(前半から続く)


 カルロス・ゴーン記者会見

FP JANUARY 10, 2020

Big in Japan, ‘Le Cost Killer’ Comes Home

BY REBECCA COLLARD

ニッサンの元CEO、カルロス・ゴーンはベイルートの記者会見に現れた。無罪を主張し、日本の司法制度を批判し、陰謀によって罪を着せられたと主張した。

ゴーンはレバノンのエリートに歓迎された。この国の成功物語の1つだった。しかし、庶民の反応はそれほどでもない。ベイルートは政治エリートの汚職に対して、激しい抗議デモが起きていた。

「われわれは皆、カルロス・ゴーンである」という広告が街頭に出た。彼に政治指導力を期待する声もある。

しかし、反政府デモは数か月も続いており、彼らは自国が多くの汚職によって富を奪われていると怒っている。これ以上、汚職や裏切者を輸入するつもりはない、と、あるツイッターは告げた。

FT January 13, 2020

Carlos Ghosn’s latest quest is mission impossible

Andrew Hill

FT January 16, 2020

Ghosn’s escape puts Japan justice system in a tight spot

Kana Inagaki

NYT Jan. 16, 2020

Why Is Carlos Ghosn Afraid of the Japanese Justice System?

By Nobuhisa Ishizuka

日本の検察システムに関する批判は以前からあった。特に、検察官に与えられた強い権限だ。いくつかの改革はあったが、日本の司法システムは何十年も変わらなかった。検察官が広範な権限を持つことを日本国民は受け入れてきた。それは日本の犯罪率が低かったからだ。

西側の正義の概念は、個人の自由、公的権力のチェック、法の支配に深く根差している。しかし、日本の正義の概念は、個人と社会との関係を定義する規範に従って、個人が行動することを規制するものだ。それらの規範は、西側の法概念に先立つ、数千年前に定義された。

ゴーン氏や他の意見が、日本の刑事裁判は99%が有罪で、しばしば自白に頼っている、と主張した。それは日本の検察システムの目標が、行動を是正し、社会に再統合することであるからだ。単に、有罪か無罪を決め、量刑することが目的ではない。それゆえ罪を認め、悔悛の姿勢を示すことが求められる。いったん、罪を認めた後で、検察は刑を軽くできる。

ゴーン氏の裁判は行えないとしても、それに関わる論争は重要だ。日本の司法システムは改革を必要としている。弁護士の立ち合い。証人や証拠の検証。拘束の制限。罪の認定、悔悛、社会復帰についての社会の要求と、容疑者が告発に抗弁する独自の権利とを、バンスさせるべきだ。

それは日本がアメリカ式の、敵対的で、金のかかる、司法システムを輸入することを意味しない。改革を進めて、より開明的な司法システムを実現し、西側に有益な教訓を示すべきだ。


 オーストリア大火災と政府

NYT Jan. 11, 2020

Want to Do Something About Climate Change? Follow the Money

By Lennox Yearwood Jr. and Bill McKibben

FT January 13, 2020

Central banks begin to grapple with climate change

Gavyn Davies

FT January 13, 2020

Australia is no longer the lucky country

Gideon Rachman

石炭の輸出など、鉱山業ブームに依存して、オーストラリアは30年間続けて、不況のない、好況だけを維持してきた。しかし、環境政策を否定する保守政権が見ている大火災は、すでに気候変動の結果である。

FT January 15, 2020

Splits over Green QE are a sign of the times

Claire Jones


 サルヴィーニとメルケル

FT January 13, 2020

Italian politics: Matteo Salvini’s comeback bid

Miles Johnson in Ferrara

FT January 16, 2020

Angela Merkel warns EU: ‘Brexit is a wake-up call’

Lionel Barber and Guy Chazan in Berlin

アンゲラ・メルケルの周りには嵐の雲が沸いている。彼女が政治家として守ってきた基本的価値が攻撃されている。UKEUを離脱し、US大統領は同盟国を裏切り、中東で単独に行動し、プーチンは憲法を改正し、リビアとサブサハラ・アフリカに介入しつつある。貿易紛争が国境の開放とグローバル・サプライチェーンを脅かす。

メルケルは合理的なやり方で妥協の途を探ってきた。しかし今、彼女が直面するのは、リベラルな原理がジャングルの法則に押しのけられる、非妥協的な世界である。

彼女の解決策は、EUを強化することだ。EUはドイツの生命保険である。ドイツは、地政学的な意味でも、市場規模でも、小さすぎる。

メルケルは、多国間の協調を重視してきた。その価値はトランプ、Brexit、復活したロシアの時代に、攻撃にさらされている。

ドイツは、NATOEUから大きな利益を受けてきた。だから、メルケルはEUの強化に努めた。批判されたが、それでも彼女はユーロ危機を鎮静化に導き、ロシアのクリミア併合に制裁を、Brexitにも交渉を、協調して行った。

メルケルは、慎重な楽観主義者だ。Brexitも、EU改革の刺激となり、制度改革に向けた生産的な競争になる。確かに、ドイツ国内では反対が強いけれど、彼女は銀行同盟を支持する。特に半導体生産で、ヨーロッパ規模の産業政策も必要だ。EUが、データ利用のスタンダードを示すべきだろう。

ヨーロッパは深い亀裂に苦しんでいる。アメリカのトランプ大統領は、ヨーロッパの防衛力をサンドバックのように叩く。しかし、トランプ以前から、アメリカのヨーロッパに関する注意は失われていた。

それゆえ、ヨーロッパは、特にドイツは、自分たちで責任を果たすべきだ。自分たちの軍事力を整備する。しかし、中国に対して幻想は持たないが、アメリカのような対決姿勢を取らない。多くの解決すべき問題はあるが、アメリカの「デカップリング」には従わない。中国の経済的成功は、そのハードワーク、創造性、技術スキルによるものだ。

衝突コースではなく、対話と協力が答えである。しかし、ドイツ経済の将来に関する不安はメルケルへの支持を失わせた。

メルケルの遺産は何か? その問いを彼女は大げさだと否定した。当然、原発停止と、難民に対する国境開放が、メルケルの大胆な決断を示している。

しかし彼女が言及したのは、その2つではなく、ドイツ連邦軍をアフリカとアフガニスタンに派遣したことだった。ウクライナでの戦争を停止するための努力、イランとの核合意に向けた努力を強調した。どいつはさらに大きな外交と軍事における責任を果たす国になる、と。

危機に直面したとき、ドイツをメルケルが指導していたことは幸いだった。しかし、世界はさらに反映したドイツと、強力な指導者を求めている。それが問題だ。


 アフリカの富裕層

FT January 13, 2020

African oligarchs turn to Asian offshore destinations

Ricardo Soares de Oliveira


 マイナス金利と政府

PS Jan 13, 2020

Past Interest Rates and Future Growth

WILLEM H. BUITER

より深い歴史的な諸力と、対処不能な構造要因によって、成長率が低下し、マイナス金利が続いているように見える。しかし、「長期停滞」論は間違いだ。低成長の均衡状態は、政策によって転換できるものだ。

すなわち、完全雇用を実現し、循環的な、あるいは、長期的な停滞を回避するには、政府が拡大的な財政政策を採り、サプライサイドの改革を行って、総需要を増やし、中立的な実質金利を市場金利と等しい水準まで引き上げることだ。財政パッケージの内容は国によって異なる。

問題は、技術的に決定された長期停滞ではなく、政策のための集合的選択にある。

PS Jan 14, 2020

Democratizing the ECB

BARRY EICHENGREEN


 エリザベス・ウォレン

NYT Jan. 13, 2020

Elizabeth Warren Is the Democrats’ Unity Candidate

By Michelle Goldberg

NYT Jan. 15, 2020

Are Americans Ready to Elect a Woman President?

By Michelle Cottle

NYT Jan. 15, 2020

Elizabeth Warren’s Smart Answer on ‘Electability’

By Melanye Price


 米中貿易戦争の停戦合意

FT January 14, 2020

US lifts China ‘currency manipulator’ tag ahead of trade deal

James Politi and Brendan Greeley in Washington

FT January 14, 2020

Fundamentals simply do not matter in China’s stock markets

Michael Pettis

中国本土の株価と香港のA株の価格とは、20-30%のプレミアムを加えて、連動する。それは本土の株式市場がファンダメンタルズの情報を得られないからだ。純粋に、ケインズの美人投票に従って変動している。

FP JANUARY 14, 2020

Americans Are Investing More in China—and They Don’t Even Know It

BY STEVEN SCHOENFELD

FT January 15, 2020

Americans are wrong to paint China as an intellectual property thief

Gu Bin

NYT Jan. 15, 2020

Trump Gets His Trade Deal, China Gets the Win

By Eswar Prasad

米中の貿易戦争が第1局面に関して合意に達した。これは一時的な停戦でしかないが、エスカレーションを止める意味で、良いことだ。合意に達する過程で、アメリカ経済は大きな代価を支払った。他方、中国経済は改革を進めて、長期的に、好ましい効果を得るだろう。

1に、トランプ政権は、それ以前の政権よりも明確に、中国側の譲歩を求めた。確かに、これまでの関与政策と相互利益による説得は効果がなかった。

しかし、中国がアメリカから農産物を購入する約束は、それ自体で、貿易不均衡を解消するわけではない。アメリカの貯蓄と投資を変える別の政策が必要だ。

知的所有権の保護や、外国企業に技術移転を求める政策を転換させ、もっと多くの外国企業の投資を受け入れることに、中国は合意した。この譲歩は、皮肉なことに、中国の経済を強くするだろう。ダイナミックな、技術革新が指導的な経済を目指すチュ語句にとって、必要なことだから。

また、貿易戦争の不確実さを減らすことで、民間投資が回復し、中国経済に短期的な刺激を得られる。さまざまな刺激策にもかかわらず、中国は景気に不安を抱えていた。

さらに、中国は輸出を伸ばすために通貨を人為的に安くすることはないと合意した。この何年も、アメリカは中国に為替レートの決定を市場に委ねるように求めてきたが、今や、両国はそれに合意したようだ。ただし、市場が人民元を安くするのでないなら。

中国が国内で企業に与える補助金や、国有企業の比重を下げる問題は合意がむつかしいが、次の局面に残された。また、合意内容の実行を評価するメカニズムは、主権を犯すものとして、中国が強く反対している。

残念ながら、アメリカ経済は大きな代価を支払った。中国からの輸入に課した関税を支払うのはアメリカで、家計や企業の高価格と低利潤としてだ。農産物では、ブラジルなどの競争相手が中国市場のシェアを拡大した。

アメリカ政府の政策は気まぐれで、投資やサプライチェーンを損なっている。それは労働生産性や雇用、賃金に悪い影響を与え続ける。

FP JANUARY 15, 2020

The ‘Phase One’ Trade Deal Is Still Hypothetical

BY JAMES PALMER


 日本

FT January 14, 2020

Why the Japanese yen is not the haven asset it once was

Leo Lewis

FT January 15, 2020

The fallacy behind the rise of passive fund management

Jonathan Guthrie

FT January 16, 2020

The GPIF and the complexity of stewardship


 国際貿易・金融システムにかかる圧力

PS Jan 14, 2020

Protecting Trade

RAGHURAM G. RAJAN

多くの国でポピュリスト政治家が貿易協定の見直しを求めている。発展途上諸国は、長い間、国際貿易に関するルールは根本的に不公平だ、と主張してきた。なぜ同じような主張が、自分たちで作ったルールに対して、発展した諸国から起きるのか?

確かに、競争が激化した。新興諸国、特に中国で生産する方が有利になった工業製品が、旧ルールによって開放された発展した諸国の市場に流入している。NAFTAを見直したUSMCAは、メキシコの輸出競争力を削ぐ合意であった。その場合、メキシコは部品の40-45%を時給16ドル以上の労働者が生産することを要求される。また労働者を代表する強い労働組合などが、労働者保護として求められ、アメリカ側の査察でそれを検証する。

しかし、これまで製造業を新興経済に移転してきた発展した諸国が、なぜ今、それを制限し始めたのか? 従来は、製造業における失業が、低熟練の配送業から、高熟練の研究開発まで、サービスの雇用によって代替された。残念ながら、失業者のすべてがサービスの良い職場を得られなかったのだ。グローバル市場に関連する高度な教育を受けた専門職は大都市に集中し、他方で、アメリカ中西部やイングランド北部などの小都市は、製造業を失った後、回復しなかった。

しかも、今や新興経済が競争力を高めているのは製造業だけではない。むしろ、サービス分野で競争が激化している。先進的経済の企業群は、サービス関連貿易の市場開放を推進しているが、それはまた、発展した諸国がその支配的な生産者の優位を保護するための機会でもある。これに対して、新興市場のエリートたちは独自に反撃するだろう。インドは、アマゾンやウォルマートのような、外国企業のプラットフォームでネット販売することを制限する新しいルールを導入した。

こうして、2つの要素が国際貿易・投資の枠組みを動揺させている。発展した諸国の取り残されたコミュニティーで、人びとは既存の枠組みにもはや従わない。同時に、新興経済のエリートたちは、サービスのグローバル市場で分け前を求めており、もはや譲歩しない。

貿易の問題は説得ではなくパワー・ポリティクスになる。ヴェテランの通商交渉担当者は、いつもそうだった、と言うかもしれない。1つだけ、重要な違いは、新興経済がより民主化されたことだ。メキシコ商工会議所は同意しても、メキシコの有権者は受け入れない。

将来、世界の支配的な消費者となるのは、より裕福で、より多く発言する、新興経済の市民である。発展した諸国は、国内からのポピュリスト的要求に、どうやって応えるべきか? 関税の引き下げ、非関税障壁の撤廃を求め、複雑な問題はWTOで処理する。しかし、労働組合やオンライン規制、特許の期限など、それ以上の要求は、貿易制度そのものを破壊するだろう。


 トランプはファシストか

PS Jan 15, 2020

Is America Going Fascist?

DARON ACEMOGLU

トランプ大統領の言動は右翼の暴力を誘発した。トランプはファシストだ、と結論した者も多い。

しかし、その類似性を強調することは正しくない。両者の違いは、1.共産主義からの脅威が今はない、2.戦間期の失望ははるかに大きかった、3.選挙制度の外で権力を握るまでには至っていない、4.共和党の行動パターンは珍しくない。

選挙を否定するファシストとは街頭で闘うしかなかった。21世紀に反ファシスト運動を再現してはならない。中間地帯を否定して対立を煽るのはトランプのやり方だ。むしろ、選挙で決着をつけるべきだ。

そのためには、1.民主党候補が、経済的・政治的に取り残されたと感じている人々の声を聴く、高いコミュニケーション能力を発揮することだ。2.民主党候補が、僅差ではなく、大差で勝利すること。そうでなければトランプ支持者たちは選挙の不正を騒ぎ立てる。

NYT Jan. 15, 2020

To Beat Trump, Put Ideals Before Ideas

By Charles M. Blow

FT January 16, 2020

Beware Trump’s admiration for Putin, Xi and Erdogan

Edward Luce

FT January 16, 2020

Why Donald Trump is proving George Orwell wrong

Simon Kuper

かつてデマゴーグは暴力に頼った。しかし、民主主義では、言葉の方が効果的だ。

FP JANUARY 16, 2020

Trump’s Growing European Base

BY BRUCE STOKES


 2020年の経済

PS Jan 16, 2020

What Could Spoil 2020?

ANATOLE KALETSKY

PS Jan 16, 2020

Has the World Economy Reached Peak Growth?

JIM O'NEILL

日本、ドイツなど、高齢化が進む。中国経済も、人口要因から、さらなる減速が予想される。

******************************** 

The Economist January 4th 2020

Criminal injustice: How to reduce rape

Renault-Nissan: Fled to the Med

Justice in Japan: Ghosn, going, gone

Suburbs: Laboratories of democracy

The end of CFA: Frankly speaking

The Rand Club: Rhodes to redemption

Reshaping the state: The Cummings plan

Bagehot: One nation under Boris

Free exchange: Planned obsolenscence

(コメント) 強姦を法律によって裁き、減らすことができるか? これまでは非常にむつかしかったけれど、スマホやネットの時代に。

ニッサンのゴーン元会長がレバノンに逃亡した話を、微妙な形で、取り上げています。日本の司法システムが不正だから、レバノンに正義を求める? 反政府デモの続くレバノンの富裕層と友達だから? ある意味で、アフリカのフラン圏が独自通貨になるのも、南アフリカの人種差別時代に威信を誇ったクラブが、マンデラの肖像画の下で、復活するのも、中国の産業政策が米中戦争でむしろ是正されるのも、どこか似たパラドクスを示す話です。

アメリカの民主主義が試されるのは、郊外都市である、と考えます。リベラル派は育つのか? イギリスはボリスが天下を取って支配を確立しようと試み、戦略家は国家そのものを破壊し、再編する。

******************************

IPEの想像力 1/20/20

ピーター・ポメランツェフの名著『プーチンのユートピア』を読み始めました。これは本当に面白い。もしまだ読んでいないとしたら、読まないままでいるほうが幸せかもしれない。

・・・ロシアは、「国土が9つの時間帯にまたがり、世界の大陸の6分の1を占め、東は太平洋から西はバルト海まで、北は北極海から南は中央アジアの砂漠地帯にまで広がる」・・・この国では今も、「人々が木造の井戸から腕力を使って水をくみ上げるような中世さながらに取り残された村落があるかと思えば、工場城下町がある。」 「生まれ変わったようなモスクワに戻れば、青い硝子と鋼鉄でできた摩天楼が並んでいる。」

・・・「テレビこそ、この国を1つにまとめ、支配し、団結させることができる唯一の権力だ。」・・・とらえどころがない新しいタイプの権威主義の中枢となる機構である。

・・・「現大統領が2000年に政権を握ったとき、最初にしたのは、テレビ局を管理下に置くことだった。」・・・「生まれ変わったクレムリンは旧ソ連の二の舞を演じるつもりはなく、二度とテレビ番組を退屈なままにしない。」・・・「ソ連時代の統制を西側のエンターテイメントとうまく融合させることだ。」

・・・「そして、偉大なショーの中心にいるのは、大統領自身だった!」 ・・・兵士、愛人、はだかの胸の筋肉を誇示したハンター、ビジネスマン、スパイ、皇帝、スーパーマン・・・「テレビの力を通じて、陰鬱な元KGBから生み出された」。

****

そして、問題は、なぜか? このような権力、このようなシステムが、どのようにしてできたのか? どのような条件において、このようなことが起きるのか? つまり、私たちにも。

その答えをこの本から探せば、

● 金が流れ込んだ。・・・「モスクワはヨーロッパの端にあるうらぶれた衛星都市で、ソヴィエト帝国の残り火が目に映るだけだった」・・・「21世紀にはいると何かが生じたのだ。ずばりマネーである。これだけ多額のマネーがこれほど短期間に、これほど狭い場所に一気に流れ込んだ例はなかった。」・・・「世界でいちばんたくさんの原油を握り、世界でも飛び切りの美女たちを侍らせ、世界でも比べるものなく豪華なパーティーを催している。」・・・「青二才が一瞬のうちに億万長者になりあがる」この都市にいなければ理解できない。

● 社会工学・エンジニアリング。

● ギャングだけが秩序だ。

● 西側の開発プロジェクト。

● 理想を失った。

● ポストモダニズム。

● オルガルヒ(大富豪)と売春婦。同じ仮面舞踏会の役者たち。・・・「北半球一の格差社会であるこの都市では、大富豪はフェンスを巡らしたなかで隔絶された優雅な文化的生活を送っているが、週に一晩だけ、ほんのわずかだけ天国への水門を開ける。すると、女たちはそのわずかな隙間にどっと押し寄せ、中に潜り込もうとする。」・・・「固定観念にとらわれていない」・・・これは依頼人とセックスすることも厭わないという暗号である。・・・「このフレーズが、屈辱を人間的な解放に変えたと言えなくもない。」

・・・「フォーブズ(大金持ちの男たち)と娘たちは異なる財力を持つ宇宙空間へと打ち上げられてしまったが、今でもお互いを完璧に理解している。」・・・「男たちと女たちは、ストロボスコープの中の自分の姿を見て考える。『あれは現実に自分に起きていることなのか?』・・・」

****

そういえば、デイビッド・レムニックの『レーニンの墓』を読んだことがありました。理想を実現する暴力も、理想を持たない暴力も、前者は戦争、後者はマネーで、一種の狂気を演じることができる。

私の国際政治経済学には,石油の呪い,破たん国家,テロと内戦,金融危機などがあります.プーチンは,グローバル資本とテレビ,あるいは,インターネットの時代を,暴力とマネー,嘘で支配する,典型的な専制君主なのだと思います.

******************************