前半から続く)


 超富裕層の富への増税

NYT Nov. 8, 2019

The Billionaires Are Getting Nervous

By The Editorial Board

ビル・ゲイツがマイクロソフトを設立した1975年に、個人所得の最高限界税率は70%だった。キャピタル・ゲインや法人所得、不動産への税率ももっと高かった。しかし、それはゲイツが彼の企業や投資家たちがマイクロソフトに資金を投入する妨げにならなかった。

しかし彼は、今、エリザベス・ウォレンの富裕層に対する増税に反対している。他の富裕層からも、富への増税は資本形成や技術革新、成長を損なう、という批判が出ている。

アメリカの最富裕層は、半世紀前に比べて、はるかに少ない割合でしか税金を支払っていない。Thomas Piketty, Emmanuel Saez and Gabriel Zucmanの研究によれば、1961年の最高所得層は所得の51.5%を支払ったが、2011年には33.2%である。

さらに問題は、政府が何に支出するか、である。インフラ、教育、社会保障に、政府はさらに多くの資金を必要としている。誰がそのコストを負担するべきか?

ゲイツたちの主張には証拠がない。

FT November 9, 2019

UBS defends billionaires as the best corporate leaders

Stefan Wagstyl, Wealth Editor

UBSは億万長者たちを擁護して、彼らが経営する企業のパフォーマンスを高めているのに、新聞や雑誌で、不当な非難を浴びている、と主張した。

億万長者が経営する上場企業の株価は、それほど裕福でない経営者の企業の株価よりも上昇している。より多くの経済的利益をもたらした、と。「報道にはバイアスがある。不平等を語るとき、億万長者が強欲で、貧しい人々が苦しむ中で不当に大きな利益を得ている、と論じている。」

UBSJosef Stadlerは、富が蓄積される自然な傾向があることや、新しい貴族制の出現を懸念する声がある、という。多国籍企業が、国際的に課税を回避する手法に批判があることも認める。

しかし、株価でみると、Facebook and Alphabetのような、億万長者が経営する企業は、他の企業より、パフォーマンスが優れている。それはアメリカと中国でも顕著である。

NYT Nov. 11, 2019

Bursting the Billionaire Bubble

By Paul Krugman

億万長者の能力について、バブルが生じている。

億万長者は、必ずしも悪い人ではないが、特に政治の分野で、その強いエゴが間違った判断をもたらす。巨大な富は、何をすべきかと助言する者たちを引き寄せるからだ。億万長者が得ている富は、彼らが社会を豊かにしたことのごく一部でしかない、とか、大衆は彼らに指導的な役割を求めている、とか。

億万長者は社会にそれほど大きな貢献をしているのか? 彼らが生産的なことをしているか、ではなく、そもそも国民所得に貢献しているのか、を考えればよい。

1に、億万長者の富は金融と不動産にある。それほど前でもないが、世界経済は不動産バブルの破裂で壊滅するところであった。それは金融システムの不安定化をもたらしたが、金融システムはさまざまな「革新」で富をもたらすはずだった。実際、博打の胴元は儲けただろうが、金融システムは弱体化し、危機のリスクを高めていた。

3に、億万長者の富が集まるのは、ファッションとそのリテイル(小売業)である。技術は第4位でしかない。そして最近の多くのニュースは、ハイテク分野の富が、かつての泥棒貴族の時代と同じ、側線による利益ではないか、という疑いが強まっている。

注意するべきだが、アメリカ経済はかつて、今ほど多くの億万長者がいない形で、うまく成長していたのだ。第2次世界大戦後、1980年ころに終わるまで、累進課税、強い労働組合、トップが富を蓄積することに厳しい社会規範があった。

多くの人は、富裕層に課税して社会福祉を充実することに賛成だ。しかし、億万長者たちは社会的なリベラリズムと財政的な保守主義とを信奉する。

アメリカは億万長者のビジネスマンを「白馬の騎士」として待ち焦がれている、というのは愚劣な幻想だ。

FT November 13, 2019

Billionaires have never had it so good

John Gapper

エリザベス・ウォレンやジェレミー・コービンが富裕層への増税を主張している。ビル・ゲイツは不満を述べた。UBSは、プライヴェート・ベンキングの顧客たちに富の弁護論を提供する。「産業全体を転換し、膨大な数の高給与の職場を創り出し、マラリアなどの病気の治療法をもたらした。」

確かに、世界の億万長者たちは、かつてよりも、その能力を反映するようになっている。とはいえ、過去においては超富裕ではなく、富裕でしかなかったが。彼らを英雄や悪魔のように描く前に、なぜそれほど豊かなのかを考えてみよう。

1.スーパースター効果。グローバリゼーションとハイテクは、GoogleFacebookのような企業の市場を拡大し、成功した企業の利潤は急速に、けた違いに大きくなっている。

2.セキュリティー効果。貧しい者は、長期の計画を立てられないから貧しいままである。億万長者はその逆である。富があれば、長期のアイデアに融資し、失敗や後退を乗り越えることができる。

3.インサイダー効果。いったん富とパワーを得ると、助言や取引仲介者が集まってくる。億万長者たちは富を預金しておくのではなく、UBSのようなプライヴェート・バンクに運用させる。そこにはインサイダーの情報がいっぱいある。

4.タックス効果。多くの国が、資本よりも所得に課税する。それは企業家の活動を促すためだ。その結果、富裕層は、平均所得の階層よりも、富の小さな割合しか課税されない。しかも、富は容易に国境を越える。国内にとどまっても、さまざまな課税回避の仕組みがある。


 トランプと北朝鮮

FP NOVEMBER 8, 2019

Trump Is More Vulnerable Than Ever to Kim Jong Un’s Nuclear Extortion

BY JUNG H. PAK


 民主主義は機能しない

The Guardian, Sat 9 Nov 2019

For too many people in too many countries, democracy isn’t working

Simon Tisdall

イギリスで総選挙がある。ほかでもそうだが、選挙は民主的な再生のための主要な手段である。しかし、選挙が本当の変化につながるのか? 政府や、外国の「影響」によって操作された場合どうなるのか? 投票結果が事前に決まっていたり、民主的な選択の幻想を与えたり、選挙結果を拒否された場合、どうなるのか?

FT November 14, 2019

Spain has a new coalition but the deadlock is not yet broken

David Gardner


 中国の資本自由化

FT November 10, 2019

Opening up to foreign capital would be a mixed blessing for China

Michael Pettis

中国が資本取引を自由化することは、銀行システムの改革を進める前に、その改革を推進する助けになる、と一部で議論されている。確かに、自由化のメリットもあるが、むしろ、問題のある銀行を整理し、あるいは、資本強化する金融当局の管理能力を損なう危険が強い。


 香港は破滅の縁に立っている

FT November 12, 2019

Hong Kong police warn city on ‘brink of total collapse’

Alice Woodhouse, Nicolle Liu and Sue-Lin Wong in Hong Kong

FT November 13, 2019

The Hong Kong authorities have lost their legitimacy

香港は破滅の縁に立っている。火曜日の午後、各地の抗議活動はモロトフ・カクテル(火炎瓶)を警察に投げて、催涙弾に反撃した。数か月に及ぶ対決で、暴力は決定的な水準を超えつつある。

デモ隊と警察の双方に、暴力をエスカレートさせた責任はある。しかし、現在の危機の責任は、第1に、香港政庁と北京にある。彼らはデモ活動の真剣さと決意の固さを見誤った。譲歩は、あまりにも遅く、しかも、小さなものであった。

市民たちに支持されない香港政庁は、統治の正当性を失った。政府はますます軽雑による支配を強化した。それは警察に市民との衝突のリスクを押し付けることを意味した。もはや、法と秩序、ではなく、法の支配が問題とみなされている。

北京では、より強硬な主張が支持される兆候が見られる。中国政府は、法と教育の制度改革を示唆している。それは治安法制の強化を含むものだ。いかなる国家治安法の発動も、デモ隊の普通選挙に向けた要求を否定し、最後の抵抗を呼ぶだろう。

妥協は非常にむつかしい。しかし、暴力を抑えるために、普通選挙を約束する前例を、北京は作らないだろう。香港における治安法制と合わせて、統治の代表者を組織する可能性を示すべきだ。

FT November 13, 2019

Events in Hong Kong reveal the thin veneer of civilisation

Jamil Anderlini

ゴールディングの『蠅の王』は社会の崩壊を描いた小説だが、香港の高校教科書に載っている。

今や香港では皆が、文明と呼ぶものの壊れやすさを実生活で目撃している。香港は、部族主義と、みだらな暴力の領域に落ち込んだ。

金曜日、抵抗運動が始まってから、最初の犠牲者が出た。抗議に参加していた22歳の学生が、警察による排除の際、駐車場から転落して死亡したのだ。

現在の騒乱で最も困惑する現象は、抗議デモ参加者の大きな集団が、ある人に、身分を隠した警察や中国本土のスパイという疑いをかけ、彼らを打ちのめすことだ。しかも、ときには北京官話を話すのを誰かが聴いた、といった理由だけで。

こうした卑劣な行動はデモの大義を大きく損なうものだ。しかし、国際メディアはそれをあまり報道しない。なぜなら、民主主義の貴い目標のために闘う人々のイメージにそぐわないからだ。

最も驚くべきは、デモ隊の暴力を多くの人びとが受け入れ、許していることだろう。抗議デモは平和的に行うべきだ、という意見を支持する人は、6月の65%から、10月半ばの46%にまで低下した。平和的な抗議が失敗すれば、もっとラディカルな行動が必要だ、と彼らは言う。

同じような規範の劣化が香港警察でも顕著に示されている。かつて、世界とは言わないまでも、アジアで最も洗練された警察であった。今では、公に香港市民を「ゴキブリ」や「クズ」と呼ぶ、抗議デモ側は警察を「イヌ」と呼ぶ。それはジェノサイドの言葉である。

警察は政府側の殺し屋や犯罪組織を守っている、抗議デモに覆面の警察官が大量に紛れ込んでいる、という大衆の印象によって、モッブ集団の正義が支持されている。暴力のエスカレーションが、どれほど容易に進むか、ということを示すものだ。

デモ参加者も警察も、文明の薄皮を破壊しても罰せられない、と理解した瞬間に、ある種の直観を得る。受け入れられる行動の範囲が一気に拡大し、恥知らずな、途方もない行動が正常化されてしまう。この過程をソーシャル・メディアのエコー効果が増幅する。

国連が人的開発水準で世界7位の評価を与えた、地球上で、最も健康で、最も長寿の、最も裕福な市民の暮らす香港で、かつて考えられないような行動をすすんで受け入れることは、衝撃である。香港で文明が崩壊するなら、同じことはどこでも起きうる。

文明社会は一夜にして砕け散るが、それを修復するには、常に、何十年もかかるのだ。

PS Nov 13, 2019

China’s Risky Endgame in Hong Kong

MINXIN PEI

香港の治安法制強化は、一層の反対と弾圧により混乱が広がって、共産党が軍を展開するのに必要な条件がそろうだろう。

YaleGlobal, Thursday, November 14, 2019

Why the Hong Kong Protests Have Gone Global

Dawn Brancati and Nathan Law


 日本経済の末路

FT November 12, 2019

Could SBI be the saviour of Japan’s struggling regional banks?

Leo Lewis

FP NOVEMBER 13, 2019

Japan’s Topsy-Turvy Economy Is the United States’ Economic Future

BY WILLIAM SPOSATO

トランプは、連銀に低金利を求めてきた。彼の主張は一貫している。世界中が低金利なのに、アメリカ連銀はなかなか金利を下げない。不十分だ。もっと低金利にして、ドルを安くすれば、輸出が増える。しかし、それはヨーロッパや日本との競争、「底辺への競争」になる。また、連銀の政策は、大統領の考えに従わない。

トランプは、最近、元財務長官のサマーズが発言したことを歓迎するだろう。アメリカも、あともう1回、不況になれば、日本のようなマイナス金利になる、と言うのだ。日本の政策は、1990年の地価・株価の暴落による、特別な病気、「日本病」と考えられてきた。しかし、そうではない。日本は例外ではなく、世界の先頭ランナーであった。

しかし、日銀や日本政府が採用した政策のもたらす過度のリスクは明らかだ。


 トランプ弾劾公聴会

PS Nov 12, 2019

The Impeachment Blues

ELIZABETH DREW

FP NOVEMBER 13, 2019

Wednesday’s Biggest Winners Might Have Been U.S. Diplomats

BY ROBBIE GRAMER

FT November 14, 2019

Republicans keep changing their tune on impeachment

Edward Luce

弾劾審査の公聴会において,トランプに最も忠実な議員の1人であるMark Meadowsが,トランプを擁護するために発言した「だれでも何が真実かについての印象を持っている」は,保守派が相対主義を受け入れ,事実については明白に敗北したことを認める点で興味深い.

トランプの弁護側が退却するスピードこそ,注目に値する.トランプがウクライナ大統領と電話会談で,バイデンの息子に関する捜査を求めたことについて,もはや誰も疑っていない.

証言についてさまざまな欠陥を指摘しようとするが,トランプ自身はそのような弁解を全く不要と考えているのは,大きな皮肉である.彼はリチャード・ニクソンの台詞に従っているだけだ.「大統領の行動は,すなわち,すべてが合法である.」 トランプの弁護士は,先月,ニューヨークの裁判所で語った.彼が,ニューヨークの5番街で誰かを射殺しても,大統領として免責されるだろう,と.

最近,マンガがその点をうまく示していた.ニクソンは言う.・・・「私は悪人ではない.」 彼はそう強く主張した.・・・トランプは応える.「私は悪人だ.それがどうした?

NYT Nov. 13, 2019

Republicans’ Best Defense Is a Bad Offense

By The Editorial Board

NYT Nov. 14, 2019

Shame on Us for Getting Used to Trump

By Michelle Goldberg

弾劾公聴会のあと、メディアの反応には退屈だったというあくびが聞こえた。ロイターの2人のレポーターは、「重要だが、退屈」と書いた。「最高のリアリティーテレビ番組と違って、トランプの大統領政府とまでは言わないが、花火も爆発の瞬間もない。」 ABCニュースは、公聴会を評して、「ブロードウェーの大ヒット・ミュージカルが開幕した夜というより、真剣な1シーンのドレス・リハーサルという感じ。」

確かに、水曜日に新しい展開は少なかったが、それは非公開で行われた証人たちの証言が、すでに流出していたからだ。しかし、手にした事実がこの国の核心を震撼させなかったとしたら、それは弾劾公聴会を行った民主党議員たちの責任ではない。この無法状態を許したわれわれすべての責任であり、権力者の横暴が正常とみなされていることを意味する。

FP NOVEMBER 14, 2019

Impeachment Is Redeeming the Blob

BY STEPHEN M. WALT


 ヨーロッパの地政学

PS Nov 12, 2019

Europe on a Geopolitical Fault Line

ANA PALACIO


 市場と温暖化抑制

PS Nov 13, 2019

Global Trade’s Bright (Green) Future

PASCAL LAMY

PS Nov 14, 2019

Green Markets for Equitable Growth

GRACIELA CHICHILNISKY, PETER BAL


 アメリカ市場の独占

FT November 14, 2019

Why the US economy isn’t as competitive or free as you think

Martin Wolf

Thomas Philipponの詳細な実証研究は,現在のアメリカでビジネスがどのように機能しているか,世界最大の経済について皆が読んできたことと全く違うことを示している.

アメリカはもはや,自由市場経済ではないし,ヨーロッパより競争が厳しいこともなく,規制当局は独占に対して行動しない.スーパースター企業の利益は旧来の独占企業と変わらない.

中国との競争で製造業では弱い企業が倒産した.1990年代には、ウォルマートのような巨大な量販店が,投資率と技術革新を引き上げた.しかし,2000年に入って逆転した.市場の集中が少数の企業の利益を増やし,投資率と技術革新は減退した.

EUに比べて,アメリカは市場の独占を規制する独立した機関を設けなかった.それは大企業の資金を得る政治家とロビイストが支配した.


 アイルランド統一と内戦

FT November 14, 2019

Do the Irish want unification?

Simon Kuper

1921年のアイルランド分割以来,長い間の夢であったアイルランド統一の見通しが、突如として現れた.どこかの国がやった勝者総取り方式や,いい加減な議論ではなく,ほとんどすべてのアイルランド人が、ゆっくり,真剣に,公平に統合することを望んでいる.

どのようにして,何世代もブリティッシュと自覚していたプロテスタントのユニオニストを安心させるか? 480万人のアイルランド人が共和国に,190万人が北アイルランドにいる.統一は北における暴力的な内戦時代の記憶を復活させるかもしれない.幸い,ほとんどのアイルランド人はそのことを理解している.歴史から学んだ,まれな国である.

1998年の聖金曜日の合意Good Friday Agreementは、アイルランドの南北双方が住民投票で統合を支持すれば、統一する、と規定している。それはもうすぐ実現するだろう。来年、ハードBrexitが起き、スコットランドが独立を選択すれば、北アイルランドもイギリスの混乱から逃れたいと願う。そして2021年、センサスによれば、北アイルランドで初めてカトリックがプロテスタントより多くなる。

それは妖精が現れて夢をかなえてくれるようなものか? しかし今、アイルランド人は統一を望むか、確かでない。(聖金曜日から)21年で、数世代におよぶ宗派対立の傷を癒すことはできない。アイルランド共和国は、本当に、数万人の強硬派ユニオニストを受け入れるのか? 100年も切り離された今では、カトリックでも南北で異なるアイデンティティを持つ。

さらに、資金の問題がある。北アイルランドの1人当たり所得はアイルランド共和国の半分である。北アイルランドはイギリスから年間100億ポンドの補助金を受けている。これを共和国が肩代わりすると、1人当たり年間2000ユーロの負担となる。それは何十年も続く可能性がある。共和国の世論も、統一を66%が支持するが、増税が必要となると31%に低下する。

イギリスが示したように、複雑な問題に単純な答えを出して、細部を後から議論することもできる。Brexitは、ロマンチックなナショナリストの国民投票が決めた墜落コースだった。アイルランドはもっと優れた方法を示した。市民会議だ。100人の会議を2016年に開いて、研究し、諮問し、さまざまな問題を報告した。妊娠中絶を合法化する市民会議の提言は、国民投票で広く支持された。アイルランド統一も、いつか議論するだろう。

しかし、それでも、統一したアイルランドには、和解不可能な、労働者階級のマイノリティー、東ベルファストのプロテスタントたち、その中には女王陛下やユニオン・ジャックを刺青している者たちが含まれる。シン・フェイン党は、驚いたことに、ユニオニストを敗退させたがっていないようだ。

Sean “Spike” Murrayは、シン・フェインの幹部で、内戦期に12年間も投獄されていた。彼は、ユニオニストたちが統一されたアイルランド共和国で、かつてイギリス支配下のナショナリストのように、「見捨てられたと感じる」ことは望まない。21年間の、コミュニティーの境界を超えた討論がもたらした「信じがたい」教育効果である。


 アルゼンチン

PS Nov 14, 2019

Can Fernández Fix Argentina?

LEANDRO MORA ALFONSÍN


 ヨーロッパ難民危機

FT November 15, 2019

Premonitions of Europe’s migration crisis become reality

Frederick Studemann

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The Economist October 26th 2019

British politics: Here comes the Brexit election

Latin America: Schadenfreude in the south

Chile: Pinera’s pickle

Ethiopia: The clash of nationalisms

East Germany: Thirty years after the Wall fell

Eastern Europe: Thirty years of freedom, warts and all

Chinese demography: Old, not yet rich

(コメント) イギリス総選挙の対立軸は屈折し、保守党はBrexitと社会的保守主義で労働者の支持を集め、労働党は富裕層や都市部における残留派と社会民主主義に訴える。しかし、1年後のまだ「Brexitを達成する」と議論し続けている恐れがある。

ラテンアメリカやエチオピアの政治が暴力によって改革の刺激を得るのか、そう期待するほど容易な政治社会情勢ではない、と読み取れます。それは、改革の進展が深刻な不満、アイデンティティーの危機につながることをドイツ再統一が示したからです。長い記事ですが、さまざまな問題を考えさせられます。

中国にとっても、少子・高齢化は避けられません。まだ十分に豊かでない人口・地域を抱えたまま「日はまた沈む」というわけです。

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IPEの想像力 11/18/19

フィギュアスケート・ロシア大会のエキジビジョンで、カナダのナム・ニューエン(グエン)が実に楽しくダンスしました。その姿に、カナダの優れた風土を観るのは、勝手な思い込みでしょうか?

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Simon Tisdall の論説(“For too many people in too many countries, democracy isn’t working,” The Guardian, Sat 9 Nov 2019)が描く民主主義は、一見、日本の長期政権と対照的です。

Tisdallの懸念は、選挙過程のintegrity健全さが世界中で疑わしくなっていることです。それは西側で広く支持された選挙モデルであったが、ますますシステムの欠陥、巧妙な介入の脅威に苦しむようになった。

何度選挙しても、主要政党は十分な支持を得られず、人びとの望む改革も進まない。小政党や反政府勢力に支持を奪われている。スペインは4度も選挙したが、カタルーニャ独立問題が分断を深め、極右政党が躍進しただけだった。ドイツ、フランス、イタリア、スウェーデンでもそうだ。不安定な政権、議会の膠着状態が続く。

Tisdallの懸念は、有権者が望むものを得られず、幻滅と冷笑主義が広まっていること、それが刺激するのは、ポピュリズム、超国家主義、大規模な無投票、政治への疎外感、そして、非民主的な体制を求めるデマゴーグたちが支持されることです。イタリアのサルヴィーニのように。

そして、Tisdallの懸念は、新興の民主主義体制に向かいます。イラクでは、新たな不満の水準が民主主義の生存を脅かす。昨年、選挙で成立した政権だが、最近の反政府デモは数百人の死者を出した。抗議デモは、政治エリートの汚職と無能さを攻撃するが、次の体制は見えない。再び、サダム・フセインのような支配者が現れるのか? ジンバブエ、パキスタンシリア、ベネズエラ・・・

あるいは、中国、ロシア、エジプトでは、民主主義の原理が悪用される。そこでは、正統性を示すために偽装した自由選挙が行われる。インターネットとソーシャル・メディアは選挙やガバナンスを操作する主要な道具である。オンライン検閲やハイテクを駆使した大衆監視システムは、中国の輸出する「デジタル権威主義体制」の基盤である。他方、ロシアは外国の選挙や政治家に「影響力」を行使する。ボリス・ジョンソンは、2016年のBrexit国民投票に、ロシアが介入したのではないか、という捜査の公開を拒否した。

Tisdallは、ドイツのメディアに対するナチスやホロコーストに関するインターネット規制の法制化Network Enforcement Actが、多くの国で検閲や政治的弾圧の口実に悪用された、と懸念します。

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「桜を観る会」で、支持者たちに囲まれて、満開の桜を背景に、ハイタッチを交わす安倍首相を、さまざまな成果を上げた、と与党は称賛します。何度も選挙で勝利したリアリストである、長期政権を最大の目標に、なんでも政策を取り込んで支持率を高めたプラグマティストである、と。しかし、原発処理、QQEとマイナス金利、国債累積、外交、憲法・・・ そのどれも真正面から解決しようとしなかった。

カナダ総督となった女性Adrienne Clarksonの論説("Canada Knows How to Respond to a Refugee Crisis," NYT OCT. 7, 2015)を思い出します。それは、とても印象的でした。

https://www1.doshisha.ac.jp/~yonozuka/Review2015/101215review_s.html

長期政権は、それ自体を目標とすることで、その正当性を高めることに成功したようです。しかし、カナダ総督に比べて令和天皇がそうであるように、政治が真剣に論争し、合意形成と進路を示す民主主義の意味を、大きく損なったと思います。

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