IPEの果樹園2019
今週のReview
10/14-19
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ロシアのプロパガンダ ・・・香港への懲罰 ・・・マイナス金利 ・・・スウェーデンの少女と学校ストライキ ・・・ゼレンスキーとプーチン ・・・ジョンソンとアイルランド ・・・クマのプーさんを検閲する ・・・米軍のシリア撤退 ・・・世界課税システム ・・・新しい民主主義を ・・・ポーランドの選挙 ・・・
[長いReview]
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主要な出典 FP: Foreign Policy,
FT: Financial Times, Foreign Policy, The Guardian, NYT: New York
Times, PS: Project Syndicate, SPIEGEL, VOX: VoxEU.org, Yale Globalそして、The Economist (London)
[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.]
● 米中関係
FP OCTOBER
2, 2019
THE
UNTOLD STORY OF HOW GEORGE W. BUSH LOST CHINA
BY PAUL BLUSTEIN
2006年、財務長官になるまでに、ポールソンHenry Paulsonはおよそ70回も中国を訪問していた。ポールソンは、中国の権力の聖域において、よく知られた存在になった。彼は、中国の国有企業が株式を売るときに、ゴールドマンサックスを代表して取引する人物であった。
財務省のポストについてホワイトハウスに呼ばれたとき、ポールソンはブッシュ政権の対中国政策を指揮することを認められた。
● 労働党とBrexit
The
Guardian, Fri 4 Oct 2019
For
those who want to stop no deal, Jeremy Corbyn is the only hope
Gary Younge
2016年、キャメロンDavid Cameronは、愛国的に、コービンは辞任すべきだ、と要求した。「コービンが首相になれば、(選挙に勝てるから)保守党にとって利益になるだろうが、イギリスの国益に反する。」
さらに奇妙なことだが、多くの労働党議員たちがそれに同意した。
今でも、政治やメディアの主流派は、コービンが労働党党首に選ばれたことを理解できない。しかし、コービンは2度の議員たちの反抗に対して勝利した。
コービンが労働党の指導者である。もし合意なき離脱をジョンソンが実行するのを阻むとしたら、コービンが首相となるしかない。その権限を彼は持っている。
自由民主党のスコットランドのスポークスマンは、「誰か他の者が労働党内で登場するだろう。」と述べた。それは間違いだ。労働党の党首はコービンである。そしれ、労働党大会は、彼を支える人びとの情熱を示した。
The
Guardian, Sun 6 Oct 2019
There is
only one route out of the Brexit maze and Jeremy Corbyn must lead the way
Will Hutton
● ロシアのプロパガンダ
The Guardian,
Fri 4 Oct 2019
Trump is
his own biggest enemy in the impeachment inquiry
Richard Wolffe
NYT Oct.
4, 2019
In the
Land of Self-Defeat
By Monica Potts
NYT Oct.
4, 2019
Free
Speech Is Killing Us
By Andrew Marantz
NYT Oct.
5, 2019
Rudy
Giuliani Welcomes You To Eastern Europe
By Peter Pomerantsev
ロシアのプロパガンダの多くが伝えるのは、ロシアを進歩の見本とするようなメッセージではない。そうではなく、西側の政治もプーチンの政治と同じように腐敗している、というものだ。われわれには汚職があるけれど、西側もそうだ。われわれの民主主義は操作されているが、彼らの民主主義のそうだ。そう主張する。
ドナルド・トランプ大統領がウクライナと取引したことに絡むスキャンダルは、クレムリンが神様からもらった贈り物だ。アメリカ大統領候補の息子が、父親の名声を利用して、ウクライナのガス会社の重役になり、月に5万ドルの報酬を得ていた,と疑われている。アメリカ大統領がギャングのように,敵を倒す情報を求めているのだ.ロシアとウクライナの汚職にまみれた世界とアメリカ政治は一つの織物のようになって,トランプ政権がソ連崩壊後の略奪政治教本に従っている,という。クレムリンでもこれ以上に描けないほどだ.
プーチン時代の初期に,メディアを操作した目的は,でっち上げた真実を広めることではなかった.むしろ,疑いや混乱の種をまいたのだ.こ陰謀が無限に絡まる世界において,自分がいくらうまくやろう,何かを変えようとしても無駄である,と思わせた.それは,理想化された共産主義体制のイデオロギーが粉砕された後の世界に代わる,何も信じることができない陰謀論の世界である.
プーチンは,この世界が法にも事実にも縛られないことを,よく理解していた.国際テレビに出たロシアの大統領は,クリミアの併合が進む中で,にやりと笑って答えた.クリミア半島にロシア兵はいない.住民がロシア兵の服を着たのだろう,と.
ソ連のプロパガンダは,嘘を真実に見せようとした.今,クレムリンは,エボラやジカ熱が流行したのはアメリカの陰謀だ,とネット上で示す.それを信じるとは思っていない.彼らの目的は混乱させることだ.
プーチンの2000年の大統領選挙で上級戦略官であったGleb Pavlovskyは,共産主義も民主的資本主義も,ともに崩壊した世界を描いた.そこでは旧来の社会的役割や政治カテゴリーが無意味になった.勝つためには,互いに怨嗟を抱く,異なる利益集団を多く集めねばならなかった.彼らは共通して1990年代を敗北と感じており,「多数派」や「人民」を構成するという曖昧な感覚で団結した.数十年たって,同様に,トランプの選挙運動は,「取り残された」と感じる異なる利益集団を,「エスタブリッシュメント」に対する曖昧な反感で団結させた.
プーチンは,巧妙に,エリートたちの腐敗を一掃する,と称して,旧オリガークたちを追放し,自分の腐敗したエリートに入れ替えたのだ.
「ソ連は間違いなく敗北した.しかしその後,現れたのは,ほかに選択肢のない,西側の奇妙なユートピアであった.それを管理した経済官僚たちは,間違いを犯さないはずだった.しかし,崩壊したのだ.」
未来に向けたイデオロギーがなければ,進歩はない.一貫した未来のビジョンはなく,その代わりに,ノスタルジア,陰謀論,が広がる.希望はなく,誰もが自分と同じように腐敗している.
われわれは皆,ソ連後の世界に生きている.
NYT Oct.
6, 2019
Why
America Needs Whistle-Blowers
By Allison Stanger
SPIEGEL
ONLINE 10/09/2019
Time To
Act
Trump's
Impeachment Inquiry Is Imperative for the World
By Roland Nelles in Washington
NYT Oct. 10, 2019
Hold Trump Accountable
By Terri Sewell
NYT Oct. 10, 2019
The House Can Play Hardball, Too. It Can Arrest Giuliani.
By Josh Chafetz
● 香港への懲罰
PS Oct
4, 2019
China’s
Corrupt Meritocracy
YUEN YUEN ANG
習近平主席が汚職撲滅のキャンペーンを2012年に始めてから、150万人の官僚が処罰された。それには共産党の若手指導者たち、特に、南京と揚州の市長であったJi
Jianyeも含まれる。失脚後は、汚職のスキャンダルしか記憶されていないが、揚州では今も、1949年以来、最も優れた市長として知られている。
中国の政治システムには対立する2つの見方がある。1つは、中国式のメリトクラシーと観る者。選挙ではない、トップ・ダウンで「能力と美徳」を持つ官僚がトップに登る。もう1つの見方は、Minxin PeiやGordon
G. Changのように共産党は腐敗しており、すぐに崩壊する、と観る者だ。
しかし、どちらの見方も正しくない。腐敗と有能さとは一致しないはずだが、中国では、これら2つが共存するどころか、強め合っている。
FT October
4, 2019
Hong
Kong protesters see shot teenager as a symbol of defiance
Joe Leahy, Nicolle Liu and Alice Woodhouse
in Hong Kong
FT October
5, 2019
China
and Hong Kong: the ultimate test of authoritarian rule
James Kynge in Hong Kong
北京の軍事パレードと、香港の民主化デモ。中国は全く異なる2つの顔を示した。
一方では、中国が示す国家資本主義モデルは、西側に対抗して、世界に広まるものだ。他方では、特に西側や近隣諸国で、中国のビジョンや影響力に反対し、バランスを取ることを求めている。
選挙のない中国で、政府の支持率はわからないが、軍事パレードや中国人の自信が目立つのは確かだ。高い成長率、7億7000万人が貧困を脱出し、寿命は、1949年の35歳から、現在は75歳にまで伸びた。
モルガンスタンレーのグローバル戦略家、Ruchir
Sharmaによれば、中国は意図的に高い成長を体制の宣伝に用いてきた。他の多くの権威主義体制が同じように高い成長を示した。しかし、長期的に見れば、政策の逆転、指導者の交代で、成長が終わった。
他方、民主主義体制は、成長が減速するけれど、頼りになる成長を維持し、安定化をもたらす。その理由は、1人当たり平均所得が1万ドルを超える、巨大で裕福な諸国が民主主義となるからだ。中国はその水準に近付いているが、このまま専制支配体制を維持する、最初のケースである。
政府の報告は、中国の広大な領土と複雑さにより、中央集権的な、強固な指導力が必要だ、という。それなしには、分裂や混乱を招き、それは国境を越えて広がる、と。
しかし、香港の抗議デモは、北京をナチズムにたとえ、本土の人びとを「かごの鳥」とよぶ。同様に、台湾の選挙でも、北京の攻撃的な主張は嫌われている。アジア諸国も同じである。
アメリカは中国との関係を見直し始めた。そして、中国の70周年が成長を誇りながら、まったく触れないことは、それが西側の関与政策によって実現した、ということだ。
毛沢東をまねた指導者の強い、非妥協的な姿勢は、重要な中身を見失っている。
FT October
6, 2019
Beijing
will have its revenge on Hong Kong
Jamil Anderlini
北京は復讐のときを待っている。
平和的なデモと暴力的な抗議が続く中で、警察と政府は事態を掌握することに苦労している。中国政府の姿勢は、おおむね、和解を呼びかけるものだ。しかし、デモが鎮静化して、日常が戻れば、北京はその清算をするだろう。香港が再び「アジアの世界都市」に戻ることはない。
デモ隊のニヒリスティックな姿勢は印象的である。
支配する側の共産党は、2014年の雨傘革命から教訓を学んだ。香港中心部を79日間占拠した運動にもかかわらず、普通選挙の実施は無視され、北京は香港の自由と権利を侵食し始めた。それらは中華人民共和国のどこでも認められていないものだった。
雨傘革命の指導者たちは起訴され、後に、もっと重い罪に処せられて、投獄された。間違った政治的見解を持つ議員は立法会から追放された。独立派の政党は禁止され、その政党の創設者と議論して記事を書いたFTの編集者も香港を追放された。
北京は、香港と本土との経済統合を加速した。物質的な豊かさが反政府的な都市の雰囲気を変えると考えたからだ。しかし、それは結局、1989年の天安門事件以来、最悪の反乱となった。
北京が導く結論は、このますます全体主義的になる権威主義体制にとって、唯一のものだ。・・・反対派に対してソフトに応じ過ぎた。適当な時が来れば、香港を無慈悲に懲罰しなければならない。
共産党の幹部は、香港を貯水槽とみなす。必要なことは、悪い「魚」を取り除き、良い「魚」に代えることだ。彼らは国際金融センターを維持することは望んだ。しかし、香港だけが持つ自由や権利は急速に奪った。もし投票権について習近平主席が妥協すれば、深圳や上海も求めるのではないか? もし厳格に処罰しなければ、他の地域の反政府派はそれを称賛するより、北京の弱さを見るだろう。
香港人たちはそれを本能的に知っている。だから彼らは日常生活に静かに戻ることはないだろう。双方が後ろに引かないなら、暴力のエスカレートとともに、人民解放軍が香港に入る可能性は日々高まってくる。警察幹部は、広東語を話す地元警察官の4分の1ほどが、任務のない日は、平和的な抗議デモに参加する、と言った。しかし、北京語を話す軍が北部から来れば、多くの警察官は反政府派に合流するだろう。
このシナリオにより、北京は香港を処罰する時期を自由に選ぶことができない。しかし、報復は来る。
NYT Oct.
7, 2019
Hong
Kong’s Mask Ban Reveals Carrie Lam’s True Face
By Alan Leong Kah-kit
● マイナス金利
FT October
4, 2019
Negative
rates are tarnishing central bankers’ halos
Merryn Somerset Webb
前の世界金融危機はだれが引き起こしたのか? まず挙げられるのは、「銀行」だ。そして、だれであれ、サブプライム・モーゲージやリスクに賭けた者たちだ。
専門家でなければ、金融規制や中央銀行の金利は責めない。この10年間、彼らは世界経済の救済者を演じてきた。政治が財政刺激策を取らないので、中央銀行が何でもやって、世界経済に低利融資をまき散らした。ECBのドラギはユーロを救った、と。
しかし、彼らのやった量的緩和QEは、資産価格を人為的に引き上げる分配政策でもあった。金融政策と財政政策とは混じり合う。さらに、マイナス金利だ。
もはや問題を生じていることは明らかだ。スウェーデン、スイス、その後はECBが金利をマイナスにした。それは銀行を苦しめ、それゆえ経済を苦しめている。銀行の株価は顕著に下落している。預金に対して手数料を取るなら、マイナス金利は資産を一種の負債に変えることになる。富裕層の預金や企業は銀行を離れてしまう。自分の現金が減ってしまうことを知るのは衝撃だ。
マイナス金利は年金や保険会社の安定性も破壊した。そして、老後の暮らしに、もっと多くの貯蓄が必要になった、と考える。
極端な金融緩和の問題は、すぐに見えてこない。発展した社会で政府と民間の債務が累積している。しかも、その質が低下する。金融緩和が終わるときに、問題が明らかになる。しかし、中央銀行家たちは、次の不況が迫る中で、さらに緩和することを話し合っている。
日本とユーロ圏の外では、まだ金利を下げる余地がある。さまざまな形でヘリコプター・マネーの実施も検討されている。
しかし、これまでの複雑な、退屈する、金融政策の説明と違って、マイナス金利は、だれでもそれは不自然だと感じている。資本配分をゆがめ、債務の水準を高めて、次の危機を招くなら、その危険は自分におよぶ。政治から独立した良識ある人々、という考えは吹き飛ぶだろう。
逆転することも、制御することもできない実験を始めた、危険な、創造性を誇る人々。2000年代の最初の数年に、銀行家たちがそうだった。
PS Oct
4, 2019
The Crisis
of Central-Bank Governance
LUCREZIA REICHLIN
FT October
6, 2019
Can
Donald Trump force the Federal Reserve to cut rates?
Gavyn Davies
トランプ大統領はアメリカ連銀議長Jay
Powellを激しく攻撃する。アメリカ人民の敵、と言う。金融政策は、新しい時代に入るのか? もっと昔の時代に戻るのか?
PS Oct
7, 2019
The
Eurozone’s 2% Fixation
DANIEL GROS
インフレ率と経済の遊休資源との緊密な関係は、成立しなくなっている。雇用が回復しているのに、ECBは、インフレ率を2%目標に近づけるために、金融緩和を進めるべきではない。
債務の水準が高めることは、最終的に、金融危機を起こす。
FT October
8, 2019
What a decade
of monetary policy innovation has taught us
Philip Lowe, Jacqueline Loh
FT October
8, 2019
Investors
are addicted to the QE placebo
Tommy Stubbington
投資家たちは中央銀行の偽薬を信じていたが、その効果は失われつつある。ドイツが財政支出を拡大するべきだ。
FT October
9, 2019
Modern
monetary theory poses a serious threat to Gen Z
Leyla Winston
FT October
9, 2019
Fed
restarts debt purchases — just don’t call it QE
Joe Rennison
FT October
9, 2019
Restore
monetary sanity — and do the global economy a favour
Ken Fisher
FT October
10, 2019
The
downside of negative interest rates
Gillian Tett
アメリカ連銀は、金融政策が日本やヨーロッパのように、マイナス金利になる、という考え方を強く否定した。(トランプ大統領は好むだろうが。)
非伝統的な金融政策のリスクは、BISが指摘した、ストレスに対する十分なバッファーを取る民間部門のインセンティブを損なうことだけではない。心理的なものだ。
マイナス金利は、投資家に混乱したシグナルを与える。エコノミストたちの通常の前提は、中央銀行が貨幣の供給と価格を管理する、というものだ。しかし、それはゲームの半分だ。
日本を考えてみよう。1990年代、デフレが起きたが、それは金融危機による収縮が原因と考えられた。しかし、私はその時、日本にいたが、別のことに気付いた。ビジネス界の指導者たちは(そして庶民も)、金融当局が不良債権額をごまかしている、と考えていたのだ。
この不振により、投資家たちは下落がまだ続くと考えた。それがデフレの状態を悪化させたのだ。日銀の実験的な金融緩和は、マイナス金利も含めて、消費者や企業の心理に効果がなかった。彼らはむしろ、さらに疑いを深めた。極端な手段を取るのは、彼らが知らない、もっと悪いことを日銀は知っているからだ、と。
解決策はあるのか? 政治家たちが中央銀行に過剰な介入を強いることはやめる。そして、インフラ投資のような、他の経済刺激策を取る。しかし、西側民主主義の状態は、それを実施できない。
せめて、中央銀行は介入の終わりを明示し、消費者を奇妙な経済学による底なしの穴に投げ込むのをやめる。逆に、金融政策が政争の具にするのは、最低である。
FT October 10, 2019
Why dollar strength poses risks to the global economy
Mohamed
El-Erian
PS Oct 10, 2019
Our Shrinking Economic Toolkits
JAYATI GHOSH
FT October 11, 2019
Better data on modern finance reveals uncomfortable truths
Gillian Tett
● ウォレンは破壊者ではない
FT October
4, 2019
President
Warren would not destroy American business
Tom Braithwaite
マルクスがホワイトハウスに入る、と思うだろうか。ウォレンElizabeth
Warrenが民主党の大統領候補指名争いでトップに立った。ビジネス界は騒がしい。
Facebookのザッカーバーグは、彼女が「生存の脅かす」と述べた。ウォール街の銀行家たちもそうだ。
ハーヴァード大学の法律の教授から政界に入って、彼女は、シティグループが450億ドルの救済融資を受けたあと、給与を挙げるべきではないだろう、と示唆した。オバマ政権の財務相が、大恐慌の再現を防ぐために最善を尽くしたと感じていたとき、彼女は納税者の資金の使い方について批判した。
しかし、彼女を「社会主義者」と呼ぶのは間違いだ。彼女は資本主義の放棄ではなく、改革を唱えている。
● 世界中産階級
FT October
4, 2019
The last
days of the middle-class world citizen
Janan Ganesh
● スウェーデンの少女と学校ストライキ
SPIEGEL
ONLINE 10/04/2019
Maximum
Impact
Extinction
Rebellion Takes Aim at Berlin
By Dialika Neufeld
絶滅への反抗、から気候変動の活動家たちは、市民的不服従を使って、行動しない政治家を強制するため、ベルリンをシャットダウンする計画を進めている。彼らは多くを共有していないが、ハンブルグの戦前のアパートにあるキッチンに集まった。彼らが集まったのは不安があるからだ。種の絶滅。干ばつ。洪水。嵐。飢饉。何より、政治の鈍感さだ。彼らは温暖化の結果を恐れている。
PS Oct
7, 2019
Greta
Thunberg’s Moment
PETER SINGER
スウェーデンの15歳の少女、Greta Thunbergが、私のこれまで聞いた4分間のスピーチで最も強力な言葉から始めた。「これはぜんぶ間違っている。」
先月の国連環境行動サミットで発言した彼女の背後には、推定600万人の環境ストライキ週間と行進への参加者がいた。
昨年、ロンドンの「反抗声明」で始まった“Extinction
Rebellion”「絶滅からの反抗」は、市民的不服従を唱えている。市民的不服従は、最初、マハトマ・ガンディーが南アフリカで、その後はインドで始めた。アメリカでは、マーチン・ルーサー・キングJr.が、人種隔離に反対する闘争で用いた。市民的不服従は他の抵抗運動でも行使され、ベトナム反戦を推進した。
各国政府は温暖化ガスの排出削減を怠る姿勢は、イギリスによるインドの支配、アフリカ系アメリカ人に関する平等な権利の否定、あるいは、ベトナム戦争の劣るものではない。それがもたらす損害の規模は、むしろはるかに大きいだろう。
Thunbergがスウェーデン議会の前で、一人で(スウェーデン語で“School
Strike for Climate”と書いた)プラカードを持って立ったとき、だれもこの少女が数百万の若者から支持される運動を始めるとは思わなかった。それが世界の指導者たちに対する演説となった。事態が切迫し、コースを急激に転換する必要性を考えれば、こうした革新的なアイデアがもっと必要だ。
PS Oct
7, 2019
The
Climate Breakthrough
POLLY COURTICE
NYT Oct.
7, 2019
The Last
Hummingbird
By Margaret Renkl
PS Oct
8, 2019
Wanted:
A Global Green New Deal
JOSEPH E. STIGLITZ
AIに職場が奪われる.長期的な経済停滞.連銀は「グローバルな貯蓄過剰」を警告する.しかし,気候変動に対する対策には十分な投資を行わない.
われわれの生活は、すでに惑星の限界を超えてしまっている.人々が求める対策を,政治は供給できる.連邦政府も動くときだ.
PS Oct
8, 2019
Mobilizing
for a Climate Moonshot
MARIANA MAZZUCATO
PS Oct
9, 2019
The Path
to Climate Safety
JEFFREY D. SACHS
気候に関連する災害のコストは,世界で2000億ドルに達する。アメリカだけでも2014-2018年の平均で1000億ドルだ.
● ゼレンスキーとプーチン
PS Oct
4, 2019
Russia
Is a Strategist, Not a Spoiler
ANA PALACIO
ウクライナ大統領Volodymyr
Zelenskyは、2014年にロシアが分離派を支援し、掌握している2つの地区Luhansk
and Donetskで選挙を行う、という合意を支持した。その合意には、この地域に特別な自治権を認める条件が含まれている。これは、ウクライナが国内の紛争を鎮静化させるだけでなく、動揺する世界秩序にとって重要な意味を持つ。
サウジアラビアの巨大石油施設に対するイランの大胆な攻撃から、アメリカにおけるトランプ大統領の弾劾審査開始まで、先月の不穏な事態は国際秩序を震撼させた。サウジアラビアとイランは中東塩蹴る支配権を争い、国際秩序内の地位を中国は高め続けている。ヨーロッパ、ロシア、アメリカも、グローバルな役割を転換しつつある。
ロシアは、2014年にウクライナに侵攻し、クリミアを違法に併合した。プーチンは国際秩序の破壊者である、と言われる。結局、ロシアには秩序を混乱させる力、せいぜい影響圏を保持する力しかなく、グローバルな強国にはなれないのだ、と。シリア、ベネズエラ、アフリカでもそうだ。
しかし今、ロシアは優れたグローバルなパワー・ブローカーである。ウクライナで、Zelenskyは、いわゆるSteinmeier方式を受け入れた。ロシアが欧米との関係を正常化する重要な一歩である。同様にシリアでも、先月、政府、市民社会、反政府派から、国連は150人の代表を集めた委員会の新憲法合意を承認した。ロシアが主催した2018年の和平会議で推進したものだ。シリアが安定化した後も、ロシアは空軍・海軍の基地を拡大する。
他方、アメリカは、トランプが好戦的なツイートを発信するばかりで、イランに対する具体的な軍事行動は取らない。制裁の追加や、小規模の増派、サウジアラビアやアラブ首長国連邦への武器売却である。
対照的に、ロシアは中東における安定性の保証人であることを示した。慎重に犯人を決めず、すべての関係者と協力する姿勢を示した。中東諸国が求めるロシア製のドローン撃退システムを売ることも公表した。この地域におけるアメリカの役割を乗っ取るものである。これは戦略的アプローチであって、破壊者ではない。
FT October
7, 2019
The EU
needs to be a power project
Gideon Rachman
● ポピュリズムの背景
VOX 04
October 2019
Deep
recessions, large immigration waves, and the rise of populism
Guillermo de la Dehesa
● ジョンソンとアイルランド
The
Guardian, Sat 5 Oct 2019
The EU
was crucial to securing peace in Ireland. This plan puts it in peril
Tony Blair
およそ100年間も、アイルランドは独立を求めて実現した。しかし、北部では、統一派、プロテスタントの6つのカウンティがUKに残った。それはつねに不安な情勢にあった。なぜなら、北部人口の多数はカトリック、ナショナリストであり、南部はプロテスタントが少数派であったからだ。
平和を維持するうえで、南北の境界を開放しておくことは重要だった。境界周辺の家族は1日に何度も行き来して生活していた。
1973年に国民投票をしたときは、UKがEU加盟に積極的であった。アイルランドは境界を開放しておくために、単一市場に加わった。
北アイルランドではナショナリスト、共和主義者の感情が高まり、1960年代末には暴力が爆発していた。それはひどい戦争状態だった。
The Good Friday Agreementもしくはベルファスト合意は、1998年4月に交渉されたが、ヨーロッパは2つの意味で重要な役割を果たした。まず、UKとアイルランドが双方の抱く古い遺恨を退けて、ヨーロッパで協力すること。ヨーロッパとの貿易は島の経済にとって重要だった。
共通の未来は、境界線を低くした。そして、そこにおいて合意の核心部が成り立ったのだ。北アイルランドは、多数派がUKに残りたいと願う限り、UKの一部にとどまる。しかし、それと交換に、ナショナリストたちの希望を受け入れ、アイルランド統一が実現されることを認める。
境界線が開放されていなければ、この合意は成り立たない。ジョンソンの解決案は、統一派との約束を破る。その代わりに、彼らに拒否権を与えるものだ。単一市場ではなくなるが、北アイルランドとUKは関税同盟になる、という。こうしたつぎはぎは、慎重に練られた和平の構造を破壊するだろう。
また、これはイギリスBritainにとっても悪い取引だ。ジョンソンが進めるハードBrexitでは、将来も長い交渉を続けるしかない。そのたびに、閣僚たちは課税や規制に関するヨーロッパとの競争を主張する。
Brexitを解決する、たった1つの道がある。それは国民投票だ。この3年間にわたる経験、知識、政府の特殊な立場を前提に、国民に問うことである。
FT October
6, 2019
The EU
should think twice before rejecting Boris Johnson’s proposal
Wolfgang Münchau
FT October
6, 2019
Brexit,
the UK and Ireland: a dialogue of the deaf
Matthew O’Toole
FT October
7, 2019
It’s
Boris Johnson’s Brexit or Jeremy Corbyn — there is no third way
Robert Shrimsley
Brexitか、コービンか? ファラージの選択、自由民主党の選択。
(後半へ続く)