(前半から続く)
● コロナウイルス危機と経済対策
VOX 05 April 2020
COVID-19
economic crisis: Europe needs more than one instrument
Agnès Bénassy-Quéré,
Giancarlo Corsetti, Antonio Fatás, Gabriel Felbermayr, Marcel Fratzscher, Clemens
Fuest, Francesco Giavazzi, Ramon Marimon, Philippe Martin, Jean Pisani-Ferry,
Lucrezia Reichlin, Hélène Rey, Moritz Schularick, Jens Südekum, Pedro Teles,
Nicolas Véron, Beatrice Weder di Mauro
1. A COVID Fund
2. EIB credit
guarantees
3. Dedicated
credit lines
VOX 05 April 2020
EU solidarity
in exceptional times: Corona transfers instead of Coronabonds
Daniel Gros
コロナウイルスは経済を悪化させ、EU諸国に異なった、深刻な影響を与えることは明白だ。この例外的な状況において、EUの連帯が保障されるべきである。最も脆弱な諸国は、不幸にして、しばしばウイルスの最も深刻な影響を受けており、支援に値する。しかしまた、支援する能力がある諸国は北部にあり、自分たちも急激な景気悪化を経験するだろう。
ユーロ危機と違って、今回の感染症は予想されなかったことだ。EU全体の負担するのが望ましい。しかし、どのような形で支援するべきだ。融資や譲渡か?
コロナウイルス・ショックに対してEU加盟諸国がコロナ債券を発行する、という提案がある。GDPの5-10%だ。全加盟国で共同保証する。それは債券を発行できないイタリア政府に救いとなるが、債務額が増えることに変わりはない。金利は低くなるだろう、他方で、すでに発行されている債券のリスク・プレミアが高まって、返済負担は増え、破滅に向けたらせん階段になるかもしれない。
それゆえ、融資ではなく譲渡するべきだ。しかし、もっとも単純に、EUがユーロ債を発行してイタリアに財源を移転することは条約に違反する。EU予算は均衡しなければならない、と定められているからだ。
幸い、解決策はある。イタリアなどの国に対して、EUが財源分担を数年にわたり免除すればよい。通常、すべての加盟国はGDPの約1%をEU共通予算として分担する。毎年、GDPの1%を免除によって得ることができる。
不足する分は「財政基盤が強い」北の加盟諸国が負担する。それは、およそ彼らのGDPの0.5%である。
PS Apr 6, 2020
When Will the
Pandemic Cure Be Worse Than the Disease?
PETER SINGER, MICHAEL
PLANT
FT April 7, 2020
Eurobonds are
not the answer
Gideon Rachman
われわれは連帯できるか? フランス蔵相はEU諸国民に訴えた。だれよりもドイツ国民に、コロナウイルス危機に連帯を示すことを求めた。
多くの南欧諸国民にとって、それはユーロ債を意味する。それはEU全体が債務を負うものだから。政治的、経済的に、支持する議論がある。最悪の被害を生じているイタリア、スペインなどが、さらに新しい債務を負うことを避ける。中国はイタリアに医療支援を送ったが、EU諸国は何もしなかった。そのイメージを拭い去る。イタリアやスペインの政治家には、ヨーロッパ統合への不信を示す者もいる。
しかし、EU内で債務の共同化を議論することは、常に、ドイツ人、オランダ人、オーストリア人、フィンランド人にとって、危険な話題の中でも、最も危険な問題である。オランダ、ドイツの有権者も、長い間の財政緊縮に苦しんできた。コロナウイルスで医療システムはパンク寸前だ。
北欧諸国が長期の不安を語るのは正しい。重債務諸国への財政移転が制度化されることを恐れるのだ。今度の苦しみを従来から何度も否定されたことを実現するために利用するのではないか、と彼らは心配する。
「そんなバカな!」 と、南欧諸国のユーロ債支持者は言う。しかし、政治指導者たちは長年の約束を破っても、人びとがポピュリストを支持するまで気にしなかった。イギリスのブレグジットで最もよく言われた離脱派の主張は、「そんな約束をしたつもりはない」、「EUはわれわれから資金を奪っている」であった。
ユーロ債は、まだこれから管理制度を作るのだから、おそらく発行するまでに何年もかかる。すでにあるESMが債券を発行して資金を融資する方がよい。しかし、イタリア人やスペイン人は、ESMが厳しい条件を付けることを恐れる。ギリシャへの融資がそうだった。今度は自然災害だが。
パンデミックの後で、ヨーロッパはユーロ債の論争に戻るだろう。それが政治的に持続可能なものにしたいなら、欧州委員会の財源を強化し、EU税を導入することだ。そして、欧州委員会は独自に市場から資金を調達する。危機を利用して各国に不可逆的な変化を強いるのは間違いだ。
VOX 06 April 2020
To fight the
COVID pandemic, policymakers must move fast and break taboos
Sony Kapoor,
Willem Buiter
稲妻のようなスピードで、巨人が駆けるように、ウイルスは世界経済を破壊した。それに見合った「衝撃と恐怖」の政策で克服するしかない。
各国は目のくらむような対応策を並べた。ECBのパンデミック資産購入プログラム、アメリカ政府が約束した何億人にも及ぶ直接的資金投入、EU全域におよぶ賃金補助給付、これらの史上空前の政策はまだ始まりに過ぎない。
政策担当者たちは、急速に行動し、タブーを打ち破る必要がある。結局、政府こそが最後の保険、最後の貸し手、最後の購入者であり供給者でもある。小さすぎ、遅すぎのリスクがあまりにも明白だ。
アメリカやEUの経済活動は、おそらく、少なくとも3か月間にわたり、消費、投資、貿易が崩壊するだろう。GDPが10%から20%も落ち込む。あるいは、もっと大きいかもしれない。これは政府の歳入に巨大な穴をあける。おそらく、30-40%も減少する。
他方で、政府はコロナウイルス危機の対策に、医療や社会介入政策だけでなく、社会保障や雇用保証にも、かつてない規模の支出を必要としている。巨大企業を救済したり、金融部門全体を保証したりするだろう。それはGDP比10%から20%、それ以上にもなる。危機とその後の対策により、イタリアの債務残高はGDPの160%、日本はGDPの270%に増大する。
それは財政緊縮の要求、政治の混乱、そのせいでユーロ圏経済の不況が続くかもしれない。また、世代間で不当な分配をもたらし、将来世代に大きな負担を押し付ける。むしろ、コロナウイルス危機に対する政府支出は中央銀行からの新貨幣発行で賄うべきだ。
リーマンショック後、中央銀行は多くのタブーを破ってきた。今は次のタブーを破るときだ。ECBと日銀は、特に、インフレ目標の達成に苦しんでいる。ここで大量の失業者が出れば、インフレ目標を大きく下回るだろう。企業や政府が破産状態になるのを、中央銀行は防ぐことができる。
しかし、中央銀行がヘリコプターでばら撒くように貨幣を市民の口座に供給する政策は、需要が不足しているときに効果的だ。また、こうした仕組みはこれから作るしかないから、時間がかかる。
現在の危機では、それと違って、医療から供給ライン、雇用保証、企業・銀行救済まで、政府が行動しなければならない。各国中央銀行がその資金を供給することが最善のマクロ政策だ。これによって財政的な保証に遅れることを避け、発展途上諸国支援にはIMFがSDRsを発行し、ECBから加盟諸政府が株主として追加資金を受け取ればよい。
VOX 07 April 2020
The economic,
political and moral case for a European fiscal policy response to COVID-19
Thorsten Beck
NYT April 8, 2020
Congress Needs
a Plan to Confront the Coronavirus. I Have One.
By Elizabeth
Warren
議会は3つの対策を承認した。しかし死者が1万2000人を超え、1000万人が職を失う、この悲劇の規模に見合った対策を、もっと多く、もっと早く、示すべきだ。
感染者は増大し、医療システムは崩壊寸前である。非白人の感染者、その死亡率が異常に高い。失業は大恐慌の水準に近付いている。医療崩壊の危機を封じ込めることが第1に優先されねばならない。市場がそれをできないなら、政府が生産者に命じて、重要な物資を供給させるべきだ。検査機、個人のための医療品、薬品の不足が起きている。ワクチンや治療薬を、数千ではなく、数千万の単位で。国民全員に医療サービスを無料で提供するべきだ。
労働者たちは職を失い、中小企業は閉鎖し、家計所得が激減している。家族や個人に向けた現金給付を超えて、経済救済を拡大しなければならない。消費者債務の徴収停止、立ち退きや差し押さえを全国で、一斉に延期する。水道や公共料金の徴収を止める。学生ローン債務の償却、チャイルドケアの提供を続けられる資金援助。社会保障給付や障碍者給付の増額。
医療、輸送・配達、農場、食品小売りなど、現場で働く労働者たちが、アメリカの機能を支える。大企業のように彼らは頼るものがない。議会は、労働者自身や家族が病気になったときの医療保障を国民全体について法制化するべきだ。職場の安全、非常時の安全基準、危険手当、労働者が危険な状態について発言できる集団交渉権を保障すべきだ。
● ヘリコプター・マネーの監督
FT April 6, 2020
Andrew Bailey: Bank
of England is not doing ‘monetary financing’
Andrew Bailey
FT April 6, 2020
Banks must show
they really can do ‘God’s work’
Philip Augar
FT April 6, 2020
The big banks
have a giant role to play in this crisis
Anneka Treon
FT April 7, 2020
Printing money
is valid response to coronavirus crisis
非常時において、特に戦争のとき、中央銀行は印刷した貨幣を政府に渡した。結果として起きるインフレに反対することは、危機の後まで、延期された。パンデミックにもかかわらず、世界はまだそこまでに至らない。いまのところまだ、独立した、インフレ目標に従う中央銀行の仕組みを変えることはない。しかし、こうした資金供給は、必要なら、利用可能な政策手段の1つである。
制限なく、政府に赤字を自分の作る貨幣で金融させれば、ハイパーインフレーションに至るだろう。しかし、このリスクは管理できる。過去10年間の量的緩和は、2%のインフレ目標に達していない。豊かな国に貨幣を押し込んでも、それは貯蓄を増やすだけなのだ。
量的緩和QEと財政赤字の貨幣化との違いは明白ではない。QEは一時的に国債の購入額を増やしただけだ、というが、その後の総裁が、それを恒久的な資産とみなすかもしれない。いずれにせよ、政府の借り入れコストは低くなる。また実際、最近のQEはますます恒久化されているように見える。
もしインフレが再現するようなら、中央銀行には、金利を上げるか、QEを逆転するか、物価の上昇を抑える手段がある。現状は、逆にデフレである。ECBを例外として、中央銀行はインフレ目標から上下のどの方向に外れてもいけない。
今度の大規模な経済活動の落ち込みでは、もっとも直接的な金融である「ヘリコプター・マネー」も、国民への現金給付も、選択肢に含まれる。問題は、中央銀行による貨幣供給ができるかどうかではなく、それが独立した中央銀行の下で行われるかどうかである。
PS Apr 8, 2020
Cryptocurrencies’
Time to Shine?
BRIAN ARMSTRONG
PS Apr 8, 2020
Mobilizing
Development Banks to Fight COVID-19
STEPHANY
GRIFFITH-JONES , RÉGIS MARODON, JOSÉ ANTONIO OCAMPO
コロナウイルス危機に対する貧しい発展途上諸国の資金需要に、さまざまな開発銀行の仕組みが利用できる。地域からグローバルな規模まで、さまざまな開発銀行が存在している。市場の失敗に対する民間プロジェクトへの融資がその目的だ。
FT April 10, 2020
Monetary
financing demands careful and sober management
Martin Wolf
絶望的な状況では、中央銀行が政府に貨幣を供給し、「ヘリコプターからばら撒くように」国民に貨幣を与えることもある。しかし、それはどういう意味か? そもそも意味があるのか? どれくらい危険か? どのように、だれが管理するのか?
イングランド銀行のAndrew Bailey総裁とイギリス大蔵省の意見は一致しない。巨額の国債を中央銀行が購入した場合、それを管理するのは中央銀行なのか? 自分たちだけで、その売買を決定できるか? 長期に、恒久的に保有することを求められるのではないか?
2つの知的な問題が関わっている。1つは、財政支出に直接に貨幣を供給する政策は、財政政策なのか、金融政策なのか? もう1つは、「恒久的に」保有するとしたら、それはどういう意味か?
この政策は両方を1つにしている。そして、日本銀行が事実そうしているように、恒久的ではない、という見せかけで行う。膨大な国債を保有し続けているとしても、中央銀行としては、政府に貨幣を供給しているつもりはない。それは意図の問題である。
真実はあえて語られない。不可逆的な国債の大量保有も、それがいつか売却されるかもしれない。真の問題は、そういうところにはない。
その政策には意味があるのか? 答えは、“Yes”である。戦争、深刻な不況、パンデミックのような、例外的な状況では、国民の生活と生命を守る政府の膨大な行動を支えるのも中央銀行の任務である。これに反対するのは狂信的なリバタリアンだけだ。中央銀行の独立性や物価の安定さえも、すべての状況で支持されるわけではない。
しかし、制御されない場合、財政への貨幣供給は無責任な支出をもたらし、インフレ高進や、ハイパーインフレーションという形での隠れた課税につながる。これを抑えるために中央銀行が、銀行への規制や多くの準備金を求めるなら、民間部門の発展を損なうだろう。
とはいえ、現在の危機を、政府が債務を増やすことで国民の所得や経済を維持しようとすれば、その後の緊縮策やその予想が経済拡大を損なうだろう。問題は、政府支出への中央銀行からの資金供給を、制度的、技術的に、どのように管理するか、である。
イスラエルのエコノミストEran Yashivは、時限制の、CORVID-19可逆的財政プログラム、を提唱する。プログラムの理事会は、財務省と中央銀行の代表、外部の専門家が構成する。
政策委を実施する場合、マネタリー・ベースの大幅な増加が、商業銀行の融資拡大に向かわせる。中央銀行は、金利を上げ(しかし、その場合、準備に高い利子を支払う)、あるいは、金利を支払わない準備を求める。インフレが急伸するかもしれないが、公開市場操作で過剰な準備を吸収する。
その提案も1つの手段でしかない。状況に応じて、特別なものが必要だ。それはハイパーインフレーションへの王道ではないし、実体経済が落ち込むのを解決する万能薬でもない。
政府がしなければならないことを助けるために、中央銀行は行動する。それを管理できる方法を見出すことだ。
FT April 10, 2020
Investors
should ask who will buy all of this new US government debt
Gillian Tett
FT April 9, 2020
The Fed’s
radical policies are uncharted territory
PS Apr 9, 2020
The COVID-19
Default Time Bomb
PIERRE-OLIVIER GOURINCHAS
, CHANG-TAI HSIEH
PS Apr 9, 2020
COVID-19 is the
IMF’s Chance for Redemption
JAYATI GHOSH
● イギリス労働党党首
The Guardian, Mon 6 Apr 2020
The Guardian
view on Keir Starmer: a serious politician
Editorial
● ドナルド・トランプ
PS Apr 6, 2020
America’s Gun Virus
IAN BURUMA
NYT April 6, 2020
Trump Is Gutting
Our Democracy While We’re Dealing With Coronavirus
By Noah
Bookbinder
国民がコロナウイルスと闘っているときに、その混乱によってメディアの関心が奪われていることを利用して、トランプはウクライナ問題で警告を発した担当者を追放した。法の支配に対する攻撃である。
FT April 7, 2020
Donald Trump’s
support rallies around his flag in the Midwest
Patti Waldmeir
NYT APRIL 7, 2020
Drop the
Curtain on the Trump Follies
By Michelle
Cottle
NYT APRIL 7, 2020
Trump Is the
Wartime President We Have (Not the One We Need)
By Susan E.
Rice
● インドの全土封鎖
PS Apr 6, 2020
India Besieged
SHASHI THAROOR
VOX 08 April 2020
India’s
lockdown
Debraj Ray,
Sreenivasan Subramanian, Lore Vandewalle
● 中東の移民・難民たち
NYT April 6, 2020
Will the Virus Trigger
a Second Arab Spring?
By Frederic Wehrey
コロナウイルスは中東の移民・難民たちに破滅的な影響を与えるだろう。パンデミックが体制の正統性とガバナンスの欠如について、一層の憤りと不満を高める。権威主義体制の強化に利用されるだろうが、それはいつまでも続かない。
アラブの春と、昨年の各地で起きた抗議デモは、住民を包括するガバナンス、汚職の撲滅、経済的な公平さ、テクノクラートの行使する強制的な政策が、唯一、中東の混乱を治める道である。パンデミック後の中東世界で、市民たちの要求はさらに強まる。
FP APRIL 6, 2020
The Coronavirus
Will Cause New Crises in Latin America
BY MICHAEL
ALBERTUS
PS Apr 7, 2020
Can Latin
America Afford to Fight COVID-19?
ALEJANDRO
IZQUIERDO , MARTIN ARDANAZ
FT April 8, 2020
Virus scare tactics
are the wrong approach in war zones
Chloe Cornish
● イブン・ハルドゥーン『歴史序説』
FP APRIL 6, 2020
The Coronavirus
Is Accelerating History Past the Breaking Point
BY KYLE HARPER
1377年、アラブ世界の学者で引退した政治家であるイブン・ハルドゥーンが有名な『歴史序説』を発表した。その結論は、社会のダイナミズムには普遍的な法則がある、というものだ。彼は人類文明のすべてに関する法則を示そうとした。
もっとも独創的なアイデアは、asabiyyah(集団としての連帯感)の概念である。人類史の基本パターンとは、王朝の循環、文明の盛衰、そしてアサビーヤ、すなわち、共通の目的意識、社会的結束がパワーの源泉であり、王朝や文明の興隆を可能にする集団的行動につながる。しかしまた、成功や繁栄は連帯感を損なう。それゆえ、文明は必然的に、かつ、その内部から腐敗し崩壊する。
イブン・ハルドゥーンは、社会・政治領域と経済・人口変動とを結びつけた。注目すべきことに、このアラブの歴史家は、伝染病がその過程に統合されることを予見していた。彼は黒死病を経験した。疫病は神や自然の摂理ではない。合理的な説明を要する現象だ。なぜなら伝染病は人口増加の結果であるから。優れた政府のある文明が繁栄するとき、人口が増加し、逆説的だが、それが致命的な伝染病の引き金を引いて、社会の崩壊に至る。
ベルリンの壁崩壊や、2001年の9・11でツインタワーが崩落したときのように、何か歴史的な瞬間を生きている、という共通の感覚が顕著に現れるときがある。われわれは過去のパターンに注目し、その答を医学や経済モデルだけでなく、歴史に求める。歴史もまた、コロナウイルス危機の原因と、危機後の世界を教えてくれる。
FT April 8, 2020
What the first
world war tells us about battling coronavirus
Norma Cohen
FT April 9, 2020
Coronavirus has
exposed our arrogant relationship with nature
Johannes Vogel
● スラム居住者、ホームレス、難民キャンプ
FT April 7, 2020
We must focus
attention on our next steps
Martin Wolf
The Guardian, Wed 8 Apr 2020
The coronavirus
crisis could end in one of these four ways
Devi Sridhar
NYT April 8, 2020
A Billion People
Live in Slums. Can They Survive the Virus?
By Lee W.
Riley, Eva Raphael and Robert Snyder
コロナウイルスは飛行機やクルーズ船で旅行できるような人たちによって世界中に広まったが、今や、社会的に無視された、見えない都市のスラムに迫っている。
何十億人もスラムに暮らしている。そこは、国連の定義によれば、安全な水や衛生状態が利用できない、劣悪な住居、過密状態の、不安定な居住状態を意味する。
スラムの住民には呼吸器系の感染症に弱い。2018年に出たデリーの報告では、スラムのインフルエンザ感染率は、スラム外のコミュニティーより4倍も高かった。
過密、栄養不良、衛生状態の劣悪さ。清潔な公共トイレも、清潔な水ない。排泄物を燃料として屋内で燃やし、窓がない、換気が悪い。
最も重要な要因は、支配エリートがこうした限界状態にある住民を無視してきたことだ。
介入は慎重に行う必要がある。社会的な距離を取る対策は、スラムで意味がない。たとえそれがギャングでも、スラムのコミュニティーを組織する者と協力しなければならない。スラムの感染を過小評価したことが医療資源を不当にわずかな程度でしかスラムに配置していない。
コロナウイルスの経済的コストはスラム住民にとって極端に厳しいものになる。住民の多くはインフォーマル経済の労働者である。それはロックダウンによって消滅するものだ。New Delhi, Mumbai, Cape Town, Manila,
Karachi, Rio de Janeiro and Nairobi, Kenyaで、スラム住民は苦しんでいる。
っブラジル、メキシコなどで、以前から貧困層への政府による条件付き現金給付計画があった。インドはすでに、ロックダウンの3か月間、貧困層への食糧配給や現金給付を決定した。
職を失った労働者たちは再訓練を受け、自分たちの近隣におけるコロナウイルス対策に雇用されるべきだろう。ブラジルのFamily Health Strategy programは、スラム住民を訓練して雇用した。
インフォーマルな住民地区は最も豊かな諸国にも存在する。Los Angeles, Seattle, New York City,
Oakland, Calif., Paris and Londonにあるホームレスの集合地域はパンデミックに弱い。世界の難民キャンプもそうだ。
世界の公衆衛生システムと各国政府は、スラム居住者、ホームレス、難民キャンプを忘れてはならない。
FP APRIL 8, 2020
Migrant Workers
Can’t Afford a Lockdown
BY SOPHIE COUSINS
PS Apr 9, 2020
A Global
COVID-19 Exit Strategy
NGAIRE WOODS,
RAJAIE BATNIJI
パンデミックで各国は。以前より閉鎖的、ナショナリスティックになっている。しかし、迅速にグローバルな協力を実施しなければ、世界はこの危機から抜け出せない。すなわち、検査体制、医療機器の供給システム、ワクチン開発と普及、早期警戒、最貧困層への支援体制。
● テキサスの変身
FT April 7, 2020
Texas: how the
home of US oil and gas fell in love with solar power
Gregory Meyer
in New York
● 女性
PS Apr 7, 2020
Where Women
Stand
LAURA TYSON,
ANU MADGAVKAR
● サンダースの退陣と革命
FT April 8, 2020
Vindication of the
state does not spell victory for Democrats
Janan Ganesh
NYT April 8, 2020
Bernie Sanders
Was Right
By Elizabeth
Bruenig
FP APRIL 8, 2020
How the World Got
Berned
BY MICHAEL
HIRSH
FT April 9, 2020
Bernie Sanders
exits just as big government returns
Edward Luce
バーニー・サンダースが敗北する状況を考えた誰一人として、まさか、アメリカ議会が財政赤字を4倍増にするとか、有力な共和党員たちがこぞってユニバーサル・ベーシック・インカムを称賛する、などと考えたことはなかっただろう。大きな政府がまさに要請されているときに、サンダースが選挙運動をあきらめるのは、皮肉なことである。
ロナルド・レーガンは、「私は政府の者だ、あなたを助けてあげる(“I’m from the government and I’m here to
help”)」というのは、最も危険な9つの英単語だと言ったのは有名だ。しかしコロナウイルスはアメリカ人に、政府の不在こそ、危機の間の最も憂うるべきことだ、と教えた。
しかしまた、コロナウイルスこそサンダースにとどめを刺した。自宅退避の命令は、突如として、選挙戦を不可能にした。
火曜日のワイオミング予備選が示したように、多くの投票者がサンダースを支持するために遠くから集まって、何時間も危険な状態で列をなした。サンダースの、大衆動員戦術が不可能になったのは明白だった。今後、アメリカ大統領選挙は、デラウェアの自宅から中継するバイデンと、コロナウイルス対策で放送を独占するトランプとの対決になる。
2020年選挙には、多くの失敗した選挙戦術が並ぶだろう。しかし、サンダースはその中身を変えた。サンダースの遺産として、民主党は左派に寄り、バイデンは、その経歴のいかなる時期よりも、経済に関してポピュリストに近づいた。
サンダースが退場したとき、バイデンは認めた。「まるで注目されず、というのも、まったく議会で承認される見込みのない、諸問題が今や政治論争の中核に現れた。所得の不平等、国民皆保険、気候変動、大学無料化、学生ローンからの解放。これらこそ、バイデンと彼の支持者たちが命を吹き込んだ問題である。」
バイデンの仕事は、トランプ大統領の怠慢を糾弾することになるだろう。サンダースの早期退陣は、バイデンを有利にした。結局、だれかがツイッターでつぶやいたように、サンダース革命はテレビで見せるものではない。ZOOMでも無理だ。しかし、彼の退陣こそトランプの敗北を引き寄せたのであり、革命をなしたと言える。
FP APRIL 9, 2020
Let the Referendum
on Trump and Trumpism Begin
BY DANIEL B.
BAER
誰が見ても、サンダース上院議員の民主党大統領候補者争いからの退場は、ジョー・バイデン元副大統領の代表獲得数から見て当然だった。
しかし政治においては、ときに道がなくても、意志がある。指名されるまで戦い抜くと決意したサンダースの支持者たちがいた。最終的に、サンダースが退場を決断したのはコロナウイルスのパンデミックと経済危機だった。それはこの数か月においてバイデンを助け、民主党を助け、サンダース自身を助けるだろう。
サンダースの退場は、アメリカ国民と世界に対して、11月の大統領選挙が持つ意味を明確にした。明確さは、この「不確実な時代」に重要なことだ。
民主党とバイデンは、大統領選挙に向けて組織と戦略を見直すだろう。トランプがアメリカで、また海外で破壊したものを修復できる、原則を持った、能力の高い、専門的な政権を組織する、と主張するだろう。
2020年の選挙は、アメリカにとってだけでなく、世界にとって最も重要な政治的事件になる。サンダースの退場がアメリカの同盟国と敵対者に明確にしたことは、トランプに代わるのはバイデンだ、ということだ。多くのパートナーたちがこのニュースを歓迎しただろう。バイデンは彼らと旧知であるからだ。
バイデンも、この退場によって機会を得る。彼はコロナウイルスに政府が取る対策に全力で取り組むだろう。それは史上空前の2兆ドルという規模が認められたCoronavirus
Aid, Relief, and Economic Security (CARES)である。
象徴的な選挙戦を続けるより、上院議員として、民主党内の指導的な政治家として、具体的な政府支出に取り組むほうが、この数か月間を、サンダースンにとって重要なものにする。
● 石油価格
FP APRIL 8, 2020
5 Reasons Why a
Global Agreement to Prop Up Oil Prices Won’t Work
BY JASON
BORDOFF
FP APRIL 9, 2020
Russia Is Losing
the Oil War—and the Middle East
BY STEVEN A. COOK
● 国連はどうなる?
FP APRIL 8, 2020
Can the United
Nations Survive the Coronavirus?
BY COLUM LYNCH
● 台湾モデル
FP APRIL 9, 2020
Taiwan Is
Exporting Its Coronavirus Successes to the World
BY NICK ASPINWALL
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The Economist March
28th 2020
The next calamity
The state and covid-19: Everything’s under control
America’s rescue package: Mixed medicine
Economic policy and the virus: Building up the pillars of state
Special report: The African century
Free exchange: How to pay for the pandemmic
(コメント) 核心を突く、暗闇を抜けるような議論は見つけられなかった。
ウイルスの対策は、わからない。経済政策も、わからない。財政負担と中央銀行の正しい姿勢も、わからない。
「アフリカの世紀」はおもしろい。人口の急速な増加、しかも、人口の半分が20歳以下だ。人びとは都市に集まり、雇用を求めている。民主的な政府と経済成長との関係を積極的にとらえている。独裁者たちを倒す手段を鍛えるだろう。
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IPEの想像力 4/13/20
コロナウイルスによる都市封鎖、外出禁止令が、市民生活を一変させ、世界大恐慌と大不況を再現しつつあります。
アメリカの投資家は、まだ、危機後の急速な回復と株価上昇を期待しているようです。政府の大規模な補償や現金給付は、経済の落ち込みをできるだけ回避し、凍結と、危機後の回復に備えるものです。デジタル経済化が大幅に進み、グローバリゼーションの逆転も、すでに、危機前からハイテク技術の労働節約や米中の新冷戦(ただし、これもトランプの再選に向けた政治ショー)で限定的な再編が進みつつありました。
コロナウイルス危機は、まだ、「風の谷」のような集落を「腐海」に点在させる未来を想像するほど、深刻なわけではないのです。
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危機の終わりが見えません。コロナウイルスは、最終的に、どうなるのか? ウイルスが完全に消滅するのか? あるいは、ウイルスの毒性が増して、人類が完全に死滅するか、辺境に孤立して暮らすしかないのか? ウイルスも、人類も、変異し続け、ウイルスと共存できる免疫を獲得した人類だけが生き残るのか?
各国政府が試みていることは、短期的なロックダウンと、長期的な集団免疫との間で、感染のスピードを遅らせ、医療崩壊を避けることと、他方で、経済活動と雇用・所得をできるだけ維持して、大恐慌を避けることです。
ロックダウン(外出禁止と経済の凍結)と集団免疫(弱者の死滅)の間をバランスさせる武器としては、マスクや防護服、隔離施設、人工呼吸器しかありません。時間(そして莫大な資本、研究者の協力体制)を費やして、ウイルスの研究を進め、ワクチンと治療法が見出されるのを待っています。
****
ウイルスや感染症という「病気」が私たちに問うのは、もちろん、私たちの「健康」な姿、その意味です。この社会は平等で公正か? 社会として、どのような存在をめざすのか?
遠隔で、インターネットを通じて働くことができる人もいますが、畑や倉庫で働く人、建設作業、配達や警備、輸送システムの運営、保守点検で現場を回る人もいます。
働く者の生活やその報酬がこれでよいのか? という問いを社会はまだ受け止めていないように思います。もし医療従事者が「働くこと」を拒否し始めたら、どうなるのか? それは報酬の問題や、自分たちの命、家族、将来だけでなく、医療をめぐる政治や社会の異なるあり方を求めるからです。
外出禁止令で、中小企業や商店街は倒産と閉店を強いられ、農家、漁師、酪農家など、生産者の直接統制経済(戦時経済)が再現し始めています。プラットフォーマーとロジスティクス、それを担う低賃金労働者の大軍。そして危機は、住宅を失ったホームレスや、故郷が戦場となった難民たち、異教徒、異民族への迫害とともに、集団的隔離、追放や暴力を顕在化します。
富裕層は富の正当な所有者か? 資本や所有制の根本が疑わしいと感じるでしょう。たとえ富裕層は感染を遮断した別荘で暮らすとしても、また、彼らの所得がどこかの投資ファンドやタックスヘイブンから湧き出すとしても、かつてセレブとして称賛されたような指導的地位を社会が与えることはないでしょう。
民主主義は正しい権力の制御方法か? 医療関係者、高齢者の危機、イタリアのような医療崩壊とパニック、大量死が目の前に現れるまで、政府は行動しないのか?
個人主義や自由主義は制限されるべきか? 強い統制は、その合理的な根拠を必要とし、実効的な仕組みは、ハイテクによる行動監視、負担と痛みの関連付けを求めるでしょう。自粛や閉店を求めるなら、補償や生活を明確に支持しなければなりません。どのような水準で維持できるのか、規範だけでなく、行動基準を示し、それを意図的に無視し、破る者には、高い税率を課し、食糧の配給を止め、医療の順番を遅らせることになるでしょう。
こうした仕組みは、もちろん、可能です。スマートフォンとIOTの時代、さまざまな電子機器にはセンサーが付属し、インターネットを介してデータが蓄積され、町中に何万台もの監視カメラがあるのです。日本も含めた欧米社会がテロや犯罪捜査に利用し、中国が国民に社会評価制度を導入しているように、ウイルスの感染とその社会的コストを個人の評価や負担にリンクすることは、危機後の社会にきっと組み込まれるでしょう。
だからこそ、インターネットの在り方に付きまとう不安は深刻です。この詐欺的な「情報」×「監視」社会。投機に沸く金融市場。ネットが広める差別、性暴力。グローバルな文明の暗渠に消える子供たち。・・・
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国民一人当たり10万円給付。それは素晴らしい政策なのか?
そういう政府こそ、日銀に財政赤字を現金給付させ続けてきたのではないか? 株価が上昇しているときには自慢していた国民年金の運用はどうなったのか? 東日本大震災や福島原発処理コストの負担はどうなったのか? 今後、世界中で政府債務が急増するなら、金融市場を介して、日本はどのような影響を受けるのか?
以前、FTのコラムで、全員に給付されるなら、自分は家政婦に来てくれていた女性に小切手を渡したい、というアメリカの話を読んで、なるほど、そうだな、と共感しました。外出禁止で働く機会を失い、困っている人が多いだろう、と心配したからです。ぜひ10万円をもらったら、本当に困っている、子供を育てながら苦労して働くお母さんへの支援金として使いたいです。
国家は確かに最後の保証人であり、国民の生活を守り、生活と経済の再生を支援しなければなりません。しかし、だれを、どのくらい、どうやって支援するのか?
しっかり提案して、説明するよう、政府に求めます。そして、野党は今こそ、しっかり斬新なアイデア、具体的な、実効性のあるプランを示して、政府と論争しなければなりません。
パンデミックが民主主義を活性化した、という国の1つに、日本がなってほしいです。
・・・『ブレグジット×トランプの時代』
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