前半から続く)


 不平等と税制改革

NYT Oct. 11, 2019

How to Tax Our Way Back to Justice

By Emmanuel Saez and Gabriel Zucman

アメリカの不平等拡大には新しいエンジンがある。逆進的な税制だ。過去半世紀で、アメリカ最富裕層の富はかつてなかった高みに達したのに、その税率は崩壊している。同じ期間に、労働者階級の賃金は停滞し、労働条件は悪化し、負債は膨張し、その税率は上昇した。

過去10年間で初めて、アメリカの労働者たち、低所得の側のアメリカ人の半数は、億万長者たちよりも高い税率で支払っている。

われわれはアメリカが集めるすべての税収、GDP28%から考える。それを15の所得集団に分割した。最底辺の10%、約2400万人、次の10%、・・・最富裕の400人まで。

連邦政府、州政府、地方政府の税金を合計している。所得税だけでなく、法人税や売上税、不動産税、給与税などもある。すべての税金は人が支払うのだ。共和党の大統領指名争いで、ロムニー上院議員が47%の「テイカー(税金を支払わず、給付だけ受け取る者)」と強調したが、それは間違いだ。

すべての税を含めれば、所得集団のすべてが所得のほぼ2530%の税金を支払っている。唯一の例外は、億万長者たちだ。彼らの税率は23%であり、他のすべての集団よりも低い。

われわれは税制を変えて、この不正義を解消することができる。現代の技術もグローバリゼーションも、われわれが累進的な税制を創る力を奪うものではない。選択するのはわれわれだ。多国籍企業が利潤を申告する国をどこでも選ぶことを許すのか、あるいは、われわれが決めるのか。財務処理の不透明さを許し、課税回避の無数の抜け穴を与えるのか、あるいは、基準と記録を選んで、税収を増やすのか。

多国籍企業が、税を徴収されないようなタックス・ヘイブンを選ぶかもしれない。たとえば、アメリカ国内で35%の課税を避けるため、Appleはアイルランドで1%の課税になるよう利潤を申告した。この場合、Appleなど、大企業の多くが行っていることだが、巨額の税収不足を、アメリカ本社にアメリカが課税することだ。アメリカは最後の課税徴収者である。外国の多国籍企業にもできる。それは何ら国際条約に違反しない。もし徴収を避けるためにアメリカ市場での販売を拒むなら別だが、そのような企業はないだろう。

アメリカは税の正義に向かう手本であった。地球上でもっとも累進的な税制を実現した民主主義であった。1930年代には、最高所得限界税率が90%近くに達し、企業利潤には50%、巨額の相続には80%の課税を行った。


 米中貿易戦争

NYT Oct. 11, 2019

Why We Worry About the U.S.-China Trade War

By Kevin Rudd, Helen Clark and Carl Bildt

18カ月に及ぶ米中貿易戦争は、世界経済の成長に対する最大の脅威である。貿易戦争が終結しなければ、来年、米欧日とその他の新興経済で、不況が始まるリスクが高まる。中国の成長見通しも深刻な影響を受けるだろう。

米中ともに、その経済的繁栄はグローバルな自由貿易に依拠してきた。中国との長年の関係を通じて、われわれは北京の貿易・経済観光の多くに重大な問題があると認める。こうした問題はどの国にもあるが、中国は世界第2の経済規模がある。

同時に、アメリカは関税戦争を拡大しているが、関税引き上げは国際的な通商・経済問題を解決する効果的な手段ではない。それは累積的に保護主義を広め、成長、雇用、生活水準を損なうだけである。

関税戦争は不確実性を高め、成長を押し下げる。グローバル・サプライチェーンの混乱はすでに深刻だ。合意の実施に関して、中国は注意しなければならない。新しい合意は、WTOの紛争処理メカニズムを強化することを通じて、双方の信頼を得ることができる。

貿易戦争を超えて、米中の関係が分断され、グローバルな平和と繁栄が脅かされることをわれわれは憂慮する。

FT October 12, 2019

China makes few concessions in trade truce with US

Tom Mitchell in Beijing

FP OCTOBER 12, 2019

Can American Values Survive in a Chinese World?

BY TANNER GREER

PS Oct 14, 2019

How China Can Reach its Centennial Goal

ZHANG JUN


 ウクライナの政治と経済

FP OCTOBER 11, 2019

Zelensky Flounders in Bid to End Ukraine’s War

BY JUSTIN LYNCH

PS Oct 14, 2019

How to Stem Ukraine’s Corruption

DARON ACEMOGLU, JAMES A. ROBINSON

ソ連崩壊後の楽観が支配した時期に、豊富な資源、教育ある労働者を持つ、工業化されたウクライナが、その後の28年間も停滞すると考えた者はほとんどいなかった。隣国のポーランドは、1991年、ウクライナより貧しかったが、その後の30年間で1人当たりGDP3倍になった。

ウクライナ人の多くはその理由を知っている。彼らの国は世界で最も腐敗した国なのだ。

他のソ連の共和国と同じように、ウクライナも共産党エリートに権力が集中していた。彼らはクレムリンが指名したのだ。ウクライナのエリートは、ロシアの共産党と非常に深く連携しており、しばしば、ウクライナ国民を犠牲にした。

また、他の共和国と同様に、共産主義からの移行を共産党エリートが始動した。しかし、ウクライナでは、エリート内部やオリガークとの間で、激しい権力闘争が続いた。

近代社会は、複雑な諸制度の網の目から成り立っているが、国民の信頼を失えば、こうした諸制度は本来の機能を果たせない。いったん、市民たちが成功するに箱根と賄賂が必要だと仮定すれば、その仮定は自己実現的なものになる。市場は操作され、法廷は取引の場になる。政治家は最も多くの賄賂がもらえるように自分たちを売り込むのだ。こうして、「腐敗の文化」が蔓延する。

腐敗・汚職と戦うには、市民社会の強い支持が必要だ。透明性を高め、司法の独立を強化し、市民たちが汚職にかかわった政治家を追放する。ポーランドの移行において優れた点は、市民社会が直接に深くかかわったことである。彼らは西側の専門家たちがポーランド政府に求めた「ショック療法」を拒んだ。

ウクライナの腐敗撲滅にも希望はある。2004-2005年のオレンジ革命、2014年のマイダン革命は、若者たちが指導した。新大統領のゼレンスキーは汚職撲滅を掲げて勝利した。トランプ大統領はゼレンスキーに取引を求めるより、民主主義のモデルになるべきだ。ウクライナにも改革の可能性がある。

NYT Oct. 14, 2019

Ukraine Has Become a Vibrant Democracy. No Wonder Trump Hates It.

By Michelle Goldberg


 ジョンソンのEU離脱案

FT October 12, 2019

A Brexit deal is in the best interests of all sides

FT October 13, 2019

Light at the end of the Brexit tunnel

Wolfgang Münchau

The Guardian, Wed 16 Oct 2019

At first, I accepted Brexit. Now it’s become clear that we must not leave the EU

Martin Kettle

EUを支持するわれわれは、ボリス・ジョンソンがブリュッセルに向かう時も、なお迷っていた。

2016年の私の反応は、憂鬱であり、たとえ離脱しても、可能な限り、イギリスがヨーロッパにしがみつくべきだ、というものだった。

しかし交渉が長引くほど、離脱のアイデアと、2019年の合意の細部とは離れてしまった。意見の差が開くのは、陰謀でも何でもない。それは政治のエントロピーが働くのだ。かつて2度目の国民投票の要求は少なかったが、今ではそれが主要な問題だ。

Brexitに完璧な答えはない。ジョンソンの合意は、投票結果に従って離脱する、というのだが、そこには市民生活への配慮がない。人びとは疲れ、怒っている。

それは肉屋でポークを買ったつもりだが、中身が何かは将来にならないと分からないものだ。アイルランド国境の問題は、解決するのではなく、延期される。英連邦の分裂という危機を招く。イギリスの貿易条件は、それゆえ経済と雇用に関しても、短期・長期で悪化する。移行期におけるUKの交渉力は弱くなる。イギリスは、地理的な、地域の同盟諸国と、対立するだろう。

この3年間の教訓が学ばれるべきだ。政治家たちは人々の声を聴かず、その心をつかめなかった。Brexitによって、この国がまとまることはない。逆である。Brexitはうまくいかない。

離脱派は国民投票で勝った。しかし、それは政策ではなくイデオロギーである。政策に転換しようとすればするほど、それは分解した。事態は悪化したのだ。

楽観主義と猪突猛進はイギリスをグローバル・パワーにしない。どれほど困難でも、われわれはヨーロッパに位置するべきだ。それは恐怖作戦ではない。ヨーロッパを支持するわれわれは、この国の何が間違っているのか、その声を聞いている。

イギリスは残留を決意するべきだ。

The Guardian, Wed 16 Oct 2019

The Guardian view on the dash for a deal: Johnson’s Brexit is more dangerous than Theresa May’s

Editorial

FT October 16, 2019

‘Double Leavers’ hold the key to the Tories’ Scottish fortunes

Sebastian Payne

The Guardian, Thu 17 Oct 2019

This Brexit deal still won’t ‘get it done’ – only a referendum can do that

Polly Toynbee

The Guardian, Thu 17 Oct 2019

Boris Johnson has a deal. Now MPs must end the agony and vote it through

Simon Jenkins

再び採決が行われる。Brexitは庶民院の拷問にかかる。ボリス・ジョンソンは議会の承認を求めた。合意によってEUからの離脱は可能である。その後の関係は交渉に委ねる。

ジョンソンが保守党の党首になったことは、解決策を失わせた。彼は離脱するだけで、摩擦のない北アイルランドの境界を維持して、関税同盟が可能だという。そんなことがあるとしても、イギリスが求めるものではない。

ジョンソンは多くの間違いを犯した。21人の保守党議員を除名した。彼らがいたら、他党から支持を得て、DUPの呪縛を免れたかもしれない。関税同盟にこだわるべきでなかった。メイと同じように、ジョンソンもDUPの罠にはまった。地域の党派性は何度もイギリス政治を苦しめたが、Brexitによって、「統一されない」王国が完全に解体する。

DUPがイギリスの首相を決めるべきではない。議員たちはジョンソンの合意案を承認するべきだ。それを嫌う者は、移行期に交渉する。離脱によって政治から毒素を除去できるだろう。イギリスとヨーロッパの将来を冷静に交渉できる。この苦悩を終わらせよ。

The Guardian, Thu 17 Oct 2019

Saving the union will need imagination – and we’ve lost it

Aditya Chakrabortty

分裂する国もあれば、統一を維持する国もある。UKにとって最も重大な疑問だ。その答えが古い本の中にある。Benedict Andersonの『想像の共同体』だ。

どのように国民的アイデンティティが創られ、人びとがそれによって殺人を犯し、そのために死ぬこともあるのか。アンダーソンは分析した。国家は「想像上の政治共同体」である。比較的最近の技術で、集団的な夢想に目覚めた。毎日の生活から生じている。

いずれの国民国家も死の淵にある。生き延びるためには、その再確認が必要だ。国家建設とは、共通の利益を築き、共通の文化を創りだす、長い旅である。

イギリスというアイデアはどうなるのか? エリートたちは関心を失ってしまった。そこに残るのは、-の統合力だ。想像の敵を作る。

FT October 17, 2019

The Boris Johnson Brexit deal dissected

Robert Shrimsley

FP OCTOBER 17, 2019

Parliament Is Skeptical About Boris’s Brexit Deal

BY OWEN MATTHEWS

FT October 18, 2019

Voters deserve a final say on Boris Johnson’s Brexit deal

FT October 18, 2019

The UK must have a public vote on Boris Johnson’s Brexit deal

Martin Wolf

テリーザ・メイは間違っていた。「悪い合意」は「合意がない」よりも良いことだ。まともな人であれば、ボリス・ジョンソンの新しい合意を、狂気じみた合意なしの離脱より、好むだろう。今、なすべきことは、こうして明確な代替案を並べて、国民が選ぶ機会を与えることだ。それこそが完全な民主的手続きである。賢明な仕方で、何が非常にコストの高い結果になるか、国民が合意することも重要だ。

しかし、合意なき離脱より良いとしても、この合意は恐るべき中身の合意である。国民投票のキャンペーンでジョンソンが約束した「ケーキを持ち、しかも、ケーキを食べる」という中身とは程遠い。それは恐るべき国民的自傷行為である。


 ユーロ圏

FT October 13, 2019

Mario Draghi’s critics are misguided

Jean-Claude Trichet

VOX 14 October 2019

Rethinking fiscal policy choices in the euro area

Paul De Grauwe, Yuemei

FT October 15, 2019

ECB critics are right to worry about ultra-loose monetary policy

John Plender

FT October 16, 2019

Huge wage rises signal new phase in central Europe’s transformation

Ben Hall, Europe editor


 資本主義と不平等

FT October 14, 2019

California’s new model for fixing inequality

Rana Foroohar

NYT Oct. 14, 2019

Marc Benioff: We Need a New Capitalism

By Marc Benioff

The Guardian, Tue 15 Oct 2019

Bernie Sanders is right, it’s time to redistribute economic power

Mathew Lawrence


 FacebookLibra

FT October 14, 2019

Facebook’s hubris comes at a heavy cost for Libra

PS Oct 14, 2019

Will Libra Be Stillborn?

BARRY EICHENGREEN

Facebookが提案する「安定コイン」のLibraから、多くの想定していたスポンサーPayPal, Visa, Mastercard, Stripe, eBay, and Mercado Pagoが引き上げるようだ。Libraの潜在的な悪影響を考えれば、それは当然だろう。脱税、資金洗浄、テロ資金。プラーヴァシー保護。

Libraは、経済・金融の安定性を危険にさらす。Facebookが示した「浮動性の低い資産」でポートフォリオを保有する、という説明は不十分だ。その債券価格が下落し、金利が急騰すれば、Libraに取り付けが起きる。Libraはカレンシー・ボードのように運営され、最後の貸し手は存在しない。

Libraは、金融政策や金融規制による安定化能力を失わせる。ある国の居住者が容易にその国の通貨を離脱するからだ。アルゼンチンの、長く、不幸なドル化の歴史をみればよい。

最後に、政府は資本移動を規制することができなくなる。諸国は世界金融市場に直接さらされる。

Libraがもたらすと主張する、社会的な利益は、表面的である。すなわち、国境を越える資金移動、移民による送金、銀行口座を持たない人々への金融サービス。

Rippleはレッジャー・テクノロジーによって資金移転を迅速かつ安価にしている。SWIFTは銀行間の資金移転を実現している。M-pesaは携帯電話だけで金融サービスを提供する。

競争がないところで経済や金融サービスの問題を解決することは、Zuckerbergが決めることではなく、その国の中央銀行と規制の問題である。


 ハイブリッド戦争

FT October 14, 2019

Hybrid warfare: the new face of global competition

Scott Tait


 日本のゲーム

PS Oct 14, 2019

Tokyo’s Sustainable Games

YURIKO KOIKE

FT October 16, 2019

Why Japan could be on the brink of a historic mistake

Leo Lewis


 経済政策思想の危機

PS Oct 14, 2019

Can Synchronized Stagnation Be Stopped?

ESWAR PRASAD, ETHAN WU

FT October 16, 2019

Policymakers have a chance to boost the world economy

Martin Sandbu

FT October 16, 2019

Global economic policymakers are playing with fire

Martin Wolf

「愚かなことはするな!」 これはオバマ・ドクトリンとして知られている。オバマは前任者の不必要なイラク戦争から学んだ。しかし、多くの者は、オバマの敗北主義と観た。今も、オバマ・ドクトリンが適用されるべきだ。

共同研究the Brookings Institution and Financial Timesが「同時スタグフレーション」の現状を示している。その原因は、不確実性の高まりだ。貿易摩擦、政治不安、地政学的リスク、金融刺激策の効果についての懸念。

グローバリゼーションを抑えるような、世界貿易の低い伸び率だ。「愚かな行動」が世界経済を痛めつける。これは集団的な火遊びだ。しかも、建物の可燃性が高まっている中で。

伝統的な政策の余地は限られている。財政政策の限界が見直される。・・・愚かなことはするな!


 アルゼンチン

NYT Oct. 14, 2019

Message of Unity Is Resonating for Argentines

By Jordana Timerman

FT October 17, 2019

Argentina fiasco should prompt reflection at the IMF

Arturo Porzecanski


 イランとの対話

NYT Oct. 14, 2019

It’s Time to Talk to Iran

By William J. Burns and Jake Sullivan

イランはトランプが去るのを待つ考えだった。しかし、アメリカによる経済制裁は厳しく、甚大な損害を与えている。アメリカはイランが強い圧力で屈すると考えている。しかし、その考えは危険である。テヘランでは強硬派が増えている。

双方は、現実的な考えに従うべきだ。緊張を緩和し、交渉に入る。


 トランプ弾劾

PS Oct 15, 2019

Will Trump Be Removed from Office?

ELIZABETH DREW


 気候変動と安全保障

PS Oct 15, 2019

There Is No Security Without Sustainability

JOHN R. ALLEN


 西アフリカの通貨同盟

PS Oct 15, 2019

Can a West African Currency Union Work?

SIMPLICE A. ASONGU


 民主主義の改革

NYT Oct. 15, 2019

Post-Truth Politics Afflicts the Global South, Too

By Laura Chinchilla

NYT Oct. 15, 2019

Make Voting Mandatory in the U.S.

By Dambisa Moyo

世界中で、市民たちが民主主義に参加しているように見える。欧州議会選挙も、アメリカ中間選挙も、投票率はこれまでになく高くなった。

しかし、どちらのケースでも投票率は50%でしかない。低投票率では、政治家が多数者より少数者のために政策を決めることになる。長期的な政治的無関心が政治システムを危機に向かわせる。

問題を解決する効果的な方法は、投票を法的に強制することだ。1893年、ベルギーで、最初の強制的投票制が議会で成立した。投票者のプールが大きくなることは、市民と指導者の関係を強化する。

強制的な投票制が政治的にどのような結果をもたらすか、明確に示せない。しかし、投票する有権者の構造を変えるだろう。

もう1つの根本的な改革案は、有権者が重要な情報を知ることだ。たとえば、政府に公的な市民テストを受けさせる。もっと極端な要求は、政治過程に積極的に参加する市民の投票権にウェイトを付ける(加重する)ことだ。

深刻な長期の経済的脅威に直面し、世界最強の共和国が、変化を拒むよりも、適応することで、民主主義の再生能力を示すべきだ。

PS Oct 16, 2019

The Survival of Democracy in Central and Eastern Europe

SŁAWOMIR SIERAKOWSKI

NYT Oct. 16, 2019

How Hitler Pioneered ‘Fake News’

By Timothy Snyder

PS Oct 17, 2019

How Fact-Checking Can Win the Fight Against Misinformation

PETER CUNLIFFE-JONES , LAURA ZOMMER, NOKO MAKGATO, WILL MOY

NYT Oct. 17, 2019

Tech Companies Are Destroying Democracy and the Free Press

By Matt Stoller

広告収入は、かつてジャーナリズムの質を良くしたが、今は、不正直、低品質、でたらめな内容をもたらす。ここには2重の危機がある。第1に、オンラインの広告収入はGoogleFacebookに集中している。第2に、倫理的な破たんがある。それらが民主主義に危機を生じるだろう。

NYT Oct. 17, 2019

Can the Left Save Liberalism From Trump?

By James Traub


 イエメン内戦

FP OCTOBER 15, 2019

How to End the War in Yemen

BY APRIL LONGLEY ALLEY


 インド

PS Oct 16, 2019

India’s Modi Slowdown

SHASHI THAROOR


 中国

PS Oct 17, 2019

How China Loses Friends and Alienates People

MINXIN PEI

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The Economist October 5th 2019

Masters of the universe

Kashmir: Valve of tears

Technology and politics: Open season

Automatic investing: March of machines

Ethiopia’s Somali region: Lessons from an open-air prison

Bagehot: Richard Milhous Johnson

Free exchange: Outrageous fortune

(コメント) 「宇宙の支配者」とは? スター・ウォーズのタイトルみたいですが、これは金融市場のことです。かつてアメリカ大統領よりも強力と恐れられた。しかし、それを動かすのは人間ではない。AIなのです。マトリックスのような話です。ますます多くの取引を、AIプログラムが実行している。

他方で、米中の技術冷戦が始まる前に、主要なIT技術をオープン・ソースでプログラムする動きが強まりつつあります。中国のスパイでも、アメリカの制裁でもなく、オープン・ソースによる時代がグローバル・サプライチェーンにふさわしい。

カシミールについて、エチオピアについて、興味深く読みました。そして、ボリス・ジョンソンとリチャード・ニクソンの共通点。地代への課税と資産への課税の合理的なタイプを、資本主義の積極的な改革として受け入れる視点を紹介します。

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IPEの想像力 10/21/19

この世界には、正義がない。まじめに働く人々が、たとえば、高い技量をもつ左官や大工が、現代の技術や文明的な制度によって実現された繁栄を、ふさわしい形で享受できない。

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PSのインタビュー("The Future of the Establishment" PODCASTS Oct 22, 2019 MATTHEW GOODWIN , ELMIRA BAYRASLI)を聴いて、ポピュリズムの広まる世界を考えました。そこには、2つの問いがあります。なぜリベラリズムは消えたのか? なぜナショナリズムに向かうのか? ・・・

リベラリズムは、キャピタリズム(資本主義)と重なり、両者の一致した運動が破綻し、あるいは、その犠牲(スケープゴート)になった。

ポピュリズムは、いかなるイデオロギーや改革運動でもなく、エスタブリシュメントを批判し、既存の制度を攻撃するためのスタイルだ。保守派のナショナリズムは、このスタイルを採用して成功した。ここでも、キャピタリズムの欠陥が大きく作用した。

政治論争は非常にゆがんだ形で広まり、有権者の意識を改変し、固定した。何かの政策や、その結果に対する証拠を議論するのではなく、互いを攻撃するレトリックだけに政治が翻弄される。まさに、Brexitはポピュリズムの条件を強めている。

ナショナリズムもポピュリズムも、デモクラシーとともに古いものであり、そのことがこうした混乱を排除することをむつかしくしている。労働者、中産階級、自営業者は、ポピュリズムのレトリックに影響されやすくなった。・・・移民が多すぎる、政治は自分たちの声を聴いていない、経済システムは基本的に間違っている。

左派の経済安全保障と、右派の文化安全保障が、論争を支配する。しかし、左派は旧来の経済的主張に復帰するだけでは論争に勝てない。グローバリゼーションやAIの不安は、利益を再分配する力を奪い、文化的な衝撃を政治の焦点にした。

イギリスの保守党、アメリカの共和党は、労働者階級からの支持を得て権力を握り、そのポストを失わないために、労働者との約束を守る主張を続けている。そして、イギリスの労働党とアメリカの民主党は、左派の勢力を抱えたものの、権力を奪い返すための明確な戦略を打ち出せないまま弱体化している。

リベラリズムはどこに行ったのか? もっと複雑な多党制と連立政権の組み換えが必要だ。しかし、2大政党制の選挙マシーンは、有権者と社会勢力を分断する方向に作用してきた。本当は、保守党が消滅しつつあるのに。ファラージやトランプはそれを知っている。

ローカルなレベルで、変化を進める可能性は必ずある。各地で、不平等を逆転し、教育を改革するよう、人びとは求めている。

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金融取引にかかわる報酬(そしてAIによる利益拡大)、IPOによる創業者たちの所得(そしてWeWorkのスキャンダル)、AmazonGoogleなど、グローバル巨大企業の利潤、あるいは、雇用や納税額の少なさ、BezosZuckerberg、中国における超富裕層の急増、資産(特に、生産的に使用されていない資産)に対する課税強化・・・

個人の所得は、それが社会の富を増やすことと一致した形で、長期的に評価されねばなりません。しかも、同じ社会に生きるとは、さまざまなマイナスの負担を引き受け、公正な分配状態を維持するルールに従うことでしょう。ベーシック・インカムは、それを実現する形で普及することがふさわしいと思います。

新しい天皇が内外の代表に向けてあいさつし、この国の平和や繁栄を祝してもらうのは、特に、正義への熱意があれば、喜ばしいことでしょう。しかし、世界中から集まる王族や大統領、首相たちの、実にさまざまな、ある意味で、恐ろしいほど残酷な現実の世界を、その饗宴から切り離すことはできません。

アフガニスタンの大統領が映りました。

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