これまでに実証的にその効果が確認されている行動的技法と認知的技法を効果的に組み合わせて用いることによって,問題の改善を図ろうとする治療アプローチを総称して認知行動療法と呼びます 注1)。
近年注目を集めている認知行動療法ですが,成人を対象とした場合に比べて子どもを対象としたものは,まだまだ日本で普及を見せているとはいえません。認知行動療法をよく知らない場合,あまり子どもに向いていないという誤解をする方も多いようです。しかしながら,回数をある程度定めて行うこと,子どもの1人ひとりの個性に合わせて支援方法を立案していくこと,実際の体験や生活の中での練習を重視すること,過去ではなく現在の問題を解決していこうとすること,そして最終的にはクライエント自身のセルフコントロール目指すこと,といったさまざまな特徴を知れば知るほど,認知行動療法は,むしろ子どもさんの支援に適していると気づかれることになると思います。
認知行動療法の普及を通じて,子ども達の健やかな心身の成長を支援していくことこそが研究会の究極の目的です。
注1:坂野雄二(2000).臨床心理学キーワード 有斐閣双書.
(参考) 児童青年に主に用いられる認知行動的技法の一連 (下記文献を一部改編して HP作成者が作成)
(臨床児童心理学――実証に基づく子ども支援のあり方ーー 石川信一・佐藤正二(編) 2015年 ミネルヴァ書房)
注:PT = ペアレントトレーニング,SST = 社会的スキル訓練