IPEの果樹園2019
今週のReview
9/23-28
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大英帝国を失い、UKを解体するナショナリズム ・・・富裕層と環境破壊 ・・・ポピュリズムとメリトクラシー ・・・香港のネット革命と政治的妥協 ・・・技術革新と分配問題 ・・・中東の大渦巻き ・・・不労所得資本主義の興亡 ・・・大都市の繁栄と地方の怨嗟 ・・・オバマの大失敗
[長いReview]
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主要な出典 FP: Foreign Policy,
FT: Financial Times, Foreign Policy, The Guardian, NYT: New York
Times, PS: Project Syndicate, SPIEGEL, VOX: VoxEU.org, Yale Globalそして、The Economist (London)
[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.]
● 大英帝国を失い、UKを解体するナショナリズム
The
Guardian, Fri 13 Sep 2019
This
political crisis now goes far beyond Brexit – our very democracy is at stake
Jonathan Freedland
FT September
13, 2019
Brexit
threatens to reopen old wounds in Northern Ireland
Bronwen Maddox
北アイルランドの国境問題を解決することなしに、EU離脱の合意は成り立たない。
それは世界が終わったと思っている内戦だ。政府と反政府の武装集団が対峙し続けている。反政府派に加わらないように訴える、政府キャンペーンは続いている。午後9時以降の宣伝には、懲罰のために両膝を撃ち抜いた息子が映る。
プロテスタントとカソリックとの30年におよぶ内戦を終わらせたグッド・フライデー合意から20年以上経っても、緊張状態が残る。月曜日には、デリーで爆弾が発見された。新IRAと名乗る反政府の共和国派によるものだ。共和国派のシンフェインと民主統一党との紛争で、地方政府の権力共有は2年半以上も再開されない。
こうした問題は2016年のEU離脱をめぐる国民投票で議論されなかった。
The
Guardian, Sat 14 Sep 2019
I left
Russia to escape Putin’s assault on reason. Now I fear the UK is on the same
path
Peter Pomerantsev
FT September
15, 2019
An
Italian-style coalition could stop Brexit
Wolfgang Münchau
FT September
15, 2019
A
resolution to the Brexit impasse may be within sight
Vince Cable
PS Sep
17, 2019
Back to
Little England?
EDOARDO CAMPANELLA
歴史家たちは、Brexitを戦後のリベラルな国際秩序を一掃したナショナリズムの決定的瞬間と描くかもしれない。しかし、それはブリティッシュ・ナショナリズムではない点で、もっと複雑だ。逆に、ブリティッシュ・ナショナリズムはUK解体へ向かう。
北米、カリブ海域から、その後のインド、東南アジアまで、イングランド人は海外帝国を築く前に、ブリティッシュ諸島の南部や北西部で、内陸帝国を築いた。したがって「外部の帝国」がUKの異なるアイデンティティを共通のブリティッシュ・アイデンティティに収れんする一方で、「内部の帝国」は際立ってイングランド人の帝国だった。
何世紀にもわたり、帝国は富を生み出し、原材料を供給し、ブリティッシュ諸島の住民たちに世界中に散らばるプロフェッショナルな職業を提供してきた。その「文明化」の使命は、ある種の集団的な感覚を作り出すだけでなく、絶えることのない民主的・経済的な進歩の物語、を生み出した。
しかし、アイデンティティの融合はつねに不完全だった。
帝国が解体したときから、ブリテンをつなぐ紐帯も崩壊した。突如、イングランド人がブリテンを意味するようになった。2つの帝国の中核にあるイングランド人は、いつも、エスニックなイングリッシュ・ナショナリズムを抑制していた。それは統一と安定のためであり、自分たちが抑圧者とみなされないためだった。
しかし、彼らは「帝国人」である。そのナショナル・アイデンティティは、もしそんなものがあるとすれば、帝国の使命に固く結び付いている。第2次世界大戦中に、アメリカのF.D.ルーズベルト大統領はそう理解していた。「ブリティッシュは世界の至るところで土地を収奪した。あたかもそれが岩か砂州のように。」と彼はチャーチルに述べた。「400年におよぶ略奪者の本能をその血に受け継いでいる。」
ブリティッシュの栄光ある帝国の歴史は、常に、ヨーロッパの統合プロジェクトへの疑いを刺激した。UKは、ヨーロッパの(独仏の)帝国による植民地化を許すべきではない、と。ボリス・ジョンソンの「グローバル・ブリテン」戦略は、過去の帝国を再建する約束だ。
しかし、好戦的なイングランド人は理解していない。ブリティッシュ帝国の滅亡は、彼らのナショナル・アイデンティティを強め、自立を求めるだけでなく、そのようなイングランド人の政治的領土回復運動に対する防衛の意味で、スコットランド人、ウェールズ人、アイルランド人はEUを目指すだろう。
BrexitがUK解体の引き金を引く。
The
Guardian, Wed 18 Sep 2019
Will
Corbyn’s Brexit referendum strategy work? Our panel responds
Polly Toynbee, Tom Kibasi, Giles Wilkes,
Lisa Nandy
FT September
19, 2019
Boris
Johnson’s lies are plunging Britain into a dark morass
Philip Stephens
● 富裕層と環境破壊
FT September
13, 2019
Why this
climate change economist rocked my world
Tim Harford
PS Sep
16, 2019
Energy,
Employment, and Migration in Africa
KANDEH K. YUMKELLA
The
Guardian, Thu 19 Sep 2019
For the
sake of life on Earth, we must put a limit on wealth
George Monbiot
莫大な富は、自動的に、莫大な環境への負荷をもたらす。それは富を所有する者の意図とは関係ない。超富裕層というのは、ほぼその定義において、環境の大規模破壊者である。
数週間前に、プライベート・エアポートの労働者から、私は手紙を受け取った。彼は毎日、Global
7000ジェットやGulfstream G650、さらにはBoeing 737が、たった1人の乗客で空港を飛び立つのを見る。その多くはロシアやアメリカに向かう。Boeing 737は174人を乗せるジェット機だ。空港で2万5000リットルの燃料を給油される。アフリカの小さな都市なら1年間の使用量だ。
所得は、環境に対する負荷について、もっとも重要な決定要因である。余分の金があったら、環境問題を意識する人なら、ダイエットするだろう。肉を食べずに、オーガニックの野菜を食べる。しかし、移動・輸送の燃料や、消費する住宅のエネルギー、その他の材料には関心がない。
● ポピュリズムとメリトクラシー
PS Sep
13, 2019
The
Meritocracy Muddle
ERIC POSNER
「エリート」とは誰のことか? 「庶民」とか? それは地方に住んで、信仰心の篤い、保守的な人か? 「専門家」とは、「エリート」とどう違うのか?
アメリカには古くからポピュリズムがあった。建国過程で、新しい憲法に反対する人たちは、それがイギリスの貴族制に代わる、アメリカの貴族制を築くものだ、と商人やプランターのエリートたちを批判した。アンドリュー・ジャクソンは、ポピュリストたちの不満に依拠して、1828年に大統領になった。
アメリカ建国者たちは、政治権力をエリートたちの手にとどめるシステムを設計した。すなわち、上院を州の政治経験がある者に、大統領選挙と地域社会の指導者たち(選挙人団)に、下院のみを直接選挙によって、しかし、当時は裕福な白人男性だけだった。法廷は教育あるジェントルマンが務めた。数十年後に、現代の政党が現れたが、それは経験ある政治指導者、弁護士、富裕層、ジャーナリストなどが、ゲートキーパーとして、有権者の選択を慎重に制限した。
その後、200年を経て、上院や大統領選挙にも、システムの民主化が進んだ。しかし、人びとがエリートに対して持つ不満は続いた。人びとが政府に求める要求が増え、政府がますます複雑になると、官僚が経済・政治生活の多くの分野を支配するようになったからだ。
もっぱら農業による経済が、高度な分業と資本を使用する経済に代わったことで、システムは管理者エリート、そして高度に訓練された専門家、によって支配されるようになった。20世紀になると、こうしたエリートたちは、その政治的地位や専門性を高めた。そして、ますます大学が供給する修了証書を必要とするようになった。
専門家による支配は、ポピュリストたちを刺激し、爆発力を増した。ポピュリストが権力を握ったいくつかの国では、専門家たちへの反感が、農民たちの糾弾によって知識人を強制収容所に送った。
根本的問題は、専門家たちが、庶民の理解していない、選択したわけでもないルールに、従わせる点である。同意を得ない要求には、民主主義の原則を否定するものがある。
しかもわれわれは、専門家たちが本当に公共の利益、と彼らが主張するものを実現しているのか、そうではなく、彼ら自身の利益を実現しているのか、という正当な疑問を持つ。専門家たちを疑う多くの否定的なケースを、彼らは供給した。ベトナム戦争、ウォーターゲート事件、1970年代のスタグフレーション、イラン・コントラ事件、クリントンの弾劾裁判、イラク戦争、金融危機、ウォール街の救済。過去半世紀に、人びとは繰り返し、政治家や政府高官が彼らに常習的に嘘をつく、ということを学んだ。それは致命的な失敗を隠し、狭隘な私的利益をもたらす政策を偽るためだった。
エリートの定義が問題だ。彼らが何によって支配を正当化できるのか、明確ではない。政治家や政府に対する強い不信感はアメリカに限ったものではない。
人びとが裕福になるのは、生来の才能ではなく、その人々がたまたま正しい場所、正しい時期に、いたからである、と考えることができる。ビル・ゲイツは世界で最も裕福な1人だが、1970年代に、先進的なコンピューター・プログラミングを教える数すくない学校にいた。さまざまな幸運でPCsの生産を始めたが、ゲイツの途方もない富は、グローバリゼーションの時代にビジネスを始めたことによる。世界の人々がMicrosoftの製品を買ったのだ。
個人の成功は、おおむね親の与えた条件によって、またどこに住むかによって決まるのであって、彼らがその富に値する者だから、という説明は間違いである。
メリトクラシーより、再びアリストクラシー(貴族制)が支配的になっている。特に、富と、その家族の子供が受ける教育は、大きな違いをもたらすだろう。富裕層はその富を生産的に使用しても、その利益を受けるのは富裕層である。
その出口がないとき、ポピュリズムは大きな影響を持ち始める。
● IMFトップ人事
FT September
14, 2019
Kristalina
Georgieva: a tenacious talent to lead the IMF
James Politi and Kerin Hope
● 香港のネット革命と政治的妥協
FT September
14, 2019
Exchanges:
Hong Kong tests London’s post-Brexit loyalties
Patrick Jenkins and Philip Stafford in
London
FT September
17, 2019
Hong
Kong protesters should be more realistic in their goals
Weijian Shan
反送中の平和的なデモが始まってから、今では社会不安を広め、ガソリン爆弾、政府施設への襲撃、地下鉄構内の破壊活動に変わった。
香港人は自由を失った、と言うが、どんな自由を失ったのか? このようなデモで何を達成できるのか、考えてみるべきだ。
植民地時代と比べて、香港の統治は代表制を広げたのであり、減らしたのではない。イギリスの総監は女王によって任命された。それについて、香港の誰も発言できなかった。香港行政府も、すべてイギリスの総監が指名した。今は違う。
FP
SEPTEMBER 17, 2019
The
Chinese Communist Party Wants It All
BY ANDREAS FULDA
NYT Sept.
17, 2019
Hong
Kong’s Protests Could Be Another Social Media Revolution That Ends in Failure
By Thomas L. Friedman
香港のデモは、現代の民主主義を問う意味で、注目されている。自由を求める人々を、たとえ最も強力な専制国家によっても、弾圧できない。Twitterの時代には、すべての者が指導者になり、追従者になり、広報官や批評家になれる。妥協はほとんど不可能だ。
しかし、要求を100%実現する抗議活動はない。特に香港ではそうだ。そこには事実上、1国に3つのシステムがある。1.主権を握る北京政府がある。2.北京を支持する保守的な香港人がいる。イギリス植民地から継承した部分的な民主主義を受け入れている。3.都市に住む、完全な民主主義を望む、インターネットに精通した、街頭で抗議デモに参加する若者たちがいる。
唯一の可能な結果は、それらが妥協することだ。Alex
Lo(the South China Morning
Post)はその論説で、指導部なければ、取引ができない、と書いた。「われわれのソーシャルメディアが動かす革命は、例外なく、争乱をもたらすが、イスタンブールでも、カイロで、革命は失敗に終わった。」
私の考えでは、ソーシャル・ネットワークは権威主義体制を壊れやすくする(Egypt,
Jordan, Turkey and Russia)。しかしまた、権威主義体制の支配をさらに効果的にする(中国)。また、「真実の終わり」、「妥協の終わり」により、民主主義を統治不可能にする(America,
Brexit and Hong Kong)。
香港が前回の抗議活動を始めたのは、2014年8月31日に、北京の妥協案を拒んだ後だった。北京は香港に、指導者を選ぶ声を拡大する、と決定したのだ。1200人の選挙人委員会が行政長官を決めていた(今もそうだ)。委員会は、北京に忠実な、保守的な農民、ビジネスマン、漁民から成る。しかし北京は、委員会が候補者リストのみ決めて、その中から香港人が選挙を行うことを提案したのだ。
それは驚くほどの妥協ではないが、香港の民主主義を発展させる候補を選ぶことができただろう。提案を拒否し、2カ月にわたって香港各地を占拠した「雨傘革命」は、「1人1票」「制限なし」の完全な民主主義を求めた。
しかし、冷静な頭では、圧倒的なパワーを持つ北京に対して、妥協は有効な選択肢であったと思う。
FP
SEPTEMBER 18, 2019
Are Hong
Kong’s Protests Dying Down?
BY JAMES PALMER
● 超低金利
FT September
14, 2019
An
alternative to ‘helicopter money’ is already here
Neil Collins
PS Sep
17, 2019
Could
Ultra-Low Interest Rates Be Contractionary?
ERNEST LIU , ATIF MIAN, AMIR SUFI
● アメリカの戦争
NYT Sept.
14, 2019
The Only
Way to End ‘Endless War’
By Stephen Wertheim
● 技術革新と分配問題
The
Guardian, Sun 15 Sep 2019
The Guardian
view on the future of work: share out the benefits
Editorial
カリフォルニア州は、グローバル化した世界でも十分な規模を持つ、数少ない経済圏だ。これまでも自動車の安全性や排出規制で先行したケースがあった。カリフォルニア州はまた、ギグエコノミーが誕生した場所である。労働法やその他の規制を回避する、アルゴリズムに支配された経済である。州議会は、こうした契約労働者の搾取を許さない姿勢を示した。
The
Guardian, Tue 17 Sep 2019
The
Guardian view on worker-ownership plans: firms for the many, not the few
Editorial
NYT Sept.
17, 2019
The Autoworkers
Strike Is Bigger Than G.M.
By Steven Greenhouse
PS Sep
18, 2019
The
Economic Consequences of Automation
ROBERT SKIDELSKY
技術革新が、雇用を減らすのか、増やすのか、明確な答えはない。エコノミストは、短期的には減らすが、長期的には成長を高めて、雇用を増やす、と考える。しかし、それは抽象的な議論だ。
生産工程の革新は、労働を消滅させる。リカード、マルクス、ヒックスは、異なる答えを考えた。答えは、技術革新の性格、生産要素への需要、労働と資本のバランス、に依存する。
FT September
19, 2019
Something
is seriously awry in the world of work
Diane Coyle
● 米中貿易戦争
FT September
15, 2019
How
China dodged a trade war recession
Gavyn Davies
FT September
16, 2019
Trump’s
targeting of Vietnam is misguided
FT September
19, 2019
Trump is
serious about US divorce from China
Edward Luce
トランプが米中貿易戦争について、選挙を意識して、停戦に合意するのか、わからない。しかし、彼の戦略は変わらないだろう。
米中のウィン・ウィンは終わった。トランプはこれをウィン・ルーズとみている。しかし、それはアメリカが緩やかに損失を拡大するからだ。ルーズ・ルーズになるだろう。
FT September
19, 2019
Taiwan’s
tech sector offers insulation from US-China trade tensions
Henny Sender
● 日本のポピュリズム
FT September
15, 2019
Japan
has its own form of populism and we can learn from it
Takeshi Niinami
日本はなぜポピュリズムに向かわないのか? しかし、「人民のために」というのがポピュリズムであれば、日本はすでにポピュリズムの国だ。
GDPの2倍を超える債務を負っている。75歳以上の高齢者は医療費の10%しか支払わない。中小企業は、優遇策や補助金でグローバリゼーションから守られている。これらは欧米でポピュリズムを広めた不満の源だ。
日本の政治構造は、頻繁に選挙を行い、有権者の利益を取り込んだ。その結果、財政赤字は累積し、増税に長い時間がかかる。
「人民のために」利益を先回りして実現する(忖度する)ポピュリズム政治は、人びとが将来の成長を期待せず、ただ痛みを避ける状態にした。バブル崩壊後のマイナス成長や長期停滞は、政府支出だけに頼ってきた。
この債務と政府に依存した悪循環を抜け出すためには、技術革新の破壊力が必要だ。
● 中東の大渦巻き
The
Guardian, Mon 16 Sep 2019
The
world ignored the warning signs – and now the Middle East is on the brink
Simon Tisdall
猛烈な渦巻きのように、反対方向からの風が舞い上がって、アラビア湾の危機は日増しにその強度と破壊力を増している。
イランを責めるのは簡単だろう。十分な証拠も示さずに英米政府が当たり前のように主張し続けている。しかし、われわれをこの大きな嵐に巻き込むのは、連続する西側と地域の誤算である。
イスラエルからサウジアラビアまで、地域の諸国家含む戦争になるのか? アメリカ、イギリス、さらにはロシアの軍隊まで参加するのか?
確かにイランの体制は、1979年の革命以後、アメリカによる脅威を意味してきた。しかし、現在の危機の拡大をもたらしたのは、トランプである。その間違った判断が、地政学的な亀裂を拡大し、火を放った。
NYT Sept.
16, 2019
We Can
End the War in Yemen
By Martin Griffiths(the United Nations special envoy for Yemen)
9月14日、サウジアラビア、アラムコの施設に対するドローンの攻撃で、サウジの原油生産能力の約半分が破壊された。イエメンのフーシ派が犯行声明を出した。しかし、サウジアラビアとアメリカはイランを非難している。戦争と世界経済の不安定化をもたらす脅威である。
多くの戦争には解決策がない。敵対する諸国が戦争を利用し、敵対するイデオローグが対立を煽り、犠牲者の声を無視する。
戦争を終わらせる合意には、必ず7つの要素がある。
1.イエメン政府が軍事力を独占する。武装勢力は国家の権威に置き換えられる。国連が、武装解除を監視することだ。
2.政府は連合を超えるものでなければならない。政治党派が包括的にパートナーシップを組む。意見の相違は、軍事力ではなく、政治で解決する。
3.自国を隣国やそれを超えた外国への攻撃に利用させない。
4.政府は、交易の安全、海域の安全保障を確立する歴史的な責任を果たす。
5.テロリストの脅威を一掃する。
6.近隣諸国は、交易を行い、戦争による障壁をなくして、イエメン国民の平和と繁栄を保障する。
7.国家の将来を決めるのは、イエメン国民とその指導者だけである。
この方針は、1年足らず前に、アメリカのポンぺオ国務長官、マティス国防長官も示したものだ。それは当時も、今も、正しい。イエメンは和平をこれ以上待つことができない。待つ必要もない。
FP
SEPTEMBER 16, 2019
Former
5th Fleet Commander: Iran Attacks on Saudi Oil a ‘Significant Escalation’
BY LARA SELIGMAN
NYT Sept.
16, 2019
Iran
Might Be America’s Enemy, but Saudi Arabia Is No Friend
By Andrew J. Bacevich
FT September
17, 2019
The
Saudi oil crisis, volatile leaders and the risk of escalation
Gideon Rachman
長い間、グローバルな地政学リスクのリストで最上位に近い位置を占めたのは、「サウジの石油施設に対する攻撃」だった。今、それが起きたのだ。
1970年代の石油危機の記憶が今も強い。しかし、関係する大国は、サウジもアメリカも、イランも、戦争を避けたがっている。
その指導者たちは、頑迷で、リスクを好むことが問題だ。
FT September
17, 2019
Iran has
embarked on a dangerous provocation
FT September
17, 2019
When
Donald Trump discovered the real Middle East
Roula Khalaf
われわれを傷つけるなら、お前の友人を傷つける。それがイランの戦略だった。その目的は、アメリカがイランの制裁を課し、石油輸出を禁止するなら、その痛みは地域に広がる。他国も輸出させない。
サウジ王室の重要施設を攻撃したことは、これまでのルールを破った。影響は世界の石油供給を5%減らし、石油価格は10%上昇した。1990年、サダム・フセインのクウェート侵攻を思い出すだろう。
攻撃を行ったのが、イエメンのフーシ派か、イラクの拠点か、イランからか、まだわからない。それにもかかわらず、イランの責任が明白であり、限度を超えたものだった。
しかし、危機は予測できたことだ。トランプは中東で何を自分がしているのか、わかっていない。自分は取引によって、オバマを超える好条件で合意する、と信じた。しかし、イランの体制には耐えられない圧力であり、イランは防衛のために攻撃に向かい、多くの武装勢力を周辺諸国に持っている。
それはまた、リヤドの失敗であった。4年におよぶイエメンへの軍事攻撃は、フーシ派勢力を抑え込めなかった。当初、イランの影響などなかったイエメンで、今では明確な支援を受けている。
すでに解任されたジョン・ボルトンは、圧力によってイランの体制が崩壊するか、アメリカ軍が侵攻することを目指しただろう。トランプは、脅迫しても戦争せず、イラン政府が彼に屈すると考えた。しかし、イランはトランプの望む条件では交渉しない。
アメリカがイランを攻撃すれば、サウジアラビアはさらに攻撃を受ける。
制御不可能な中東の紛争を、トランプは再選キャンペーンに利用しようとした。歴史を学ばず、細部を知らない、そんなトランプが、中東で危機を起こすことがいかに容易で、それを制御し、ましてや終結させることがいかに難しいか、発見しつつある。
FP
SEPTEMBER 17, 2019
This Is
the Moment That Decides the Future of the Middle East
BY STEVEN A. COOK
FT September
18, 2019
The
impossible promise of a US Middle East withdrawal
Janan Ganesh
NYT Sept.
18, 2019
We’re
Not the Saudis’ Mercenaries
By Nicholas Kristof
われわれは悪夢の始まりを観ている。ポンぺオ国務長官は、サウジ石油処理施設への攻撃を「戦争行為」とよんだ。
イランは、トランプが「ライオンではなく、ラビットだ」と結論した。他方、アメリカのタカ派は、トランプにイランへの攻撃を要求する。
イランとの全面戦争は破滅である。イランの人口はイラクの2倍であり、はるかに恐るべき敵となる。
トランプはジレンマに直面する。行動しなければ弱虫とみなされ、攻撃すればエスカレーションにつながる。しかし、このジレンマを作ったのはトランプである。
われわれはサウジアラビアの番犬やペットである必要はない。確かに、イランは国際安全保障の脅威である。しかし、サウジアラビアもそうだ。レバノン首相を誘拐し、カタールとの断交や、史上最悪の人道的危機となったイエメンとの戦争を続けているのは、サウジである。
もしムハマド皇太子がイランに軍事的報復を望むなら、自国の戦闘機とミサイルで行うべきだ。これはわれわれの戦争ではない。米兵の墓地にしてはならない。
ともに、女性を差別する、地域を不安定化する抑圧体制が、闘っている。サウジアラビアの防衛でたっぷり支払いを受けている、というトランプの示唆は、米軍への侮辱であり、殺人狂の王様に仕える傭兵とみなすものだ。
われわれの仕事は、ヨーロッパ諸国と協力し、この泥沼を出て、イランとの核合意を目指すことだ。
NYT Sept.
19, 2019
The End
of Saudi Arabia’s Illusion
By Robert F. Worth
● カシミール
FT September
16, 2019
A voice
pierces the silence imposed on Kashmir
Amy Kazmin
NYT Sept.
19, 2019
India Is
Building a More Prosperous Kashmir
By Harsh Vardhan Shringla
(後半へ続く)