IPEの果樹園2005

今週のReview

11/14-11/19

IPEの種

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世界の英字紙HPからコラムを要約・紹介します.著作権は,それぞれ,元の著作権に従います.

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IPE方法論 :虐殺を裁く死者の記憶

安全保障 :「統合ドクトリン」

貿易・投資 :資本勘定自由化貿易自由化

通貨・金融 :ユーロからの離反

世界統治 :フランスの暴動反グローバリゼーションの愚か者20

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ただしFTFinancial Times, NYTNew York Times, WPWashington Post, LATLos Angeles Times, BGBoston Globe, IHTInternational Herald Tribune, JTJapan Times, CSMChristian Science Monitor


FT November 3 2005

The fallacy that nuclear energy will be our saviour

By Andrew Simms

The Guardian, Thursday November 3, 2005

It's not a blot - it's the future of energy

Jonathon Porritt

(コメント) Andrew Simmsは,地球温暖化や安全保障を理由として多くの政府が原子力発電所を建設することを真っ向から批判しています.温暖化対策として,原発は非常に効果が遅く,そのコストも大きすぎて,しかも制約が大きい.原発の廃棄物や再処理施設の問題はまったく解決のめども立たないからです.

温暖化ガスの排出を抑える効果の点で,多くの他のオプションがあり,原発はその最悪の部類に属する,とSimmsは書きます.ウランを精製する過程で,多大の二酸化炭素を排出します.純度の低い鉱石であれば,温暖化ガスは減らないでしょう.それは,他方で,雇用をほとんど生みません.

石油の輸入に依存するより,原発に依存するほうが安全だ,などと言えるでしょうか? 原料や廃棄物をどうするのか? 原発が事故を起こした場合のコストをどう考えるのか? たとえ2050年までに,1000ないし1500の大規模な原発を建設したとしても,世界のエネルギーの2%を供給するだけだ,と推定されます.チェルノブイリの原発事故がウクライナに与えた被害額は,1200億ドル以上ということです.

Jonathon Porrittは,風力をエネルギーとして利用することを支持します.風は,一般に思われている以上に,予測可能です.どこで,どれくらいの風が吹き,エネルギーを得られるかは予測できます.その規模も,分散した供給も,反風力運動によって間違って理解されている,と.


BG November 3, 2005

The lessons of Nuremberg

By Martha Minow and Margot Stern Strom

(コメント) 極東軍事裁判と比較される,ナチスの犯罪を裁いたニュルンベルグ裁判が60年前の今月始まったことに関する論説です.・・・

その後,大量虐殺に関してユーゴスラビアとルワンダが国際刑事裁判所を設け,シエラレオネが特別法廷を開いた.ウガンダでは国際刑事裁判所が初の逮捕状を出した.こうした考え方は,第二次世界大戦においてナチスの指導者たちが行った虐殺を告発し,処罰したときに,初めて,国際社会が示した.

大量虐殺が次の暴力や報復の悪循環を招かないように,法の支配をもたらすモデルを示した.虐殺の責任は,民族や国家にではなく,それに手を染めた個人に求めるべきである.また彼らを召喚し,証言させ,裁くことで,何が起こったのかについて,記録が残る.

国際法廷は,恐怖や弾圧によって沈黙を強いられていた人々に発言する場を与える.たとえば,スペインやイギリスの法廷は,ピノチェトの刑事免責を終わらせた.ユーゴスラビアやルワンダの国際法廷は,レイプを戦争犯罪に認めた.

しかし,問題も多い.国際法廷は犠牲者やその家族から余りにも離れており,多くの被害者を守れない.何より,エスニック紛争の中で行われる攻撃,その残虐性を抑えられなかった.次の惨劇の種が,しばしば,過去に蒔かれていた.

集団的な暴力や虐殺を防ぐためには,さらに多くの努力が必要だ.それは,新しい世代を,その希望を召喚することである.教育がそれを担うだろう.生徒たちは殺戮の前に民主主義が機能しなかったことを学ぶ.コミュニティーは盲目的な服従が危険であることを学ぶ.こうしたことを話し合うのは難しい.しかし,過去に正直に向き合って,批判的に理解することで,人々は学べるだろう.

質の高い市民教育は,優れたカリキュラム,教師,社会の支持を必要とする.過去のことを正しく学んだ新しい世代は,民主主義を強化し,スケープゴートを求める主張や,暴力の呼びかけに反対する.ニュルンベルグに関わった検察,ジャーナリスト,傍聴人たちは,今週,今行われている法廷の検察官たち,人権運動家,教育者,政治指導者たちと合流する.そして,法と教育によって,人間の尊厳を大量殺戮の後ではなく,その前に守れるかどうか,を話し合う.

「許すこと無しに,人間性は無い.しかし,正義が行われないなら,許すことはできない.人間性が無ければ,正義も無いのである.」

私は不安を感じます.極東軍事裁判と日本の教育は,その後の暴力を防げるでしょうか?


The Guardian, Thursday November 3, 2005

Europe needs memory as much as it needs jobs

Timothy Garton Ash

(コメント) All Saints' Day諸聖人の祝日には,Poznanの広場に人々が集まって,ポーランド人のすべての死者を追憶します.人々は花束と1万本のろうそくを持ち,どこからかコーラスが聞こえてくる.クリスマスのように美しい,忘れがたい光景だ,とTimothy Garton Ashは伝えます.

同じように,ヨーロッパの民族=国家を考えてみたい,とAshは望むのです.死者と生者,まだ生まれざる者が,共通の記憶,想像の共同体に住みます.1995年の調査では98%のポーランド人が,この日,墓地に向かいました.今ではDVDを聞く若者や,テスコに買い物に行く人もいるから,少し減ったかもしれないが,と.

ヨーロッパは,60年前に共同体を作ろうとした共通の記憶を失ってしまいました.ベルリンからポズナンへ,Ashは列車に乗って旅をしました.それは単に,ありふれた,退屈な風景です.しかし,もし歴史を知るものなら,そこにはおびただしい死者が積み重なっているのです.ドイツの征服に抗して戦ったポーランド人たちの死体.死の収容所に向かう途中で逃げようとしたユダヤ人たちの死体.赤軍に追われて西へ逃げようとしたドイツ人たちの死体.ベルリンに向かう途中で死んだ,それに劣らないほど多くのロシア人の死体.そこに見える家々は,すべて,何度も持ち手が変わったはずです.ベルリンの壁,鉄のカーテン,シュタージ(東ドイツの国家秘密警察),そして戒厳令.

もちろん,過度な追憶は個人に耐えられない苦しみを与えます.しかし,今や,多くの人々は現実の不満に支配されているのです.ドイツ人はポーランド人たちがドイツの雇用を奪っているとか,ポーランド人はドイツ企業が搾取しているとか.

だからこそ,人々には記憶が必要です.ブランデンブルグ門のそばにある,ホロコースト・メモリアル.それはコンクリートの柱がワン・ブロックを埋め尽くすものです.暗く,狭い,その間の道を歩いていると,大人たちは突然,かくれんぼをする子供たちにぶつかります.死者から生者へ.そしてまた死者へ.しばしば激しい論争が起きます.問題はいつも同じです.なぜ国家は,この悲劇を残して,他の悲劇は残さないのか? さまざまなグループが,自分たちこそ犠牲者である,と主張します.

Ashは,滞在したホテルthe Hotel Rzymski1941年にFranz Bohmerの建てたものだと知ります.その人物はヒトラーが派遣した建築家の一人でした.どこにでも,小さな,さまざまな記憶が積み重なっています.


City of fights The Guardian, Thursday November 3, 2005

Frustration in suburbia FT November 4 2005

Peggy Hollinger Sarkozy supports giving immigrants a vote in city polls FT November 4 2005

In Paris, Tough Talk Isn't Enough NYT November 4, 2005

(コメント) The Guardianの指摘は的確なものでした.

フランスの歴史において,怒った群集が街頭に繰り出したことは何度もあります.しかし,今回の騒動はもっと複雑です.事の発端は,パリ北東のClichy-sous-Boisで警察に追われていた二人の若者が感電死したことだと言われています.その後,投石,火炎瓶,そして乗用車に放火されました.こうした地区では失業率が高く,軽犯罪が多発し,警察には反感がもたれています.

豊かな大都市の周辺には,ゲットーと化した,灰色に染まった郊外があります.そこにはマグレブや西アフリカからの移民たちが,フランス社会に入れないまま下層階級にされています.彼らは絶望し,差別されているのです.(まるで中国の出稼ぎ労働者のようです.)

Nicolas Sarkozy内相など,政府の対応も失敗でした.右派の指導者として,de Villepinとともに,シラク大統領の後継候補ですが,その地位を利用して暴動に対する強硬姿勢を主張し,人気を高めたかったのではないか,と疑われています.他方,Sarkozyは,移民問題とその積極的な統合化について前向きの政策を支持する唯一の指導的な政治家です.しかし,極右の国民戦線を意識して,秩序回復に強硬姿勢を誇示しすぎるのではないか.ずけずけと物を言い,メディアに取り上げられることを好むSarkozyの言葉は,暴徒を「クズ」と呼び,彼らを「掃除してやる」と叫ぶことで,ますます事態を収拾不能にしています.

移民コミュニティーの年長者たちも,Sarkozy内相の言葉に対しては,若者を諭す雰囲気になりません.「寛容ゼロ政策」や催涙ガスの利用で,パリは革命には程遠いとしても,次第に醜い騒乱の場となりつつあります.

FTは,若者の非行や犯罪が増え,社会のタガが緩んでいる,という批判を受けてきたイギリスやオランダのような国に対して,より積極的な介入姿勢を取ってきたフランスの社会モデルは,今回の移民暴動で,その優れたモデルとしての幻影を完全に叩き潰された,と断定します.悲しいことですが,真実は,どの国も移民の同化や統合に成功していない,というわけです.

どの論説も,郊外に閉じ込められたアフリカ系の黒人を取り上げています.仕事がない,何の楽しみも無い,彼らの苦悩.(Pioreの世代間モデルが指摘したように,移民の子供たち決して,その不満や絶望を我慢しないでしょう.)

他方,政治家たちは権力争いのために,自分たちの失敗を認めようとせず,強硬策を主張し続けています.Sarkozyは移民社会の支持を期待できるから,意図的に強硬姿勢を取って,秩序の回復を訴えるのかもしれません.移民コミュニティーの過激派や不良分子を排除して,逆に穏健な移民たちの政治的役割を高めたい,と考えているかもしれません.すなわち,過激な聖職者を国外追放し,他方で,学校におけるヴェールの着用や,イスラム教徒の選挙団体を認め,地方政治レベルでEU内移民の投票を実現しようとしています.さらに,アメリカ型の積極的な是正策も必要だ,と主張し始めました.

さらにFTは,イギリスが行っているように,労働市場を通じて移民たちを統合化することを学ぶべきだ,と主張します.

Martin Arnold Residents point to anger behind riots FT November 5 2005

CRAIG S. SMITH Immigrant Rioting Flares in France for Ninth Night NYT November 5, 2005

The fires in France BG November 5, 2005

Martin Arnold Chirac pledges to halt riots FT November 6 2005

(コメント) 誰もがこのことを恐れていた,と言います.人々は恐れ,そして非常に怒っているのです.自動車は燃やされ,商店のガラスが割られています.子供もいるし,怖くて外に出たくない,と住民は言います.Nicolas Sarkozyは警察の予算を削って,貧しいコミュニティーとの関係が悪化した,という者もあります.その失敗を問われるのが嫌で,危機を誇張し,過剰な反応を示している,と.

アルジェリア出身のビジネスマンYazid Sabegは述べます.「若者たちは下層の烙印を押され,排除されたと感じている.彼らは本当の平等を求めているのだ.単に,法的な意味ではなく.」 そして,この長年にわたる「外国人嫌い・恐怖xenophobia」を解消するには,積極的な是正策しかない,と.企業の重役にも,ジャーナリストにも,マイノリティーはほとんどいない.下院にも上院にも,マイノリティーの出身者は一人もいないからです.

この数十年において最大規模の暴動です.ロシア政府やアメリカ政府は観光客に注意を促し,またフランスでは列車が暴動を回避するために減りました.それでもSarkozy内相は,近隣から「暗殺者ども」を一掃せよ,と叫んでいます.フランスでは以前から,失業と周辺化marginalizationに苦しむ,主に北アフリカのアラブ系移民たちの二世・三世が社会不安を引き起こし,Sarkozy内相の不寛容政策と対立していた,とNYTは伝えます.

「これはSarkozy内相と若者たちとの対決ゲームなのだ」とアラブ系住民は訴えます.彼が辞任するまで,事態は改善しないだろう,と.他方,Dominique de Villepin首相は若者たちと会合を持ち,貧しい地区の問題を解決する「行動計画」を立てたい,と述べました.また,Philippe Douste-Blazy外相は,郊外の暴動はフランス社会の統合を危機にさらすものだ,と言い,イスラム過激派が暴動を煽っている,と示唆しています.

しかし,13歳から15歳といった若者の暴動には,何の組織も政治的主張も見られません.彼らは近隣の住民すべてを怯えさせ,暴力を煽っています.「プレイステーションで遊ぶよりも,警官を襲撃するほうが面白いのだ」と,Aulnay の副市長Franck Cannarozzoは語ります.

フランスには多くのアラブ系イスラム教徒,アフリカ出身の黒人が住んでいます.彼らは,かつて工業化する都市の周辺に労働力として移住しました.しかしその後,経済は減速し,彼らの失業率は30%に達して,アメリカと同じような「インナー・シティ問題」になります.1980年代には労働移民の規制を強めましたが,非合法移民と難民が増加し続けています.さらに,ヨーロッパの社会統合と構造変化が移民の流入を強めている,と言われます.フランスは高齢化する一方で,周辺のアラブ諸国には10代の若者が多くいるからです.

「彼らは統合しろという.しかし私には理解できない.私は既にフランス人だ.これ以上何を求めるのか? (イスラム教徒に)酒を飲め,と言うのか?」 ・・・ 「ああ,確かに紙の上では私たちは平等だ.しかし,もしあなたの名前がムハマドであれば,たとえ良い教育を受けても,空港でポーターをするしかない.」

BGによれば,1973年の石油禁輸に際して,フランスのジスカール・デスタン元大統領は,西側が19世紀のツケを支払わされている,と述べたようです.それはヨーロッパによる植民地主義を意味したわけです.今また,そのツケを支払うのか? もちろん,そうではなく,これは彼らが新しく創り出した問題です.

200万人に及ぶ移民とその子孫たちが,フランス政治家と都市計画者たちの創り出した,都市の辺境に隔離されたthe ''banlieux"の住民となっています.この事実上のゲットー,見えざるアパルトヘイトが,犯罪組織の巣窟となり,イスラム過激派の温床となり,若者たちの憤懣と疎外感を生み出しているわけです.

シラク大統領は「アングロ・サクソン・モデル」を批判し,グローバリゼーションを憎んでいます.その光景を争う二人は,野党の分裂を良いことに,暴動でさえも政治的な駆け引きに利用する,と見られています.

Martin Arnold How the unrest spread FT November 7 2005

Dominique Moisi Why France is burning with fear and anger FT November 7 2005

Ask the experts: French riots FT November 7 2005

Naima Bouteldja Explosion in the suburbs The Guardian, Monday November 7, 2005

Liberty, equality, obstinacy LAT November 7, 2005

Niall Ferguson The fires of disintegration LAT November 7, 2005

(コメント) 1027日にパリ北東のClichy-sous-Boisで起きた10代の黒人の感電死から発生します.この事件に抗議する若者たちが,警察官や消防士に投石し始めました.翌日の抗議デモは静かに行われましたが,警察の身元確認を若者たちが嫌い,逃げるようになります.その後のデモに対して,警察は催涙ガスを使用.モスクの前で夕べの祈りが行われるときにも,若者たちに催涙ガスが使用されます.111日,暴動はClichy-sous-Boisの外の郊外にも拡大し,Sarkozy内相は彼らを社会の「クズ」と呼びます.・・・さらに多くの自動車に放火され,暴動が地方都市にも拡大・・・

かつて,1944年のパリ解放を描いて,映画が「パリは燃えているか?」と示しました.今は,「パリの郊外は燃えている」です.暴力的な怒りを示す若者たちを作ったのは,その孤独と排除です.彼らは自分たちを排除する(と感じる)この社会を破壊したいのだ,とDominique Moisiは考えます.誰も彼らの声を聞こうとしない.そこで破壊することが,彼らにメディアを向けさせると知ります.これは「クズ」呼ばわりする政府への復讐でもあります.どちらにしても,悲惨な,そして,非常に危険な幻想である,と.

これは,ヨーロッパの希望が,その恐怖に負ける政治的な転換点になるでしょう.ヨーロッパの恐怖とは,貧者の群れ,狂信者のテロ,ダイナミックな社会によって取り残されること,そして今や,自分たちの抱え込んだマイノリティーが発する憎しみと暴力から逃れられないことです.「繁栄の楽園」に来たと信じる彼らにとって,そこに自由も民主主義も無かったのです.彼らの多くは出自の社会における最良の,優れた素質を持った人々でした.

「より安全なヨーロッパ」を求める保守派が政治的な支持を集めるでしょう.しかし,アジアからの挑戦に直面するヨーロッパは,まさに「他者(移民たち)」のエネルギーを必要としているはずです.それとも再び互いにナショナリズムを競い合い,あるいは,植民地主義や新植民地主義への憎しみと怒りを浴びるのか? 愛国的な熱狂はサッカー場だけにして欲しい,とMoisiは願います.

それゆえ,彼ら,暴動の炎を駆け抜ける若者たちは,覚醒に向けてヨーロッパが見出すべき「21世紀のプロレタリア」かもしれません.

Dominique Moisi John Thornhillが読者からの質問に答えています.「これは1960年代のアメリカで起きた市民権運動なのか?」 「フランスの統合(同化)システムは失敗したのか?」 「その教訓もしくは解決策とは何か?」(何よりも,良い教育.そして,@弾力的な労働市場,A厳格な警察による治安回復,B移民たちの生活改善のために適正な公共施設の拡充.) 「貿易自由化による世界の貧困解消を妨げている,保護主義にこだわるフランスの姿勢と関係がある?」 「なぜフランスは積極的な是正策に反対するのか?」 「極右の増勢や,大統領選挙への影響は?」 「なぜフランスの福祉国家は移民たちに閉ざされているのか?」・・・

「暴動が起きないとしたら,そのほうが不思議である」と,反人種差別の社会運動家は主張します.「彼らは何一つ敬意を払われることなく,働く権利も,まともな住宅に住む権利も否定されているのだから.」 警察による暴力的な身元調査やSarkozy内相の暴言.「私たちはただ,彼らに嘘をつくのをやめて,自分たちがしてきたことを認め,謝罪してほしいのだ」と,イスラム教徒の若い女性は述べます.こうした永久に住む場所を求めている移民たちを受け入れるには,フランスの政治構造が転換しなければならない,と予想します.

LATは,ドーハ・ラウンドにおけるフランスの姿勢を,今回の暴動に結びつけています.またNiall Fergusonは,ロンドンで起きたテロと,パリの暴動を比較します.イギリス社会とフランス社会,どちらを取るか? 両国とも深刻な問題を抱えているが,間違いなく,フランスの問題の方が難しい,と.ブレアとサルコジ,どちらの発言や対応のほうが正しいのか? そして,アメリカとヨーロッパを比較します.

John Thornhill France plunges into ‘crisis of the political class’ FT November 8 2005

Integration and work FT November 8 2005

Learning from each other The Guardian, Tuesday November 8, 2005

Catherine Field The sickness in France's heart IHT TUESDAY, NOVEMBER 8, 2005

MARK LANDLER France Declares 12-Day State of Emergency to Curb Crisis NYT November 8, 2005

Fires in France WP Tuesday, November 8, 2005

Ehsan Ahrari Why Paris is burning Asia Times Online, Nov 8, 2005

(コメント) John Thornhillは,フランスの政治システムの欠陥と,現在のシラク大統領が権力を失ってしまったことを指摘します.これはパリの「インティファーダ」であり,フランス政府は「社会的な《原子爆弾》を製造している」という人々の声を伝えています.

FTも,フランンス社会は分断され,社会的エレベーターは故障したままだ,と批判します.他方で,これは経済不況の問題であり,経済政策や労働市場改革の問題です.政府はそれらを無視しており,問題を治安維持や警察力の増強に摩り替えてしまいます.

アメリカの1960年代,イギリスの1980年代,90年代にも,マイノリティーの暴動が政治問題となりました.そのとき,政府は原因究明を目指した委員会を設けて,人々の意見を集め,その問題を話し合わせました.アメリカのKerner,イギリスのScarmanによる調査委員会がそれです.政治家たちは指導力を発揮して,ダブル・スタンダードを廃し,社会の根本的な原因を解明することに,同様に,取り組むべきでしょう.

MARK LANDLERやWPは,アメリカ人から見たフランス人の傲慢さ,社会不安によるユーロの価値下落,アメリカのイラク占領を非難し続けた姿勢,この起源ともなったアルジェリアへの軍事介入の冷酷さ,などを痛快に指摘しています.ロサンゼルスやマイアミ,ニューオリンズの「無法ぶり」を軽蔑していたパリが,これはどうしたのかな?

Quentin Peel The alienated must be drawn in FT November 9 2005

A European melting pot? CSM November 09, 2005 edition

Jonathan Freedland France is clinging to an ideal that's been pickled into dogma The Guardian, Wednesday November 9, 2005

Agnes Poirier More liberty and equality The Guardian, Wednesday November 9, 2005

Simon Tisdall Europe faces 'fear of all things foreign' The Guardian, Wednesday November 9, 2005

William Pfaff A despairing cry for change IHT WEDNESDAY, NOVEMBER 9, 2005

Robert S. Leiken The roots of the riots LAT November 9, 2005

Max Boot Fires illuminate Europe's problems LAT November 9, 2005

OLIVIER ROY Get French or Die Trying NYT November 9, 2005

ANTOINE AUDOUARD The Revolt of Ennui NYT November 9, 2005

David Ignatius Why France Is Burning WP Wednesday, November 9, 2005

Jim Hoagland French Lessons WP Wednesday, November 9, 2005

Anne Applebaum 'But, What Country Is This?' WP Wednesday, November 9, 2005

(コメント) グローバリゼーションを否定し,WTOの貿易自由化を否定し,EU憲章を否定したパリの異常さが,とうとう,マイノリティーの暴動を招いたのではないか? もし開放的なEUがグローバリゼーションに依拠して成長を模索するとすれば,移民とその子孫たちはヨーロッパの誇りになるはずです.もっとアメリカ的な,文化の融合,ヨーロッパ型のメルティング・ポットを目指すべきではないのか? アメリカン・ドリームは,アメリカだけにとどまらず,海を越えて広がるものかもしれません.たとえば,ヨーロッパからの移民,アーノルド・シュワルツネッガーがカリフォルニア知事になり,憲法を改正して大統領候補にもするべきだ,とアメリカ人が言うように.

David Ignatius は書きます.1970年代後半,作家のJames Baldwinシリアの友人に,アメリカに帰りたい,と言いました.なぜか? アメリカ人は「民族の悪魔」を抑える方法を見つけたが,フランス人やその他のヨーロッパでは,そんな問題はない,というふりをする.しかし,いつか爆発するしかない,と.

1963年の予言的な小説"The Fire Next Time"が示したように,ワッツやニューアーク,そしてマーチン・ルーサー・キングJr.が死んだ際にも,大規模な暴動が起きました.当時,民族の憎しみを煽るGeorge Wallaceのような政治家もいましたが,アメリカ社会は徐々に,火炎瓶を投げる黒人青年たちの怒りに対しても,彼らにもっと機会を与えるべきだ,という合意に達します.裁判所が積極的な是正策を命じ,今ではあらゆる領域で支配的な地位にアフリカ系アメリカ人を見ることができます.

他方,フランス革命が掲げた「自由,平等,友愛」を熱烈に支持する人々が,その社会の中に無視された者がいることを気にしません.フランスの教育制度は,エリートたちのために積極的な隔離を行うものだ,とIgnatius 批判します.

Matthew Lynn France's Rioters Reveal Social, Economic Sloth Nov. 10 (Bloomberg)

Jason Lim Europe's burning issue of assimilation BG November 10, 2005

Timothy Garton Ash This is not only a French crisis - all of Europe must heed the flames The Guardian, Thursday November 10, 2005

DAVID BROOKS Gangsta, in French NYT November 10, 2005

Helena Cobban Europe needs its immigrants CSM November 10, 2005 edition

Theodore Dalrymple France Riot of passage The Asian Age, 11 November 2005


Respecting Latin America LAT November 4, 2005

Naomi Klein The day George Bush came face to face with Latin America's revolt The Guardian, Saturday November 5, 2005

Free Trade Begins at Home NYT November 5, 2005

LARRY ROHTER and ELISABETH BUMILLER Protesters Riot as Bush Attends 34-Nation Talks NYT November 5, 2005

Latin declension FT November 8 2005

JOHN TIERNEY The Idiots Abroad NYT November 8, 2005

Eugene Robinson Fracaso in Argentina WP Tuesday, November 8, 2005

Wooden on wood BG November 9, 2005

(コメント) ブッシュ氏は,ラテン・アメリカの反米主義,反グローバリゼーション運動にも手を焼いています.アルゼンチンのリゾート地Mar del Plataで開かれた南北アメリカ・サミットにおいて,「ファシスト」「子殺し」「虐殺を好むけだもの」・・・といったプラカードがブッシュ氏を迎えます.

ブッシュ氏はチャベス大統領の「自由貿易」をめぐる公開討論の呼びかけに応じませんでした.しかし,既にその結果は明らかだ,とNaomi Kleinは考えます.コロンビアからボリビアまで,アメリカの主張する自由貿易圏は支持を得られず,ますますチャベスや各地の反政府・反市場ゲリラ運動が活性化しているからです.

しかしLATは,そのような自由市場への悲観主義,反米運動などを,明確な論旨で一蹴しています.すなわち,ラテン・アメリカ諸国との関係は健全な成熟化を示している,と.民主主義においては意見の対立が常に起きています.FTAAやイラク戦争について,各国はアメリカの考え方に反対しますが,それでも,互いに建設的な関係を維持しようと考えます.不平等の拡大や犯罪,腐敗の蔓延など,ラテン・アメリカが抱える深刻な問題を改善するためには,魔法の杖ではなく,「民主主義」と「法の支配」が重要である,とアメリカ政府は説き続けるでしょう.

ブラジル政府がFTAAに対する反対運動や,裕福な諸国に対する自由化交渉の反対派を組織するとしても,アメリカ政府はブラジルが基本的には市場に依拠して発展を模索することを歓迎します.ラテン・アメリカにも成熟した「エンゲイジメント政策」が有効になるでしょう.そして互いに,敬意をもって意見を戦わすことです.

JOHN TIERNEY は,この不本意な出迎えを理解できないと思ったら,ブッシュ氏は"Guide to the Perfect Latin American Idiot"というベストセラーを読み,Diego Maradonaの言動を知るべきだ,と書きます.つまり,ラテン・アメリカの特産品とも言える「大ばか者たちIdiots」を理解することです.マラドーナは,アルゼンチンのスター選手として名声を得た後,スペインやイタリアでプレーしました.アラブ産油国でも,4大陸をまたぐ契約でも,彼は王族や多国籍企業から巨万の富を得ています.それでもなお,南北アメリカ・サミットではチャベスと一緒に,ブッシュやグローバリゼーションを非難し,大好きなカストロを真似て葉巻を吹かしました.


The Asian Age, 5 November 2005

Summit Rhetoric Soars While Economy Sinks

- By Jeffrey E. Garten

Nov. 9 (Bloomberg)

Goodbye Obsolete G-7, Meet the Relevant G-20

William Pesek Jr.

(コメント) グローバリストのJeffrey E. Gartenは,世界的な指導力が欠けていることを憂慮します.その結果として,各地域においてさまざまなサミットが開かれていますが,サミットの中身はばらばらです.国際機関も無力です.世界経済を指導するべきG8の次回議長は,改革への意志が無いロシアのプーチン氏です.今,香港で準備されているドーハ・ラウンドの交渉が,もし保護主義に流れるなら,貿易ならびに金融危機の舞台が整うだろう,とGartenは警告します.

他方,William Pesek Jr.は,既に時代遅れとなったG7もしくはG8(ロシアを加えた!)ではなく,オーストラリアの外相は中国を訪問した際,彼ら(中国の人口やオーストラリアの土地と資源!)がもっと発言できるG20を国際交渉の中心にするべきだ,と主張しました.世界市場の需要であれ,安全保障や通貨危機であれ,もはやG7の外に重要な世界的関心があるのです.


Steve Mackrell Steel, the 'new textiles' for China Asia Times Online, Nov 5, 2005

Minxin Pei China pays price of rising social unrest FT November 6 2005

Francesco Sisci Democracy with Chinese characteristics Asia Times Online, Nov 8, 2005

David Willetts Why China stands to grow old before it gets rich FT November 9 2005

The substance and the ceremony The Guardian, Wednesday November 9, 2005

THOMAS L. FRIEDMAN How to Look at China NYT November 9, 2005

Anastasia Liu China's migrant worker pool dries up Asia Times Online, Nov 10, 2005

(コメント) 中国をめぐる論説です.繊維の次は安価な鉄鋼が世界市場にあふれるかもしれません.さまざまな土地紛争や労働争議が起きています.そして,政府は「中国型民主主義」を模索します.中国における高齢化と成長減速は待ってくれません.さらに,

ジェンダーのバランスはその社会の価値を作り変える.もし男性が多くなれば,彼らの交渉力は弱まり,妻を得るためにより慎重に振舞い,激しい仕事にも耐えるだろう.もし女性が多くなれば,彼女たちの交渉力が弱まり,男性は無責任で不器用になる.

THOMAS L. FRIEDMANは,中国は表面的には冷静であるが,その内部において沸騰している,と考えます.では,どこで沸騰しているのか? もはや学生たちが集まった北京の天安門ではありません.彼らはMBAを取って多国籍企業に勤め,裕福になることに夢中です.むしろ,揚子江のダム建設現場が新しい焦点です.そこにはダム建設のために農地や住宅を奪われた農民たちが集まっています.彼らは成長の正当な分配を得ていないと確信し,次第に実力を行使し,法にも訴えるようになりました.

中国の各地で,同様に,成長に参加できなかった農民たちが抗議の声を挙げています.政府の記録でも,1993年に1万件であった社会紛争が,昨年は7万4000件に増えました.政府は,司法システムを整備して,彼らの不満に応えねばならないことを知っています.今回の中国社会の沸騰は,前回,天安門に戦車を送ったようには解決できません.農民たち,国際的なNGO,地域の組織,そして共産党の強硬手段,などが絡み合っています.

中国政府が「調和的社会」の建設を次期5カ年計画の中心に据えたのは当然です.「彼らの成功を心から祈る.われわれが吸う大気も,われわれが着る服も,われわれの住宅債券さえも,中国がそれに成功するかどうかにかかっているのだから.」


FT November 6 2005

Lex: Capital accounts

(コメント) 資本勘定自由化をめぐる論争はどうなったのでしょうか?

自由な資本移動は,特に,健全な金融システムを欠いている場合,突然の資本流出による通貨・金融危機を引き起こしたり,資本流入による為替レートの増価,もしくはインフレ,バブルを引き起こしたりします.その際,新興経済の中央銀行は不胎化介入を行いますが,そのコストは高く,困難が伴います(それゆえ投機家に狙われる).IMFの最近のレポートは,新興経済に過度の外貨準備を証券化するように勧めています.

不胎化介入で得た外貨を証券化することによって,各国は外貨準備の保有水準を自主的に決め,それを超えて中央銀行が得た外貨はいくつかの民間投資信託にして外国の国債や株式などを購入します.そして,それらが発行する証券を国内投資家に売るわけです.中央銀行は不胎化介入のコストを免れ,このファンドを通じて資本流出も抑制できます.

しかし,こうしたファンドも,新興経済の内に生じるバブルや金融不安は防げません.


WP Monday, November 7, 2005

What Are We Holding Together?

Peter W. Galbraith

(コメント) Peter W. Galbraithは,1991年のユーゴスラビア分裂とイラクを比較します.たとえイラク戦争を始めたときにブッシュ氏がイラク分割を目標にしていなかったとしても,それは避けられない,と.軍隊,治安維持,バース党を解体したことで,もはや少数派のスンニー派がイラクという国を支配する制度が失われたからです.新しい憲法は,この事実を追認しただけです.クルド人,シーア派,スンニー派は,一つの国を構成するための価値や将来の目標を共有していません.だから,アメリカ政府はイラクの分割を阻止するのではなく,むしろ内戦を回避することだけに努めるのが正しい,と主張します.


NYT November 7, 2005

Pride, Prejudice, Insurance

By PAUL KRUGMAN

(コメント) 多くの企業が労働者の年金や医療保険を削って,債務を免れ,経営を立て直し,利益を上げようとします.国民的な医療保険制度が必要であることを無視し続けるアメリカの政治を,PAUL KRUGMANは批判します.他国から学ぶものなど無い,というプライド.民間でやる方が政府よりも効率的だ,という偏見.


Asia Times Online, Nov 8, 2005

US-China textile breakthrough

By David M Lenard

FT November 9 2005

EU and Brazil blame each other on trade

By Frances Williams in Geneva

FT November 9 2005

Challenge the EU by making trade offers

NYT November 9, 2005

Mountains of Corn and a Sea of Farm Subsidies

By ALEXEI BARRIONUEVO

NYT November 9, 2005

A Return to Quotas

By JAMES KANTER and KEITH BRADSHER

The American Prospect 11.09.05

Free Trade No Further

By Robert B. Reich

Asia Times Online, Nov 11, 2005

A 'win-win' textile deal - especially for the US

By Emad Mekay

(コメント) 繊維製品については中国が,農産物自由化・補助金削減についてはEU,またトウモロコシや牛肉ではアメリカやブラジルが,交渉の行方を握っているようです.イギリス,オーストラリアなども,重要な役割を果たすでしょう.しかし,日本はここでもまったく存在しません.市場の規模が小さいからではなく,政治が機能していないからでしょう.日本の農民も,納税者も,めったに暴動を起こしません.

補助金,先物市場,原油高,債務などを経て,農家の負担はアメリカ政治を動かします.これは,繊維製品も含めた,多角的な市場割当制もしくは(セーフガード型の)輸入増加率制限制度に向かうのでしょうか? おそらく,その犠牲者は貧しい小国になるでしょう.補助金による安価な輸入条件を失い,限られた輸出市場で中国と競争して負け,輸出品の割当を得るために交渉する力も無いからです.彼らがWTOを支持するようになる?

Robert B. Reichは,経済学が教えるようには事が運ばない,と指摘します.貿易は望ましい.市場は素晴らしい.だから自由貿易だ,NAFTAだ,CAFTAも,とアメリカは主張してきました.しかし,貿易の利益は一部の地主,大企業,金持ちに支配され,零細農民や商人,庶民にまで行き渡らないのです.発展途上諸国では,貿易の利益を得た者が,累進課税を負担して,教育や医療,社会保障による再分配を行う政府を好みません.

自由貿易や市場自由化だけでは,人々が豊かになるとは言えません.アメリカも,発展途上国と同じく,自由貿易やNAFTAを賞賛するより,失った者に社会保障と雇用機会を与えなければならない,と.


Nov. 8 (Bloomberg)

Eastern Europe Is Right to Backpedal on the Euro

Matthew Lynn

(コメント) イギリス,スウェーデン,デンマークは,1999年,ユーロ誕生時に加盟しませんでした.東欧の新加盟諸国は喜んでユーロを採用するはずでしたが,次第に反対意見が強まっています.ユーロを支持したのは,@財政赤字の制限がある,AEU加盟国としての姿勢を確実にする,B資産市場を安定した世界通貨で示して投資を招き寄せる,と考えたからです.基本的に通貨の不安定化を避け,投資を促すものでした.

しかし,その後,東欧諸国のインフラを整備する公共投資はますます必要になり,資本市場もこれを支持しています.彼らにとってEUの政策はデフレに偏り,経済停滞の仲間入りをするより,むしろ独自通貨で成長することの方が海外からも投資を誘致できる,というわけです.


NYT November 8, 2005

Is There a Doctrine in the House?

By RICHARD N. HAASS

(コメント) 中国の台頭,インドの登場,日本の独自姿勢,ヨーロッパの漂流,ロシアの転落に対応し,テロリスト,北朝鮮,イランに核兵器が拡散する危険を取り除く,・・・ 多くの困難な選択に直面するアメリカ政府に,外交政策の根本原則はあるのか? いわゆる「ブッシュ・ドクトリン」は一貫したものではなく,テロ撲滅,先制(もしくは予防)攻撃,一方(単独行動)主義,民主主義の促進,などを使い分けてきました.

それは「統合Integration」である,とRICHARD N. HAASSは,優れた,説得的な議論を展開しています.すなわち,われわれは世界の主要国(大国)と協力し,効果的な国際制度の整備・運営と,集合的な行動を組織したい,と主張することです.この枠組みに参加する諸国は,安全を満たされ,経済的な機会を得て,政治的な自由も実現できるでしょう.そして,そのことが国際的な規範に背く「悪党国家」にも,その行動様式の修正を迫るはずだ,と.アメリカの外交政策は,新しい現実を踏まえた柔軟性と,一貫したドクトリンを求めています.


JT Wednesday, November 9, 2005

The politics of assigning a nuclear carrier to Japan

By RICHARD HALLORAN

(コメント) 日本政府が積極的に原子力空母の基地を提供し,事実上,核兵器の持込と配備を容認する姿勢を見せたことは,戦後秩序の大幅な転換を意味する,と注意しています.アメリカにとっても,それは重要な決定です.危機が起きたとき,ホワイト・ハウスが最初にする質問は,「空母はどこだ?」 というものです.

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The Economist, October 29th 2005

What’s to stop India and China?

China’s banking industry: A great banking gamble

Reform in India: Democracy’s drawbacks

The Federal Reserve: Big Ben strikes gold

Federal Reserve: Betting on Ben

New Orleans comes back: A Stonehenge of smelly fridges

French protectionism: Fearful Fortress France

(コメント) 中国とインドの成長は何によって阻まれるだろうか? 中国の銀行業は改革できるのか? FRBのバーナンキ議長が誕生すれば何が変わるか? 外にあるものは何でも嫌うフランスの保護主義が目指すものは何か?

しかし,どの記事よりも面白かったのは,ストーンヘンジのように並ぶ,ニューオリンズの冷蔵庫群です.

「住民たちが戻ってみると,そこに現れたのは廃棄された冷蔵庫の町であった.人々がカトリーナから逃れるとき,数日で戻れると思っていたし,電力が断たれるとは思わなかった.ところが,数週間後に戻って,彼らが見た冷蔵庫の中は,アイス・ボックスにウジ虫が一杯,チキンは腐り切っていた.悪臭を放つ白いビヒモスに,黒いマジックでスローガンを書きなぐる.「ジョージ・W・ブッシュに届けろ!」という政治的なものもあれば,「ハリー・ポッターと悪臭の要塞」といったふざけた言葉も.」