(前半から続く)


 経済不況の回避

PS Apr 13, 2020

Anatomy of the Coronavirus Collapse

ESWAR PRASAD, ETHAN WU

急速な回復は見込めない。アメリカ経済は停止し、ヨーロッパ、日本は以前の停滞に加えて不況になり、中国の回復も限られるだろう。インドや新興市場も対策を採れない。中央銀行の政策はすでに限界に達している。

国際社会の政策協力が投資や消費を再生する必要がある。

VOX 13 April 2020

Remobilising the workforce for ‘World War COVID’: A two-imperatives approach

Richard Baldwin

ウイルスの封じ込めに必要な封鎖が、人びとの忍耐の限界を超えないように、バランスが必要だ。そのカギは、労働の再建である。

NYT April 13, 2020

Why We Desperately Need Oversight of the Coronavirus Stimulus Spending

By Neil M. Barofsky

FP APRIL 15, 2020

After the Coronavirus, the Era of Small Government Will Be Over

BY JAMES TRAUB

NYT April 16, 2020

Starve the Beast, Feed the Depression

By Paul Krugman

4週間で2200万人が失業手当を申請した。議会の支援策はすでに枯渇しつつある。われわれが必要とする経済支援策を得られないとしたら、それはトランプ政権と共和党の、政府を攻撃するイデオロギーのせいであるだろう。経済的な困難は増し、パンデミック後の回復を妨げる。

中小企業は破産し、州政府や地方の自治体は資金が枯渇し、郵便局も破産寸前だ。それらを救済する財政支出はどこから資金を得るのか? もちろん、連邦政府は借り入れるからだ。金利は非常に低い。投資家たちは喜んで買うだろう。問題は救済策の融資ではなく、イデオロギーだ。

FT April 17, 2020

Henry Paulson: Save globalisation to secure the future

Henry Paulson

世界はウイルスによって脅かされているだけではない。孤立主義の波及も同様に深刻な脅威である。世界は統合によって繁栄している。貿易、資本移動、技術革新、グローバルな機関の衰退、閉鎖は、世界の回復を困難にする。

FT April 17, 2020

Corporate bailouts need more of us to share the pain — and gains

Tom Braithwaite

FT April 17, 2020

Payment holidays are messing with America’s $2.2tn mortgage machine

Laura Noonan

FP APRIL 17, 2020

Globalization Will Look Very Different After the Coronavirus Pandemic

BY RICHARD FONTAINE

YaleGlobal, Tuesday, April 21, 2020

COVID-19: Turning Point for Globalization?

Hans Yue Zhu


 トランプの独裁

FP APRIL 13, 2020

The United States Is Getting Infected With Dictatorship

BY STEPHEN M. WALT

1940年代のアメリカが、リンドバーグの大統領当選によって、ゆっくりファシズムに支配されていく、という番組をHBOが放送した。

2016年にドナルド・トランプが大統領に当選してから、多くの警告が無視されてきた。確かに、良いニュースもある。アメリカ国民は今もリベラル社会の理想を信じている。コロナウイルス危機に対しても、多くの寛大さや無私の精神が示された。トランプがどれほど人々の怒りを増幅し、非難を避ける天才であるとしても、増大する死者数や経済の急激な悪化を隠すことはできない。

しかし、トランプはそれを意に介さないだろう。11月にも権力にとどまるためなら何でもするつもりだ。民主的な手続きを無視してもよい。彼を告発した独立した検察官を回顧し、自分の仲間をポストに指名する。ウィスコンシン州では選挙を延期しなかった。郵送による投票も認めなかった。それは民主党の支持票が増えるからだ。

アメリカのコロナウイルスによる死者数は朝鮮戦争やベトナム戦争の死者数を超えた。経済的な損失は大不況を超えるだろう。それはトランプや共和党に選挙結果を自分たちに有利なものにする機会を与える。

最悪のシナリオは、バイデンが11月に勝利したとき、トランプがそれを受け入れないことだ。いくつかの重要な州で投票結果を疑い、最高裁に決定を求めるだろう。トランプの支持者たちは任期の延長や辞任拒否を唱えている。

アメリカは過去25年間に民主主義を実現しそうにもない土地で広める努力を続けたが、その成果は乏しかった。そして今、本当の課題は、自分たちの国で民主主義を失わないことだ、とわかったのだ。

FP APRIL 13, 2020

Don’t Let Leaders Use Coronavirus As an Excuse to Violate Civil Liberties

BY SUZANNE NOSSEL

NYT April 14, 2020

It’s the Worst Possible Time for Trump to Make False Claims of Authority

By Neal K. Katyal

FT April 15, 2020

Coronavirus is also a threat to democratic constitutions

Constanze Stelzenmüller


 アメリカの模索

NYT April 13, 2020

Are We All in This Together?

By Michael J. Sandel

NYT April 14, 2020

Post-Pandemic, Here’s How America Rises Again

By Thomas L. Friedman

NYT April 15, 2020

Think This Pandemic Is Bad? We Have Another Crisis Coming

By Rhiana Gunn-Wright

FP APRIL 15, 2020

The Secret to Coronavirus Success Is Trust

BY MARK LAWRENCE SCHRAD

NYT April 17, 2020

Trump’s Dow-at-30,000 Dream Hurt America

By Roger Cohen

即座に、「この国に王様はいない」とニューヨーク州知事は言った。

トランプはマーク・トウェインの話に出てくる王様だ、アメリカの大ペテン師。もっと大きな災厄を前にして、亜米利加という広大な大陸を利用し、地位にとどまる機会を得た。


 IMFによる支援策

FT April 14, 2020

Europe and the US need a date for a soft restart of the economy

Hakan Samuelsson

FT April 14, 2020

Markets and economists are still too upbeat on coronavirus

Mohamed El-Erian

FT April 15, 2020

The world economy is now collapsing

Martin Wolf

IMFは「グレイト・ロックダウン」とよんだ。私は「グレイト・シャットダウン」という方が好きだが。なぜならロックダウンが終わった後も、世界経済の崩壊は続くから。

1930年代の大不況と第2次世界大戦がもたらし破局以来、最大の危機に直面している。大国間の分裂と、政府の最高レベルにおける無能力を経験している。危機は終わるとしても、何に向かうのか?

死亡者が減少しないうちにロックダウンを解除することはできない。検査、追跡、隔離、重傷者の治療に応じる能力を、大幅に高めるべきだ。そしてワクチンを製造する。

パンデミックにおいて国際協力がなければ、多くの死者が生じる。ウイルス感染もシャットダウンによる不況も、グローバルな現象である。医療的な対策が欠かせない。同時に、貧しい諸国への経済的支援も欠かせない。債務免除、支援・贈与、低利融資である。IMFSDRsを大規模に発行し、不要な諸国から必要な諸国への移転を行うべきだ。

トランプ政権から、EUの中にまで、ネガティブ・サムのナショナリズムが広まっている。

病気を抑え、ロックダウン後の回復のためにシステムに投資し、国民と経済能力を保護するために支出しなければならない。いかなる国も孤立しては生きられない。

われわれはそれを成し遂げるのか?

FT April 15, 2020

IMF’s grim forecasts show financial risks loom

The Guardian, Wed 15 Apr 2020

Will coronavirus shock the global economy into long-term thinking?

Larry Elliott

コロナウイルスは予測できなかった。それは自然の驚異だ。グローバリゼーションが終わるわけではない。

2008年の銀行崩壊後も資本主義を改革する話は多くあった。しかし、しょせん話だけだ。今度もそうである。危機に対する備えはまるでなかった。金利は低くして、医療システムには投資しなかった。

過去30年間、グローバル市場、それはもっぱら金融市場であったが、規模と範囲を拡大してきた。長く、複雑なサプライチェーンを構築した。ホット・マネーが高収益を求めて新興市場に流れ込み、問題があるとなれば一気に流出した。多国間の協力は失われ、危機に対して中央銀行だけが現金を供給し続けた。19世紀以来、実質賃金の伸びは最低の10年間を経て、労働者たちの極貧状態はすぐそこに迫っていた。

しかし、中国がWHOに警告を発してからも、各国政府は何もしなかった。問題を放置したまま、バブルに浮かれていた。

変化は必ず起きるだろう。企業はサプライチェーンを短縮し、医療システムに投資する。しかし、パンデミックと闘い、経済的コストを抑える国際システムの強化はむつかしいだろう。

結局、世界金融危機は小さすぎて、何も学ばなかったのだ。今回は死者の数が違う。経済はあまりにも脆弱で、政府は労働市場を国有化しつつある。

資本規制、富裕税、グリーン・ニューディールを支持する最も強力な理由は、次の危機に向けて経済の回復力を高めるためだ。そして、危機は必ずやってくる。


 コロナウイルス危機と世界

FP APRIL 14, 2020

We Can Make the Post-Coronavirus World a Much Less Violent Place

BY ROBERT MUGGAH, STEVEN PINKER

世界では、コロナウイルスや戦争より、組織犯罪による殺人による死者の方が多い。それは変えることができる。

FP APRIL 14, 2020

The Coronavirus Threatens Some More Than Others

BY AUDREY WILSON

FP APRIL 14, 2020

In the Post-Coronavirus World, Chinese Power is Overrated

BY SALVATORE BABONES

FP APRIL 16, 2020

No, the Coronavirus Will Not Change the Global Order

BY JOSEPH S. NYE JR.

コロナウイルスによるパンデミックは地政学を変えるだろうか? グローバリゼーションの終わりや、中国がアメリカを超えて国際秩序を変える、という予測は間違いだろう。1918-19年のパンデミックも第1次世界大戦以上に多くの死者を出したが、次の20年間に起きたグローバルな変化を決定したのは、病気ではなく戦争だった。


 WHO批判

FT April 15, 2020

The world needs a new, depoliticised WHO

Izabella Kaminska

The Guardian, Wed 15 Apr 2020

The Guardian view on the WHO and coronavirus: Trump’s blame game

Editorial

PS Apr 15, 2020

How Global Public Health Could Revive Multilateralism

ARANCHA GONZÁLEZ

NYT April 15, 2020

Trump’s Deadly Search for a Scapegoat

By Nicholas Kristof

もしトランプ大統領がWHOを破壊するより、その助言を聞くことにもっと時間を割いていたら、多数のアメリカ人が今も生きていただろう。

世界がパンデミックと戦っているときにトランプはアメリカがWHOへの資金を止めると発表した、それは自分の失敗を隠すために他者を犠牲にする危険な試みだ。火事の最中に消防車を取り去るようなものだ。


 民主主義と不平等

FT April 15, 2020

A better society can emerge from the lockdowns

Amartya Sen

コロナウイルス以前にも、世界には多くの深刻な問題があった。

国内外に不平等が広がり、世界で最も豊かな国であるアメリカに、何百万人も医療保険を持たない人がおり、苦しむ必要のない病気に苦しみ、EUの間違った財政緊縮のせいで、弱い立場の人々を公的支援がないまま放置していた。反民主主義の政治が、ブラジルやボリビアから、ポーランドやハンガリーまで支持を広げていた。

パンデミックの経験を共有して、人びとはそのような問題を解決するために協力するだろうか?

2次世界大戦中の食糧が不足する時代に、イギリスでは栄養不良の事例が急激に減少した。食料の利用可能な量が大幅に減ることを知って、イギリス政府は、割り当てや社会的給付により、平等な配分を整備したからだ。同様のことは、医療サービスでも起きた。

その結果は驚くべきものだった。1940年代、戦争の時代に、イングランドとウェールズで、平均寿命が男性で6.5歳、女性は7歳も伸びたのだ。ともに、それ以前の10年をはるかに超える伸びであった。平等と、不利な立場にある人々に配慮する、という教訓は、戦後の福祉国家が出現するのに役立った。1948年、アナイリン・ベヴァンは、NHS(国民医療サービス)の最初の病院をマンチェスターに開設した。

政治が重要である。それは、支配者と統治される側との関係だ。戦争中、イギリスの平等な配分とは対照的に、イギリス領インドで恐怖のベンガル大飢饉が1943年に起きた。およそ300万人が死んだが、ラージ(植民地支配者)は何もしなかった。

現在、パンデミックに対する政策にも、平等は特に優先されていない。アメリカでは、アフリカ系アメリカ人が白人よりはるかに高い率で死亡している。シカゴのコロナウイルスによる死亡例の70%はアフリカ系アメリカ人であるが、彼らは住民の約3分の1でしかない。ブラジル、ハンガリー、インドでも、国内の格差が深刻な結果を生んでいる。

社会的な距離を取ることはウイルスの感染を抑えるために必要だ。しかし、それはロックダウンによる不利益を強いられる人たちへの補償とセットで行わねばならない。所得、食料、医療のアクセスを失う人々がいる。

われわれは不平等な世界に生きている。パンデミック後の世界が同じように不平等でなければならない理由はない。

PS Apr 15, 2020

Could Pandemic Lead to Famine?

MARTIN RAVALLION

FT April 16, 2020

The urban claustrophobia of India’s coronavirus lockdown

Amy Kazmin

私が知っている若い教師は、彼女の夫・通訳と2人の子どもと一緒に、1部屋に暮らしている。義理の父は台所で寝ている。


 ハイテク・ロックダウン

FT April 15, 2020

From balcony concerts to cyber drinks — the power of ritual in the corona age

Gillian Tett

FT April 16, 2020

Digital dating: why my love life is flourishing under lockdown

Madison Darbyshire


 パンデミック後の経済

FP APRIL 15, 2020

How the Economy Will Look After the Coronavirus Pandemic

JOSEPH E. STIGLITZ・・・エコノミストは自給する考えをバカにしてきた。国境は重要ではないと考えた。今、そうではないと分かった。パンデミック後の経済システムは、短期的思考を弱め、より自給的で、経済グローバリゼーションが政治のグローバリゼーションを大きく超えてしまった事実に敏感に反応するだろう。諸国は、グローバリゼーションと自給体制との間で、より良いバランスを探す必要がある。

ROBERT J. SHILLER・・・戦争と同じように、社会の雰囲気が変化した。新しい政策や制度が実現する。ユニバーサル・ベーシック・インカム、アメリカでは国民皆保険。諸国間のリスク・シェアリングを実現する制度が生まれるかもしれない。

GITA GOPINATH・・・パンデミック前から現れていた、企業や個人によるグローバリゼーションの逆転が加速する。しかし、これを政府は保護主義に利用する危険がある。

CARMEN M. REINHART・・・1930年代にグローバリゼーションが終わったのは、貿易障壁や資本規制だけでなく、40%以上の国がデフォルトになったからだ。世界資本市場は1950年代かそれ以後まで再生しなかった。パンデミック不況は同じことを生じるかもしれない。

ADAM POSEN・・・世界経済は4つの条件が悪化する。1.長期不況、2.回復力の国際格差、3.世界貿易・金融のUSドルへの依存、4.経済ナショナリズム。

ESWAR PRASAD・・・中央銀行は、かつて慎重で保守的だと思われたが、迅速、大胆、創造性を発揮して、パンデミック危機に対応した。財政政策は政治の複雑さによって事態に遅れている。

ADAM TOOZE・・・ロックダウンの経済危機は、1914年、1929年、あるいは、1941年だろうか? 企業や家計がリスク回避と安全への逃避に向かうなら、停滞が続く。債務を累積した政府・公的機関が緊縮に向かえば、事態は悪化する。危機からの脱出には、より積極的な、未来のビジョンを持つ政府が行動する必要がある。しかし、どういう政府か? どんな政治勢力か?

LAURA D’ANDREA TYSON・・・すでに始まっている労働のデジタル化と自動化が加速する。不平等が拡大する。エッセンシャル・ワーカーへの需要は強い。新しい機会を創り出す。しかし、非正規、不安定、パートタイムやギグワーカーが増えて、社会保障や給付がポータブルになる。Wi-Fiの通信環境を準備する投資が重要だ。

KISHORE MAHBUBANI・・・アメリカ中心のグローバリゼーションから、中国中心のグローバリゼーションに向けて移行が加速する。もしアメリカが国民の生活を豊かにすることを目指すなら、中国と協力する道を選ぶだろう。


 コービンとサンダース

The Guardian, Thu 16 Apr 2020

Corbyn and Sanders may have gone, but they have radically altered our politics

Owen Jones


 プーチン

YaleGlobal, Thursday, April 16, 2020

Oil Crisis Tests Putin’s Skill to Project Strength

Thomas Graham


 アマゾンの改革

FT April 16, 2020

How to teach your children about the stock market 

Moira O’Neill

The Guardian, Fri 17 Apr 2020

Coronavirus has made Amazon a public utility – so we should treat it like one

Wendy Liu

1994年に設立されてから、アマゾンは世界で最も価値のある企業になった。現時点で資本の市場評価額が1兆ドルを超えている。

コロナウイルスがアマゾンの成長を損なうことはないようだ。むしろ、逆である。他のビジネスが縮小し、破滅する中で、アマゾンはこうした新しい環境を利用して拡大する位置にある。毎秒、11000ドルの注文を受けている。アマゾンはすでに、アメリカのeコマースの半分以上を占めていた。10万人の労働者を新たに雇用する計画がある。

アマゾンはますます公益事業のように見える。カナダ政府と組んで医療器具を配達し、UK政府と組んで家庭用の検査キットを配達している。アマゾンは、パンデミック前に比べて、より強くなる企業の1つであるだろう。

アマゾンは、倫理的な行動規範を持たず、株主に対する利益を追求する点で顕著な成果を上げている。アマゾンはパンデミックで利益を上げるが、それはアメリカ人のすべてにとっての利益ではない。例えば、顧客はウイルスを恐れてアマゾンに注文するが、そのリスクは単にアマゾンの労働者に転嫁されるだけだ。

120億ドルを清算した後でも、ベゾスは、現在、アマゾン発行株の11%6000万株近くを所有している(昨年、離婚協定で、元妻が4%を所有する)。従業員も株式を所有するが、初期に幹部として雇用された者に集中している。

パンデミックで世界はより大きくアマゾンに依存するようになったが、アマゾンが動くために日々の仕事を誰が実行しているか考えるべきだ。荷物を箱詰めにし、配達しているのは、ベゾスではない。感謝するとしたら、少ない賃金で、過労状態の上に、感染リスクのある中、仕事に従事している労働者たちに対してである。

アマゾンが効果的な公益事業として機能するほど、われわれはアマゾンを公益事業として扱うべきだと考える。反トラスト法の適用、一種の国有化、分割、労働者保護や労働者支配権の強化。アマゾンの労働者たちを株主価値の祭壇に捧げて犠牲にするより、すべてのステークホルダーの要求にバランスを取るべきだ。

このようなことは不可能だと思われている。アマゾンを経営する者たちがその富とパワーを損なうような手段を採用するはずがない。

しかし、もしアマゾンが最初から労働者たちの利益に従う社会経済モデルに向けて動いていたら、その労働の成果はもっと公平に分配されていただろう。

FT April 17, 2020

Wall Street bets on a Big Tech rebound

Richard Waters in San Francisco


 パンデミックと富の再編

FT April 16, 2020

The pandemic and the radical change in wealth distribution to come 

Merryn Somerset Webb


 ポピュリスト

PS Apr 16, 2020

Hungary’s Disease Dictator

LÁSZLÓ BRUSZT

FP APRIL 16, 2020

The Coronavirus Is Exposing Populists’ Hollow Politics

BY ANDREA KENDALL-TAYLOR, CARISA NIETSCHE

FP APRIL 16, 2020

Trump Is Stirring Chaos in Kosovo at the Worst Possible Time

BY MIECZYSLAW P. BODUSZYNSKI, VICTOR PESKIN


 天変地異と秩序

PS Apr 16, 2020

Will COVID-19 Put us Right with Nature?

ROBERT SKIDELSKY

中国人の世界観では、天変地異と秩序とは結びついていた。秩序が敬意を失うと、自身、洪水、日食、伝染病のような変異や破滅的事件が起きた。

われわれ人類が地球との関係を変えた結果として、伝染病は疑いなく増えるだろう、と保健衛生学の専門家Alanna Shaikhは考える。温暖化がウイルスの増殖に適した環境を増やすだけでなく、地球の最後の野生領域まで人類が破壊するからだ。「アマゾンの熱帯雨林を焼き払い、・・・アフリカの最後の草原を畑に変え、中国の野生動物が絶滅するまで狩猟される」。

Shaikhは、グローバルな保険システムを設立することで早期に伝染病に対処する必要がある、と考える。各国は伝染病の感染者を発見し、隔離し、治療する。そのために、G7COVID-19債券を発行し、WHOを改革して発展途上諸国の医療システムを改善するため世界銀行が資金提供することを私は考える。

Shaikhは、「ジャスト・イン・タイム」は、危機において、十分な準備を持たないことが重大な問題となる、と指摘した。この批判はビジネス全体に当てはまる。効率的な市場が十分な「ストック」を持たなくした。危機に備える銀行の「準備」を減らしたことも、2008年の市場崩壊で「ショック」を経験した。

「ジャスト・イン・タイム」から「ジャスト・イン・ケース」に変える必要がある。理想的には、グローバルな機関が医療物資の戦略備蓄を維持するべきだ。その費用は各国の所得に対して課税する。同じことは、地域や国家、EU規模でも行える。

科学の作家Stephen Petranekは、基地の世界を終わらせる8つの事件を列挙した。パンデミック、太陽フレア、巨大地震、火山の爆発、生物学的事故、温暖化、核戦争、隕石の衝突。4つは「天災」だが、他の4つは人間と自然の関係を変えることから生じる。

NYT April 16, 2020

Does the Pandemic Have a Purpose?

By Stephen T. Asma


 中国

FT April 17, 2020

China’s GDP fall is a chance to ditch its national growth targets

Don Weinland in Beijing

FT April 18, 2020

China’s economy: the risk of a second coronavirus wave

Tom Mitchell and Xinning Liu

ウイルスの再来と、欧米市場における需要の消滅が、中国の成長回復を損なうリスクである。

******************************** 

The Economist April 4th 2020

A brim calculus

Corporate bail-outs: Bottomless Pit, Inc

The technology industry: Don’t waste a good crisis

Mozambique: Gas, guns and guerrillas

Pandemic trade-offs: Hard choices

The gig economy: Visible and vocal

Cuban doctors: Marcy and money

Sweden and corvid-19: Europe’s outlier

(コメント) インド、ロシア、アメリカの政治の在り方が問われます。

パンデミック対策が、その国の指導者の政治的計算によって、それぞれ違ってくること、経済が急激に落ち込む中で、考えられない規模の政府介入が必要になること、ロックダウンという選択とその解除に関して、深刻なジレンマがあること、ハイテクを駆使したプラットフォーマーのギグエコノミーが加速すること、産業政策や巨大企業と政治の癒着が深刻な遺産となること。

キューバが多くの医師を育て、国際支援と外貨獲得の手段として、パンデミックに成果を上げているケースと、老人たちの自己隔離と十分な医療体制を前提に集団免疫をめざすスウェーデンの特異な思想、そして、石油資源の開発をめぐる政治的混乱、不平等、軍・暴力、周辺諸国と多国籍企業。

******************************

IPEの想像力 4/20/20

「国民110万円支給」というのは、政策目標と効果の見えない、政治ショーではないか、という憂鬱な気分になりました。

目的に応じたタイプに分けて、支援金を給付すること。給付のプロセスを透明にすること。財源を示すこと。

たとえば、日銀が参加したパンデミック救済機構が債券を発行し、将来の(消費税ではなく)金融取引税で返済する。政府・議会の合意したタイプに応じて、適格とみなす事業に銀行が融資・投資する、あるいは、本人確認できた者に対して市町村が給付する、としたらよかったと思います。

****

この<政策>が行方の知れないものであると感じるのは、コロナウイルスで所得の大幅に減った者と減っていない者とが区別できないからです。さらに、現金給付する財源が政府の債務であるなら、将来の増税や他の支出の削減が予想されること、また、給付された現金は何に使われるのか、という疑問が答えられないことから将来への不信感を生じます。

外出するな、帰省も旅行もするな、と言いながら、現金を配って何に使うのか? 店を閉じ、職を失い、生活費に困る人は(一時的に)助かるでしょう。多くの人は貯蓄するのではないでしょうか。そして、ウイルスの感染が抑えられ、治療が安心して受けられる日々になれば、お店や観光地にも行ってあげよう、というのは、もちろん、経済の回復に有益です。

しかし、感染の波が何度も世界を周回し、地域や都市を往復するのであれば、回復はなかなか現れず、経済や社会の仕組み、配置、景観が根本から変質していくのだと思います。もっと戦略的な、生産や消費の割当制、生産の新しい組織化がともなわなければ、現金給付は資源と時間の消耗につながるでしょう。

****

長い目で見ると、パンデミック後の債務返済・償却について、国会がどのように議論するのか、期待しています。増税とインフレ。富裕税。タックスヘイブン廃止。金融取引やインターネット取引への課税。ハイテク大企業の規制。町の商店・工場の活性化。デジタル経済の加速とプラットフォーマーにますます支配される、パンデミック後に備えて、日本の社会を構想し、職場と暮らしを具体的に支援する仕組みを国民に説明するときです。

政治家たちに必要なのは、10万円給付ではなく、ベーシックインカム、ヘリコプター・マネー、デジタル経済化、ロボット・AIなど、未来に向けた猛勉強ではないでしょうか?

非常事態宣言でも、PCR検査でも、政治家の打算と躊躇を、ウイルスや医学の問題にすり替えていると思います。安倍首相がしないなら、小池・東京都知事や吉村・大阪府知事が、PCR検査を地域・無差別のサンプル調査することで、ウイルス対策の政治論争を転換できたと思います。

学校や商店の再開、経済回復をどのように議論するのか。増税のむつかしさをどのように説明するのか。年金・福祉・医療の問題が社会を分断することを避けているだけでは解決できません。景気が大幅に悪化し、回復が容易に期待できないとしたら、財政赤字、地域の衰退、若者の失業は深刻さを危機的水準に高めます。

ベトナムからの出稼ぎ労働者たちが町工場で働く姿だけが、希望を感じたニュースでした。

****

エドワード・ルースがトランプ政権の検査体制を批判し、十分な検査を実施しない状態を「連邦政府の不在」、「目を閉じたまま自動車を運転する」と厳しく批判しました。ボリス・ジョンソンと並んで、英米の早期対応の失敗と方針転換に注目しましたが、日本の安倍晋三の名は挙げていません。

WHOへの資金を止め、中国政府がウイルスの情報を隠蔽し、あるいは、研究所からウイルスが市中に広まったと主張して、ますます国際協力の否定や米中対立を煽る。それはトランプの再選キャンペーンとして、彼の計算された情報戦なのかもしれません。しかし、経済活動再開で株価を一気に回復させることに失敗し、感染爆発の第2波、第3波を経験した場合、トランプは何を考えるのか?

国民の意識を自分に集めるために残された選択肢は、おそらく、対外的な衝突、戦争行為である。ベネズエラに侵攻し、あるいは、イランとペルシャ湾で衝突する。中東が戦場となっても、米軍が撤退するという方針は変えない。トランプなら、時機を見て、躊躇なく実行するでしょう。

中国との衝突は望まないが、金正恩の突然死や失脚があれば、朝鮮半島が米中冷戦から、支配権を争う戦場に変わるかもしれない。核兵器はどうなるのか? パンデミックはどうなるのか?

******************************