(前半から続く)
The
Guardian, Tue 8 Oct 2019
The
Irish border is a matter of life and death, not technology
Fintan O'Toole
ジョンソンは、境界問題をハイテクで解決すると言う。メルケルは、教会の住民たちと会って、壁ができことの深刻さを認めた。自分も壁の下で暮らしたからよくわかる、と。
Brexitは、専門家たちに対する不満で推進された。顔の見えない技術者たちの不十分な対応を非難した。しかし、アイルランド人は専門家に頼っている。それは歴史もアイデンティティも関係ない人々だ。
機械やシステムは、記憶も、恐怖も、希望も持たない。彼らが間違っても、その手は血に染まらない。
FP OCTOBER
8, 2019
Brexit
Means Britain Needs a Constitution
BY VERNON BOGDANOR
FT October
9, 2019
Brexit
is a journey without end for Britain
Martin Wolf
「裏切り者」や「人民の敵」と呼ぶなら,政治が憎悪を拡大する.ジョンソンとその仲間は,永く,その破壊によりイギリス国民を苦しめるだろう.
FT October
9, 2019
Boris
Johnson’s Brexit blame game is a dangerous strategy
The
Guardian, Wed 9 Oct 2019
Brexit
is a necessary crisis – it reveals Britain’s true place in the world
David Edgerton
FT October
9, 2019
Bridging
local divides could be a balm for bipolar politics
Miranda Green
The Guardian, Thu 10 Oct 2019
Johnson’s desperate for a general election, but he faces an unpleasant
surprise
Polly Toynbee
The Guardian, Thu 10 Oct 2019
We have all been cornered into a no-deal Brexit that will harm
millions
Simon Wren-Lewis
FT October 10, 2019
A leaky border on the island of Ireland suits no one
Chris Giles
● クマのプーさんを検閲する
FT October
9, 2019
Investment
protectionism is bad news for global economy
David McCormick
NYT Oct. 9, 2019
Let’s Not Take Cues From a Country That Bans Winnie the Pooh
By Nicholas
Kristof
クマのプーさんは、習近平に似ているため、批評家たちの批判で別名として使用された。中国は検閲により、ネットや映画館からクマのプーさんを追放した。それだけでなく、西側、アメリカ国内にも検閲が及んでいる。
アメリカのバスケットボール・チーム、the Houston Rocketsのジェネラル・マネージャーDaryl Moreyが、香港の民主化デモに共感する意見を示したことに、中国はヒステリックに反応した。
中国はまた、アメリカン・エアラインが台湾を中国の一部として扱うように強制し、ダライ・ラマを引用したメルセデス・ベンツが謝罪するまで嫌がらせをした。
しかし、待てよ。子供の死亡率は、ワシントンDCより、北京の方が低い。中国では、毎週1つ、新しい大学が設立されてきた。上海のすばらしい公立学校は、われわれに羞恥を覚えさせるだろう。
中国の姿勢には反対しなければならないものが多くある。たとえば、100万人のイスラム教徒を収容所に閉じ込めている。しかし、中国が貧困を抜け出す人々を、いかなる国の歴史にもない規模で、助けたことを称賛する。
すくなくとも、中国に対する対立した見方は、常に、続くだろう。
インターネット、信仰、香港の抗議デモ、クマのプーさん、習は不安を感じている。情報が反響効果により、彼のプロパガンダを脅かすのだ。
われわれはこの点で、3つのレバレッジを使って改善を求めるべきだ。・・・1.中国が外国のニュースやソーシャルメディアをブロックしている問題を、公式に協議する。2.アメリカは、中国の市民が検閲システムを乗り越える技術を、開発・普及させる。3.アメリカの諜報機関は、習近平の家族が収賄によって資産を築いていることについて、情報収集する。
NYT Oct. 9, 2019
Dealing With China Isn’t Worth the Moral Cost
By Farhad Manjoo
● 米軍のシリア撤退
FT October 7, 2019
Allies
confront a less reliable America
NYT Oct.
7, 2019
Does
Donald Trump Know What His Syria Policy Is?
By The Editorial Board
FT October
8, 2019
Donald
Trump’s troop withdrawal leaves Syria a ticking time bomb
David Gardner
トランプ自身の失策の多くと比べても、アメリカ軍をシリアから撤退させて、北東部を支配するクルド人部隊にトルコが攻撃することに青信号を示した決定は、あからさまなものである。
エルドアンとの電話で、トランプは、トルコの大統領が国境沿いに軍事的な「緩衝地帯」を作る計画を進めるように、と語った。
この決定は、中東からアメリカ軍が引き上げることで生じる真空地帯へ、ロシア、イラン、トルコが一気に踏み込むことを意味する。そしてまた、アメリカ軍とクルド人部隊によってISIS掃討に成功したユーフラテス渓谷が、再び戦火に包まれることを、そして、クルド人部隊や彼らの組織がシリアのアサド、トルコのエルドアンの手によって抹殺されることを意味する。
FT October
8, 2019
Donald
Trump risks opening a new front in Syria
NYT Oct.
8, 2019
Did Trump
Just Backstab Our Kurdish Allies for Turkey?
By Spencer Bokat-Lindell
NYT Oct.
8, 2019
Trump
and Tehran Shake Up the Middle East
By Thomas L. Friedman
FT October 10, 2019
America’s retreat will outlast Donald Trump
Philip Stephens
FT October 10, 2019
Trump’s betrayal of Kurds hastens waning of US power
Edward Luce
トランプがクルド人との同盟関係を切り捨てたことは,かつてニクソンが,最近ではオバマが,やったことと同じである.大国間の戦略の変化によって,小国は犠牲になる.アメリカとの同盟関係を信用する者はいない.たとえ,アジアでも.
FP OCTOBER 10, 2019
An Angry Congress Prepares to Rebuke Trump Over Kurds
BY ELIAS GROLL,
ROBBIE GRAMER
● アフガニスタン大統領選挙
SPIEGEL
ONLINE 10/07/2019
Afghan
President Ghani
'The
Taliban Miscalculated Massively on All Fronts'
Interview Conducted By Matthias Gebauer
● 米中は貿易戦争
PS Oct
7, 2019
Can the
US and China Make a Deal?
KEVIN RUDD
米中は貿易戦争に終止符を打つべきだ。どちらも貿易戦争によって傷ついている。その差は両国の経済回復力の強さであるが、どちらも問題を抱えている。今年中に合意ができなければ、事態は非常に深刻になるだろう。
NYT Oct.
7, 2019
What
Trump’s Aggressive Trade Tactics Have Achieved
By Veronique de Rugy
FP OCTOBER
9, 2019
The
Trade War Is Only Getting Worse
BY KEITH JOHNSON
FT October 10, 2019
Huawei’s dominance in 5G should be challenged
● 世界課税システム
PS Oct 7,
2019
No More
Half-Measures on Corporate Taxes
JOSEPH E. STIGLITZ
グローバリゼーションは。近年、悪評に苦しむが、それは当然である。しかし、トランプのような間違った非難は別だ。下手な取引のせいでアメリカは不利益を強いられた、と言うが、グローバリゼーションのルールを決めたのは、そもそもアメリカだ。
グローバリゼーションで特にあくどい点は、企業の課税回避である。多国籍企業は、容易に、本社を、税金の安い国へ移すことができる。現実のビジネスを何も変えずに、単なる書類の操作で税金を回避する。
スターバックスやアップルがそうだ。Gabriel
Zucmanらの推定では、アメリカの多国籍企業は海外で得た利潤の40%をタックス・ヘイブンに移している。それは、国家の財政と、国民の「公平さ」に対する感覚を損なう。
「移転価格」を「アームス・レングス」な市場競争価格で決める、というルールは、ほとんど効果がない。なぜなら、エンジンのない自動車や、ボタンのないシャツについて、市場価格が存在しないから。また、サービスの取引もそうだ。
アメリカ国内でも州間による税率の差を企業が利用しそうであるが、それができないような課税システムがある。企業の利潤を、雇用、売り上げ、資産、などを基準に分割して、各州が課税する。グローバルなレベルでもそうするべきだ。
問題の深刻さを考えるなら、最低税率を設けるべきだろう。気候変動、不平等、景気減速、インフラの老朽化、など、政府には多くの課題があり、多国籍企業はその役割を果たさねばならない。
● 日本
FT October
8, 2019
Spotlight
thrown on Japan Inc’s stakeholder-focused model
Kana Inagaki in Tokyo
● 新しい民主主義を
NYT Oct.
8, 2019
We Need
a Fourth Branch of Government
By George A. Papandreou
古代、政治は、自分たちの運命を支配することができる、という信念から生まれた。そして民主主義は、公共的な意思決定に、人びとが発言することを保証する、継続的な、革新の試みとなった。
現在、われわれはパラドクスを生きている。人類は莫大な富と、グローバルな共通の善に向けた解決策に役立つ技術を手に入れた。しかし、膨大な人びとが無力な状態で、困窮し、安全さえも失って苦しんでいる。協力すれば、世界を作り変えられる。しかし、残念なことに、その力は少数者の手に握られている。
富とパワーに大きな格差を生じている。メディアと政治は、資金を過度に集中している。民主的な制度は占領され、人びとの意志は譲歩させられた。個人も、コミュニティも、名も知らぬ諸勢力の膨張に飲み込まれたと感じている。
2009-2011年、私はギリシャ首相として、大幅な政府赤字と債務を削減するため、税の徴収を改善しようとした。しかし投資家たちは、グローバルな金融システムを利用して、資本を国境の外へ移し、ギリシャの資金を枯渇させた。
グローバル化した企業の恣意的パワーは、民主主義という基本的概念、法の前の平等、を破壊する。
グローバル・パワーの猛威は、Brexit活動家が唱えたようなナショナリストのスローガン“take back control”を広めてしまった。しかし、Joseph Stiglitzが新著で書いたように、真の対立は違う。「一方には労働者と消費者、発展途上国と開発国の両方にいる99%の人々。他方に、企業の利益である。」 新しいグローバル・エコノミーの運営には、新しい制度が必要だ。
反動政治、権威主義的指導者を選べば、彼らは壁を築き、孤立主義と人種差別を広める。パワーに飢えたデマゴーグがわれわれを分断し、市民社会は衰弱し、最悪の解決策をもたらす。
偽の約束ではなく、われわれは民主的な制度を再建し、深化させることで、人びとにパワーを与え、グローバル資本主義を手なずけ、不平等を一掃して、国際的な技術管理社会の支配を確立する。
それが政府の(3権に加えた)第4部である。ここにはすべての市民が、企業重役、議会代議士、司法幹部たちと一緒に、参加する。すべての法律や政策は、まず、ここでe-デモクラシーの審議を経る。透明性の確保されたアルゴリズムが、その議論や情報交換に、AIを駆使して貢献する。インターネット時代のアゴラが、市民の立場を公平に集約し、多様な、真のアイデンティティの下で、合意形成を促す。
専門家たちのフォーラムが情報を与えるだろう。公共テレビ・ニュース・ラジオ・ポッドキャストが意見交換の質を改善する。学校が参加を促す。James
Fishkinが唱えたような、いわゆる工夫された投票制で意思決定を改善する。
政府の第4部は、ローカルな社会で、市民たちがコアとなる。学校教育は全面的に改革され、エスニック、人種、社会経済的格差を乗り越えるために、教室はグローバル市民を創りだす。公共の、地球規模の善をもたらす、民主的文化において、新しいパワーが乱用や迫害ではなく、治癒のために行使される。
NYT Oct.
8, 2019
Democracy’s
Precarious Position
By Serge Schmemann
NYT Oct.
8, 2019
As
Nationalism Rises, Europe Dies
By Robert Menasse
PS Oct
9, 2019
Democracy
on a Knife-Edge
DANI RODRIK
Daron Acemoglu and James Robinsonによれば、自由と繁栄とのバランスは、国家の抑圧と、無法・暴力との間で、非常にむつかしい細い路を進むように難しいものだ。国家が社会を抑圧しすぎると、それは専制国家となり、社会に対して国家が弱すぎると、それはアナーキーとなる。
バランスのカギは、彼らの言う「内包的制度」である。所有権や法の支配が全ての(もしくは、ほとんどの)市民に確立されることで、社会は少数のエリート集団に支配されない。
中国では、強い国家が250年間も社会を圧倒してきたが、経済成長を経ても、そのバランスを取る様子はない。彼らは、中国が円滑にバランスを回復する見込みはなく、政治改革も、高成長も、続かないだろう、とみる。
他方でアメリカは、「内包的制度」の見本であったが、今や富裕層による支配が広まっている。代表制の政治制度が、デマゴーグたちによる攻撃にさらされて、大きく動揺しつつある。
市民社会が「リヴァイアサン」に対抗する力は、社会の分断状態によって変化する。民主主義は、典型的には、エリートの権力に対抗する民衆のグループが登場して、あるいは、エリートが分裂して誕生した。19世紀、20世紀の工業化、世界大戦、脱植民地化が、そのような民衆の動員につながった。
支配エリートたちは、こうした反対派の要求を取り入れて、政治的連携を拡大した。所有による制限を撤廃し、(通常は)すべての男性を政治に参加させた。それと交換に、新しく連携した政治集団は、所有者層から富を奪う力を制限した。要するに、投票権を、所有権(の承認)との交換で得たのだ。
しかし、リベラル・デモクラシーはそれだけでなく、少数者を保護する権利(市民権とよぶもの)を要求する。民主主義を生んだ政治的妥協は、交渉のテーブルから少数者を排除した。彼らは、エリートのような富も、多数派の支配集団のように数も、持たない。民主主義という政治的解決策は、こうした貧しい中身の民主主義である。
リベラル・デモクラシーの脆弱さを正しく評価して、その動揺に対応しなければならない。
● ポーランドの選挙
FT October
9, 2019
Poland
election: the unfinished counter-revolution
James Shotter and Agata Majos in Wlodawa
日曜日、ポーランド人は投票所に行って、激しく対立する党派のどちらの側が良い政治家であるか、1989年以来、最も重要な選挙結果を決める。経済状態が良好であることは、与党「法と正義」の切り札になる。
過去30年は、ポーランドの社会、政治、経済に関する目まぐるしい移行期であった。ソ連の隷属国家を、失敗した中央計画経済とともに、独立した民主主義国家に変え、高い成長を遂げた。1999年委NATO、2004年にEUへ加盟し、ポーランドは西側の同盟に政治・経済統合することが確実と思われた。
過去4年間はそうではなかった。2015年に保守派のナショナリスト、「法と正義(PiS)」Law and Justiceが政権に就き、EU統合やリベラルな社会的価値に反対した。チェック・アンド・バランスや、法の改革で、EUの考えと対立した。「法と正義」の政府とは、多くの者にとって、過分な福祉給付による日常生活の改善であった。あるいは、敬虔なカトリック信者の保守的価値観であった。
その勝利のタイミングは、何より、意外であった。その後、英米でポピュリズムが注目された条件と違い、ポーランドは経済停滞ではなく、歴史的な長期成長を実現していた。
1989年に資本主義を目指したポーランドでは、Leszek
Balcerowiczが画期的な改革を行った。「ショック療法」とよばれた。ポーランド人は今やギリシャ人より豊かで、ポルトガル人に近づいている。2018年の成長率は5%であり、開発諸国の中で最も高い成長率だ。
Balcerowiczの改革はマクロ経済を改善したが、その荒々しい移行過程で、多くの敗者が生まれた。国有農場の閉鎖で数百万人が失業し、国有企業は西側との競争によって潰れた。ポーランド人は豊かになったが、不平等も拡大した。
相対的な地位の変化、グローバリゼーション、技術進歩による変化が、人びとの不満を強めた。特に、農村や貧しい東部では、ポーランドの好景気から何も利益を受けていない、と人々は感じた。2015年、「法と正義」は、政権を構成するCivic Platformに対抗して、大幅な福祉の拡大を政策の中心に据えた。それは「500+」とよばれる児童福祉手当であった。2人目以降の子供に対して、毎月500ズロチが支給され、その額は大家族の場合、所得に等しい規模であった。
エコノミストたちは財源を疑ったが、好景気とVAT脱税をふさいで、これまで維持されてきた。今年の選挙公約では、それをすべての子供に拡大する。
政権は、それが「現金の再分配」ではなく、「威信の再分配」である、という。無視されてきた人々に誇りを取り戻すものだ。人びとは、EU統合において、自分たちの伝統やアイデンティティが、輸入された諸価値によって消去されると感じていた、と与党のオンライン・ニュース編集者は言う。「長年、人びとは西側の人びとのようにふるまうよう努めた。」「しかし、ますます多くの人が、われわれはポーランド人だ。このままでよい、と思うようになった。」
「法と正義」は、LDBTの権利やイスラム教徒の難民を、伝統的な家族の価値観違反する、外国の脅威、とみなして攻撃した。
与党のスキャンダルが多くあっても、野党勢力は分裂し、弱かったために、政治的なバランスを変えることができなかった。国営メディアは与党とその政策を称賛し、野党を攻撃する。教会からの支援もある。
「中央政府が、誕生から引退生活まで面倒を見る。・・・しかし又。国家はあなたがどのように生きるか、だれと生きるか、理想の家族の姿まで管理する。」
FP OCTOBER
9, 2019
Why Poland’s
Populists Keep Winning
BY SLAWOMIR SIERAKOWSKI
都市と農村との対立で、ポピュリズムの興隆を説明することは、そのあいまいな領域を軽視するものだ。ポーランドのケースは、周辺農村の経済的崩壊によって説明できない。その背後には、経済より文化資本、保守的態度、諸制度への不信、があった。
改革派による経済成長、インフラ整備、年金制度の改善にもかかわらず、PiSのスローガンは「ポーランドが崩壊する」であった。そして彼らは勝利した。
それは都市部では愚かな主張だったが、農村部では所得が低く、財政移転も少なかった。ポーランド政治に新しい要素は、諸政党の病的な行動様式だった。有権者たちはすべての政党に対して冷笑的だった。
老人と若者で、PiSに対する評価は異なる。若者は、その政権を道具としてみた。彼らは文化的にCivic
Platformに近かったが、いくら否定しても、Civic
Platformは社会福祉を削減する、と疑った。有権者たちは、PiSが議会の多数を支配することを好まなかった。
3つのシナリオを考える。1.PiSが多数支配を固め、ハンガリーやトルコのようになる。2.スロバキアのように、左派ポピュリズムが台頭し、新しい福祉国家モデルに向かう。3.バヴァリアのように、保守派の福祉国家体制に向かう。
● 韓国の大統領弾劾
FP OCTOBER 10, 2019
How to Impeach a President (in Korea)
BY S. NATHAN
PARK
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The Economist September
28th 2019
The promise and the perils of impeachment
Twaddledee: The reckoning
The future of the office: Work in progress
Impeachment: telephone justice
Immigration to South Korea: Peninsular draw
Poverty in America: Poor America
Ukraine: Hope and fear
Corporate tax: In the dock
Free exchange: Repo uh oh
(コメント) 英米の政治は,にわかに危機の水準を引き上げたように見えた.ジョンソンは,最高裁判所から違法と断言され,トランプも弾劾裁判を始める審査が始まったからだ.その結果,政治の混乱がやっと終わるのだ,とは,だれも思っていない.記事は,Brexitを政治に広まるウィルスと見なしている.
工場労働者だけでなく,事務労働者の職場や組織も変わるだろう.ソフトバンクの巨額投資は失敗したが,労働の現場がどうなるのか,社会の未来が変貌する瞬間が見えてくる.他方,韓国の移民労働者,アメリカの貧困人口に,この世界の裂け目,もしくは,曙光を見ることもできる.
企業はグローバルに課税を回避し,金融市場は最後の貸手による救済によっても,その崩壊をくい止められない.まだ,私たちは空中を自由に飛べるわけではないようだ.
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IPEの想像力 10/14/19
民主主義とは何か? ・・・朝のゼミに集まった学生たちに、考えてほしいと思いました。
大学の教職員組合と理事会の話、学生の自治会がなくなった話をしました。・・・
参院選の翌日にテレビは「吉本興業社長記者会見」ばかりを中継した、社会の脱政治化、民主主義による権力の批判と制御を眠らせる、国民意識の「全体主義」化、そういった言葉が並ぶ、集会を呼びかける文句を黒板に書いて。
ダールによれば、それは集団における意思決定に関する1つの規準である。
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TVドラマで人気者になった喜劇役者Volodymyr Zelenskyが,ウクライナ大統領選挙に勝利した,というニュースに,ポピュリズムの末路を憂慮したのは最近のことでした.ゼレンスキーは、有権者に多くの期待を抱かせたことで,今は政権として応じる必要があるのです.
特に,ウクライナの東部を占拠しているロシアと,交渉によって,停戦・和平の条件を見いだす必要があります.すでに1万3000人の死者,150万人の難民が出ているということです.和平のためには,ロシアに劣らず腐敗したウクライナ政府・経済について、改革を進め,国民や西側の支持を固めなければなりません.
「ウクライナ:希望と不安」というThe Economistの記事に,こんな記述があります.
・・・この戦争で,プーチンは,ウクライナのナショナリストによる軍事政権からロシア人を守る,と主張した.ウクライナの前大統領も,戦争を選挙に利用した.しかし、ロシア語圏出身のユダヤ人であるゼレンスキーが大統領になって,戦争の構図が変化した.それは,キエフのファシストたちを排除する,というクレムリンの説明に合わない.ゼレンスキーだけでなく,プーチンも国民の不満が高まっていることを心配する.戦争より,年金問題,経済停滞が深刻だ.
トランプもマクロンも、異なる理由で,ロシアとの関係正常化をG7で求めた.トランプにとって,ウクライナ問題はロシアとの関係改善を邪魔している.マクロンは,ヨーロッパの新しい安全保障アーキテクチャを構想するとき,ロシアを排除できない,と主張する.
合意では,プーチンが占拠した土地,ドンバスに、ウクライナ憲法で特別な地位を保障するよう求めた.(カシミールを思い出すかもしれない.) モスクワはこの土地に影響力を残し,キエフに対して圧力をかける.他方,ウクライナはドンバスの地方選挙と大幅な自治の可能性を認める.ただし,選挙は自由で,公正であること.そのために,ロシアはドンバスから軍備を撤収し,住民が軍事的な脅迫から解放される必要がある.ドンバスから逃れた人々にも投票の権利が認められねばならない.また,ロシアとの国境は、ウクライナが管理する.
この合意が実行されるには,ウクライナと西側のロシアに対する十分な政治的・軍事的圧力が要るだろう。ゼレンスキーは、ウクライナ国内に銀行処理問題を抱えている。特に、ゼレンスキーのTVドラマを放映し、選挙に資金とスタッフを与えた大富豪Igor
Kolomoiskyは、ロンドンに逃れている。彼の銀行は、巨大なネズミ講式の資金集めで55億ドルを略奪した、と告発されている。・・・
同じように、シリアの和平協議で、アサドを支援した主要3か国、ロシア、イラン、トルコが取引するのは、アメリカが軍を引き上げた後の、安全保障の枠組みです。そのエルドアンが、シリア北部に侵攻してクルド人の支配地域を制圧することに、トランプは電話で合意を与え、独仏政府は反対しました。それに対し、エルドアンは、シリア難民300万人をヨーロッパに送るぞ、と脅したのです。
サウジアラビアの石油施設が大規模に破壊されてから、中東の秩序は流動化し、アメリカもEUも、地域の安全保障を考え直す必要が明らかになっています。軍事的な均衡が成立することで、厳しい限界の中でも、クルド人や小国の生きる余地が生まれます。
多くの死者と難民を出しながら、このようにしか国際秩序を改変できないのは、彼らだけの失敗ではありません。
私たちは、権力者による弾圧や拘束、死と向き合うことがなければ、民主主義を考えることはないのだ、と思いました。
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