(前半から続く)


 ECBとアメリカ連銀

PS Sep 16, 2019

The ECB’s Beggar-thy-Trump Strategy

HANS-WERNER SINN

ECBは、加盟諸国の反対にもかかわらず、金融緩和、新たなQEを採用した。それは、トランプ大統領が批判するように、ユーロ安政策であり、他国から需要を奪うものだ。

FT September 17, 2019

Eurozone wakes up to ECB’s fiscal message as economy weakens

Martin Sandbu

FT September 18, 2019

Backlash against ECB stimulus is misplaced

PS Sep 18, 2019

Jerome Powell’s Dilemma

CARMEN M. REINHART, VINCENT REINHART

アメリカ連銀のパウエル議長は、幽霊のように見えた。

パウエルの、表に出せない、深い不満は、連銀の金融政策がトランプ大統領の再選を助けてしまうことだ。こうして、もしパウエルが金融政策を使って、トランプの発言や行動のコストを負担してやるなら。それがトランプに同じことを刺激する。

FT September 19, 2019

Bank of England has many reasons to hold interest rates

FT September 20, 2019

The repo markets mystery reminds us that we are flying blind

Gillian Tett

FT September 20, 2019

Eurozone banks need to be part of the solution


 ステークホルダー資本主義

FT September 17, 2019

Directors have a duty to look beyond their shareholders

Martin Lipton


 中央銀行デジタル通貨

FT September 17, 2019

Central banks should not issue digital currencies

Izabella Kaminska

中央銀行はデジタル通貨を発行すべきではない。それは中央銀行が預金者と直接にかかわり、競争することになる。中央銀行は、銀行の銀行としてのみ関わり、許可や監督を行うべきである。

FT September 18, 2019

Outdated rules are holding back financial innovation

Vikram Pandit


 アメリカの地方

NYT Sept. 17, 2019

Something Special Is Happening in Rural America

By Sarah Smarsh


 不労所得資本主義の興亡

FT September 18, 2019

Martin Wolf: why rigged capitalism is damaging liberal democracy

Martin Wolf

アメリカの経営者たちは「ステークホルダーの利益を企業の目的にする」という声明を出した。

確かに、何かが間違っている。昨年、As Jason Furman and Peter Orszagは論文に書いた。「1948-1973年、アメリカにおける家計所得の中央値は年3%で増加した。子供たちが良心の諸遠くを超えるチャンスは96%あった。しかし、1973年以降は、年0.3%の増加でしかなく、その結果、子供たちの28%は良心の所得より低くなった。」

なぜ経済は人々に所得をもたらさないのか? それは不労所得rentier資本主義が登場したからだ。「レント」(地代・不労所得)とは、財・サービス・土地・労働の供給を促す以上に高い報酬を意味する。市場や政治力が、特権的な個人や企業にすべての人々からレントを吸い取ることを許している。

技術は大学卒業者に依存し、不平等を拡大した。高所得者の上位1%が占める税込所得の割合は、1980年の11%から、2014年の20%に上昇した。それは、スキルに偏った技術変化、グローバリゼーション、特に、中国との貿易、移民の流入によって説明できない。不平等を決めるのは、国内制度や政策の違いである。それらの影響はむしろ小さく、成長や財政にプラスである。

金融の果たした役割は重要である。金融自由化は、癌のように、転移した。金融部門は、自分たち自身で、信用、所得、しばしば幻想でしかない利潤をもたらした。BISStephen Cecchetti and Enisse Kharroubi2015年に書いた。「金融の発展は、ある点までは良いことだが、それを超えると、成長を損ない、全体的な生産性上昇を妨げる。」

企業の経営者の報酬もそうだ。Deborah Hargreavesによれば、UKにおいて、平均的な企業重役の報酬は平均的な労働者の、1998年に48倍から、2016年には129倍になった。アメリカでは、1980年の42倍から、2017年の347倍になった。報酬を株価に連動させることは、経営者たちに株価を引き上げる強い動機を与えた。そして彼らは、収益を操作し、借り入れによって株を買い戻した。どちらも企業の価値を高めることはない。

さらに根本的な問題は、競争が失われたことだ。アメリカで市場の集中化が進んだ証拠がある。企業の独占利潤が増え、異なる企業では同じスキルでも労働者の報酬を増やした。その理由の一部は、「勝者総取り」市場の性格があるだろう。ネットワーク外部性を利用できる、限界コストがゼロのプラットフォーム企業(Facebook, Google, Amazon, Alibaba and Tencent)はその典型だ。

地理的な集積にもネットワーク外部性が働く。ロンドン、ニューヨーク、カリフォルニア湾岸など、成功する大都市には強力なフィードバック・ループがあり、才能ある人々を集めて高報酬をもたらした。他方で、取り残された街のビジネスや住民は苦しんだ。

独占利潤は政策の結果でもあった。株主価値の最大化、という主張は、非常に複雑な問題を過度に単純化した。レント・シーキングは、課税回避のあからさまな試みを激化させた。安全保障、法体系、インフラ、教育、社会・政治的安定性など、公共財を企業は享受しているが、税金を逃れる最高の地位を得た。課税競争、税源の浸食、利潤の海外移転。その結果、各国の税率は低下し、企業は知的財産をタックス・ヘイブンに移して、債務による税の免除を利用した。

Brad Setserによれば、アメリカ企業が小さなタックス・ヘイブン(Bermuda, the British Caribbean, Ireland, Luxembourg, Netherlands, Singapore and Switzerland)で申告する利潤は、6大経済圏(China, France, Germany, India, Italy and Japan)で上げる利潤の7倍もある。トランプはこれに何も対策を示さない。

企業のロビー活動は、普通の市民の利益を圧倒している。西側経済の中で、いくらか所得分配がラテンアメリカに似てきたところでは、政治もラテンアメリカのようになってきた。必要な改革を唱える新しいポピュリストもいれば、外国人を攻撃する、少数者のための資本主義を促す者もいる。

利益は分かち合うものだ、という人々の正当な信念を実現する、ダイナミックな資本主義が必要だ。


 マルチ・ステークホルダー主義

FT September 18, 2019

A new kind of multilateralism is on the horizon

Anne-Marie Slaughter

国連は20世紀のマルチラテラリズム・多国間協調を示すが、安保理常任理事国の5か国の内3か国(アメリカ、ロシア、UK)がユニラテラリズムの、大国間競争に戻ろうとしている。

しかし、まったく異なるマルチラテラリズムが登場しつつある。6月、国連事務総長のデジタル協力に関するパネルは、MicrosoftMelinda GatesAlibabaJack Maが共同議長を務める。それは多くの企業の署名を促すだろう。世界経済フォーラムやローマ法王もそうだ。

もし十分なデジタル署名が集まれば、未来のデジタル世界に向けた新しいガバナンスの構造が提唱される。それは国連を補完するだろうが、究極的には、国連を呑み込む。

「マルチ・ステークホルダー主義」は、単に必要なだけでなく、阻止することが不可能なものだ。

ジハード主義の集団はオンラインでグローバルな軍隊をリクルートする。彼らの物理的な「カリフの国」が破壊された後もそうだ。企業は、造幣所も中央銀行も持たずに、デジタル貨幣を発行する。

デジタルなパワーと物理的なパワーは、すでに抗争しながら登場している。その脅威に対抗するとしたら、それはデジタルな協力である。

PS Sep 18, 2019

Asia’s Multilateral Balancing Act

MYONG-HYUN GO , SHAFQAT MUNIR, AMBIKA VISHWANATH


 財政政策の復活

FT September 18, 2019

South Korea’s fiscal boost is a model for others

輸出によって成長する国が、財政再建、高齢化、隣国との経済紛争と圧力を受けて、何をするべきか? ドイツと韓国がそうだが、ドイツと違い、韓国政府は財政の正統派を破って、赤字財政を選択した。

PS Sep 18, 2019

The Return of Fiscal Policy

JIM O'NEILL


 大都市の繁栄と地方の怨嗟

PS Sep 18, 2019

Can Direct Democracy Defeat Populism?

JAN-WERNER MUELLER

直接民主主義、国民投票は、ポピュリズムを打破することができる。ポピュリズムを、さまざまな制度によって排除すると願うだけでなく、彼らを一掃できるだろう。それは、社会を分断して、国民投票を有利にする。こうしたポピュリストに対抗して、諸集団の政治的連携を組織し、優れた指導者を見出することだ。

FP SEPTEMBER 18, 2019

The West Has a Resentment Epidemic

BY ROBERTO STEFAN FOA, JONATHAN WILMOT

ミネソタ州は、何十年も、下院・上院・大統領選挙で民主党候補を支持してきた。1984年、ロナルド・レーガンが大差で再選されたときでも、ミネソタは元民主党の上院議員、ウォルター・モンデールを支持した。

しかし2016年、予想外にも、大統領選挙運動において、ドナルド・トランプへの支持が高まったのだ。最終的に、トランプは87の郡部で78を取った。クリントンが僅差で勝利したのは、最大都市のミネアポリスで票を得たからだ。

ミネアポリスは、トランプ支持者の郡部に取り囲まれたリベラリズムの孤島のようになっていることに、進歩的な人びとは気づいた。どの方向に自動車を走らせても、100マイルの向こうまでトランプ支持者の郡部である。もっと走っても、そうだろう。

郡部ごとの投票結果を分析すれば、1つの事実が明白である。進歩的なアメリカ人は、東部と西部の沿岸に散らばって、諸都市の群島をなしている。

コスモポリタンな都市と、経済的周辺との格差は、西側に広がる新しい社会階級の分断となった。人びとの住む場所が、ますます、その信念や価値観、帰属意識を決める新しい要因となっている。2016年のEU帰属を決めるイギリスの投票も、2017年のフランス大統領選挙も、それを示した。

グローバル・エコノミーの変化が、空間的に、新技術、グローバリゼーション、リベラルな価値観をもたらし、進歩的な都市民の有権者を創った。他方で、そのアイデンティティや経済的な繁栄を、かつてないほど脅かされている、取り残された人びとも創った。地方の小さな町はもともと文化的に保守的であったが、この分断状態は経済や富の不平等が生み出した怨嗟によるものだ。

なぜ政治的混乱は、10年前、世界金融危機の頂点ではなく、今になって起きたのか? それは、この10年間に各地域で起きたことを観ればわかる。

危機はコスモポリタンな都市部を一時的に後退させた。しかし、その金融部門は政府の巨額の資金で救済された。そのことは緊縮財政に苦しみ続ける、工業を失った地域の窮状を鮮明に示した。裕福な、コスモポリタンな諸都市は前進し、周辺はさらに、もっと後ろへ追いやられた。

政府が周辺の地方を無視していることで、物質的な窮状に不正義の感覚が加わり、ポピュリスト的怨嗟が燃え上がった。繁栄する諸都市が救済されたのに、もっと貧しい地方は多くの支出削減で死につつある。政府の財政緊縮策は、地方予算をカットし、地方における投資を枯渇させた。

アメリカで、当時のオバマ政権において、財務長官だったガイトナーの政策がそうだ。トランプが、海外で支出するのをやめて、アメリカのインフラ再建を始めると約束したとき、民主党の支持基盤で多くの支持者が現れたのは当然だった。そこは穴だらけの道路、ぼろぼろの橋しかない、かつて共和党を支持したことのない土地だった。

UKでは、キャメロン首相とオズボーン蔵相の保守党政権が、地方の怨嗟を引き付ける完璧な避雷針となった。イートン校、オックスフォード大学を出た、ロンドンではノッティング・ヒルの排他的な高級住宅地に住むエリートであった。彼らは首都のコスモポリタンなエリートたちの利益を代表し、限界集落や郡部の予算を削った。

たとえル・ペンが敗北しても、黄色いベスト運動が現れた。UKIPは崩壊したが、Brexit党が復活して欧州議会選挙で支持された。トランプが再選される可能性は半々だが、彼がいなくなっても、その支持者たちは残る。

ポピュリズムに対抗するより、その源泉に注意を向けるべきだ。成熟したアプローチを採って、ポピュリスト的な憤慨を生み出すメカニズムを解消し、武装解除することである。ボリス・ジョンソン首相も、黄色いベスト運動と対話した後のマクロンも、トランプ大統領も、地方住民の負担を減らし、地域経済の復興を約束し、投資し始めた。

グリーン・ニュー・ディールは進歩派たちの幻とみなされているが、超党派で取り組むプロジェクトになりうる。道路、鉄道、都市を再建し、アメリカの忘れられた後背地と、繁栄する、進歩的な沿岸部とを再統合することだ。


 オバマの大失敗

NYT Sept. 18, 2019

Barack Obama’s Biggest Mistake

By Farhad Manjoo

2009年にオバマが大統領になったとき、民主党は下院を支配し、上院でもフィリバスターを封じる議席を保有していた。最初の6か月間は、支持率が60%台であった。

グローバルな危機に際して、民主党は絶好の機会を手にしていたのだ。国中で人々が仕事や住宅を失っていた。第2次世界大戦以来、最悪の経済状態であった。

オバマは、F.D.ルーズベルトがニューディールを行ったように、アメリカ経済を改造できたはずだ。しかし、彼はそうしなかった。オバマと彼のチームは、不況に対して、小規模な緊急経済政策で対処した。それは金融市場の崩壊を解決するためにだけ作られた。

もっと大規模な財政刺激策を採用できたはずだ。完全雇用には17000億ドルの規模が求められた。しかし、オバマの顧問たちは議会を通過させるには8000億ドルを超えてはならない、と考えた。それは小さすぎて、2010年の失業率は9.8%に達した。

オバマ政権の人びとは、その多くがウォール街から来ており、残りはシリコンバレーだった。彼らはアメリカの企業支配を極めて喜んでいただろう。オバマの時代、企業はますます大きくなり、経済パワーを集中した。GoogleFacebookに対する反トラストの規制措置は否定された。

豊かなものがますます豊かになって、多国籍企業や超富裕層が政治や文化を動かすようになった。

オバマはなぜこのようなエリート主義を選んだのか? オバマは、その前のクリントンと同じく、歴史と遺産を捨てた民主党の産物だった。民主党の基本的政治思想とは、庶民の権利や自由のために、経済パワーの集中と闘うことだった。しかし、1970年代から90年代にかけて、それを見失った。ニューディールや偉大な社会のリベラリズムを捨てて、ネオリベラリズムを新しいドグマにした。市場や金融手段こそが社会的目的を達成する最善の道と信じたのだ。

トランプの時代に、オバマは左派から批判されている。オバマの政策は完ぺきに正統派に従った。市場を信仰する哲学だ。今、ようやくサンダースやウォレン、アレクサンドリア・オカシオ=コルテスの時代になって、われわれは民主党の過去を学びなおしている。


 

The Guardian, Thu 19 Sep 2019

The Guardian view on Japan and South Korea: neither side will win

Editorial

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The Economist September 7th 2019

Assad’s hollow victory

The European Central Bank: Parting gifts

Argentina: A superclassic crisis

AI and war: Mind control

Banyan: Forward to the past

The future of the right: The People’s Revolutionary Conservative Front

Bagehot: Into the upside down

(コメント) 金融危機後の世界は、逆立ちしたままスケートするように、素晴らしいのか、危険なのか、その両方の評価と混乱を生じています。

アサドは権力を維持し、自国を破壊して、多くの難民と外国の支配下にあります。ECBのドラギ総裁が、退任する前に、もう1つのサプライズを実行するのかどうか。アルゼンチンは、超古典的な新興国の国際金融危機を再現しています。AIが決める戦争について、あるいは、長い内戦を終えた軍事指導者の政治的な逸脱と破壊について、中東や南アジアだけでなく、イギリスの議会も盛大に暴走する姿を世界にアピールしています。

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IPEの想像力 9/23/19

いつも月曜日、母と夕食をとり、そのあと、百名山のテレビ番組を観てから、自宅に帰ります。野鳥や高山植物を観て、ゆっくり登山することが楽しいと思うのは、都市で、時間に追われ、人とのつきあいにストレスを感じるからでしょう。

平和と繁栄を共有できるのか?

サウジアラビアの石油処理施設がドローンによる攻撃で破壊された。それは世界の石油供給を5%減らした。イエメンの反政府軍が攻撃を認め、内戦の終結を求める声明を出した。

安倍首相は国連総会で演説し、石油市場を人質にとる行為だ、と非難した。しかし、トランプ大統領にも言うべきではないのか? イラン核合意を破棄し、経済制裁を強めて、イランの体制崩壊を促した。ホルムズ海峡の防衛に、日本も軍を派遣するよう求めている。

巨額のミサイル防衛システムや戦闘機を購入したサウジアラビアが、はるかに安価なドローンによって石油施設に致命的打撃を受けた。給水パイプラインも狙われた。同じことは日本にも起きるだろう。イージス・アショアで、原発に対するドローン攻撃は防げない。

戦争を終える、というのは、1に、イエメン政府が軍事力を独占することだ。武装勢力は国家の権威に置き換えられる。国連が、武装解除を監視する、と国連特使は書いている。対立する政治党派が包括的にパートナーシップを組む。意見の相違は、軍事力ではなく、政治で解決する。政府は、交易の安全、海域の安全保障を確立する歴史的な責任を果たす。国家の将来を決めるのは、イエメン国民とその指導者だけである。

しかし、トランプも、ボリス・ジョンソンも、政治がうまくいかないことを示している。何が、これほど異常な指導者を生んだのか?  ROBERTO STEFAN FOAJONATHAN WILMOTは、グローバリゼーションと世界都市の関係に注目する。コスモポリタンな都市と、経済的周辺との格差は、西側に広がる新しい社会階級の分断となった。「人びとの住む場所が、ますます、その信念や価値観、帰属意識を決める新しい要因となっている。2016年のEU帰属を決めるイギリスの投票も、2017年のフランス大統領選挙も、それを示した。」

グローバリゼーションは、世界中の新興諸国において成長と分配を有利にしただけでなく、旧工業地域を衰退状態に追い込んだ。経済学が無責任な形で「証明」した金融市場の効率性や投資の国際的配分は、金融ビジネスや企業家の超富裕層を生みだす「不労所得資本主義」であった。

金融危機にもかかわらず、むしろ、金融危機になったからこそ、「大恐慌の再現」を恐れて、これほどいびつな、間違った社会政治秩序を救済し、再生させた。それが緊縮政策や地方への無関心、切り捨てを感じる人々に「怨嗟」と「怒り」を広め、ポピュリストたちに沃野を与えた。「社会民主主義」や「福祉国家」が復活し、「グリーン・ニュー・ディール」が支持を集めるのは当然である。

アメリカ軍が高度な兵器で武装すればするほど、貧しい国の政治をゆがめ、首都の利権が汚職と内戦、伝統的支配者たちのナショナリズムによる抵抗へ向かわせる。イエメン内戦は拡大し、アフガニスタンの和平交渉は失敗し、コロンビアの合意も崩れつつある。

外国から来て日本で働く労働者たちが、著しい不平等や不当な扱いを受けているのではないか。労働市場が、派遣や非正規の雇用を増やす中で、十分な食事の世話を受けられない子供たちが増えているのではないか。精一杯働いても、安定した暮らしが得られない、子供たちに成功の機会が失われている。国内でも世界でも、都市以外の、辺境の社会が衰退することを「市場」によって推進する時代は、逆転し始めた。

あるいは、平和も繁栄も、ポピュリズムに食い尽くされる。

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