(前半から続く)
FP MARCH 17, 2020
Trump’s Big
Turnaround: Cash Payments Instead of a Payroll Tax Cut
BY KEITH
JOHNSON
The Guardian, Wed 18 Mar 2020
Scientists have
been sounding the alarm on coronavirus for months. Why did Britain fail to act?
Richard Horton
The Guardian, Wed 18 Mar 2020
The Covid-19
crisis is a chance to do capitalism differently
Mariana
Mazzucato
コロナウイルス危機が世界に与えるストレスの規模と深刻さは、1918年のスペイン風邪に匹敵する。グローバルな行動がなければ、感染は止められない。政府が行動するしかない。
1980年代から、政府は前に立たず、ビジネスが富を動かし、創り出すことを許してきた。政府が介入するのは、問題が起きたときだけだった。甚大なシステミック・ショックが起きるまでは動かない。だから準備は不足していた。公共サービス・公共財の供給機関は弱体化し、放置されていた。
ビジネスが公共生活で重視されることは、政府への信用を失わせた。公共財より利益を追求する官民の協力関係が支配した。たとえば、研究・開発でも、公衆衛生にとって非常に重要な医薬品でも、商業的な利益が少なければ、むしろ「大儲けできる」薬の開発が優先された。
何より、不平等化する社会で、労働者の保護やセーフティーネットが失われた。ギグエコノミーで社会的保護を得られない労働者が増えている。
しかし、コロナウイルス危機がわれわれの資本主義の見方を変えるだろう。政府がすべきことは再考される。持続可能で、包括的な成長パターンを創り出すように、市場を積極的に政府が形成し、創出する。官民協力は、利益よりも公共的関心が優先される。
第1に、危機に対する予防と対応に当たる機関に投資する。第2に、研究・開発の協力体制を組織する。コロナウイルスのワクチン開発を空前の規模で推進するべきだ。第3に、官民協力関係を、公共目的に向けて再編する。好況期には補助金を与え、利益を増やしたビジネスに、投機や不況期の過大な価格を許してはならない。
第4に、2008年の世界金融危機の教訓を学ぶべきだ。救済するだけでは意味がない。必要な、新しい経済の一部になることを条件づけるべきだ。たとえば、グリーン・ニューディールの実現、技術革新に労働者が適用するのを助ける投資である。
資本主義の革新をもたらす、この危機を無駄にしてはならない。
The Guardian, Wed 18 Mar 2020
British
democracy is about to be tested. I believe it can pass
Rafael Behr
FT March 18, 2020
Financial
crunch looms as economies reel from coronavirus shock
Michael Mackenzie
FT March 18, 2020
Rise in Italian
yields has echoes of eurozone debt crisis
Tommy Stubbington
FT March 18, 2020
Bernanke and
Yellen: the Federal Reserve must reduce long-term damage from coronavirus
Ben Bernanke
and Janet Yellen
現在の課題は2008年の金融危機と異なっている。金融システムが崩壊しかけて凍結した状態を、再開させることが当時の課題であった。今の危機は金融システムから発生していない。パンデミックによるダメージに対する懸念が広がっている。それは金融政策で取り除くことができない。
公衆衛生の必要から、人びとが働きに行くこともできない状態になる。コロナウイルスによる経済的ダメージが短期であれば、不況は厳しいけれど短期に終わる。
しかし、低収入が数か月に及ぶなら、破たんする企業が出てくる。パンデミック後も回復は容易でないだろう。企業が労働者たちをレイオフし、彼らはスキルを失い、さらに、家族が住宅を失うかもしれない、それゆえ一時的な所得と売り上げの減少を融資することが求められる。
民間の銀行が、コロナウイルスでダメージを受ける企業に融資することはむつかしい。連銀はいくつかの方法でこれを助けることができる。
FT March 18, 2020
Fiji is preparing
for the coronavirus hurricane
Aiyaz
Sayed-Khaiyum
PS Mar 18, 2020
Europe Is
Unprepared for the COVID-19 Recession
YANIS VAROUFAKIS
PS Mar 18, 2020
The ECB Must Finance
COVID-19 Deficits
PAUL DE GRAUWE
需要と供給が同時に衝撃を受けてドミノ効果を生じている。特に固定費用が大きな企業は倒産するかもしれない。こうした企業の融資している銀行も危険である。
危機を緩和する政府も、財政危機を恐れる。金融支援策や補助金を支出する政府は、税収が減ることと重なって、財政赤字と債務比率が爆発的に上昇する。失業手当を支給し、大規模な銀行を救済するかもしれない。
2008年の金融危機と同様、需要の減少を抑える緊急の政府支出により、ドミノ的な崩壊を防ぐために間隔をあける、マクロ経済的な「ソーシャル・ディスタンシング」を行うべきだ。コロナウイルスの直撃で、政府債務残高のユーロ圏上位4大国に入る、イタリア、スペイン、フランスの債務が急増する。
そして最後のドミノ効果、ユーロ圏加盟諸国の政府間の政府の債務危機を抑えるには、政府支出がECBによって支援される必要がある。しかも、ECBの量的緩和を再開するだけでは不十分だ。それがこの危機における政府債務を増やさない、ユーロ圏加盟国への貨幣供給であるべきだ。
新しい債務はECBにより現金化される。確かに、それが法的な問題や、インフレを生じるという懸念は出るが、どちらも間違いだ。遅かれ早かれ、コロナウイルス危機だけでなく、経済のデフレを抑える必要に直面するだろう。
旧思考を捨てるべきだ。
PS Mar 18, 2020
Containing the
Dollar Credit Crunch
PHILIP TURNER
PS Mar 18, 2020
What COVID-19
Means for International Aid
ARVIND
SUBRAMANIAN
コロナウイルス危機は、発展途上諸国への援助の在り方を変える圧力になるだろう。
開発援助に関しては、強硬な反対派(Lord Peter Bauer, Milton Friedman, Angus
Deaton, and Bill Easterly)と強硬な支持派(Jeffrey D.
Sachs, Bill Gates, and Bono)とが対立している。
援助には2つの種類があることを区別するべきだ。1つは、個々の途上国の成長を促す援助、もう1つは、グローバルな公共財GPGsを供給する援助だ。援助が成長にプラスであるという証拠を見出すのはむつかしいが、GPGsの供給は明らかに必要だ。すなわち、農業生産性を高める技術移転、気候変動の抑制や影響の緩和、知識・情報の普及、そしてもちろん、パンデミックの予防と対策である。
しかし、援助の圧倒的に多くがGPGsには向けられない。その理由は援助に関わる双方の利益や目的がGPGsを軽視するからだ。GPGsの供給に融資しても、その効果は遠い先で、漠然としており、援助供与国に明確な利益をもたらさない。
パンデミックを抑えるためには、開発援助の構造を変えるべきである。
NYT March 18, 2020
Give Every
American $2,000, Immediately
By The Editorial
Board
経済は急速に落ち込んでいる。至急、すべてのアメリカ国民に、1人当たり2000ドルを支給するべきだ。
NYT March 18, 2020
The Era of
Small Government Is Over
By Jamelle Bouie
小さな政府の時代は終わった。コロナウイルス・ショックで不況が迫る中、単なる景気刺激策ではなく、ニューディールを再現する必要がある。
FP MARCH 18, 2020
Sorry, America,
the Full Lockdown Is Coming
BY LAURIE
GARRETT
FP MARCH 18, 2020
Is the
Coronavirus Crash Worse Than the 2008 Financial Crisis?
BY ADAM TOOZE
アメリカの危機管理体制はパンデミックに対して準備していなかった。もはや不況は避けられない。必要なのは、刺激策ではなく、企業倒産と長期のダメージを抑制する全国的なセーフティーネットである。金融的な心臓まひの危険がある。
アメリカの株価が下落したとき、同時に、債券価格も下落した。これは危険である。財務省証券は安全性を求める投資家のリスク回避手段であるはずだ。ドルから投資家が逃げる兆候といえる。
中央銀行間の協力は不十分だ。スワップ網は、2007年末から、ドルによって形成された。トランプと政権の共和党ナショナリストが、グローバルな中央銀行間協力を拒むのではないか、と危惧された。しかし、そういうことは起きなかった。パンデミックで自宅を出るのも危険だと心配しているとき、ナショナリストの原則など気にしない。
新興市場を含む流動性供給はできるのか。コロナウイルス対策で優れた韓国や台湾からも、資本が流出する危険がある。中国の人民銀行は、2008年、ドルとのスワップを結ばなかった。独自に、人民元建てのスワップ網を築くようになった。
世界が最も恐れるのは、中国がドル建債券を売ることだ。そのとき、アメリカは人民元を借りるのか。アメリカ連銀は、議会の反中国派の怒りを買って攻撃されるのを恐れる。
FP MARCH 18, 2020
With Biden
Bearing Down, Trump Plays the ‘Wartime’ Leader
BY MICHAEL
HIRSH
ドナルド・トランプの選挙戦は戦争モードに切り替わった。
The Guardian, Thu 19 Mar 2020
Peacetime
constraints ditched in the war for economic survival
Larry Elliott
FT March 19, 2020
Coronavirus, Ray
Dalio and forecasting in an age of uncertainty
Gillian Tett
FT March 19, 2020
World is awash
with more debt than it can handle
Michael Howell
FT March 19, 2020
We need tax
breaks and direct grants to sectors hit by pandemic
Adair Turner
3つの問題に間でバランスを取る必要がある、流動性問題、支払不能問題、需要不足問題。
金融システムであれ、実体経済であれ、中央銀行はそのダメージを消すだろう。しかし、特定部門の支払不能問題を解決するだけでは不十分だ。客の来ないお店、レストラン、ホテル、航空会社は、どれほど金融緩和しても、2カ月で潰れるだろう。もし労働者が大量解雇されるのを避けようと思えば、財政支出の増大が必要だ。福祉国家なら、医療費や失業手当で、そうした支出が自動的に伸びる。アメリカはその点で、政府による行動がさらに必要だ。
しかし、それでも不十分だ。隔離や封鎖では、どれほど余剰資金を持つ人でも支出できないのだから。雇用を維持するための補助金が必要だ。コロナウイルスによって強いストレスが生じている部門に集中するべきだ。企業が倒産しないように、税金や地代の負担を解消する。
さらに特定部門から景気回復に視点を移せば、長期のインフラ投資を行うべきだ。理想的には、炭素排出量を減らすような投資を行うことだ。
これらすべてが政府債務を増やし、GDP比率を上昇させるだろう。しかし自国通貨を持つ国なら、中央銀行が財政赤字の一時的増加を融資できる。政府の債務負担をともなわずに、刺激策を実行できる。
FT March 19, 2020
National action
cannot fix a global pandemic
Philip Stephens
30年に1度の、おそらくは100年に1度の、共通の危機に対して、指導者たちは先入観を払拭して取り組むべきときである。21世紀の歴史は米中対立が決めるだろう。しかし、この瞬間だけは、米中の利害が1つになった。ヨーロッパ諸国もそうだ。
しかし、ワシントンと北京は反対方向を観ている。パンデミックでも非難合戦だ。国際的な対応はバラバラだ。グローバルな脅威に対して、人間の本能は内向きになる。国境を封鎖した。トランプは、ウイルスが消えるフェイクニュースで、非現実的な数週間を無駄に過ごした。いつもは連帯を求めるメルケルも、今回は違う。
南北も、東西も超えて、G20こそ国際協調の舞台になるべきだった。しかし、大国間の不一致を先に解消するべきだ。議長団を決めるべきだろう。トランプと習近平、そして、たとえば、メルケルとマクロンを加えてはどうか。
米中は貿易戦争をやめて、障壁を取り去ることから始める。習にとっては、中国がグローバル・ガバナンスの4極を占めることになる。EUの統一と指導力を回復させる。トランプにとっても、これは有利な交渉だ。
しかし、こうしたわずかな1歩でさえ、時代錯誤のナショナリズムによって拒まれる。
FT March 19, 2020
Donald Trump
and the need to lead by example
Edward Luce
FT March 19, 2020
China’s
property sector is at the epicentre of the crisis
Paul Hodges and
Daniël de Blocq van Scheltinga
中国の都市封鎖の2次的な影響として、不動産市場が悪化している。それは注五億GDPの25%を占める重要な市場である。
不動産関連企業・開発会社がキャッシュ・フローを改善する試みは、オフショア・ドル市場に影響している。そこでは不動産関連企業が主要な借り手である。
中国の不動産部門がグローバル債務危機の震源地になっている。ドルに対する人民元の下落も、不動産関連企業の債務維持コストを加えている。
FT March 19, 2020
The Fed must
act to keep markets functioning
PS Mar 19, 2020
The False Crisis
Comparison
STEPHEN S. ROACH
世界金融危機の後に連銀が行った危機救済策を挙げて、コロナウイルス危機に対処する議論を行うのは間違っている。
PS Mar 19, 2020
Averting
Economic Disaster Is the Easy Part
ANATOLE
KALETSKY
PS Mar 19, 2020
Only Multilateralism
Can Save Us
ANNE O. KRUEGER
株価の急落と不況に向かうパンデミックこそ、過去の危機に学ぶべきだ。国境を越える危機に対して、アメリカの大統領たちは国際協力を組織することで対応に成功してきた。しかし、トランプは違う。国際協力を無視したままだ。
NYT March 19, 2020
Of Course Trump
Deserves Blame for the Coronavirus Crisis
By Michelle
Goldberg
NYT March 19, 2020
3 Rules for the
Trump Pandemic
By Paul Krugman
FP MARCH 19, 2020
Europe’s
Central Bank, in About-Face, Swoops in to Save a Virus-Afflicted Continent
BY KEITH
JOHNSON
The Guardian, Fri 20 Mar 2020
Coronavirus has
shattered the myth that the economy must come first
Adam Tooze
2020年のコロナウイルスによる商店の閉鎖は、現代における最も劇的な日常生活の中断である。それは戦争のようだと言われる。1914年や1939年が思い出される。しかしこの危機は、物資の動員ではなく、逆に、移動の停止を命じるものだ。
同時に、すべての思考が逆転する。
1990年代には、経済学が原理としてあった。他の議論はそれに従った。経済学が共産主義を倒し、独裁者を倒す。グローバリゼーションに反対する議論は、まるで季節が変わるのに反対するように、ばかげている。そう、トニー・ブレアは言った。
しかし、コロナウイルスがやってきた。ウイルスが経済を支配する。
市場ではなく、政府が行動するしかない。ウイルスを封じ込め、人びとの移動を禁じ、食糧を配る。
The Guardian, Fri 20 Mar 2020
Coronavirus has
exposed a desperate need for localism
Simon Jenkins
FT March 20, 2020
The ECB will do
everything necessary to counter the virus
Christine Lagarde
FT March 20, 2020
Toilet rolls
and Treasury bonds tell the same panicked story
Gillian Tett
FT March 20, 2020
ECB and Bank of
England deploy their big bazookas
FT March 20, 2020
Rich countries
cannot win the war against coronavirus alone
Raghuram Rajan
国境の封鎖はウイルスを封じ込めるものではないだろう。この戦いは必然的に世界的なものだ。基本的な武器は世界中で生産を組織しなければならない。検査キット、消毒液、マスク、医療用防護服、人工呼吸器。
WHOは特に発展途上諸国における医療支援を行わねばならない。世界銀行、アジア開発銀行が速やかにグローバルな基金を設けるべきだ。融資や富裕国の寄付から成るだろう。医療スタッフが足りない。多くの発展途上国がイタリアよりもさらに不足しており、工業諸国でも封じ込めるまでに医療関係者が不足する。最善の処置を共有し、限られた医療スタッフを、それが最も必要な諸国に送るべきだ。
新興市場や発展途上国からの資本流出が起きるだろう。ドルは強くなり、輸出する商品の価格が暴落する。この何年も流入していた低利融資が一斉に脱出する。工業諸国と違って、アメリカ連銀とのスワップ網はない。IMFからのドル融資に頼るしかない。
IMFは特別融資枠(特に低所得諸国に対して)を増やすように要求するべきだ。それが十分でないときは、準備通貨発行国が信用リスクを抑えるための流動性供給を諸国に行うべきだ。
貿易に関しても同様である。医療関係の物資を輸出禁止にすることは、政治的には理解できるが、実際は、逆効果である。合意的な行動基準を設けるべきだ。
中国とアメリカが緊張を高めてきた。これまでに課した貿易・投資に関する制限措置を、経済が完全に回復するまで、双方が取り下げるように合意するべきだ。
こうしたすべての行動には指導力が必要である。アメリカはG7を指導しなければならない。トランプ大統領はG20を好まないが、次の議長国はサウジアラビアだ。コロナウイルスとの闘いの勝敗は、指導力にかかっている。緊急事態により、この最も希少な資源が供給されることを願う。
FT March 20, 2020
Find ways to
make better use of idle resources to fight virus
Tim Harford
FT March 20, 2020
The coronavirus
fightback will make lasting changes to economies
Michael
Mackenzie
PS Mar 20, 2020
What the G20
Must Do
PAOLA SUBACCHI
PS Mar 20, 2020
What Would
Keynes Say Now?
ROBERT
SKIDELSKY
イギリスのRishi Sunak蔵相は、大幅な赤字予算案を示して「ケインズも承認するだろう」と宣言した。FTも、道路などへの公共投資を「1970年代以来」と称賛した。しかし、この10年間、支出カットをもてはやしてきたのがFTである。
私はまだ「ケインズ復活」ということに懐疑的だ。ケインズは財政赤字だけを支持したのではない。同様に、黒字も支持した。
なぜ今なのか? 保守党政権は2010年に始めなかった。今の失業率は4%だが、当時は10%もあった。彼らは、財政健全化計画によってその余地がなかった、というだろう。勝手に決めた制約を理由に、失業者の苦痛を無視したのだ。
さらに、この時期に政府支出を増やせば、経済の循環的変動における間違った時期に拡大を刺激する。また、40年間もインフレ抑制を重視してきた政府が、そのリスクを全く無視している。完全雇用状態で需要を追加すれば、急速にインフレが進む。彼らは1970年代の「ゴー・ストップ」政策を再現するだろう。
戦争経済とは物不足の経済であり、銃を生産するためにバターをあきらめる。バターは配給制にするしかない。需要の不足が問題ではなく、需要の追加によって供給が増えないことが問題だ。
ケインズは1940年の『戦費調達論』で、イギリス市民が消費を削減する必要を理解していた。それは高価格、もしくは、増税を意味する。そしてケインズは、インフレよりも公平であるという理由で、強い累進的な課税(最高限界税率は97.5%)を支持した。
しかも、最貧困層から集めた税金は、戦後、政府が払い戻すことを提案したのだ。
PS Mar 20, 2020
What Would
Roosevelt Do?
PAVLINA R. TCHERNEVA
VOX 20 March 2020
The COVID-19
bazooka for jobs in Europe
Luis Garicano
VOX 20 March 2020
Coronavirus
meets the Great Influenza Pandemic
Robert Barro,
Jose Ursua, Joanna Weng 20 March 2020
VOX 20 March 2020
Coping with
disasters: Lessons from two centuries of international response
Sebastian Horn,
Carmen Reinhart, Christoph Trebesch
VOX 20 March 2020
Another
‘Samuelson, 1948’ moment? Evidence from machine learning
Samuel Bowles,
Wendy Carlin
NYT March 20, 2020
This Is the One
Thing That Might Save the World From Financial Collapse
By Adam Tooze
今世紀で2度目の経済崩壊に瀕して、アメリカ連銀は世界にドルを供給するだろうか?
アメリカはドルを地政学的な武器にも使っている。ロシアや中国は、ドルのスワップ網に参加していない。それは、コロナウイルス危機において、どのような意味を持つのか?
NYT March 20, 2020
The Best-Case
Outcome for the Coronavirus, and the Worst
By Nicholas
Kristof
今後の1年で、200万人以上のアメリカ人がコロナウイルスによって死亡し、葬儀も行わずに埋葬されるだろう。
2021年春の、異なるシナリオがある。数千人の死者を出すが、そのほとんどは80台、90代の老人だ。人びとは免疫を持つか治療薬が普及しており、経済は回復している。
NYT March 20, 2020
This Is the Stimulus
We Need Right Now. It’s Not $1,000 for Every American.
By Reed Hundt
FP MARCH 20, 2020
A Tale of Two
Quarantines
BY MELINDA LIU
FP MARCH 20, 2020
China Is
Fighting the Coronavirus Propaganda War to Win
BY SUZANNE NOSSEL
FP MARCH 20, 2020
This Time, Can
We Finally Turn a Financial Crisis Into an Opportunity?
BY MARK BLYTH, ERIC
LONERGAN
FT March 21, 2020
Chancellor’s
jobs support programme takes Britain into new territory
Camilla
Cavendish
FT March 21, 2020
Coronavirus:
the moment for helicopter money
Martin Sandbu
in London
FT March 21, 2020
The crushing burden
on Mnuchin’s shoulders
Edward Luce
FT March 21, 2020
Africa faces a
catastrophe to dwarf all others
Kevin Watkins
● プーチンの永久体制
PS Mar 13, 2020
The Eternal
Putin
ANDREI KOLESNIKOV
● ピケティが描く人類の貧困
PS Mar 13, 2020
Piketty's
Latest Charge
WILLEM H.
BUITER
ピケティによる人類社会の250年におよぶ「不平等レジームの歴史」である。さまざまな貧困の原因として、歴史的に、支配体制とイデオロギーを叙述する。彼の目標は、「参加型社会主義」だ。
● ドル体制の改革
PS Mar 6, 2020
The Rise and
Fall of International Currencies
PAUL DE GRAUWE
ドルが支配する国際通貨制度の改革に関する議論は、次のシステムに向けて重要である。2冊の研究がそれを刺激する。
Benjamin J.
Cohen, Currency Statecraft: Monetary Rivalry and Geopolitical Ambition,
University of Chicago Press, 2019.
Barry
Eichengreen, Arnaud Mehl, and Livia Chitu, How Global Currencies Work: Past,
Present, and Future, Princeton University Press, 2018.
Benjamin J.
Cohenは、2つの視点で絞殺する。1つは、国際通貨のライフ・サイクルを考えること、もう1つは、地政学的な野心と競争から国家の能力を駆使すること。
Barry
Eichengreenらの研究は、「ネットワーク外部性」という視点でドルに集中する市場取引を分析する。その結果、市場は「コーナー・ソリューション」に向かう。また、国際通貨の衰退は、時間をかけて、緩やかに進む。
経済史家Charles Kindlebergerによれば、支配的なグローバル大国が国際通貨を供給するとき政治・経済の安定性が維持される。しかし、ナショナリズムや破壊的な国家行動が増える現代において、アメリカがそのような安定的な通貨供給を担うのか、疑問が生じている。
2つの研究は、ドルと人民元が併存する世界を相対的には楽観しているが、私は懐疑的だ。中国の国家は、通貨を市場介入の手段として保持し続けるだろう。それは人民元の国際化と矛盾する。
● 気候変動と愛国心
The Guardian, Sat 14 Mar 2020
Patriotism
could be the unlikely answer to solving the climate crisis
Anatol Lieven
● ウイルスとアメリカ連銀
FT March 15, 2020
Why the Fed
dislikes negative rates
Gavyn Davies
FT March 14, 2020
This market was
in trouble long before the virus hit
Michael
Mackenzie
● アメリアの医療保険体制
NYT March 14, 2020
Why America
Will Never Get Medicare for All
By Eduardo Porter
● イギリスの通商政策
FT March 17, 2020
Britain’s
colonial crimes come back to haunt trade negotiations
Jamil Anderlini
● トランプ以後
PS Mar 16, 2020
The Post-Trump
Agenda
DARON ACEMOGLU
PS Mar 18, 2020
Why Biden?
ELIZABETH DREW
● 動物の権利
YaleGlobal, Tuesday, March 17, 2020
Brexit and
Animal Welfare in a Globalized World
Steven
McCulloch
● 東京オリンピック
FT March 18, 2020
Japan Inc
wrestles with the ‘unthinkable’ prospect of no Olympics
Leo Lewis
● スキデルスキー
PS Mar 17, 2020
Says More…
Robert Skidelsky
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The Economist March
7th 2020
The right medicine for the world economy
The war in Syria: An ally in need
African democracy: How to beat the Big Men
Feminism in Mexico: The violet tide
Syria’s war: The battle for Idlib
Democracy in Africa: Generation game
(コメント) コロナウイルスがアメリカに達することが重大な意味を持つことに気づきます。労働者と貧困、社会保障、特に、医療保険が不完全な社会に、感染症が広がります。問題は、アメリカの経済政策、中央銀行と、アメリカの大統領選挙、ドナルド・トランプによって、深刻な世界的コロナウイルス危機に向かっています。
シリア内戦も、メキシコのフェミニズム、国際女性デーも、何が解決に向かう仕組みなのか、考えることを求めます。
民主主義? アフリカの民主主義が興味深い内容です。ボビー・ワインが登場します。次に紹介したいです。
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IPEの想像力 3/23/20
拙著『ブレグジット×トランプの時代』(萌書房)の「あとがき」を書きました。(一部省略)
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この本を手に取ってくださる読者に、何か意味のある視点や刺激的な考察を提供したいと私は思いました。なぜイギリスはEUを離脱するのか。なぜトランプがホワイトハウスに入ったのか。ありえないことが本当に起きたのです。
新型コロナウイルスが世界の株価を急落させ、国境の遮断や都市の封鎖、外出禁止令、医療崩壊のパニックを引き起こしました。マスクや食料(そして拳銃、弾丸!)の買いだめに走る人びと、さまざまな長い行列の映像に驚き、私は沈黙します。
国境線や国籍で人類を分断することに意味はありません。ウイルスから見れば、人は養分を含んだ土地でしかなく、中国人もアメリカ人も、貧困層も超富裕層も区別することなく、ウイルスは生存領域を拡大し、増殖し続けます。
感染者と非感染者とを分け、重篤化を避けるべきです。老人から人工呼吸器を奪って若者に付けることで、倫理的な罪を意識するのであれば、同じ時代を生きる世界の多くの貧困層から、差別的な文明が人工呼吸器を毎日奪っていると私たちは感じていいはずです。温暖化や自然災害の頻発、激甚化に、富裕国は罪を意識すべきではないでしょうか。
この危機の後も、金融に偏ったグローバリゼーションが再現すると思います。しかし、あなたも想像するでしょう。感染率が非常に高く、致死率が新型コロナウイルスよりもっと高い21世紀型ペストが、将来、どこかで発生するはずだ、と。
世界の大都市は完全に消滅し、それどころか文明の全域で人口が死滅するかもしれません。そして孤島や、高山の集落だけで人類は生き残り、ようやく食べる物がなくなって新型ウイルスも死滅します。何十年も、何世代もたって、人類は高い山から降り、再び海を渡って、次の文明を築き始めます。
しかし今も、ウイルスに感染する生物としては同じ人間が、土地によって異なる社会を築き、その政治や制度の在り方は大きく異なります。将来のリスクに対して医療システムをしっかり準備してきた人びと、貧困層に十分な医療や雇用の機会を提供する社会は、高山や孤島でなくても、多くの人をウイルスから守ることができるでしょう。
封鎖された武漢の市民に政府は食料を各家庭まで配給し、韓国では検査やマスクの配分が整然と行われました。雇用の再配置や基本的な生活費の支給も、一部、実施されました。世界経済が急激に悪化するという予想から、ベーシックインカムやヘリコプター・マネーが議論され、第二次世界大戦の耐乏生活やマーシャルプランが想起されています。
ガラス越しや、防護服を着て、肉親と最後に言葉を交わした人たち。葬儀も火葬も間に合わず、並べられたままの棺の列。客の数が急激に減って、お店が続けられない、職を失うと、人びとは不安と苦悩の重さに耐えています。そんな生活を変える方法が何かないのか。
封鎖された都市の中で、隣人との関係を再認識し、互いに窓から声を掛け合い、歌ったり、ダンスしたり、楽器を演奏して、励まし合う市民の姿が報道写真になっています。
****
もしかしたら、次の金融危機やウイルスが現れる前に、文明と社会の質を私たちは真剣に議論し、改革を始めるかもしれません。
この本が、時代の圧力に屈することなく、未来を切り拓こうとしている人たちへの小さな声援となれば幸いです。
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