IPEの果樹園2004

今週のReview

5/10-5/15

IPEのタネ

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世界の英字紙からコラムを紹介します.私が選んだ論説の内容を,かなり自由に要約し(全訳に近いものもあります),そこには自分の意見も含まれています.利用する場合は,それぞれの出典を自分で確認してください.なお著作権は,それぞれ,元の著作権に従うものと考えます.

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もし三つだけ推奨するとしたら?

1.   中国経済の過熱? : 中国経済の過熱は,もはや金利の引き上げや人民元切り上げでは解消できず,崩壊を待つしかないのでしょうか?

2.   ブッシュの戦争 : 戦争の行方を予想するのが,以下に政治的なギャンブルであることか・・・

3.   変動レート制度に祝福あれ! : 変動レート制であったから,世界は危機を回避できている.ブレトン・ウッズを解体しておいて良かった!

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ただしFT:Financial Times, NYT:New York Times, WP:Washington Post, LAT:Los Angeles Times, BG:Boston Globe, ST:Straits Times


FT April 29 2004

China acts to calm investor fears

(コメント) ドルとの固定レートを維持するためにも,中国は経常黒字の累積や投機的な資本流入を抑制し,バブルを排除しつつ,同時に,国内景気を維持しなければなりません.ある程度,インフレによって実質為替レートの増価が進むなら,その方が好ましいのではないでしょうか? しかし,もちろん,中国政府が対ドル固定レートを採用したのは,国内の成長を加速するためでした.だから,それが激しいインフレやバブルを生じ,農民や貧困層の激しい不満に火をつけること,あるいは,金利引上げとバブル崩壊,資本流出によって通貨危機になることを,何としても回避したいはずです.

どうすれば良いのか? ・・・答えは簡単(!)です.予防的に為替レートを調整して切り上げることで,早めに,国内のインフレやバブルを金利引き上げで阻止する余地を確保すれば良いでしょう.しかし,すでに時機を失したのであれば,そのような内外の調整政策を試みることさえ,危機の引き金になる,として政治家や官僚たちを逡巡させます.・・・どこかで見たような光景です.これはアジア通貨危機の第二幕です.開演ベルが鳴っています.

休日前に出された,融資をチェックせよ,という通達が,いよいよ金融引締めだ,と市場に逃避行動をもたらしました.それを見て慌てた金融当局が,金融緩和の姿勢を変えない,という説明を繰り返すのでは,矛盾した言動ではないですか? まともな投資家であれば,インフレやバブルを期待した投資家が市場から逃げ出すことを,むしろ歓迎するはずです.政府・金融当局が市場にどのようなメッセージを送るべきか,まだ互いに合意された行動や期待形成が促せていないようです.その意味でも,これは新しい演劇の舞台であり,ブロードウェーと京劇が決して同じシグナルを同じ意味で解釈できないように,中国と世界の為替市場と資産市場が迷いを深めるわけです.


NYT April 29, 2004

Economic Scene

By ALAN B. KRUEGER

(コメント) アメリカで,働いていない人が増えています.「仕事の無い人(nonworker)は何をしているのか?」という労働省の研究報告から,アメリカの一面が示されています.すなわち,彼らは,ちょうど労働者の休日と同じように,毎日,何時間もテレビを観て,家の掃除や修理,そして社交やスポーツをして過ごしています.学校へ通って技能を磨いたり,仕事探しで街中を歩き回ったり,しているわけではないようです.しかし,その収入源は? 平均で1万1551ドルしかなく,多くは社会保障(失業手当や年金)と障害者への給付なのです.配偶者や親から得ている場合もありますが,少ないです.

「失業」という概念の社会的な内容は,時代や社会によって,同じではありえないでしょう.


WP Thursday, April 29, 2004

Live and Let Vote

By George F. Will

(コメント) 「今日の夕方,5時までに,神が存在する証拠を見つけられないようなら,君は大学を辞めなさい」とオックスフォードのベリオル・カレッジの学長が述べた時代もあったようです.6月末までに政権移譲できる相手を見つけられないなら,アメリカはイラクを撤退するべきでしょうか? 暴力を独占もしなければ,法律を作るわけでもない,そんな国連がイラクの統治を任されても,それを暫定「政府」と呼べるでしょうか? もちろん,選挙を行う点でのみ,国連にも意味があります.しかし,それはシーア派が多数によって宗教的独裁を敷くことではないか? アメリカは,自由な民主主義を求めて戦い,テロを一掃するために戦い,独裁者を排除するために戦ってきました.そして,この選挙を行うだけで引き上げると言うのであれば,われわれはそれを「脱出戦略」と呼ぶべきだ,とWillは主張します

FT April 30 2004

Philip Coggan: The weapon America cannot wield

By Philip Coggan

(コメント) ラテン語では10のことをデシマルで表しますが,それは反逆者を10人に一人ずつ処刑したことに由来します.アメリカは,ローマ帝国と違って,そのように支配することができません.学術や文芸に秀でたローマ帝国も,その基礎はこうした暴力でした.あるいは,アジアでも東ヨーロッパでも,モンゴル帝国に逆らうものが居なかったのは,彼らが抵抗する街の住民すべてを殺戮するのを,人々が知っていたからだ,Cogganは指摘します.

ナチス・ドイツの町を空爆で燃やしたように,また日本の広島と長崎を原子爆弾で破壊したように,今も,軍事力は絶大な外交成果をもたらします.しかし,その軍事力の使い方について,欧米の対立が続いています.「人間をハンマーで叩き殺すことも,最初は,爪で引っかくようなことから始まるのだ」と,ヨーロッパ人はアメリカを非難します.他方,アメリカ人は,「所詮,大した軍事力も持たないから,ヨーロッパは国際法や多角主義を唱えているだけだ.何もしようとしない.」と答えます.

しかし,同時にアメリカは軍事力の使用をためらいます.なぜなら,アメリカはローマ帝国でもモンゴル帝国でもなく,ファルージャを街ごと破壊して制圧することはできないからです.道徳的制約から,イラクで原子爆弾を使うこともありませんでした.しかも,アメリカの軍事力は他の要因と無関係に存在しているわけではなく,金融市場や経済状態に配慮しなければなりません.北朝鮮を核攻撃で破壊することも無いわけです.

しかも,地上軍を派遣して占領しなければならない場合,圧倒的な軍事力は重要性を失います.アメリカは,その軍事力を完全に使用するわけでもなければ,ヨーロッパ人のように美徳を称えるだけでもありません.アメリカは中間で苦悩しています.敵は,乗っ取った旅客機で攻撃してくる.モスクに立てこもる.民衆を楯に攻撃する.・・・ヴェトナムの教訓を思い出します.

イラク人捕虜の虐待はおぞましいが,それ以上に醜い光景はサダム・フセインの支配下でも,第二次世界大戦でも,多く見てきた.ヨーロッパ人は,早速,砂に頭を突っ込んだまま,われわれを非難するだろう.しかし,オサマ・ビン・ラディンを宥和することなどできない.他方,それに代わる圧倒的な暴力も行使できない.アメリカにできることは,アラブ人の命もアメリカ人と同じように尊い,と説得するだけである.それが,極端なテロリストや信仰による敵意の対象に向ける,われわれに可能な武器である,と.

BG April 30, 2004

The making of a quagmire

By H.D.S. Greenway

(コメント) ヴェトナムの「泥沼」と比較して,何を思い出すのか? われわれはヴェトナムでも圧倒的な軍事的優位と確信を持って戦闘に勝利し続けた.しかし,政治的な目的を達することはできず,戦争に敗北した.ファルージャの映像は,ヴェトナムの都市,フエを思い出させる,と.

いろいろな違いはあっても,当時も今も,アメリカのエリートたちが唱えたのは,民主主義など聞いたこともない民衆の土地で,民主主義を樹立することでした.その傲慢さは,マクナマラとラムズフェルドに共通します.国民に地上軍を送ることを合意させる際,ジョンソンもブッシュも,虚偽の理由を作り出しました.

しかし,ヴェトナムで直面した最大の問題は,アメリカ軍が自国を支配する外国の軍隊,と見えたことです.それはヴェトナムのナショナリズムを敵にしてしまいました.アメリカが選んだ現地政府は,決して国民の指導者に見えず,軍隊はアメリカ大使館から指令を受け,政治的主権も選挙も南ヴェトナムに与えられなかったのです.たとえ多くの支持者がアメリカの望む価値を望み,アメリカの勝利を願っていたとしても.

Greenwayは,22年前のもう一つの光景を思い出します.それはイスラエルがレバノンに侵攻し,シーア派を解放して,レバノンを改造し,同盟国にしようとしたときです.今と同じように,イスラエルはあらゆる戦闘で勝利しましたが,シーア派は彼らに従いませんでした.その後,解放したはずの彼らに,イスラエルは追い返されます.

NYT April 30, 2004

From Dream to Nightmare

By BOB HERBERT

(コメント) 「ブッシュの無意味な戦争で,昨日,さらに10人のアメリカ兵が死んだ.」 なぜなら,それは政府のパイプ・ドリームが生んだ戦争だから.パイプ・ドリームとは,元来,アヘンを吸うパイプの向こうに見る幻覚の世界です.

9・11の究明委員会でも,ブッシュ大統領と超タカ派のチェイニー副大統領は,未だに,イラクの砂漠に大量破壊兵器を探し求めている.この戦争の最初の死者は,もちろん,現実・リアリティーだった.死者の居ない,安価な戦争のはずだった.再建費用は油田で支払えるはずだった.民衆は自由を愛し,解放者に花を投げるはずだった.イラクに根付いた民主主義が,瞬く間に中東に拡大するはずだった.

なんとういう,とんでもないパイプ・ドリームであったことか?

「衝撃と恐怖」作戦によって,銃口を向けられた民衆が民主主義に好意を抱かないからと言って,何か不思議なことなどあるだろうか? 無数の住居を破壊し,女性や子供を含む,多くの罪も無い人々を殺戮しながら,ヴェトナムの心をつかもうとした作戦が,今また繰り返されている.死者も,戦費も,日々,増大する中で,アメリカ国民が戦争を支持しなくなっても,何か驚くことなどあるだろうか?


April 30 (Bloomberg)

Four Questions IMF Candidate Rato Should Answer

David DeRosa

もし投資家が新しいIMFの専務理事を選考できるなら,ラトー氏に次の四つの質問をするだろう.

1.「あなたは債権者の権利を強化するべきだと思うか?」

なぜなら,IMFはこれまで債務者の権利を強めてばかりきたから.その見返りに,たとえば2001年,債務国アルゼンチンは994億ドルの債務に支払わなくなった.なぜこのような泥棒債務国を許すのか? アルゼンチンのせいで,他の多くの債務国が追加されたコストを負担している.

2.「あなたは専務理事代行のクルーガー女史が提唱した国家債務組替メカニズムSDRMを支持するのか? それとも完全に廃棄するのか?」

それは企業の倒産処理と同じ手続きを国家債務に持ち込むものだ.債権者は,組替交渉の間,待っていなければならない.クルーガー女史が言うには,債務国政府の資産を保全し,資本規制も含まれるだろう.しかし,投資家たちは強く反対し,アルゼンチンの暴挙で,SDRMはすっかり信用を落とした.

3.「もし債務国がIMFからの融資に対して不履行になれば,どうするつもりか?」

ポートフォリオとして見れば,IMFの資産はまるで分散できていない.アルゼンチン,ブラジル,トルコだけで,1070億ドルの融資残高の70%以上を占めている.クルーガー女史はこれについて「健全なリスク管理には,債務国の支払不能に対する注意が必要だ」と主張した.IMFが最後の貸し手になれば,「健全な資産管理」など忘れるしかないのでは? もしこの融資が焦げ付いたら,ラトーは加盟諸国にどう説明するのか?

4.「IMFが,すべての債権者より先に,融資を返済される権利について,どう説明するのか?」

海であれば,船長は最後まで船に残って,運命をともにするのではないか? つまり,政策について口を挟んでいるIMFは,むしろ最後に返済されるべきではないのか? そして,IMF専務理事はヨーロッパから,世銀総裁はアメリカから,という愚かな伝統を破って,他の候補,たとえばエジプトのMohamed El-Erianを専務理事に選ぶべきであろう.


April 30 (Bloomberg)

Alan Greenspan Tiptoes Up to China's Bubble

William Pesek Jr.

NYT April 30, 2004

China Cools Lending, and Markets Shiver

By KEITH BRADSHER

(コメント) 世界の投資家にとって,最近の話題は,グリーンスパンと中国です.この二つが一つのセンテンスに出てくるようになれば,さらに関心が高まります.すなわち,グリーンスパンが中国経済の過熱に言及したからです.中国の金融不安は世界の資本市場を動揺させます.

中国は既に投資バブルであり,固定資産への投資が年40%以上も増加しています.失業問題から成長率が注目されますが,実際には,通貨供給量が年20%も増加していることが問題だ,とPesek Jr.は考えます.人民元の切上げなど,中国の金融不安を考えたら,容易にできることではないのです.中国経済は,どんどん膨れるビーチ・ボールを水中で抑えて飛び上がらないようにしている状態だ,と言います.政治から独立した中央銀行を中国に期待しても無駄です.人民銀行自身は,自分たちが危機のスケープ・ゴートにされることを恐れています.ハード・ランディング無しに空気を抜くことができるのか,唯一,グリーンスパンの神業を模倣することで危機を回避したい,と望んでいます.

次の中国の危機は,アジアや日本,そしてアメリカをも,その渦に巻き込む懸念があります.


NYT April 30, 2004

Will a Bigger Europe Be a Better Europe?

By ROBERT LANE GREENE and NIGEL HOLMES

FT May 2 2004

Benefits for all in a bigger club

WP Sunday, May 2, 2004

Europe's Gray Future

By Jim Hoagland

(コメント) 新加盟の10ヶ国は,マルタとキプロス(南部)を除けば,東欧の旧社会主義圏です.その意味でEU拡大は,東欧諸国を完全に西欧の民主主義と資本主義に組み込む試みと言えます.旧加盟国は移民の流入を恐れて移動の自由を一時的に制限しましたが,新加盟国はEUの2000ページに及ぶ法律や規制に合わせて国内の諸制度と市場を急いで調整しなければなりません.直接の影響は,EU補助金の流れに現れるでしょう.もう一つの合衆国を目指すのです.

この拡大を悲観する声の方が大きいことは意外である,とFTは主張します.そもそも,これは1989年にベルリンの壁が崩壊したときから進められてきた統合過程です.ヨーロッパは何度も統一を試みたが,強制された統一は失敗でした.東欧諸国は,安全保障上の安定と,貿易や投資の拡大という利益を得るでしょう.

もちろん,それは旧加盟国に競争と財政的な配分をめぐるコストや紛糾をもたらします.しかし,統合過程の中身や進め方を決めるのは旧加盟国なのです.旧加盟国は,小さな得失に拘って,ヨーロッパ統合の大きな理想を忘れてはなりません.それは共通の価値,すなわち文化の共有,信仰の自由,私営企業,多元的な民主主義,に基づくさまざまな改革を通じて実現されます.新加盟国も,ブラッセルの法律や財政規律に苦しむことだけでなく,ユーロ圏との緊密な統合が,たとえばスロヴァキアをヨーロッパのデトロイトに変えつつあることも知るべきです.

Hoaglandは,アメリカの外交評議会が最近まとめた報告書"Renewing the Atlantic Partnership"に人口変化の見通しが欠けている,と指摘します.欧米の協調的な外交政策を考えるなら,ヨーロッパに増えるイスラム教徒の人口と,アメリカで増えるヒスパニックおよびアジア系の人口について,また,ヨーロッパの人口停滞と高齢化,アメリカの人口増加が,その投資や成長にもたらす影響を重視しなければなりません.それは将来の成長率や社会保障,移民政策に重要な意味を持ちます.


FT May 2 2004

Wolfgang Munchau: A new era of integration

By Wolfgang Munchau

ニクソンがブレトン・ウッズ体制を一方的に破壊したとき,ヨーロッパ諸国は混乱に投げ込まれ,統一した通貨政策を求めて,その後,30年かかってユーロを誕生させた.同様に,ブッシュが安保理を無視した一方的なイラク戦争を始めたことで,ヨーロッパの外交政策は混乱している.しかし今や,ヨーロッパの伝統的な大西洋主義者と,伝統的な左翼とが,外交政策の統一についても方針転換し,ヨーロッパをアメリカの対抗軸として統一する過程が始まった.EU統合は,現在のようになるべく,最初から意図されたわけではなく,外からのショックにより,ヨーロッパ諸国の首尾一貫した方針が試された結果として,ここまで成長してきた.これからもそうだ.


NYT April 30, 2004

Sweet Sound of Dissent

By NICHOLAS D. KRISTOF

(コメント) マクドナルドのハンバーガーよりも,アラブ世界で唯一,飲酒を自由にできる楽園として,バーレーンは有名です.しかしバーレーンで,最近,人々の主な関心はアルコールではなく,民主主義です.この国はまったく非民主的だ,と多くの市民が政府を批判します.かつて体制を批判したため,2年間を監獄で過ごし,拷問も受けたハッサンが,現国王をゴルバチョフにたとえます.ただし,ゴルバチョフは帝国を滅ぼしたが,国王の改革はバーレーンの将来の繁栄を築くだろう,と彼は民主化を歓迎します.

アメリカ軍が展開するファルージャやナジャフよりも,バーレーンで自由を拡大する反体制派の方に,KRISTOFは中東民主化構想の希望を見出します.歴史が示すように,民主主義は外から強制できるものではないからです.


FT May 2 2004

Is China's economy in danger of a meltdown?

By James Kynge

FT May 2 2004

Lex: China

(コメント) 中国経済の過熱を判断するのは,他のどの国よりも,一層困難です.厳密な統計は少なく,政治的な介入に満ちています.中央銀行は金利ですべてを解決するのではなく,他の手段を利用する,と答えます.すなわち,見えざる手よりも,見える手として,さまざまな個別分野への融資規制や,地方政府への引き締めを通達します.そのためには,たとえ困難なものでも,財政や行政機構の改革が必要でしょう.

それが上手くいくとしても,過剰な生産力はデフレの心配を残していますし,電力や運輸など,インフラ整備の遅れは価格の上昇圧力になっています.引き締めによって不動産投機が崩壊した後も,中国経済が成長を持続するとしたら,中央銀行の政策によるよりも,2020年までに3億人が都市に流入する,という予測があるからです.

10年前の引き締め政策も激しい下降局面をともないましたが,今や,4200億ドルの外貨準備を持ち,多くの多国籍企業が生産拠点を置いて,その利益を担っている中国は,世界の貿易や投資の一部であり,アジアの成長エンジンです.その影響はオーストラリアからフォルクスワーゲンにまで波及し,中国の成長が1%減れば,韓国の輸出を3%減らします.もちろん,中国政府は土地などのバブルを潰すだけであり,生産能力は損ないません.将来,「メイド・イン・チャイナ」だけでなく,インフラ整備に関わる欧米企業の進出が話題となるでしょう.

May 2 (Bloomberg)

China's Turn to Take Away Party's Punch Bowl

David DeRosa

(コメント) 家を壊さずに,投機的なバブルだけ潰せるか? しかし,彼らは診断を間違っている,とDeRosaは批判します.通貨供給が過剰であると言いながら,人民銀行は,特定の部門だけ融資を削ればよい,と主張しているからです.それはせいぜい,過去の計画経済によって膨張した部門を削減するように指導しているだけであり,市場に従った金融引締めがさらに必要であることを示すだけです.そして通貨供給の持続不可能な拡大を強いているのは,人民元レートの対ドル固定化です.通貨供給が溢れることを放置したまま,それを再配分しても意味が無い,と

NYT May 2, 2004

Let Us Pray

By THOMAS L. FRIEDMAN

(コメント) 世界は,ある意味で,中国という留め金に引っかかっています.もし中国がバブルを静かに抑えることをしくじれば,世界も一緒に地面に落ちるでしょう.

この中国という留め金の強度について,世界の政治家たちは集まって相談しますが,何もできません.彼らはベッドに入る前に祈るだけです.「神様,どうか中国の指導者,Hu Jintaoが健全で冷静な判断をできますように.世界が崩壊する前に,中国がその不良債権と汚職に蝕まれた銀行システムを改革し,狂ったように増え続けた輸入を突然止めて世界不況をもたらすようなことはせずに,過熱した国内景気を冷やすこともできますように.そしてまた,神様,お許しください.私たちは「北京の人殺し野郎!」などと叫びましたが,そんなつもりはなかったのです.むしろ,「北京の銀行家の皆さん!」と,呼びかけたかったのです.アジア中に成長を呼び起こし,日本を不況から救出し,さらに世界中から輸入してくれるのですから.どうか中国の指導者が120歳まで長生きし,その民衆のために9%の成長を実現されますように.アーメン!

しかし,中国政府がその権力を維持するために,自国に何百万もの雇用を追加する成長率を維持しながら,それを世界の均衡と調和させることがどうすれば可能なのか,それを考えることはますます難しくなっています.

ST MAY 3, 2004 MON

Don't kill China's growth

By YUAN GANGMING

(コメント) GANGMINGは,中国経済の過熱は一部のバブルに限定されている,と考えます.20%の通貨供給増加も,歴史的に14%程度でもデフレを生じた中国にとっては間違っていないし,セメントや鉄鋼の供給を増やすことは長期的に必要である,と言います.


BG May 2, 2004

Five qualities of leaders we can trust

By Diana Chapman Walsh

(コメント) アメリカは深刻な間違いを犯しているのではないか,世界を単純に正邪で色分けし,暴力に暴力で対抗し,憎しみを増幅して,傲慢さによって孤立を深め,自分自身を痛めつけているだけではないか? 選挙において,アメリカの指導者がどうあるべきか,アメリカ国民は再考しなければならない,とWalshは訴えます.

政治指導者は,5つの約束を護るべきである.1.指導者は自問するべきだ.彼は,開かれた姿勢を持ち,批判に耳を傾けるべきだ.2.指導者はパートナーシップを尊重するべきだ.3.指導者は軍事力の行使を最後の手段としなければならない.4.指導者は世界観の違いを理解し,その対立を健全な形で吸収するべきだ.5.指導者は信頼によるコミュニティーを建設しなければならない.


FT May 3 2004

Don't blame the deficits for America's rate hikes

By David Malpass

ST MAY 5, 2004 WED

Will the world be ready when interest rates rise?

By J. BRADFORD DELONG

(コメント) 金利が上昇する話では,いつも財政赤字や貿易赤字を騒ぐ人々が居る,とMalpassは批判します.本当の理由は,アメリカの景気が回復し,雇用が増え,ドル安が進み,インフレ率が上昇し始めたことであって,赤字とは関係ない.財政赤字が大きいからと言って,世界資本市場から供給される資本が減るわけではない.ブッシュの減税で財政赤字が増え,金利が上昇して成長を損なう,と予想した学者たちは間違っていた.貿易赤字はむしろ高成長を実現する手段であって,投資をさらに促しただけだ.インフレ率,成長率,為替レートの予想が変われば,金利も変わる.財政赤字や貿易赤字ではない.

DELONGは,世界の金利が上昇すれば,@新興市場の通貨危機と,A主要国の資産市場に暴落のリスクが生じる,と指摘します.また,中央銀行への信頼が高まっている分だけ,長期金利は低い水準に戻るだろうが,短期的には投資家の姿勢が問われる,と.


May 3 (Bloomberg)

Eastern Europe Boom May Have Come and Gone for EU

Matthew Lynn

(コメント) Lynnは,EU統合が成長を加速することは無いだろう,と考えます.なぜか? すでに貿易や直接投資に関する最初の有利な影響は実現してしまっており,統合されても変わらないからです.しかし,金利は下がるのではないか? これも,既に下がっており,将来のユーロ通貨統合について寛容な扱いは一切なされず,すなわち,財政赤字を削り,インフレ率も西欧並に抑制しなければなりません.東欧の人口は減少しつつあります.彼らが得るのは,一層の官僚制度による弊害だけかもしれません.硬直的な規制と労働市場・制度は,EU拡大の利益を損なうのです.加盟を喜ぶにしても,EUの星を散りばめたブルーの旗を振るのは,考えた方がよい,と.

FT May 5 2004

Quentin Peel: Rules that give Europe what it wants

By Quentin Peel

(コメント) 新しいEUが何なのかは分からないが,何であってはならないかは分かっている.すなわち,超国家やヨーロッパ硬化症に向かってはならないのだ.しかし,EUはすでに多くのユニークな制度と国民国家との複合体になっている.EUの権力はどこにあるのか? EUは,超国家権力を目指さず,正しい意味の連邦制になるだろう.EUの制度と各国家との間に,明確に権力を配分するべきである.そのための新しい憲法が望まれる.憲法は,超国家の支配を排除するために必要だ,と考えるわけです.

FT May 5 2004

Euro attractions

LAT May 5, 2004

Europe's Implosion

By Gregory Rodriguez

(コメント) 新加盟国と旧加盟国との間で,為替レートや移民をどのように合意するのか? 貿易や投資は市場が決める,それがもっとも望ましい,と概ね合意できるかもしれません.しかし,為替レートや移民を市場にだけ任せることは,決してないでしょう.長い移行期において,基本的に,望ましいと合意できる範囲に制限する,ということです.


NYT May 4, 2004

Battlefield of Dreams

By PAUL KRUGMAN

(コメント) 政府の仕事を民間部門に移すことは,これまで,アメリカの保守派を支える流行のイデオロギーでした.しかし,反対派の存在しないイラクほど,このイデオロギーを実現できる理想の土地はありません.戦争も,警察も,刑務所も,ブッシュ政権は民間人にやらせました.その結果,彼らは自分たちの気ままと慰みにより,囚人たちを虐待しています.

LAT May 4, 2004

When We're the Evildoers in Iraq

Robert Scheer

WP Tuesday, May 4, 2004

The Fallacies of Fallujah

By Richard Cohen

FT May 5 2004

Gerard Baker: The US is clumsy, but not cruel

By Gerard Baker

The Guardian, Wednesday May 5, 2004

By Sharon's standards

Jonathan Freedland

NYT May 6, 2004

Restoring Our Honor

By THOMAS L. FRIEDMAN

FT May 6 2004

Philip Stephens: America's unspoken desire

By Philip Stephens

(コメント) アブ・グレイブ刑務所でイラク人に虐待するアメリカ兵の写真が報道されたことによって,アメリカのイラク占領に対する反感とさまざまな疑問が強められました.これは正義の戦争である,と信じて戦った多くのアメリカ人にとって,ファルージャは面子のために多くの市民を犠牲にし,アブ・グレイブ刑務所はアメリカの誇りを完璧に失わせました.サダム・フセインやヒトラーと同じ残忍な行いに及ぶ者は,誰であれ,アメリカ政府が許さないということを,謝罪と補償,処罰と解任,調査報告書や訴追などによって,今後,自ら明確な形で示すべきでしょう.

しかし,日本人が人質になった事件と同様に,これらは戦争や占領を計画したときから予想できた事態であり,その対策が十分に採られていたはずではないか? また,それが発生した場合の対応も事前に準備されていたのではないか? と思います.

あるいは,人質事件もそうですが,予想できても事態の悪化を防ぐ具体的に有効な手立てはほとんどなく,政治家や軍人たちは情報を隠蔽し,時間を稼ぐことで保身を図るだけなのかもしれません.ラムズフェルドが,この事件を政治的に利用させないぞ,という反撃は印象的です.

ブッシュ政権は,たとえアラブ世界やヨーロッパで激しい非難を浴びようとも,大統領選挙までに事態を好転させ,撤退の見通しを立てる余地があります.この「不快な」映像により,多くのアメリカ人がイラクへの関心を急速に失うかもしれません.すると,アメリカ政府が混乱するイラクを見捨てて,選挙だけ済ますと国連に任せて帰国を急ぐでしょう.アメリカの名目的な参加と,意思決定能力の無い国際機関が,イラクや中東をどう変えるというのでしょうか?


May 4 (Bloomberg)

Will Asia Get Jumpy When Fed Loses Patience?

Andy Mukherjee

IHT Thursday, May 6, 2004

Philip Bowring: Asia will survive Beijing's belt-tightening

Philip Bowring

(コメント) Mukherjeeは,アジア諸国がその景気と通貨を安定させられるかどうかはグリーンスパン次第である,と言います.アジアにとって重要な金融政策を,グリーンスパンだけが決めるからです.特にインドネシアとフィリピンは対外債務が巨額で,通貨を安くなれば輸出が伸びる,という他のアジア諸国と異なります.通貨危機の心配があって,金利を急騰させるでしょう.他方,他のアジア諸国が心配するのは中国の景気です.

Bowringは,「中国が鼻かぜを引くと,アジアは肺炎を患う.」という流行の言い回しを紹介します.しかしアメリカが金利を引き上げても,第二のアジア危機は起こらない,と考えます.その理由は,@アジアは中国の需要拡大にだけ依存しているのではない.アメリカや日本の景気の方が重要だ.A中国の景気過熱は一部の産業に偏っている.たとえこうした産業の過大な投資を削ったとしても,消費が伸びる余地は十分にある.B世界需要の方が重要であり,現在,日本の景気回復が成功すれば,好ましい影響を及ぼす.

さらに,Cアジア諸国は貯蓄過剰国であり,大幅な経常黒字と外貨準備を持って,アメリカの金融引締めが始まっても,金利を低くできる.Dアジアにおいて資産市場のバブルは生じていない.E通貨の過大評価は国際商品市場の価格上昇で緩和される,F石油やパーム・オイル,ゴム,銅などの価格上昇が,国によっては有利に働く.G中国からの需要増大は,長期的に,それらの価格を高く維持する.H中国の銀行システムは国有であり,民営化を急ぎ過ぎない限り,基本的に破綻しない.などです.


FT May 6 2004

China has forged its own economic consensus

By Joshua Cooper Ramo

「ワシントン・コンセンサス」より「北京コンセンサス」に,世界の開発モデルは変わるだろう.前者は,ラテン・アメリカの債務危機に嫌気のさしたWilliamsonが1990年に提唱した,資本自由化,民営化,貿易自由化,透明性,などをふくむ開発モデルである.それは,政府の失敗や汚職により,多くの国を破滅させた.アルゼンチンやインドネシアが示したように,現代の金融はあらゆる不安定性をもたらすパイプラインである.

しかし,ワシントン・コンセンサスを信奉するIMFや世銀の圧力を排除して,二つの国が顕著な成功を収めた.中国とインドだ.特に,中国の開発モデルは,今や,ブラジルやヴェトナムにも学ばれ,模倣されている.中国は,人類史上の新しい開発経路を発見したのである.これを「北京コンセンサス」と私は呼ぶ.

開発は,銀行家を幸せにするためではなく,平等で,高い質の開発を求めて行われる.なぜなら中国は,他の方法では,爆発を免れないから.民営化や自由貿易といった考え方は,特に慎重に扱われるだろう.むしろ北京コンセンサスは,情け容赦ないほどの革新・実験の精神(経済特区),国境と国益に対する強い防衛(台湾海峡),非対称的な権力手段の周到な蓄積(4000億ドルの外貨準備),によって特徴付けられる.その目標とは,成長し,しかも独立を失わない,ということだ.

中国の首相も,「協力型開発」と呼んで,ワシントン.コンセンサスのようにGDPだけを見ずに,環境を護り,腐敗を許さない点を強調する.共産党は,こうした質の高い成長を実現するための装置となる.ケ小平の「白猫・黒猫」論は有名だが,今の中国は緑色の猫,透明の猫だ.中国の開発モデルは,持続的で,開放的で,平等でなければならない.それが悲劇的な失敗でないことを示すに手段は,江沢民も言ったように,革新に次ぐ革新である.

中国はこれによって,平和的に覇権を握る.北京コンセンサスはその手段なのだ.アメリカよりも高い成長を,平等な社会で実現できる.世界中がそんな中国型の開発に倣うだろう.改革の矛盾を解消し,政治文化を作り変えて,世界が尊敬するような国になる.中国はアメリカと対抗するつもりは無い.ただ,世界が北京コンセンサスを望むだけだ.

(コメント) 中国のエリートが示し始めた理念を,文字通り受け取るよりも,バブルを正当化する新しい幻影ではないか,と思います.「北京コンセンサス」の理想や目標は示されていますが,なぜそれが実現できるのか,手段やプロセスは分からないからです.


FT May 6 2004

Samuel Brittan: Thank heaven for floating rates

By Samuel Brittan

(コメント) ドル暴落,国際収支不均衡,ユーロ圏の需要不足,そして中東地域の原油生産など,さまざまな地政学上のリスクなど,現在の世界経済がどのようなリスクにさらされているか,さまざまな意見があります.しかし,それらを正しく斟酌することよりも,Brittanは,もし現在までブレトン・ウッズ体制が続いていたら,どれほど困難が増しているか,を想像します.

固定レート制であれば,アメリカ政府はGDPの5%に及ぶ経常収支赤字を心配し続けるでしょう.早めにマクロ政策を引き締めろという圧力は,今よりはるかに強いはずです.しかも,国内の保護主義的な圧力は確実に高まり,輸入阻止や資本輸出抑制を狙った介入策が提唱されているはずです.

水晶玉で占うまでもありません.ブレトン・ウッズ体制の末期,アメリカ政府は多大なコストを払って,いわゆる利子平衡税を導入して資本輸出を妨げ,固定レートを守るために「アメリカ製品購入」の運動を展開していました.そして,ドル準備を溜め込んだフランスやドイツの政府から,世界中に借金して暮らす気か,と酷評されたわけです.そのような不満は,現在の政治対立をさらに悪化させたでしょう.しかし幸いなことに,今や,資本移転は民間が行っています.

変動レート制導入は,自由市場経済学者と極端な「拡大主義者」とが連携して,実現しました.それは彼らが提唱したというより,ヴェトナム戦争へのインフレ的な融資により,アメリカが他国の公的なドル準備に対して金を支払えなくなったから実現したのです.さらに,アメリカの産業界も安価なドルを望みました.リチャード・ニクソンが1971年に金の窓口を閉め,再建の試みがあったものの,1973年には変動レートに移行しました.

変動レート制が不可避的なものでなかった以上,それが生き延びたと考えることも十分に可能です.すなわち,金価格を引き上げてから,アメリカ政府はブレトン・ウッズ体制を再建するか,あるいは,金価格を維持するためにマクロ政策で急激なブレーキを踏むわけです.そんな変動レートの反対物がどれほど有害であるか,人々は簡単に忘れてしまいます.イギリスは,変動レートを望むなら共同市場には入れないぞ,と脅されたし,ミルトン・フリードマンもエドワード・ヒース英首相に,変動レートは共通農業政策と矛盾する,と言われました.変動レートを支持したりすると,村八分にされるぞ,とシティーの先輩が忠告してくれた,とBrittanも言います.

各国政府が変動レートに慣れるには時間がかかり,最初はアメリカによる課徴金によって強制されたほどでした.未だに,アメリカは中国や日本の「ダーティー・フロート」を批判しています.しかし,こうした国がいくら外貨準備を積み上げようと,輸入に高い値段を支払い,アメリカを助けて損をしているのは,それらの国の市民たちなのです.

また,BrittanはEUの新加盟諸国に助言します.まだユーロに飛び込むのは早すぎる.今は,自由を楽しめるだけ楽しめ,と.

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The Economist, April 24th 2004

Asia’s other miracle

Indonesia: Ready for the big one

South Korea: The comeback kid

(コメント) もう一つのアジアの奇跡は起きるか? とThe Economistは注目します.アジア通貨・金融危機を経て,漸く,世界市場に耐えられる政治システムへの対応が,アジアにも起きるのではないか,というわけです.また,韓国やインドネシアが変われば,アジアの政治経済情勢は根本から変化すると予感させます.日本はどうでしょうか?


Interest rates: The end of cheap money

The economy: And for my next trick

Financial markets: When rates rise

(コメント) グリーンスパンがあまりに長く異常な低金利を支持したために,その逆転がデフレの悪夢を蘇らせる,とThe Economistは批判します.株価,住宅価格,債券市場,レバレッジを多用する銀行,新興市場の債務,いずれも危機を準備しています.


Ecuador: Not so loco

(コメント) エクアドルのドル化が成功したのは,@これまで深刻であった,経済の不安定性を払拭できた.インフレが抑えられ,金利差が低下した.A財政も黒字になった.B海外からの投資も増えた.C貿易収支も均衡した.D主要な輸出品である石油の価格が上昇した.E世界的な金利水準も低下した.Fドル安が進んだ,などと説明されます.しかし,ドル化によって経済が競争的になったか,と言えば,まだまだだと考えます.選挙が近付くにつれて高まる賃金引上げの要求や財政支出の約束と,政治リスクの増大は,ドル化の真価を問うはずです.


Economics focus: The prices of peace

(コメント) コペンハーゲン・コンセンサスの続きです.他国の内戦状態を介入によって安定化するべきか? 内戦のコストは甚大です.しかし,介入にも多大のコストがともないます.その得失を,5つの方法について判定します.すなわち,1.最貧諸国に援助を増やす.2.国際協調を通じて,援助計画の対象から内戦国を外す.3.内戦国との取引を監視・制限する.4.内戦の再発を防ぐために,内戦後の安定化に援助を集中する.5.内戦の再発を防ぐ軍事的な介入を行う.

後の選択肢ほど,内戦がもたらすコストと国際介入のコストの合計を減らすことができます.しかし,純経済的な視点では,要するに,絶望的な貧困と内戦の危機に瀕する国や地域は帝国に属するべきだ,という結論になってしまいます.