IPEの果樹園2019

今週のReview

10/7-12

***************************** 

トランプの弾劾裁判 ・・・イギリス政治のセクト ・・・アルゼンチン型の危機 ・・・ユーロ圏の地殻 ・・・英米における階級政治 ・・・香港民衆の声を聴いているか? ・・・保守主義の解体 ・・・Brexitの希望 ・・・炭鉱のカナリアは30億羽も死んだ ・・・中華人民共和国の建国70周年

[長いReview

****************************** 

主要な出典 FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, Foreign Policy, The Guardian, NYT: New York Times, PS: Project Syndicate, SPIEGEL, VOX: VoxEU.org, Yale Globalそして、The Economist (London)

[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.] 


 トランプの弾劾裁判

NYT Sept. 25, 2019

Nancy Pelosi Is Sending a Message

By The Editorial Board

NYT Sept. 25, 2019

Pelosi’s Bad Impeachment Call

By Bret Stephens

FT September 26, 2019

Elizabeth Warren will be the winner from Trump impeachment

Edward Luce

ドナルド・トランプ大統領の弾劾審査で、最初の日に、エリザベス・ウォレンが民主党の大統領候補の争いのトップに立った。ウォレンは、金持ちのエリートに有利な、「不正なシステム」に反対して立候補している。「権威主義体制と汚職にまみれた資本主義」のグローバルな結婚が、クレプトクラシーkleptocracy(略奪政治体制)に向けた滑りやすい坂道にアメリカを押し出す、と彼女は警告する。

内外の汚職は結びついている。世界の専制支配者たちは、長年、西側の金融センターと共生関係を維持してきた。特に、ニューヨークとロンドンだ。略奪政治家たちはそこで資金洗浄を行った。また彼らは、西側のエリートと同じ、タックス・ヘイブンを利用する。すなわち、パナマやケイマン諸島だ。彼らは同じ法律事務所や会計事務所を利用する。もしアメリカが世界中で民主主義を守るというなら、まず自国のシステムを清潔にすることから始めるべきだ、とウォレンは主張する。

ウォレンはウォール街で嫌われている。しかし、その侮辱には、敬意が含まれている。彼女の世界観は、単にトランプに反対する以上のものだ。これに対して、バイデンはトランプを異常なケースとみなす。「ウクライナ・ゲート」はバイデンを苦境に追い込むだろう。バイデンが何百万ドルもウクライナと中国から得た、とトランプは非難するが、ばかげた主張である。しかし、バイデンの息子は、父の名声を利用したかもしれない。それはアメリカ政治において普通に見られることだ。ソフトな縁故主義は蔓延している。

トランプは「ワシントンの沼を大掃除する」と約束して当選した。来年、彼を攻撃する強いメッセージの1つは、トランプが沼を原始状態のスープにした、というものだ。バイデンは、この主張にそぐわない。

NYT Sept. 26, 2019

Yes, Trump Is Guilty, but Impeachment Is a Mistake

By David Brooks

NYT Sept. 26, 2019

Impeaching Trump Is Good for the Economy

By Paul Krugman

FP SEPTEMBER 27, 2019

The Realist Case for Impeachment

BY STEPHEN M. WALT

諸国家はアナーキーな世界に生きている。他国から自国を守ってくれる機関や制度は何もない。政治学者のJohn Mearsheimerは、「国際システムで国家が問題にあっても、110に電話できない。」とよく言う。リアリストの国際政治は「自助」の世界だ。自分の資源と戦略によって生き延びるしかない。

だからアメリカのドナルド・トランプ大統領は弾劾されるべきだ。

しかし、ちょっと待て。外交におけるリアリズムは逆の主張ではないか? 危険な世界では、アメリカ人は大統領に自由に行動させる。そうやって、外交政策を積極的に行使し、警戒させるのだ。弾劾による憲法の危機は、敵を喜ばせるだけである。

いや、違う。

建国の父たちは、危険な世界でアメリカが生き延びることを考慮し、より強い統合を目指した。13州の連合規約から憲法に代えて、議会が宣戦布告し、軍を起こし、他の防衛策を命じる権限を与えた。大統領は、大使を指名し、条約を交渉し、外国の指導者と直接に取引する。

この200年間で、特に第2次世界大戦後は、大統領の権限が次第に拡大した。ソ連の脅威や、核兵器のもたらす緊急時の危険に応じて、巨大な軍隊と諜報機関を維持し、世界中の問題に大きな責任を持つようになった。どちらの政党の出身であっても、大統領たちは外交と安全保障に関する強い権限と秘密を求めた。秘密保持は、非効率性や秘密の漏えいを起こした。

大統領たちが信頼性を問われる1つの分野は、外国の指導者と行う、11の秘密取引である。危険な世界において、われわれは大統領、もしくは、彼の指名する代表たちが、戦争と平和の問題を含む、高度に繊細な諸問題を、敵国もしくは同盟国と率直に会話するよう認める。話の内容がニューヨーク・タイムズ紙の見出しに載る心配がないような形で。

それは国家安全保障のために認めるべきだが、大統領がそれを許されるのは彼が誠実であることへの信頼に依存する。アメリカ国民は、大統領が外国と取引するとき、広義の国益を実現するのであり、彼自身のプライベートな目的のためではない、と信用していなければならない。

トランプは、就任初日から、この原則を無視することを誇示してきた。彼は不動産ビジネスを手放さず、宣誓後も、少なくとも70回は宣伝している。少なくとも378回は自分の所有するリゾートで過ごし、納税者のお金をたっぷり支払っている。ウクライナのゼレンスキー大統領は、トランプとの電話会談で、自分はニューヨークのトランプタワーに宿泊している、と好意を得るよう媚びている。

内部告発者が注目したのは、ウクライナに対するアメリカの軍事援助の約束を、ウクライナ大統領から「好意a favor」(トランプ自身の言葉)を引き出すためにトランプが利用したことだ。

トランプが求めたものは,ウクライナ政府がすでに汚れた点はないと表明していたにもかかわらず,2020年の大統領選挙で戦うかもしれないジョー・バイデンの汚職を示す材料であった.はっきり言うなら,トランプは外国政府に自分が再選されるよう手を貸せ,と求めたのだ.アメリカのウクライナに対する政策については意見の違いがあるとしても,現職の大統領が外国の権力者を,自分の再選を助けるスキャンダルを作るように促すことがあってはならない,という点に,理性ある人々は合意するはずだ.

特に重要なのは,問題が,トランプの行動がアメリカの法律に背く犯罪であったかどうかではない,という点だ.大統領に対する国民の信頼を悪用し,損なうことが,問題なのだ.彼以前の大統領たちも,外交における大失策を犯した.G.W.ブッシュのイラク戦争,オバマのカダフィ政権打倒,クリントンのNATO拡大やスーダン空爆.しかし,彼らのだれも、自分の選挙のために外交交渉を利用した、という証拠は存在しない.

ここに弾劾の第2の理由がある.いかなる人物も失敗することがある.政策の選択肢をオープンに議論し、その結果を正直に評価することは欠かせない.指導者が失敗を犯したとき,その情報にアクセスして議論できる開かれた社会が,失策を見つけ,代替案を出すのだ.スターリンのソ連,毛沢東の中国,サダム・フセインのイラクは,それができなかった.トランプは独裁者ではないが,同じ世界観を持っている.

トランプが,政権や彼が支配する政策を利用して,個人的な頼みをしたことは明白だ.民主党政権であれ,共和党政権であれ,政府の安全保障にかかわった300人以上の専門家たちが,弾劾を支持する声明に署名した.

PS Oct 1, 2019

The Impeachment Trap

ERIC POSNER

FT October 2, 2019

Chances of Republicans deserting Trump are underrated

Janan Ganesh

FT October 3, 2019

Donald Trump’s projections of an American ‘coup’

Edward Luce

トランプは、彼を弾劾裁判によって権力から引き離す試みを、クーデタと考える。それは戦車による軍事クーデタではないが、官僚たちによるソフト・クーデタだ。彼は反撃するために、外国政府にその証拠を求めた。彼を信じるか、さもなければ、お前も腐敗した側だ。

NYT Oct. 3, 2019

Here Comes the Trump Slump

By Paul Krugman

NYT Oct. 3, 2019

Why Trump Voters Stick With Him

By David Brooks


 イギリス政治のセクト

The Guardian, Thu 26 Sep 2019

For Labour's grassroots, a radical agenda is finally within reach

Owen Jones

The Guardian, Fri 27 Sep 2019

MPs of all parties must unite to rein in this reckless, divisive government

John Major

FT October 3, 2019

Sects, lies and British politics

Simon Kuper

長い間,イギリス政治を経済学で説明する,というのがコンセンサスであった.イギリス人の多くは,自分の損益を計算し,経済的に最も有能に見える政党に投票した.

しかし,EU離脱が経済的な損失をもたらすことに依拠して国民投票を率いたキャメロンは敗北し,離脱派が勝利した.評論家たちは,経済的な苦痛によってそれを説明した.

しかし経済学は、国民投票も,その後の混乱も,説明できなかった.所得水準では投票を予想できない.むしろイギリス政治を決める新しいルールは,「人類学だよ,ばかものめ!」

国民的混乱を考える最良の視点をもたらすのは,人類学,社会学,宗教の歴史である.これらは,人々が何を信じるか,と,人々は世界においてどのように行動するか,を研究している.

イギリスの2つの主要政党は,宗派sectsである.彼らは世俗の権力ではなく,純粋さを求め,社会のルールを軽蔑している.マックス・ウェーバーは,教会とセクトとを分けて,教会の帰属は誕生によるが,セクトは決断による,と述べた.

保守党も労働党も,かつては教会のように,人々が生まれる社会階級によって帰属した.しかし両党とも,ほぼ同時に,セクトによって占領された.労働党はコービン派に,保守党はBrexit派に.その一部は,また,個人のカルトでもあった.イギリスの政治史上,ジェレミーとボリスだけがファースト・ネームで呼ばれる.

セクトは世界を2つに分ける.「われわれの側,仲間,友人」と「その他,アウトサイダーたち」である.セクトにとって外の世界は「全くの悪」であり,仲間が離脱することを邪魔する.それは,外部世界のルールに対する軽蔑となる.離脱派の指導者は,仲間を集めて命じた.「私はここを粉砕して,ブルドーザーで川に捨てる.愚か者,裏切り者,意気地なしが,理解できもしないことに投票する.」

セクトは,建設するより,破壊することに長けている.確かにセクトは長続きしない.しかし,異端派や内紛で崩壊する前に,彼らは戦後のイギリス政治で最も重要な年を支配する.


 サウジ皇太子

FT September 26, 2019

Saudi Crown Prince risks destroying his own script


 アルゼンチン型の危機

PS Sep 26, 2019

America’s Argentina Risk

KAUSHIK BASU

アメリカは不況に向かっている.それは2020年の大統領選挙前に始まるかもしれない.しかし,アメリカにとって,もっと深刻な危険は「アルゼンチン・リスク」である.

20世紀の最初の数十年において,アルゼンチンは世界で最も急速に成長する経済であった.才能ある人びとが流入し,移民の率は他のどの国よりも多かった.ドイツやフランスを超える,世界10大富裕国になった.

それが変わったのは1930年であった.José Félix Uriburu.中将が軍事クーデタを起こした.右翼の超ナショナリズムが高まり,移民は止まり,関税戦争が始まった.その結果は,不況というより,スローモーションの減速であった.

アメリカ経済も,今は世界を支配している.しかし,アメリカがこれほど分解し、苦しんでいる姿を観たことはない.私の経験は,1994年にさかのぼる.

私は家族とともにインドからアメリカに移住した。妻も私も心配だった。新しい社会、異なる文化になじめるか? 子供たちは新しい学校で受け入れられるか? 私たちは地方紙に音楽祭の広告を見つけ、ダウンタウンで参加した。しかし、すぐに、間違いだと分かった。これは基本的に、ゲイのカップルのパーティーだった。私たちは呆然として立っていた。そして驚いた。われわれのぎこちない様子に気づいた人たちが集まってきて、笑って、冗談を言い、子供たちとおしゃべりしたのだ。私たちは、こうした開放的で、寛容な社会にいることを理解し、喜んだ。

あれからアメリカに何が起きたのか? 少なくとも個人の行動は変わっていない。変わったのは政治だ。決して多数ではないが、それでもアメリカの庶民がなぜトランプ大統領を支持するのか、大きな謎である。彼は、庶民と違って、親切心も、礼儀正しさも、豊かな情緒もまるでない。周辺に追いやられた人々、異なる人々に関心がない。

トランプの支持率は、世界が産業革命と同じような技術の大変動を経験していることによるだろう。普通の労働者たちにとって、生活は厳しく、職は少なく、賃金は安い。失業率が低いのは、ホームレスたちが、定義上、その計算に入らないからだ。

経済的な不振により、人びとは強い指導者に、彼らのための政策改革を期待した。しかし、アメリカでトランプが求める政策は、短期的な経済の刺激だけで、長期的に大きなコストをもたらすものだ。富裕層への減税。マイナス金利。ドル安。最後は、移民や外国人への不安をかきたてた。

それはアメリカ社会にそぐわない、1930年代のアルゼンチンで指導者が求めたような、その国の成功を掘り崩すものである。

PS Sep 27, 2019

Argentina’s Recurring Nightmare

ANDRÉS VELASCO

PS Oct 2, 2019

The IMF After Argentina

KENNETH ROGOFF

PS Oct 3, 2019

Argentina Must Not Waste Its Crisis

KEMAL DERVIŞ , SEBASTIÁN STRAUSS

アルゼンチンは、追加的な輸出収入をもたらす、長期の産業戦略を必要としている。また、ペソが安全で、信頼できる価値の保蔵手段であること、ドル化を抑え、インフレを抑え、国際収支の脆弱性を抑えるような、制度の改革を進めるべきだ。


 ユーロ圏の地殻

PS Sep 26, 2019

Lagarde’s Edge Is Europe’s Opportunity

MOHAMED A. EL-ERIAN

FT September 27, 2019

German scepticism of the ECB reveals a eurozone paradox

Tony Barber

20年におよぶヨーロッパの通貨同盟の中心には、混乱を生むパラドックスが存在する。ヨーロッパ経済の心臓であるドイツにおいて、政策決定の最高レベルから、大衆メディアの最底辺まで、ユーロ圏の生き残りを過去10年間支えた非正統的な政策について、顕著な批判的意見を持っていることだ。

ECB理事会で、ドイツの理事Sabine Lautenschlägerが任期途中の辞任を表明した。ドイツの理事が辞任するのは、これが3度目である。ドイツの反対派は、2010-12年の政府債務・銀行危機によって、ヨーロッパの通貨同盟の基礎は崩れたままだ、という意見を広めている。ドラギ総裁の最新の刺激策に対して、ドイツ貯蓄銀行協会のHelmut Schleweisは「破滅」に向かうと非難した。ドイツで最大の発行部数を示す雑誌Bild Zeitungはドラギを、ドイツ人の貯蓄を吸い上げる吸血鬼にたとえた。

メルケル首相はドラギに十分な支持を与えてきたし、彼の指導力に大衆の非難が向かわないよう配慮した。しかし、多くの政治家、エコノミスト、ビジネス界の指導者、メディアの意見は違う。中央銀行は政治圧力から独立していなければならない、というドイツ人の神聖な原則を持ち出すのだ。しかし、たとえ1923年のハイパーインフレーションが彼らの記憶を支配するとしても、2011年以来、ユーロ圏の年平均インフレ率は1.1%でしかない。

また、高齢化するドイツ人は貯蓄に高い利回りを必要とする、と主張される。しかし、ECBの政策は、不動産、株式、その他の金融資産を増やして、裕福なドイツ人の利益になった。ドイツ政府の債務負担は記録的な低水準である。不況が迫る中で、コストなしに借り入れてインフラ整備の公共投資が行えることを、ドイツ産業界を代表するBDIDieter Kempfは主張する。

それでもドイツは動かない。彼らは、他国、特に南欧諸国に、堅実な財政運営の模範を示さねばならない、と考える。ドイツが「財政移転同盟」の支払う役に陥ることを恐れる。

ドラギの政策には、ドイツだけでなく、オーストリア、フランス、オランダの中央銀行総裁も反対した。ヨーロッパの中央銀行家たちと政治家は、金融引き締めと財政的拡大策との間のバランスを取らねばならない。それがない限り、金融市場はユーロ圏の地殻の裂け目に注目する。

FT September 30, 2019

Draghi backs calls for fiscal union to bolster eurozone

Lionel Barber and Claire Jones in Frankfurt

FT September 30, 2019

Interview: Mario Draghi declares victory in battle over the euro

Lionel Barber and Claire Jones in Frankfurt


 英米における階級政治

NYT Sept. 26, 2019

Do We Need a Wealth Tax?

By Spencer Bokat-Lindell

The Guardian, Sun 29 Sep 2019

We were told capitalism had won. But now workers can take back control

Grace Blakeley

2008年の金融危機の前は、階級政治が終わった、と広く信じられていた。空前の規模で信用が供与され、資産価格が上昇し、上位1%の富裕層と他の人びとの間で拡大する格差は無視された。しかし今、バブルが破裂し、経済モデルが誰の利益によって動いているかは明白だ。再び階級間の分断が先鋭化している。

世界中で若者たちは、自由市場システムの邪悪さに反対することに生涯を賭けた政治家たちに投票しつつある。新世紀社会主義の誕生だ。

資本主義の下で歴史を進める力は階級対立であるが、それはしばらく消えたように見えた。その背景として、所有権の拡大、再分配国家、ホワイトカラー労働者が指摘された。しかし2008年。階級政治が復活した。歴史は、ベルリンの壁とともに終わらなかった。確かに資本主義の性格は変わった。特に、1980年代のネオリベラリズムによって、企業は株価や、ウォール街、シティの評価ばかりを気にした。低利融資とグローバリゼーションで、富裕層と資産がない人々との分断は拡大した。

今、バブル時代の約束はすべて失われた。長時間、低賃金で働く若者たちは、システム全体への信頼を失った。それは、金融主導の成長が崩壊した後、物質的な条件に反応する姿である。この新しい政治情勢は、もはや安定的なモデルの周りで起きている動きではない。少数者の無謀な欲望、その後の緊縮政策が導く不況において、コストは多数者に負わされた。エリートたちの富と権力がすべての者の犠牲によって成立していることが、かつてなく明らかになっている。

経済政策とは、権力の問題である。労働者たちが重要な諸制度において支配権を取り戻し、権力を資本ではなく労働のために行使するのだ。サッチャーが労働組合にしたように、社会主義政権が銀行に対して行うべきだ。

歴史は終わらない。資本主義が勝利したのではない。われわれはこれから権力を握り、世界を変えるだろう。

The Guardian, Sun 29 Sep 2019

There is nothing revolutionary about McDonnell's economic plan

Larry Elliott

NYT Sept. 30, 2019

Warren Versus the Petty Plutocrats

By Paul Krugman

ウォレンElizabeth Warrenは大統領になれないだろう。かつて評論家たちはそう言った。しかし、気にすることはない。彼女は一緒にビールを飲みたい相手ではないとしても、明らかに、多くの人が一緒に写真に撮りたい人なのだから。

だが彼女を本当に、本当に嫌う者がいる。それは、超富裕層、特にウォール街だ。長年民主党に献金してきた超富裕層でも、彼女を嫌って、トランプに献金するというほどだ。

確かに彼女の掲げる政策は、5000万ドル以上の資産に課税する、というのが有名だ。しかし、ウォレンへの憎しみはそれだけでは説明できない。

超富裕層はトランプが再選されることも恐れているはずだ。なぜなら、弾劾裁判に直面したとき、彼の独裁者の本能が何をもたらすか、わからないからだ。プーチンの例を観ても、彼に逆らったロシアのオリガーク(超資産家)たちは、今や破滅するか死んでいる。

それでも超富裕層は、ウォレンのような人物より、トランプを支持するのか?

問題は、彼らの自尊心だ。彼らは王族のような暮らしてしているし、たとえウォレンが大統領になっても変わらない。しかし、彼らはまた、自分が王様のように扱われ、雇用をもたらす王者として、繁栄の英雄として称賛されるべきだと考える。いかなる批判も許し難い。

彼らにとってウォレンの大統領職は悪夢であり、彼らの財布にとってではなく、そのエゴにとって脅威なのだ。


 チュニジア

FT September 27, 2019

Democracy hangs in the balance in Tunisia

Safwan Masri


 香港民衆の声を聴いているか?

FT September 27, 2019

Hong Kong’s not so special status as China’s financial centre

Andrew Collier

NYT Sept. 27, 2019

Hong Kong and the Independence Movement That Doesn’t Know Itself

By Lewis Lau Yiu-man

NYT Sept. 28, 2019

The Tenacity of Chinese Communism

By Ian Buruma

1949101日、天安門広場で、毛沢東は前に出て、中華人民共和国の成立を宣言した。多くの中国人は、共産主義者でない者も、幸福であった。諸外国、日本人の邪悪な侵略、血みどろの内戦が終わって、統一されたからだ。

しかし愛国者の多くは、ある日、熱狂したことを後悔しただろう。毛は「階級の敵」だけでなく、彼に奴隷のように従う者でなければ、だれでも敵とみなした。そして、日本の侵略さえも超える殺戮を行った。文化大革命は、その過程で、200万人が犠牲となっただろう。それは単に、彼の大粛清の最後の仕事であった。

中国共産党は、ゴルバチョフの民主化革命に比べて、資本主義にうまく適応した。1989年の天安門で野蛮な弾圧を実行した後、共産党は都市階級と1つの戦術的な取引を行った。彼らが抗議デモの多くを供給した。唯一、共産党が、人々に豊かになる、秩序ある状態をもたらす。それと交換に、政治的な抗議は行わない、と。それはシンガポールの統治手法であり、実際、鄧小平はシンガポールを称賛していた。

しかし、共産党の成功には、さらに深い理由があった。それは一種の宗教のようなドグマ、儒教、である。中国歴代の皇帝は、天と人民とをつなぐ媒介者、神に近い存在として行動した。儒教は、家族が父親に従うように、権威に従うことを求めるイデオロギーとなった。

古代の儒教は、調和的な社会秩序を目指す教科書のようなものだった。最近の香港や、台湾民主化を観れば、伝統的な文化を保持する中国人が、権威主義に強く反対することがわかる。しかし、中国の支配者たちは、ヒエラルキー的社会と専制的支配を支持するために、儒教を利用してきた。

それは学生や知識人たちが「科学」と「民主主義」を掲げて行進した1919年の54運動のテーマであった。彼らは、何千年も中国の文化と政治を結び付けた儒教のイデオロギーを否定し、科学に代えようとしたのだ。

知識人の多くが、マルクス主義、に魅力を感じた。それは儒教が残した真空を埋め、近代的な政治と科学に、強い倫理的な要素を加えたものだったからだ。しかし、1949年以後でも、毛沢東は神聖な皇帝のようにふるまっていた。

毛沢東の死後は、鄧小平の資本主義革命が進んだが、毛沢東主義やマルクス主義に共産党の権威を求め、口先だけの称賛を繰り返した。そして、ナショナリズムが、いくらか儒教の要素を取り込んで、共産主義の旧いドグマに交代し始めた。それは一部の中国人に「精神的な真空」を生んでいる。

習近平はこの問題を意識して、党のイデオロギーに対する規律を強化し、毛沢東主義を再生した。大学、メディア、オンラインでも反体制派を弾圧している。しかし、習は毛主席ではない。皇帝のカリスマを持っていない。弾圧を強化したシンガポール・モデルが長期に成功をもたらした。それは服従を強制し、精神的、知的な生活を国家が管理するだろう。

NYT Sept. 28, 2019

The Making of a Chinese Patriot

By Jianan Qian

The Guardian, Mon 30 Sep 2019

Is defeat inevitable for Hong Kong’s pro-democracy movement?

Simon Tisdall

ワシントンも、ロンドンも、他の首都も、香港市民の民主主義の理想を支持するより、北京政府のパワーと資金を重視するほうが容易である。彼らの傘は破れ、流血が通りを染めても。おそらく、常にそうなのだろう。

しかし、香港の民主主義が敗北するとしたら、少なくともその責任の一部は、西側がその闘いをくじいたからである。

PS Sep 30, 2019

China’s Hong Kong Problem

CHRIS PATTEN

PS Sep 30, 2019

Hong Kong in the Balance

MICHAEL SPENCE

(後半へ続く)