IPEの果樹園2019
今週のReview
11/11-16
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Brexit延期と総選挙 ・・・ベルリンの壁崩壊から30年 ・・・すべての国境の開放 ・・・ドイツ国民の反ECB感情 ・・・EU離脱後のイギリス ・・・民主主義の統治不能 ・・・米中間のBTN禁止ルール
[長いReview]
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[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.]
● Brexit延期と総選挙
The Guardian, Fri 1 Nov 2019
It's voters, not pollsters, who will write
the story of this election
Gary
Younge
選挙は重要である。ある意味で、すべてが変わる。この国の進路を、内外で、大きく変える厳しい選択だ。残念なことに、Brexitばかりが議論される。それは明確な決定を意味しないだろう。どのような選挙結果が出ても、それが実現することはない。この国が深く分断されているからだ。投票がその出口にはならない。
Brexitは、常に、もっと広範な危機の兆候であり、その原因ではなかった。労働が貧困からの脱出であるより、陥穽になってしまった国に、われわれは暮らしている。30人のクラスには、そのすべてに、9人の貧しい子供たちがいる。子供に食べ物を配る慈善団体the Trussell Trustは、保守党が政権に就いてから、1万4000箱から58万箱に増えた、という。選挙は、何よりも、この星の環境を守ることと、われわれが社会としてできることとを結びつけるべきだ。
彼らが示すのは、一部の緊縮策を緩和し、その他の最悪の部分を強化する、ということだ。規制を何であれ探し出して、切り刻む。
そこで、選挙が問題になる。マーガレット・サッチャーは、1983年に勝利した。そのとき保守党は68万5000票、得票率で1.5%を失ったが、37議席も増えたのだ。自由党・社会民主党の支持が高まることで、保守党が狙うのは、この勝利の再現だ。
彼らは貧困、強欲、規制緩和、緊縮策、ハードBrexit、不平等の拡大の政治に多数が反対する国において、反対派が団結できないこと、戦略的に勝利する意志がないことを願っている。
幸いなことに、外にも多くの可能なストーリーがある。子供たちを育て、この星を救う。
FT November 4, 2019
Tony Blair: save Britain by supporting
moderate MPs
Tony
Blair
イギリスの政治は幼稚化している。12月12日の総選挙は、Brexitに関するものだ、と言われているが、もしそうであれば、国民投票をするべきだ。われわれは左右からのポピュリズムが示す選挙戦を見ている。
政府とは、分析し、政策を示し、実行する、ハードな挑戦である。世界の変化を理解し、引き継がれた複雑なシステムを技術に合わせて進化させる方法を理解する必要がある。それは21世紀の産業革命だ。
しかし、政治家たちは簡単な答えしか示さない。われわれの最大の貿易相手であるEUから離脱する。あるいは、資本主義の悪役たちを追放する、と。
この選挙には2つの規準がある。1つはもちろんBrexitだ。もう1つは、ポピュリズムとの闘い、政治の中道を再建することだ。
● ベルリンの壁崩壊から30年
PS Nov 1, 2019
Revolutions for Whom?
KRISTEN
R. GHODSEE , MITCHELL A. ORENSTEIN
「以前よりも悪くなるものはいないだろう。多くの者がはるかに良くなるだろう。」 1989年11月9日、ベルリンの壁が崩壊したとき、西ドイツのコールHelmut Kohl首相は東ドイツ市民に保証した。30年後の今、その約束が果たされたか、問うべきだろう。
プラハ、キエフ、ブカレストを旅すれば、輸入された消費財を並べる、光り輝くショッピングモールを観る。フランスの香水、イタリアの衣装、スイスの腕時計、もちろん、iPhoneも。次の外国旅行の計画、広場のカフェ、バーには、外国人や地域のエリートたち。共産主義時代の欠乏と孤立に比べて、中東欧の今は新しい機会に満ちている。
しかし、同じ町で、年金生活者や貧しい人々は最低限の必要な物も手に入らず、苦しんでいる。暖房、薬、食べ物の、何を優先するかで悩む老人たち。農村では、自給する農家が増えている。機会を求める若者たちは群れをなして外国に去った。経済的困窮と政治的ニヒリズムが社会の信頼を破壊し、安全で安定した権威主義的過去へのノスタルジーが増している。ポピュリスト指導者が人々の不満を吸収し、民主的制度を侵食して、経済を自分の友人や家族、支持者たちで支配する。
アメリカ農務省、世界銀行、EBRDのデータにより、1990年代の経済自由化がもたらした結果を、われわれは計測した。ヨーロッパとユーラシアの移行期(1989年から)の不況と、アメリカの大不況(1929年から)を比較した。
移行期の不況の長さと深さを3つに分類した。最も成功した諸国では、不況の深さがほぼ同じ、1人当たりGDPの30%だった。中位の諸国は、深さが40%、長さは17年におよんだ(大不況は10年)。最悪の諸国は、30年経っても回復していない。1人当たりGDPは社会主義時代よりも低いままだ。
モルドバがその典型である。ソ連崩壊後、モルドバの経済状態は悪化し、1999年に最悪期を脱したが、そのとき1人当たりGDPは1989年よりも66%低かった。2007年でも42%低く、2010年以降は成長したが、2016年でも1989年の水準より12%低い。グルジア(ジョージア)、コソボ、セルビア、タジキスタン、ウクライナも、1989年の水準より低いままだ。
共産主義後の経済崩壊は、何百万もの過剰な死、大規模な移民流出、共産主義時代にはなかったような社会的病理を増大させた。貧困、組織的犯罪、不平等の増大。国民全体で集計したGDPは、所得の両極化を隠している。
西でも東でも、リベラルなエリートたちは、冷戦の平和的な終結とこの30年間の経済的成功を祝福する。しかし、資本主義の導入で誰もが利益を受けたのではないことを覚えておくべきだ。社会の信頼は失われ、公的機関は信用されず、不平等への怒りが満ちている。こうした諸国でポピュリスト政党や指導者が成功している。
コールの約束とは逆のことが実現した。多くの者が以前よりも生活に苦しみ、大きな利益を受けたのは少数者だった。繁栄が多くの者に広まらない限り、1989年の革命は完成しない。
● すべての国境の開放
FP NOVEMBER 1, 2019
Open Borders Are a Trillion-Dollar Idea
BY BRYAN
CAPLAN
世界の諸国民は、特に最も豊かな諸国民は、その行動によって素晴らしい結果をもたらすチャンスを逸している。それは、「国境を開放する」ことである。
国境の開放は、不公平なラベルで批判される。こう熟練労働者へのビザ発給、家族の呼び寄せ、難民の受け入れを増やす、というラベルだ。移民規制を撤廃する、というわけではない。しかし、それでも過剰な要求ではないだろう。国境の開放は、単に公正であるだけでなく、グローバルな繁栄をもたらす近道でもある。
低熟練のハイチ人がポルトー・プランスからマイアミへ移住した、と考えてみよう。ハイチでの彼の年収は約1000ドルだが、マイアミでは2万5000ドルを稼ぐことができる。なぜか? 単純化すれば、ハイチよりもフロリダにおいて、人は生産的であるからだ。政府の政策、経営、技術、そのほかにも多くが優れている。ハイチ人が貧困に苦しむ大きな理由は、彼らがハイチから来たことではなく、ハイチにいることだから。
もし壁が倒れたら、誰もが利益を受けるだろう。なぜなら移民たちは自分が創りだす新しいとみを売るからだ。彼らの新しい国の住民は、彼らにとって最高の顧客である。彼らは移住することで生産性を大きく改善するのであり、それは新しい顧客たちに与えられる。
FP NOVEMBER 7, 2019
We Weren’t Ready for a World Without Walls
BY
MICHAEL HIRSH
ベルリンの壁が崩壊した後、世界はすべての壁が倒され、ドアが開くように思われた、国際的なコミュニティーに向かう、と。
しかし、トランプがその雰囲気をつかんだように、世界はコミュニティーのメンバーに対する責任や相互の尊敬・信頼を失う方向に変わってきた。グローバル化した世界とは、むしろコミュニティーを破壊した世界だった。だから、人びとが多くの壁を築きたいと主張しているのは、驚くことではないだろう。
なぜか? それは同時に、インターネットが普及する時代でもあった。現実のコミュニティーではしないような、だれかを攻撃し、侮辱するような人々が、普通になった。トランプがやっていることだ。
民主的社会を支えていた集団的規範は、少しずつ、蒸発していった。Facebookがそうだ。それは世界の壁を超えて、グローバル・コミュニティーを建設するインフラであると自称していた。しかし、そこには規範がない。そのパワーは匿名のものだ。人びとは個人主義的にバラバラな存在となり、自分の関心だけに満足する。コミュニティーは余計だ。
インターネットは、影の分を併存したまま拡大した。トロール、ハッカー、ボットが反映する世界だ。そして、サイバー世界の倫理的な行動の問題は、金融の世界が示す問題とそっくりだ。世界金融危機にいたったグローバル金融ビジネスは、証券化が進み、金融がグローバル化する中で、融資はパッケージとなって世界中で販売された。多くの銀行は、もはや融資をどのようにするべきか、という基準を無視していた。なぜなら、ウォール街の巨大な投資銀行が、世界中で売却するだけだから。すべての壁が失われて、責任も問われなくなった。
問題を解決する試みは、まだ、模索し始めたばかりだ。
● ドイツ国民の反ECB感情
FT November 5, 2019
Brexit is a warning to Germany’s
ECB-bashers
Christine
Lagardeは、ベルリンを訪ねて、悪名高い元財務大臣Wolfgang Schäubleと会う最初のECB総裁である。それは彼女の最大の課題を示している。ECBの金融政策についてユーロ圏諸国の脆弱な受け入れ姿勢を立て直し、特にドイツにおいて信頼を得ることだ。
ドイツは長くEUの善良な市民であることを誇りにしてきた。ヨーロッパ統合に関与する歴史的な理由があるからだ。しかしドイツも、イギリスのような虚偽のヨーロッパ懐疑派という病気にかかる恐れがある。
Target 2のユーロ圏内決済システムや、ドイツ人の貯蓄に対する「懲罰金利」という、ECBに関する、長期に及ぶ、間違った宣伝は、UKでBrexitが支持された時期との危険な類似性を示すものだ。非リベラルで排外主義のAfDが支持を増やしたとき、SchäubleはECBにその責任があると非難した。しかし、それはUKでナイジェル・ファラージが選挙を支配したのと同じ傾向である。
あまりにも長く、イギリスの指導者たちはEUを中傷することを楽しみ、政治的に利用してきた。EU離脱に関する国民投票が近づいてから、UKIPに自分たちの支持基盤を奪われることに対して、当時のキャメロンDavid Cameron首相は反撃したが、もはや遅すぎた。有権者たちはEUに加盟することの真の利益を信じなかった。ドイツの政治家や評論家たちも、同じ間違いを犯していることに気付くべきだ。
問題はドイツにとどまらない。ユーロ圏の市民たちがECBを、狭い自国だけの利益で評価すれば、すなわち、純輸出国は資産と貯蓄について、純輸入国は債務について、ECBを評価すれば、その正当性はますます失われる。
ECBはユーロ圏加盟諸国の国民と直接にもっと対話しなければならない。その対話を、各国の中央銀行が助けるのが望ましい。ドイツのブンデスバンクは、あからさまに間違った情報が流されることに反駁しないなど許されない。
1つの好ましい兆候は、ECB理事会の空席を埋める人物として、ドイツはIsabel Schnabelを指名したことだ。Schnabelは優れたエコノミストであり、すでに中央銀行への不当な攻撃をやめさせた。彼女はECBにとって重要な貢献となるだろう。
● EU離脱後のイギリス
FT November 3, 2019
Lessons for pro-Europeans in the failed Remain
cause
Wolfgang
Münchau
EU残留派の運動は再び敗北するだろう。国民投票のときと同じである。People’s Vote(2度目の国民投票)を求める連携はほぼ崩壊した。労働党と自由民主党との戦略が一致しないからだ。
ボリス・ジョンソン首相の選挙運動は高い支持率を得て始まっている。「Brexitを成し遂げる」と彼は選挙スローガンに掲げ、それは有権者の気分に一致している。1月31日に、UKは合意に従って離脱するだろう。
親ヨーロッパ派の将来はどうなるのか? 10年という時間で考えれば、まず、UKの親ヨーロッパ派はあきらめないことだ。ネガティブ・キャンペーンや議会における破壊的戦術はエネルギーの浪費であった。
次に、政治家、ロビイスト、コンサルタントに頼らないことだ。若者たちの群衆を引き出すべきだ。そのために物語を変える。EUはユーロ圏をコアとした多層構造に向けて改革を進めるだろう。EUとUKとが再統合するときには、まったく違う生き物だろう。
親ヨーロッパ派は、EU加盟を「ディール(取引)」とよんではならない。EUはクラブであり、損得で判断すべきものではないからだ。単一市場と関税同盟の違いに関わるべきでもない。そんなことはロビイストやエコノミストに任せればよい。
EUを効用の視点で説明するとしたら、それはヨーロッパが共通の利益を持ち、たとえば、経済制裁に対抗できる力を持つ、という意味だ。(私はユーロも外交政策の視点で支持した。)
親ヨーロッパ派は、時間の経過が有利に働くことを知るべきだ。将来は、若者たちがもっと投票し、投票権の年齢が下げられ、EU市民も投票できるだろう。Brexitをもたらした不満は続くが、それは離脱派の企てに反発するようになるだろう。
2016年の残留キャンペーンが、アイデンティティー政治を病気とみなして避けたことは間違いだった。コスト・ベネフィットで分析したことは答えたことにならない。People’s Voteキャンペーンは、ヨーロッパという感覚を醸成し、Brexitが貿易額以上の何かを失うことに気づかせた。
総選挙の敗北後も、Brexitの闘いは長く続くだろう。親ヨーロッパ派のキャンペーンが、それから、ようやくUKで始まる。
● 民主主義の統治不能
FT November 4, 2019
The age of democratic deadlock
Gideon
Rachman
比例代表制も、2大政党に有利な小選挙区制も、行き詰まりを回避できない。アメリカの大統領制は1人だけが勝利するようになっている。しかし、政権は議会と対立し、何度も政府機能を停止した。
2つの傾向として、2大政党制の衰退と同時に、極左・極右の反システム政党やアイデンティティー・イシューが現れて、政権交渉や妥協が困難になっていることがある。スペインでは、金融危機の後、カタルーニャ独立問題が加わった。
イギリスで進む選挙でも、労働党と保守党は、自由民主党やスコットランド国民党、そして、Brexit党に票を奪われるだろう。もしボリス・ジョンソンと保守党が勝利すればEU離脱を実行するが、過半数を得られないときは、ハムスターのように、Brexitという回転する車を走り続けるしかない。
● 米中間のBTN禁止ルール
PS Nov 7, 2019
How to Get Past the US-China Trade War
DANI RODRIK
中国経済の興隆は、既存のグローバルな秩序に対する、政治的、戦略的な挑戦となっている。アジアにおいて新しい超大国が登場し、それは不可避的に地政学的な緊張状態をもたらすだろう。最終的に、軍事衝突に至る、と予想する者もいる。たとえ戦争が起きないとしても、中国の政治体制が、さまざまな人権に対する告発を生じているように、西側にとって困難な問題を提起する。
中国は世界第1の貿易国である。その工業製品輸出はますます高度な分野におよんで世界市場を制圧している。中国の国際経済における役割が政治対立から切り離せないだろうが、西側が中国との貿易を止めることも考えられない。
異なる経済・政治システムを持つ諸国との貿易に、どのようなルールを適用するべきか? 最近、私たち(with Jeffrey Lehman and Yao Yang)はそれを提示した。
2001年に中国がWTOに加盟したとき、WTOは、中国も含めて、かっこ億の経済は同様のモデルに収斂し、それによって真の(「深い」)経済統合を実現する、と主張していた。中国の非正統的な経済モデル(政府介入、産業政策、国有企業)はGDP成長を加速し、貧困を減らすうえで非常に成功したが、西側との深い経済統合は不可能だった。
アメリカに広まっている異なる考え方は、アメリカ経済を中国から切り離すべきだ(デカップリング)、というものだ。中国の輸出に高い関税をかけ、2国間の投資に対する規制を強化する。それはトランプの貿易戦争を強化し、恒久化するものだ。
われわれの立場は、収斂と切り離しの中間である。重要な点は、中国とアメリカは、他のすべての国もそうだが、独自の経済モデルを維持する、ということだ。通商政策やその他の政策は、その国の経済システムを防衛(「保護」)するためなら、正当なものと認められる。受け入れられない政策とは、ある国のルールを他国に押し付けること、貿易相手国のコストで国内の利益を得ることだ。
後者のカテゴリーを、エコノミストは「近隣窮乏化」“beggar-thy-neighbor” (BTN)政策と呼んできた。われわれは国際貿易のルールを、BTN政策の禁止を中心に決めるべきだ、と提案する。
典型例は、中国がレアアースの輸出を規制したように、ある国がグローバルな独占力を行使することだ。また、デジタル技術分野で、ある国が競争的な規模の利益を得るために、国内市場を外国投資に対して閉ざすことだ。第3に、巨額のマクロ経済不均衡(貿易黒字)を維持するような、通貨価値の過小評価を続けることである。
同じアプローチで、他の政策に対するアメリカの抗議を拒むことになる。例えば、中国の産業補助金や国有企業は、国内政策の問題である。アメリカ企業や投資家の一部は損失を受けるかもしれないが、一般に、BTN政策ではない。それは(補助金の場合)その他の世界の利益になるか、(国有企業の場合)もっぱら国内のコストになる。
同じ意味で、アメリカは国内の技術システムの統一性を守り、輸入によってマイナスの影響を受けるコミュニティーを守るために、通商政策や投資政策を採用できる。中国の政策がもたらすマイナスの波及効果を隔離するために、国境で規制できる。中国は政策を双方向でとらえるべきだ。中国と同様に、他国も必要なことができる。
米中2国間より、特にWTOを介して、多国間で条件を合意することが望ましいだろう。しかし、われわれはBTN政策の合意が容易であるとは考えていない。たとえ合意が困難であっても、米中両国の経済主権を尊重する、明確な展望を示す枠組みは、最悪の通商行為を阻み、貿易からの膨大な利益を維持することで、時間とともに相互の信頼を回復できる、と希望する。
このアプローチが、中国の政治弾圧や人権問題を解決することはできない。それでも、経済関係において明確なルールを確立しなければならない。
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The Economist October 26th 2019
A plan for American capitalism
American capitalism: Warrensworld
Thailand’s ruthless king: Beauty and the beast
Bello: Days and nights of rage
India: The two Modis
Protests in Lebanon: Message not received
Visegrad economies: Along the beautiful blue Danube
(コメント) 風邪をひいて、要点をなかなかつかめず、時間ばかりかかりました。
ウォレンのアメリカ資本主義改革案には興味があります。記事は否定的ですが、法律や規制によって、資本主義的な経済の仕組みを改造しよう、というのは正しい姿勢だと思います。試行錯誤があるとしても、実行してほしいです。
タイの王は、軍事政権と合わせて、何をもたらすのか、逆向きの実験を始めたようです。チリ、インド、レバノン、そして東欧諸国の、新局面に注目が集まります。
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IPEの想像力 11/11/19
タイの国王は、伝統と権力を握って、4人目の若い妻を3カ月で離縁した。政治的混迷を極めるタイに現れた、好色で気まぐれな、この(愛されない)新しい王様は、日本の天皇即位の祝賀パレードや適応障害に苦しむ妻に、何を観るのだろうか?
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1989年11月9日、ベルリンの壁は崩壊した。その30周年記念に際して、「冷戦が平和的に終結した」と祝うことの意味は、半分間違っていると分かりました。
東ドイツ市民の生活が改善される、と約束したコール首相は、彼らをだましたのだ。それは、西側の政治家として当然な振る舞いであった。有権者の利益を実現します。その自信があります。十分な条件を用意しています。そういう意味であれば。
東西ドイツの再統一の前に、東西マルクの1対1統合が行われた。NHKのドキュメントが、そのときの様子を再放送で伝えていた。東ドイツ市民は、価値の大きな西ドイツマルクを手にして、お店に行列し、西側の商品を購入した。もはや東ドイツの製品を買う者などいなかった。何十年も国民に愛されたはずのアイスクリームはお店から撤去され、すぐに工場も、その生産設備も廃棄された。
「(通貨統一後)10日間で、(東ドイツ企業8000社の内)5000社が倒産した。」
その政治的な経済再編の破壊力を、ドイツ人は実感したと思います。それは、アメリカの1930年代、大不況を超える長期の、GDPや雇用、生活水準を破壊する「未完の革命」でした。ユーロ危機やポピュリスト政党の台頭は、その影響を考慮せずに説明できません。
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天皇は、「祖先」?と言われる<天照大神>を祀る、伊勢神宮に参拝する? ・・・そんなバカな!? 首相や衆院議長、最高裁長官が祝賀パレードを補佐する? 天皇が亡くなれば、いちいち巨大な陵墓(古墳)を築く? 大嘗祭の呪術的な映像と紹介は何だ!?
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すべてのチャンネルが祝賀の行事を同じように中継していることに、嫌な想像を刺激されました。
もし誰か、家族の1人が亡くなって、お通夜やお葬式をしなければならないときは。
もし誰かが、急病で病院へ行くのを、交通規制のために大幅に迂回し、遅れたら。
ふさわしくな?商店は閉鎖され、さまざまな企画は延期を余儀なくされたのか?
さまざまな誘導や荷物検査の要求は、超法規的な措置なのか?
もし誰かが、そして、皇族の誰かが、政府や警察の求める細かい指示に従うのを嫌って、参加を取りやめたら。
もし誰かが、万歳の声に加わらなかったら、それは罪なのか? 万歳の声を、不気味なものと表現したら、それは「不敬」なことなのか?
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ハイキングする天皇と皇后は、私たちの友人なのか? 「公式の行事」が行われるたびに、これは何を意味しているのか、という違和感が溜まっていきます。
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もっと普通に、小さな皇室でよかった、と私は思います。公式の行事を増やすより減らすべきだ。さまざまなルールで縛るより、国民統合のシンボルとして、何をしなければならないのか、天皇自身が考えると思うから。
歴史やメディアを使って、国民全体を1つの家族のようにみなし、その父権主義的・調和的な解釈の中で、意味のある貢献を目指すという原始的なイメージを広めたいのか? しかし、社会の基本単位は、家族(皇室)以外にも、さまざまな異なった集団である。
父権主義的な言動が、どのような良い結果ももたらさないとき、天皇はその権威を失う。異常気象を避けることはできない。不況も、失業も、難病も、人種差別も、宗教対立も、組織的な汚職や、政治的混乱、犯罪集団の蛮行も、天皇の言葉によって解決できるものではない。
イギリスにも王室はあるが、その存在がBrexitをめぐる混乱を避けることや、対立に損なわれた社会の信頼、国家の威信を回復することに、役立ったとは思えない。
もし天皇が、その意味とふさわしい役割を考えながら、静かに、生涯を通じてその答えをさがすのであれば、憲法の範囲内で、彼の自由にしてあげたらよい。天皇が、彼・彼女の時代を示す1つの元号に特別な意味を与えるのは、その地位にある人間として生き抜くからでしょう。
1人の難民が、新しい国で、新しい人生を生きるように、天皇や皇后も、その時代を生きる。
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ウォーキングチャレンジに参加しているので、私は実家の周りを散歩しました。
何だろう、これは? 朽ちて、閉じたままのシャッター。旧時代の小さな「文化」住宅。泥やほこりを舞い上げて走る自動車が、狭い歩道の横を次々に走り去る。道路沿いの小商店、散髪屋、食堂に、お客が来るだろうか? 駐車場があるのは、ピザなどのチェーン店か、コンビニ、銀行、スーパーマーケットです。
ベルリンの壁が崩壊した後の東欧と共通する、破壊の後遺症を、この町も抱えているのでしょう。町を再生する、活性化する、と政治家は選挙で約束するわけです。・・・しかし、どうやって?
香港で暴力がエスカレートする。初期の平和的な抗議活動と市民の対話を取り戻すため、2週間の「停戦」を合意してほしい、と私は思います。そして、街を再生する円卓会議を開くのです。
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