IPEの果樹園2019

今週のReview

10/28-9/2

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ジョンソンの離脱案 ・・・パックス・アメリカーナの終焉 ・・・社会改革としてのポピュリズム ・・・国際収支不均衡と帝国主義 ・・・香港の平和的改革 ・・・ラテンアメリカの都市暴動 ・・・ソーシャル・メディアの政治的影響力 ・・・米中の金融戦争 ・・・ギグ・ワーカーの権利闘争 ・・・自由貿易論の失敗

[長いReview

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主要な出典 FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, Foreign Policy, The Guardian, NYT: New York Times, PS: Project Syndicate, SPIEGEL, VOX: VoxEU.org, Yale Globalそして、The Economist (London)

[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.] 


 トランプという問題

The Guardian, Fri 18 Oct 2019

Donald Trump’s sanity is not the question. The real issue is how he got into office

Gary Younge

2017年、会議の後で、27人の精神科医、心理学者、その他の精神の健康に関する専門家たちが、1冊の本を書いた。『ドナルド・トランプの危険性』である。自分たちにはアメリカ人に警告しておく道義的、市民的な義務がある、と論じた。トランプは歴史上のいかなる大統領よりも危険である。精神病の深刻な兆候があり、妄想障害がある。

トランプの外交政策は、殺人者を思わせる「アメリカ・ファースト」だ。しかし、これもアメリカの伝統である。1964年、ギリシャの大使がアメリカのキプロス分割案の欠陥を指摘しようとした。リンドン・ジョンソン大統領は答えた。「お前の国の議会も憲法もくそだ。・・・アメリカがたっぷりドルをギリシャ人に支払っているのだぞ、大使殿。もしお前の国の首相が、私に、民主主義とか、議会とか、憲法とか、言うのであれば、お前の議会や憲法は長くないと思え。」 3年後、ギリシャ政府は、アメリカが支援する軍事クーデタによって倒された。軍事政権は7年間も続いた。

PS Oct 18, 2019

Trump’s Perfidious America

SHLOMO BEN-AMI

FT October 19, 2019

Donald Trump’s presidency continues its bizarre degeneration

トランプ大統領はアメリカをローマ帝国として称える。カリギュラをまねたわけではないだろうが、その気まぐれはローマ皇帝のイメージだ。クルド人を大量虐殺するな、とエルドアンに頼んだ手紙を公開した。「取引しよう!」 「いいかっこうするなよ!

トランプは、アメリカが最も頼りとする地域の同盟者、ISISと戦って11000人が死んだ、クルド人部隊を見捨てたのだ。クルド人は「決して天使じゃない。」と、トランプは言った。遠くの境界線で何が起ころうと、アメリカの関心事ではない。

しかし、これがトランプの最悪の時期ではない、もっとひどくなる、と思う理由が2つある。

弾劾審査手続きについて、大統領府は議会に全く協力しない。政府自身と戦争している。G7サミットをフロリダの自分のリゾート施設で開催し、税金で大儲けする。ウクライナのゼレンスキー大統領と電話会談した記録を公開したが、疑惑はさらに強まっている。

大統領は、政府を完全に回避した形で外交を進めている。ジュリアーニこそ、議会は強制的に召還して証言させるべきだ。ウサマ・ビン・ラディンを狩り出した軍人William McRavenが、NYTに書いた。「共和国は大統領に攻撃されている。」


 ジョンソンの離脱案

FT October 18, 2019

Boris Johnson’s Brexit deal is a leap in the dark

Camilla Cavendish

UKが分裂するのか?

合意なしの離脱は避けられるだろう。しかし、これは非常にハードなBrexitである。しかも、長く、複雑な交渉の始まりに過ぎない。ジョンソンの合意は、メイの「取引」を何も超えていない。

Brexitが実現するには、反対側、労働党のコービンが動くことになる。効果的な解決をもたらす能力が、現在の議会と内閣にあるとは思えない。

アイルランドの安全策(バックストップ)を技術的に解決し、北アイルランドはスイスよりも良い条件になるのか?

EUが条件の交渉に応じたことはジョンソンの勝利であった。しかし、イギリスが関税同盟と単一市場の両方から離脱する、というジョンソンの考え方は大きなギャンブルだ。それは、メイの合意よりもEUから離れる。もしカナダ型の自由貿易協定を目指しているなら、それは政府自身の予想でもGDP6.7%も減少させる。

明らかに、3年の交渉を経ても、イギリスの威嚇に対してEUが分裂することはなかった。アイルランド政府の立場は、EUに反映され、イギリス政府の立場よりも強い。

ジョンソンは、関税なし、割り当てなしの、EU-UK自由貿易圏を目指す。政治宣言では、気候変動から政府補助金まで、すべてに関するオープンで公平な競争を維持する、という。労働党から支持を得るには、社会・労働規制に関して妥協する必要がある。また、コービンはEUの政府補助金・競争ルールには反対している。

根本的な対立には解決が示されていない。Brexit推進派は独自の条件で競争する自由を求める。しかし、産業界は安定性と利潤を維持するように求めている。ジョンソンの合意案がもたらす複雑さと追加コストを歓迎する企業は1つもない。政府はこの点を全く理解していない。

この国の経済の80%を占める、金融などのサービス部門取引に関して、政治的決定がもたらす影響を正しく理解している政治家はほとんどいない。

いかなるBrexitUKの統一を脅かす。ジョンソンの合意案は、北アイルランドと他のUKとを切り離すだろう。

これで「Brexitを実現した」という勝利を自慢することはやめるべきだ。これは闘いの始まりでしかない。

FT October 18, 2019

The prospects for a second Brexit referendum

Matthew Goodwin

FP OCTOBER 18, 2019

Here’s What Boris Johnson’s New Brexit Deal Would Mean for Britain and Ireland

BY DAN HAVERTY

FT October 19, 2019

Can Boris Johnson ‘get Brexit done’?

Sam Fleming, Jim Brunsden and George Parker in Brussels

The Observer, Sat 19 Oct 2019 21.00 BST

We marched with hope but few expectations. Yet history will side with us

Will Hutton

The Observer, Sat 19 Oct 2019 21.00 BST

The Observer view on Boris Johnson’s sorry Brexit deal

Observer editorial

FT October 19, 2019

This Brexit deal is a chance for the UK to move on

Tom Tugendhat

FT October 20, 2019

Johnson can still see the path to Brexit victory

Robert Shrimsley

The Guardian, Sun 20 Oct 2019

Europe is fed up with Brexit, but it’s still best for all if Britain stays in

Timothy Garton Ash

EUは、UKの欧州支持派とともに、ジョンソンの離脱延期を認めるべきだ。

FT October 20, 2019

Boris Johnson’s Brexit deal brings a united Ireland closer

Jonathan Powell

The Guardian, Mon 21 Oct 2019

If Johnson adds a customs union, remainers should finally accept his deal

Simon Jenkins

FT October 21, 2019

Brussels believes it is now time to move on with Brexit

Wolfgang Münchau

The Guardian, Tue 22 Oct 2019

Remember Thatcher’s Britain? That’s where this Brexit deal would take us

Tom Kibasi

The Guardian, Tue 22 Oct 2019

Don't buy the hype: Boris Johnson's Brexit deal did not win approval

Jonathan Freedland

The Guardian, Tue 22 Oct 2019

Remain is now a political identity that will shape Britain long after Brexit

Rafael Behr

SPIEGEL ONLINE 10/22/2019

London Mayoral Candidate Rory Stewart

'What Boris Is Doing with Europe Is Extremely Dangerous'

By Jörg Schindler

FT October 23, 2019

Parliamentary roadblock leaves path to Brexit for Johnson

Robert Shrimsley

NYT Oct. 23, 2019

An Election Is the Only Answer for Britain

By Roger Cohen

何でもいいから、これを終わらせてほしい。

ジョンソン案がメイ案と異なるのは、北アイルランドがEUの関税同盟にとどまり、その他のUKEUとのシンガポール型自由貿易圏を目指す、ということだ。それは不確実なものである。

FT October 24, 2019

Thatcher’s fear of an overmighty Germany lives on in Brexit

Philip Stephens

FP OCTOBER 24, 2019

A Diminished Nation in Search of an Empire

BY EDOARDO CAMPANELLA

Brexitの中心をなす心理劇は、イギリスのエスタブリシュメントたちが、大英帝国を失った後の世界における縮小したグローバルな役割について、その条件に満足できないことである。ボリス・ジョンソン首相のようなハードBrexit推進派は、EUを離脱して帝国の過去を復活させることに、輝かしい未来を期待している。彼らが夢見る英語圏の世界、そしてその中心にあるUKは、かつてのイギリス植民地であるUSとリンクした理想の世界である。

1962年、アメリカの国務長官アチソンDean Achesonが述べたことは有名だ。「グレイト・ブリテンは帝国を失ったが、まだその役割を見出していない。」 アイデンティティーの危機は1世紀も前に始まった、と彼は断定した。彼がそう述べてから50年以上を経たが、それはまだ終わらない。


 パックス・アメリカーナの終焉

FT October 18, 2019

The latest Syrian crisis is a warning to Europe

Gérard ErreraFrench ambassador to Nato and the UK

トランプが決定した米軍のシリア北部からの撤退は、米欧の大西洋同盟が無意味になったことを示す最新の、悲劇的な証拠である。

クルド人がキャンプで管理しているISISの容疑者たちは混乱の中で逃走し、西側の諸都市に惨劇をもたらすだろう。クルド人はシリア政府とロシアに保護を求め、ロシアがシリアとこの地域でパワーを拡大する。プーチンは、アメリカとその同盟諸国に代わって、中東のバランス・オブ・パワーで中心を占めるだろう。

ソ連崩壊以降、ヨーロッパの戦略的な価値は、アメリカにとって大幅に低下した。トランプは、前任者たちと違って、単にEUに関心を示さないだけでなく、EUの解体を公然と主張した。彼は最初からBrexitを歓迎した。

「アメリカ・ファースト」が変わらないと認めたヨーロッパの指導者たちは、その態度を変えた。ドイツのメルケル首相は「ヨーロッパは自分たちの運命を自分で決める」と述べ、フランスのマクロン大統領は「ヨーロッパの主権」という考えを支持した。

それが言葉だけでないためには、「ヨーロッパの利益」を定義し、集団でこれを守らねばならない。NATOは、その技術や貿易、金融、サイバー・セキュリティに十分な投資をしないことで、無意味になった。ヨーロッパは、ロシア、中国、アメリカに対して防衛する力がない。アメリカのドルや、国家を超えた制裁・法の強制がもたらす支配から逃れられない。これに対して、もっとユーロを強化し、ヨーロッパ・レベルで積極的な産業政策を実行するべきだ。

リベラルな民主主義、人権、事実に依拠することは、大西洋同盟の基礎であった。それが脅かされている。ヨーロッパは地政学と基本的価値を守るべきであり、シリアにおいてそれが試されている。

ベルリンの壁が崩れたとき、ゴルバチョフは東ドイツの指導者たちに警告した。「歴史は遅れた者を処罰する。」

ヨーロッパは同じ運命を避けるために行動せよ。

SPIEGEL ONLINE 10/18/2019

The Triumph of the Autocrats

What the Syrian Debacle Means for the Middle East and Europe

By DER SPIEGEL Staff

PS Oct 18, 2019

Time to Bite the Bullet in Syria

CARL BILDT

2つの疑問が起きる。誰が国をなくしたのか? 国際社会はどこに向かうのか?

最初の問いの答えは簡単だ。シリアは、2011年に大衆抗議活動が起きて以来、敗北してきた。アサド体制は平和的な解決を拒否し、外部勢力は介入を望まなかった。制裁、国連の導く外交、穏健派への中途半端な支援が、組み合わさって、アサド体制が敗退することを望んだ。

それはうまくいかなかった。原理主義勢力が拡大して、イランが支援する勢力、ロシア軍がアサド体制を支援した。

イスラム国(ISIS)が2014年にモスルやラッカで「カリフの土地」を確立した後、イラクではイランが支援するシーア派の部隊が戦ったが、シリアは混乱した状態にあった。アメリカは部隊を送らず、反政府勢力やトルコは軍事的に対抗できず、アサド体制を打倒することを優先した。

アメリカは、トルコが内戦を続けるPKKとシリアのクルド人部隊YPGを、テロリストと認定していたが、短期の戦術的な同盟関係をYPGに求めて、軍事支援した。

ISISが掃討された後、地域の戦闘を止める政治プロセスの好機であった。少なくとも、2つの選択肢があった。1つは、シリアの北部と北東部を支配するクルド人YPGを認めることだ。しかし、当然、これにはトルコが反対した。米軍の長期駐留も必要になる。

他の選択肢は、シリアのアサド体制が受け入れる、包括的な統治構造を創りだすことだ。時間を賭けて、それはイラク北部で成立した枠組みに向かう。その地を支配するクルド地方政府KRGとは、トルコも緊密に協力している。

しかし、これは実現しなかった。トランプ政権が最初の選択肢を拒み、その後、第2の選択肢も捨てたからだ。トルコ軍が侵攻し、その後、すべてが崩壊した。トルコの爆撃を逃れてクルド人は避難するが、国連安保理は沈黙したままだ。

トランプとエルドアンとの電話会談だけでなく、その前から一貫した外交を欠いたことが危機を創りだした。今、問題は、ここから脱け出す生産的な道を見出すことだ。

アメリカはトルコと、シリア北部の「安全地帯」設置に合意した。ロシアはYPGとアサド政権との合意を仲介する。EUはトルコとの関係を維持するだけで、多くのことはできない。

地域の関係する諸集団が席に就いて、何らかの合意が試みられる。KRG、イラク、他のアラブ諸国も、トルコ、イラン、シリア政府の交渉に加わるだろう。恐怖と殺戮をもたらしたアサド体制が生き残る。それ以外に、道がないからだ。

多くの集団が受け入れるのを困難と感じるだろう。残念ながら、民主的シリアは何年も前に敗北した。一層の殺戮を止め、安定性を回復することが、最優先されねばならない。

FP OCTOBER 18, 2019

Trump Can Forget Burden Sharing Now

BY DOUGLAS J. FEITH, ABRAM N. SHULSKY

FT October 20, 2019

The Syrian crisis is now Russia’s to resolve

Dmitri Trenin

PS Oct 21, 2019

The Middle East’s Dangerous New Hegemonic Confrontation

JOSCHKA FISCHER

NYT Oct. 21, 2019

This Is the True End Of Pax Americana

By Ian Buruma

シリア北部から米軍を撤退させる、という突然の決定は、すでに恐るべき結果をもたらしている。しかも、トルコとシリアの国境を超えて、第2次世界大戦後のアメリカの同盟関係を、トランプは根底から破壊する。同盟とは、共通の利益と信頼関係によって機能するものだ。

この世界秩序は,パックス・アメリカーナとよぼうが,アメリカ帝国主義とよぼうが,ソ連崩壊以来,伸縮されてきた.しかし,その起源は大西洋憲章であり,米英が示したヒトラー後の世界,それは各国民が政府の形態を選択する,という秩序を示していた.アメリカは旧敵国であるドイツと日本の経済再建を支持したのであった.

ところが共産主義の懸念が消滅してから,ヨーロッパでも日本でもアメリカの安全保障に対する異存が問題となっていた.パックス・アメリカーナは,もっと責任と負担をヨーロッパや日本が引き受ける形に移行しなければならない,とわかっていたのだ.それを,緩やかな,秩序ある移行にすることが,問題であった.

シリアにおけるクルド人に対するトランプの危険な態度変更は,その意味で重大であった.EUは,今なお,共通の問題意識や外交政策を示せない.日本には,アメリカに代わる何らの同盟関係もない.

もっと深刻な危険は,トランプがアメリカの理想を否定したことだ.トランプはリベラルの価値を声高に否定し,ロシアのプーチンや北朝鮮の金正恩を仲間として受け入れた.独裁者に対する何の道義的なチェックも存在しない.

これこそが真にパックス・アメリカーナの終焉である.

FT October 22, 2019

An industry of peacemakers capitalises on global conflict

Chloe Cornish

NYT Oct. 22, 2019

Trump’s Syria Trifecta: A Win for Putin, a Loss for the Kurds and Lots of Uncertainty for Our Allies

By Thomas L. Friedman

持続的な関与政策には3つの要素が必要だ.明確な違いを示す.同盟諸国の協力を得る.礼節と良心を守る.

The Guardian, Wed 23 Oct 2019

Russia has been playing a canny game in the Middle East, but can it continue?

Olga Oliker

ロシアは見事に中東において敵対勢力を操ってきた.特にシリアでは,支配的な地位を手に入れた.しかし,撤退するアメリカに代わってその真空を埋めることは,ロシアが求める以上に多くの責任を負担するしかないだろう.これまではうまくいっただろうが,シリアの現状において,この先,容易な道はほとんどない.それはうらやましいような戦果ではないのだ.

FT October 23, 2019

Russia is the real winner in Donald Trump’s Syria mess

David Gardner

FT October 23, 2019

Russia looks to translate Gulf’s warm welcome to cold cash

Henry Foy in Moscow

FP OCTOBER 23, 2019

How Turkey and Russia Carved Up Northern Syria

BY LARA SELIGMAN, ELIAS GROLL, ROBBIE GRAMER

FP OCTOBER 23, 2019

Erdogan Has No Idea What He’s Doing in Syria

BY STEVEN A. COOK

FT October 25, 2019

Vladimir Putin can thank Donald Trump for his triumph in Syria

YaleGlobal, Tuesday, October 29, 2019

America’s Allies Brace for a Perfect Storm

Atman Trivedi and Santiago Herdoiza


 貧困と経済学

FT October 18, 2019

Weakest link theory provides strong claim to the economics Nobel

Tim Harford

VOX 21 October 2019

Alleviating poverty with experimental research: The 2019 Nobel laureates

Oriana Bandiera

PS Oct 22, 2019

The Open Secret of Development Economics

YAO YANG

FP OCTOBER 22, 2019

Economics’ Biggest Success Story Is a Cautionary Tale

BY SANJAY G. REDDY


 Libraプロジェクト

FT October 18, 2019

Why Facebook’s Libra might be a good thing

Richard Waters

企業が新しいビジネス・アイデアを、強力な政治家たちの威嚇によって抑えるなら、イノベーションは実現しない。それはFacebookLibraプロジェクトに起きていることだ。

金融危機から10年経つが、金融システムは今も「大きすぎて潰せない」巨大銀行に依存している。フィンテックを端々で盛んに利用するが、その核心部には革新を取り入れない。

数少ないスーパー・アプリに支配されたまま、どのようにプライヴァシーと競争を維持するのか? Libraの運命とは関係なく、そうした重要問題に答えねばならない。

PS Oct 18, 2019

The IMF Should Take Over Libra

YANIS VAROUFAKIS

FT October 21, 2019

Facebook’s Libra currency is wake-up call for central banks

Brendan Greeley in Washington

FT October 21, 2019

Life after Libra: how regulators could fuel rise of digital currency

Patrick Jenkins

ドイツの小さな銀行が破綻したとき、BISがその整理を進める基準を明確にした。今、中央銀行とBISを中心としたLibraの普及を,世界金融システムの改革として目指すべきだろう.

FT October 23, 2019

The threat and the promise of digital money

Martin Wolf


 中央銀行

FT October 18, 2019

Central banks are tuning in to climate change

Gillian Tett

FT October 18, 2019

Big US bank profits show they can take a punch from low rates

Robert Armstrong


 社会改革としてのポピュリズム

FP OCTOBER 19, 2019

The Upside of Populism

BY DARON ACEMOGLU, JAMES A. ROBINSON

技術変化、経済成長、一部の者だけが利益を受けるグローバリゼーションの時代である。不平等が拡大し、社会不安が高まっている。金融パニックの後、国中に不況が広まった。移民への攻撃と、旧き良き時代への懐古。制度への信頼は失われ、新しい運動の指導者たちは、政治家の陰謀は庶民の利益に反している、と主張する。「浮浪者と億万長者が増えている。」

これは2010年代のアメリカではなく、1890年代を描いたものである。陰謀を巡らすエリートたちとは、鉄道、鉄鋼、石油、金融の大富豪たちだ。政治的コネにも依拠した「泥棒貴族」たちである。移民攻撃の言説を広またのは共和党ではなく、1982年オマハ綱領を掲げた左派ポピュリストの人民党であった。

彼らの不満や社会運動がアメリカの民主主義と自由を破壊する、と恐れる者は多かった。しかし明らかになったのは、ポピュリズムが制度の崩壊に向かうのではなく、その改革に向かう可能性だった。それは、経済的、政治的な不平等が拡大することに対して、広範な反発が広がり、より持続可能な姿を取り戻すのを助ける、そして、必要な運動を意味した。今もそうだ。

19世紀の人民党は次第に衰退し、中産階級を含む幅広い進歩派に変化した。既存制度を解体するより、新しい制度の設立を要求するようになる。政治・経済制度を改革することで、アメリカの民主主義と自由を回復した。上院も直接に選挙で選ばれるようになったし、富裕層が政治過程を支配することはむつかしくなった。1913年、進歩派は最高裁判決を翻し、修正第16条で、連邦所得税を導入した。進歩派はそれによって富裕層からの再分配が可能になると考えた。

民主主義と自由が生き延びることは容易なことではない。それは常に、異なる利益と社会勢力の闘争である。自由は、ある集団がこの綱引きに勝った結果ではない。逆に、一方が強くなりすぎると、自由は失われる。われわれはこの細い回廊を見つけなければならない。

もし国家とエリートがあまりにも強力になれば、それは他者を弾圧し、沈黙させる、専制国家に向かう。中国がそうだ。しかし非エリートが動員され、権力と戦い、それがあまりにも強くなれば、その結果は自由ではなく、国家の能力が崩壊する事態である。今のメキシコがそうだ。ベストのシナリオでは、社会が国家の諸機関を支配し、信頼し、国家が経済を規制し、公共サービスを供給し、法律の執行を効果的に行うのを許す。

現在のアメリカでも、ポピュリズムがプラスの意味を持つことは可能である。しかし、トランプ大統領は大きく1歩後退した。ナショナリズム、排外主義は、以前と同じポピュリズムの醜い側面だ。ポピュリストたちは、本能的に、こうした間違った、機会主義的な、分断化する人物の周りに集まる。それは極度に権力を集中したエリートや専門家に対する正当な反発である。

状況はかつてよりもゼロサムに見える。集団間でプラスの連帯を形成しにくい。しかし、2歩前進することは可能である。幅広い連携が形成されれば、エリートたちに圧力を加え、積極的な妥協が成立する。医療保険制度、質の高い教育の提供、より良いインフラの整備が、優先されるべきだ。

PS Oct 22, 2019

The Partial Triumph of 1989

JAVIER SOLANA

PS Oct 22, 2019

Why Rich Cities Rebel

JEFFREY D. SACHS

世界の豊かな3つの都市で、抗議活動や紛争による大きな混乱状態を生じた。パリは、マクロン大統領が燃料税の引き上げを発表した後、201811月に抗議と叛乱の波に呑み込まれた。香港では、チャーリー・ラム行政長官が容疑者の中国本土への送還を認める法案を提出した後、3月から争乱に揺れ続けている。サンティアゴは、今月、ピニェラ大統領が地下鉄の運賃引き上げを命じた後、暴動が爆発した。

彼らが示すのは、不公平さの感覚と、社会的な移動性が低いという認識とは、都市の大規模な暴動を引き起こすということだ。

NYT Oct. 22, 2019

The Enduring Power of Anticapitalism in American Politics

By Jamelle Bouie

FT October 24, 2019

Andrew Yang stands out with unconventional tactics in Democratic race

Lauren Fedor in Washington

NYT Oct. 24, 2019

Democracy Isn’t Dead; We’ve Barely Tried It

By Malka Older


(後半へ続く)