その「泥沼」を描きます.なぜか?

1世紀足らずさかのぼった第一次大戦前,イギリスの人口は4600万人で,人類のわずか2.5%であった.それでもイギリスは広大な帝国を支配し,それは37500万人,世界人口の5分の1以上に及んだ.」(3年前にアメリカがイラクに攻め込んだ際に書いた本で展開した)私の主張は,「アメリカは成功しそうにないし,専攻するイギリス帝国ほど続かないだろう,というものだった.その理由とは,金融の不足,関心の不足,そして最も驚くべきことに,マンパワーの不足,である.アメリカ国民における軍人の比率は余りにも小さい,である.」

こうした不足による問題を,アメリカ政府や議会の内部抗争が悪化させました.ラムズフェルドやチェイニーは,フセインと戦うより,国務省や議会と対立して,政治的に勝利することに全力を尽くしたのです.1920年代,ドイツの歴史家Eckart Kehrも書きました.ドイツ皇帝の外交政策は,「もっぱら国内政治」において防御する必要から生じていた,と.

Michael Rubin Why withdrawal from Iraq is the worst option FT October 25 2006

Adnan Pachachi Drift to theocracy can only increase chaos FT October 25 2006

Lawrence Freedman US must learn to have patience FT October 25 2006

Richard Betts Look to Bosnia, not Vietnam, for realistic solution FT October 25 2006

Simon Jenkins We have turned Iraq into the most hellish place on Earth The Guardian Wednesday October 25, 2006

David Ignatius The Hard Way Out WP Wednesday, October 25, 2006; A17

Frederick W. Kagan Insult to Injury in Iraq WP Wednesday, October 25, 2006; A17

Timothy Garton Ash If we miss this last chance, then our soldiers will have died in vain The Guardian Thursday October 26, 2006

Money Down the Drain in Iraq NYT October 26, 2006

PETER BERGEN What Osama Wants NYT October 26, 2006

(コメント) Adnan Pachachiは,イラクにおける約30万人の死者のうち,約3分の2は宗派抗争の犠牲者だ,と書きます.彼の主張は明快です.宗派対立を抑えるには,多国籍軍が増強されるべきです.そのために,アメリカ・イギリスの軍隊を中心とした駐留軍の構成を見直し,国連安保理の協力を得て,より近隣諸国やアジアから出兵してもらうことです.また,政府部内が宗派間の対立で統一できないことも必ず解決しなければなりません.政府が機能しない限り,内戦は終わりません.民主主義と宗教政治とは両立しない,とイラク国民に訴えます.

Lawrence Freedmanは,アメリカの選挙が近づいたことで,テロリストや国内・国内の反米勢力が協力して攻勢をかけている,と見ます.またベイカー元国務長官の新計画が,即時撤退を偽装し,多国籍軍の関与を減らすことで,イラクの紛争と石油供給の破綻を招くことは好ましくない,と考えます.ブッシュ大統領と違って,ベイカーは交渉や妥協を厭いません.彼は,唯一,イラクを周辺地域の安全保障に組み込むことで,安定を回復させる道を模索するでしょう.

数ヶ月前に,元国家安全保障顧問のブレジンスキーが示した段階的撤退計画を,ブッシュ政権は漸く承認しました.ただし,それを「撤退」ではなく,「勝利」と呼びます.David Ignatiusも,イラン,シリアとの協力を考えます.ただし,それは国民の忍耐と超党派の協力を必要とします.

Frederick W. Kaganは書きます.「だめだ.アメリカは撤退などできない.われわれの名誉と重要な利益がイラク再建を必要としている.イラク政府が確立し,市民生活に平和が訪れ,良好な統治が現れるまでは.」

「われわれの敵はソマリアにおけるアメリカの失敗から結論を引き出したのだ.アメリカは弱い.わずかな戦闘もやり抜く気迫などない.アフガニスタンとイラクへの侵攻はその等式を変えた.アルカイダの指導者たちはわれわれが攻撃すると予想していなかった.彼らは思いがけない敗北を味わった.」

Timothy Garton Ashは,アメリカのイラク戦争がもたらした結果を,冷静,かつ,的確に批判しています.戦争の目的は? 結果は? 戦死者は? コストは? そして,イラク占領の中での死者を,1956年のハンガリー革命敗北における死者と比較します.歴史から見るとき,失敗から学ぶことがいかに重要であるか,と.


FT October 22 2006

How a bankrupt ruler keeps ruined Zimbabwe afloat

By Arnold Kransdorff

FT October 22 2006

Instead of reform, it is Italian politics as usual

By Wolfgang Munchau

FT October 23 2006

Separate rhetoric from reality in central Europe

By Gideon Rachman

(コメント) ジンバブエの通貨も,イタリアや中東欧諸国の通貨も,政治不安が価値を急速に失わせます.


LAT October 22, 2006

Europe's Immigration Quagmire

By Ayaan Hirsi Ali

The Guardian Wednesday October 25, 2006

EU migration

(コメント) ソマリアからの難民からオランダの国会議員となり,その後,国籍を剥奪されてアメリカにわたったAyaan Hirsi Aliが,ヨーロッパの移民政策について書いています.アフリカでは,時に,難しい問題について動物が話す寓話を作る.だから,ヨーロッパの移民問題についてダチョウに話してもらうことにした,と.

・・・ダチョウはすぐに理解します.45000万人が開かれた市場を享受できるヨーロッパは実にすばらしい.移民の流入も,高齢化するヨーロッパにとって良いことである.キリスト教でも,イスラム教でも,個人の信仰であって,新しい生活に適応できる.

イスラム教徒たちが社会の底辺や差別に苦しむのも一時的な現象に過ぎず,成長が持続すれば解決できる.ダチョウから見れば,裕福なネイティブたちは移民の後進性を非難するより,その利益に注目すると良い.看護婦,子守り,建設労働者,食品雑貨店,運送屋,掃除婦,工場労働者,その他,移民たちが担う仕事はとても大切だから.

移民の流入が文化や社会を変えてしまう,などとダチョウは心配していない.心配は唯一つ,ネイティブたちの外国人嫌いだ.しかし,彼らも移民たちがもたらした新しい料理や音楽,芸術,経済活動を楽しむだろう.

そこにフクロウがやって来た.フクロウは夜の鳥であり,物事の陰の面を知っている.ヨーロッパは確かに裕福で健康かもしれないが,それほど賢明ではない,と.

たとえば,人が自由に移動することには陰の面があって,無慈悲なセックス産業により女性や子供が取り引きされている.武器の取引も分からない形で行われており,それには生物兵器や化学兵器が含まれる.

年老いたフクロウは,貧しい移民たちが冷酷な雇用主に搾取され,意のままに雇用と解雇を告げられていることも知っている.アムネスティー後も,スペインには100万人の非合法移民がおり,イギリスには50万人,フランスには20万から40万人がいるらしい.もっといると思う.ドイツには約100万人だ.

フクロウは,ヨーロッパが移民たちを選別しており,キリスト教徒イスラム教は同じではないし,イスラム教徒のすべてがヨーロッパの価値と未来を共有したがっているわけではないことを知っている.貧しい移民の子供たちは自分を犠牲者だと感じているし,社会は移民たちを敵視し,彼らを助けるつもりなどない.

移民たちをそそのかすイスラム過激派や,ネイティブに間には全体主義が広まっている.ポピュリズムをめぐる論争は,白人のファシズムと,イスラム教のファシズムに占領されてしまう.

フクロウはダチョウが正しいことも知っている.しかし,物事の明るい面だけ見ることで,幻滅してしまうことがないように注意しておくべきだ.

未来を予測するのは学者の妄想に任せておこう.私たちには,改善するシナリオと悪化するシナリオを概略できれば十分だ.

最悪のシナリオでは,フクロウの警告もダチョウの明るさも失われる.武装した小集団が互いに暴力を行使し,ヨーロッパは民族や宗派で分裂する.教育システムは,子供たちに共通の歴史や未来を教えることに失敗する.ヨーロッパ諸国は市民的自由を制限し,教区や都市により宗教法が支配するだろう.弱者や女性,子供たちは搾取され,それを逃れるにはヨーロッパが脱出するしかない.

最善のシナリオでは,ダチョウの活気を失うことなく,フクロウの注意深さが維持される.そのためには三つの包括的な政策が必要である.1.経済の必要に応じた移民の量的規制と,ヨーロッパ社会への適応を望む移民への選別政策,2.大規模な移民流出を招いている近隣諸国や破綻国家への積極的介入政策(援助・貿易・外交・軍事介入),3.多文化主義の失敗から学んだ,賢明な同化政策.

そして,イスラムの女性たちを守ることにもっと投資し,規制や福祉国家を改造することで移民たちを労働市場に参加させる.そして,抑圧的な文化を許容したり,イスラム諸国が大量の移民を流出することを助長するのは,まさに私たちが救いたいと願っている人々を苦しめるのだ,ということを知るべきだ.


The Guardian Monday October 23, 2006

Water strategy over military strategy

Jeffrey Sachs

(コメント) 戦争するよりも,破綻国家や難民を止めるべきではないか? 彼らはどこから来るのか? それを考えるなら,軍備拡大に投資するより,地球環境の破壊を止めるべきだ.


WP Monday, October 23, 2006; A21

A Nadir of U.S. Power

By Sebastian Mallaby

それはアメリカの夜明けではない.イラクで,事態がますます醜悪な様相を呈し,軍隊を追加しても無駄である.アフガニスタンでは,逆に,ブッシュ・チームが早々と権力をNATOで守る指導者に移譲したが,タリバンの復活に苦しんでいる.

軍事行動だけでなく,テロとの戦争に関する外交の強硬姿勢でも失敗を重ねている.パキスタンでは,軍がアルカイダの掃討を諦め,北朝鮮とイランでは,ブッシュ政権の核政策が破綻した.

数年前に通貨危機が起きた頃,誰がロシアを失ったのか? と非難し合った.今や,ロシアの西側に近い発言は弾圧され,アメリカはそのような問いを発するほども,自分たちに力がないことを知っている.プーチン政権化の人権抑圧や政治犯のことを批判したジャーナリストが暗殺されても,西側には何もできない,と誰もが考えている.

ソマリアでは,タリバンが他のイスラム原理主義者が国の一部を支配した.ケニアとタンザニアにおけるアメリカ大使館を爆破したテロリストをかくまっている,と言われる.ブッシュ政権がダルフールにおける殺戮を「ジェノサイド」と呼んだのはもう3年も前である.アメリカは,制裁,和平交渉,国連決議を試みたけれど,スーダン政府は今も虐殺を続けている.

歴史家が帝国の衰退を分析する際には,軍事行動を制約する経済的弱点に注目する.アメリカにも多くの弱点があり,それを取り組む様子もない.正直な政治家は,退職者への支払で財政が破綻することを知っている.しかし,昨年,ブッシュ政権が社会保障制度の改革に失敗してから,誰も何もしない.ガソリンに課税することを話せる政治家も居ない.

正直な政治家は,グローバリゼーションへの支持が揺らいでいるのは国内の不平等が原因であると知っている.しかし,成長を損なわずに不平等を緩和する方法が分からない.税制改革だろうか? 住宅保有の減税はその半分以上がもっとも裕福な12%の家族に支払われるのに,右でも,左でも,誰もその愚かさを非難するのを聞いたことがない.

実際,ただ一つの創造的な政策も,ワシントンを動かすことはないだろう.政府の犠牲になった人に1ドル返すために,より多くの費用を搾り取るような狂った制度を真剣に攻撃するものがいるか? いない.数百万人の移民を合法的にこの国に入れる見込みはあるか? ほとんどない.

右も左も,問題の周辺をなぞるような政策を提唱している.右派は減税の恒久化を求め,左派は最低賃金を引き上げろと言う.しかし,退職者は税金を支払わなくなるし,最低賃金に関わる労働者は一部でしかない.

アメリカの時代が終わると予言しているのではない.アメリカの政治は機能しないが,ビジネス文化はプラグマティックで有効だ.しかし,レーガンが四半世紀前にアメリカの夜明けを祝福したときから,今ほどひどい時はないと思う.


FT October 24 2006

Better way to handle Asian currencies

By James Dornthe Cato Institute

(コメント) 為替レートや外貨準備累積を,多くの政府が集まって解決するのは間違いである,とJames Dornは警告します.それは,プラザ合意やルーブル合意で示されている.むしろ香港通貨庁のHans Genbergが提唱する,参加諸国のインフレ・ターゲット体制による「通貨的安定性の共有圏(“zone of monetary stability”)」を支持します.

これはもちろん,アイケングリーンとウィリアムソンの論争を継承しています.


Japanese mobile price war FT October 24 2006

HUGH CORTAZZI Revisionists damaging Japan The Japan Times: Thursday, Oct. 26, 2006

M K Bhadrakumar Rice gets a taste of tough love Asia Times Online, Oct 27, 2006

(コメント) 日本について,円,リビジョニスト(右翼的な歴史再解釈),ライス国務長官のアジア訪問についてインド外交官が評価したコメント,を見つけました.


The Guardian Tuesday October 24, 2006

The tyranny of King Cotton

Joseph Stiglitz

(コメント) アメリカの農業補助金がドーハ・ラウンドを破壊した,とJoseph Stiglitzは批判します.たとえば綿花生産に,アメリカは30ないし40億ドルを援助して,世界最大の輸出国になっています.それは世界の綿花生産を増やし,国際価格を下げています.アフリカ諸国の貧しい農民が作る綿花は減り,貧困を広げます.もし補助金をやめていれば,アメリカの財政赤字は減り,世界の貧困は減り,ドーハ・ラウンドは成功し,自由貿易が拡大して安価な商品を輸入できたし,所得格差も抑えたでしょう.


FT October 25 2006

Big Bang still brings much to London finance

By Peter Thal Larsen

FT October 26 2006

How London can remain in the top league

By Sir Nicholas Goodison

(コメント) イギリスにおけるビッグ・バンの20周年です.19861027日に取引手数料が自由化されました.


The Guardian Wednesday October 25, 2006

Germany is right to take on a global role

Ian Black

FT October 26 2006

Marching orders

(コメント) ドイツは,特にその安全保障と軍隊は,日本と違った国際化を遂げているのでしょうか? カンボジア,ソマリア,コソボ,アフガニスタン,バルカン,コンゴ.ドイツの国際貢献を歓迎する一方で,ドイツ軍の増強は嫌われています.


LAT October 25, 2006

How to handle Iran

Max Boot

Thomas Raleigh The strategic case for talking with Iran CSM October 26, 2006

(コメント) イラクや北朝鮮に比べて,イランはどうか? 戦争するか,交渉するか,もっとそれ以外の選択肢を模索するべきか? つまり,"soft" and "hard" approaches to regime changeです.


NYT October 25, 2006

The Really Cold War

By THOMAS L. FRIEDMAN

(コメント) ベルリンの壁は17年前に崩れました.東に向かった自由の流れは,今同じ地点に立って見ると,東からの真っ黒な石油の流れに飲み込まれてしまったのがわかります.

THOMAS L. FRIEDMANは,「石油政治の第一の法則」を発見しました.石油価格が下落すれば専制が崩壊し,上昇すれば市民的自由が消える.ヨーロッパの人々が心配する「新しい冷戦」とは,本当に冬の温度を意味します.なぜなら,既に天然ガス輸入の40%をロシアに依存しており,2030年には,70%に達するからです.

石油価格の高騰は,ロシアを病人から,ヨーロッパのボスに変えた.「ロシアからのガス・パイプラインは,SS20よりも,ヨーロッパに強い衝撃を与えることができる」と,ドイツの外交専門家,Josef Joffeは指摘します.

ロシアがNATO拡大を受け入れたように,今度はヨーロッパが石油価格高騰によるロシアの反攻を受け入れるしかないのだ,と自分たちで「ロシアの合理性」を納得しようとします.


NYT October 25, 2006

Vietnam’s Roaring Economy Is Set for World Stage

By KEITH BRADSHER

(コメント) ベトナム戦争後,30年を経て,経済復興が完全に勢いを得たようです.炎暑の街角で,きっと,さまざまなアイスクリームが売られているでしょう.


FT October 26 2006

New global realities demand a new kind of unionism

By Guy Ryder and Willy Thys Guy Ryder is general secretary of the International Confederation of Free Trade Unions. Willy Thys is general secretary of the World Confederation of Labour

FT October 26 2006

Germany’s labour market develops a second tier

By Bertrand Benoit in Berlin

(コメント) グローバリゼーションの多くの問題が「労働」に関わっています.労働者の権利や労働運動の将来について,国際的な議論が必要です.

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The Economist, October 14th 2006

Who can stop him now?

North Korea: The nightmare comes to pass

(コメント) The Economistの記事が,いつもユニークであるとは思いません.たとえ核実験を行っても,中国は見捨てないだろう,と金正日は賭けに出た,と書きます.制裁の効果は限られています.なぜなら金正日は国民の困窮を気にしないし,中国は北朝鮮の崩壊を受け入れないからです.しかし,もし漸進的な市場開放への体制転換が可能であれば,中国はそれに賭けるかもしれない.何百万人も殺すと脅すような指導者を取り除くためには,アメリカもコストを引き受ける,と.そうであれば,米中の協力による制裁と改革支援が,真剣な選択肢となるかもしれない?

しかしまだ中国はこの選択肢について,アメリカとオープンな話し合いを始めていないようです.


The Economist, October 14th 2006

Somalia: Seeking moderates, fearing war

Ex-communist countries: Europe’s fraying fringe

Iraq: Divisa in partes tres

China’s biggest bank: A dragon stirs

(コメント) ソマリアのイスラム原理主義勢力が政府に迫っていることについて,The Economistは,中途半端な軍事介入ではなく,むしろイスラム勢力内の穏健派と手を結べる,と提案します.中東欧のポスト・共産主義体制の国々には,とんでもない政治破綻とポピュリズムが広がってしまったようです.イラクを分割する案が検討されていますが反対派も多く,安易な解決策や脱出政策は期待できない,と主張します.中国の,それゆえ,世界最大の商業銀行,ICBCが株式を発行します.しかし,会計帳簿がなく,その価値がいくらか分からない銀行に投資するとき,何を買っているのか?