(前半から続く)
● ドイツ国民の反ECB感情
FT November 3, 2019
We need to admit the euro was a mistake
Gyorgy Matolcsy
FT November 5, 2019
Brexit is a warning to Germany’s ECB-bashers
Christine
Lagardeは、ベルリンを訪ねて、悪名高い元財務大臣Wolfgang Schäubleと会う最初のECB総裁である。それは彼女の最大の課題を示している。ECBの金融政策についてユーロ圏諸国の脆弱な受け入れ姿勢を立て直し、特にドイツにおいて信頼を得ることだ。
ドイツは長くEUの善良な市民であることを誇りにしてきた。ヨーロッパ統合に関与する歴史的な理由があるからだ。しかしドイツも、イギリスのような虚偽のヨーロッパ懐疑派という病気にかかる恐れがある。
Target 2のユーロ圏内決済システムや、ドイツ人の貯蓄に対する「懲罰金利」という、ECBに関する、長期に及ぶ、間違った宣伝は、UKでBrexitが支持された時期との危険な類似性を示すものだ。非リベラルで排外主義のAfDが支持を増やしたとき、SchäubleはECBにその責任があると非難した。しかし、それはUKでナイジェル・ファラージが選挙を支配したのと同じ傾向である。
あまりにも長く、イギリスの指導者たちはEUを中傷することを楽しみ、政治的に利用してきた。EU離脱に関する国民投票が近づいてから、UKIPに自分たちの支持基盤を奪われることに対して、当時のキャメロンDavid Cameron首相は反撃したが、もはや遅すぎた。有権者たちはEUに加盟することの真の利益を信じなかった。ドイツの政治家や評論家たちも、同じ間違いを犯していることに気付くべきだ。
問題はドイツにとどまらない。ユーロ圏の市民たちがECBを、狭い自国だけの利益で評価すれば、すなわち、純輸出国は資産と貯蓄について、純輸入国は債務について、ECBを評価すれば、その正当性はますます失われる。
ECBはユーロ圏加盟諸国の国民と直接にもっと対話しなければならない。その対話を、各国の中央銀行が助けるのが望ましい。ドイツのブンデスバンクは、あからさまに間違った情報が流されることに反駁しないなど許されない。
1つの好ましい兆候は、ECB理事会の空席を埋める人物として、ドイツはIsabel Schnabelを指名したことだ。Schnabelは優れたエコノミストであり、すでに中央銀行への不当な攻撃をやめさせた。彼女はECBにとって重要な貢献となるだろう。
FT November 6, 2019
Germany will consider EU-wide bank deposit reinsurance
Olaf Scholz
VOX 06 November 2019
A digital euro to save EMU
Thomas Mayer
FT November 7, 2019
Olaf Scholz’s banking plan is a chance to move forward
FT November 7, 2019
Dose of fiscal stimulus can lift Germany out of the doldrums
Jim McCormick
● EU離脱後のイギリス
FT November 3, 2019
Lessons for pro-Europeans in the failed Remain cause
Wolfgang
Münchau
EU残留派の運動は再び敗北するだろう。国民投票のときと同じである。People’s Vote(2度目の国民投票)を求める連携はほぼ崩壊した。労働党と自由民主党との戦略が一致しないからだ。
ボリス・ジョンソン首相の選挙運動は高い支持率を得て始まっている。「Brexitを成し遂げる」と彼は選挙スローガンに掲げ、それは有権者の気分に一致している。1月31日に、UKは合意に従って離脱するだろう。
親ヨーロッパ派の将来はどうなるのか? 10年という時間で考えれば、まず、UKの親ヨーロッパ派はあきらめないことだ。ネガティブ・キャンペーンや議会における破壊的戦術はエネルギーの浪費であった。
次に、政治家、ロビイスト、コンサルタントに頼らないことだ。若者たちの群衆を引き出すべきだ。そのために物語を変える。EUはユーロ圏をコアとした多層構造に向けて改革を進めるだろう。EUとUKとが再統合するときには、まったく違う生き物だろう。
親ヨーロッパ派は、EU加盟を「ディール(取引)」とよんではならない。EUはクラブであり、損得で判断すべきものではないからだ。単一市場と関税同盟の違いに関わるべきでもない。そんなことはロビイストやエコノミストに任せればよい。
EUを効用の視点で説明するとしたら、それはヨーロッパが共通の利益を持ち、たとえば、経済制裁に対抗できる力を持つ、という意味だ。(私はユーロも外交政策の視点で支持した。)
親ヨーロッパ派は、時間の経過が有利に働くことを知るべきだ。将来は、若者たちがもっと投票し、投票権の年齢が下げられ、EU市民も投票できるだろう。Brexitをもたらした不満は続くが、それは離脱派の企てに反発するようになるだろう。
2016年の残留キャンペーンが、アイデンティティー政治を病気とみなして避けたことは間違いだった。コスト・ベネフィットで分析したことは答えたことにならない。People’s Voteキャンペーンは、ヨーロッパという感覚を醸成し、Brexitが貿易額以上の何かを失うことに気づかせた。
総選挙の敗北後も、Brexitの闘いは長く続くだろう。親ヨーロッパ派のキャンペーンが、それから、ようやくUKで始まる。
PS Nov 4, 2019
Britain’s Post-Brexit Choices
NGAIRE WOODS
UKがEUを離脱したとしても、次の政権は長く、困難な、他の世界との関係を決める交渉を始めることになる。
ボリス・ジョンソン首相は、UKがUSとの貿易・投資に関する協定を結ぶことを望んでいる。USはUKの最大の貿易相手国であり、直接投資の供給国である。しかし、USとの緊密な関係を合意するなら、それは全体としてUKにとってはるかに重要な市場であるEUとの間に新しい障壁を創る。
第1に、銀行・金融部門だ。2008年の金融危機後、USとEUは異なる規制改革を目指している。特にトランプ政権の下で、金融改革の重要部分を緩和した。
第2に、先端技術部門だ。Facebookのプライバシー保護に関して、イギリス議会は問題を報告した。しかし、グローバルな規制に関しては、UKでは行えず、USとEUとが試みている。UK政府は、そのどちらかを選択しなければならないだろう。
EU離脱後のイギリスの立場が強化される見込みは少ない。トランプ政権の下で、UKとの関係は衰退した。
The Guardian, Tue 5 Nov 2019
Brexiters evoking Ireland’s civil war should be careful what they
wish for
Fintan O'Toole
Brexitの推進派には、1920年代、30年代のアイルランド・フリー・ステートを理想化する者たちがいる。それはブリテンに対抗してシン・フェインとIRAが蜂起して設立した州だ。保守党やアイルランド統一党の一部がそのような時代を好んで取り上げるのは、EUの帝国的支配に従う負け犬ではなく、民族的叛乱の指導者である、と思っているからだ。
FT November 7, 2019
Friends and enemies: France is a big loser from Brexit
Philip Stephens
● 民主主義の統治不能
FT November 4, 2019
The age of democratic deadlock
Gideon Rachman
スペインは、11月10日、4年もたたないうちに4度目の選挙を行う。その結果、十分な議席を示す政党が現れて、政治的な行き詰まりを打開できる、という見込みは何もない。同様に、イスラエルでも、9月の選挙後に諸政党が連立政権の交渉に失敗し、4月の選挙以降、政治の混乱が続いている。3度目の選挙に向かうだろう。
民主主義の行き詰まりという時代に入ったようだ。選挙は何も解決できない。
スペインやイスラエルは極端だが、例外ではない。ドイツの2大政党システムも衰退した。2017年の選挙後、連立を組むまでに5か月の苦しい交渉を要した。
比例代表制も、2大政党に有利な小選挙区制も、行き詰まりを回避できない。アメリカの大統領制は1人だけが勝利するようになっている。しかし、政権は議会と対立し、何度も政府機能を停止した。
2つの傾向として、2大政党制の衰退と同時に、極左・極右の反システム政党やアイデンティティー・イシューが現れて、政権交渉や妥協が困難になっていることがある。スペインでは、金融危機の後、カタルーニャ独立問題が加わった。
イギリスで進む選挙でも、労働党と保守党は、自由民主党やスコットランド国民党、そして、Brexit党に票を奪われるだろう。もしボリス・ジョンソンと保守党が勝利すればEU離脱を実行するが、過半数を得られないときは、ハムスターのように、Brexitという回転する車を走り続けるしかない。
FP NOVEMBER 4, 2019
Europe’s Populist Governments Have a Problem: Their Capitals
BY TIM GOSLING
The Guardian, Tue 5 Nov 2019
Yes, democracy is in trouble. But burning it down is not an option
Neal Lawson
民主主義は同じ破滅への道を進んでいるようだ。われわれは民主主義を救わねばならない。しかも迅速に。それに代わるものを恐れるべきだ。
イラク戦争、金融危機、社会の分断、そして、気候変動の危機。2016年のBrexit国民投票は、この深い危機が表面に現れただけだ。二者択一で解決できることではない。
権力は非常に遠くにあって、選挙はフェイク・ニュースやソーシャル・メディアに左右された。有毒のポピュリズムが高まっている。「人民の意志」を理由に、多数を握った権力層が人権や文明社会を否定する。
民主主義は複雑なシステムであり、議会や憲法、文化、構造が積み重なっている。改革の魔法の杖は存在しない。それは全体としてみるべきだ。民主主義を作り変える、平等と持続可能性のためのキャンペーンが必要である。
市民の集会はその手段だ。
NYT Nov. 6, 2019
Eastern Europe’s Populist Scam
By The
Editorial Board
FT November 7, 2019
Spain prays for a solution to political deadlock
Daniel Dombey
in Madrid
FT November 7, 2019
America’s religious war will test the limits of democracy
Edward Luce
トランプの再選を阻むことは、神に歯向かうことだ。ホワイトハウスの宗教担当者はそう断言する。白人エヴァンゲリカルの81%が2016年選挙でトランプを支持した。アメリカの近代は文化戦争によって分割される。1960年代と90年代だ。
トランプ弾劾など古い話である。最大のテーマは、白人層の不満と、多文化主義の復活との闘いだ。トランプが再選されれば、少なくともさらに2人の最高裁判事を指名できる。
エリザベス・ウォレンの最大の弱点が文化である。
FT November 7, 2019
Nationalist nostalgia? No thanks — been there, done that
Simon Kuper
PS Nov 7, 2019
Catalonia, Spain, and Europe are Better Together
PEDRO SÁNCHEZ
● ソーシャル・メディア
FT November 4, 2019
How addictive social media fuels online abuse
Richard Seymour
ソーシャル・メディアのプラットフォームが悪意ある情報を生むわけではない。
FP NOVEMBER 6, 2019
To Stop Fake News, Online Journalism Needs a Global Watchdog
BY CHRISTOPHE
DELOIRE
PS Nov 7, 2019
Why End the Global Media Crisis?
MARK M. NELSON
● ドイツ自動車産業の終わり
SPIEGEL ONLINE 11/04/2019
The End of an Era
Will Tesla and Google Kill the German Car?
By SPIEGEL
Staff
● ネオリベラリズムの終わり
PS Nov 4, 2019
The End of Neoliberalism and the Rebirth of History
JOSEPH E.
STIGLITZ
ネオリベラル政策を推進したエリートたちは、それが科学的に証明された経済モデルに依拠している、と主張した。そうだろうか? 40年経って、成長は減速し、成長の果実は圧倒的に頂点の少数者に与えられた。実質賃金は停滞し、株価は膨張し、所得と富は上位に向けて分配され、トリクル・ダウンは起きなかった。
● アメリカ外交とリアリズム
FP NOVEMBER 4, 2019
The Realists Are Wrong About Syria
BY PETER
FEAVER, WILL INBODEN
トランプ大統領がシリア北部から米軍を撤退させたことを、国際関係論・アメリカ外交の専門家たちは論争している。主要な大学の国際関係論の講座やシンクタンクをリアリズムrestraint, offshore balancing, neorealism,
or defensive realismの専門家たちが独占しており、彼らがその主張に依拠して、トランプの撤退決定を支持する発言を広めている。ハーヴァード大学のウォルトStephen M. Waltもそうだ。
しかし、彼らの主張は外交政策の判断において、トランプ型のリアリズム外交がもたらすコストを十分に検証できていない。
FP NOVEMBER 6, 2019
I Saw the Birth, and Bloody Death, of the Dream of Syrian Democracy
BY AHED AL
HENDI
● 中東政治
SPIEGEL ONLINE 11/05/2019
Middle East Protests
Iran's Influence Could Lead to More Violence
By Raniah
Salloum
NYT Nov. 5, 2019
The Fight for a New Iraq
By Mina Al-Oraibi
FT November 6, 2019
Protests in Iraq and Lebanon threaten an Iran-backed status quo
David Gardner
● ロシアと国際政治
FT November 5, 2019
How climate change will transform the global balance of power
Anatol Lieven
気候変動は、長期的に、ロシアの地政学的な優位を強めるだろう。ロシアの温暖化はシベリア東部における農業生産を拡大し、世界の食糧不足に対する重要な食糧供給基地になる。北海油田がヨーロッパにおけるエネルギー供給において急速に減少し、天然ガスは温暖化における重要な(温暖化ガス排出の少ない)エネルギー源であり続ける。
しかし、中期的には、ソ連がそうであったように、石油・天然ガスの輸出に大きく依存している経済が、石油価格の下落による経済ショックのリスクを高めている。
PS Nov 5, 2019
How to Deal with a Declining Russia
JOSEPH S. NYE,
JR.
PS Nov 6, 2019
Emmanuel Macron’s Balkan Betrayal
CHRISTOPHER R.
HILL
● 米中間のBTN禁止ルール
FT November 6, 2019
China and the US should prepare for an era of ‘co-opetition’
Fu Ying
米中の対立は漂流している状態だ。中国は、アメリカに代わって国際システムの覇権を握りたい、と主張したことは1度もない。米中対立がもっと悪化して様々な分野で対決するのか、あるいは、双方が発展の余地を認め合って協力する関係を築くのか、まだ、わからない。
PS Nov 7, 2019
America’s War on Chinese Technology
JEFFREY D. SACHS
PS Nov 7, 2019
How to Get Past the US-China Trade War
DANI RODRIK
中国経済の興隆は、既存のグローバルな秩序に対する、政治的、戦略的な挑戦となっている。アジアにおいて新しい超大国が登場し、それは不可避的に地政学的な緊張状態をもたらすだろう。最終的に、軍事衝突に至る、と予想する者もいる。たとえ戦争が起きないとしても、中国の政治体制が、さまざまな人権に対する告発を生じているように、西側にとって困難な問題を提起する。
中国は世界第1の貿易国である。その工業製品輸出はますます高度な分野におよんで世界市場を制圧している。中国の国際経済における役割が政治対立から切り離せないだろうが、西側が中国との貿易を止めることも考えられない。
異なる経済・政治システムを持つ諸国との貿易に、どのようなルールを適用するべきか? 最近、私たち(with Jeffrey
Lehman and Yao Yang)はそれを提示した。
2001年に中国がWTOに加盟したとき、WTOは、中国も含めて、かっこ億の経済は同様のモデルに収斂し、それによって真の(「深い」)経済統合を実現する、と主張していた。中国の非正統的な経済モデル(政府介入、産業政策、国有企業)はGDP成長を加速し、貧困を減らすうえで非常に成功したが、西側との深い経済統合は不可能だった。
アメリカに広まっている異なる考え方は、アメリカ経済を中国から切り離すべきだ(デカップリング)、というものだ。中国の輸出に高い関税をかけ、2国間の投資に対する規制を強化する。それはトランプの貿易戦争を強化し、恒久化するものだ。
われわれの立場は、収斂と切り離しの中間である。重要な点は、中国とアメリカは、他のすべての国もそうだが、独自の経済モデルを維持する、ということだ。通商政策やその他の政策は、その国の経済システムを防衛(「保護」)するためなら、正当なものと認められる。受け入れられない政策とは、ある国のルールを他国に押し付けること、貿易相手国のコストで国内の利益を得ることだ。
後者のカテゴリーを、エコノミストは「近隣窮乏化」“beggar-thy-neighbor” (BTN)政策と呼んできた。われわれは国際貿易のルールを、BTN政策の禁止を中心に決めるべきだ、と提案する。
典型例は、中国がレアアースの輸出を規制したように、ある国がグローバルな独占力を行使することだ。また、デジタル技術分野で、ある国が競争的な規模の利益を得るために、国内市場を外国投資に対して閉ざすことだ。第3に、巨額のマクロ経済不均衡(貿易黒字)を維持するような、通貨価値の過小評価を続けることである。
同じアプローチで、他の政策に対するアメリカの抗議を拒むことになる。例えば、中国の産業補助金や国有企業は、国内政策の問題である。アメリカ企業や投資家の一部は損失を受けるかもしれないが、一般に、BTN政策ではない。それは(補助金の場合)その他の世界の利益になるか、(国有企業の場合)もっぱら国内のコストになる。
同じ意味で、アメリカは国内の技術システムの統一性を守り、輸入によってマイナスの影響を受けるコミュニティーを守るために、通商政策や投資政策を採用できる。中国の政策がもたらすマイナスの波及効果を隔離するために、国境で規制できる。中国は政策を双方向でとらえるべきだ。中国と同様に、他国も必要なことができる。
米中2国間より、特にWTOを介して、多国間で条件を合意することが望ましいだろう。しかし、われわれはBTN政策の合意が容易であるとは考えていない。たとえ合意が困難であっても、米中両国の経済主権を尊重する、明確な展望を示す枠組みは、最悪の通商行為を阻み、貿易からの膨大な利益を維持することで、時間とともに相互の信頼を回復できる、と希望する。
このアプローチが、中国の政治弾圧や人権問題を解決することはできない。それでも、経済関係において明確なルールを確立しなければならない。
FT November 8, 2019
The US-China supply chain shock
Gillian Tett
● 西側の秩序
FT November 6, 2019
Rise of autocracies spells end to the west’s global supremacy
Tony Barber
FP NOVEMBER 7, 2019
Stoltenberg to Macron: NATO’s Not Dead Yet
BY FP EDITORS
● インド
NYT Nov. 6, 2019
India and the Mistrust Economy
By Kaushik Basu
インド経済のファンダメンタルズは強い。現在の減速は、インドが非リベラリズムに向けて漂流することから生じた信頼の破壊が原因だ。
FT November 8, 2019
Modi must position India as a real alternative to China
Duvvuri
Subbarao
● 高齢化
FT November 7, 2019
How older women are trying to change the world
Anne-Marie
Slaughter
女性の高齢者は、人生の自由を生かす時代になった。
● メキシコの破たん国家化
NYT Nov. 7, 2019
Mexico’s Fast Track Toward a Failed State
By Bret Stephens
トランプは、メキシコを何も問題と思っていなかった。しかし、彼はNAFTA再交渉を要求し、その不確実さがメキシコ経済を不況に落ち込ませた。彼はまた、中米からの難民を阻止するために南部国境を要塞化するように求め、麻薬戦争に投入していた軍隊が国境線に移動した。
メキシコは急速に、麻薬組織と宗教的な幻想が支配する破綻国家、もう1つのイラクになりつつある。トランプは何も問題と思わないようだが、壁を築いても、危機は壁を意識しない。
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The Economist October
26th 2019
A plan for American capitalism
American capitalism: Warrensworld
Thailand’s ruthless king: Beauty and the beast
Bello: Days and nights of rage
India: The two Modis
Protests in Lebanon: Message not received
Visegrad economies: Along the beautiful blue Danube
(コメント) 風邪をひいて、要点をなかなかつかめず、時間ばかりかかりました。
ウォレンのアメリカ資本主義改革案には興味があります。記事は否定的ですが、法律や規制によって、資本主義的な経済の仕組みを改造しよう、というのは正しい姿勢だと思います。試行錯誤があるとしても、実行してほしいです。
タイの王は、軍事政権と合わせて、何をもたらすのか、逆向きの実験を始めたようです。チリ、インド、レバノン、そして東欧諸国の、新局面に注目が集まります。
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IPEの想像力 11/11/19
タイの国王は、伝統と権力を握って、4人目の若い妻を3カ月で離縁した。政治的混迷を極めるタイに現れた、好色で気まぐれな、この(愛されない)新しい王様は、日本の天皇即位の祝賀パレードや適応障害に苦しむ妻に、何を観るのだろうか?
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1989年11月9日、ベルリンの壁は崩壊した。その30周年記念に際して、「冷戦が平和的に終結した」と祝うことの意味は、半分間違っていると分かりました。
東ドイツ市民の生活が改善される、と約束したコール首相は、彼らをだましたのだ。それは、西側の政治家として当然な振る舞いであった。有権者の利益を実現します。その自信があります。十分な条件を用意しています。そういう意味であれば。
東西ドイツの再統一の前に、東西マルクの1対1統合が行われた。NHKのドキュメントが、そのときの様子を再放送で伝えていた。東ドイツ市民は、価値の大きな西ドイツマルクを手にして、お店に行列し、西側の商品を購入した。もはや東ドイツの製品を買う者などいなかった。何十年も国民に愛されたはずのアイスクリームはお店から撤去され、すぐに工場も、その生産設備も廃棄された。
「(通貨統一後)10日間で、(東ドイツ企業8000社の内)5000社が倒産した。」
その政治的な経済再編の破壊力を、ドイツ人は実感したと思います。それは、アメリカの1930年代、大不況を超える長期の、GDPや雇用、生活水準を破壊する「未完の革命」でした。ユーロ危機やポピュリスト政党の台頭は、その影響を考慮せずに説明できません。
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天皇は、「祖先」?と言われる<天照大神>を祀る、伊勢神宮に参拝する? ・・・そんなバカな!? 首相や衆院議長、最高裁長官が祝賀パレードを補佐する? 天皇が亡くなれば、いちいち巨大な陵墓(古墳)を築く? 大嘗祭の呪術的な映像と紹介は何だ!?
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すべてのチャンネルが祝賀の行事を同じように中継していることに、嫌な想像を刺激されました。
もし誰か、家族の1人が亡くなって、お通夜やお葬式をしなければならないときは。
もし誰かが、急病で病院へ行くのを、交通規制のために大幅に迂回し、遅れたら。
ふさわしくな?商店は閉鎖され、さまざまな企画は延期を余儀なくされたのか?
さまざまな誘導や荷物検査の要求は、超法規的な措置なのか?
もし誰かが、そして、皇族の誰かが、政府や警察の求める細かい指示に従うのを嫌って、参加を取りやめたら。
もし誰かが、万歳の声に加わらなかったら、それは罪なのか? 万歳の声を、不気味なものと表現したら、それは「不敬」なことなのか?
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ハイキングする天皇と皇后は、私たちの友人なのか? 「公式の行事」が行われるたびに、これは何を意味しているのか、という違和感が溜まっていきます。
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もっと普通に、小さな皇室でよかった、と私は思います。公式の行事を増やすより減らすべきだ。さまざまなルールで縛るより、国民統合のシンボルとして、何をしなければならないのか、天皇自身が考えると思うから。
歴史やメディアを使って、国民全体を1つの家族のようにみなし、その父権主義的・調和的な解釈の中で、意味のある貢献を目指すという原始的なイメージを広めたいのか? しかし、社会の基本単位は、家族(皇室)以外にも、さまざまな異なった集団である。
父権主義的な言動が、どのような良い結果ももたらさないとき、天皇はその権威を失う。異常気象を避けることはできない。不況も、失業も、難病も、人種差別も、宗教対立も、組織的な汚職や、政治的混乱、犯罪集団の蛮行も、天皇の言葉によって解決できるものではない。
イギリスにも王室はあるが、その存在がBrexitをめぐる混乱を避けることや、対立に損なわれた社会の信頼、国家の威信を回復することに、役立ったとは思えない。
もし天皇が、その意味とふさわしい役割を考えながら、静かに、生涯を通じてその答えをさがすのであれば、憲法の範囲内で、彼の自由にしてあげたらよい。天皇が、彼・彼女の時代を示す1つの元号に特別な意味を与えるのは、その地位にある人間として生き抜くからでしょう。
1人の難民が、新しい国で、新しい人生を生きるように、天皇や皇后も、その時代を生きる。
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ウォーキングチャレンジに参加しているので、私は実家の周りを散歩しました。
何だろう、これは? 朽ちて、閉じたままのシャッター。旧時代の小さな「文化」住宅。泥やほこりを舞い上げて走る自動車が、狭い歩道の横を次々に走り去る。道路沿いの小商店、散髪屋、食堂に、お客が来るだろうか? 駐車場があるのは、ピザなどのチェーン店か、コンビニ、銀行、スーパーマーケットです。
ベルリンの壁が崩壊した後の東欧と共通する、破壊の後遺症を、この町も抱えているのでしょう。町を再生する、活性化する、と政治家は選挙で約束するわけです。・・・しかし、どうやって?
香港で暴力がエスカレートする。初期の平和的な抗議活動と市民の対話を取り戻すため、2週間の「停戦」を合意してほしい、と私は思います。そして、街を再生する円卓会議を開くのです。
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