IPEの果樹園2019
今週のReview
12/2-7
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下院弾劾公聴会 ・・・世界に広がる反政府デモ ・・・労働党と保守党のマニフェスト ・・・メルケルの長期政権 ・・・香港のデモと選挙 ・・・米中貿易戦争の行方 ・・・アメリカの汚職とシェル・カンパニー ・・・トランプのユダヤ人入植地承認 ・・・米中対立の行方 ・・・富裕税の効果
[長いReview]
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主要な出典 FP: Foreign Policy,
FT: Financial Times, Foreign Policy, The Guardian, NYT: New York
Times, PS: Project Syndicate, SPIEGEL, VOX: VoxEU.org, Yale Globalそして、The Economist (London)
[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.]
● 下院弾劾公聴会
NYT Nov. 21, 2019
Trump and His Corrupt Old Party
By Paul Krugman
NYT Nov. 22, 2019
The Four Lessons of Impeachment
By Susan E.
Rice
2週間の下院弾劾公聴会において明らかになったことは何か?
1.トランプは、ウクライナのゼリンスキー大統領に、大統領執務室での会談と、ウクライナが至急必要とする4億ドルの軍事援助を止めた。それは、ゼリンスキーに少なくとも2つのことを迫るためだった。1つは、ロシアが2016年に大統領選挙に介入したことを無罪にすること。もう1つは、バイデン元副大統領、オバマ政権時代、ウクライナで汚職にかかわったという偽の告発で汚名を着せること。その目的は、ただ1つ、トランプを政治的に有利にすることだ。過去にも大統領が会談や援助に関して、外国政府の譲歩を求めることはあった。しかし、それはアメリカの政策目標を進めるためだ。大統領の個人的な利益ではない。
2.外交担当者や、公職、軍務に就く人々は、党派に寄らず、特別な見識、高い能力を示した。その知性、忠誠心、無私、公務に尽くす者が示す使命感は、賞賛すべきものだ。しかし、トランプと議会の共和党議員たちは、公務員たちを侮辱した。さらに、大統領とその仲間たちは、(大統領が指名しない)すべてのキャリア官僚たちを、集団的に、the “Deep State”「影の国家」と呼び、「トランプを否定する者たち」とみなし、アメリカ人としてふさわしくない、と攻撃した。そのような言葉の使い方は、マッカーシズムの暗黒時代を想起させる。
3.議会共和党議員たちは、国益に尽くすという、すべての正常な政治姿勢を失ったことが明白になった。トランプを擁護するために、絶望的な曲解、とんでもない陰謀論、あからさまな嘘を持ち出した。権力の分割も、立法府の半分が行政府の責任を問わないときは、無効である。
4.アメリカの民主主義が機能せず、分裂していることで、最も大きな利益を受けるのはロシアのプーチン大統領である。共和党議員はロシアによる陰謀を持ち出すが、NATO、ウクライナ、シリアなど、トランプ大統領の姿勢は一貫して、アメリカの国益ではなく、ロシアの利益になった。アメリカの民主主義を破壊し、アメリカの指導力を損なうことがプーチンの目標である。
NYT Nov. 22, 2019
The United States Is Starting to Look Like Ukraine
By Bret
Stephens
FP NOVEMBER 22, 2019
Why Impeachment Is Failing—and Trump May Win in 2020
BY MICHAEL
HIRSH
トランプの弾劾裁判は上院で否決されるだろう。民主党の大統領候補指名争いは、今も、決定的な候補者を決められない。
FT November 23, 2019
Impeachment: the facts pile up against Donald Trump
Demetri
Sevastopulo in Washington
PS Nov 23, 2019
The Patriot versus the President
IAN BURUMA
米軍中佐Alexander Vindmanの公聴会は大きな注目を集めた。共和党が彼の忠誠心を疑い、反ユダヤ主義を刺激したが、彼は強い愛国心を示した。
Vindmanの家族は、権威主義国家からの難民としてアメリカが受け入れた。彼の証言はアメリカの希望である。トランプが支配するワシントンの毒された空気の中でも、彼は真実を語る者である。それは自由の女神の台座に彫られた詩句に示されている。アメリカの価値を体現し、最も破られることのない強固な忠誠心を示す。
“Give me your tired, your poor/your huddled
masses yearning to breathe free.”
● 世界に広がる反政府デモ
NYT Nov. 21, 2019
The Revolt Against Populism
By David Brooks
世界は燃えている。
イランでは「ハメネイに死を」という叫びが起きた。支配体制は抗議する者を大量に殺害し、インターネットを閉鎖した。Hong Kong, Warsaw, Budapest, Istanbul and
Moscow民主的な権利を求めて抗議デモが起きている。Pakistan, Indonesia and Saudi Arabiaでも不満が爆発し、Lebanon and Boliviaの指導者は失脚した。
その種子は30年前、冷戦終結により撒かれたものだ。民主的な資本主義がグローバルに拡大し、それが逆流し始めた。ポピュリスト的な反動は、異なる土地で、異なる姿を取っている。
ところによってはポピュリストの興隆が続き、ところによっては権力を握ったポピュリストが事態を改善できず、都市の中産階級と敵対し、反発にあっている。
問題の核心は、経済の苦境である。右派でも、左派でも、ポピュリストの経済政策は成長を破壊した。世界中の新興中産階級は、罠にはまった、だまされたと考えている。
ポピュリストの第2の問題は、汚職である。彼らは権力を握ると、ルールを破棄し、自分たちの富を増やし、自分たちの地位を守るために乱用した。ポピュリスト的な、権威主義的な権力は、その正当性を失った。
今や、巨大な怒りの波が広がっている。世界は不安定で、爆発寸前だ。そのメッセージとは、リベラルなグローバリゼーションには深刻な欠陥がある、ということだ。しかし、ポピュリストたちの代替案は役に立たない。
抗議デモには指導者がおらず、彼らの望む政策は実現性がまるでない。次はどうなるのか? それが問題だ。ポピュリズムが失敗した後に、何が来るのか?
指導者たちの最大の仕事は、教育を受けた都市エリートと、労働者階級の主要な部隊に対して、彼らの最も強く要求することをいくらかでも与えるような、新しい社会契約を結ぶことだ。労働者階級は、経済的な繁栄に参加し、国家のプロジェクトを担うことを願う。都市エリートは、民主的な自由を守り、多様なエスニック、多元的な社会を築くように求める。
それに成功すれば、彼らが未来を勝ち取るだろう。
FP NOVEMBER 23, 2019
From Model to Muddle: Chile’s Sad Slide Into Upheaval
BY JIMMY LANGMAN
NYT Nov. 26, 2019
The Coup Temptation in Latin America
By Steven
Levitsky and María Victoria Murillo
● トランプの脅迫
NYT Nov. 21, 2019
Trump’s Lose-Lose Proposition in Korea
By The Editorial
Board
● 労働党と保守党のマニフェスト
The Guardian, Fri 22 Nov 2019
After a decade of decay, Labour’s manifesto offers us hope for the
future
Gary Younge
2007年に、優れた左派の知識人Stuart Hallが質問された。彼が生涯を通じて主張してきた「より平等な世界」が、ますます遠くなっていることをどう思うか?
彼は答えた。政党であるから、世界経済に合わせて自分たちが変わるべきではないか? もちろんそうだ。われわれは変わるべきだ。しかし、2倍とか、2倍半も、不平等になるべきではない。もし誰もが同じ基準で討論するなら、それはスウィフト的な問題を論じることになる。・・・「われわれは、先に子供を食べるべきか? 後で子供を食べるべきか?」 (もちろん、子供を食べるべきではない!)
コービンJeremy Corbynが労働党の党首選挙に立候補したとき、彼の目的は討論の幅を広げることだ、と述べた。西側の社会民主主義政党が衰退する中で、彼は党首になった。彼らは、賃金が停滞し、規制緩和やネオリベラリズムが広まることに、10年以上も戦争し、金融危機と財政緊縮が行われた5年間に、ますます気候変動の危機が激しくなる中で、十分な対抗策を示さなかった。
問題は、中道左派が社会的なビジョンを示せないことだった。富裕層の起こした危機に対して、貧しい者がそのコストを支払うのか? 権力を握る者たちの愚策のために、弱者が犠牲になるのか? そして、地球環境が何にでもコストを引き受けるべきなのか? コービンがその答えを持っているからではなく、少なくとも、彼はその問いを発する覚悟があったから、党首になった。イギリスがBrexitを選び、アメリカがトランプを選ぶ前の年に、コービンが党首になったのは、労働党が重要でなくなったからではなく、復活するためだった。
私の政治生活を通じて、労働党は、もし敗北したら自体はもっと悪化する、という脅しで、いやでも従うしかない選択だった。コービンが示す、労働党は事態をもっと改善できる、という訴えは私を安堵させる。労働党は、石油企業に課税して、グリーン経済に転換する。ハイテク大企業に課税して、ブロードバンドのインフラに投資する。鉄道を国有化し、低所得者の住宅をもっと建設し、無料で成人向けの再訓練を実施する。それは私が望むものであり、それに対してなら負担を分かち合いたいものだ。さらにそれらは、企業利潤ではなく、人びとを中心に据える政治である。
その性格により、労働党のマニフェストは、単に望ましいものだけでなく、可能なものを拡大する。それは、他の政党や評論家たちが、それらを望まない、その準備がない理由を説明するように求める。このマニフェストが経済を崩壊させるというのであれば、経済はだれのためにあるのか、と問うだろう。世界で5番目に豊かな国(イギリス)が、子供たちの食事を与えず、貧困層は住宅に住めない、病気の治療も受けられないのであれば、経済はすでに崩壊しているのだ。
The Guardian, Sat 23 Nov 2019
The claim that Labour’s tax plans are ‘not credible’ is based on
ideology, not fact
Paul Mason
右派のシンクタンクThe Institute for Fiscal Studies(IFS)は、労働党の増税案は「信用できない」と主張する。その所長Paul Johnsonは、企業と、年収8万ポンド以上の人に増税することは、公共サービスのために「われわれが集団的に支払う必要がある」という。すなわち、企業への増税は、株主、消費者、労働者によって負担される。企業は増税分を価格と賃金削減に転嫁するだろう。
しかし、それはイデオロギーであって、事実ではない。その分担を決めるのは、諸階級の間の闘争、力関係である。
しかも、労働党が政権を執れば、政府は最低賃金を引き上げ、労働者が組合を組織する権利を強化するだろう。また、中央銀行はインフレ目標を重視し、競争政策も価格の引き上げをむつかしくする。
労働党は、資本の所有者により多くの税金を支払わせる意図を明確にしている。
FT November 24, 2019
The risks to sterling after the UK general election
Gavyn Davies
FT November 24, 2019
UK politics is changing to mimic Europe rather than the US
Colin Talbot
The Guardian, Mon 25 Nov 2019
We now know the Boris Johnson blueprint: crisis, inequality and division
Polly Toynbee
保守党のマニフェストには何もない。薄っぺらな、見せかけのマニフェストである。張りぼての後ろには何もない。金融市場に向けに健全財政を、消費者には大盤振る舞いの約束を。
The Guardian, Mon 25 Nov 2019
Why can we no longer believe in a well-run welfare state that
supports us all?
Rhiannon Lucy
Cosslett
FT November 25, 2019
Boris Johnson plays a defensive game with the Tory manifesto
Robert
Shrimsley
もし保守党の戦略家たちが望むような選挙戦になれば、このマニフェストが勝利をもたらすだろう。労働党は出遅れ、自由民主党の追い上げも間に合わない。
FT November 26, 2019
Jeremy Corbyn’s platform is a tragic betrayal of Britain
Robert
Shrimsley
労働党は敗北するだろう。なぜなら指導部があまりにもイデオロギー的に硬直的で、有権者との妥協を好まないからだ。
NYT Nov. 26, 2019
Boris Johnson Just Might Pull This Off
By Katy Balls
The Guardian, Thu 28 Nov 2019
Brexit? This election is about something much bigger than that
Ash Sarkar
The Guardian, Thu 28 Nov 2019
Can the radical left win power in the UK? The world is watching
Aditya
Chakrabortty
この選挙は、単に次の5年間の、BrexitとUKについて決めるのではない。この選挙はUKを国際的な戦闘の最前線に置くものだ。12月12日、有権者は2つの重要な問いに答えを出す。
1.新しい右派強硬派を倒すか? 民主主義は、ボリス・ジョンソン、ドナルド・トランプ、マテオ・サルヴィーニ、ナレンドラ・モディらの力によって阻まれるのか?
2.新しい左派が政権を握れるのか? 2008年の銀行危機を経験したラディカルな世代が、労働党やアメリカ民主党、ヨーロッパの左派にエネルギーを与えている。
UKは、この夏以降、3億5000万ポンドの大嘘を国民投票で吹聴した首相が統治し、議会の違法な閉鎖を試みた。まさにトランプがしたように、ジョンソンは民主主義の規範を権力によって破棄するだろう。
西側の政治は、しばしば、英米の指導者たちによって決まった。ルーズベルトとアトリーが社会民主主義体制を築き、レーガンとサッチャーがそれを破壊した。ブレアとクリントンが第3の道を進んだが、次の世代の政治を決めるのはトランプとジョンソンなのか? あるいは、われわれに希望はあるか?
FT November 28, 2019
British voters face an impossible choice
Philip Stephens
イングランド・ナショナリズムのボリス・ジョンソン保守党か、急進左派・社会主義のジェレミー・コービン労働党か、という選挙だ。
FT November 28, 2019
Why I cannot vote for Jeremy Corbyn’s Labour party
Martin Wolf
保守党の統治はひどかった。金融危機後の財政緊縮も、Brexitをめぐる混乱も、まともな野党があれば政権交代できたはずだ。しかし、労働党は左派強硬派が指導部を握った。彼らは社会主義者であり、それは本能的な権威主義者でもある。
労働党は多くの社会主義的な希望を約束する。そして、資本に対する増税だ。私は、彼らが増税できるとは思わない。資本家に強制することは失敗し、むしろ巨大な財政赤字に終わるだろう。
企業を国有化することは、私なら1970年代の国有企業を思い出すだけだ。国有企業投資しても、それが民間部門の投資不足を解消することはない。増税し、資産を搾取し、労働者を経営幹部に入れる国で、投資が増えるだろうか? むしろ、投資は海外に逃げ出すだろう。
低失業率、巨額の経常赤字という条件で、財政の大きな拡大策と革命的な政策を採れば、資本逃避と通貨価値の急落につながる。もしイングランド銀行が金利引き上げで地陰性化することを禁じられたら、インフレが爆発し、為替管理が必要になる。UKは先進的な民主主義国家から脱落する。
私は保守党を支持するのか? 決して支持しない。Brexitの2度目の国民投票を含む労働党案は好ましい。しかし、私はコービンの労働党に国を任せられない。改革をすs目る政府がほしいが、それはできそうにない。
● メルケルの長期政権
The Guardian, Fri 22 Nov 2019
Angela Merkel must go – for Germany’s sake, and for Europe’s
Timothy Garton
Ash
メルケルの長期政権は12年におよぶが、それが続くことはドイツの国益にならないし、ヨーロッパの利益にもならない。
ドイツのエリートたちが問題を認識していない、と言うのではない。ベルリンは、ロンドンに対抗して、多くの賢明な人びとを集めている。Brexit、ポピュリズム、ドナルド・トランプ、ウラジミール・プーチン、気候変動、AIなど、多くの挑戦すべき課題があり、ヨーロッパはもっと大きな戦略的自律性、デジタル技術革新、持続可能な成長を必要としている。
ドイツに欠けているのは、緊急性の意識、ドイツの有権者が支持する、ダイナミックな政策に転換する能力である。
それはドイツの経済状態が良いからだ。
ドイツ企業の優れた経営、シュレーダー政権下に行った労働市場と福祉国家の改革から、メルケルは利益を受けた。1989年以後のポーランド、ハンガリー、チェコ、スロヴァキアの市場開放、ヨーロッパ単一市場により、ドイツ企業は生産拠点を近隣諸国に移転し、安価な熟練労働者を雇用できるようになった。Mitteleuropa 2.0を容易に築けたのだ。
ユーロ圏として、ドイツ通貨の急激な増価は起きず、目を見張るような貿易黒字を出し続けた。また、福音派的なプロテスタントの情熱をもって財政均衡を重視し、それは “black zero”として、一種の偶像崇拝になった。他の民主的な資本主義国ならありえないような「債務ブレーキ」を、ドイツは憲法に成文化した。
ドイツ再統一にいたる30年間の平和革命は、ドイツを防衛的で、保守的な社会、現状維持勢力に変えた。フランスのマクロン大統領がせっかちにヨーロッパの革命を主張しても、メルケルはそれを無視している。
あるマクロンの顧問が述べた。「貴族は革命を支持しない。」
メルケルの時代が終わることはだれでも知っているが、ドイツ政治のメルケル化はなお続くだろう。世論調査によれば、3分の2が、メルケルは次の選挙、2021年秋まで政権を担うべきだ、と答えた。それはドイツ人が決めることだが、ドイツにとっても、ヨーロッパにとっても、最善の利益ではないだろう。
ドイツには変化が必要だ。
SPIEGEL ONLINE 11/22/2019
Hunkering Down
Germany Is Shirking Its EU Responsibilities
A DER SPIEGEL
Editorial by Dirk Kurbjuweit
PS Nov 22, 2019
Europe Needs Its Own Development Bank
ERIK BERGLÖF
FT November 24, 2019
Complacency could yet threaten the eurozone
Wolfgang Münchau
イタリアとフランスのポピュリスト指導者が政権を執れば、たとえECBが防衛しても、ユーロ圏は崩壊するだろう。
FT November 28, 2019
Germany is falling out of love with economic orthodoxy
Simon Tilford
ドイツの有権者の多くが、財政黒字を重視する政策論を嫌い始めている。
FT November 28, 2019
Europe needs its own Belt and Road Initiative
PS Nov 28, 2019
The Limits of Lagarde
YANIS
VAROUFAKIS
● 国際秩序
PS Nov 22, 2019
An Energy Transition with a European Touch
JAVIER SOLANA
FT November 27, 2019
Seven lessons for Europe’s China policy
Martin Sandbu
アメリカは国際秩序の維持に関心を失い、中国は独自に自国が中心となる国際秩序を築きつつある。ヨーロッパは、初めて、自分たちの国際秩序を創るために、攻撃的な姿勢を取る必要を知った。中国とのシステム間競争が始まった。
● 香港のデモと選挙
NYT Nov. 22, 2019
After the Protests: How Will Hong Kong Vote?
By Ilaria Maria
Sala
NYT Nov. 23, 201\\9
If Protests Are an ‘Infection,’ What Is China’s Cure?
By Louisa Lim
大学キャンパスが催涙ガスの充満する戦場となって1週間がたつ。暴力のエスカレーションは、北京と香港の双方の言葉も急速にエスカレーションさせてきた。ソーシャル・メディアの時代は、言葉の動員する力を数倍強めている。
最初から、言葉が抗議運動のカギであった。6月に、Carrie Lam行政長官が、激しい論争を生じた容疑者送還条例に反対するデモ隊を「暴徒」と呼んだ。それは抗議活動に参加する人々の怒りを刺激した。4日後、抗議に参加する群衆は推定200万人にまで増加した。そして、要求の1つが追加された。「暴徒」と呼ぶな。
香港のデモが起きた最初の数か月間は、北京の国営メディアが1989年の台本に従っていた。彼らは反乱を、いわゆる「黒手 “black hands”」、CIAなど、外国の敵対勢力による介入とみなした。8月までに、抗議が「テロリズムの兆候」を示した、と報じた。大学キャンパスは「テロ活動のアジト」となった。外国勢力と協力する分離主義者の陰謀を警告した。香港を、中国の体制を転覆する橋頭保に変えるものだ、と。抗議デモが要求する西側のリベラルな民主主義は、「悪性のウイルス」であり、「感染」する。
中国の読者は、分離主義者、テロリズムと言えば、それは新疆自治区、中国北西部を思い出す。そこにおいて中国政府は、推定100万人ものウイグル人を政治犯として収容所に拘束している。イスラム教はイデオロギー的な病気とみなされる。それは、新疆型の再教育システムを香港に導入する、という最悪の予想を生むものだ。
習近平は警告してきた。中国を分断するいかなる試みに対しても、だれであれ「肉体をつぶし、骨を砕く」ことになるだろう、と。そこには妥協や同情の余地はまったくない。
FT November 25, 2019
Hong Kong poll win will embolden the protesters
Joe Leahy in
Hong Kong
NYT Nov. 25, 2019
This Was Hong Kong’s Most Important Election Ever
By Benny Tai
Yiu-ting
日曜日、人びとは投票所に向かった。今や、多くの香港人が社会運動の一部である。2019年の地区選挙は都市の歴史上で最も重要なものだろう。
着実に増大する暴力と、何週も、何週も続く抗議デモにもかかわらず、市政府はデモ隊の主要な要求を拒否してきた。
投票結果は、民主派の圧倒的な勝利である。投票率は、これまでで最高の71.2%、18選挙区の452議席について、391議席、86.5%で、民主派候補が勝利した。
協力すれば、次の行政長官選挙で、民主派の支持しない、北京に隷従する候補を拒否できるかもしれない。選挙は、歳の民主的精神を解放し、新しい機会を開いたのだ。
FP NOVEMBER 25, 2019
Hao, Boomer!
BY SALVATORE
BABONES
FP NOVEMBER 25, 2019
What Just Happened in Hong Kong’s Elections?
BY MICHAEL
DELANEY
FP NOVEMBER 25, 2019
Hong Kongers Break Beijing’s Delusions of Victory
BY JAMES PALMER
香港政府と北京のメディアは、エスタブリシュメントの正当が大勝利する、と確信していた。彼らは香港をまるで理解していない。メディアはむしろ不満を強めた。選挙後の政府の反応も、民主派に譲歩するより、むしろ弾圧に向かうだろう。
FT November 26, 2019
Hong Kong poll is a chance to embed democracy
香港では数か月も騒乱が続いた。しかし北京は、サイレント・マジョリティーはますます暴力的になる民主化デモに反対している、と主張した。
日曜日の選挙結果は、このサイレント・マジョリティーがマイノリティーである、と示した。民主派の候補とその同盟者たちが、17の地区で勝利し、親中派が勝ったのは、わずか1つであった。
記録的な高い投票率による勝利は、西側のデマゴギーと、北京の権威主義的支配の時代に、民主的精神を示すものだ。抗議運動の規律と高い能力も示している。
北京政府にとって重大な課題は、自決権を求める香港にどう対応するか、である。弾圧は、より大きなカオスをもたらすだけだ。北京は、「一国二制度」に戻るのが良い。香港に、独自の法と市民的自由を許すのだ。
抗議デモの側には、行政長官を普通選挙で決める、などの要求がある。それは、香港の基本法が認めた改革だ。2014年、北京が示した改革は、あまりにも制限された選挙であり、それに対する反発が「雨傘運動」につながった。北京の最善の策は、より実質的な改革と、香港の分離主義者が支配しないような法制化を、組み合わせて香港人に受け入れさせることだろう。
抗議運動は、選挙の勝利を受けて、道義的な優位を得た。この勢いを維持できれば、来年の選挙で、立法会のより大きな勢力となるだろう。しかし、立法会は、あまりにもビジネスと既存エリートに有利な制度になっている。
民主派は、自分たちの行き過ぎを是正し、より住民たちを代表する制度に変えるよう、北京と交渉するべきだ。民主主義とは、意見が異なる者を殴打することを意味しない。
日曜日の選挙は、約60%の票が民主派候補に入った。しかし、40%は彼らに反対している。多くの市民は、かつてのような、安全で、企業家の好む、香港を回復してほしいと願っている。その声に応えることも民主主義だ。
PS Nov 26, 2019
Can Hong Kong Avoid Tragedy?
ANDREW SHENG ,
XIAO GENG
4000人以上が逮捕され、インフラを破壊し、経済は不況に落ち込んだ。この抗議は何のためにしているのか?
抗議デモには一貫した要求がない。民主主義のための闘いと言うが、中世のような、舗道の石を引きはがして投げ、火炎瓶を使う闘いに、妥協する用意はない。なんでも焼き尽くす戦略は、カオス、破壊、死に至るだけだ。
NYT Nov. 26, 2019
Living in Dark Mode
By Karen Cheung
FP NOVEMBER 27, 2019
Singapore Isn’t The Next Hong Kong
BY KIRSTEN HAN
香港の新聞はどうなってしまうのか、と嘆く声がある。
しかし、私は思う。たぶん、シンガポールのようになるだろう。シンガポールの新聞は、明白な検閲を受けていないが、政府の考えに強く逆らわないような自己規制をしている。
FT November 28, 2019
Hong Kong act complicates world’s most important relationship
Tom Mitchell in
Beijing
(後半へ続く)