(前半から続く)
● 国際収支不均衡と帝国主義
FP OCTOBER
19, 2019
Why
Trade Wars Are Inevitable
BY MICHAEL PETTIS
貿易戦争を米中の対立、ドナルド・トランプと習近平の闘いと観るのは間違いだ。
グローバルな貿易不均衡を見れば、中国は経常収支の最大の黒字国ではない。その額は約1300億ドルであり、日本の1800億ドル、ドイツの2600億ドルよりも少ない。
経常収支の不均衡は、国内の貯蓄過剰(もしくは不足)によって生じており、その原因は各国内の所得不平等化である。不平等化を逆転するまで、貿易不均衡はなくならない。貯蓄過剰の国は、他国を、すなわち、アメリカを犠牲にして、自分たちの不均衡を輸出する。アメリカがこれほど他国の過剰貯蓄をすすんで吸収しなければ、グローバルな紛争は避けられない。
貿易黒字国であることは、製造業の優れた効率性や、勤勉さ、倹約の結果ではない。日本の家計の貯蓄率は、この15年間、おおむねゼロであった。そうではなく、大幅な黒字国であるドイツ、日本、韓国は、国際競争力を高める名目で、実質的に、市民の購買力を低下させ、銀行、企業、政治エリートの利益になる政策を実施した。その結果が貿易黒字である。
中国の国内不均衡は極端であり、それゆえ焦点となっている。世界で、そして、おそらく歴史上でも、最も高い投資率が中国を経常収支赤字国にするはずだ。ところが、中国の消費率はあまりにも低い。それは国内のすべての生産物の価値を下げ、国内投資を妨げる。
通常よりも大きな利益が中国の企業や地方政府に流れている。それは家計が負担する、直接的もしくは隠された補助金である。生産性の上昇に比べて賃金は停滞し、さらに人民元の安さ、環境規制の緩さ、最も重要な実質マイナス金利は、貯蓄する家計から、借り入れる国有企業や地方政府に大きな補助金となる。
中国だけではない。ドイツも賃金を抑圧して企業に対する補助金を与えるモデルだ。2000年代の最初の10年に行われたハルツ労働改革モデルは、賃金を抑制し、不平等拡大と企業利潤の増加をもたらした。それは自動的に貯蓄率を押し上げ、巨大な経常黒字国になった。
アメリカ経済は世界最大で、最も弾力的な、最良の金融市場を持っている。世界の個人も、企業も、政府も、資産を海外に保有するとき、アメリカに置くのは当然だ。世界の過剰貯蓄の半分がアメリカにある。言い換えれば、アメリカが資本を輸入するのは、外国の貯蓄を必要とするからではなく、海外の貯蓄が多いからだ。その結果、何十年も、アメリカは貿易赤字国になっている。戦後と違って、ドイツや日本が経済を再建し、その財やサービスを吸収するだけの需要が必要になった。アメリカの消費者がカギである。
貿易理論は、こうした恒久的な不均衡を説明できない。黒字国はその過剰な貯蓄や生産物を、海外に輸出し、国内所得にかかるデフレ圧力を減らそうとする。さらに、黒字国との輸出競争で、赤字国も賃金を下げる圧力を強めるしかない。こうしたグローバリゼーション・システムでは、不平等をその原因としても、結果としても、増大させる。
アメリカ大統領は何をするべきか? 経済理論では、資本流入が投資を増やすはずだ。しかし、多くの資金を得ても企業の投資は増えない。むしろ支出は生産を超えて、貯蓄を減らしている。言い換えれば、外国からの貯蓄が流入して、さまざまな形で、国内貯蓄を減らすのだ。株価や地価が上がる。銀行が融資を増やす。ドル高、輸入増。企業の資金保有増。財政赤字による刺激策。
問題は、アメリカ経済の規模が低下したことだ。貿易相手国の黒字を吸収してやる役割は、大きなコストを意味するようになった。そのような役割を担う意志も能力も失うのは、時間の問題である。その時、グローバルな貿易・金融システムは混乱の中で停止するだろう。貿易紛争は避けられない。それはトランプの個人的な怒りのせいでも、再選戦略でもない。
現在の貿易戦争は、米中間でも、黒字国と赤字国の間でも起きてない。それは経済部門間で起きている。黒字国と赤字国の双方で、銀行と資本所有者たちは、賃金抑圧、利潤増、資本の移動性改善から、大幅に利益を受けている。黒字国の労働者たちは、所得低下と通貨価値の下落で、不均衡のコストを支払っている。赤字国の労働者たちは、失業率と債務が増加している。両方において、不平等を逆転し、分配の歪みを解消することが、唯一、貿易戦争を終わらせる持続的な方策である。
将来、アメリカ政府は、税制、労働者への支援、例えば、医療・教育コストの削減、社会インフラの改善、最低賃金引き上げ、さらに、労働組合を強化して、不平等を減らす必要がある。アメリカ金融市場への外国からの貯蓄の流入が不均衡のバランスをアメリカに押し付けることに対して、政府は資本流入に課税するべきだ。経常収支不均衡を過剰貯蓄の源泉で是正するだけでなく、調整のコストを銀行や投機家に負担させることにもなる。
そうしなければ、世界は恐ろしい時代を迎えるだろう。1902年、イギリスのジョン・A・ホブソンは、19世紀末のヨーロッパ帝国主義を動かしたのは、極端な不平等が国内支出を減らし、国内金融資産の収益を低下させたことだ、と主張した。資本家たちはその過剰な貯蓄と生産物を海外に押し付けるため、輸出市場を確保し、高利融資で軍需産業を拡大した。それは戦争に至った。
FT
October 21, 2019
Trade
will continue to grow despite US-China tensions
José Viñals
PS Oct
21, 2019
The
Battle of the Fading Hegemons
ARVIND SUBRAMANIAN
アメリカと中国の貿易戦争、新しい覇権争い、という見方は、既存の王者に新興の王者が挑戦する形で進むのではない。むしろ、アメリカの衰弱と中国の間違いが深刻なコースを描くかもしれない。それぞれが弱ったボクサーとして、先に倒れるほうが負けるのだ。
FT October
22, 2019
What
could seal a deal to end US/China trade war?
Simon J Evenett
● 香港の平和的改革
FT
October 20, 2019
China’s
Xi Jinping has more to worry about than slowing economic growth
Tom Mitchell
FP
OCTOBER 22, 2019
Compromise
Is Still (Just About) Possible in Hong Kong
BY DEREK GROSSMAN
抗議運動は5つの要求を掲げており、そのすべてを実現するよう求めている。1.送還条例の法案完全撤退。2.抗議を暴徒として表現しない。3.警察の暴行に関する独立の調査委員会設置。4.収監された活動家たちの無条件釈放。5.完全な普通選挙の実施。
正常化のためには、香港政庁と抗議活動の双方に、困難な、危険でさえあるが、妥協を受け入れる必要がある。もし誠意をもって行われれば、香港はこの苦しい期間を1つの歴史にするだろう。
少なくとも2つの要求に、ラム長官は応えることができる。警察の暴行に関する調査委員会の設置は可能である。重要なことは、警察の規律を高め、必要なら改革を行って、住民の信頼を回復することだ。
同様に、ラムは活動家たちを無条件に釈放する決断を行うべきだ。香港の行政手続きや司法システムを回避することは非常にむつかしい選択肢だが、前例のない事態に、抗議活動が沈静化されることは優先されるべきだ。
ラムが、植民地時代の非常事態特権を行使して、抗議デモにマスクを禁止したことは、自由を放棄し、権威主義体制への転換を意味すると批判された。香港政庁は信頼を再建すべきであるが、むしろ、それを掘り崩している。
デモ隊も苦しい妥協を受け入れるべきだ。普通選挙は、少なくとも今すぐには、実現できない。民主化を支持するなら、区議会選挙に民主派議員を当選させるよう全力を注ぐべきだ。もし民主派が躍進すれば、北京による香港介入は失敗である、と示せるだろう。介入は、次の一層激しい抗議活動、さらには独立運動を生むかもしれない。
最後に、ラムの辞任要求を、抗議デモは取り下げるべきだろう。ラムは、流出した会話の録音でも、辞任したくても北京が許さないのだ。たとえラムが辞めても、もっと良い長官が代わると期待することはできない。
双方が理性ある妥協を示すことで、香港は破滅の淵から生還できる。「一国二制度」による香港の主権を守るべきだ。
● ラテンアメリカの都市暴動
FT
October 21, 2019
Inequality
in ‘stable’ Chile ignites the fires of unrest
Benedict Mander in Buenos Aires
ピノチェトの独裁体制が終わってから、チリで最悪の市民争乱が起きるわずか1週間前、ピニェラSebastián Piñera大統領は自国の将来に関する楽観的なインタビューの中で、警告した。「われわれはすべてのチリ市民を(成長過程に)包摂する努力を必要としている」、と億万長者の起業家であった大統領は語った。たとえチリがラテンアメリカ諸国で成長のトップを走っているとしても。
しかしピニェラも、不平等のリスクが、これほど急激かつ暴力的に現れるとは予想しなかった。サンティアゴは暴徒に震え上がり、略奪され、放火された。地下鉄の運賃が3%引き上げられたことが、その引き金であった。政府はそれを撤回した。近年の成長から彼らを排除する不平等なシステムに対して、市民たちの間に怒りが蓄積していたのだ。
政治学者のNaviaは、現在のチリを30年前のベネズエラと比較する。IMF融資が求めた緊縮策として、燃料費が引き上げられたことから、カラカス市民が暴動を起こしたのだ。それはチャベスの権力獲得に道を開き、経済を破滅させる「ボリバル革命」に至った。
FT October
21, 2019
Argentina
is caught between politics and economic reality
Bill Campbell
FT October
22, 2019
Will
Argentina be safe in the Peronists’ hands?
Michael Stott and Benedict Mander in Buenos
Aires
FT
October 22, 2019
Chile
needs a more inclusive model of growth
FP OCTOBER
24, 2019
Mauricio
Macri Was Bound for Disaster
BY BENJAMIN N. GEDAN
● ソーシャル・メディアの政治的影響力
FT
October 21, 2019
Facebook
is the world’s most powerful adolescent
Gideon Rachman
Facebookの政治的影響に関しては、制維持形から強い不満が示されている。27億人、世界人口の3分の1以上が利用するソーシャル・メディアに、影響力がないわけがない。
アメリカ大統領選挙に影響したと責められ、トランプ政権は内容が「反トランプ的」と責めている。ミャンマーやインドでは、大量虐殺やリンチの煽動に使用された、という告発を受けた。
Facebookも問題を認めて、さまざまな対策を取ってきた。虚偽の情報を流布する制限を取り入れ、外部の事実チェックを使ってフェイク・ニュースを排除し、テロやヘイト・スピーチを削除しようとしてきた。しかし、その境界線を決めることはむつかしい。
Facebookにとって最大の脅威は、法的に、プラットフォームではなく、出版・報道機関である、と認定されることだ。その場合、流布した情報に関する責任を問われる。
中国はFacebookを禁止し、ドイツはホロコーストを否定する主張の禁止をFacebookに守らせる。アメリカではFacebookの分割論が強まっている。
Facebookは生誕から15年で、思春期にある。たとえ分割しても、SNSの影響は今後も消えることはない。
●
FT
October 21, 2019
Ukraine:
why Volodymyr Zelensky is pursuing a disruptive agenda
Ben Hall, Roman Olearchyk and Max Seddon in
Kiev
SPIEGEL
ONLINE 10/22/2019
The
Bridge to Nowhere
A Trip
to the Pro-Russian Pseudo-State of Luhansk
By Christian Esch
● 米中の金融戦争
PS Oct
21, 2019
Locking
China Out of the Dollar System
PAOLA SUBACCHI
もしドナルド・トランプ大統領が中国への敵対政策を放棄する用意があると思うなら、それは違うだろう。トランプ政権はすでに、次の戦争に移行しつつある。それは金融的フローに関する戦争だ。
高度に統合された世界経済では、貿易と金融とが、同じ取引の表裏の関係として成立している。この金融インフラは、世界で最も流動的で交換可能な国際通貨である、アメリカのドルを中心に構築されている。その特権的な地位により、アメリカは何のコストもかけずに貨幣を発行して世界中の財とサービスを購入できる。また、グローバルな資本市場を開放していることで、アメリカはその他の世界に途方もない強制手段を有している。
トランプ大統領は、この資本の流れを制限する、1977年のInternational Emergency Economic Powers Act
(IEEPA)によって大統領に認められた権限を、これまで以上に創造的に行使する。ベネズエラに対して、ロシアに対して、そして中国に対して、貿易以上に強い制裁を行った。
それは短期的にはうまくいくだろう。しかし、アメリカが繰り返しドルを武器として利用するなら、ドル資産の保有者やドルによる決済を利用する者は、確実に、そのシステムを信頼しなくなる。その結果、中国がこの10年間主張している、国際通貨制度の改革を推進する理由になるし、もし中国が許すなら、人民元が利用されるだろう。
経済的利益と国家安全保障とを結び付けるトランプのやり方は、世界の2大経済圏を切り離し、敵対するヘゲモンの指導する2極化した世界秩序が登場する。それは破滅的な対立の舞台となる。
PS Oct
23, 2019
How a Weaponized
Dollar Could Backfire
JEFFREY FRANKEL
USドルは、ユーロ、円、ポンドに大幅な差をつけて、国際通貨としての第1の地位を維持する。確かに、人民元は3つの条件の内の2つを満たしている。経済規模と通貨価値の安定性だ。しかし、開放された、深く、流動的な金融市場、は提供できない。
為替レート政策を描くときに、あいまいな形で、軍事的用語を使用することが多い。しかし、そのような解釈はナンセンスだ。「通貨戦争」、「攻撃」、「武器化」を見ればよい。
自国通貨の価値を意図的に下げるような発言、通貨価値を下げて刺激策にするための金融政策は、2013年に禁止することが、G7の財務相・中央銀行間で合意された。それを明白に破ったのは、アメリカのトランプ大統領だけである。
他方、中国が膨大なアメリカ財務省証券のストックを売却して、アメリカを攻撃するかもしれない、と懸念された。しかし、それはドルの急激な減価と人民元の増価を意味するから、中国にとって利益に反することだ。
トランプ政権は、イランとの核合意を一方的に離脱して、イランに制裁を科した。しかも、他国にもイランとの取引を禁じて、SWIFTから遮断すると脅した。これは、ロシアが制裁に対してドルの準備をやめたように、中国、ヨーロッパにも、ドル以外の決済メカニズムを築く努力に向かわせる。
トランプの外交は、ドルの長期的な優位を失わせるものである。
● ギグ・ワーカーの権利闘争
FT
October 22, 2019
Companies
must reconsider who it is they really serve
Ruth Davidson
PS Oct
24, 2019
A New
Approach to Protecting Gig Workers
LAURA TYSON
アメリカや他の先進工業諸国では、ますます多くの労働者たちが、もはや伝統的な労働契約で単一の雇用者のために労働していない。彼らは、さまざまな非標準的な仕組みにおいて、特にデジタル・プラットフォームを介して働く、いわゆるギグ・ワークで所得を得ている。
被雇用者とギグ・ワーカーとの違いは重要だ。現行法では、被雇用者は重要な権利や保護を得ているが、ギグ・ワーカーたちにはそれがない。カリフォルニア州は、200万人以上の独立契約者たちの問題を、新しい立法化California Assembly Bill 5によって解決しようとした。AB5は、独立契約者として扱うことをむつかしくするものだ。
雇用者は、この変化により、最低賃金、割増給与、疾病手当、失業保険、Medicare
and Social Securityへの負担を強いられる。さらに企業にとっては、ギグ・ワーカーたちが組合を組織する権利を認め、その組合と団体交渉をしなければならない。
その支持派も反対派も、これは企業にとって推定20~30%のコスト増加を意味する、と同意している。プラットフォーム企業とその投資家が最も恐れることだ。
Uber
と LyftはAB5を阻止する活動を始めている。部分的な妥協を受け入れて、AB5を回避することだ。企業、投資家、労働者、さまざまなステークホルダーの間で、利益とコストの分配をめぐる交渉圧力が強まるだろう。
AB5は、変化の第1歩でしかない。次は、より多くの労働者が組合を組織し、所得を増やすこと、職場での発言力を強めることが、可能になる道筋を見出さねばならない。そうすることで、弾力性と技術革新とは、ともに保持される。
● 自由貿易論の失敗
FP
OCTOBER 22, 2019
BY MICHAEL HIRSH
クルーグマンPaul
Krugmanは、1990年代初めから、一連の著作と論文で、グローバリゼーションの加速を疑う人々について、経済学を理解しない愚か者だ、とみなした。他国、特に中国との経済競争を恐れる主張を「ばかげている」と繰り返した。そんなことを心配するな。自由貿易はあなたの繁栄にほとんど影響しない、と。
今、クルーグマンは、自分の経済学の理解に欠陥があった、と認める。彼を含めて、主流派のエコノミストたちは、グローバリゼーションが「ハイパーグローバリゼーション」になることを理解していなかった。その経済・社会的な混乱は、アメリカ中産階級の暮らしを破壊した。
ジャーナリストのBinyamin
Appelbaumは、新著で、1960年代後半から、エコノミストたちがワシントンの政策を支配するようになった、という。そして自由市場の脅威に関して間違った科学的な正確さを主張し、国民を誤った苦痛と分断に導いた。エコノミストたちは、その他の社会的福祉を犠牲にして、効率性を追求した。生産者としての利益を消費者の利益に従わせ、高賃金の職場を失っても、安価な電気製品を買うことを支持した。
中国との貿易で輸入によって破壊されたコミュニティーの厳しい実態を無視した。ハイパーグローバリゼーションへの警告、労働者への救済策、産業政策の必要性、を無視した。
FT October
24, 2019
To GDP —
or not to GDP?
Gillian Tett
VOX 23
October 2019
The
Phillips curve: Dead or alive
Peter Hooper, Frederic S. Mishkin, Amir
Sufi
● インドの民主主義
FP OCTOBER
22, 2019
Not Everyone
Has a Vote in the World’s Largest Democracy
BY SOUMYA SHANKAR
● レバノン
FT October
23, 2019
Lebanon’s
mass demonstrations are focusing political minds
Roula Khalaf
● 日本の直接投資規制
FT October
23, 2019
Japan’s
draconian FDI reforms drag debate out into the open
Leo Lewis
ついにグローバル株式投資戦略家は、日本政府が突如として示した国内向け直接投資の規制ルールを、外国人排斥、とよんだ。
植民地時代の後半に、日本の支配に協力した者たち。その後の韓国政治における分断。民主化過程における激しい対立。日韓基本条約を締結した韓国政府の正当性は弱く、国際的な交渉条件が韓国には悪かった、という時代背景。韓国人の顕著な愛国主義と、日本人のクールな姿勢。国内政治に利用する韓国の政治家たち。その日本における影響は理解していない。日本の政治・経済情勢も大きく変化した。
FT October
24, 2019
Divided
by history: why Japan-South Korea ties have soured
Robin Harding in Tokyo and Edward White in
Seoul
日本が戦争に関して謝罪した諸国はほかにもあるが、なぜ日韓関係はこれほど紛糾するのか?
FT October
25, 2019
Japanese
stocks are hooked on stimulus
Leo Lewis
● 移民
SPIEGEL
ONLINE 10/24/2019
Migration
to Europe
UN
Survey Says Africa's Best Are Emigrating
By Christoph Titz
PS Oct
24, 2019
Truth vs.
Trump on Immigration
ANNE O. KRUEGER
FP OCTOBER
24, 2019
The Next
Syrian Refugee Crisis Will Break Europe’s Back
BY YIANNIS BABOULIAS
● トランプ・ブームの終わり
NYT Oct.
24, 2019
The Day
the Trump Boom Died
By Paul Krugman
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The Economist October
12th 2019
The world economy’s strange new rules
India’s economy: A big stink on the brink
Privilege in South Korea: One country, two systems
Chaguan: Lessons from the square
Ecuador’s state of emergency: Will Lenin weather the storm?
The world economy: The end of inflation
Protests in Iraq: Streets of fury
Poland: RiS at the polls
Bagehot: Thatcherism today
Free exchange: Clash of the titans
(コメント) 世界の金融システムが統合化する中で、金融危機後の豊かな諸故国はインフレが消えてしまいました。とんでもなく金融緩和しているのに、物価が上昇しない。これまでの金融理論や経済学の基礎が失われてしまった、というわけです。フィリップス曲線はどこに行ったのか? 私は、グローバル・ルイス・モデルを感じます。
フィリップス曲線は死んだのではなく、ネットの世界とグローバル市場に移ったのではないか、と記事は考えます。アマゾン効果と中国効果です。それゆえ、独自の仕方で再現するときに、過度な落款で財政赤字に頼る諸国は破滅するでしょう。日本なのか?
インドの銀行業、韓国、エクアドル、イラン、ポーランドの政治に苦悩する人々の姿が胸を打ちます。香港に漂う天安門の弾圧、イギリスではサッチャリズムからポピュリズムへの転生、ドイツとECB総裁の金融政策をめぐる暗闘。
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IPEの想像力 10/28/19
金融恐慌の歴史を、キンドルバーガーは、ブームが生じて、熱狂から、崩壊する、市場の集団ヒステリー現象であり、「多年草」である、と考えました。それは、インフレの消えた世界でも起きるのでしょうか? もし起きるとしたら、どのような形になるのか?
日本だけでなく、金融危機後の豊かな諸国に広がったQE、QQE、そして、マイナス金利は、正しい経済政策なのか? ポピュリストによる再建策と、アルゼンチンやギリシャが示すような周辺における破綻、IMFやECBによる救済と破綻のサイクルが、先進経済にも及ぶのか?
インフレ目標やアベノミクスをいつまで言い続けるのか? フィリップス曲線は、物価と失業との間に一定の逆に変化する関係があることを見出し、マクロ経済の管理者たちに規準を与えるはずでした。しかし、その関係が消えた? 平坦になった? 次々に移行している?
これまでと違うことが起きると、常に、根本的な技術革新、特に、グローバリゼーションとインターネットが注目されます。Amazonは以前の市場を大きく変え、価格を下げる圧力を強めました。あるいは、そもそも物を作らないサービス部門の価格変化は、賃金やコストではなく、何か別の要因によって決まるのではないか?
新興市場諸国、特に、中国はどうか? 農村からの労働供給が途絶え、人口が減少する中で、急速にIT、AI、ロボットに投資を進めています。過剰投資と貧困のアンバランス、環境破壊は、J.A.ホブソン流の「帝国主義」に向かうのか? ナショナリズム、ITを駆使した社会管理、自由よりも開発を重視する政治体制の輸出が、中国の目指す国際秩序なのか?
物価が上がらず、むしろ下がってしまうのは、需要が足りないからです。豊かな諸国が消費を減らす以上に、投資が減ったのでしょう。そして、ますます輸出に活路を見出すとしたら、結局、通貨の切り下げや国際競争力を高めるコスト削減、デフレ的な競争を強めることになります。
「最後の消費者」であるアメリカ経済が、その役割を拒むとき、中国も、ユーロ圏も、インドも、それに代わることはないでしょう。国際資本移動と経常収支不均衡の調整メカニズムは、それに応じた、アメリカなしで均衡する地域経済圏や資本移動の抑制を求めます。
これは「長期停滞」なのでしょうか? 急速に高齢化するから? 開発のための十分な投資を行わないから? 豊かな諸国の不平等拡大、貧しい諸国の秩序崩壊、あるいは、気候変動への無策によって、貯蓄過剰と投資機会の減少が、世界各地で独裁や地政学的危機を増している?
金融ビジネスのカジノ化を進めた証券化と、数学モデルに依拠する経済学の過剰な合理性は、政治的共同体のメンバーから生活圏を組織する力を奪いました。それは、大恐慌や第2次世界大戦を観たケインズの解決策とは反対です。経済的な自給が望ましい。・・・特に、金融部門はローカルであること。市場がカジノに侵されないように、社会的な観点で厳しく評価し、監視すること。
民主主義や資本主義の基礎が問われます。FacebookやLibraは、現代の救世主になるでしょうか?
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メガバンクでなくても、地方銀行には地域の経済に対する貢献を使命として働く有意義な分野がある、とゼミに来てくれた若い銀行員は語っていました。
マイナス金利でも、銀行は消滅しないでしょう。高齢者の資産をどのように守り、生活を維持する計画を描くか? 巨額の資産取引、海外における投資、為替レートの変動リスクを含む投機に頼らず、その土地の新しい産業が興るのを助けることが金融の使命です。貯金や融資、資産を増やすことではなく、税金や債務を正しく扱うコンサルティングや、中小企業のM&Aが、銀行業のコア・ビジネスになる。
彼女の話は、きっと正しいのだと思います。もし政府や国際秩序が、原発やカジノ、外国人観光客ではなく、ローカルな経済の成長、より平等な、持続可能な成長を優先するなら、地域を支える小さな銀行こそが繁栄を築くでしょう。彼女の話を聞いて、そんなことを思いました。
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