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フェミニスト経済学日本フォーラム2008年度大会
【連絡先】JAFFE 2008年度大会事務局
〒184-8501 小金井市貫井北町4?1?1 東京学芸大学 教育学部 人文社会科学系 松川誠一研究室気付
電子メール seiichim@u-gakugei.ac.jp
学会ウェッブサイト http://devgen.igs.ocha.ac.jp/jaffe/
フェミニスト経済学日本フォーラム2008年度大会のご案内
日 時:2008年4月19日(土) 午前9時より
会 場:滋賀大学彦根キャンパス(滋賀県彦根市, JR東海道本線・琵琶湖線、彦根駅 降車徒歩25分)
参加費:会員 2000円, 非会員 3000円(学生は2000円)
共通論題
ベーシックインカムへのフェミニスト的接近:
ペイエクイティ、生活賃金、家事労働
趣旨説明 共通論題座長 山森 亮(同志社大学)
近年ベーシックインカム構想が、日本においても注目を集めつつある。英語圏の研究においては、福祉国家の危機以降ワークフェア的な政策動向が顕在化する なかで、それへの対案として注目を集めてきた。日本においても一方で生活保護などの領域で「自立支援」という名前でワークフェア的政策の導入が図られ、他 方で貧困問題が多数派の目にも顕在化してきた状況のなかでここ数年議論が活発化している。しかしながらこの構想が、女性たちの運動から、家事労働への賃金 要求という形をもとりつつ出てきたことは、英語圏においても日本においても、ベーシックインカム研究のなかでは殆ど言及されることはない。また現在ではい くつかの国でジェンダー平等のための政策パッケージの一部として、ペイ・エクイティなどの労働政策と並べて要求されていることも、日本ではそれほど知られ ていない。他方フェミニスト経済学日本フォーラムに集う研究者のあいだでは、ペイ・エクイティや生活賃金(リビング・ウェイジ)などについての研究や、家 事労働論などの研究について、優れた研究蓄積がある。これらを踏まえて、本フォーラム独自の視点からのベーシックインカム構想への接近として、一方での家 事労働の可視化の動きと、他方でのペイ・エクイティ、生活賃金などの労働分野でのジェンダー平等を求める動きと、ベーシック・インカムがどう関連している か、また関連しうるのかについて議論を行いたい。
このような問題設定での学問的シンポジウムは日本のみならずおそらく英語圏でもほとんど行われていないように思われる。結論を少しだけ先取りすれば、女 性たちが、ひとり親として生活していくための「生活賃金」を要求していくという点で、ベーシックインカム、ペイエクイティ、生活賃金の要求には共通点が あったことが明らかになろう。しかしこれらには看過できない相違点もあるだろうし、また別の共通点もあるかもしれない。これらが明確になり、またアンペイ ドワークをめぐる議論がこれらとどのように関連するのか、そこからどのようなジェンダー平等に向けた政策
パッケージが考えられうるのかについて議論を深めることができれば、本共通論題の所期の目的は達成されたことになる。そして例えばひとり親世帯の労働、福 祉、家計など、共通論題テーマに関連して、本フォーラム会員の優れた研究蓄積があるので、会員相互の活発な議論の時間を保障すべく指定発言者(報告者と討 論者)を6人ではなく5人にしている。労働研究と福祉研究、実証と理論、歴史研究と政策提案、などの垣根を超えた議論を通じて、フェミニスト経済学ならで はの何かが生み出さることを期待したい。
大会当日のスケジュール
9:00~9:50 自由論題 第1報告
A会場 【報告者】奥村則子(お茶の水女子大学大学院)「独自一己の生計――女性に生活賃金を提言した大阪市社会部調査の背景」
B会場 【報告者】長田華子(お茶の水女子大学大学院)「女性の経済活動参加とエンパワーメント――バングラデシュ首都ダカの縫製労働者とメイドの調査を事例に」
D会場 【報告者】安里和晃(龍谷大学経済学部非常勤講師)「外国人介護労働者に対する雇用主の評価――台湾における施設介護の事例から」
10:00~10:50 自由論題 第2報告
A会場 【報告者】大橋史恵(お茶の水女子大学大学院)「中国における「素質」の言説装置と農村女性の職業訓練――家政サービスをめぐって」
B会場 【報告者】榊原裕美(横浜国立大学大学院)「経済政策とフェミニズム――スウェーデン・メイド論争にみる分岐」
D会場 【報告者】藤田朋子(大阪府立大学大学院)「家事分担の詳細分析――夫婦の家事実態調査からの検証」
【共通論題 会場:C会場】
テーマ「ベーシックインカムへのフェミニスト経済学的接近:ペイエクイティ、生活賃金、家事労働」
11:00~11:50 共通論題第1報告
山森 亮(同志社大学)
「家事労働に賃金を」:ベーシックインカム要求運動とジェンダー(pdf)
12:50~13:40 共通論題第2報告
居城舜子(常葉学園大学)
ペイ・エクイティと生活賃金:性差別賃金を解消する戦略としての可能性
13:40~14:30 共通論題第3報告
小沢修司(京都府立大学)
ベーシック・インカムの可能性と労働
14:30~16:20 コメント・総括討論
【討論者】伊田久美子(大阪府立大学), 田村哲樹(名古屋大学)
【司 会】大沢真理(東京大学)
◆総会終了後、午後6時より懇親会(会費5000円)を行ないます。
◆本大会は非会員の方にも公開されています。関心のある方に広く周知していただければ、幸いです。