IPEの果樹園2006

今週のReview

2/13-2/18

IPEの種

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世界の英字紙HPからコラムを要約・紹介します.著作権は,それぞれ,元の著作権に従います.

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IPE方法論 :教育と企業

安全保障 :イランと北朝鮮

貿易・投資 :世界経済フォーラム

通貨・金融 :通貨統合ダーク・マター

世界統治 :アメリカと国連移民

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ただしFTFinancial Times, NYTNew York Times, WPWashington Post, LATLos Angeles Times, BGBoston Globe, IHTInternational Herald Tribune, CSMChristian Science Monitor


FT January 26 2006

America seeks to balance investment and security

By Robert Kimmitt

WP Friday, January 27, 2006

Economics And the Inevitable

By David Ignatius

FT January 28 2006

Workshop 5: Who’s choosing whom?

By John Thornhill in Davos

(コメント) CFIUS(the Committee on Foreign Investment in the United States)のRobert Kimmittは,直接投資に関する開放政策と相互利益の原則を主張しています.日本や中国の企業がアメリカ企業を買収することは,多くの場合,アメリカの安全保障を脅かすものではなく,むしろアメリカの成功を示しており,その世界的な波及をもたらす,と考えます.アメリカにとって,外国からの直接投資は雇用と高賃金,R&D投資による生産性上昇,などを意味しているのです.

他方,ダヴォスでは世界経済フォーラム(WEF)が開かれました.グローバリゼーションがもたらす平坦世界の支持者,フラッターズたちが集まる記念行事です.この祝賀会は,以前に比べて,アメリカ人が減り,中国人やインド人が増えている,と言います.しかし,彼らはほとんどすべてアメリカの大学の卒業生です.アメリカ企業や政府に対する不信感は広まっているとしても,アメリカの大学がグローバリゼーションのもっとも優秀な傭兵たち,あるいは21世紀の功利主義者たちを供給する点で世界中から信頼を得ているのは事実です.WEFの英雄は,もはやアメリカ企業の重役たちではなく,ハーバード大学のサマーズなど,アメリカ主要大学の学長たちだ,と.

「私たちが求める聡明な数学者は,その母親がルーマニアの客室係です.」と,サマーズは言います.学力試験のハイ・スコアがあれば,その出自や性別と関係なく,究極のメリトクラシーを提供し,グローバル企業.銀行・国際機関に供給する.それがアメリカの大学をこれまで以上に繁栄させています.

他方で,David Ignatiusは,こうした功利主義的大学を批判しています.グローバリゼーションがたとえ逆転不能であるとしても,その社会的な意味は変わりうるでしょう.WEFで注目されたのも,さまざまな社会問題を解決する《社会企業家》と《科学的進歩》です.

John Thornhillは,進展を見なかった香港のWTO閣僚会議を振り返って,WEFがどのような議論を展開したか,紹介しています.参加者たちは,アメリカ・NAFTA,EU,中国・インド,南の発展途上諸国,に分かれて自由化の行方を論じました.アメリカが悲観的,EUは楽観的,中国・インドはどちらにも振れるでしょう.南の統一戦略が可能かどうか,意見は分かれます.「オプティミストとは,すべての脅威に機会を見出す者のことである.ペシミストとは,すべての機会に脅威を見る者のことである.企業家は前者であるが,政治家は後者である.」という,チャーチルの言葉を引用します.

また,グローバリゼーションは競争を厳しくするが,アナーキーなグローバリゼーションは強者が弱者をむさぼるホッブズ的な競争にしてしまう,というバグワッティの言葉も.


JT Thursday, January 26, 2006

Why America needs the U.N.

By RAMESH THAKUR

JT Thursday, January 26, 2006

America missing out in Asia

By BRAD GLOSSERMAN

(コメント) 世界の混沌とした状態を安定化する上で,アメリカ(軍事介入)と国連(平和維持活動)とは相互に補完できる,とRAMESH THAKURは主張します.Rand Corporationの二つの報告に拠りながら,アメリカ軍の圧倒的な軍事的優位と比べて,国連の平和維持活動には国際社会の合意を得た結果として,軽装備でも活動への正当性を得やすい,と指摘します.国連を非難するアメリカの政治家や知識人は,「アメリカが国連を必要とするなどというのは,魚が自転車に乗りたいか,と尋ねるようなものだ.」と言います.しかし,国連を軽視することは有益な分業を損ない,アメリカにとっても損失なのです.

BRAD GLOSSERMANは,アジアにおいて起きている,国際政治を転換する重大な変化を指摘し,アメリカの姿勢を質します.アジアが次第に統合し,ヨーロッパやアメリカに変わって,国際秩序の主要な決定要因となるでしょう.テロとの戦いに限らず,アメリカは意識的に協力して,この過程を取り扱える枠組みを築くべきです.

LAT January 29, 2006

Hitching a free ride with the U.S.

By Michael Mandelbaum

イランの核兵器開発について大きく異なった反応を示す各国は,矛盾した世界の現状を示している.すなわち,核攻撃によって犠牲となる諸国が,核開発を阻止する努力を最も怠っている,という世界だ.この不合理な状況は,21世紀の国際関係に関する,最重要でありながら軽視されている特徴に集約されるだろう.すなわち,アメリカの特異な役割,である.

イランの核兵器保有を阻止するために指導的な役割を担ったのは,アメリカである.国際合意に違反することを警告し,安保理において討議することを主張し,各施設への軍事攻撃も可能な選択肢として示唆した.しかし,たとえイランが核武装しても,アメリカを攻撃する能力は無い.

他方,イランに近いアラブ諸国は,イランの政治体制を政党ではないと主張し,転覆を試みたにもかかわらず,イラン政府の核開発について何も発言しなかった.また西欧諸国は,その一部がイランの攻撃可能な領域に含まれるが,外交交渉の失敗に失望しただけで,軍事的選択肢には強く反対している.そしてロシアも,イランの攻撃にさらされ,チェチェンでイスラム教徒の叛乱に苦しみながら,彼らが核に手を伸ばす可能性も無視して,国連のイラン譴責を非難している.

こうした愚かな行動が許されるのは,アメリカが国際安全保障や世界の繁栄を保障する広範な責任を負うものと前提しているからだ.特に,アメリカは,そうした国のすべてが利益を受け,しかもイランの核開発によって失われる,二つの目標を追求してきた.すなわち,核兵器の拡散防止と,中東からの安定した石油供給,である.

他国に利益をもたらすアメリカの任務はこれにとどまらない.ヨーロッパとアジアにおけるアメリカ軍の駐留は,各国が核や通常兵器による軍備拡大競争に向かうのを阻止し,貿易や投資の拡大に必要な政治的信頼感を与えている.アメリカ・ドルは世界で最も広く使用されており,世界最大のアメリカ市場は,他国の福祉にとってはかけがえない輸出のために開放されている.事実上,アメリカが他国に供給しているサービスは,すべてではないにしても,政府がその市民たちに供給する典型的なサービスを含む.アメリカは世界政府として機能してきたのだ.

もちろん,アメリカはこの役割を慎重に追求したわけではなかった.冷戦期にこうした政策はできたからだ.また世界も公式にアメリカの世界的役割を認めてこなかった.アメリカが他国の利益のために行動したのではない.その国際的な指導力は,アメリカの利益に従って用いられた.たとえば,イランの核武装はアメリカにとっても世界を危険なものにする.しかし,それは他国の利益にもなった.

ただし,他国がアメリカのもたらす利益を認めようとしない.なぜなら,それが利益に見合う支払いの増加という問題に至るからだ.どの国の政府も,こうした「フリー・ライド」問題を容易に解決できないだろう.イランの核開発問題がそうであるように.

彼らは何もしない.アラブ人も,ヨーロッパ人も,ロシア人も,イランの核兵器を阻止する国があることを知っているのだ.


FT January 29 2006

Monetary union is not for poor

By Wolfgang Munchau

(コメント) EUにおける通貨統合の問題は,アジアや日本を考えるときにも重要です.Wolfgang Munchauは,この論説で,マーストリヒト条約の形式的な基準に従って,通貨統合の可否を決める議論を批判しています.すなわち,インフレ率,短期金利,財政赤字,公的債務,為替レートの安定性,です.

むしろ,「実質的な収斂」こそが重要なのです.各国経済は,その所得・賃金水準や生産性,失業率,などにおいて収斂していくことを目標にすべきでしょう.特に,貧しい諸国は輸出を伸ばしてキャッチ・アップ過程を加速することが必要です.もし経常収支の赤字を無視して間違った水準においてユーロを採用すれば,ドイツ統合と同じ,苦しいデフレを経験しなければなりません.それよりも,通貨統合を先に延ばして,競争力を維持する為替レートの水準を選択した方が,実質的なキャッチ・アップと収斂を通じて,最終的な通貨統合にも容易に至る,と.

アジアが通貨統合を考える場合も,実質的な収斂と経済の弾力性(調整能力)に見合って,為替レートを固定化に近づける必要があるでしょう.


Jan. 30 (Bloomberg)

In India-China Race My Money Is on India

William Pesek Jr.

(コメント) 20年後には,インドの方が中国よりも成長している,とWilliam Pesek Jr.はWEFに問題提起します.インドは中国に勝る.イソップのウサギと亀の寓話のように.

その理由は,1.企業家,2.知的所有権,3.中国との対抗心,です.インドは,中国と違って,直接投資や政府によるインフラ投資によって成長しているのではなく,世界的な企業をもたらすほどの民間の企業家精神によって動いています.また,知的所有権の保護においても,中国より進んでいます.もし中国の急速に成長に刺激されて,インドが成長を起動させるなら,イソップの寓話は真実に近いだろう,と.


WP Sunday, January 29, 2006

State of the Union? It's Nothing but Theater

By Lewis L. Gould

NYT January 31, 2006

The State of the Union Is Unreal

By TED WIDMER

(コメント) アメリカにおける一般教書演説の時期が来ました.多くの日本の政治家や演説について感じる不満を,Lewis L. Gouldは共有し,一般教書演説に対して,厳しく批判しています.

これは,ハリウッドが作った,ロッキー風の祝賀会に過ぎない,と.政府の機構や役割を問い,政策課題を国民に訴えた,初期の一般教書はその意義を失い,代わって,テレビのゴールデン・タイムを利用した政治家たちのショーが始まりました.劇的な演出が凝らされ,レーガンに習って,ブッシュ大統領はこれまで,イラク民主化の英雄,チャラビや,ブッシュ減税の立役者,グリーンスパンFRB議長を,演説会場に呼びました.ブッシュの考えを示すマネキン人形です.これはまじめな政治課題を論争する場ではなく,帝国臣民に対して王が与える,ありがたい祝福とご託宣です.

二日後に,大統領がこういったとしたらどうでしょうか? 「わが国の現状は良くない.イラクの事態は収拾できないし,イランは長期的な脅威である.テロがわれわれを脅かしており,軍は限界に達している.財政状態も逼迫し,地球温暖化によって人類は存亡の危機にある.それらは容易に解決できない.長期にわたる犠牲がともなうだろう.

エリートたちの誰も,こうした率直さを求めようとしません.一般教書は精神的な飴玉であり,政争の具です.・・・修辞学の練習問題?


WP Sunday, January 29, 2006

It's the Regime, Stupid

By Robert Kagan

(コメント) もし空爆とミサイルでイランの核兵器と施設を完全に破壊できるとしたら,それは最悪のシナリオの中でも最善のケースかもしれない.そんな楽観をRobert Kaganは否定します.そのコストは利益を上回るだろうから.

クリントン政権がイラクの核施設を空爆しなかったのは,それが成功するかどうか,確認することができないからです.イランに対しても,核開発や施設の正確な情報を得ることは困難です.しかも重要な施設は地下にあり,空爆によって破壊した程度を知ることは難しいでしょう.

イランの現体制は核兵器の保有に強くコミットしており,外交交渉でそれを放棄させるのは難しい,とKaganは指摘します.空爆が失敗すれば,それによってイラン政府は勝利を宣言し,アラブ世界で支持を広め,核開発を加速するでしょう.そして,アメリカへのテロやイラクでの治安悪化,ペルシャ湾の封鎖や石油価格高騰による報復が行われます.

核保有を絶対に許さないためには,再び地上軍を送って,イラン政府を打倒しなければなりません.しかし,問題は核保有だけではなく,誰が核を保有するのか? ということです.

アメリカは,イギリスやフランスが核兵器を保有していることを脅威とは考えません.イスラエルやインドも,アメリカに核攻撃を行う可能性はないでしょう.それゆえ,イランの政治体制を,もっと自由で民主的な正確に変えることができれば,イランの核保有を戦争によって阻止する必要はないのです.

外交的な妥協やイラン政府の譲歩を期待できない以上,アメリカ政府が軍事的な選択肢を捨てることはありません.ハンガリー動乱や天安門型の弾圧が起きるかもしれません.しかし,反体制派や民主化勢力に対する支援を行い,援助政策にもイランを含めるべきだ,とKaganは主張します.冷戦時にも,西側は東への軍備削減交渉と経済援助を並行して行いました.

北朝鮮に対する日本政府の慎重姿勢と政治家たちの強硬発言は,事態を転換する力を持たないように思います.

FT February 1 2006

Pyongyang outsmarts bungling double act

By Aidan Foster-Carter

(コメント) 他方,北朝鮮に対するアメリカと韓国の対立はますます修復できないものとなっているようです.「陽光政策」と「ネオコン」が,互いの足を引っ張り合って,北朝鮮を助けてしまいます.核開発,ミサイル輸出,人権問題,麻薬,偽造紙幣,・・・ 朝鮮半島を包む同胞愛が,特別な答えを用意してくれるわけではありません.6カ国協議の枠組みを拡大する提案も,中身がともないません.中国と日本が「アメと鞭」を使い分けるべきですが,相互の協調など論外の冷却した日中関係が放置されています.

イラクやイランに加えて,ブッシュ政権が朝鮮半島に具体的な関与を強める余地はほとんどないのです.むしろ,国際政治において,アメリカやヨーロッパではなく,ロシアや中国の役割がますます重要になる,という皮肉な現象が目立っています.Foster-Carterは北朝鮮を説得する条件として,1.レトリックよりリアリズムを重視する,2.優先順位をつける,3.周辺諸国の協力,を確認します.


FT January 30 2006

America should open its doors wide to foreign talent

By Craig Barrettchairman of Intel

(コメント) 自身も移民から身を立てたインテルの会長は明言します.

「アメリカは深刻な移民の危機に直面している.それは新聞やワシントンの政治家たちが大騒ぎしている1100万人の非合法移民のことではない.本当の危機は,アメリカが科学や数学,エンジニアの優れた才能を持った移民に門戸を閉ざしつつある,ということだ.アメリカにおける教育機会や雇用の機会を目指して,世界から「最高の知性」が集まってきた.こうした外国生まれの知識労働者たちこそ,アメリカが技術的な競争力を維持する上で決定的に重要だ.」

アメリカの教育機関を改革しても,必要な知識労働者の半分を得られないだろう.中国やインドが,毎年,送り出す科学者たちの,ほんの一部もアメリカは国内でまかなえない.もし外国からの優秀な学生を吸収しなければ,アメリカは21世紀の知識産業における激しい競争から脱落してしまう.9・11によって加熱した国境規制や反移民感情は,アメリカ自身を滅ぼす,という意図せざる結果をもたらすかもしれない,と.


FT January 30 2006

How to reform a winner-takes-all economy

By Gene Sperling

(コメント) ブッシュ大統領が一般教書において特に主張したことは,アメリカ人はグローバリゼーションに背を向けてはならない,そして,投資に対するすべての課税を撤廃する,という二つのことだった,とGene Sperlingは考えます.しかし,この二つは矛盾します.グローバリゼーションにより,アメリカはますます貧富の格差が開く傾向にあり,ブッシュ氏はこれを無視して,二つを支持しているからです.雇用は両極分解し,熟練や技能,教育制度も悪循環を加速しています.グローバリゼーションを放置すれば,アメリカの中産階級は死滅に向かうでしょう.

同じ教育を受けても,まともなエンジニアや労働者として十分な所得を得ることが難しくなる一方,Googleの双子の兄弟のように,資本市場を介して空前の富を得る者もいます.もしグローバリゼーションを維持したいなら,この社会的な分断状態を回避しなければなりません.


LAT January 30, 2006

The world's banker

(コメント) LATは,グリーンスパンを,冷戦後,事実上最初の世界中央銀行総裁であった,と絶賛します.ITバブルの破綻や住宅バブルを非難する者は,それ以上に,上海に林立するクレーンやインドの経済成長を見なければならない,と.

バブルをともないながらも,国際資本市場の活発な資本移動が新興地域に奔流となって注ぎ込まれました.それに比べたら,アジア通貨危機も,ちょっとした点火スイッチに過ぎなかった・・・?


LAT January 30, 2006

Missing the Cold War

Niall Ferguson

(コメント) 冷戦の頃は良かった,と懐旧談に花が咲くのは,軍事関係者の会合だけではないようです.

歴史家のNiall Fergusonは,冷戦の効用を考えます.産業スパイへの転職はなかった.NGOsとの争いもなかった.グルジアやウクライナのエネルギー危機もなかった.石油・ガスの帝国支配もなかった.ベルリンで地下鉄に乗れば,閉ざされた駅に,専制政治のシンプルな衝撃を知ることができた.中国やロシアが加わった現在の多極化した国際政治と違って,将来への政治的な不透明感を抱かずに済んだ.何より,イスラム原理主義と戦うために,プーチンを仲間と認めることなどなかった.


NYT January 30, 2006

Enron Happens

By HENRY T. C. HU

(コメント) エンロンのような粉飾決済や虚偽申告はなくせないのか? ライブドアも?

不可避ではない,とHENRY T. C. HUは考えます.資産を常に国債に投資し,役員はすべてFBIの元職員に限定する? つまり,虚偽をなくすこともできるが,それでは資本市場の機能が損なわれるだろう,と考えます.好まれないとしても,虚偽の最適な水準が市場にはあるようだ,というわけです.規制にはコストがともなう.

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The Economist, January 21st 2005

Highest education and the poor: Rebuilding the American dream machine

The new organization: A survey of the company

(コメント) どの国であれ,教育制度や企業組織を革新することに成功すれば,人々はもっと力を発揮して,幸せに暮らせるかもしれません.

ニューヨーク市立大学(CUNY)は,学費を取り,人種別に入学者の割り当てを始めて,その成績を落としました.逆に,かつてのように,学費を取らず,厳しい入学試験を課すようになって,世界中から貧しいけれども優秀な学生が集まるようになります.

「エリート主義」は悪い言葉ではないのだ,と.

他方,アメリカ企業のイメージが,レゴのブロックから,DNAの共有に変わっていくという話も,なかなか面白いです.


Bloodless regime change: A rainbow of revolutions

Emerging economies: Climbing back

Economics focus: America’s dark materials

(コメント) しかし,同時に政治システムや成長のメカニズムが健全で,国際不均衡の調整過程も円滑に進まないなら,学校も企業もその成果を手にすることは無いでしょう.

近年の無血革命に関する理想と現実を整理した特集記事.《新興市場》が従来の工業諸国を抜いた,という歴史的転換.アメリカが経常収支赤字と債務を積み増しても,なぜかパニックにならない,というので,何かそれを支持する物質(見えない黒字と資産)があるはずだ,という《ダーク・マター》論への警戒.

ダーク・マターは,とんでもないブードゥー経済学の新品種である,と思いました.そう言えば,アメリカは昔から自国の赤字を見たくないので国際収支基準を作り変えてきたわけです.国際収支表の問題だ,というのは正しいでしょうが.