第52回中日理論言語学研究会

日 時:2021年06月06日(日)
開催方式:zoom(オンライン)


ご報告:

関係者の皆様へ: 先にご案内させていただいた第52回中日理論言語学研究会は6月6日(日)、Zoomオンラインにて、およそ70名の方々にご参加いただき、成功裏に終わりましたことをご報告申し上げます。

楊氏は已然事態について、中国語の場合、「説明・描写」などを目的とする発話において「了」を使用しないことがあり、日本語では、話し手の心的態度を表明する場合、「疑問詞+ル」形を用いることがあると指摘されました。下地氏は受動文について、日本語は話者の感情移入されたものが主語になるのに対して、中国語は変化結果の担い手が主語になることが本質的な違いであり、いわゆる「被害」の意味は二次的に生起した意味であると提案されました。徐氏は語順と格体系について、黄河甘青流域の諸方言は黄河中原流域の諸方言と異なっていることを紹介した上で、「NP1-与格 NP2 有」の構文は、異民族との接触によってつくられた新しいタイプの混合文で、黄河中原流域に見られないという興味深い考察がおこなわれました。フロアからも多くの質疑がなされ、盛り上がった会となりました。お忙しい中、ご発表・ご参加いただいた皆様に心より御礼を申し上げます。

なお、次回の第53回中日理論言語学研究会は9月に開催予定です。詳細は追ってご連絡させていただきます。皆様のご参加を心よりお待ちしております。

それでは、今後ともご指導・ご鞭撻の程、何卒よろしくお願い申し上げます。




<発表者及び発表題目(敬称略、順不同)>
(発表概要(PDF)を一部公開いたします)


シンポジウム:「漢語と諸言語との比較」

楊凱栄(東京大学):
「已然事態における未然形式の意味機能−日中対照を通じて−」(PDF)

下地早智子(神戸市外国語大学):
「ヴォイスのレベルと日中受動構文における「被害」の意味−「受動者への感情移入」か「変化結果の強調」か−」(PDF)

徐丹(法国国立東方言語文化学院/法国科学研究センター東アジア言語研究所):
「再談黄河流域的語言」(PDF)






※著作権は発表者にあり、引用される場合「中日理論言語学研究会第52回研究会発表論文集」を明記すること