IPEの果樹園2004
今週のReview
7/26-7/31
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世界の英字紙からコラムを紹介します.私が選んだ論説の内容を,かなり自由に要約し(全訳に近いものもあります),そこには自分の意見も含まれています.利用する場合は,それぞれの出典を自分で確認してください.なお著作権は,それぞれ,元の著作権に従うものと考えます.
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三つだけ推奨するとしたら?
1. EUの政策協調を求めて :安定協定に欠けていたもの
2. アメリカ政治 :民主党は間違っている?
3. 二つの帝国主義(1),(2) :帝国主義の二つの起源
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ただしFT:Financial Times, NYT:New York Times, WP:Washington Post, LAT:Los Angeles Times, BG:Boston Globe, ST:Straits Times, IHT:International Herald Tribune
The Guardian, Thursday July 15, 2004
A cloud over civilisation
JK Galbraith
(コメント) かつてケネディー政権を支え,長く,軍隊や巨大企業にアメリカ政府が従う傾向を批判してきたJ.K.ガルブレイスは,イラク戦争にも同じものを見ています.
「第二次世界大戦の末期に,私はアメリカ戦略爆撃の全体的効果を調査する委員長であった.多くの経済スタッフを率いて,ドイツへの爆撃の産業および軍事的な効果を評価した.ドイツ産業,運輸,都市への爆撃の効果ははなはだ期待はずれなものであった.ボール・ベアリングのような重要な部品を作る工場に対する攻撃や,飛行機工場への攻撃でさえ,悲しいことに無駄であった.工場や機械は運び出され,より厳しい管理によって,攻撃機の生産は実際に1944年前は,主要な爆撃の後で,増加していた.都市では,空からの無差別な残虐さと死が戦時生産や戦争そのものに目に見えるほどの効果を何らもたらさなかった.
こうした発見は連合軍,特に空軍の司令官から激しく抗議された.たとえそれが多くの有能な研究者,ドイツの産業省職員,完璧な統計,さらにドイツ軍の生産指揮官アルベルト・シュペーアによって支持されても.われわれの結論は無視され,空軍司令部の政府や学会の仲間たちが揃って私のハーヴァード大学教授指名を1年遅らせた.」
ガルブレイスが強く批判するのは,アメリカ政府の外交や予算が,軍隊や兵器産業の私的利害によって支配されてしまうことです.
「現代企業における権力は,当然,政治や政府にも及ぶ.資本主義が公然と拡大するところでは,企業の経営が支配するようになる.アメリカでは,企業経営者たちが大統領,副大統領,国防長官と非常に親密な同盟を結ぶ.主要企業の重役は連邦政府のいたるところに重要なポストにつく.エンロンが破産すれば,軍の管理者に移る,という具合だ.」
文明は,科学や医療,芸術,そして経済福祉の点で,大きな進歩を遂げました.しかし,同時に,武器の開発と戦争をともなったのです.大量虐殺は,文明が成し遂げた究極の目標です.経済的・社会的問題には,必ず解決策があります.これまで常にそうであったように,戦争は人類の重大な失敗です.
LAT July 15, 2004
Sailing Toward a Storm in China
By Chalmers Johnson
(コメント) 「サマー・パルス作戦」を計画したアメリカのネオコンや国防総省の強硬派に対して,Johnsonは警告しています.その規模は,平時において考えられないほどの,仮想的な「ノルマンディー上陸作戦」です.これは,議会が支持したわけでもなく,アメリカの重要な外交政策がネオコンら軍事関係者に支配されている証拠です.選挙の年に中国との紛争を煽ることは,ネオコンにとって国民が最後に熱狂するテーマなのです.これに対して中国が黙っているはずがありません.海軍と空軍,それに地上に設置されたミサイルでは,今回のアメリカ軍に対抗できません.
もしアメリカの軍人たちが中国との戦争を始めることに成功したら,中国の市場自由化は終わり,軍事的強硬派の政府が成立し,アメリカ企業は破産し,日本は中国との戦争について国論が分裂し,戦争に負けるでしょう.アメリカは,その後もアメリカは,この地上最大の人口をもつ国と,継続的な敵対関係を続ける,と.
すでに台湾の総統選挙前に,中国はミサイルを発射して独立派を威嚇しました.Johnsonは,国防総省や台湾の強硬派を黙らせるべきだ,と考えます.
FT July 16 2004
Japan's icon loses his lustre
By David Ibison
FT July 18 2004
Size is not the answer for Japan's banks
By Anil Kashyap
(コメント) 小泉首相の参院選敗北と「驕り」の分析は,FTと言えども,日本については独自な深い理解を築けていないな,という印象を与えます.
Kashyapは,メガ・バンク誕生に対するアメリカの常識的な見方でしょう.すなわち,銀行の規模がその問題を解決するわけではない,と.直接の原因が資本強化できないことであっても,その源は「ゾンビ企業」の延命という伝統的な経営体質です.それが三菱東京と合併して,新しい経営方針を体現できるのか? と言えば,通常,企業文化の刷新や組織の改変は容易ではないのです.
4つの結論を示します.@規模だけでなく,実際に,不良債権処理をすることができるか? Aビジネス・モデルを刷新することで,世界のメガ・バンクと競争できるか? B特に東京圏で,大幅なコスト・カット,店舗・人員の整理ができるか? C過去の例から見て,新しいメガ・バンクの成功はあまり望みが無い,と.深刻な構造問題を抱えている組織が,その規模を拡大しても,解決には向かいません.
LAT July 16, 2004
An Opening for Bolivia
NYT July 17, 2004
Bolivia's Pipeline Dreams
(コメント) 貧しい,分断化された社会,少数民族の反抗,不安定な政治などを継承してきたボリビアで,天然ガスが採掘されます.貧しい人々は,繰り返し蜂起して,腐敗した政府を交代させました.しかし,これだけでは社会・政治問題が改善されたとは言えません.今度こそ,これをボリビアの発展につなげるチャンスとして,改革を実現できるでしょうか?
資源からの富を,国民の長期的な発展,特に,貧困解消と教育のために使い,政治的な指導者を民主的に決める,というのが,国民投票にかけられる今の改革の要点です.ガスを輸出するためには,チリ,ペルー.ブラジルといった周辺諸国の協力が必要です.特に,チリはボリビアとの歴史的な紛争を処理し,太平洋にいたる輸送路を確保してやるべきですし,ブラジルはその改革の最も急進的な要素である民主的な意思決定手続きを尊重させ,政治的な決意を確かなものにするよう監視するでしょう.またアメリカは,特に南米における麻薬取引を取り締まり,コカの栽培以外に生活の糧を得る方法があることを貧しい住民たちに示してやらねばなりません.
NYTの記事に拠れば,この問題は反グローバリゼーションの言説が,辺境の貧しい民に市場や外国企業に対する反発と憎しみを煽ることで,その社会・政治問題の解決をいかに妨げるか,ということになります.彼らは,IMFの安定化政策に反対し,多国籍企業との契約に反対し,歴史的な敵対国であるチリとの和解に反対します.
そこで,年に5億ドルの天然ガス輸出を確保するため,新しいMesa大統領は,反対する少数民族・インディオたちを説得するため,国民投票で認めてもらうことにしました.しかし,その中には,価格はボリビアだけが一方的に決める,といった,さまざまな国民への配慮と市場自由化との非現実的妥協が含まれているようです.それでも,この資源からの収入を公表し,国民に監視させることができれば,生活水準の改善が可能になるでしょう.他方,それを拒むだけでは,少数民族の暮らしを改善する見込みはありません.
NYT July 16, 2004
Medical Class Warfare
By PAUL KRUGMAN
(コメント) 医療保険制度について,KRUGMANはブッシュとケリーを比較します.そして,もしこのままの傾向が続けば,三人に一人の労働者が医療保険を持たなくなる,と警告します.アメリカ人は家族の医療保険を失うことを非常に恐れます.
医療保障の対象にならない低・中所得労働者に対して,ブッシュ政権がまず行ったことは,減税して保険証書の購入を助けたことです.この政策によって,ある推計で,2002年に4400万人であった非保険の労働者を,180万人だけ減らした,と言われます.つまり,目立った効果はありませんでした.これに比べて,ケリーの提案に対する独立の評価では,2670万人が保障を得る,と推定しています.
ブッシュの計画でもう一つの重要な要素は,「健康保険用貯蓄勘定」です.ブッシュ政権は,昨年,処方箋薬に保険を拡大しましたが,メディケアと無関係な多くの項目を認めました.それを所得から特別勘定で減税対象とするわけです.これは,「保険の無い家族を助けるため」と称しながら,彼らの必要など満たしません.医療保険を失うような家族は,既に低所得で,減税による利益など無いのです.他方,税率の高い高額所得者ほど,この特別勘定は大きな減税をもたらします.すなわち,この政策は医療保険を解決するものではなく,富裕層への新たな減税策なのです.
むしろ,この勘定によって,保険に入れない家族は増えるでしょう.なぜなら,この政策により,退職者の保険や,被雇用者の保険支払を,企業が嫌がる結果となるからです.企業は,被雇用者の誰に対しても同じ減税措置があるから,一括して保険契約と支払を引き受けるのです.もし特別勘定が利用できるなら,減税額の大きな高所得者が団体契約から抜けてしないます.そして企業は,残った被雇用者に対する保険契約による支払額があまり減らず,加入者一人当りの負担額を増やすか,団体契約を止めてしまうでしょう.
その差は明らかです.ケリーは20万ドル以上の高額所得者に対する減税を廃止し,それによって社会保障の対象者を増やすのです.
FT July 17 2004
Work, work, work
(コメント) 労働時間短縮という歴史的な目標は逆転したのか? 「8時間働き,8時間休む.そして8時間は自分たちの思いのままに!」と,かつてAFLは要求しました.週35時間労働を法に謳ったフランスや,それを守る労使慣行のあったドイツで,労働時間の延長を認める事例が増え,労働時間延長への規範が現れたことに,FTはケインズの考察を想起します.
ケインズは,私たちの孫の世界には,経済成長が進んで「経済問題」がなくなってしまう,と予想しました.生きるために働くのではなく,レジャーや富裕を楽しむ時代となり,富を得るための労働は嫌われ,野のゆりや物事を楽しめる人が賞賛される,と予想しました.ところが,現代は再び「働け,働け!」の時代です.オフィスを離れたがらない「ワーカホリック」の人々.ラップトップ・コンピューターや携帯電話が仕事を私生活に持ち込みます.グローバリゼーションは世界中の労働者を競争の渦に投げ込みました.
しかし,労働時間短縮の歴史的流れは続きます.19世紀初頭には週に70時間働きましたが,100年前には50時間に減少しました.それでもわれわれが労働強化を感じるのは,仕事のストレスが強まったからだ,とFTは指摘します.人々は生活するだけでなく,成功するために働き,以前よりもはるかに密集して競争しています.より多くの人々が疲れ果てたと感じるのです.
ユートピアへの道は,失われたのではなく,単に,もう少し時間がかかるとわかったに過ぎない,とFTは言います.しかし,労働強化を避ける道は,まだ誰も予測できないようです.
LAT July 17, 2004
Petty Politics in Yosemite
NYT July 17, 2004
Presidents for Gun Control
(コメント) 政治が関与するのは,選挙や予算に限りません.ヨセミテ国立公園の小さな記念館を移設する問題や,アメリカの重火器規制問題について,決定を支配するのは政治です.ただし,前者はもっぱら環境保護団体,シエラ・クラブの内部で扱われ,後者はブッシュ政権がアメリカ大統領選挙で扱います.
FT July 18 2004
Wolfgang Munchau: Europe's chance for a new start
By Wolfgang Munchau
先週,欧州裁判所は,事実上,安定協定を停止させた.それはEU内で経済政策を協調する一揃いのルールであった.ヨーロッパ委員会は,法律の求める手続きに関して勝利しただけであった.これはそれ自体で重要である.しかし,判決が経済政策にとって本当に重要な部分は,ヨーロッパの財務大臣たちが実際に何でも好きなことができるという主張だ.彼らはルールを適用しても,しなくても良かった.結局,安定協定は内部の法的・経済的な矛盾により崩壊した.
協定の問題は,弾力性が足りなかったのではない.それは可能と思えた以上に多くの弾力性を発揮した.むしろ真の問題は,マーストリヒト条約で恣意的に決められた目標に固執して,政策協調が制限されたことだ.条約では,債務の長期的な維持可能性ではなく,財政赤字をGDPの3%以内に抑えるという目標を示した.しかし,これも最悪の点ではなかった.政策協調の問題とは,マクロとミクロの協調が欠けていることや,財政赤字と構造改革との協調が欠けていることであった.また,財政政策と通貨政策との協調も欠けていた.すなわち,ECBの政策決定に関わる問題だ.
裁判所の判断は,ユーロ圏に政策協調の見直しを図るチャンスとなる.それこそ,ルクセンブルク首相のJean-Claude Junckerが直面する最重要の課題だ.彼らユーロ・グループ,単一通貨財務大臣会議の最初の長期指導者である.
ECBの高官に政策協調のことを尋ねると,彼らは神経質になる.ある高官によれば,財政・通貨政策協調の問題とは,ECBがいつも協調できるのに,各国政府は協調できない,ということだ.それはやり方による.たとえば,特定の改革の成果として,通貨政策の変更を約束できるだろう.現時点で,協調とは罰金の回避を意味する.むしろ,協調にプラスの誘因を与える方が良いだろう.
各国政府は今のところ独自に模索している.しかし,改革は有権者の間で非常に嫌われている.ドイツのシュレーダー首相の人気は今までになく低い.労働市場の改革を進めて,彼は何も得られなかった.ECBは答えてくれない(金利を下げない)し,イタリアやフランスの政府も何もしない.彼らは自国の改革を加速しようとしない.
もし,ドイツと一緒に,イタリアが労働市場の改革を約束すれば,また,フランスは一層の民営化と自由化を約束すれば,どれほど有意義であっただろうか.これによってECBは通貨政策により多くの余地を得ただろう.政策協調とは,他者にその意に反することを強制することではなく,互いに敗者となる状況を,互いが勝者となれる状況に変えることなのだ.
ヨーロッパにおける労働時間延長の論争は,政策協調のもう一つの例である.ドイツにおいて,次々に,企業が産業ごとの賃金協約から離脱し,労働時間を週35時間から40時間かそれ以上に延長することを求めている.もし長時間労働の流れが定着すれば,私はそうなると思うが,ユーロ圏のマクロ経済は名目賃金の低下を経験するだろう.それが極端に進めば,1990年代に日本で起きたように,デフレへと向かう.
ドイツの労働市場で起きていることは,通貨政策だけでなく,他国の労働市場政策にも重要な意味を持つ.フランスのNicolas Sarkozy経済大臣が激怒したように,ドイツのBosch社はフランス工場で週35時間の決まりを破ろうとした.
経済大臣として,Sarkozy氏は,政治家たちがますます何もできないと思い始めたこの世界を変えることが自分の使命である,と考えただろう.自国経済の規制緩和や労働・製品市場の自由化により,何かができるという政治家は多い.しかし,Sarkozy氏ほどの資質に恵まれた政治家でも,ドイツ人やイタリア人と協調して,成長,雇用,安定性を実現する方が容易であろう.
安定協定の死は,彼や他の政治家たちに新しいスタートを提供した.この機会をつかむべきだ.
FT July 18 2004
Garment industry faces a global shake-up
By Guy de Jonquieres
(コメント) すでに10年前のウルグアイ・ラウンドで合意されたことに従い,多角繊維協定(MFA)が本年末に完全に撤廃されます.そうなれば,世界に何が起こるでしょうか? 生産や投資,貿易のパターンが大きく変化するでしょう.それは深刻な社会・政治問題の始まりです.その影響を,繊維産業の規模から想像してみることです.
l 世界で少なくとも4000万人を雇用している.特に貧しい国や地域に多い.
l しかし,その貿易額は3500億ドルでしかない.
l 30カ国以上が数量割当に従っている.
l IMF・世銀の推定では,関税を撤廃すれば,1370億ドルの世界所得が増える.
l 割当を撤廃すれば,第一に大きな利益を受けるのが中国,第二にインドである.
l バングラデシュなど,衣服・繊維製品の輸出に頼っている国ほど,世界競争の激化から大きな経済的影響を被るだろう.
l アメリカの輸入相手国は,今日の50カ国から,2007年までに5ないし7カ国に減少する.
もし割当が無くなれば,衣服・繊維産業は多くの国で消滅し,もっぱら中国へ,そして一部はインドや,ほんの数カ国へ集中するのではないか? と恐れられています.輸入国も,多くの貧しい発展途上諸国も,この産業に依存している地域ほど不安を強めているのです.もう一度,MFAを延長して,緩やかな調整を求める声が,生産国でも消費国でも強まっています.しかし,WTOの合意を回避できないEUやアメリカは関心を示しませんし,148ヶ国が再びWTOの下で合意することは不可能です.
1974年から正式に衣服・繊維製品の輸入を制限し,その間に西側の関連する雇用を徐々に減らす,というMFAの目標にもかかわらず,それは西側の消費者と発展途上諸国に多大なコストを強いてきました.さらに,「地代」による価格上昇をもたらして,制限されていない国への生産拠点の移転も進み,世界の生産パターンや国際分業を大きく歪めています.
MFAが廃止されても,保護主義はなくなりません.アメリカやEUはますます反ダンピング規制のような自国内の法律に頼るでしょうし,特別な関係にある諸国とはFTAで優先的に自由化し,今後も,特殊な生産分野,すなわち市場に隣接していることで急速に変化する流行に対応できる,など,異なった形の生き残りを図るでしょう.また,輸送費や環境保護,労働規制などで,自由化を抑える要因が働きます.しかし,ウォル・マートのように,現在はMFAを免れるために世界中から輸入を組織しているが,MFAが無くなれば供給基地を数カ国に絞り込むだろう,と言われます.その他の貧しい諸国の生き残りは困難です.
中国以外の生産拠点として,勢力バランスのために,ヴェトナムなどでも生産と輸出が増大するかもしれません.しかし,自由化により,貧しい地域・諸国に「多様化」を説くことは,現実には,容易な解決策とならないでしょう.保護や地域ブロックの要請は強まります.
もしかすると,人民元の切上げが,摩擦回避と調整を受け入れるための最後の手段かもしれません.繊維製品の輸出で巨額の黒字を出せば,中国の通貨が急速に増価し,発展途上諸国のシェアが回復する一方で,現在,中国が進めているハイテクや自動車などの分野で輸入が増え,過大な投資計画は失敗しはじめる,・・・と思いました.
LAT July 18, 2004
By Thomas Frank
(コメント) アメリカ政治全体が急速な右傾化を遂げました.共和党がますます富裕層を中心に「階級」の利益を実現しする右派の政策を支持しているのに,民主党は,あるいはアメリカのリベラルは,労働者の利益を正面から主張しなくなったからです.Frankは,クリントンやゴア,リーバーマンらが参加した民主党指導者会議における革新運動を批判します.彼らこそ,ブルー・カラー労働者を無視して,もっと裕福なホワイト・カラー労働者を中心に民主党の支持基盤を再生しようとしてきたからです.しかし,その結果は,福祉,NAFTA,社会保障,労働法,民営化,規制緩和,など,経済要求における際限の無い譲歩でした.
民主党は「階級戦争」を恐れ,過去のレトリックを嫌い,むしろビジネス界に取り入って,保守派と同様に,経済政策を競いました.もはや誰が労働者たちの声を代表しているのか? 政治家たちの資金はどこから来るのか? 1970年代前半に,アメリカ政治から労働者は退場させられたのです.そして,中産階級の利益を代弁し,もっぱら文化的価値を奪い合う,保守的な競争政治が始まりました.このような競争の中で,民主党はその伝統的な政治基盤も失います.それでも革新派は,共和党の支持者が分裂し,その穏健派が自分たちを支持すると楽観します.そして,いつか,民主党は共和党の穏健派グループとなるでしょう.
今や,共和党は確信的に「階級」を語り,民主党はそれを避ける時代です.Frankは,むしろ「階級」が自動的に自分たちの経済的利益を知っているはずだ,という前提を批判します.人々は自発的に階級的利益を選ぶわけではないからです.リベラリズムは,単に企業の行き過ぎにストップをかける運動ではありません.それは社会改革の思想です.税制や規制,社会保障に関して,リベラリズムの運動が後退しています.それらは自由放任の企業システムが築いたわけではなく,労働運動によるストライキや労働者への教育と組織化によって獲得されたものです.
所得分配がますます両極化することで社会的・政治的対立が激しくなる,という社会学者の診断をFrankは信じません.社会システムとして,この右傾化は機能しています.二大政党は,一方が他方をバカにしながら,このシステムにおいて共棲しています.世界中で,最も支配的エリートの歓心を買うシステムです.現代資本主義の,まだ試されたことのない文化的限界に挑戦します.この文化的偏見を煽る者がますます富裕になる世界で,右傾化は続きます.
WP Sunday, July 18, 2004
Living With China
IHT Wednesday, July 21, 2004
America needs a China strategy
Tom Manning
ST JULY 21, 2004 WED
It's a tightrope walk for small Singapore
By Lee Huay Leng
(コメント) WPは,Foreign Affairs.に載ったGeorge Gilboyの論説を引きながら,中国はチャレンジャーであって,かつての日本が貿易面でしばしばそうであったような,敵対や報復の対象ではない,と言います.よく言われるように,中国の輸出は直接投資を受け入れて,WTOのルールに基づいて行われているからです.その意味では,アメリカなど主要国の企業が利益を得ており,国際ルールの遵守に努めているわけです.
しかし,もし中国の成長が資源の奪い合いや国際商品市場の過熱,他方で,工業製品の価格暴落などに繋がれば,今のようなルールの遵守で互いに協力できるのでしょうか? WPは,中国が今後も,金融改革や職場の人権擁護,知的所有権保護に向けて前進し,良好な関係を維持したい,と述べています.
Tom Manningの論説の方が,より直截に議論を展開しています.中国が世界大国として参加する過程に,アメリカ政府はどのように関わるのか? すなわち,それを恐れて妨害するのか,それとも成熟した指導国となるように支援するのか?
もしアメリカが長期的な見通しも無く対応すれば,さまざまな懸案の残るアジアにおいて,米中間の紛争が激化するかもしれません.しかし,アメリカは中国を完全な仲間とは考えないでしょう.場合によっては競争相手であり,決してその行動が信頼できる国とは思っていないのです.しかし,アメリカ政府は明確な方針を示すべきです.すなわち,両国間の安定性を高める.過去よりも未来に向けて,中国が政治・経済の国際舞台に参加することを促す.アジア諸国が既に動き出しているように.
シンガポールはアジアの将来の秩序をどう見ているのでしょうか? 中国政府は,シンガポールのLee Hsien Loong外相が台湾を訪問したことに強く抗議しました.それは中国の学者による非難から,シンガポールに対するインターネット上での感情的な侮辱,小国への大国意識,を噴出させたと言われます.
この論説は,小国であるシンガポールが大国間の国際関係を「つな渡り」のように生きてきたことを指摘します.そして,中国人の間で戦争を起こしたくない,貿易やFDIで深い関係にある中国との紛争がシンガポールを破滅させる,という考えに嘘は無い,と言います.だから,主権を維持しつつ,シンガポールの国際的な立場を明確にすることで,大国間のバランスと相互の利益を増やす形で,生き延びるわけです.
FT July 19 2004
Strong world growth masks medium-term risks
By Martin Wolf
(コメント) 世界経済は,短期的には楽観できるし,長期的にも,おそらく楽観できる.しかし,長期の見通しは懸念材料が多い,とWolfは指摘します.すなわち,@世界のマクロ不均衡,Aアジアの興隆,B保護主義,Cテロ攻撃,です.その通りでしょう.Wolfの論説は,その相互の関連を明確にします.
世界のマクロ不均衡については何度も聞いたような話です.アメリカの経常収支赤字は不況期にも減少せず,今や景気回復の最初から大幅な赤字です.それを調整するドル安は不十分で,アジア諸国は際限の無い介入を続けています.このことは,しかし,もしアメリカの景気後退をアジアの成長が補完するのであれば,むしろ世界経済にとって良いことかもしれません.
ここで他の三つの懸念が現れます.中国やアジアが石油や国際商品市場に新規の需要をもたらし,それがアメリカやEU,日本の景気回復と重なって世界のインフレに影響するようであれば,世界経済の均衡は破壊されます.そのことは,アメリカの保護主義や,次のテロ攻撃に対する,世界市場の解体・分断化を現実に近づけるでしょう.もし核兵器を用いたテロが起きれば,WTO交渉決裂やイラク戦争で不安定化した世界の自由主義的秩序は致命的な打撃を受けるだろう,とWolfは考えます.
アジア諸国は為替レートの調整を受け入れるように促されるべきです.世界のマクロ・バランスを回復し,WTOの貿易自由化交渉を進めるべきです.エネルギーの生産と保全にもっと投資し,テロに備えた国際協力を強化しなさい.それが世界政策の顧問たちが発する忠告なのです.
FT July 19 2004
The asset economy is a house of cards
By Stephen Roach
アメリカの成長力学の特徴に重要な転換が起きた.所得で動く過去の力学から,資産で動く富効果へと変わったのだ.資産経済は過去のマクロ・ルールの多くを逆転させる.またそれはアメリカ経済の持続的な回復に対する最も深刻な挑戦であろう.
資産経済は1990年代半ばに報復をこめて壊滅した.1994年から2003年に,家計部門の資産はGDPの成長より84%も多く増大した.その結果,アメリカ家計部門の資産は,GDPに対する比率を1999年に5.25%まで高め,歴史的な基準を大きく上回った.2000年に株価のバブルが弾けた後でも,昨年,家計部門の資産はGDPの4.9倍もあり,バブル前の基準より20%近く高い.
アメリカの消費者が資産経済の奇跡を見出すのに長くはかからなかった.「富効果」,すなわち,資産インフレを貨幣化し,それを購買力に添加することが,急速に,大流行した.
大部分は,必要から生じたことだった.雇用と実質賃金が圧迫されて,個人所得に占める賃金の割合がかつて無いほど低くなった.今年の5月まで,実質賃金は2001年11月の不景気の底にあるときよりわずか3%上昇したに過ぎない.それは以前の循環的回復期における最初の30ヶ月で10%は上昇したことと比べ,余りに低い.これが2600億ドルの「失われた」実質個人所得となった.このように所得を欠いた回復は,支出を支える富効果にますます依存する.
このことは,アメリカの消費者が,最近,借金で大騒ぎしたことに,劇的に示される.家計部門の昨年の債務はGDPの85%であり,1995年の70%から上昇した.この展開を,記録的な低金利と住宅価格の上昇に対する「合理的」な反応だ,とする見方が広まっている.
そのようなお世辞は間違いだ.たとえ最近の数年に金利が40年ぶりの低さにあったとしても,連銀のデータで,債務支払の負担は歴史的に見た限界水準に近い.合理的な消費者は富効果を固定金利で現金化し,その後の金利上昇から債務を切り離す,と広く信じられている.しかし最近変動金利型モーゲージに変化したことで,この前提が疑わしくなった.
アメリカの政策担当者たちは資産経済の奇跡をいっしょに祝福する.連銀が金利を底に貼り付けた結果,資産市場は前例の無い領域に入った.しかし,これは最終的にモラル・ハザードに至る.過度に借金した消費者,過度にリスクを溜め込んだ金融機関,どちらも通貨政策が期限の過ぎた正常化をすることに,大きく損なわれやすい.
資産による貯蓄は,ますます,所得による消費者需要の刺激に代わるものと見なされている.莫大な連邦政府の赤字とともに,これが史上空前の国内貯蓄不足をもたらした.アメリカの貯蓄率は,昨年,GDPの2%以下に低下し,記録的な低さである.国内貯蓄が不足すれば,アメリカはそれを輸入する必要があり,巨額の経常収支赤字や貿易赤字を出して外国資本を引き寄せる.その結果,かつて無いほど双子の赤字が拡大し,資産経済に大穴を空けている.
資産経済では,伝統的なマクロ経済学がほとんど時代遅れになる.赤字,債務,貯蓄を所得によって計量することは,無意味だと言われる.その代わり,均衡化の行為は試算が決定する富に対して評価される.私はそのような考え方を取らない.1990年代に現れたもう一つの考え方と同じように,新しいパラダイムを疑っている.
株価バブルが弾けて分かったように,資産の価値を永久に保証するものは無い.富効果はそこから産まれるのであり,特に資産が維持不可能な低金利で膨張しているときには危険である.
この花輪の中でもっとも弱い部分は,所得によるアメリカ経済の不均衡と,資産によるその代替と称するものとの並置である.新しい考えに夢中になって,アメリカは所得による不均衡の概念を,貯蓄率や経常収支赤字のように,危険な地帯に追い込んでいる.もし過度に強められた通貨・財政の刺激策が無ければ,このような事態は起きなかった.今,その政策が正常に戻るとき,資産経済は最も厳しい試練に挑む.
IHT Monday, July 19, 2004
Philip Bowring: Who owns South Korea?
Philip Bowring
July 21 (Bloomberg)
Is Korea Facing a Japan-Like Lost Decade?
William Pesek Jr.
(コメント) 通貨・金融危機の後,韓国はIMF融資を受け入れて改革を進めた優等生です.その現状について,矛盾した政策体系をBowringが指摘します.
l サッカーへの熱烈なナショナリズムにもかかわらず,グローバリゼーションへの吸収・合併が進む.サムソン電子やポハン製鉄など,優良企業の株式の半分以上が外国人の所有です.
l ところが,その所有は今のところ分散しており,旧来の経営者家族が企業を支配し続けています.ただし,外国資本の流入は続いていますから,今後,どうなるか分かりません.
l 韓国人の多くは,危機の際に安値で外国資本が韓国企業を買収した,という不満を持っています.しかし韓国人は株式を購入しません.その理由は,危機の記憶以上に,機関投資家が法により株を購入できないからです.
l 韓国の機関投資家は集めた貯蓄を国債に充てます.そして政府は,通貨ウォンを安くするために外為市場で介入し,アメリカ国債を購入しています.国民の貯蓄は外貨準備となって,アメリカ政府が使うのです.
l こうしてウォンは安くなり,韓国の株は外国投資家に買われ続け,アメリカの財政赤字や貯蓄不足を補填し,その消費を維持し,輸出を伸ばす国民的企業の株式はますます外国人に所有されます.
l 韓国のナショナリストと,赤字国の政治家が,こうした政策体系に反撃するでしょう.
Pesek Jr.は,韓国が直面しているのは,日本型の不況=「失われた10年」では無い,と考えます.韓国には,金融政策の余地があり,デフレはなく,競争力を殺ぐ生活費の高騰も無く,銀行には不良債権が累積しておらず,株価を政府が支えてもいません.
しかし,韓国は危機前の成長を新重商主義的政策,すなわちウォンの人為的な減価だけに頼っています.他方,賃金は上昇せず,国内消費は伸びません.債務危機に陥った銀行や企業は政府が救済したのに,クレジット・カード危機に直面した消費者はモラル・ハザードを理由に放置しています.韓国は高成長だけを目指し,成長の中身を改善できませんでした.もっと生活水準を高め,投資によって良い賃金と雇用を増やすべきです.
Pesek Jr.は,もっと消費者を重視した政策,すなわち一括した家計部門の債務救済を求めます.「資産経済」におけるJ.A.ホブソンの『帝国主義論』,すなわち過少消費説だな,と私は思いました.
ST JULY 20, 2004 TUE
By Immanuel Wallerstein
(コメント) 要するに,Wallersteinは「帝国主義論」のもう一つのテーマを扱っている,と私は思いました.それは,社会帝国主義です.
アメリカの政治は,1865年の南北戦争から1933年のフランクリン・D・ルーズベルトの選挙まで,共和党が支配しました.その後,大恐慌とニュー・ディール民主党が興隆し,二つの根本的革命を実現します.一つは,福祉国家の建設.もう一つは,孤立主義から積極的な国際介入主義への転換,です.
アメリカは内外で「多角化」し,少数派の社会的上昇を促しましたが,これに対して「保守派」が反発します.福祉国家,多文化,国際主義に,アメリカの中から反対を叫ぶのです.彼らの運動は共和党を変身させ,穏健な中道派を追いやって,右派の政党にしてしまいます.特にその中核になるキリスト教右派は,性的な道徳の自由化を嫌い,白人プロテスタントの社会的支配を保証することを目指しました.
彼らが掲げた争点は,堕胎と同性愛,でした.そして民主党から票を奪い取り(レーガン・デモクラッツ),無党派層を動かしました.こうして社会問題に焦点を当てて,共和党は右に旋回します.同時に福祉国家を解体し,「国際主義」を「ユニラテラリズム」へ,あるいはブッシュの先制攻撃へ,転換します.
クリントン時代への復帰を掲げて,ケリーはこれを逆転できるのか? 社会的な分裂を修復できるのか? Wallersteinは悲観的です.少数派も含めた国民の生活水準改善や,イラクの収拾を超えた国際的関与は,アメリカの財政赤字や対外債務によって制限されます.社会的な統合を目指す国内の教育・医療・年金問題を解決する財源も,経済の成長に制約されます.
ブッシュもケリーもその解決策を知らない,というわけです.どちらが政府を組織しても,アメリカはイラクから撤兵し,それはアメリカの敗北と見なされて国際主義を破綻させます.その過程で,ヨーロッパでも東アジアでも,アメリカの孤立主義が顕著となるでしょう.
アメリカの社会問題への退避は反転するのか? アメリカの覇権は終わり,支配も,指導力も失われ,この30年間に進んだ政治的・経済的多極化は完成されます.そしてアメリカと世界との関係は,アメリカがその経済を,そして社会的な価値を,どのように再認識するかに懸かっている,とWallersteinは考えます.
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The Economist, July 10th 2004
Indonesia’s shining example
(コメント) 通貨危機に起因した暴動で独裁体制が崩壊したインドネシアがどうなるのか,数年間は予想もつきませんでした.特に3年前,少数民族の分離独立運動や通貨ルピーの価値が下落し,政府は混乱し,どうしようもなく無能に見えました.世界第四位の人口大国が,ちぎれた真珠のネックレスのように,バラバラになるか,それを防ぐために再びスハルトのような軍事独裁体制が復活するのではないか.2億2000万人,世界最大のイスラム教国家がバルカン化し,テロリストの源になる,という不安は,2002年10月,死者200名を超えたバリ島のテロによって現実に近づきました.
しかし,7月5日の大統領選挙は,まったく異なるすばらしい世界を予見させます.インドネシア国民は,選挙で,大統領を決めることに成功しそうです.たった6歳にしかならない幼い民主主義が,自由で,公平で,平和な方法で,何よりも極端な対立ではなく,穏健な指導者を求めたのです.メガワティ大統領は,国民に選挙結果を受け入れるよう訴えました.たとえ自分の陣営が敗北するであろうと予想される中でも,そのように人々を説得したのです.
彼女は,指導者としての優れた知性も,監督者としての力も示しませんでした.しかし彼女の政権の3年間は,新しい権力を固める期間でした.アチェの紛争を除けば,インドネシア国内の秩序は安定し,経済も目覚しい安定化を遂げました.4〜5%の成長,株価上昇,財政再建は国際的な賞賛を受けました.もちろん,腐敗や汚職,貧困問題など,深刻な問題が多くありますが,少なくともメガワティ女史は,インドネシアが独裁者を必要としないことを示したのです.
他方,決選投票に残るもう一人の大統領候補,ユドヨノ元将軍は,穏健な軍事指導者で,イスラム主義にも距離を置きました.The Economistは,インドネシアがイスラム圏でも,貧しい発展途上国でも,民主主義を実現して発展できる例となってほしい,と願っています.
Japan’s foreign policy: From pacifism to populism
(コメント) 日本の外交政策が変化したことを,私たちは感じているけれども,実際に理解していません.それを言葉に表し,議論を尽くしていないからです.
外国から見ればどう見えるのか? 中国やアジア諸国,アメリカやロシア,ヨーロッパはどう見ているのか? たとえば,The Economistの叙述は簡潔です.以下に,興味ある論点を並べます.
l その起源は湾岸戦争であった.
l 北朝鮮のミサイル発射実験が,その転換を加速した.
l 小泉政権の確立とそのスタイル,個人的な人気による高い支持率があったので,水面下で新しい方針を固め,実行した.
l 国民の不戦主義(pacifism)は変化しつつあり,憲法改正も視野に入れる.
l ドイツの方針転換とは条件がまったく違う.
l むしろ,アメリカ・ブッシュ政権の新しい国際安全保障戦略と密接に結びついた.
日本はドイツのようなフランスとの関係やEUのような制度を持っていません.では,日本の外交政策はアメリカの下僕でしかないか? 考えられる道は,@安保理の常任理事国になる.Aアジアに,フランスやEUと同じものを求める.B実質的な軍備を増強し,それを多角的な監視と要請の下に使用する.
The Economistは,@,Aの可能性は低く,Bに向けた条件を模索するわけです.小泉政権のポピュリズムや北朝鮮との交渉,中国の反応など,Bの実現が容易でないことは明白です.しかし,国民は不戦主義(pacifism)を失って,他にどこへ向かうのか?
By invitation: Jack Straw
(コメント) EU検証に対する評価です.醜い政治交渉の末に生まれた,妥協の産物は,以外にThe Economistの理想を共有していた,と.
The dollar: Keep an eye on it
(コメント) ドル安を徐々に進めて,アメリカや世界はどうなるのか? 日本は景気回復を維持し,円高を受け入れる? しかし,ユーロ圏は不況? 円高ドル高になって,ユーロ圏も景気回復? アメリカの対外不均衡解消・・・? 例えばこんな世界でしょうか.
しかし,アメリカは既に双子の赤字を出しており,投資家たちの行動が秩序正しく不均衡の解消まで融資を続けてくれる保証は何もありません.今まで可能だったのに? もちろん,アジアの中央銀行がドル安を回避し続けたからです.