IPEの果樹園2020
今週のReview
3/16-21
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バイデンの時代は来るか ・・・コロナウイルス・ショック論争 ・・・中国とコロナウイルス不況 ・・・新型グローバリゼーション ・・・コロナウイルスと株価依存経済
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[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.]
● バイデンの時代は来るか
The Guardian, Fri 6 Mar 2020
Coronavirus
could turn Joe Biden’s defining weakness into a strength
Jonathan
Freedland
バイデンの演説は、わかりにくい、焦点の定まらないものだった。しばしば文章が完結しないほどだ。しかし、今、バイデンは民主党の大統領候補指名争いでトップに立った。ドナルド・トランプと闘うために党が指名するだろう。ムードが変わった。特にコロナウイルスで、彼の弱点が長所に代わったのかもしれない。
サンダースは好んで言うだろう。「バイデンの勝利は、政治と大企業のエスタブリシュメント」が与えたものだ。しかし、それは言い過ぎだ。特に、アフリカ系アメリカ人がバイデンを強く支持している。それは民主党の重要な支持基盤である。
スーパーチュ―ズデイは多くの教訓を残した。1つは、言われているほど、資金と組織が決定的ではないことだ。ブルームバーグは5億ドルを費やして、1つの州も取れなかった。もう1つは、女性に対する偏見が強いことだ。あるいは、有権者の女性に対する偏見を予想して、人びとはウォレンを支持しなかった。
多くの女性がウォレンを熱狂的に支持し、女性大統領の誕生を願っていた。ウォレンは最も優れた民主党候補者であったと思う。しかし、逆風は強かった。人びとは有権者たちがヒラリー・クリントンに示した反感を忘れていない。
民主党の党員は、その多数が反サンダースか、サンダースを拒む者たちだ。ブティジェッジ、クロブシャーが退場し、候補者が絞られるなかで、サンダースを支持しない多数派が形成された。民主党員がよく知るバイデンに支持が集まるのは避けられない。彼らはバイデンを信頼し、好意的に見ている。バイデンの最も優れた点は、人びとに共感を示すことだ。
この恐怖に陥る国で、災害に直面する人々に、バイデンの欠点は重要な資質となった。コロナウイルスが、40年間も、政府は問題を生むもので、解決策にならない、と右派に聞かされていた国民に変化を生じた。
トランプは典型だ。連邦政府を焼き払う、とまでは言わないが、根こそぎにすると約束して当選した。彼は政府機関を削減し、その責任者を空席のまま放置し、あるいは、自分の仲間を指名して、「政府官僚」を敵とみなすFox Newsや右派ラジオの喝さいを浴びてきた。
しかし、今はどうだ? パンデミックにおびえる人々は、政府を破壊する声ではなく、政府の助けを求めている。好調なときは、「連邦政府職員」や「エリートの専門家」を攻撃すれば支持される。しかし、危機では、彼らこそが政府を動かし、人びとに安心できる対応を示す。
バイデンは50年間もワシントンに住む、政府のインサイダーである。それは彼の汚点ではなく、資産となった。
● コロナウイルス・ショック論争
PS Mar 6, 2020
What
COVID-19 Means for International Cooperation
KEMAL
DERVIŞ , SEBASTIÁN STRAUSS
人類史において、危機と進歩はしばしば同時に起きた。コロナウイルスの脅威に対処するのは、第2次世界大戦において行われた国際協調の水準に等しい。これはグローバリゼーションとグローバル・ガバナンスの危機である。
2つの異なる政治的反応が起きるだろう。1つは、グローバルな相互依存を減らすことだ。行動を制限し、社会的・経済的なコストを生じる。これは戦術的な解決ではあっても、戦略的な問題は残る。目標は、グローバリゼーションをもっと危機に強くすることだ。
グローバルな「サーキットブレイカー」を導入する。グローバル・ガバナンスの制度に組み込み、明確で、透明なメカニズムとして、危機を予防する。また、システムを分散・多様化し、1つの失敗から全体が崩壊しないようにする。
大きな危機はラディカルな改革に対する政治的な許容度を高める。コロナウイルス危機は、その恐怖や損失が、グローバリゼーションを改善する努力を刺激する。
PS Mar 9, 2020
How
Europe Should Manage the Coronavirus-Induced Crisis
DANIEL
GROS
深刻なショックに直面したとき、政府・公共機関が行動しなければならない。しかし、コロナウイルスのショックに対しては、通常の金融・財政政策は効果がない。中央銀行と政府は、このことを国民に説明するべきだ。そして、公衆衛生の確保、家計の所得維持、金融システムの危機回避に全力を注ぐべきだ。
ユーロ圏が不況に陥る2つの展開に、マクロ政策は効果がない。すなわち、世界貿易の減少と、投資の減少だ。
PS Mar 9, 2020
Epidemics
and Economic Policy
KAUSHIK BASU
コロナウイルスによる不況が迫っており、2008年の世界金融危機と同じように、中央銀行が対策の指導的な役割を担う、という期待がある。しかし、アメリカ連銀が金利を下げただけでは市場の混乱を招き、直後に株価はさらに下落した。
市場の乱高下は人々の確信を反映している。不安が増幅する自己実現的な恐慌になるだろう。
包括的な経済対策が必要だ。そのために、世界銀行やIMFのような国際機関が緊急タックスフォースを結成するべきだ。エコノミストたちだけでなく、医療から地政学まで、多彩な専門家を20人集めるC20だ。
C20は、たとえば1カ月と期限を決めて、危機の分析とグローバルな政策対応を示す。報告書には、政府と主要企業が採用する初期行動のリストで含まれるべきだ。そして、毎月、リストを更新する。
失われる需要は膨大だ。航空業界(IATAの推定で1130億ドル)、ホテル(ヒルトンは中国で150を閉店)、観光(中国人の観光支出は2018年に2770億ドル。それが半減する)など。
世界金融危機と違い、コロナウイルス危機は、需要を失うだけでなく、ある分野では価格を押し上げ、購入者を排除する。特に、医療サービスがそうだ。分野によって、需要を追加し、あるいは、需要を削減しなければならない。
また、多くの契約が「不可抗力」による履行停止になる。中国の場合、5000軒ほどの訴状があり、その額は538億ドルに達した。債権法規や裁判所がパンクしてしまう。政府、もしくはC20が、事態をシンプルに処理するための包括的な基準を示すべきだ。そのためには、レオン・ワルラスや、アローとドブリュー、アマルティア・センの「エンタイトルメント」研究が有益である。
FP MARCH 9, 2020
The
Coronavirus Is Putting Globalization in the ICU
BY
STEPHEN M. WALT
国際政治におけるリアリストのアプローチが、コロナウイルスのようなパンデミックについて、何か特に注目してきたわけではない。しかし、ツキディデスがペロポネソス戦争の歴史を書いたとき、重要な背景として、BC430年にアテネを襲った疫病があった。歴史家たちによれば、ペリクレスのような指導者を含めて、アテネの人口の3分の1が犠牲になった。それはアテネの長期的な国力を損なった。
リアリストがコロナウイルス・ショックについて主張する第1の命題は、国家が世界政治を動かす主要なアクターである、ということだ。市民たちは、皆、重要な情報と対策を国家に求めている。「パンデミックに直面した世界に、リバタリアンはひとりもいない。」
第2に、コロナウイルス・ショックによって、異なる体制の長所と短所が顕著に示される。中国やイランが示すように、権威主義的な体制は資源の動員や野心的な対策を採る点で優れている。しかし、それは権力の頂点にある者が事態を正しく認識できるときだけである。
民主主義体制の方が情報を情報の自由に交換できる。それゆえ、問題の出現を早く察知するだろう。しかし、対策を決めて、迅速に実行する点で、民主主義に問題が生じる。ニューオーリンズを襲ったハリケーン・カトリーナ、プエルトリコを襲ったハリケーン・マリアに、アメリカ政府が対処し損ねたケースがそれを顕著に示した。
ドナルド・トランプは、専制体制の最悪の特徴と、民主制の最悪の特徴を合わせて表現している、とNYTのコラムでMichelle Goldbergは指摘した。トランプは、コロナウイルスの被害を全く軽視した。科学者たちの評価を否定あるいは無視し、地方政府と争って、連邦による効果的な協力を損ない、3年も前にオフィスを追い出された前任者たちを責めた。分裂した民主国家の頂点に独裁的な指導者を置いて、非常事態に直面したらどうなるか。これは予想された列車事故だ。
どうすればよいのか? リアリズムが与える解決策は少ない。
1.競争的な世界では、国家が他国の行動を注意深く監視しており、優れた対応があれば、それを直ちに模倣する。時間とともに、グローバルな最適対策が形成されるだろう。国家間で情報が交換され、自国に有利な方法で、それを利用し、政治的な問題にしなければ。
2.効果的な国際協力は、この場合も、むつかしい。規範や制度があることは有益だが、国債卿旅行はいつも非常にもろい。他国が約束を守らない、自国より他国に有利である、不当に大きなコストを自国が強いられる、というような議論になるからだ。
3.コロナウイルスが速やかに消滅しなければ、グローバリゼーションの逆転が起きるだろう。過去の10年ほどが示したように、楽観論は後退した。ますます多くの人が、貿易、成長、開放性よりも、自律と自分たちの生活スタイルを優先するようになった。
コロナウイルスがグローバリゼーションを否定する新しい理由に加わった。ハイパーグローバリゼーションは、金融システムを壊れやすくしたし、雇用の流出を政治問題にした。もはやグローバリゼーションの上げ潮は過ぎたのだ。国家間の境界はさらに高くなるだろう。
PS Mar 10, 2020
The
Wealth and Health of Nations
WILLEM
H. BUITER
コロナウイルスの破壊的な影響を考えるとき、私たちは、富をもたらす源泉についてアダム・スミスが示した洞察に戻るべきだ。それは社会的分業であり、その程度は、市場の規模と広がりである、という。人びとは病気になり、その恐怖からも、消費を減らす。他方、重要なサプライ・チェーンが停止する。
スミス的なマイナスのサプライ・サイド・ショックと、ケインズ的なマイナスのデマンド・サイド・ショックが起きるだろう。金利や政府支出でそれを緩和するとしても、世界経済は深刻なシナリオに直面する。景気後退というより、不況である。
PS Mar 10, 2020
Coronanomics
101
BARRY EICHENGREEN
先週のG7会合では「あらゆる政策手段を用いて」経済への影響を抑え込む、と宣言した。しかし、コロナウイルス危機に対して、何をするべきか、何が役立つのか?
アメリカ連銀は迅速に行動した。しかし、他の主要な中央銀行と協調できなかった。それが、必要な、一貫したメッセージにならなかった理由だ。
金融政策はサプライ・チェーンを回復するものではない。問題は、金融の流れが止まった2008年と違うからだ。今は、生産が突然停止したのである。金融緩和は、隔離された工場を再開できないし、感染を心配する消費者が買い物し、旅行者が再び飛行機を利用することもない。
今起きている問題は、金融緩和で緩和できないものだ。たとえ低金利でインフレになる心配がないとしても、実体経済を刺激することは期待できない。
同様に、財政政策の効果も限られる。減税策で、労働者の健康問題や病気の広がりで止まった生産を再開させることはできない。消費者が好きなファーストフードの安全性を心配しているとき、消費税を減税しても効果がない。
優先すべきは、感染者の検査、ウイルスの封じ込め、病気の治療である。そのためには行政の効率が重要だ。感染状況と死亡者の報告は透明かつ正確でなければならない。そのためには中央銀行のような独立した機関が望ましいが、トランプのような指導者はそれを好まない。
しかし、財政支出や金融緩和は痛みを和らげる。イタリア政府は、納税や住宅ローンの支払いを延期した。中小零細企業に減税を拡大した。アメリカはもっと人々が感染チェックを受けるように、費用を政府が負担するべきだ。
財政刺激策は、その効果が外国に漏れる問題を解決する必要がある。2009年にはG2で協調した。しかし、最近のG7競争声明には欠けていた。これ以上の金融緩和は生産的でないという反対もある。財政再建のタカ派は、すでに財政が大幅な赤字であることを理由に反対する。世界不況に直面しているとき、そうした議論は間違いだ。
経済政策の効果は限定的だが、公衆衛生の分野に資源を十分に与え、国際的な協力体制を築くことで経済の安定化を推進できる。
● 中国とコロナウイルス不況
FT March 10, 2020
Coronavirus:
China’s risky plan to revive the economy
Tom Mitchell,
Christian Shepherd and Sherry Fei Ju
かつて中国の指導者は、経済成長率が6%を切れば、失業者や社会不安が生じることを心配した。しかし、今、第1四半期の成長率がゼロもしくはマイナスになると予想されている。毛沢東の文化大革命以来、なかったことだ。
急速に回復するというシナリオがある。他方で、生産と流通が回復すれば、他の地域で新しい感染爆発が生じて、再び封じ込めをしなければならないというシナリオがある。
政府がコロナウイルス・ショックの初期の対応に失敗した、ということは認めた。習近平は党による国家の支配を強化してきたことで、その正統性を保つために、コロナウイルス・ショックに勝利する、という主張を宣伝している。それは、政府が支出を増やして、経済成長を急速に高める必要を意味している。
中央銀行は金融緩和して、中小企業の債務負担を緩和しても、さまざまな地方政府が。公衆衛生や都市貧困地区の再建、鉄道建設、災害からの復興に大規模に投資しなければならない。しかし、地方政府の財政は悪化している。その財源の40%は土地の売却によって得てきたからだ。住宅販売は大きく落ち込んでいる。
かつて国内で需要が落ち込んだときは、世界市場に輸出を増やすことができた。しかし、今回は違う。韓国など、世界各地に、コロナウイルス・ショックが次々に拡大し、世界史上も減速し、不況を予想している。
習近平の課題は、いかに急速に回復を実現できるか、である。
● 新型グローバリゼーション
The Guardian, Sun 8 Mar 2020
Coronavirus
won’t end globalisation, but change it hugely for the better
Will
Hutton
2008年は世界が金融崩壊に至るのを阻止した。しかし、2020年にパンデミックに直面する世界には、そのような行動が見られない。
交通の遮断、隔離、接触者の追跡という中世の方法が基準である。それは国によってばらばらだ。世界中で、ナショナリズムと反啓蒙主義が勝利しつつある。もちろん、ブレグジットを指導したボリス・ジョンソンもそうだ。
しかし、コロナウイルスは、離脱でも残留でも区別しない。イスラム教の聖職者でも、中国人医師でも感染し、ウイルスは国境を持たない。それゆえ指導者たちは旧式の国別反応に戻ることはできない。科学と理性が現れて、進む道を示すしかない。
科学者たちのグローバルなコミュニティーがコロナウイルスの分析とワクチン開発を進めている。抗ウイルス治療は最終の試験段階である。問題は、その時間と費用だ。グローバルな公衆衛生の実施、その基準や機関はない。アメリカの医療システムは、あまりにも費用がかかる。
19世紀、20世紀に左派の影響が確立されたのは、どれほど裕福な個人も疫病は免れなかったからだ。衛生、清潔な水、予防接種が、すべての者の命にかかわる公共財であった。左派が、その実現を指導した。
今や、規制のない、自由市場型グローバリゼーション、金融危機とパンデミックに脆弱であることから、死滅しつつある。相互依存と証拠に基づく集団的行動を重視する姿勢が誕生するだろう。政府は公衆衛生機関にもっと投資し、科学を尊重する。グローバリゼーションを失うことはできない以上、それを管理し、統治する必要がある。
● コロナウイルスと株価依存経済
FT March 9, 2020
US
economy is dangerously dependent on Wall Street whims
Rana
Foroohar
コロナウイルスは、単に引き金を引いただけである。株価の下落はずっと前から予想されたことだった。
アメリカの史上かつてないほど長い好景気は、債務の山を築き、融資の質を悪化させ、長期にわたる低金利によって、持続不可能な水準まで資産価格を押し上げていた。アメリカ経済は資産バブルが続くことに依存していた、というのが真実である。
アメリカ経済の3分の2は個人消費であり、その支出は所得だけに拠らず、株式や債券のような資産保有と、その期待と結びついている。つまり、もし資産価格が下落すれば、アメリカのGDPは、資産価格と支出の数学的な関係に従い、上昇しえない。
特に2008年以後、低金利によって株価は上昇してきたが、それは下位80%の人々が、平均実質週給において、1974年の水準であることを気づきにくいものにした。トランプ大統領が、ウォール街の豊かさと経済状態とを同一視することには、醜い現実感覚がある。
しかし、連銀が金利を永久に下げ続けることはできない。株価上昇で生きるなら、株価下落で死ぬしかない。
このような状況は一夜にしてできたわけではない。1970年代から、アメリカは少しずつ経済をウォール街に、危険なほど、依存させるようになった。民主党も、共和党も、そのような政策に変更した。なかでも、1982年のルール変更で、(以前は違法な株価操作であった)株式の買戻しを認め、ストックオプションに有利な税制を作った。最も重大な変更は、年金を株式に投資する401(k)である。多くのアメリカ人は、まさにファウストとの契約のように、将来を株価に結びつけた。
それは、株価が企業や経済の価値を示す真の指標である、という神話であった。
長期において、それは真実ではない。先週亡くなったGEの元CEO、ジャック・ウェルチも、株主価値の最大化、という考えを捨てた。今、起きている株価下落で、もっと多くの人が同じことを知るだろう。
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The Economist February 29th 2020
Going global
Bernie Sanders: America’s nightmare
Sectarian violence in India: A tale of two neighbourhoods
Guyana: An opportunity to score
Bagehot: The man who dares to be dull
The information economy: Data, data everywhere
(コメント) コロナウイルスの破壊力は、必ずしも中国に特別なものではない。第1に、感染者の年齢だ。第2に、感染のスピードを政府は抑えることができる。それは、政府によって大きく異なる。第3に、将来も感染症のパンデミックは起きる。それに準備することだ。中国の権威主義体制がもつ長所も短所も示された。
記事は、サンダースをトランプと同等に破壊的なポピュリストとして攻撃している。インドにおける宗教対立から起きる暴動の破壊力が増している。
南米、ガイアナ共和国に「資源の呪い」が起きるかもしれない。貧しい、世界で3番目の高い自殺率、教育を受けた若者が流出してしまう国だった。しかし、海底油田が見つかった。選挙で爆発した激しい対立を政治的な合意が終わらせ、国民の発展モデルに向かうことは可能か。
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IPEの想像力 3/16/20
コウケンテツの「100年ごはん紀行」を観ると、ああ、自分も青森に住んでみたいな、と思いました。
温泉を利用した蒸しもやし、馬肉、一三湖の寒シジミ。
地方の社会においしい食べ物があるのは、その土地の産物を利用するからでしょう。しかも、都会との関係は限られているし、何より所得が低いからだと思います。
しかし、映像に観る食べ物は、本当においしそうです。それを作る人たちも、料理して食べる人たちも、幸せな、決して裕福ではないけれど、満ち足りた笑顔で、都会から来た若い料理人を迎えています。
都会で暮らすことは、むしろ、とても裕福な人たちを除いて、それほど満足できる生活を実現していないように思います。
八戸市、人口22万人。弘前市、人口17万人。青森市、人口28万人。
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コロナウイルスが、私たちに何か重要なことを思い出させているのでしょう。
都市を、市場を、ロックダウン(封鎖)する。感染爆発や医療崩壊を避けねばならない。繁華街から人が消え、飲食店やストアが閉じて、別の星のようになった。
SF小説が描いてきた、異星人によって征服された地球かもしれない。
エコノミストたちは頭を痛める。ウイルスの恐怖で、市場が分断され、需要が大きく失われる。サプライ・チェーンも停止する。アダム・スミスとJ.M.ケインズが、コロナウイルスについて対話している。デフレと同時に物不足のインフレが起きる。
金融政策では解決できない。金融危機ではなく、コロナウイルスが問題だから。病院と医師、人工呼吸器やワクチン、医療保険が解決するしかない。
財政政策でも解決できない。失業や関税ではなく、コロナウイルスが問題だから。しかし、注文や支払が消えた店と会社、収入の途を失った人たちが一気に増える。
市場の程度と広がり、可能な分配を、自分たちで選択する時代になったのかもしれない。
次のウイルスで封鎖される前に、多国籍企業を分解し、解体する。銀行システムを分割する。金融市場を規制し、単純化する。プラットフォームを公共の利益に従わせる。
そうすれば、もっと小さな都市や町が、快適な仕事と暮らしの場になる、と話し合う。
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都市の生活は逆転しています。
競争しなければ生きていけない。競争しない者は排除する。競争に勝ったことだけが重要で、何をしてもよい。負けた者は、たとえ無言でも、侮辱される。
都市の住民は孤独で、テレビやネットの情報にふりまわされている。
移動する時間が長い。費用もかかる。中心部の住宅コストは異常に高い。
人との交渉や交際に多くのエネルギーを費やす。信頼は得にくく、失いやすい。誰もが環境の変化に大きく依存し、約束を守るとは限らない。だまされる恐怖感が強い。
たとえ所得が高くても、そもそも物価が高く、しかも、価格に応じて生活する中身に大きな格差がある。少々の豊かさでは、いつも不安が残り、満足感を得られない。
一人だけでも生きていける。お金があれば。
友人はいない。お金があれば、必要ない。
食べ物は、つまらないものしかない。世界中の豪華なレストランはあるが。本当に食べたいものはない。
もし貧しければ、病気になっても医者に診てもらえない。
ロックダウンされた都市でも、ホームレスは路上で暮らす。
発展途上諸国におけるコロナウイルスの死者は、数百万人、数千万人に達する。
戦場となった土地の人びと、難民キャンプに押し込められた人々の、働く場は奪われ、暮らす場がない。コロナウイルスが、戦争や貧困を無視してきた富裕層を巻き込んで広がってしまう。
あるいは、貧困地区や難民キャンプを完全に遮断する。
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ああ、歳をとったら、ちょっと個性的な書店か古本屋を開いて、地方の小さな都市に住みたいな、と思いました。・・・ビジネスモデルは、まだ考え中です。
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