(前半から続く)

YaleGlobal, Tuesday, October 1, 2019

Could Hong Kong Become Belfast?

Mike Chinoy

通りにあふれた群衆は、基本的な政治的権利を求めている。彼らを迎えたのは、催涙弾やゴム弾を撃ち、棍棒を振り回す暴動鎮圧部隊だった。衝突事件は日常となり、奮い立つ民衆と、孤立し、反応を示さない政府とに間にある、溝を反映していた。

これは香港のことだと思うかもしれないが、50年前の北アイルランドを描いたものだ。香港の危機は、何の解決策も見えてこない。争乱はますます“the Troubles”と政府がよんだ北アイルランド紛争に似てきた。紛争は30年間続き、3000人の死者を出した。

カトリックが支配的な他の地域は1922年にアイルランド共和国としてイギリスから独立した。そのとき北部のプロテスタントたちは、主に、イギリスのアイルランド植民地化のためにやってきたスコットランド人たちの子孫であったが、自分たちの支配的地位を守るために疑似国家を作った。紛争は、その地域のマイノリティであったカソリック住民が、多数派のプロテスタントやイギリス市民と同じ、政治的権利、市民権を求めて、平和的な抗議活動として始まった。しかし、北アイルランド政府は無関心で、敵意を示し、警察による弾圧を支持した。

2019年の香港でも、抗議は平和的に始まった。北京が示した行政長官の提案した、容疑者を中国に送還する条例は、直ちに反対された。しかし、強い不安がそれを刺激した。富裕層だけに利益をもたらす途方もない不平等があり、多くの若者たちは取り残されたままだ。政治的な決定は、北京と同盟を組んだ、市民に関心がない大富豪たちによって支配されている。行政長官と立法会は普通選挙によって決める、という、1997年の香港返還で、イギリスに中国が約束したことに違反している。

北アイルランドの政府党虚構は、要求された市民権について徐々に譲歩したが、それは遅すぎた。カトリック住民の多くは、北アイルランド国家を違法なものとみなすようになった。特定の改革を求めることから、システム全体を破棄する要求に変わった。アイルランド共和国軍、IRAは、北とイギリスとの関係を破壊し、アイルランド統一を目指して、武力闘争を開始した。

北アイルランドにおいて、平和的な抗議活動の失敗と、警察の強硬策が、IRAとの闘争を招く結果になった。幸い、香港はまだ、そのような点に達していない。しかし、事態はもっと悪化するかもしれない。アムネスティ・インターナショナルは、香港警察の拘束者に対する拷問や不当な扱いを報告した。そして、独立した審査機関の要求を支持している。

NYT Oct. 1, 2019

Cheers in Beijing Can’t Drown Out the Protesters in Hong Kong

By The Editorial Board

SPIEGEL ONLINE 10/03/2019

The Price of Resistence

One Hundred Days of Protest in Hong Kong

By Bernhard Zand

FP OCTOBER 3, 2019

It Is Time for the United States to Stand Up to China in Hong Kong

BY ELIZABETH WARREN

中国共産党が中華人民共和国の建国70周年を記念し、北京で軍事パレードを行っているときも、香港では人々が権利を求めて闘っている。数か月間も、警察や国家の暴力に勇敢に立ち向かう香港の抗議デモを、世界は観ていた。彼らはわれわれが支持するにふさわしい人たちだ。

香港で起きていることは、中国がわれわれに強いる挑戦と、アメリカの現在のアプローチの限界を示している。多くの問題で、例えば、気候変動でわれわれは中国と協力する必要がある。しかしまた、基本的な利益や価値が脅かされるときには、中国に断固として対抗しなければならない。

トランプ大統領は、繰り返し、間違ったシグナルを送った。アメリカは香港に関心がない、原則の問題には触れない、貿易交渉だけがトランプの関心事だ。

香港でも、世界のどこでも、彼らはわれわれに希望を観ている。われわれは彼らが弾圧されるのを座視できない。


 保守主義の解体

PS Sep 27, 2019

The Death of Anglo-American Conservatism

HAROLD JAMES

ほとんど同時に、同じような仕方で、ドナルド・トランプ大統領とBrexitが大西洋の保守主義を破壊した。その意味は、長期の、知的な伝統を持つ、イギリスの方が深刻だ。

保守主義はラディカルな変化に反対し、新しい発展や選好に適用する必要を認めた。保守主義はプラグマティックであり、魔法の解決策を否定した。

保守主義はラディカリズムの反対物だ。しかし、Brexit派は、サッチャーの行った妥協に行き過ぎた変化を感じて、そこからの離脱を求めた。Brexitの過程が進むほど、それはますます革命のようになったのだ。

Brexit派は理解しなければならないが、近代社会を作り直す過程は、Wordのプログラムを自分で書くようなものだ。「主権を再建する」という基本的要求が、細部の無際限な問題にぶつかる。

保守主義の原理は、バークEdmund Burke1774年の主張に見られる。公共政策の決定は、あまりにも複雑で、多くのトレード・オフを含むから、情報に通じた代表たちに決定させるべきだ、と。「民衆」が決定する、という主張は、何の答にもならない。

NYT Sept. 27, 2019

Why Wall Street Loves Strongmen

By Ruchir Sharma

ウォール街は、長い間、パラレル・ワールドだった。メディアによって独裁者の批判を受ける悪人たちを、英雄としてもてなした。もし彼らの行動が経済の好調さをもたらすのであれば。最近、この分裂状態は頂点に達している。

ブラジル、エジプト、サウジアラビアの独裁者たちだ。

FP SEPTEMBER 29, 2019

Putting Our Own People First

BY CAS MUDDE

PS Oct 1, 2019

Are Europe’s Economic Prospects Brighter Than They Appear?

ANATOLE KALETSKY


 

VOX 27 September 2019

Improving social protection by reaping the gains from international migration

Michael Lokshin, Martin Ravallion


 オバマ外交

FP SEPTEMBER 28, 2019

The Women Who Shaped Obama’s Foreign Policy

BY JAMES TRAUB


 Brexitの希望

The Guardian, Sun 29 Sep 2019

The Guardian view on Boris Johnson’s Brexit plans: all humbug

Editorial

The Guardian, Mon 30 Sep 2019

Boris Johnson’s unwinnable chess match is nearing its endgame

Anand Menon and Alan Wager

The Guardian, Mon 30 Sep 2019

Brexit may feel apocalyptic – but radical new ideas are taking root

John Harris

Brexitの悪夢の中で、希望を見出す者などいるだろうか? 保守党は危険な右派のポピュリズムに結びつき、新しい投手はますます自分のキャリアしか考えずに醜悪なものを示している。選挙を行っても、多数を得られない政権が生まれるだけだろう。

選手、私はブライトンで労働党大会に参加した。そこでもBrexitは不満と分断をもたらし、しばしば反目する雰囲気だった。しかしまた、私は楽観主義の兆しを見出した。新しいことが始まる意識が、しばしば見逃されている。政治の複雑さに国民の溶解が始まった。混乱の中に、21世紀の挑戦に応える政治の動揺が起きている。

党の綱領よりも大胆な提案、グリーン・ニュー・ディール、週4日労働、ユニバーサル・ベーシック・サービス、製薬会社の国有化、私立学校の廃止、新しい国民医療制度。・・・萌芽的な左派政治が将来に向けたカギとなっている。社会と経済の不平等、技術による生活や労働の転換、すべての者に関するグリーン・アプローチ。

われわれの時代の1つの皮肉は、Brexitが、伝統的な政治の可能性にある制約を吹き飛ばしたことだ。

FT September 30, 2019

Donald Trump and Boris Johnson have weaponised the will of the people

Gideon Rachman

「必要ならどんな手段を用いても」と、イギリスの首相官邸に入ったボリス・ジョンソンは語った。同様の言葉は、2020年の再選に向けたトランプの言葉にもある。

大西洋の両岸で、法の支配は危機にある。彼らは、リベラルな民主主義を支える法律や制度を攻撃している。その支持者たちは、最高裁や弾劾手続きを、彼らの敵が人民の意志を放棄し、政治的な復讐を行っている、と信じている。

目的が手段を正当化するなら、法律など必要ない。

FT October 1, 2019

Boris Johnson’s snarling Conservatism targets a different nation

Robert Shrimsley

Brexitは、保守党が再び、小さな町の、愛国的、北部の、ブルーカラーの有権者、酷薄なグローバリストと経済的なリベラルによって失われた有権者を、取り戻す道を拓く。そして、おそらく、富と、階級と、政党政治との関係を破壊する道も。

問題は、彼らが対抗する社会集団に勝利するかどうかではない。これは、単にトランプ抜きのトランプ政治ではなく、ブレアなしのブレア主義だ。半分の国民による国家を、他の半分に代えるだけでは、1つの国民政治にならない。

The Guardian, Tue 1 Oct 2019

Centrist politics will not defeat Boris Johnson’s rightwing populism

Chantal Mouffe

SPIEGEL ONLINE 10/01/2019

Alternative Arrangements

Can Boris Johnson Secure a Last-Minute Brexit Deal?

By Markus Becker, Peter Müller and Christoph Schult

FP OCTOBER 2, 2019

Johnson Shifts His Political Calculations on Brexit

BY OWEN MATTHEWS

The Guardian, Wed 2 Oct 2019

The Guardian view on Boris Johnson’s new Brexit plan: dodging the issues

Editorial

The Guardian, Thu 3 Oct 2019

A version of Theresa May’s deal is the only way out of the Brexit nightmare

Simon Jenkins

コービンとジョンソンは合意して、1031日に、メイの合意案に従ってEUを離脱するべきだ。通商条約の交渉は、その後の結果として、ハードもしくはソフトな離脱になるか、を決めればよい。

FT October 3, 2019

What Boris Johnson really wants out of Brexit

Philip Stephens

PS Oct 3, 2019

Is Post-Brexit London Really Doomed?

HOWARD DAVIES

NYT Oct. 3, 2019

Boris Johnson, How Does It Feel?

By Susan McKay


 AIと職場

FT September 29, 2019

Workplace automation: how AI is coming for your job

Robert Wright in London


 長期投資戦略の転換

FT September 29, 2019

Are investors ready for the ‘Doomsday Dollar’ scenario?

Rana Foroohar

何十年間も、世界の貯蓄者は、特にアメリカの貯蓄者で引退後の生活を考える者は、S$P株価指数に投資せよ、と教わった。それはアメリカの大企業の資産と連動する。そして、引退するまで投資したことを忘れておけばよい、と。

1980年代半ば以降、それは正しい助言だった。結局、アメリカの多国籍企業はグローバリゼーションに向かったし、グローバリゼーションは大企業の株価を押し上げた。

しかし、最近、私は、長期投資のパラダイムが変わったのではないか、と疑っている。グローバリゼーションは続くが、世界に占めるアメリカの位置が変わったようだ。それは大企業の潜在的な成長にも言える。アメリカの多国籍企業の株価が下落するだけでなく、ドルの価値が下落する。

それらが同時に起きることは考えられなかった。「ドルの終末」シナリオだ。ドル安はアメリカ企業の輸出を伸ばして、株価を上げるはずだ。しかし、もしグローバルな準備通貨としてのドルが衰退するとき、アメリカ企業の利潤にも影響する。結局、アメリカ企業の技術優位や競争力が、いつまでも続くことはない。インフラ投資も、研究開発も、不十分だ。


 炭鉱のカナリアは30億羽も死んだ

NYT Sept. 29, 2019

Three Billion Canaries in the Coal Mine

By Margaret Renkl

25年近くも、私の家族はこの家に住んでいる。近隣の変化は明白だ。樹木や野生の花が減った。ミツバチも、蝶も、バッタも減った。アマガエルの鳴き声や鳥のさえずりも減った。

私は、それが都市の再開発など、限られた条件で起きていると思った。私は鳥の巣をかけて世界を救おうとしてこなかった。庭に咲く野花が咲くのも待たずに草刈りをした。私は、彼らが裕福な開発地区からいなくなっても、問題ないと思っていた。

私は間違っていたのだ。Scienceに載った新しい研究が、1970年以来、30億羽に近い鳥が北米から消えた、と報告している。それはこの大陸にいるすべての鳥の29%である。

炭鉱のカナリア、という話を聞いたかもしれない。炭鉱で致死的なガスが出ると、それを警告するため、籠の中のカナリアが最初に死んで鳴き止む。逃げる時だ。鳥類学者がThe Timesに意見を寄せた。「鳥は生物種の先行指標であり、まさに環境の健全さを示すバロメーターだ。」

昔の炭鉱と違って、われわれが逃げることのできる安全な場所などない。それにもかかわらず、現在の政府は環境保護の既存の政策を急速に後退させてきた。

われわれはかつて同じような位置にいた。その時は多くの人々が行動を要求した。1962927日に、レイチェル・カーソンが『沈黙の春』を出版したときだ。読者は、除草剤が食物連鎖で及ぼす効果を知った。その結果、DDTは禁止され、食物連鎖の頂点に立つ猛禽類の数が回復したのだ。

野生生物と人類が必要とするものを、包括的に理解することが重要だ。この国の政治が変わらなければ、必要な政策は成立しない。それは不可能のように見えるだろうが、そうではない。環境保護局EPAを創設したのも、共和党のニクソン大統領だった。

FT October 3, 2019

Climate change is the apartheid of our times

Desmond Tutu


 中華人民共和国の建国70周年

FT September 30, 2019

China’s long march to national rejuvenation

FT September 30, 2019

Chinese national day is a clash of grand narratives

James Kynge in Hong Kong

中華人民共和国の建国70周年では、2つの大きな物語が衝突している。

習近平主席は、最大規模の軍事パレードを計画している。それが人民と世界に向けた、中国のパワーはいささかも揺るがない、というメッセージだ。

しかし、香港では、1997年以降の中国の支配に対して、抵抗する者たちが民主主義を支持するデモを計画している。それは4カ月近く続いている。

グローバルな政治の気候を形成する、2つの巨大な前線が動いているように見える。西側の民主的伝統と、中国の強力な権威主義体制だ。

デモには多くのプラカードが掲げられる。その1つは示す。「独裁が現実であるとき、抵抗は義務である。」

PS Sep 30, 2019

China’s 70 Years of Progress

KEYU JIN

FT October 1, 2019

Lessons from the first 70 years of the People’s Republic of China

David Daokui Li

70周年を祝う中国は、歴史上最も印象的な成長を遂げた。それはまた、経済的な実験室でもあった。その成功から4つの基本的な教訓が得られる。

1.人的資本とインフラの重要性。2.グローバリゼーションから学ぶことの利益。3.市場はそれ自体で成長をもたらさない。4.権力のトップにおけるチェック・アンド・バランス。

今後、世界の高所得国になるにつれて、公的金融、マクロ経済的安定性、経済的平等を重視する国家の下で、近代的な市場が発展する。西側はこの中国型市場経済から学ぶだろう。

中国が希望を叶えるには、3つの挑戦に応えるべきだ。1.高成長から高度な質の成長に転換する。不良債権を処理し、増大する中産階級の需要を満たす。2.国家資産の管理を改善する。3.アメリカが混乱と狂気にあるとき、中国はその攻撃に耐え、国内改革を進めて、気候変動やWTO改革にも取り組むべきだ。

NYT Oct. 1, 2019

What Xi Jinping Hasn’t Learned From China’s Emperors

By James A. Millward

かつて中国共産党は多民族国家であることを誇りにした。しかし今、習近平主席の下で、共産党は過去の諸帝国がもたらした文化的・政治的な多様性を消し去ることに励んでいる。

共産党が支配するすべての人民、すべての領土は、古代から、ずっと中国であった、というプロパガンダに反して、それは清王朝(1636-1912年)が形成したものだ。台湾、新疆、チベットは、モンゴルと同じように、すべて清が併合した。現在は特別な地位を得た香港も、やはり清の遺産である。

習が夢想する政治的・文化的な調和は、中国の伝統的な多様性に対するアプローチに反する。その同化政策は、中国共産党が長い間避けることを望んだ、極度の不安定性をもたらすだろう。

FP OCTOBER 1, 2019

Xi Jinping Is the Life and Soul of the Party

BY RICHARD MCGREGOR

FP OCTOBER 1, 2019

The People’s Republic of China Was Born in Chains

BY FRANK DIKÖTTER

FP OCTOBER 1, 2019

China’s Youth Are Trapped in the Cult of Nationalism

BY VICKY XIUZHONG XU

PS Oct 2, 2019

The Issue Behind Our Issues

JIM O'NEILL

FP OCTOBER 2, 2019

5 Bad Things in China’s Future (and 3 Good Ones)

BY JUDE BLANCHETTE

NYT Oct. 3, 2019

Is China Heading for Crisis?

By Bret Stephens

中所得の罠、を解決できるか?


 日韓関係と消費税

PS Sep 30, 2019

Saving the Japan-South Korea Relationship

LEE JONG-WHA

FT October 1, 2019

Three good reasons not to sweat Japan’s VAT rise

Leo Lewis


 財政政策

PS Sep 30, 2019

How to Ward Off the Next Recession

JEAN PISANI-FERRY

世界経済が悪化し始める中で、ヨーロッパ経済も不安を抱えている。しかし、金融政策には限界がある。このまま不況に向かうことを放置するより、従来にない介入手段を試みるほうが良い。ECBやアメリカ連銀による直接の融資、「ヘリコプター・マネー」だ。

PS Sep 30, 2019

It’s Time for German Fiscal Expansion

JEFFREY FRANKEL

アメリカは好景気のピークで富裕層に有利な減税を行った。対照的に、ドイツは不況になると分かってからも財政均衡主義を変えようとしない。どちらも間違った財政政策だ。

The Guardian, Tue 1 Oct 2019

The Guardian view on eurozone populism: fight it with fiscal firepower

Editorial

PS Oct 1, 2019

No, We Don’t “Need” a Recession

J. BRADFORD DELONG

FT October 2, 2019

Germany must take care when throwing around stimulus

Mohamed El-Erian


 資本主義

PS Oct 1, 2019

How to Rethink Capitalism

SIMON JOHNSON

市場は必ずしも良いとか悪いと言えない。資本主義が何をもたらすかは、資本主義をどのように設定するかによる。

3つの視点で考えてみるべきだ。1.インセンティブと社会的望ましさ。2.公的部門の役割。3.外部性。


 ガンディー生誕150周年

NYT Oct. 2, 2019

Why India and the World Need Gandhi

By Narendra Modi

水曜日は、ガンディー生誕150周年だ。


 オーストリア

FT October 4, 2019

Dancing to the echoes of Vienna’s imperial past

Frederick Studemann

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The Economist September 21st 2019

The climate issue

Conflict in the Gulf: Iran’s dangerous game

(コメント) 気候変動の視点でまとめられています。しかし、どうも理解できませんでした。何が言いたいのか、まったく切れ味がよくない、と思います。

気候変動は、その対策というか、温暖化ガスの排出削減、あるいは、それを待機中から取り除く技術や、そのための投資を組織する問題なのか? 温暖化が進むことに適応するための社会変化や資本市場、企業や移住の問題なのか? 小さな島国をどう見るか? 地政学上の変化や、中東の石油の上で展開されるかもしれない戦争、各地の紛争が受ける気候変動の影響を、私たちは評価しなければならない・・・のか?

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IPEの想像力 10/7/19

緊急事態に関する特別法として、マスクを禁止する、というのは、香港行政府の間違った選択であったと思う。

小学生・中学生の制服を着た子供たちが、黒いマスクをつけて、胸に手を当てた写真を観ただろうか。子供たちの痛切な訴えに対して、行政府のスタッフたちは何と思うのか?

18歳の高校生が警察官に銃撃され、危うく一命をとりとめたことに、しかも、政府が彼を起訴することに、学生デモや住民たちは何を思うだろうか?

香港はベルファストになるのか? とMike Chinoyは問う。なぜなら香港の今の情景は、彼が50年前に観たベルファストとよく似ているから。彼らも、最初は平和的なデモだった。市民としての基本的な権利を訴えていた。

しかし、北アイルランドの「政府」は、それを認めず、無視して、弾圧しようとした。催涙ガスや放水車、ゴム弾を使用した。催涙ガスの影響は、住民の多くにもおよび、デモ参加者たちへの同情を強める結果になった。

香港のデモ隊が催涙ガスに苦しむとき、住民たちが眼やのどを洗い流す水を提供し、介抱する友人たちを支援した。

暴力的に対抗する学生たちは、数万、数十万のデモ参加者の一部でしかない。その映像を繰り返し流して、(投票する権利を奪っておきながら)デモによる抗議それ自体を、暴力的な反政府活動として非難する。それは、むしろ行政府を孤立させるだろう。ましてやデモ隊に襲い掛かる北京政府に協力する暴徒を取り締まらず、暴力のエスカレートを容認、利用するとしたら、それは致命的な失敗となるだろう。

北アイルランド「政府」は、結局、市民的権利を認めたが、それは遅すぎたのだ。拘束者に拷問し、暴行を加えたことは、若者たちの怒りに火をつけた。警察からの暴力や諜報活動に対抗する、IRAなど、武装闘争を掲げるグループが、ベルファストだけでなく、イギリス本土でもテロ行為を繰り返すようになった。

ボリス・ジョンソンは、Brexitにおける北アイルランド問題を著しく軽視している。北アイルランドもアイルランド共和国も、EUの一部として、国境が必要なくなった。だから和平への障害は大きく緩和されたのだ。ベルファストの旧武装グループが和解したことはない。

トランプも、ジョンソンも、金融危機とその救済をめぐる政治の無能さ、人びとの不信感を刺激し、それを利用して権力を握った。また、グローバリゼーションと中国の台頭、インターネットやAIにより、人びとは十分たちの職場や地位が失われることをひどく恐れた。

弾劾審査が始まったトランプが、あるいは、2度目の国民投票や総選挙に挑むジョンソンが、どのような政治の大混乱を、自分の地位と権力のために、引き起こすのだろうか?

この英米の政治が、21世紀の民主主義のモデルではありえない。民主主義の焦点は香港や台湾に移った。香港で住民投票を行えば、中国本土との統一より、民主的な制度による自治を選ぶだろう。しかし、香港を守るアジア共同体は、まだない。

香港はベルファストになるのか? 北京や世界の主要都市は、彼らの声を聴いているか? そして、ベルファストは再び香港になる。EU内での自由や自立を求めて、平和的なデモを行う時代に帰ることができるなら。

民主主義や政治の力を恐れ、信じるなら、デモへ行け、と親は自分の子供たちを叱るはずだ。

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