IPEの果樹園2006
今週のReview
7/24-7/29
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世界の英字紙HPからコラムを要約・紹介します.著作権は,それぞれ,元の著作権に従います.
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IPE方法論 :民主化と保守政権,
貿易・投資 :ドーハ・ラウンド
通貨・金融 :
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ただしFT:Financial Times, NYT:New York Times, WP:Washington Post, LAT:Los Angeles Times, BG:Boston Globe, IHT:International Herald Tribune, CSM:Christian Science Monitor
NYT July 9, 2006
By ROGER LOWENSTEIN
(コメント) ハーヴァード大学のBorjasと,バークレーUC, Berkeley のCardとが,メキシコからの移民がアメリカに及ぼす影響について論争しています.
Borjasは,メキシコ系移民が未熟練で,ネットワークを形成し,大規模に流入して,しかも以前ほどどうかする傾向を示していないことを理由に,アメリカのみ熟練労働者の雇用や賃金に悪影響を与えている,と主張します.アメリカ全体の利益を考えても,非合法移民の規制は合理的である,と考えます.
他方,Cardは,移民が増えることは,労働力を供給するだけでなく,市場に需要をもたらし,それゆえ労働需要をもたらす,と主張します.1980年にキューバ政府が亡命を認め,12万5000人もの移民が発生して,マイアミの労働人口を7%も増やしたけれど,失業率は増加しませんでした.
自由貿易であれ,ウォル・マートであれ,市場競争は勝者と敗者をもたらします.移民もそうです.市場によってダイナミックに成長できる社会もあれば,それを拒むことで停滞することを選ぶ社会もあります.アメリカは前者である,と.
また,移民政策は経済学による評価など無視しています.移民政策は,しばしば国民の移民排斥感情や自国民優先の要求を満たすために作られています.たとえば国境にフェンスを建設する,というような,その結果が,たとえ愚かなものであっても,政治家たちは激しく論争します.他方,経済学者は現実的でないほど,合理性を要求します.たとえば入国許可証をオークションで移民希望者に販売し,その収入で移民にかかる社会的コストをまかなう,という提案です.
移民が低賃金や失業,貧困をもたらす,というのは,移民が繁栄する地域を求めて移動していることを無視しています.移民は地域の繁栄や再生を支持し,新しい成長の源泉ともなるのです.他方,移民たちが住民との摩擦を引き起こす限り,政治論争は過熱します.
何が移民を成長に役立つ形で吸収できる力を決めるのか? 何が移民と住民たちとの摩擦や政治的な排外主義を拡大,もしくは,抑制するのか? Borjasは,客観的なデータを強調し,Cardは政治的な決定を強調します.
The American Prospect 07.17.06
Why We Fight
By Brendan Mackie
FT July 19 2006
Illegal immigration
(コメント) Brendan Mackieは, Nolan McCarty, Keith T. Poole, and Howard Rosenthal, “Polarized America: The Dance of Ideology and Unequal Riches,” の著者たちにインタビューしています.アメリカの政治を背後で動かした要因は,アメリカ社会の両極分解,不平等化であり,移民の増加とも関係している,と彼らは考えます.
「経済会社,政治経済学者,政治家学者は,経済的不平等が自動的に是正されると考えがちである.不平等が拡大すれば低所得の有権者の投票行動を変化させ,不平等を緩和する再分配を支持する方向に政治を動かす,と.しかし,ここに移民の問題が関わる.なぜなら,アメリカは不平等化するとともに,移民も増やしてきたからだ.低賃金労働者が増価し,その多くは移民によって占められ,しかも彼らはまだ市民権を得ていないから,再分配を求める政策に投票できない.だから労働力の構成がより多くの移民とより低い所得を示すことは互いに強め合うのだ.なぜなら低所得の労働者は投票できなくなるから.」
ケインズ主義的な福祉国家に対する信頼が失われ,教育によって莫大な富を得るチャンスが得られる社会について,レーガノミクスやその他の保守的価値観が「新しい合意」を形成した,と指摘します.それが社会の不平等化を容認する土壌を形成しているのです.
それは逆転できないのか? という問いに,筆者たちは悲観的です.有権者がその関心を自ら変えることがないとすれば,大きな事件が国民の関心を変えることで,平等化を求めるかもしれない,と.もちろん,大恐慌を再現して欲しい,と願うわけではありませんが,もっと限られた事件から政治システムが学ぶ可能性もあるでしょう.
FTは,アメリカの下院が,上院と異なり,扇情的な討論番組と同じ水準の移民排斥法案を提出するほど,政治家たちは中間選挙の前にこれほど愚かになりうる,ということを嘆いています.しかも,労働市場の問題を,テロに対する国境警備や,アメリカ人のアイデンティティーといった問題と結び付けています.これは間違った政治論争です.
LAT July 13, 2006
Can a Dead River Rise Again?
By Bill Stall
(コメント) 諫早湾のダムや新幹線の駅に限らず,公共事業を中止して,元に戻すことは非常に難しいと思います.たとえ,その失敗が明白であり,住民の政治的な意志が示されたとしても,行政や政治家は失敗を認めたがらないし,追加のコストにともない,自分たちに非難が集中することを恐れます.既得権となったものが失われる業界や住民への補償も問題になります.
しかし,ダムによって失われた川the San Joaquinの水を取り戻す方針転換をカリフォルニアは実現しそうです.シエラネヴァダの山脈からサンフランシスコ湾に至る,アメリカにとって歴史的な川です.かつては増大する都市人口に良質の飲み水を供給するという政治的合意により,流れをせき止められました.その結果,下流では農業や遡上する鮭が捨てられ,川は事実上の下水溝となったわけです.
川を利用する経済的な利害や政治的合意は変わりました.長期に及ぶ紛争・法廷闘争を経て,政府に対して法律と裁判所が命令することで,川の再生が決まったのです.
NYT July 13, 2006
By DAVID BROOKS
1848年にヨーロッパ全体で民主革命が起きたが,その後,速やかに崩壊した.抵抗した者たちが多数路上で殺された.権威主義体制が再建された.1848年を「ヨーロッパが転換できなかった転換点であった」ということもある.
しかしそれは正しくない.確かに反民主主義体制は権力を得たが,数十年のうちに,1848年の革命家たちが要求した改革のほとんどを実行した.憲法が成立し,投票権は拡大した.福祉システムが確立された.
保守的な権威主義体制はこうした改革をいやいや実行したが,それには動機があった.彼らは時代に乗り遅れれば権力を維持できないことを知っていたし,もっと過激な改革を防ぐ目的があった.民主主義は栄光に包まれて誕生しなかったが,少しずつ妥協を引き出し,保守的改革派がいやいやながら実行した.
私は,未来のある時点から振り返るなら,現在の世界もそのようなパターンを描いているのだ,と分かると思う.
1980年から2005年にかけて,民主主義革命が世界を覆った.権威主義体制は,自ら(ソ連),あるいは外からの圧力で(フィリピン),また軍事力で(イラク),崩壊した.社会が緊密に組織されているところでは,その均衡が維持され,民主的な理想が実現した.他方,全体主義がもっとも強固であったところでは,市民社会が粉砕され,圧制からの解放は混沌をもたらした.
旧い政治秩序が社会的権威の唯一の源泉であったところでは,それが取り除かれると抑制が効かなくなった.その国の最悪の人々が最善の人々を支配する自由を得た.イラクでは,野蛮な暴力,犯罪の蔓延,宗派間の闘争が,想像できないほどの恐怖をもたらした.ロシアは,ギャングの文化が栄え,不正直なものを潤した.人口の大部分は死ぬまで酒を飲み,ロシア人の平均寿命は7年も短くなった.
さらに,西側の解放者たちが共謀して,カオスをもたらした.ロシアでは西側のエコノミストや官僚が送り込まれたが,いつも安定した国から来た者たちは,安定性を支持する道徳的な基礎を当然のものとみなした.ロシアにはそうした基礎がなく,すべての制度はさかさまにひっくり返っていたのに.イラクでは,アメリカの解放者たちが,野蛮なイラク人たちが自然状態で何をするか,理解していなかった.そして人間的な秩序を築くことに失敗した.
こうした場所で民主的な時代の最初の段階とは解放であった.次の段階は混沌であった.第三の段階は保守的な秩序再建である.プーチンやイラクの聖職者,軍閥は,西側の民主派と違って,秩序への欲求をよく理解していた.人々は命を尊ぶ秩序を求めている.彼らは混沌にある自国を恥じており,国家の尊厳を回復したいと願っている.要するに彼らは,近代化を望む官僚たちよりも,人間の本質をより深く理解していた.
権威主義者たちが再建する国家は,全体主義的ではないが,自由でもない.彼らは権力を掌握するために自由を弾圧した.民主化の活動家は逮捕され,テレビ局は服従させられた.1848年と同じように,民主化勢力はなくならなかった.民衆,特に増大する中産階級は,自由を熱望した.新技術は権力集中を脅かした.保守的な権威主義者も,もし彼らが漸進的な改革によって大衆の支持を得なければ,テロにより支配されるか,より激しい改革を強いられる,ということを理解した.
もしそれが真実であれば,アメリカの外交政策にとって重要な目標は,ロシアから中東,中国に至る反権威主義的体制を導き,徐々に民主的な革命を実行させることであろう.今のところ,革命を求め,あるいは,敗北を認めて外交的な見せ掛けをつくろっているだけで,それはうまく行っていない.しかし,われわれは大衆行動や体制転換,オレンジ革命の時代を終わった.われわれは,せいぜい少しずつ,保守的な改革を進めるだろう.そして,想像力に欠ける権威的支配者たちが,新しいビスマルクになるのを助けることだ.
LAT July 14, 2006
Stop Bashing Putin, Because Russia's on a Roll
By Clifford A. Kupchan
The Guardian Saturday July 15, 2006
G8: Summit of Russia's ambitions
NYT July 15, 2006
The Hand That Rocks the Pump
WP Saturday, July 15, 2006; A21
Putin's 'Sovereign Democracy'
By Masha Lipman
LAT July 18, 2006
An Unsatisfying G-8 Summit
NYT July 19, 2006
Alternative Reality at the Summit
(コメント) もはやプーチンを拒むことはできません.彼がどれほど悪辣で,冷酷で,非民主的であろうとも,ロシアに秩序を取り戻し,その石油・天然ガスや核・軍事力を支配しているからです.西側がプーチンを批判しても,ロシアの政治体制や指導者が変わるわけではありません.IMFやWTOがロシアへの国際的圧力を形成することもないでしょう.ロシアを孤立させることが良い結果をもたらす保証もありません.
G8によるサミットが,本当に,世界の複雑な問題に有効な解決策を見出す政治システムであるのか,見直すべきときが来ている,と思います.安全保障でも,エネルギーでも,貧しい諸国の輸出や投資への刺激でも,豊かな国の農産物補助金削減でも,貿易自由化交渉でも,・・・ 主要国の決断は国際秩序を改善できません.
A new Middle East disaster in the making FT July 14 2006
Middle East: Disproportionate, dangerous, destructive The Guardian Friday July 14, 2006
David Hirst Israel's monstrous legacy brings tumult a step closer The Guardian Friday July 14, 2006
David N. Myers The Middle East's Symbolic Slugfest LAT July 14, 2006
Israel's Risky Response LAT July 14, 2006
THOMAS L. FRIEDMAN The Kidnapping of Democracy NYT July 14, 2006
MICHAEL YOUNG Israel’s Invasion, Syria’s War NYT July 14, 2006
David Ignatius Behind the Crisis, A Push Toward War WP Friday, July 14, 2006; A21
Charles Krauthammer Why They Fight WP Friday, July 14, 2006; A21
The way in - and out - of Israel's wars CSM July 14, 2006 edition
The need for peacemakers BG July 15, 2006
Sami Moubayed It's war by any other name Asia Times Online, Jul 15, 2006
Brian Whitaker Blundering into Lebanon The Guardian Saturday July 15, 2006
Playing Hamas’s Game NYT July 15, 2006
(コメント) イスラエルとパレスチナの紛争は何度もあったけれど,今はその条件が悪い,とFTは書きます.イラク戦争で中東には混乱と反米主義が広がり,シャロンが病に倒れた後,イスラエル政府も弱体です.イスラエルの新政府も,ヒズボラやハマスも,容易に交渉による解決を受け入れないでしょう.かつて中東和平を推進したアメリカ大統領たちの政治的関与と信頼,すなわち政治資本を,ブッシュ政権はイラクで使い果たしたのかもしれません.
なぜイスラエルは均衡を欠いた報復から地上軍による征服にまで乗り出すのか? ノーベル平和賞を受賞したペレス副首相は,パレスチナ側からイスラエルに1500発ものロケット弾を打ち込まれているときに,均衡を欠いた報復,という非難は間違っている,と反発しました.どうやって多くのロケット弾が発射できるのか? それはイランが供給するからだ,と.・・・まるでアメリカとイランの代理戦争です.
ヒズボラは政府ではなく,武装集団の制圧のために,イスラエルは戦争行為を周辺諸国に拡大しています.武力行使は何によって正当化できるのか? それで本当に問題を解決できるのか? あるいは報復と不信を積み重ねるのか? イスラエルは自国の市民を軍事的な攻撃から守る正当な権利を持つでしょう.しかし,そのために報復することが許されるか?
その理由は,むしろEhud Olmert新首相の指導力を高めるために軍事力行使を強めた,ということのようです.中東における政治的なシンボリズムの様式が彼らの判断や行動を制約します.発電所を破壊し,政府庁舎を破壊し,ベイルート空港を破壊する.・・・人質のイスラエル兵を解放せよ.さもないと,もっと破壊するぞ.
イラク政府にも,パレスチナ政府にも,シリアが支援する武装集団の政治代表が参加しています.彼らは政治的には少数派ですが,武力行使に対抗するためには重要な影響力を持ちます.それゆえ,人質になったのは民主的な政府である,とTHOMAS L. FRIEDMANは考えます.そして,9・11以後のアラブ世界を民主化する試みを粉砕することに,各地の原理主義勢力は成功しつつあります.
兵士を人質にとられたと聞いて,レバノンを二十年前に引き戻してやる,とイスラエル軍の中尉は言ったようです.戦争はレバノン,シリア,イランにまで拡大するのでしょうか? まるで,昔の映画を観ているようだ,とDavid Ignatiusは述べます.
アメリカもイスラエルも,テロには屈しない,と断言します.しかし反撃による抑止は,軍事力の行使が余りにも頻繁で,広範囲に及ぶなら,次第に意味を失います.反撃は,テロの抑止として国際社会から支持を得なければなりません.非政府軍事集団は,中央政府を強化することで制圧するべきです.開かれた,結びついた社会において,国際世論を意識しなければなりません.西側だけでなく,アラブ社会においても,イスラエルの軍事行動は関心を呼びます.
イスラエルが占領しなければ,そこはテロ攻撃の基地になってしまう,という不安が現実のものとなりました.イスラエルの存在を否定する武装勢力が,イスラエルと死ぬまで戦うのは当然です.これは,同じ土地における,生存をかけた戦いなのです.
軍事行動は,いわば,ショック・セラピーです.戦争によって人々の行動や動機,態度は大きく変化します.それが武装勢力を糾合し,交渉相手になる政治集団の形成を促すのでしょうか? 民衆の平和的解決に対する要求を強めるでしょうか? 中東では,殺戮と破壊による政治過程が繰り返されているわけです.
NYTは,武力行使の責任は誰にあるのか? と問うだけでなく,この暴力のエスカレートで最も利益を得ているのは誰か? と問うべきだ,と主張します.強硬派・武闘派です.
Mark Mazower Europe can tell Israel how punishing civilians backfires FT July 16 2006
Gideon Rachman Europe and US are lost on road map to nowhere FT July 17 2006
James Carroll New conflicts in an old war BG July 17, 2006
Meir Shlomo A question for the world community BG July 17, 2006
David Clark The west must recognise that Israel's agenda is in conflict with its own The Guardian Monday July 17, 2006
On the brink of chaos The Guardian Monday July 17, 2006
Middle East: Response and Responsibility LAT July 17, 2006
David Grossman Middle East: Shaken Awake by War LAT July 17, 2006
Niall Ferguson Young, Desperate and Hot -- It's a Volatile Mix LAT July 17, 2006
Kaveh L Afrasiabi Israel's path to total war Asia Times Online, Jul 18, 2006
H.D.S. Greenway Israel's perilous overkill BG July 18, 2006
NICHOLAS D. KRISTOF Feeding the Enemy NYT July 18, 2006
EDWARD M. LUTTWAK A Conflict That Will Stay Close to Home NYT July 18, 2006
Richard Cohen Hunker Down With History WP Tuesday, July 18, 2006; A19
E. J. Dionne Jr.Back From the Brink WP Tuesday, July 18, 2006; A19
(コメント) 民間人を含む犠牲者を省みない,均衡を欠いた報復攻撃を続けるイスラエル政府は,EU市民の反発を意識しなければなりません.アメリカがイスラエルに武器を提供し,EUがイスラエルに市場とユーロを提供しているからです.Mark Mazowerは,市民たちを守るのは,アメリカでも,国連安保理でも,中国でもなく,EUである,と考えます.
あるいは,ネオコンの教義が再び輝くのでしょうか? Gideon Rachmanは,EU外交の無力さを指摘します.むしろ,すべての問題を解決する鍵は軍事力である,と.軍事的な解決策を示せない限り,その他の議論に意味はない.イラク,アフガニスタン,イラン,北朝鮮,レバノン,・・・ いずれも軍事力の行使を決断しなければならないときがある.しかも,圧倒的な軍事力が必要だ.イランや北朝鮮の核施設をすべて軍事的に破壊し,ブッシュ大統領はイスラエルに飛んで連帯を示すべきだ,と.
James Carrollは,イスラエルを支持したり,イスラエルを非難してパレスチナを支持したり,人々の意見は極端に分解してしまうことを批判します.もっと穏健派を支持し,彼らの願いを実現する政策を採用するべきです.自爆テロからイスラエルを守るだけでなく,多くのパレスチナ難民に人道的な援助が必要です.
Meir Shlomoには,この戦いが,シリアやイランに指導された抑圧的な専制国家の中東世界と,イスラエルに指導された民主的な中東世界とが争うものと見えます.国際社会とアラブの穏健派はイスラエルを支持するべきだ,と.
イスラエルに自制を呼びかけても無駄だ,とDavid Clarkは考えます.たとえG8に集まった政治指導者たちが,イスラエルに理性的な判断を期待しても,彼らはイスラエルを正しく理解していない.イスラエルは,ハマスと同じように,妥協して交渉による平和を求めるより,互いの強硬派を刺激するほうが良いと考えているのです.この衝突は,ファタハのMahmoud Abbasが本当に和平案を実現してしまうことをイスラエル政府が恐れたとき,勃発したのです.
この戦争は,中東地域にイスラエルの軍事的支配による平和Pax Israelicaをもたらすでしょうか? Kaveh L Afrasiabiは,ベトナム戦争でアメリカがしきりにソ連や中国を非難したように,今またイランやシリアを非難している,と指摘します.レバノンは,平和のために,イスラエルへの服従を求められています.しかし,それがどのような形を取ろうとも,アラブの海にさまようイスラエルと言う小島でしかありません.
EDWARD M. LUTTWAKは,紛争が拡大することはない,と予想します.なぜなら,ハマスは他のアラブ勢力から非常に孤立しており,ヒズボラもアラブ世界では少数派のシーア派が支援しているからです.エジプトやヨルダンが彼らを支援する可能性は小さい,と.シリアだけは支援を表明しているけれど,アサド大統領自身の国内政治基盤は弱い.軍事的な敗北は致命的です.
Richard Cohenは,イスラエル自体が最大の失敗であった,と考えます.ヨーロッパのユダヤ人たちが独立国家を望んだとき,イスラム世界の真ん中にそれを認めたことが,最大の失敗でした.それ以後,戦争は終わりません.ガザ撤退はテロリストの基地をもたらし,イスラエルは国境を勝手に決めて封鎖する,という具合に,互いの不吉な予言が実現しました.さらに,イスラエルは再占領を始めています.
パレスチナ難民たちに国境決定や土地交換を提案するなら,イスラエル自体を,イスラム世界の外に土地交換することを国際社会に提案してはどうか?
Lebanon needs an international force FT July 19 2006
Simon Tisdall Rice will back demands for ceasefire - after a few more days of carnage The Guardian Wednesday July 19, 2006
Charles A. Kupchan and Ray Takeyh Reaping what Bush sowed IHT WEDNESDAY, JULY 19, 2006
Why They Fight LAT July 19, 2006
Max Boot Let Israel Take Off the Gloves LAT July 19, 2006
Saree Makdisi Israel's Outrageous Attacks LAT July 19, 2006
Amos Oz Hezbollah Attacks Unite Israelis LAT July 19, 2006
THOMAS L. FRIEDMAN Not So Smart NYT July 19, 2006
Charles Krauthammer Lebanon: The Only Exit Strategy WP Wednesday, July 19, 2006; A19
Robert E. Hunter Protecting U.S. Interests In the Middle East WP Wednesday, July 19, 2006
Nadav Morag Israel's goals in the present conflict CSM July 20, 2006 edition
FT July 20 2006
Philip Stephens West’s strategic failure lit the fires in Middle East The Guardian Thursday July 20, 2006
David Grossman Plans for a military victory over Hizbullah are a fantasy The Guardian Thursday July 20, 2006
Tariq Ali A protracted colonial war The Guardian Thursday July 20, 2006
Newt Gingrich The third world war has begun The Guardian Thursday July 20, 2006
H.D.S. Greenway Israel's perilous overkill IHT THURSDAY, JULY 20, 2006
Daniel Pipes Israel Has a War to Win LAT July 20, 2006
(コメント) Charles A. Kupchan and Ray Takeyhは,ハマスやヒズボラの強硬路線だけでなく,簡単に中東民主化を実現できると提唱したブッシュ政権にも責任がある,と考えます.その介入は強硬派を刺激し,軍事衝突を増やしました.イラクの独裁者を軍事的に追放した結果,ブッシュ氏が描いたシナリオと逆の世界が現出しています.経済的・政治的な自由化という目標は正しかったけれど,その手段を間違った,と.
他方,Max Bootは,イスラエルが均衡報復に自制しすぎてきたことを反省し,アメリカはイスラエルが地域の平和を確立するのを助けるべきだ,と軍事介入の拡大を求めています.
イスラエルはゲリラを掃討するから一時的に非難せよ,と住民たちに警告しています.しかしアラブ世界は,イスラエルが同様の警告によって住民を排除したパレスチナを占領し,イスラエルを建国した歴史を忘れません.多くの住民が土地を守って残るでしょう.レバノンの築いてきた経済的基盤が失われていきます.
イスラエルがレバノン南部を占領し,ゲリラを完全に追放してから,再びレバノン政府に返還するしかない,とCharles Krauthammerは考えます.イスラエルは国境を越えてテロの監視と掃討作戦を実行することになるのでしょうか? この現実を認めて,イスラエルのオルメルト首相とアメリカのライス国務長官が決断すれば.アメリカはこの地域にどのような将来計画を示せるのか? それは,アメリカの基本的な利益を守りながら,中東諸国の安定的な均衡を実現するものでなければなりません.
Tariq Aliは書きます.「イスラエルの行動は傲慢の要素を多く示す.帝国的な傲慢さだ.現実を歪曲し,軍事的な優位を意識し,弱小国家の社会インフラを粉砕しても自分たちの正しさを吹聴する.民族的な優位を確信する.ガザとレバノンで多くの市民の命を奪いながら,それらは人質となった一人のイスラエル兵士の命ほど重要ではない,と主張する.」
「ガザへの軍事攻撃は,選挙に勝利したハマスを破壊するために計画された.ガザが集団的な懲罰を受けているのに,<国際社会>は傍観している.無辜の命が失われ続けている.G8の指導者たちには,そのことも無視された.何も起こらない.」
「イスラエルの強制収用所には,9000人のパレスチナ人の政治犯が囚われている.だからイスラエル兵士は誘拐されるのだ.囚人の交換が行われる.シリアやイランを非難するのはばかげたことだ.パレスチナ問題を解決し,イラク占領を終えるまでは,中東に平和などない.<国連軍>はヒズボラを抑えるかもしれないが,イスラエルを抑えられない.」
Global markets FT July 14 2006
Japanese interest rates FT July 14 2006
Spooking the market FT July 15 2006
NYT July 14, 2006
Left Behind Economics
By PAUL KRUGMAN
(コメント) 世界市場の不安が雪崩を起こすかもしれません.石油価格が高騰し,インフレや低成長を恐れて,投資家は弱気になるでしょう.中東の戦火は広がっています.イランや北朝鮮に対する核兵器開発の破棄を求める国際交渉は進まず,危機のたびに,避難所を求めてアメリカへ資本流入が起こります.
政治不安とマクロ経済の世界的不均衡とが同時に深まっています.潤沢な流動性供給は,資本移動を浮動的にして,リスクを軽視しているに過ぎません.日本もゼロ金利政策を解除し,世界は協調する仕組みもない金融引き締めの加速を恐れます.しかし日本の金利はまだ実質マイナスであり,円安は続いています.
FTはまた,政治家ではなく,市場が石油価格の高騰にも答えを出すだろう,と楽観します.1970年代に比べて石油の重要性は低下しており,供給ショックではなく,需要増加が原因です.価格高騰によって貧しい輸入国は最も苦しむでしょうが,価格シグナルに従って,世界経済の調整は進みます.
PAUL KRUGMANは,アメリカの分配問題を強調します.それが世界経済の不安定化要因になるかもしれません.
LAT July 15, 2006
By Gary Hufbauer
BG July 16, 2006
Misplaced `misunderestimation'
By Graham Allison
(コメント) Gary Hufbauerは,アメリカ(と日本)は,経済制裁を中国・ロシア・韓国と協調して行うしかない,と考えます.北朝鮮は経済制裁がいかに効果的ではないかを示す見本です.
アメリカは朝鮮戦争後,一貫して北朝鮮の経済を封じ込め,制裁を科してきました.しかし,北朝鮮の体制が強硬姿勢を変えることはなかったのです.Hufbauerは,戦後の制裁事例の多くが失敗であった,と指摘します.
アメリカはクリントン政権において,北朝鮮のプルトニウムを放棄させるため,制裁だけでなく,大幅な補償を与える方針に転換しました.経済援助と二つの原発建設を約束したのです.いったんは改善されたかに見えた北朝鮮の市井も,結局,核兵器と弾道ミサイルの開発を続けており,平和的な説得は失敗に終わりました.
それに代わるものはないのか? Hufbauerは,アメリカが中国やロシア,韓国を説得できる,と考えます.彼らが求めているものを交換条件に示せば,北朝鮮への制裁に参加するでしょう.すなわち,中国の人民元切り上げを延期し,ロシアのWTO加盟を助け,韓国とのFTA交渉に農業保護の余地を与えることです.
他方,軍事力の行使は失敗する恐れがあり,北朝鮮の体制崩壊であれ,報復であれ,アメリカは周辺諸国の不信を買うでしょう.つまり,補償を組み合わせた制裁措置の協力.それは絶対成功するとは言えませんが,代案は無いのです.
Graham Allisonは,ブッシュ大統領が金正日を「誤解」している,と考えます.ブッシュ氏は,北朝鮮の弱さと,その指導者の過剰な敵対表現に翻弄されて,現実を正しく理解できません.その反応は,金正日を激しく非難することでした.アメリカと戦争して勝てる国ではないのです.
ブッシュ氏はクリントン政権の政策を批判し,北朝鮮には核兵器を保有させない,1994年の合意を守らせる,ミサイルは発射させない,北朝鮮が改善する以外に褒美を与えない,でした.しかし,この数年を経て,ブッシュ氏の方針は無視され,北朝鮮は体制を維持し,核とミサイル,援助を得てきました.
BG July 17, 2006
Losing Asian allies
IHT MONDAY, JULY 17, 2006
The North Korea game
Philip Bowring
The Japan Times: Monday, July 17, 2006
Time for a new approach to Pyongyang?
By RICHARD HALLORAN
The Wall Street Journal, 17 July 2006
North Korea Crisis Tests China’s New Global Role
Gordon Fairclough & Neil King Jr.
The Japan Times: Tuesday, July 18, 2006
Our very own preemptive option
YaleGlobal, 18 July 2006
North Korea’s Missiles Backfire
Shim Jae Hoon
The Japan Times: Thursday, July 20, 2006
Japan's anti-North Korea complex
By GREGORY CLARK
(コメント) 憲法の認める範囲内でも,自衛のために日本は北朝鮮を攻撃できる,と安倍官房長官は主張し,韓国政府の強い反発を招きました.アメリカは,北朝鮮に苦しめられているのではなく,同盟諸国内部の反目に苦慮しているのです.Philip Bowringも,北朝鮮のミサイル発射を,日本政府における強硬派の支配を強めると危惧しています.
欧米が注目したのも,北朝鮮ではなく,日本と中国・韓国との関係悪化であったようです.日本政府はこれまで,教科書や領土など,中国や韓国からの非難に公然と反論することはありませんでした.しかし,北朝鮮の問題については別です.特に,拉致問題を通じて,北朝鮮に対する強攻策については国民の広い支持を得ています.またミサイル発射は,アメリカとの同盟強化に役立つでしょう.中国やロシアにとっても,北朝鮮は,アメリカや日本に対する外交上のカードに過ぎません.
なぜ,この時期に,何発もミサイルを撃ったのか? これは北朝鮮の計画した行動の第一幕に過ぎないのではないか? まだ,不確実さがぬぐえません.
北朝鮮でもアメリカでもなく,金融制裁や国連安保理でもなく,中国の反応や日本の反応が,今後のアジアおよび世界の安全保障に重要な意味を持つわけです.中国は,北朝鮮の体制が崩壊して難民が大量に流入することや,日本が保守化と軍事化を進めて,靖国神社参拝などを強行することを嫌います.
Scheherazade Daneshkhu Relief and risk as Japan re-enters the mainstream FT July 16 2006
John Plender Geopolitics and interest rates usher in the bear FT July 16 2006
Hitoshi Tanaka Reports of ‘vanishing Japan’ are exaggerated FT July 17 2006
Sayonara to zero rates FT July 17 2006
Michiyo Nakamoto OECD urges BoJ to be cautious on rates FT July 20 2006
(コメント) 軍事的にも,外交的にも,そして金融的にも,日本は「正常化」を進むようです.
日本が世界の流動性を供給しているネットの貯蓄国である以上,世界的に見て,金利上昇は単にシンボリックな意味にとどまらない,という見方が示されています.中東紛争よりも,日銀の方が重要なのです.この「正常化」は,本当に日本や世界の経済にとって良いことだ,と断定できるのか,OECDは悲観的です.
中国への関心が高い一方で,日本は市場から消滅した,という声が聞かれます.なるほど,『日本沈没』がリメイクされるわけです.しかし元外務省の副大臣であったHitoshi Tanakas氏は,日本が断固とした姿勢を示すようになった,と(むなしく?)反駁しています.
Jacques Mistral Growing inequality is turning America inward FT July 16 2006
ROBERT WRIGHT An American Foreign Policy That Both Realists and Idealists Should Fall in Love With NYT July 16, 2006
FRANK RICH From Those Wonderful Folks Who Gave You ‘Axis of Evil’ NYT July 16, 2006
Sebastian Mallaby The Fighters and the Freeloaders WP Monday, July 17, 2006; A15
Sidney Blumenthal A pantomime president The Guardian Tuesday July 18, 2006
David Ignatius End the Slow-Motion Diplomacy WP Wednesday, July 19, 2006; A19
Timothy Garton Ash Lebanon, North Korea, Russia ... here is the world's new multipolar disorder The Guardian Thursday July 20, 2006
(コメント) アメリカの外交政策について,さまざまな評価が交錯します.グローバリゼーションへの反動として,ナショナリズム,保護主義,反移民感情が強まっています.市場開放は容易に安全保障と対立しているかのように反対されます.しかし,アメリカは世界最強の軍隊を持つ裕福な国です.こうした反応を最も抑制できるはずではないか?
外交に関する批判が,当然,増えています.アメリカと,イスラエルと,インド.誰がテロに対して効果的に反撃しているか? 金融市場のバブルによって現実の調整を先送りにし,短期的な成果と長期の惰性に流されます.しかし国際金融市場と違って,外交政策には市場の圧力がストレートに反映しない.アメリカ国内の不平等,政治的両極化が,外交にも制約をもたらす.「悪の枢軸」など,レトリックの過剰.無秩序の多極化.・・・
FT July 17 2006
Emergency talks on Doha follow Lamy warning
By Alan Beattie in London, and Neil Buckley and Daniel Dombey in St Petersburg
FT July 20 2006
End the lie, rejoice in cheap imports
By Edward Graham
YaleGlobal, 20 July 2006
Development Vs. Free Trade
Bernard K. Gordon
(コメント) アメリカが大胆な譲歩案を示し,それに対してEUが歩み寄る,というシナリオの実現を国際機関や主要国は待っています.しかし,アメリカは動くでしょうか?
Edward Grahamは,なぜ自由化交渉が進まないか,を考えます.それは,貿易の政治交渉が時代遅れであり,貿易の利益が正しく理解されていないからです.各国の大臣たちは輸出を増やすことに熱心で,輸入が増えることを(コストと見なして)嫌います.しかしGrahamは,自由化交渉の成果として,輸入増加による利益こそ迅速で確実だ,と主張します.
貿易自由化交渉の主要国が,間違ったコスト・ベネフィットによる目標を掲げ,自国の特殊な輸入競合分野の保護に利益を見る政治家によって行われる限り,交渉はまとまりません.しかし,彼らはそうすることで国民の利益を失っているのです.自由化することで,世界の最も貧しい人々まで利益を受け,豊かな国で農家や織物工場が廃業するとしても,彼らはもっと有利な分野に進出できるはずです.
これに対して,Bernard K. Gordonの主張は,WTO交渉メカニズムの政治的アンバランスを指摘します.すなわち,WTO加盟諸国の多数が発展途上諸国でありながら,彼らが世界貿易に占める割合はわずか(1%以下)しかないのです.すなわち,世界貿易額18.65兆ドルに対して,1330億ドルです.インドやブラジルは,こうした発展途上諸国の政治的要求として,裕福な諸国の農産物市場を開放するように求めました.しかし,欧米や日本の政府は,農業分野の保護に大きな政治的責務を認めてきました.それを犠牲にして発展途上諸国から得られる利益はほとんどありません.
Asia Times Online, Jul 18, 2006
Expect the yuan to feel even more pressure
By Kent Ewing
July 21 (Bloomberg)
Bombs or Booms? Asia Pushes Oil Prices Higher
William Pesek
(コメント) 悪いものは何でもアジアから来る? 貿易赤字,失業,石油価格高騰,インフレ,・・・
NYT July 19, 2006
The Rise of the Super-Rich
By TERESA TRITCH
WP Thursday, July 20, 2006; A23
No Shame, No Sense and a $296 Billion Bill
By Robert J. Samuelson
(コメント) 平等で,しかも効率的な社会,ダイナミックに成長する経済,というのは両立不可能であるかのように主張するイデオロギーを,また,財政赤字は重要ではなく,増税よりも減税することが常に市民のためになるという暴言を,人々が信じてしまったのはなぜでしょうか? 分かりやすい話にして,キー・パーソンが吹聴すれば,多くの人に真実として受け入れられる?
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The Economist, July 8th 2006
Rocket man
Israel and Palestine: A deadly cycle
Israel and Palestine: Getting worse and worse
Afghanistan: A geographical expression in search of a state
The army in Afghanistan: Taliban time for Britain
(コメント) 金正日のロケット狂に傷ついたのは中国政府だ,とThe Economistは考えます.そして中国は交渉失敗の責任をアメリカと日本に負わせたいでしょう.しかし,もしかしたら国連安保理で協力し,金正日の暴走を止める同盟に参加するかもしれない,と.
イスラエルに対しては,長期の視点を取ります.これはイスラエル軍部による穏健派政府への肝試しなのでしょうか? 短期的に暴力がエスカレートするのは間違いないけれど,長期的に交渉するしか独立を守れない.イスラエル政府もそのことを知っている.だから,せめてゲリラは人質を殺すな,イスラエルはハマスを皆殺しにできるなどと思うな,と.
カルザイ大統領の失敗は,タリバンとケシ畑の広がる南部に明らかです.反政府ゲリラと住民を分離し,健全な雇用を増やして市民社会が育つ条件をもたらすはずではなかったか? 軍隊も,経済支援も,後退を続けている,と伝えます.
The Economist, July 8th 2006
Charlemagne: In praise of Finland
(コメント) WTOの交渉停滞も,日本のゼロ金利解除も重要です.しかし,フィンランドはなぜ成功しているのか? という記事に関心を持ちました.
中国やインドの台頭する世界市場に,自国の生きる余地はあるのか? ・・・世界経済フォーラムの競争力ランキングで1位,ビジネス競争力で2位.OECDの教育ランキングでも1位.EUのR&D支出シェアで1位.・・・小国でも,グローバリゼーションを恐れなかった,というわけです.
フィンランドは小国として,財政黒字を維持し,衰退産業の存続を拒んで新興産業に資源を移動させ,熟練や教育に投資して大きな成果を上げました.たとえ環境保護運動が強い国でも,エネルギー供給を確保するために,政府は原発建設を説得しました.年金・社会保障制度の改革でも地方政府への分割を決めました.