IPEの果樹園2019

今週のReview

12/9-14

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ブルームバーグ立候補 ・・・イギリス総選挙 ・・・億万長者の問題 ・・・中国の儒教と立憲的秩序 ・・・デモクラシーの再生に向けて ・・・スーダン革命政府

長いReview

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[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.] 


 ブルームバーグ立候補

FT November 29, 2019

Michael Bloomberg: the magnate shaking up the 2020 election

Joshua Chaffin

2001年のニューヨーク市長選挙で、ブルームバーグは対立候補に2桁の差をつけられて劣勢であった。最初は低く始めて、冷徹に、最後の勝利をつかむ。「われわれが勝利するとだれも信じなかった。しかし、われわれには確信があった。」 彼は支持者たちに語った。

2020年の民主党大統領候補の指名争いで、政治経験、そしてデータと世論調査をもとに、忠実な支持者たちは、ブルームバーグの勝利に、同じ確信を持っただろう。

進歩的なアイデアが支持を広める中で、穏健派の共和党員としてニューヨーク市長になった77歳のメディア王が企てた愚かな計画だ、と軽蔑する者もいる。エリザベス・ウォレン上院議員は、億万長者への増税を選挙公約の中心に据えるが、ブルームバーグとの競争を歓迎した。「彼には人々が必要ない。かれは選挙資金をうなるほど注ぎ込めるのだ。」

3000万ドルのテレビ広告で、彼は業績を誇った。その仕事をビ−チに迫撃砲を打ち込むように広告したのだ。彼の名を冠したメディア=データ・ビジネスを立ち上げ、911テロ攻撃後のニューヨーク氏を復活させ、その巨万の富を気候変動や銃規制など、大義のために費やした、と。

しかし、Bloomberg LP.の性差別的なビジネス文化は#MeToo運動後の今では意味が違う。彼の子をはらんだ女性に、「殺せ」“kill it”と迫った。彼はそのことを否定するが。

ニューヨーク市長として長期に推進した、不審者へのstop-and-frisk職務質問・所持品検査戦略について、マイノリティが差別的にあつかわれた。最近になって、それを謝罪した。

ブルームバーグの選挙戦は、民主党支持者の穏健派を切り取り、また、極左派の登場を促すことになるだろう。

ブルームバーグは全くの自力で成り上がった大富豪だ。Johns Hopkins Universityで同窓生のただ1人のユダヤ人、Harvard Business Schoolを出て、ウォール街ではSalomon Brothersにおいて急速に頭角を現したが、1981年の合併後に解雇された。データ企業の投資し、証券取引のデータに関する先行企業Dow Jones Reutersを脅かす存在となる。ただし、ブルームバーグは、2700人のジャーナリストたちが候補者に関する調査報道を、ブルームバーグ本人も対立候補についても自制する、と語った。トランプについては調査報道を続ける。

2020年の大統領選挙を、最初、彼は穏健派のジョー・バイデンが選ばれるのを邪魔したくない、と考えていた。しかし、指導的な候補者たちの闘と世論調査を観て、夏に、彼は気持ちが変わったようだ。彼が勝つとしたら、民主党支持者の多くが、他の誰よりもトランプを倒せる最強の候補者として期待するときだ。

並行してデジタル・メディアにおける1億ドルの政治広告を始めている。それはこじつけのように見えるが、キャリアにおいては十分だ。


 イギリス総選挙

NYT Nov. 29, 2019

Britain’s Dirty Election

By Peter Geoghegan and Mary Fitzgerald

イギリスの有権者はかわいそうだ。

2人の首相候補は、史上にもまれなほど不人気な人物だ。5年間で3度目の選挙になる。しかも、イギリスのひどい冬に。有権者たちは、多くの虚報、かつてない情報操作にさらされる。イギリスはもはや「フェア・プレイ」の国ではなく、嘘つき、詐欺し、デジタル犯罪者の国になった。

ソーシャルメディアが選挙の主要舞台だ。どれほど多くの有権者が、歴史的に重要な投票を、匿名のサイトやフェイク・ニュースによって判断するか。それが政治への信頼を損なっている。

こんなはずではなかった。政治をめぐる規制やルールはデジタル時代の前にできた者であり、ほとんど役に立たない。インターネットが情報操作の手段になっているのはイギリスだけではない。ソーシャルメディアと政治コンサル多とが選挙結果を決める。

これらの条件の下で、保守党は有利な選挙を進めている。彼らが勝利するとして、その代償は何か?


 億万長者の問題

PS Nov 29, 2019

The Billionaire Problem

SIMON JOHNSON

億万長者の問題は悪化している。市場経済は、たとえば、革新によるフロンティアの拡大をもたらす。それは生産過程や生産物の創造的な才能から公共の福祉をもたらすが、同時に、億万長者を生み出す。そして彼らは、富を用いて自分たちの利益を守ることができる。

億万長者の問題は新しいものではない。イギリスの東インド会社、西インド諸島へアフリカ奴隷を売ったヨーロッパ人たち、炭鉱の所有者たち。急速に豊かになった者はすべて、政治的な影響力を持って、ほしいものを何でも手に入れた。恐るべき乱用についても免責された。

アメリカは特に億万長者の問題に影響された国だ。建国の父たちには、産業革命以前の平和な時代の知識しかなく、億万長者の政治支配を想像できなかった。アメリカの指導者たちは、政府よりも、民間企業に新しいことを委ねるのを好んだ。ドイツでは国営の電信事業が成功していたが、アメリカでは民間で行われた。製鉄、鉄鋼、鉄道、すべてがそれに従った。

1960年代から、アメリカでは反税闘争が高まって、(金融部門を含む)規制緩和に向かう強い圧力を生んだ。そして多くの政治献金が企業から流れ込んだ。

ロビーイングは2つの重要な結果をもたらした。1.新規参入がむつかしくなった。既存企業を保護し、実効税率を下げた。財源が枯渇し、教育や研究、インフラに公共投資できなくなった。2.特にデジタル分野では、初期において参入が可能だった。最近、Facebook, Amazon, and Uberは成功した。しかし、今では、こうした巨大企業の支配的株主たちが、カーネギー、ロックフェラー、モルガンと同じ行動を示している。反競争的で、反労働組合だ。

新しいアイデアが巨大な富をもたらすのであれば、連邦政府の科学補助金が、アイデアを生かす企業の初期から国民に富を分配するよう、直接、その利潤に参加すべきである。


 中国の儒教と立憲的秩序

FT December 2, 2019

New Hong Kong councillors face a different set of civic concerns

Joseph Leahy

地区評議員のJeremy Youngに会った。香港の山岳地区だ。彼の選挙戦の焦点は、イノシシ対策だ。反政府派の候補者が金融センターとしての生存にかかわる重要問題、北京による自由の浸食などを問題にしている。しかし、Youngは明確に、中上流階層の住む、この地区の問題を選んだ。エスタブリシュメントのための自由党に属する。

イノシシの問題は些細なことに見える。しかし、ほとんど6カ月に及ぶ香港の反政府デモにより、住民投票と化した選挙で、18地区の1つを除くすべてで民主派候補が勝った。イノシシを取り上げた彼は生き延びた。

キャセイパシフィック航空の経営者の息子として、彼は中西部地区評議会の議席を守った唯一の候補になった。それは香港中心部とその周辺を含む。

若い、民主派の活動家たちは「5要求」を掲げて、地区評議会選挙を闘った。要求には、習近平主席の恐れる普通選挙もある。民主派の勝利を喜び、彼らにとっての国家にも近い“Glory to Hong Kong”を歌う者たちもいた。しかし、多くは勝利に衝撃を受けた。

激しい口論が公園でも起きていた。かつては非政治的であった香港で、政治論争が家族を分断している。新しい地区委員たちが取り組むべきは、イノシシのような身近な問題である。労働者の地区で当選した、民主派の大学生Eason Chanは、病院の待ち時間を短縮したい、と言う。

希望があるとしたら、ゴルバチョフのような指導者が中国に現れて、香港で普通選挙を実施してくれることだ、とChanは言った。「われわれは街頭で闘いたくない。なぜわれわれは立候補したのか? それは制度が機能しないからだ。」

ただちに普通選挙を実現することはできない。イノシシに餌をやるのは間違っている。

PS Dec 3, 2019

China’s Quest for Legitimacy

ROBERT SKIDELSKY

リベラルな民主主義は正統性の危機にある。人びとはリベラルなエリートによる政府を信頼していない。欧米ではポピュリストが成功し、トルコ、ブラジル、フィリピンなど、各地で権威主義的政府が生まれている。リベラルな民主主義は世界中で政治から消えつつある。

しかし、Lanxin Xiangは新著(The Quest for Legitimacy in Chinese Politics)で、この見解に明確に反対している。その焦点は、西側ではなく、中国の支配の危機だ。Xiangは、それに対して、中国も儒教を近代化して、その上に立憲的な民主制を築くだろう、と考える。

Xiangは愛国者であり、西側の知識人が中国の成長がもたらした歴史的成果を過小評価し、中国の文明を排除してきた歴史を強く批判する。モンテスキュー、ヘーゲル、マルクス、アダム・スミス。その後は社会ダーウィニズムが中国の文明を否定し、人種的に優れた西側による劣った人種の支配、として西側文明をユニバーサルに正当化した。もしアメリカが世界征服を目指す新しいプロテスタントなら、EUは宗教改革以前のカトリック教会である、と考える。


 デモクラシーの再生に向けて

PS Dec 4, 2019

What’s Behind the Crisis of Democracy?

HAROLD JAMES

世界中のデモクラシーが危機にあることを、もはやだれも否定しない。民主主義は自分たちのためになるのか? そもそも正しく機能しているのか? 選挙は現実世界を変えないようだし、政治的、社会的な亀裂を深めている。それは代表制の危機であるし、正確には、代表されていない。

最近のスペイン、イスラエルでも、選挙は結果を出していない。アメリカは長い間、世界の民主主義の砦であったが、今や、半数に満たない投票で大統領となった人物が、民主主義の規範や法の支配を無視しており、憲法上の危機にある。

イギリスでは、1212日の総選挙で、2つの主要政党の指導者は、それぞれ、ますます支持を失っている。しかし、その代わりに自由民主党に入れることもむつかしい。スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの地域政党だけが支持されている。ドイツでも、「大連立」の魅力は失われ、ますます大きな失望を生んでいる。

デモクラシーの疲弊を戦間期に比べる者がいる。しかし、当時は大不況の経済的苦境が結びついていた。今は歴史的に高い雇用水準にある。多くの人びとが経済的な不確実さに不安を覚えるが、その解決策は以前と異なる。

戦間期には異なる代表制があった。特に、コーポラティズムだ。それは組織された利益集団が、特定の職業や部門を代表して、政府と交渉した。議会の代表よりも、工場労働者や農民の協同組合、雇用者の組合さえ、決定に参加することがふさわしい、と期待された。

戦間期のコーポラティズム・モデルは今では忌み嫌われる。なぜなら、イタリアのファシストBenito Mussoliniと結びついたからだ。しかし、一時は、世界の他の地域でも支持された。例えば、アメリカのフランクリン・D・ルーズベルトは、ニューディールの起源に、多くのコーポラティストの要素を含めていた。労働組合と産業組織との交渉で決める価格管理がそうだ。しかし1935年、最高裁によって、1933年の全国産業復興法が憲法違反とされた。

しかし、戦間期、選挙や疑似選挙はヨーロッパだけでなく、アジアや南米でも独裁制をもたらした。戦後のデモクラシーは、新しい憲法や法律の制約、国際条約によって制限された。大陸ヨーロッパでも、日本でも、デモクラシーは軍事的な敗北の結果であった。欧州統合では、規範に応じた法律が整備された。

こうした新しい法的制約は、当然、軍事的な考慮をともなった。安全保障が維持されるのは、NATOのような、国際的な同盟のおかげであった。戦後の安定性を支えた制度的枠組みは、2003年のイラク戦争、2007-8年の世界金融危機まで続いた。その後、ドナルド・トランプのアメリカは、もはや戦略的に思考せず、大西洋の利益を守ることもなくなった。

戦後秩序は、しばしば、いかなる民主的な選択でもなかった、と批判される。現代の挑戦は、より大きな民主的包摂を実現することだ。旧式のコーポラティズムはその答えにならない。なぜなら多くの人はもはや1つの職業によって代表されないから。また、ルールに依拠した国際官僚制も好まれない。たとえEUNATOが公共財を供給しているとしても。

個人のアイデンティティーは、多くの複雑な要素の中で決まる。消費者、生産者、恋人、親、市民。状況によって変化する。この複雑な個性を政治によって代表させることが必要だ。それは技術によって実現可能になる。デジタル市民権を採用して参加を促す。電子投票・世論調査・請願。しかし、重要な、論争的問題には、それはふさわしくない。生活改善につながる、実際的問題がふさわしい。たとえば、鉄道か。道路か、排出量規制、エネルギー価格、その細部について。

小国エストニアや諸都市は、こうした形で代表制を改善し、デモクラシーをグローバルに活性化する最初の1歩になるだろう。

NYT Dec. 4, 2019

Our Future Depends on Communities

By Raghuram G. Rajan

人びとの不満は、グローバリゼーション、技術革新の普及にともなって強くなってきた。それらは社会へ利益をもたらしているが、不均等に分配される。

ロンドンのようなグローバル・ハブにおける投資マネージャーと、グローバルな競争激化で工場が閉鎖される小さな町の住民たちとでは、大きな差が生じる。失業率の低下は健全な経済状態を示すはずだが、こうしたコミュニティーの苦しみを見えなくする。

経済的機会が失われるに従い、社会の崩壊が進行する。結婚する者は減少し、離婚が増え、片親だけの家庭が増える。絶望からアルコール中毒や麻薬の使用、犯罪が増える。衰退するコミュニティーは、もはや学校やコミュニティー・カレッジのような地域の諸制度を維持できない。それらが失業者の再訓練を助けてきた。良い学校がないと、若者たちの将来の展望が失われる。彼らは繁栄する土地へ出ていき、残されたものの困窮が悪化する。

コミュニティーの力が奪われているために、回復はむつかしい。地域間の交易が増えると、企業は政府にコミュニティーの個々の規制を奪うように求める。より継ぎ目の少ない、円滑な市場を求めるのだ。同様に近年、諸国間の貿易が増えて、EUなどの国際機関が国家ごとの権限を奪い、ビジネス環境の調和に努めている。国際機関や資本は、衰退するコミュニティーの事情を細かく考慮しない。そのような知識や政策手段を欠いている。低金利や、衰退地域への優遇税制は、好ましい職場を創りだせない。スキルを持つアウトサイダーが、地代や土地保有税を引き上げてしまい、長年の住民を苦しめる。

コミュニティーがボトムアップ型の回復を目指すべきだ。国内の繁栄する地域、グローバルな主要都市とのリンクを回復・強化し、その成長を取り込む。そのための決定的要素は5つだ。:指導力の発見、コミュニティーの民間活動への関与、地域政府への権限移譲・活性化、中央に制約されない財源移転、新しいインフラ。

首都の政策に答えを求めてはいけない。


 スーダン革命政府

FT December 5, 2019

Sudan’s fledgling government needs the west’s backing

David Pilling

この30年間で最初の、アメリカ政府が交渉する価値のあるスーダンの指導者として、Abdalla Hamdokはワシントンに来た。4月まで、30年間も独裁者Omar al-Bashirに支配されていたからだ。

Hamdokは、マンチェスター大学で経済学の博士号を取った、外交官であり、銀行家である。8月に、Bashir体制を支えた軍部と、それに反対したスーダン市民の代表との、連合政府の首相に彼が指名された。彼らは3年間の移行期を監督し、2022年に民主的選挙を実施する。

ワシントンでHamdokが求めた唯一のものは、アメリカがスーダンをテロ支援国家のリストから外すことだ。ほぼ確実に、彼の願いはかなわないだろう。

この訪問で、革命後の改革を支援する、と彼に約束することが、スーダン革命後の体制の運命を決める。IMF・世銀から融資を受け、支払い不能の債務600億ドルを再交渉する。アメリカの制裁を取りやめることも含む。それが、このアラブ世界とブラック・アフリカとの出会う、重要な国に民間投資が起きるのを妨げているからだ。

その約束がなければ、世俗的(非宗教的)、西側志向の政権は、崩壊するだろう。スーダン経済が衰弱し、あるいは、軍が支配権を奪い、あるいは、湾岸諸国の傀儡国家になる。スーダン経済は破綻しており、政府は紙幣を増刷して60%のインフレが起きている。それを止めるために、政府は小麦やガソリンへの補助金をやめる必要があるけれど、その決定が反政府デモと独裁体制の崩壊に至った。外国からの融資が必要だ。

政治情勢もあやうい。Hamdokは移行期の最初の21カ月を首相として務める。しかし、権限を持つ議長は軍人だ。彼の決定がクーデタにつながった。その後、民間人が議長として2022年の選挙を準備する。この合意では、だれが本当に権限を握っているのか、わからない。現実に、武器を持つのは軍部であり、30年間の独裁体制で得たものを多く失うのも軍部である。30万人を殺害したと言われる武装集団Janjaweedの指導者Mohamed Hamdan Dagalo, 通称Hemetiとして有名な中将が、評議会メンバーである。6月には、反政府デモを武力鎮圧して、120人を殺害し、レイプし、死体を川に捨てた疑いがある。

それにもかかわらず、明るい兆しはある。新政府は女性の衣装を規制する法律を廃止した。それは、独裁体制下で、イスラム教に依拠する野党勢力を弾圧する者だった。

ジンバブエでムガベ独裁体制の後、Mnangagwa政権に西側は支援を約束するのをためらった。それは彼が何十年も独裁者の右腕であったからだ。Hamdokは違う。Hamdokが、本当は軍部の支配するショーを演じているだけである、と言うのは本当だろう。しかし、軍部を兵舎に戻すいかなる試みも、その機会を排除するべきではない。スーダンの市民派は望む成功を西側は与えることができるのだから。

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The Economist November 23rd 2019

Hong Kong’s turmoil: Borrowed time

Nuclear weapons: Warheads up

Kenya: Trouble brewing

The election: The battle for Brexitland

Bartleby: Go to work on an egg

Big Tech and Banking: Plug and pay

Asia’s economy: Glut maximus

Free exchange: Works in prigress

(コメント) 地区選挙の大勝の後、香港のデモ隊が政治的な変態を遂げるか、注目されます。

中国がこれまで少ない核弾頭で核抑止には十分だという判断から、思想的な転換を示す中、アメリカは正確さを高めるという思想に向かいつつあることが、核の均衡を脅かすでしょう。

Brexitが最重要な争点であるイギリス総選挙に、EUの漁業規制が衰退をもたらしたと信じるBrexit支持の街が印象的です。

しかし、最も注目したのは、難民の尊厳や自立を助けるNGOと、中国とは異なる銀行業の取り込みに向かうGAFAを描く記事です。

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IPEの想像力 12/9/19

今、民主主義は機能していない.選挙によって政策の正しさ,権力の正当性が証明できない.2大政党や長期政権が,政治の質を保証しない.

香港の抗議デモと地区選挙、イギリスの総選挙、国民投票、トランプの弾劾裁判、再選キャンペーン、その結果が何であっても、それが答えを導くものとは思えません。多くの重要な決定を、選挙や投票によって正当化することができない時代なのだ、と思います。

日本の選挙の投票率が低いことを、恐ろしいことだと思いませんか? 国政選挙でも50%台、市町村では10%台や、定員に満たない無投票の選挙が多くあります。それは、ますます組織で決まる選挙、金で買える選挙になる、ということです。

日本に香港のような激しい抗議デモが起きず,ウイグル自治区のような監視カメラと収容システム、ロシアのようなジャーナリストの暗殺がないことを,日本の政治が優れているからだ、と自慢するのは間違いでしょう.

急速に変化する条件や、瞬時に判断すべき事象に対して、政治過程が効果的で、しかも正当であるためには、どうすればよいのでしょうか?

何十年も政治過程を支配する政治家がパワーを誇示する政治代表制度を廃止し、ランダムな(抽選で決めた)市民会議・熟議を各地で組織する方がよいと思います。課税、政策、規制の導入、改廃のために、コーポラティズム(産業・職業代表制)とデジタル民主主義(ネットによる頻繁かつ問題別の投票、政策の説明・動画解説、Q&A、請願)を模索する必要があります.

反税闘争がアメリカの政治をニューディール連合の解体に導いた、とトマス・エドソールは『争うアメリカ』に書いています。素晴らしい名著だ、と思いました。多くの税金を支払い・給付を受けていることに、政治は答えなければなりません。

基本は、政府支出と税金をゼロから積み上げることでしょう。国民は、自分の納税額だけでなく、どのような統治を望むのか、判断しなければなりません。誰・何に、どのように課税し、何に対して支出するのか? なぜ何かを規制し、何かを支援し、保護するのか? どの程度なら、どのような貧富の格差なら許容され、経済や社会を発展させる動機になると支持するのか? どのような富とパワーを、だれが持つことを、私たちの制度や調整過程にふさわしいとみなすのか?

その判断を自分で下すためには、おそらくそれを必要とする前に(病気になったり、介護に苦しんだり、老後の生活に入る前に)、全体として、個々の規制や課税、補助金や医療保険・年金について、私たちは詳しく聞く必要があるのです。それがランダムな市民会議とデジタル民主主義です。もちろん、すべての細かい規定や項目を知ることは不可能としても、その全体の枠組みを理解し、そこに流れる税収と、それを支払う・受け取る人びとについて、知っておく必要があります。

政党は何のためにあるのでしょうか? 議員・政治代表の任期は、たとえば、5年です。高く評価された発言と行動を理由に、2期まで務めるとしても、10年で必ず退任します。再選は許しません。政党は、こうした議員を教育し、グループとして一貫した政策綱領の下に集めます。その意味で、政策や制度の全体に、その考え方、原則やイデオロギーを反映するでしょう。

官僚は、何のために正確な書類を作り・記録を残すのでしょうか? いかなる選挙結果も、その時の政権や政治家が、恣意的であるとか、多数派の専横を許すものではありません。法に従い、明確な指示や説明を受けて、官僚が行政を執行します。その記録は、国民のだれによっても、また、将来にわたって、いつでも検証できるように残されます。

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The Economistの記事に、難民たちを支援するNGOが描かれています。あるシリア難民は、キャンプで知り合った人から料理を学び、難民キャンプで料理に励み、新しい国で受け入れられたら、自分の店を持てるようにNGOから支援されるのです。

あるNGOは、難民キャンプに疑似貨幣を導入します。援助物資を配給されることで、人びとは尊厳を失います(恥辱と劣等感を残す)。難民たちは働くことを熱望し、貢献できる機会を求めているからです。NGOは店開き、彼らを雇って、難民キャンプ内で使用する交換券を発行します。

また、あるNGOは、スキルを学べる学校を開設します。たとえば、縫製の協同組合を組織します。編み機や原料をNGOが提供し、ネットで市場を開拓します。労働者の多くは女性です。男性には、自転車のシェアリング業を市内に開設し、難民キャンプから働きに来ます。

なぜ働く難民が優れているのか? それは、自分や家族の生活を自立させたい、と強く願っていることです。いかなる国にとっても貴重な、企業家の倫理なのです。

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