(前半から続く)


 カルロス・ゴーン記者会見

FT January 3, 2020

Carlos Ghosn is just the latest CEO to skip out in style

Jonathan Guthrie

FT January 3, 2020

The facts of the Carlos Ghosn case must now be heard

FT January 4, 2020

Why Carlos Ghosn chose the life of a fugitive

Leo Lewis and Kana Inagaki in Tokyo and Peter Campbell in London

The Guardian, Wed 8 Jan 2020

The Carlos Ghosn case shines a light into the dark corners of Japanese justice

Jeff Kingston

FT January 9, 2020

Carlos Ghosn flashes passion and defiance on Beirut stage

Peter Campbell in London, Leo Lewis and Kana Inagaki in Tokyo and Chloe Cornish in Beirut

NYT Jan. 8, 2020

Carlos Ghosn, Victim or Villain?

By The Editorial Board

水曜日に、カルロス・ゴーンがベイルートで記者会見を開いた。彼は日本で逮捕され、獄中で過ごし、元グリーンベレーの助けで、トランクに隠れて脱出した。ゴーンは、3つの大陸で育った、地球をまたいで、2つの自動車会社(あるいは、3つ)を救った、ヴェルサイユ宮殿において悪趣味な結婚式まで開いた、多くの話題に満ちた人物だ。

この疲れを知らない65歳の、逃亡者である企業重役は、記者たちを前に、英語、フランス語、アラビア語、ポルトガル語で力説した。自分は正義から逃げたのではない。日本で正義は不可能だ。しかし、政治的な陰謀に逆らって、正義を追求する。

テレビドラマに負けないような素晴らしい物語だ。多国籍の産業の幹部が何をしているか、激しい内紛が起きること、途方もない報酬を得ていること、裏でも表でも、複雑な国際的駆け引き、そういったことがよくわかる。

しかし、重要な問題は未解決のままだ。ゴーンは重大な罪を犯したのか? それは長期の収監に値するのか? 日本の司法システムは99%が有罪なのか? しかも、容疑者に自白するよう圧力をかけるのか? それは、国際的な司法の規準から見て適当なものか? ニッサンは政府と共謀して、外国人であるゴーンを罪に陥れたのか? 政府が日本企業を外国に買収されるのを嫌って?

PS Jan 9, 2020

Lebanon’s Perfect Storm

ISHAC DIWAN


 米中金融戦争

FT January 3, 2020

US-China financial war is just beginning to take shape

John Dizard

FT January 4, 2020

Would your finances pass the 10 year challenge? 

Claer Barrett


 難民

SPIEGEL ONLINE 01/03/2020

A New Wave of Refugees?

Idlib Violence Puts Pressure on EU-Turkey Pact

By Melanie Amann, Giorgos Christides, Steffen Lüdke, Peter Müller and Maximilian Popp


 米中デカップリング

PS Jan 3, 2020

The Myth of Global Decoupling

STEPHEN S. ROACH

デカップリング(米中経済の分離)は起きないだろう。それは、単に、冷戦と比べて、米中対立にイデオロギーの要素がないだけではない。世界貿易の規模は、世界GDP28%に達しており、それは冷戦期には13.5%でしかなかった。

世界貿易は完全に変わった。かつては、その国で生産した最終財を交換していたが、今では、ますます部品の貿易が増え、多国間のグローバル・ヴァリュー・チェーン(GVC)によって生産された製品が輸出されている。

政治家たちは、自分たちに責任があることを決して認めたがらない。しかし、慢性的な財政赤字は彼らに責任がある。アメリカの貯蓄不足は、中国との貿易戦争を違う視点で理解することを求める。デカップリング論は組み替えられる。

米中貿易戦争で、GVCが再編成される。米中2国間の不均衡だけが注目されるせいで、中国の対米貿易黒字は地域全体に分散されるだろう。ますますアジア地域全体が1つの工場になる。

米中は共生関係であった。中国はアメリカの消費者に依存し、輸出による高成長を実現した。アメリカも、世界第3の規模の、最も早い成長を示す市場として、中国に依存していた。双方が必要としたのだ。しかし、紛争になれば、共生関係は変化し、中国は輸出よりも国内消費による成長モデルに移行する。

アメリカの財政赤字、それゆえ貿易赤字は、今後もさらに大きくなって続くだろう。米中のデカップリングはこの問題を解決しない。むしろ政治問題はさらに悪化する。中国の生産拠点は海外に移転し、アメリカはアジア諸国や、あるいは、自国内に戻った生産者から購入するが、それらはより高いコストを支払うという意味だ。

それは、アメリカ企業、労働者、家計に対する増税と同じことである。政治家たちと、包囲され、窮地に立つ中産階級とのデカップリングが始まる。


 AIのルール

FT January 5, 2020

Artificial intelligence needs global ground rules

Diane Coyle


 ドイツの役割

SPIEGEL ONLINE 01/06/2020

Europe's Reluctant Leader

Germany Searches for Its Role in the World

By Christian Esch, Christiane Hoffmann, René Pfister, Jan Puhl, Britta Sandberg and Bernhard Zand


 デジタル経済と経済学

PS Jan 6, 2020

Making Stakeholder Capitalism a Reality

LAURA TYSON, LENNY MENDONCA

PS Jan 8, 2020

The End of the Free-Market Paradigm

DIANE COYLE

デジタル経済の時代に、個人主義的な利潤・効用最大化に依拠する経済学は有効でなくなる。われわれの相互依存関係を無視することは不可能だ。

デジタル・プラットフォームを考えることだ。世界で数社しか提供していない。しかも、それが巨大化するほど、利用者のサービスは利益を増す。

データは、古典的な公共財の性格を持っている。データに依拠したサービスの価値は、社会的な条件によって変化する。

デジタル化は、グローバル・サプライチェーンを拡大し、何百万というビジネスの運命を結び付けている。ソーシャルメディアは消費者の需要に重要な影響を及ぼす。経済進歩はますますアイデアの交換に依存するようになっている。

これまでの経済学の前提は、金融緩和が危機に至るような間違った政策を支持した。経済学の前提は、単純化のために採用されているが、そのレッセフェールを支持する、政策におよぼす偏向は、重大な結果をもたらすものだ。


 中国の成長

PS Jan 6, 2020

Chinese Growth Really Can Be Faster

YU YONGDING


 資産税

PS Jan 7, 2020

Isn’t a Wealth Tax Common Sense?

J. BRADFORD DELONG

ふさわしい公共支出があるとき、そのために課税する必要がある。しかし、資産に課税することに、反対する声が強いことは意外である。

古くから、課税の原則は3つある。1.税源を広くする。2.需要が変化しない財に課税する。市場のゆがみが少ないから。3.課税される者は、失われる効用が最も少ないものにする。すなわち、富裕層だ。

この原則に従えば、だれに課税するべきか? 富裕層だ。何に課税するべきか? 富裕層が税の負担を逃れるために犠牲にしてもよいとは思わないものだ。すなわち、資産である。

それゆえ、いかなる税制改革にも、資産課税が組み込まれているべきだろう。では、なぜこれほど多くの反対する者がいるのか?

ローレンス・H・サマーズは、資産税は政治や政策決定において富裕層の影響力を増大させるだろう、と警告する。富裕層は資産を子孫に残せないなら、現在の社会を作り変えようとするからだ。

サマーズは、資産税は、最高裁が50%以上の課税率に違憲判決を下す問題になって、政治的エネルギーを消耗する、ともいう。

しかし私は、こうした反対論がひどく間違っていると思う。それは財政問題ではなく、官僚制の問題だ。税制として資産税に反対するなら、むしろ現状を支持する側が、その理由を論証する責任を負うべきだ。


 アメリカにおける絶望死

NYT Jan. 6, 2020

Why Are Young Americans Killing Themselves?

By Richard A. Friedman

NYT Jan. 9, 2020

Who Killed the Knapp Family?

By Nicholas Kristof and Sheryl WuDunn

6番のスクールバスは、毎日、大騒ぎだった。1970年代、Nickは毎日バスに乗った。オレゴン州の田舎で、近所の子どもはFarlan, Zealan, Rogena, Nathan and Keylan Knappだった。彼らはみんな、明るく、途方もない上昇志向の若者たちだった。Knapp一家は、自分たちの家を買ったばかりだった。Farlan16歳の誕生日にFord Mustangを手に入れたときは、皆が歓声を上げた。

しかし、今、6番のスクールバスで通った子供たちの4分の1は死んでしまった。麻薬、自殺、アルコール、無謀な交通事故による死だ。Falanは、酒と麻薬がもとで、肝臓障害により死んだ。Zealanは飲み過ぎて、家が火事になって焼け死んだ。Rogenaは薬物使用と肺炎、Nathanは麻薬を溶かすときに焼け死んだ。Keylanは生き残ったが、それは13年間も州の刑務所にいたからだ。

アメリカ人はトランプが焦点となった政治対立に関心を固定してしまうが、トランプ以前から、もっと広く、この国は癌によって蝕まれている。自殺率は第2次世界大戦後の最高水準にあり、7人に1人の子どもが薬物中毒の親と暮らし、15分ごとに、薬物依存の親の子どもが生まれている。アメリカは大国から滑り落ちている。

2大政党制の下で、50年にわたり、われわれは深刻な構造的問題を抱えている。3年連続で平均寿命が短縮しているのは、アメリカだけだ。その原因は「絶望死」である。

ノーベル経済学賞を受賞したAngus Deatonが、アルコール、麻薬、自殺による死亡率の上昇を指して「絶望死」と名付けた。「労働者階級の生活から、ますます、その意味が消滅してしまったようだ。」 「アメリカ経済は、こうした人々に、有益であることをやめてしまったようだ。」

裕福なアメリカ人にとって、苦悩する人々は見えない。生き残りの人々がトランプに投票した。彼らを救ってくれるように見えたから。しかし、トランプ政権で、医療保険を利用できない子供の数は40万人も増えた。

株価は記録的な高水準であるが、(大学卒業資格のない)労働者階級は苦しみ続けている。もし連邦の最低賃金が、1968年から、インフレと生産性上昇を反映していたなら、いまでは時給22ドルになるはずだ。現実には7.25ドルでしかない。


 ヨーロッパとイギリス

NYT Jan. 6, 2020

What Now for Europeans Who Love Britain?

By Beppe Severgnini


 トランプの悪夢

NYT Jan. 6, 2020

The Nightmare Stage of Trump’s Rule Is Here

By Michelle Goldberg

FT January 8, 2020

The paradox of America First

Janan Ganesh


 4大会計事務所

FT January 7, 2020

Time for the Big Four to rethink auditing’s purpose

Jane Fuller


 デジタル通貨

FT January 7, 2020

Digital currencies will not displace the dominant dollar

Gita Gopinath


 金融政策の限界

FT January 7, 2020

Economists fear US is approaching limit of monetary policy

Brendan Greeley in San Diego

PS Jan 7, 2020

The Dilemma of Central Banking

MIAO YANLIANG

PS Jan 9, 2020

Central Banks Face a Year of Mounting Challenges

MOHAMED A. EL-ERIAN

アメリカ連銀とECBは金融政策を逆転させた。金融危機後の異常な低金利と量的緩和を逆転し、正常化することから、明確に、緩和を維持する方向に転換したのだ。

それはインフレや不況によって促されたものではない。金融市場の不安が高まることに応じて、保険として、中央銀行が行動したのだ。この行動は不満を呼んだが、将来にも延長されるだろう。

中央銀行が金融市場の不安を、金融政策の決定理由として、認めた。社会の大きな部分が周縁化や疎外を感じている。政治が分極化し、ポピュリズムに冒されやすくなっている。米中の貿易戦争も、一時的な停戦でしかない。

今後も金融市場の不安は高まるだろう。これらの問題に対応するには、包括的で、境界を超えた対策が求められる。それが欠けているとき、金融政策にちょい圧力がかかっても、効果的な行動が取れるとは限らない。


 新しいブレア

FT January 7, 2020

Labour needs a Tony Blair for the Twenties

Robert Shrimsley


 インド

PS Jan 7, 2020

What Happened to India?

SHASHI THAROOR


 ユーロ圏の政策

PS Jan 7, 2020

Will Eurozone Policymakers Take the Long View?

DANIEL GROS


 北朝鮮

FP JANUARY 7, 2020

Trump Avoids North Korea as Iran Standoff Heats Up

BY COLUM LYNCH


 スペイン

PS Jan 8, 2020

The Spanish Left Takes Center Stage

XAVIER VIVES


 トランプの選挙戦

NYT Jan. 8, 2020

Trump Wants Law and Order Front and Center

By Thomas B. Edsall


 軍事的脅威に耐える台湾

FT January 9, 2020

Taiwan: concern grows over China’s invasion threat

Kathrin Hille in Taipei and Christian Shepherd in Beijing

台湾の空軍基地が公開された。ファンファーレが響き、「空飛ぶトラ」の美しい装飾に子供たちが喜ぶ。しかし、飾り付けの意味は真剣だ。70年間、中国軍の侵攻に対峙してきたが、台北でもアメリカでも、その懸念は増大している。

中国の人民解放軍は20年にわたって軍備を増強してきた。軍事的脅威は本物だ。

台湾の総統選挙で、防衛は中心テーマとなった。祭英文は、権威主義的な隣国に対して、台湾の主権と民主主義を守る、と主張した。

しかし、台湾海峡を超えて、地域における米中の軍事力は競争する姿勢を強めており、軍事衝突が起こる日が近いと考えられている。北京の軍事支出は台北の15倍である。中国は、この10年間で、アメリカ空母と日本・グアムの基地を破壊する中距離ミサイルを整備した。

Ian Eastonの本によれば、台湾進攻が始まれば、人民解放軍はサイバー攻撃によって、島内、そして、台湾と米軍との情報ネットワークを破壊するだろう。その能力は「顕著な」水準に達している。それに続いて、ミサイルで台湾の空軍、海軍を破壊するだろう。輸送網や電力、産業インフラも破壊する。同時に、台湾に潜入している秘密部隊が活動し、大統領、首相、軍の要人を暗殺する。政治家や兵士を大規模に捕虜にする。

中国は、台湾の空軍力が破壊されたと確信してから、地上軍を送って占領する。しかし、人民解放軍には、海峡をわたる十分な輸送力がない。また、台湾の地理的条件から、上陸できる海岸線は少なく、平野部のほかに防衛する拠点にふさわしい山岳地帯がある。

台湾は軍事力を、高度な戦闘機ではなく、海上封鎖や山岳拠点の防衛力強化に充てるべきである。中国からの攻撃や侵攻を阻止し、遅延させることが効果的だ。

そして、国民が改革を通じて軍を信頼し、その目的を共有して、厳しい軍事訓練にも耐えられるように、広く議論を開始するときだ。


 サンダース

FT January 9, 2020

Why Bernie Sanders looks indestructible

Edward Luce


 ジャーナリスト

PS Jan 9, 2020

The Demonization of Journalists Must End

LEON WILLEMS


 アメリカの宗教政治

PS Jan 9, 2020

America’s Sacred Politics

IAN BURUMA

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The Economist December 21st 2019

The new Conservative Party: What’s the story, northern Tories?

Boris and the Beeb: Agony Auntie

Rough sleeping: No crib for a bed

Young people and the media: Seize the memes

Wealth management: For the money, not the few

US v China: Trade truce

The liberalization of Ireland: Personal and political

(コメント) クリスマス特集号の後半です。

イギリスに関する3つの記事が面白いです。ボリス・ジョンソンの保守党は、イングランド北部の労働者たちを新しい支持基盤として維持できるだろうか? 記事は3つのカギを示します。金、パワー、注意。BBCへの締め付け、ホームレスについても、同時に読みます。

新しいメディアにおける若者たちの変化について、資産管理をめぐる競争の行方、中国を利用したアメリカの産業政策、を考えます。

アイルランドが、保守的なカトリックの国だ、という印象は間違っています。発言し、社会を変える、革新を受け入れた国の姿を学びました。

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IPEの想像力 1/13/20

真田幸光氏の主張に驚きました。BSフジのプライムニュースで、中国の経済は人民元の価値が急落して、中国企業は対外債務を支払えなくなる、と予想していました。アメリカ、そしてトランプ政権は、通貨や金融市場のスタンダードを変える力がある、と。だから、人民元は売られる時が来る。

もちろん、その詳しい中身はわかりませんが、そうだろうか? と思いました。中国の金融危機は自分たちにも不利益だ、特に、トランプは選挙前に困るだろう、とアメリカが思うわけです。しかし真田氏は、笑顔で断言します。そんなことはない。株価は急速に回復する、と。なぜなら、中国は融資を得るためにIMFの経済改革を受け入れるしかない。それによってアメリカの金融ビジネスは大きな利益を得る、という話のようです。

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同じ時間に、他のチャンネルでは、興梠一郎氏が、米中冷戦の深刻さを語っています。習近平を国家主席ではなく、総書記としか呼ばなくなった、と。安全保障の専門家と並んで、台湾の危機から、米中冷戦を議論していました。中国経済は減速しており、一帯一路に向かっているが、成長の問題は悪化しそうだ、ということでしょうか。

私には、米中経済摩擦の目標は、アメリカの経済再編を、1980年代の日本に代わって、今度は中国を使って実現しよう、というアメリカの戦略に見えます。日本はアメリカの都合に合わせて、金融市場や企業組織も、工業力や産業構造も、変化させました。しかし、中国はどうかな? と思います。

日本のようにならない(させない)というのは、中国の指導部に以前からある強い姿勢でした。そもそも、日本は安全保障においてアメリカに支配されていました。中国の市場は急速に拡大し、先端技術分野でもアメリカを抜きつつあります。しかも、アメリカ市場を失っても、中国企業はアジアやアフリカで拡大するのではないか、と思います。

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中国の威圧の下で行われた台湾総統選挙が、こうした議論をよんだわけです。祭英文が勝利したとき、私は、香港と台湾の合同チームが勝利した、と思いました。香港は、地区選挙で勝利し、台湾選挙でも、改めて勝利したのです。

しかし、その意味は、将来に向けて、これから試される、ということです。香港や台湾の指導者は、民主主義の革新、資本主義の改善策を示す中で、本当に、中国を変える力を発揮できます。

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ミチコ・カクタニ『真実の終わり』を読んだでしょうか? トランプがアメリカ大統領として権力を握るとは、どういう変化によって生じたのか? 文芸批評家であるからこそ、嘘やインターネットが社会や知識にもたらす深刻な意味を著者は考えます。

「事実と虚構の区別」、「真実と嘘の区別」が失われてしまう。

アメリカのトランプ政権が金融覇権戦争を仕掛ける、というのも、中国経済の減速から、台湾侵攻や米中軍事衝突が起きる、というのも、考えておかねばならない危険なエスカレーションです。しかし、それを議論するとしたら、どのようにして回避できるか、という視点からです。なぜなら、その結末は私たちにとって深刻な暴力・破壊の時代であるのだから。

醜い、恐怖や死に至る事態を予想し、解説することの、エンターテインメント的な、投機的な表現は、私たちがとんでもない時代を生きているのだ、ということを思い知る瞬間です。

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