(前半から続く)


 技術革新の道徳

PS Mar 6, 2020

Technology for All

DANI RODRIK

平均的な労働者と、先端的な技術の求める労働者の間で、スキルの格差が広がっている。ロボット、ソフトウェア、人工知能が、企業の利潤を増やし、高度なスキルを持つ専門家への需要が高まっている。この「スキル・ギャップ」が、経済的な不平等と雇用の不確実さ、さらに、政治的な分断につながっている。

教育や訓練を通じて、技術革新が求めるような労働者の供給を増やすだけでなく、労働者の需要を社会にとって望ましい形に技術革新を制限し、調整する必要がある。それは、道徳的な規範であり、動機付けであり、政治権力の要請として行われる。

VOX 06 March 2020

Artificial intelligence as a central banker

Jon Danielsson, Robert Macrae, Andreas Uthemann


 イスラモフォービア

NYT March 6, 2020

Why Is Europe So Islamophobic?

By Narzanin Massoumi


 ロシアの石油戦争

FP MARCH 6, 2020

Russia’s Defiance Sets the Stage for Oil Price ‘Bloodbath’

BY KEITH JOHNSON

FT March 10, 2020

Russia is digging in for a long battle in the oil price war

David Sheppard, Energy Editor


 シリア

FP MARCH 6, 2020

Syria Is Turkey’s Problem, Not America’s

BY STEVEN A. COOK


 中国とコロナウイルス不況

The Guardian, Sun 8 Mar 2020

China is ill, but it goes much deeper than the coronavirus

Ai Weiwei

FT March 10, 2020

Coronavirus: China’s risky plan to revive the economy

Tom Mitchell, Christian Shepherd and Sherry Fei Ju

かつて中国の指導者は、経済成長率が6%を切れば、失業者や社会不安が生じることを心配した。しかし、今、第1四半期の成長率がゼロもしくはマイナスになると予想されている。毛沢東の文化大革命以来、なかったことだ。

急速に回復するというシナリオがある。他方で、生産と流通が回復すれば、他の地域で新しい感染爆発が生じて、再び封じ込めをしなければならないというシナリオがある。

政府がコロナウイルス・ショックの初期の対応に失敗した、ということは認めた。習近平は党による国家の支配を強化してきたことで、その正統性を保つために、コロナウイルス・ショックに勝利する、という主張を宣伝している。それは、政府が支出を増やして、経済成長を急速に高める必要を意味している。

中央銀行は金融緩和して、中小企業の債務負担を緩和しても、さまざまな地方政府が。公衆衛生や都市貧困地区の再建、鉄道建設、災害からの復興に大規模に投資しなければならない。しかし、地方政府の財政は悪化している。その財源の40%は土地の売却によって得てきたからだ。住宅販売は大きく落ち込んでいる。

かつて国内で需要が落ち込んだときは、世界市場に輸出を増やすことができた。しかし、今回は違う。韓国など、世界各地に、コロナウイルス・ショックが次々に拡大し、世界史上も減速し、不況を予想している。

習近平の課題は、いかに急速に回復を実現できるか、である。

FT March 12, 2020

China’s debt problem is really an asset problem

Jonathan Wheatley


 新型グローバリゼーション

The Guardian, Sun 8 Mar 2020

Coronavirus won’t end globalisation, but change it hugely for the better

Will Hutton

2008年は世界が金融崩壊に至るのを阻止した。しかし、2020年にパンデミックに直面する世界には、そのような行動が見られない。

交通の遮断、隔離、接触者の追跡という中世の方法が基準である。それは国によってばらばらだ。世界中で、ナショナリズムと反啓蒙主義が勝利しつつある。もちろん、ブレグジットを指導したボリス・ジョンソンもそうだ。

しかし、コロナウイルスは、離脱でも残留でも区別しない。イスラム教の聖職者でも、中国人医師でも感染し、ウイルスは国境を持たない。それゆえ指導者たちは旧式の国別反応に戻ることはできない。科学と理性が現れて、進む道を示すしかない。

科学者たちのグローバルなコミュニティーがコロナウイルスの分析とワクチン開発を進めている。抗ウイルス治療は最終の試験段階である。問題は、その時間と費用だ。グローバルな公衆衛生の実施、その基準や機関はない。アメリカの医療システムは、あまりにも費用がかかる。

19世紀、20世紀に左派の影響が確立されたのは、どれほど裕福な個人も疫病は免れなかったからだ。衛生、清潔な水、予防接種が、すべての者の命にかかわる公共財であった。左派が、その実現を指導した。

今や、規制のない、自由市場型グローバリゼーション、金融危機とパンデミックに脆弱であることから、死滅しつつある。相互依存と証拠に基づく集団的行動を重視する姿勢が誕生するだろう。政府は公衆衛生機関にもっと投資し、科学を尊重する。グローバリゼーションを失うことはできない以上、それを管理し、統治する必要がある。

FT March 8, 2020

Coronavirus crisis shows office workers what we’re missing

Ravi Mattu

FT March 11, 2020

Coronavirus is a global crisis, not a crisis of globalisation

Robert Armstrong

FT March 12, 2020

A deadly disease, globalisation and me

Gillian Tett

FP MARCH 12, 2020

The Coronavirus Is Killing Globalization as We Know It

BY PHILIPPE LEGRAIN


 コロナウイルスと株価依存経済

FT March 9, 2020

US economy is dangerously dependent on Wall Street whims

Rana Foroohar

コロナウイルスは、単に引き金を引いただけである。株価の下落はずっと前から予想されたことだった。

アメリカの史上かつてないほど長い好景気は、債務の山を築き、融資の質を悪化させ、長期にわたる低金利によって、持続不可能な水準まで資産価格を押し上げていた。アメリカ経済は資産バブルが続くことに依存していた、というのが真実である。

アメリカ経済の3分の2は個人消費であり、その支出は所得だけに拠らず、株式や債券のような資産保有と、その期待と結びついている。つまり、もし資産価格が下落すれば、アメリカのGDPは、資産価格と支出の数学的な関係に従い、上昇しえない。

特に2008年以後、低金利によって株価は上昇してきたが、それは下位80%の人々が、平均実質週給において、1974年の水準であることを気づきにくいものにした。トランプ大統領が、ウォール街の豊かさと経済状態とを同一視することには、醜い現実感覚がある。

しかし、連銀が金利を永久に下げ続けることはできない。株価上昇で生きるなら、株価下落で死ぬしかない。

このような状況は一夜にしてできたわけではない。1970年代から、アメリカは少しずつ経済をウォール街に、危険なほど、依存させるようになった。民主党も、共和党も、そのような政策に変更した。なかでも、1982年のルール変更で、(以前は違法な株価操作であった)株式の買戻しを認め、ストックオプションに有利な税制を作った。最も重大な変更は、年金を株式に投資する401(k)である。多くのアメリカ人は、まさにファウストとの契約のように、将来を株価に結びつけた。

それは、株価が企業や経済の価値を示す真の指標である、という神話であった。

長期において、それは真実ではない。先週亡くなったGEの元CEO、ジャック・ウェルチも、株主価値の最大化、という考えを捨てた。今、起きている株価下落で、もっと多くの人が同じことを知るだろう。

FT March 10, 2020

How this market crash is different from 2008, and the same

Mohamed El-Erian

2008年と違って、これは銀行や支払・決済システムが止まったから起きたのではない。実体経済を離れて、市場が安定し、あるいは拡大し続けているような状態が維持されてきた。それらが3つの方法で壊されたのだ。

1.コロナウイルスが供給と需要の両方を同時に破壊した。

2.中央銀行が流動性を供給することで市場を安定化する限界に達した。

3.サウジアラビアが石油価格の引き下げ競争を始めた。小規模の石油会社や債券市場が壊れた。

実体経済において悪循環が起きるのを防ぐべきだ。

政府は、焦点を厳しく絞った手段によって、経済の持続的な基礎を再生する。ウイルスを封じ込める医療の確立。社会の最も脆弱な部分に対する保護。特に、アメリカの、医療費権を持たない人々。金融市場では苦境に対処できない部分。

中央銀行に依存し過ぎていた。国際協調を再建しなければならない。

こうした課題を達成するのが早ければ、経済は急速に回復する。住宅金利は低く、石油価格も低いからだ。その回復は、2008年とは違い、本来の持続的な基礎に立つものだろう。

FT March 10, 2020

Music stops for stock markets’ great bull run

Michael Mackenzie

The Guardian, Mon 9 Mar 2020

The Guardian view on the market meltdown: a wake-up call for Westminster

Editorial

FT March 10, 2020

Coronavirus and debt: a toxic mix

Hung Tran

FT March 13, 2020

Coronavirus trade disruption could start a ‘dash for cash’

Gillian Tett

FT March 13, 2020

Donald Trump has poured fuel on the flames of coronavirus

FT March 13, 2020

Fed firefighters must act quickly to limit financial contagion

Michael Mackenzie

FT March 12, 2020

Donald Trump’s troubling coronavirus address

Edward Luce

NYT March 12, 2020

It’s a MAGA Microbe Meltdown

By Paul Krugman

NYT March 12, 2020

Just How Bad Could a Coronavirus Recession Get?

By Ian Goldin


 メキシコの女性差別

FT March 8, 2020

Mexico: ‘You kill a woman here and nothing happens’

Jude Webber in Tizayuca, Mexico


 資本主義の改革

FT March 8, 2020

A simple first step for businesses to mend capitalism

Paul Tudor Jones

FT March 8, 2020

We should beware the rise of stakeholderism

Jonathan Ford

NYT March 8, 2020

Tom Steyer: What I Learned While Running for President

By Tom Steyer


 金利引き下げ

FT March 9, 2020

What banks are worth in a world of non-stop rate cuts

Robert Armstrong, US Finance Editor

FT March 9, 2020

For the ECB, just cutting rates is not enough to tackle coronavirus

Huw van Steenis


 東欧における民主主義崩壊

NYT March 9, 2020

Of Course They Gave Up on Democracy

By Ivan Krastev and Stephen Holmes

民主主義は、批判によって強くなる。しかし、1989年の西側の勝利は、資本主義と民主主義の合成物を絶対視し、「フランケンシュタイン」を創り出した。東側の改革において、特に、その絶対視はひどく、それゆえ民主主義は、その道徳をゆがめ、支持されなくなった。


 モザンビークの破たん国家

FP MARCH 7, 2020

Mozambique Is a Failed State. The West Isn’t Helping It.

BY DENNIS JETT


 サウジアラビア皇太子の石油戦争

The Guardian, Tue 10 Mar 2020

In the bitter struggle for Saudi rule, Prince Mohammed bin Salman has struck first

Madawi al-Rasheed

FT March 11, 2020

Prince Mohammed strikes again with a palace coup and oil war

David Gardner

FP MARCH 9, 2020

Why This Oil Crash Is Different

BY JASON BORDOFF


 イギリス予算案

FT March 10, 2020

The UK Budget can slay the pessimism that fed populism

Sebastian Mallaby

The Guardian, Wed 11 Mar 2020

Johnsonism’s first budget is floating on hype and hot air

Aditya Chakrabortty

The Guardian, Wed 11 Mar 2020

The Guardian view on Boris Johnson’s budget: we are all Keynesians now

Editorial

FT March 12, 2020

A spending spree to get the job done

Martin Wolf

The Guardian, Thu 12 Mar 2020

An end to austerity? It’s a nice line – but one budget can’t undo the damage

Simon Wren-Lewis


 コロンビアへの難民流入

NYT March 10, 2020

Colombia Is Dealing With a Terrifying Refugee Crisis. Will Wealthy Nations Step Up to Help?

By Jorge G. Castañeda


 プーチン永世大統領

FP MARCH 10, 2020

Will Putin Be Russia’s President For Life?

BY REID STANDISH


 日銀の株価支持

FT March 11, 2020

Stock drop raises pressure on Bank of Japan buying spree

Leo Lewis in Tokyo

日銀には株価下落に対抗する手段がない。市場介入、金融資産の購入を増やす、と黒田総裁は言うが。政府・日銀による市場の買い支え。こんな政策の、後任はだれが引き受けるのか?

FP MARCH 11, 2020

How Japan Rode a Tsunami to Equality

BY CATHERINE TSALIKIS


 アメリカの集団雇用計画

PS Mar 12, 2020

The US Needs A Draft

CHARLES C. KRULAK

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The Economist February 29th 2020

Going global

Bernie Sanders: America’s nightmare

Sectarian violence in India: A tale of two neighbourhoods

Guyana: An opportunity to score

Bagehot: The man who dares to be dull

The information economy: Data, data everywhere

(コメント) コロナウイルスの破壊力は、必ずしも中国に特別なものではない。第1に、感染者の年齢だ。第2に、感染のスピードを政府は抑えることができる。それは、政府によって大きく異なる。第3に、将来も感染症のパンデミックは起きる。それに準備することだ。中国の権威主義体制がもつ長所も短所も示された。

記事は、サンダースをトランプと同等に破壊的なポピュリストとして攻撃している。インドにおける宗教対立から起きる暴動の破壊力が増している。

南米、ガイアナ共和国に「資源の呪い」が起きるかもしれない。貧しい、世界で3番目の高い自殺率、教育を受けた若者が流出してしまう国だった。しかし、海底油田が見つかった。選挙で爆発した激しい対立を政治的な合意が終わらせ、国民の発展モデルに向かうことは可能か。

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IPEの想像力 3/16/20

コウケンテツの「100年ごはん紀行」を観ると、ああ、自分も青森に住んでみたいな、と思いました。

温泉を利用した蒸しもやし、馬肉、一三湖の寒シジミ。

地方の社会においしい食べ物があるのは、その土地の産物を利用するからでしょう。しかも、都会との関係は限られているし、何より所得が低いからだと思います。

しかし、映像に観る食べ物は、本当においしそうです。それを作る人たちも、料理して食べる人たちも、幸せな、決して裕福ではないけれど、満ち足りた笑顔で、都会から来た若い料理人を迎えています。

都会で暮らすことは、むしろ、とても裕福な人たちを除いて、それほど満足できる生活を実現していないように思います。

八戸市、人口22万人。弘前市、人口17万人。青森市、人口28万人。

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コロナウイルスが、私たちに何か重要なことを思い出させているのでしょう。

都市を、市場を、ロックダウン(封鎖)する。感染爆発や医療崩壊を避けねばならない。繁華街から人が消え、飲食店やストアが閉じて、別の星のようになった。

SF小説が描いてきた、異星人によって征服された地球かもしれない。

エコノミストたちは頭を痛める。ウイルスの恐怖で、市場が分断され、需要が大きく失われる。サプライ・チェーンも停止する。アダム・スミスとJ.M.ケインズが、コロナウイルスについて対話している。デフレと同時に物不足のインフレが起きる。

金融政策では解決できない。金融危機ではなく、コロナウイルスが問題だから。病院と医師、人工呼吸器やワクチン、医療保険が解決するしかない。

財政政策でも解決できない。失業や関税ではなく、コロナウイルスが問題だから。しかし、注文や支払が消えた店と会社、収入の途を失った人たちが一気に増える。

市場の程度と広がり、可能な分配を、自分たちで選択する時代になったのかもしれない。

次のウイルスで封鎖される前に、多国籍企業を分解し、解体する。銀行システムを分割する。金融市場を規制し、単純化する。プラットフォームを公共の利益に従わせる。

そうすれば、もっと小さな都市や町が、快適な仕事と暮らしの場になる、と話し合う。

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都市の生活は逆転しています。

競争しなければ生きていけない。競争しない者は排除する。競争に勝ったことだけが重要で、何をしてもよい。負けた者は、たとえ無言でも、侮辱される。

都市の住民は孤独で、テレビやネットの情報にふりまわされている。

移動する時間が長い。費用もかかる。中心部の住宅コストは異常に高い。

人との交渉や交際に多くのエネルギーを費やす。信頼は得にくく、失いやすい。誰もが環境の変化に大きく依存し、約束を守るとは限らない。だまされる恐怖感が強い。

たとえ所得が高くても、そもそも物価が高く、しかも、価格に応じて生活する中身に大きな格差がある。少々の豊かさでは、いつも不安が残り、満足感を得られない。

一人だけでも生きていける。お金があれば。

友人はいない。お金があれば、必要ない。

食べ物は、つまらないものしかない。世界中の豪華なレストランはあるが。本当に食べたいものはない。

もし貧しければ、病気になっても医者に診てもらえない。

ロックダウンされた都市でも、ホームレスは路上で暮らす。

発展途上諸国におけるコロナウイルスの死者は、数百万人、数千万人に達する。

戦場となった土地の人びと、難民キャンプに押し込められた人々の、働く場は奪われ、暮らす場がない。コロナウイルスが、戦争や貧困を無視してきた富裕層を巻き込んで広がってしまう。

あるいは、貧困地区や難民キャンプを完全に遮断する。

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ああ、歳をとったら、ちょっと個性的な書店か古本屋を開いて、地方の小さな都市に住みたいな、と思いました。・・・ビジネスモデルは、まだ考え中です。

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