CVD装置 燃料噴射装置 堀場製作所との連携


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混合溶液を用いた減圧沸騰噴霧によるCVD新気化供給装置の開発 

2005年-同志社大学が取り組んでいる研究開発事業CVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)を応用して、堀場製作所が新たな薄膜形成技術を開発しようする取組。従来のコーティング技術にはコスト面においても無駄が多いが、新しく噴霧燃焼という視点を取り入れた研究開発は非常に有効なものである。

単なる産学連携ではなく、産業活性化や社会貢献に役立つような地域密着型の技術移転を目指すことが大切。学生たちがプロジェクトに参加して企業の皆さまと共同研究を行い人材育成の場として大学本来の目敵をはたす重要な意味がある。社会的使命を認識しなら、新しい技術開発に取り組むことが大事である。

2006年-同志社大学、千田二郎教授と堀場製作所などは、半導体製造でシリコンウエハー上につくる絶縁膜の厚さを従来の十倍以上精密に制御する新技術を共同開発した。自動車エンジンの燃料噴射技術を応用した。半導体製造装置メーカーなどの参加を図り、実用化を目ざす。減圧下に液体を噴射させ気化し成膜する。断熱膨張による気化のため高温を必要としない利点があり、金属酸化物などへの適用が期待される。すでに次世代半導体に使われるDRAMのキャパシタ(蓄電装置)の材料である五酸化ニオブの成膜に成功しており、CVD(化学的気相成長法)装置のコンパクト化につながるとみて研究開発を進める方針。次世代以降の半導体プロセスでは金属酸化物など材料が多様化する中で、従来の加熱気化方式は温度を上げる必要があり原料分解を起こす問題がある。この問題を解決するために近畿経済産業局の地域新生コンソーシアムの一環で自動車エンジンのインジェクターをCVD装置に適用する開発を行った。この技術は減圧沸騰噴霧気化方式を採用し、高温に保持した気化器、配管が不要になるため装置のコンパクト化、省エネ化に貢献する。

2010年-気化供給装置開発 次世代LSI対応 科学技術振興機構(JST)のプロジェクト

同志社大学と堀場製作所と共同で、次世代LSIに使う高誘電率の材料を作成する新しい「気化供給装置」を開発した。微細化が進むLSIに対応し、より高い誘電率を持つ高性能な膜を作れる。2010年4月20日に企業化開発の成果として認定された。大学などの研究を基に、企業が開発を担うJSTの「独創的シーズ展開事業・委託開発」の成果で、約2億6000万円の開発費をとおじて実用化研究を進めている。

  ※参照文献 以下記事


2005.6         同志社大学 LIAISON 11号
「混合溶液を用いた減圧沸騰噴霧によるCVD新気化供給装置の開発」千田二郎 / 2005.6 LIAISON 11
2006.6.9        日本経済新聞
半導体絶縁膜 厚さ、精密に制御 同志社大、堀場製作所 車エンジン技術応用
2006.6.19       化学工学日報   
自動車の燃料噴射技術 CVD装置に応用 同志社大・堀場製作所 金属酸化物に適用へ
2007.11        日経サイエンス
究極のエンジン研究から次世代の半導体
2010.4.21       日刊工業新聞
高誘電率の膜作成 気化供給装置開発 次世代LSI対応 同志社大と堀場製作所