(前半から続く)
● ポピュリズムの限界
FT September
23, 2019
Life, fate
and the assault on liberalism
Gideon Rachman
FP SEPTEMBER
24, 2019
In
Europe, Nativism and Nationalism May Be Reaching Their Limits
BY CHARLES KUPCHAN
ヨーロッパ政治において、ポピュリズムの猛威は衰退の局面に入ったようだ。特に、イギリスのボリス・ジョンソン、イタリアのサルヴィーニがそうだ。民主主義を代表する議会は、彼らの行動に対して明確に反対の意志を示した。しかし、アメリカのトランプは変わらない。むしろ、2020年の選挙に向けて、その政治的混乱は深まるだろう。
NYT Sept.
25, 2019
Trump
and Johnson on the Brink
By Roger Cohen
アメリカ下院議長であるナンシー・ペロシと、イギリス最高裁判所のレディー・ヘイル裁判長が、法によって暴君を抑える純粋な意義を示している。
● 自由貿易の後退
FT September
23, 2019
Free
trade is under fire but we must fight for its preservation
Pinelopi Goldberg
PS Sep
25, 2019
The
Global Retreat of Free Trade
HECTOR R. TORRES
● ヘリコプター・マネー
VOX 23 September
2019
Helicopter
money as a policy option
Lucrezia Reichlin, Adair Turner, Michael
Woodford
● 日韓基本条約の背景
NYT Sept.
23, 2019
America’s
Dirty Secret in East Asia
By Alexis Dudden
日本政府は、強制労働への補償も含めて、すべての問題は1965年の日韓条約で「最終的かつ完全に」解決済みだ、と主張する。韓国はそれに同意しない。
アメリカは1965年の日韓条約を急いだ。それは、アメリカの観点から、日韓条約をまとめることが重要だった。主要な仲介をしたWilliam
J. Sebaldは、その回顧録を出版している。
彼は日本の政治指導者たちにあって、その関心を反映した。彼は、朝鮮に対する軽蔑を示し、朝鮮半島が分断されている状態を利用する、という姿勢であった。残酷な形で行われた日本の占領に関する言及はない。ワシントンの主要な関心は、韓国をベトナム戦争に参加させることだった。アメリカが安全保障の分担を長期に求める相手としては、日本人しかいない、と認めていた。日本人が韓国に対して明白に謝罪するのはむつかしいだろう。不幸な歴史を過去のものとして、将来に向けて協力する、という主張なら、日本人の反発を避けて、韓国人の感情をやわらげるだろう。
日韓条約は、むつかしい問題を避けて、ワシントンの嗜好を反映したものだ。
● イランとの新しい核合意とノーベル賞
FP SEPTEMBER
23, 2019
Trump’s
Shameless Path to the Nobel Peace Prize
BY STEPHEN M. WALT
イランに対するトランプ外交は失敗した。すなわち、地域を戦争に陥らせるほど緊張を高めて、行き詰まっている。テヘランはアメリカの圧力に屈しないだろう。
今や、強硬派のボルトンが去って、トランプ政権が譲歩するときだろう。しかし、それは不可能に見える。トランプはオバマ政権の核合意を「最悪の取引」と非難してきた。イスラエルのネタニヤフやサウジアラビアのサルマン皇太子と一緒に行動してきた。「最大限の圧力」がうまくいっている、イランは取引を熱望している、と繰り返し主張した。サウジアラビア石油施設への攻撃で、国務長官が「戦争行為」であるとテヘランを非難した。
しかし、明らかに、今、取引することが有利である。問題は、何度も嘘をつく指導者は、その言葉を信頼されないことだ。トランプと交渉することを、だれも望んでいない。
それでもトランプには行動の余地がある。過去の大統領と違って、外交の専門家たちの意見を無視する。国民は戦争をひどく嫌っている。他方、中東の同盟諸国はトランプの方針転換に反対するだろう。ロビー団体もそうだ。共和党のタカ派も反対する。しかし、トランプはどれも気にしない。自分の再選だけが重要だ。
イランと合意することは、トランプ外交の方程式にも合致する。ステップ1.何もないところで問題を創る。ステップ2.しばしば元に戻るだけなのに、解決したふりをする。ステップ3.危機を脱したのは自分のおかげだ、と宣伝する。イランとの新しい合意もそうだ。
問題は、イランを動かすために、アメリカは何を譲歩するのか? である。オバマ政権も、完全な非核化をあきらめ、ウラン濃縮プロセスをわずかだが受け入れた。もし私がトランプなら、まず、マクロンの提案に戻って、150億ドルの融資を供与するだろう。そして、イランと取引するすべての諸国に制裁する、という措置をやめる。
彼の政権はあまりにも無能で、こうした交渉を進められないかもしれない。しかし新しい合意ができれば、トランプはノーベル平和賞をもらうかもしれない。
● カシミールの転換
FT September
24, 2019
In the
pressure-cooker of Kashmir, the abnormal is now normal
Salman Anees Soz
政府は、カシミール住民に利益をもたらす、と主張している。しかし、よりありそうなことは、1980年代後半から、4万5000人が犠牲となった紛争を悪化させることだろう。
現在の危機はかつてないものだ。ナレンドラ・モディのヒンドゥー・ナショナリスト政権は、カシミールにおけるイスラム教徒の多数派を変えようとしている。中国がウイグル自治区でしていることだ。
政府はその行動をソフトな正当化で広めている。すなわち、開発の推進、汚職の一掃だ。政府高官は、カシミール住民が自治権の剥奪を喜んでいる、とまで主張する。これはオーウェル的な表現である。
もしカシミール人が自分の意志を自由に表明できるなら、彼らの抗議デモは街頭を埋め尽くして、香港に匹敵し、あるいは、凌駕するだろう。
インドとパキスタンは、平和的な解決に向けて対話するしかない。
FT September
24, 2019
Changing
the status of Jammu and Kashmir will benefit all of India
Subrahmanyam Jaishankar
カシミールの統治に関する時代遅れの憲法370条は、「一時的に」認められた。どのような観点からも、70年はその意味を超えている。モディ首相はそれを終わらせた。彼は、より良いガバナンス、より早い発展を目指している。
インドは民主的社会であり、議会が決定する。今回の決定は、日々の生活を改善し、機会を増やすためのものだ。社会正義と国民統一に向けて、慎重な前進が求められる。その目標を認めるなら、人びとは変化を歓迎するだろう。
● 発展途上国からの革新
FT September
24, 2019
Developing
economies can become engines of innovation
Chris Malone
FT September
24, 2019
India
and Indonesia can be big winners from global trade war
Trinh Nguyen
● 持続可能性と食糧
PS Sep
24, 2019
Food for
Sustainable Development
JEFFREY D. SACHS, ANGELO RICCABONI
● ウクライナ・スキャンダルと弾劾審査
NYT Sept.
24, 2019
The
Winners and Losers of the Latest Trump Scandal
By Paul Krugman
FT September
25, 2019
The
Democrats have stopped overthinking impeachment
Janan Ganesh
80歳になるナンシー・ペロシは、その年齢にふさわしい慎重さで、下院議長を務めてきた。ロシア疑惑についてドナルド・トランプを弾劾することには踏み切らなかった。しかし、同じようなスキャンダルで、彼女は慎重さを捨ててしまった。彼女の変身は、世界中でポピュリズムの敵に教訓を与える。
弾劾への障害は低くなっていない。上院の圧倒的多数。有権者の意識。共和党からの反対。民主党候補としてのバイデンに傷がつく。
変わったのは、民主党の嗜好だ。過剰な配慮をやめたのだ。彼らの関心は、驚くかもしれないが、原則の問題だ。
しかし、ペロシにしても、イギリス最高裁にしても、法的原則を理由に政治を矯正することなどできるだろうか? ワシントンでも、ロンドンでも、リベラルは何かの政策ではなく「法の支配」を求めている。
それは大統領のニヒリズムを招くだけだ。リベラルが憲法のために戦っても、それは政治的な意味がある限りでしか有効でない。トランプは、有権者が政治家を、ずるがしこく、偽善的である、とみていることを知っている。政治家たちが法律を破ることも、些細なことである。
民主主義でも、権力のチェックは完全ではない。法律と投票が補い合う必要がある。弾劾はペロシのキャリアを終わらせる汚点になるだろう。民主党は2020年で敗北する。彼女は、この世界最強の政府で、第3位にいる権力者だ。
FT September
25, 2019
The
mother of all Trumpian battles
Edward Luce
ナンシー・ペロシの動機は容易にわかる。昨年、行動せよ、という草の根の運動に抵抗してきたが、下院議長はその要求に屈したのだ。彼女は、いつも、弾劾はトランプを利するだけだ、と考えてきた。しかし、弾劾しないことは、彼女の指導力に不満を強める民主党員や議員を増やすことになり、もっと悪い。
トランプは、共和党の強い支持を得ており、有権者は弾劾をそれほど好んでいない。しかし、それは急速に変化するかもしれない。トランプの、毎時間、発信する醜悪な反応によって、弾劾審査に注目が集まるからだ。
しかし、なぜ4月のミューラー報告ではなく、ウクライナ疑惑で弾劾なのか? 第1の理由は、大統領職にあったトランプが他国の指導者に、バイデン捜査への協力を求め、軍事援助をやめるような脅しをかけたことだ。第2の理由は、ロシア疑惑に比べて、疑惑の中身が誰にもよくわかる。関心の薄い浮動票でさえ、影響を受けるだろう。
しかし、リチャード・ニクソンのときと同様に、民主党がトランプをひどい悪人だと有権者に納得させることができるか、それはわからない。
NYT Sept.
25, 2019
Why a
Trump Impeachment Should Terrify You
By Frank Bruni
FP SEPTEMBER
25, 2019
Why Ukrainegate
Is Nothing Like Russiagate
BY ELIAS GROLL
● アメリカの中東外交
SPIEGEL
ONLINE 09/25/2019
Tension
in the Middle East
The
Groundwork Is Laid for a Vast New Conflict
By DER SPIEGEL Staff
FP SEPTEMBER
25, 2019
Trump’s Iran
Policy Is a Failure
BY ILAN GOLDENBERG, KALEIGH THOMAS
● マーチン・フェルドスタインの訃報
VOX 25 September
2019
Public
economics and public policy: The ideas and influence of Martin Feldstein,
1939-2019
James Poterba, Lawrence H. Summers
● 香港に未来はあるか?
NYT Sept.
25, 2019
Carrie
Lam: Yes, Hong Kong Does Have a Future
By Carrie Lam(the
chief executive of Hong Kong)
香港に未来はあるか? それは初めて出る問いかけではない。しかし、社会争乱が17週続く中で、ますます頻繁に問われるようになった。
香港における、われわれが一緒になって、木曜日の夕方、初めて多くのコミュニティ対話を行う。住民たちの不満、社会が直面している諸問題を議論したい。
私の政策談話Policy
Addressでも、深刻な問題に取り組む大胆な計画を説明したい。公共住宅の建設もそうだ。
コミュニティ対話と政策談話は、必要な和解プロセスの一部である。社会に開いた傷を治すには時間がかかる。しかし、政府は対話により、行動を通して、コミュニティに信頼を回復できると希望する。
中国の中で、香港の権利と自由は基本法で守られている。香港の将来の発展を築く枠組みは既に存在している。広東・ホンコン・マカオを結ぶ大湾岸エリアの開発は、「1国2制度」を厳格に認めた上で、発展の機会を与えるものだ。
私はコミュニティとの対話に耳を傾けている。
YaleGlobal,
Thursday, September 26, 2019
Democracy
for Hong Kong and Taiwan
Humphrey Hawksley
● 異なるアメリカ経済に住む
NYT Sept.
25, 2019
Red and
Blue Voters Live in Different Economies
By Thomas B. Edsall
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The Economist September
14th 2019
The war in Afghanistan: Talking chop
The tech cold war: A way forward?
Social stability: Shutting the gate
Employment: The gig is up in California
Venezuela’s exodus: Darkness falls
Bello: Settle for half an arepa
Huawei: Piece offering
Buttonwood: The Japan bid
Free exchange: Common sense
(コメント) アメリカはアフガニスタンで古典的な戦争をハイテク兵器で戦い、第5世代の通信市場やスマートフォン、IOTで中国企業と戦います。
中国本土にも政治改革の兆しはありました。しかし、今、北京は、香港の抗議デモが中国本土に影響することを断つ方針です。アメリカにおけるギグエコノミーと労働組合の復活を、記事は、まだ警戒して書いています。ベネズエラの難民について、その規模と周辺諸国の受け入れ姿勢が、世界的な意味を変えそうです。
ファーウェイの「技術を売る」、ハイテク技術とその利益に関する「グローバルな均衡状態」を歓迎する、という提案は画期的だと思います。他方、日本のゼロ金利・マイナス金利と、農林中金など、慎重な金融機関でも、グローバルなリスクの高い投資に貯蓄を流入させている事態を、深刻に受け止めます。
新しい時代には、私有財産や市場を絶対視するのではなく、新しい公共財と制度が必要だ、と思います。
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IPEの想像力 9/30/19
彼や彼女に手紙を書くことはできないか?
私は、移民問題や難民問題をいくらか調べたけれど、彼らのだれにも会って話したことがない、と思いました。移民論争を学んだけれど、移民、難民を助ける努力をしてこなかった。
日本の経済・医療・福祉は、外国人労働者に依存するようになったけれど、彼らの権利は守られているのだろうか? 今年の初め、1つの記事を読みました。
「刑期無制限、絶望の外国人収容施設 高橋源一郎さんルポ」編集委員・塩倉裕 2019年1月17日13時35分(朝日新聞デジタル)
大村収容所は、長崎県にあり、かつて朝鮮戦争で日本に逃れた者や、在日韓国・朝鮮人で強制送還される者が収容されていた、という。大村収容所事件を、私は知らない。
取材のために訪問した高橋源一郎氏は書いた。・・・半世紀前、わたしは学生運動に参加していた。ベトナム反戦。大学制度改悪反対。多くのテーマがあった。その中に、「大村収容所を解体せよ」という声があった。・・・
・・・林旗(リンチー)さんは1984年生まれの34歳になる中国人だ。すでに3年近く収容されている。いつ収容施設の外に出られるのかは、誰にもわからない。・・・「障害のある子どもと妻が大阪で苦しい暮らしをしている、家族を置いて、生活の基盤のない中国に戻るわけにはいかない。家族が夢に出てくる。会いたい」
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9・11のテロやアフガニスタンの戦争で、疑わしい者を集めたキューバのアメリカ軍施設、グアンタナモ収容所はどうなったか? 拷問や薬物によって情報を引き出した、といわれる。
日産のゴーン会長が、「虚偽記載」容疑で、家族にも会えずに50日以上も拘束された。容疑者を拘束して「自白」させる日本の「捜査」方法が批判された。
民主的な抗議デモが続く香港では、警察の暴力に対する反発が強まっている。テレビ映像では、抗議デモ参加者を拘束し、そのまま連れ去った。
アメリカには多くの収監者がいる。そして監獄の管理を民間企業に委託する。黒人の若者の、あまりにも多くが刑務所で暮らしている。
パレスチナ難民たちは、ヨルダン川西岸であれ、ガザ地区であれ、おそらく、イスラエル国内でも、天井のない監獄に収容されている、と描かれる。FTは国際居住年に、彼らの声を紹介した。
Amazonの倉庫で働く労働者も、あるいは、中国に展開する台湾企業FoxconnがApple製品を作る、巨大工業団地で働く、農村から来た女子労働者たちも、収容所と共通した面があるだろう。
・・・彼や彼女に、手紙を書くことはできないか?
国家が分断する世界。日本と韓国の関係悪化、あるいは、中国との歴史問題を、国家によって対比し、非難する姿勢は間違っている。
私たちは、この世界でともに生きている。あなたのことを心配し、あなたの声を聴いている。
大村入国管理センターに収容されていた40代のナイジェリア人男性が、抗議のハンストの末に、餓死した。
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