(前半から続く)


 米中貿易戦争の行方

FP NOVEMBER 22, 2019

The U.S. Trade War Has Caught Beijing’s Attention. Now Washington Needs a Longer-Term Plan.

BY TIM ROEMER

PS Nov 25, 2019

After the US-China Trade War

STEPHEN S. ROACH

17か月間も、世界の2大経済国が、1930年代以来、最悪の貿易戦争を戦っている。アメリカ政府は、特定企業を狙った通商政策の武器化を進めた。

しかし、アメリカのトランプ政権、中国の習近平体制、ともに貿易戦争を終結させることに利益を認めている。停戦は成立するだろう。しかし、停戦後はどうなるのか?

グローバリゼーションの逆転や、米中間のデカップリングは、起こらないだろう。しかし、貿易構造の多様化は別だ。アメリカの不均衡を解消することは、中国との交渉だけでは無理である。多角的な貿易において、貯蓄の不均衡が問題である。

米中の冷戦状態は長く続くだろう。しかし、アメリカには戦略的な姿勢が欠けている。中国は、明確に意識している。そうであれば、孫子の兵法が述べるように、アメリカは戦わずして負けている。

NYT Nov. 26, 2019

The World-Shaking News That You’re Missing

By Thomas L. Friedman

財、資本、技術、人の統合化は、アメリカにも中国にも大きな利益をもたらした。開放世界は勝利するだろう。

しかし、アメリカの作った開放世界のルールに、中国はスパイや壁、窃盗を組織的に持ち込んだ。技術における優位と支配は、安全保障にかかわる点で、他の商品と異なる。トランプの反撃は、その意味で、当然だ。同時に、トランプの騒音は間違っている。

どうすれば、米中の貿易戦争から、デカップリング、新しいデジタル・ベルリン・ウォールの構築を防げるか?

2つの方針が米中関係、そして、開放世界を管理するために必要だ。1.全政府型アプローチ。国防省、財務省、通商代表、国務省が協力して、しかし、トランプのツイートは無視して、包括的な戦略を築く。2.「全世界vs中国」アプローチ。アメリカは太平洋とヨーロッパの同盟諸国と、21世紀の貿易・技術統合に向けた正しいルールにおいて協力する。

PS Nov 27, 2019

The Case for Old-Fashioned Tariff Cuts

JEFFREY FRANKEL

かつて国際通商政策に関して「自転車理論」が語られた。自転車のように、貿易自由化交渉は動き続けることでしか、立っていられない。保護主義を抑えるために、継続的な自由化ラウンドを開催した。

その理論が正しいかどうかは知らないが、貿易は伸びなくなった。第2次世界大戦後の、互恵的な関税引き下げ、という公式に比べて、その後の、「深い統合」はうまく行っていない。関税や割り当てを超えて、ビジネス環境を規制するルールも統合する、という主張だ。その古典的な例が、EUとユーロ圏である。それは、少なくとも、Brexitに冒されたUKが示すように、過度に野心的な目標であった。

「深い統合」を、アメリカ政府も中国に、中国企業との合弁を強いてアメリカ企業の技術を共有させる条件を、やめるよう要求している。他の先進国、ドイツ企業とともに、WTOを通じて交渉することが望ましい、と、多くのエコノミストたちは考える。

しかし、外国企業は中国企業にとっての魅力を示すために、技術を共有するしかないのが現実であれば、政府はそれに関して何もできない。むしろ、金融サービスや自動車では、中国による輸入関税を撤廃するように求めている。アメリカやドイツの自動車メーカーは、中国で生産するより、自動車を直接に輸出できる。

その意味で、旧式の関税引き下げ交渉にもどろう。アメリカは、この数年に課したすべての関税を撤廃し、中国はそれに対する報復措置を解除する。環境政策の一部として行われる保護策や、安全保障という名目で正当化されたトランプの保護主義も、国際交渉で撤廃するべきだ。

しかし、自由化交渉が全てを解決するわけではない。貿易も、関税も、勝者と敗者をつくりだす。通商政策で、不平等を解決することはできない。アメリカは、医療保険制度、すべての子供のためのプリスクール、インフラ投資、競争促進政策、2008年後の金融規制の復活、より累進的な税制を必要としている。それと並行して、貿易自由化を進める。

EUや中国との「深い統合」というのは、達成することができない目標だ。


 アメリカの汚職とシェル・カンパニー

FT November 23, 2019

Private equity comes under fire in Washington

Mark Vandevelde in New York

FT November 28, 2019

How money laundering is poisoning American democracy

Edward Luce

冷戦に勝利した後、アメリカは世界に「法の支配」を輸出してきた。その流れが逆転した。今では、最悪の汚職のいくらかがアメリカに輸入されている。アメリカ最大の法律事務所、不動産会社、ロビー活動の拠点が、汚れた資金によって繁栄している。それらがアメリカ民主主義に残した汚点の広がりは、容易に洗い流せるものではないだろう。

ドナルド・トランプは、汚職蔓延の公的な顔になった。ジョー・バイデンも、民主党大統領候補のトップ・ランナーだが、その選挙区であるデラウェア州には匿名の会社が集まっている。フロリダのトランプ・タワーは、その所有者の80%以上がシェル・カンパニー(実体のない偽装目的の企業)だ。世界銀行によれば、アメリカには、それに次ぐ41の国・司法管区の合計より10倍も多くのシェル・カンパニーがある。

驚くことに、エリザベス・ウォレンも、アメリカ政治とグローバルな汚職との関係を批判しない。しかし、この問題こそ、彼女が全力を挙げて取り組む、20兆ドルのMedicare-for-All programmeより、アメリカの民主主義再生とグローバルな権威主義体制打破に向けた、大統領選挙のテーマである。

アメリカは、世界最大の汚れた資金の避難所dirty money havenである。アメリカ財務省は毎年の資金洗浄額を300兆ドルと推定するが、実際はもっと多いだろう。さらに悪いことに、アメリカは集中した形の企業登記システムがなく、政府はだれが企業を支配し、汚れた資金を流しているか、知らない。

アメリカの銀行は疑わしい活動を報告しなければならない。しかし、法律事務所、不動産会社、美術品販売業者、有限責任会社、ノンバンク金融機関は免除される。アメリカのシステムは汚れた資金にレッド・カーペットを敷いて歓迎している、とウォレンは批判するべきだ。アメリカの関係機関がサービスを提供しなければ、ロシア、中国、サウジアラビアなど、多くの独裁体制は繁栄できないだろう。

トランプも、ウォレンも、アメリカの有権者たちが嫌う「際限ない戦争」を終わらせるべきだ、と同意する。しかし、もっと優れた外交政策は、デラウェア州やネバダ州のような資金取り込み業者、ニューヨークやワシントンの協力者たちを、法によって明確に支配することだ。

汚れた資金に光を当てるほうが、新しい空母を5隻建造するより、専制国家を倒す力になるだろう。


 中国の住民弾圧

NYT Nov. 24, 2019

China Didn’t Want Us to Know. Now Its Own Files Are Doing the Talking.

By Adrian Zenz

SPIEGEL ONLINE 11/28/2019

China's Oppression of the Uighurs

'The Equivalent of Cultural Genocide'

Interview Conducted by Bernhard Zand


 ブルームバーグの出馬

FT November 25, 2019

Michael Bloomberg launches 2020 US presidential campaign

Lauren Fedor in Washington

FT November 28, 2019

Bloomberg, Trump and the digital war for US voters

Gillian Tett

ブルームバーグが民主党大統領候補のレースに参加したことより、FacebookTwitterの政治広告につぎ込む資金の方が重要である。


 Brexitと独仏関係

FT November 25, 2019

Brexit has destabilised the Franco-German couple

Gideon Rachman


 ヒンドゥー至上主義

FT November 25, 2019

Hindu nationalists see Ayodhya victory as just the start

Stephanie Findlay


 トランプのユダヤ人入植地承認

PS Nov 25, 2019

The EU Must Recognize Palestine

DAOUD KUTTAB

FT November 26, 2019

The world will count the cost of Donald Trump’s moves in the Middle East

David Gardner

ドナルド・トランプがまたやった。先週、国際法を否定し、40年間続いたアメリカ外交の方針を逆転して、イスラエルがパレスチナ人の領土を併合することを認める、と表明した。すなわち、ヨルダン川西岸における非合法なユダヤ人入植を合法化した。

昨年、トランプは、イスラエルが占領するアラブ人の東エルサレムを含めて、エルサレムをイスラエルの首都と認めた。そしてアメリカ大使館を移設した。また、イスラエルが1967年の6日間戦争でシリアから奪ったゴラン高原に対するイスラエルの主権を認めた。

先月、トランプはほかにも領土の略奪を認めた。アメリカ軍をシリア北東部から撤退させて、トルコがシリアの3分の1の領土を占領する許可を与えた。

4回ジュネーブ会議で、占領国による住民の移動は禁止された。ユダヤ人による占領地への入植はこれに違反する。40年間に約70万人が占領地に入植し、他方で、日常的な土地占拠とパレスチナ人の家屋破壊を続けてきた。

ワシントンからの支持を得て、右派宗教派閥と連携するネタニヤフは、政権の行き詰まりを打破するために、入植地とヨルダン渓谷の併合という公約をさらに強硬に主張するだろう。

トランプは、ネタニヤフと連携するが、距離を取っている。政策転換は、2016年の大統領選挙でトランプを支持し、2020年にも重要な支持基盤である福音派プロテスタントへの目立つアピールだ。

しかし、アメリカのユダヤ人は、福音主義派が一部であり、イスラエル政策について分裂している。ポンぺオ国務長官、ペンス副大統領のような福音派が、アメリカのイスラエル政策を宗派の終末論的な千年信仰に変えてしまっている。

トランプの最近の行動は、グローバルな領土略奪の競争を宣言するものだ。クリミア、ロシア東部へ、ロシアが。シリア北部へ、オスマン帝国復活を目指すトルコが。新疆ウイグル自治区のイスラム教徒を弾圧し、香港自治を終わらせる、中国が。カシミールの自治を終わらせ、併合する、ヒンドゥー至上主義者のインドが。トランプのスローガンを採用する。「再び偉大にする。」


 経済学

FT November 26, 2019

Gig economy employers are undermining the social contract

Izabella Kaminska

PS Nov 28, 2019

What Should Economists Be Doing?

KAUSHIK BASU

PS Nov 28, 2019

Bipolar Economics

ANDRÉS VELASCO


 米中対立の行方

FT November 27, 2019

Unsettling precedents for today’s world

Martin Wolf

歴史において大国間の戦争は繰り返されてきた。現在の米中対立は、過去の3つの戦争の混合物になり、それぞれ、学ぶものがある。1.米ソ冷戦(1945-1990)の超大国間におけるイデオロギー対立。2.戦間期(1918-1939)、アメリカのヨーロッパ離脱と金融危機の波及。3.第1次世界大戦前(1870-1914)の、イギリスの優位の低下とドイツの急速な追い上げ。

指導者が重要だ。習近平は共産党の支配を強化することを最優先する。トランプの愚かさはドイツの皇帝ヴィルヘルムを思い出す。もっと優れた指導者がいなければ、世界の困難は増すだろう。何より戦争を回避することが重要だ。相互の不信感は危機をエスカレートする。

過去の戦争と違って、現代の相互の緊密な経済・社会統合は、危機を共同で管理することに大きなポジティブ・サムの可能性がある。


 レバノン

FT November 27, 2019

Turmoil in Lebanon is hurting Syria

Chloe Cornish


 東アジア

PS Nov 27, 2019

East Asia’s Political Vulnerability

LEE JONG-WHA


 農業労働者

NYT Nov. 27, 2019

Turning Farm Workers Into Farmers

By Johnny Magdaleno


 難民

FP NOVEMBER 27, 2019

Sending Refugees Back Makes the World More Dangerous

BY STEPHANIE SCHWARTZ


 感謝祭

FP NOVEMBER 27, 2019

10 Things in the World to Be Thankful for in 2019

BY STEPHEN M. WALT

世界の現状について、あなたは誰に感謝するか?


 ドルの優位

FT November 28, 2019

Why the dollar doomsayers have it wrong

Joshua Zoffer

ドル支配に対する批判はヨーロッパにさかのぼる。1060年代に、フランスの財務大臣Valéry Giscard d’Estaingが「途方もない特権」だと批判した。ドルの地位により、アメリカは巨大な対外赤字を支払えるからだ。

ドルの役割を減らすように、ロシア、中国、イランは要求している。ドイツの外相Heiko Maasも、イングランド銀行総裁Mark Carneyも、同じように主張した。

しかし、国際金融システムの構造が、ドルの支配する通貨システムを変えることを著しく困難にしている。SDRがそれを変えようとしたが、それが使用できるのは政府間だけだ。ドルはむしろグローバリゼーションで支配を強化した。

その理由は、1.ドル建資産、特に政府債券市場が、深く、巨大である。2.他の中央銀行もそれ(アメリカ国債)を保有するしかない。3.国際貿易・決済・融資で、ドルによる取引が支配的だ。それは政府によって決めることができない。4.世界の諸政府・市場参加者が信頼する諸制度によってドルの利用は支えられている。

現在の大きな変化が2つある。1つは、トランプ政権がドルを政治利用することだ。もう1つは、デジタル通貨の利用拡大である。

もしアメリカ政府が慎重な姿勢を取らず、デジタル通貨の利用を支える諸機関が主要政府によって支持されれば、ドルの支配は崩れるかもしれない。


 富裕税の効果

FT November 28, 2019

Wealth taxes will not solve inequality

Megan Greene

ボストンの旧い石造りの住宅が売却されて、そこに住んでいた人びとは立ち退き、今では一戸建て住宅として、超富裕層が数百万ドルで購入している。

富裕層から搾り取るという道義的な見解は、歴史的に見て、経済的に機能しない。

ウォレンやサンダースは富裕税を提案している。彼女・彼には2つの目的がある。1.国民皆保険制度、気候変動対策、学生債務の解消に使う。2.不平等を解消する。

しかし、OECD諸国の実験は成果が乏しい。富裕税は十分な税収をもたらさなかった。今も採用している4か国は、ノルウェー、スペインでGDP05%以下、スイスでその2倍だった。その歳入は、行政的な費用でしばしば相殺された。超富裕層の資産評価はむつかしい。

富裕税は、税の回避、海外への資産移転を増やす誘因となる。フランス政府は、2002-2017年、1万人が350億ユーロを税回避のために海外移転した、と推定した。その結果、フランスは富裕税をやめて不動産税に代えた。

富裕税を提案する政治家は、超富裕層のロビー活動がどれほど強いか、知らない。超富裕層の回避活動は、価格や資本の配分をゆがめ、課税ベースを減らす。もし資産から債務を差し引いた額に課税するのであれば、彼らは債務を急増させるだろう。

「たとえ超富裕層が支払うとしても、その負担はすべての者におよぶ」とドイツのIfo研究所は主張する。経済が競争力とダイナミズムを失うからだ。彼らの富は単に預金されているのではなく、生産性、賃金、成長をもたらす投資である。

最後に、富裕層はアメリカ憲法に違反する、と考える法律家たちがいる。

不平等は重大な政治問題であるが、富裕税はその解決策ではない。


 WTO

NYT Nov. 28, 2019

The World Trade Organization Is Dying. What Should Replace It?

By Lori Wallach

******************************** 

The Economist November 16th 2019

The $600bn binge

Immigration policy: Unlock that door

Street-sleepers: No shelter for some

Seeds of opposition: Stony ground

Migration: A world of walls

Protest movements: We all want to change the world

(コメント) ブラジルの農業を大改革して成功したアグリビジネスを、アフリカのモザンビークにも導入する試みがあったそうです。ブラジルの土壌を化学的に改良して、品種改良や農業機械も加わり、世界の主要な輸出基地に変えた、という成功物語が、世界で最後の巨大な農業フロンティアをアフリカに生み出すかもしれない、というわけでしたが、失敗したようです。それは、イデオロギーや社会運動の扱いを間違ったから。

トップ記事は、アメリカで始まっている、娯楽産業のインターネットによる配信サービスを統合する、競争的な、莫大な投資ブームです。NetflixDisneyAT&T-Time WarnerComcastなど。記事は、これこそが資本主義のダイナミックな革新能力である、と称賛します。しかし、どうかな。

******************************

IPEの想像力 12/2/19

京都ウォーカーに認定されました。11月に行われたウォーキングチャレンジ2019です。「月まで歩こう」というのがいいですね。参加しました。・・・「地球から月まで、48000万歩」

これを2000人で分担すると、毎日、8000歩以上、30日間で着くそうです。私は1日平均9000歩以上を歩きました。景品は、「特製タオル」です。ま、いいや。「月まで歩きたい」というアイデアを楽しめたから。

****

地球においては、「足での投票」が行われています。もし移住が自由であれば、サウジアラビアからカナダへ、私も移住したいと思うでしょう。

The Economistの特集記事を読みました。難民や移民は、その生まれた土地のせいで、苦しい生涯を強いられる。もし彼・彼女らが移住できるなら、もっと能力を生かして、その土地のインフラや技術によって能力を高め、はるかに豊かに暮らすことができるのに。

人びとが移住することを、豊かな国は好まない。豊かな国の人だけが、そこに入るドアの鍵を持っている。難民・移民に対する恐怖が、Brexitやドナルド・トランプの選挙を動かした。

しかし、アメリカよりも多くの移民を受け入れて成功し、国民がその移民政策を支持している国もある。オーストラリアがそうだ。記事は、オーストラリアのようななれ、というわけではない。しかし、移民を拒否する人たちは、成功するケースを無視している。

アメリカや、オーストラリア、カナダがそうだ。急速に成長し、繁栄する社会を築いている。もちろん、移民たち自身が大きな利益を得ただろうが、受け入れ社会にも多くの成長と雇用の機会、そして、新しいアイデアや企業家となる人々、新しい料理や音楽などの文化をもたらした。

「優秀な移民たちが世界中から流入したことで、オーストラリアはより豊かで、ダイナミックになった。1973年以来、人口は倍増し、経済規模は21倍になった。28年間も連続して経済成長を続けた。」

それでも、移民を受け入れることは、多くの国で、有権者に支持されない。日本でもそうだ。

この記事は、政策によって人々の移住は可能になる、と示します。オーストラリアの移民政策がその材料です。それは、1973年に、白人のみの国から転換し、エスニックによって差別せず、しかし、明確に優先的な移民を歓迎するようになった。すなわち、年齢は25歳から32歳。教育を受け、職歴が優れており、英語を流ちょうに使用できる。優先される移民の基準だ。

記事はオーストラリアの政策の基本を、国民にとって有利であることを明確に示すこと、と考える。優れた人々を世界中から集めるが、それを無視して入国を目指す者は厳格に拒否する。非合法な移民は送還し、出身国がわからないケースは離島に収容して入国させない。国境管理と審査が厳格に行われ、信頼されれば、国民は支持する。

あるいは、入国の人数に上限を決めるより、移民に課税するほうが望ましい、と世界銀行は考える。移民たちはより高い賃金を稼ぎ、その一部を納税して受け入れ国のインフラ整備などに貢献し、また一部を国の家族に送金する。もし希望する以上の移民が来るようなら、さらに増税する。あるいは、どうしても移民と雇用を競う低賃金労働者には、賃金低下の損失や雇用機会の減少を、補助金や職業訓練を通じて補償する。

もし社会福祉に対する移民たちの長期の貢献を疑うのであれば、短期的には社会福祉の給付を、数年間、制限すればよい。移民たちの人口が急増する、と恐れることはない。移民たちも子供たちが大学まで行くことを望むから、子供の数を減らす。独裁国家からの来る移民が「法の秩序」を破壊するとか、言葉を習得しようとしない、という不安は間違いだ。

移民が豊かさをもたらすことを知りたければ、中国の成長や世界の主要都市を観ればよい。「中国の新年(旧正月)には、移民・出稼ぎ労働者たちが家族に会うために故郷に帰る。およそ30億の移動journeyが今年は起きた。世界最大の大規模移動である。」 「移民たちは、スーパースター国家の中でも、いくつかのスター都市に向かう。」「トロント、シドニー、ニューヨーク、ロンドンの外国生まれの人口比率は、46%、45%、38%、38%である。」

****

人口が減少し、高齢化が進む世界で、移民を歓迎する国は増えると言われます。それでも、移民を拒む国もあるでしょう。

移民たちと、移民を歓迎する住民は、未来の地球へ向かうグローバル・ウォーカーです。

******************************