(前半から続く)
● ギリシャとイタリアの並行通貨案
FP JUNE 14, 2019
Europe’s Dream: Escaping the Dictatorship of the Dollar
BY KEITH JOHNSON
ヨーロッパは、アメリカの金融的な支配、ドルのグローバルな支配から逃れることを強く願ってきた。それは独仏の指導者たちが経済的主権を回復して以来、そうだった。しかし、そのような主張は、現実の行動を伴わなかった。今もなお、彼らはワシントンの強硬な戦術に対して、まったく脆弱なままである。
PS Jun
17, 2019
Fiscal
Money Can Make or Break the Euro
YANIS VAROUFAKIS
自分のプランを見ているようだが、その意図は反対である、と感じた。イタリア政府が、2015年にギリシャが提案した財政的貨幣の一種を計画している。
私のアイデアは、税金に裏付けされたデジタル支払システムを創って、ギリシャやイタリアのように、財政政策の余地を必要としている諸国に利用させることだった。イタリアの計画は、対照的に、並行支払システムであり、ユーロ圏を破壊することになる。
私の計画では、すべての個人と企業は財務省に納税口座(TA)と暗証番号を自動的に与えられ、個々のTA間で、また国家との間で、資金を移転できる。あるTAに対して、納税の遅れを国家が融資することで、この仕組みにより、他のTAへの支払いが清算されることになる。また、個人や企業は他のTA納税額を、ウェブ・バンキングを通じて、割り引いて購入することができる。すると税金の割引になる。公的債務の非仲介化された市場が形成される。
ユーロ圏加盟国の財務省は自由に債券を発行できる。また、民間企業が貨幣のようなトークンを発行し、相互に取引することも合法である。違法であるのは、その財務省デジタル・クレジットを民間の支払いとして強制することだ。
私は並行通貨を否定した。それは望ましくないし、目的にかなわない。新しい国民通貨を創って、国民に支払っても、その価値は急速に失われ、個人や企業の債務はユーロ建のままである。それは債務の支払い不能、ユーロ圏解体に至る。銀行の取り付け、資本逃避、それゆえユーロ圏離脱を強いられるからだ。
当時、ECBがギリシャ債務に融資するのを止めると脅し、ギリシャの国民が第3次救済融資を受け入れるように迫っていた。もし私の並行・ユーロ建支払システムが実現していたら、支払いは銀行からTA口座に大幅に移転し、ECBの脅迫の力を削いでいただろう。そして政府は、新通貨発行の開始ボタンを得たのだ。
それが新ドラクマの引き金になったのか? あるいは、トロイカがECBを使って救済融資を強制するのを阻止できたのか? どちらになるかは政治が決めただろう。われわれはギリシャがユーロ圏に残り、交渉力を得ることを望んでいた。経済成長を回復し、長期的な財政の持続可能性を確保するために、債務の大幅削減を求めただろう。ECBとギリシャ財務省は協力して、並行支払システムを支持すればよかった。
イタリアのミニBOTは違う。第1に、ミニBOTは、私が反対した、印刷された債券である。第2に、ミニBOTは金利の付かない永久債である。決定的な違いは、その政治的な意味だ。私の提案は、ユーロ圏離脱のコストを下げ、ユーロ圏の意思決定を文明化するものだった。他方、イタリアはユーロ圏の破壊に至る。
FT June
17, 2019
ECB
faces crucial test of credibility
Frederik Ducrozet
FT June
18, 2019
We need
transparency to keep countries out of a debt spiral
Axel
Weber(chairman of UBS and IIF)
IIF(the Institute of International Finance)によれば、世界の債務残高はGDPの317%にも達している。2008年の金融危機後、低金利とマイナス金利が続いたためだ。世界の債務は70兆ドル、GDPの25%も増え、その増加分の40%が政府債務である。
債務は経済発展の重要な役割を担うものだ。長期投資は生産性を高める。しかし、過剰な債務は、貸し手にも借り手にもリスクとなる。過剰な債務の判定には、もっと透明性を高める必要がある。G20は共通ルールの厳格な適用と、そのためのガバナンスに向けて協力する必要がある。
VOX 18
June 2019
Risk
sharing plus market discipline: A new paradigm for euro area reform? A Debate
Jean Pisani-Ferry, Jeromin Zettelmeyer
FT June
19, 2019
Trump
hits out at Draghi over fresh stimulus signal
Claire Jones in Sintra and Chris Giles and
Katie Martin in London
PS Jun
20, 2019
From
Versailles to the Euro
ROBERT SKIDELSKY
今月はヴェルサイユ条約成立から100年である。ある意味で、その立場が入れ替わった。条約は膨大な賠償金をドイツに課したが、今のドイツは、ユーロ圏の仲間であるギリシャに多額の債務支払いを求める指導国である。
そのゲームは同じだ。債権者は生身(現金支払い)を求め、債務者はそれを避けたい。債務者は債務免除を求め、債権者は「モラル・ハザード」を警戒し、その不安定化や、債務国を貧しくすることで生じる感染は無視する。残念ながら、ユーロ圏はヴェルサイユ条約から何も学ばなかった。J.M.ケインズの警告を無視してきた。
第1次大戦が終わったとき、勝利した連合諸国はドイツが戦争によって生じた損害を「賠償」するべきだと決めた。しかし、その額は合意できず、1921年までに賠償委員会が決める、とした。
ケインズは、1921年の論争的な『平和の経済的帰結』で、ドイツが消費を抑えれば、その貿易黒字額を2億5000万ドル、国民所得の2%と考え、賠償額は30年間で75億ドルである、とした。
1921年5月、委員会は賠償額を330億ドルと確定した。しかし、実質的には125億ドルに減額し、年3億5000万ドルの支払いを求めた。その仕組みは、ドイツが3種類の債券を発行し、そのAとBの利子・元本を返済するだけで、Cへの支払いは無視することだった。
この膨大な賠償額のフィクションは、1920年代の現実的な少額の支払いによって維持された。実際は、現実の債務を支払う準備もしなかった。新しい融資を得られる限りで返済したのだ。1926年にケインズは容赦なく述べた。「アメリカはドイツに金を貸し、ドイツはそれを連合諸国に移転し、連合諸国はアメリカ政府に払い戻す。実際は何も進まない。」
その後アメリカの株価が暴落し、大恐慌になって、ドイツへの融資はなくなった。増税と政府支出の削減で、ドイツは1929-31年の債務支払いを行ったが、不況を強め、経済は25%縮小し、失業率が35%に達した。ブリューニングHeinrich
Brüning首相の「責任遂行」政策は、債務を拒否するアドルフ・ヒトラーへと至る。
現在のユーロ圏は、第1次大戦後のヨーロッパと多くの点でそっくりだ。
1919年にケインズは書いた。「数百万の人間の生活を悪化させる、その国全体の幸福を破壊する政策は、恐ろしく、嫌悪すべきものだ。」 また、緊縮策は理論的にも間違いだ、と彼は論じていた。ある国の所得減少は他の国でも所得を減らす。不況が拡大し、回復は遅れる。
1世紀を隔てた2つの例が示す教訓は、各国が債権者・債務者の関係を脱するべきだ、ということだ。そして、社会的・政治的な平和を保つのに必要な公平な取引を行う。
● 地球温暖化
The Guardian, Sat 15 Jun 2019
We must transform our lives and values to save this burning planet
Susanna Rustin
● 連銀は何を守るのか
FT June 15, 2019
US economy: the Fed tries to predict politics
James Politi in
Washington
FT June
21, 2019
The
question is not whether the Fed will cut rates but why
Megan
Greene
水曜日に連銀が打ち出した金融緩和に向けた方針が示された。しかし、問題は金利引き下げを受け入れるかどうかではない。投資家が問うのは、何のための金利下げか? ということだ。もし成長やインフレ目標を達成できないなら、連銀の信認は失われる。
しかし、成長を妨げているのは借り入れのコストではない。金融危機後の7年に及ぶゼロ位金利もインフレ目標を達成できなかった。
問題は投資活動にある。企業は、トランプ大統領の通商政策を懸念している。関税のコストやサプライ・チェーンの混乱は、企業の支出を遅らせる。大統領による関税引き上げで脅す最近のツイートが、連銀に金融緩和を促した。しかし、連銀は通商政策に影響できないし、タイミングも合わない。消費と投資が、この景気上昇の末期に、増加するとは言えない。
株価は記録的な水準にあるから、金融緩和は金融の安定性を脅かすだろう。低インフレや物価下落も連銀の懸念することだ。しかし、金融政策は構造的な問題に対する効果的な手段ではない。技術革新やグローバリゼーションがそうだ。
もし連銀の金利引き下げが効果を持たす、その信任を破壊するだけなら、将来の不況に対して致命的な失敗となるだろう。
● 中国消費者のボイコット
FT June 15, 2019
Renminbi weakness is not a sign of manipulation
FT June
20, 2019
US
companies should fear China’s consumers more than its government
Peter Vanham
一見、アメリカは中国との貿易戦争で優位に立っている。2国間のアメリカ貿易赤字は、昨年、4190億ドルもあり、中国の製品にそれだけ多くの関税を課すことができるからだ。
しかし、もっと重要な数字がある。それは中国の消費者がアメリカ製品をボイコットする力だ。もし彼らが動けば、アメリカ企業は即座に、しかも永久に、重大な打撃を受ける。中国市場の競争は厳しく、競争企業がボイコットの影響をアメリカ企業の追放に変える。
たとえば、韓国のロッテがそうだ。ロッテは大型小売店として、2017年に中国で112店を展開していた。しかし、韓国政府がアメリカからTHAADアンチ・ミサイル・システムの導入を決定し、中国政府はそれに反対した。ロッテがその用地を政府に売却した後、消費者たちはボイコットを始めた。主要メディアやSNSがボイコットを広めた。
2012年には、日本の自動車がボイコットされて、中国での売り上げは11%減少した。当時、日中間で尖閣諸島の領有権が紛争となっていた。
フィリピンの前政権は、南シナ海で、中国と領有権争いを生じていた。バナナ生産者は、その最大の市場で買い手を失ったことを知った。しかし、ドゥテルテが大統領に当選し、中国との関係を改善すると、消費者は戻ってきた。2017年、中国向けのバナナ輸出は前年比50%増加して、2億8800万ドルに達した。
人民大学のJin
Canrong教授は、the Global Timesのコラムに書いた。アメリカ企業は早くから中国市場で多くの利潤を得た。それは中国企業がアメリカ市場であげた利潤より多い。アメリカ企業へのボイコットは、レアアースの輸出禁止、アメリカ財務省証券の大量売却とともに、中国の交渉カードである、と。
すでにStarbucks,
Apple、GMなどが、中国市場で競争相手に厳しく追い上げられている。もしボイコットが始まれば、アメリカ企業は世界最大の市場を失うだろう。
● スーダンの弾圧
NYT June 15, 2019
Sudan’s Uncertain Path to Democracy
By The Editorial Board
独裁者が大衆の怒りによって失脚すると、しばしばその仲間たちは騒ぎが鎮まるまで静かにしている。それは将軍たちや秘密警察、彼の家族だ。彼らは反政府抗議をなだめるために独裁者を非難するが、可能な限り速やかに、権威主義体制を再建する。それはスーダンで起きていることだ。アメリカ政府は民主的政府への平和的移行を仲介するために、彼らを阻止するべきだ。
選挙が実施されるまで、暫定軍事評議会が権力を握ると将軍たちが発表したとき、抗議運動は軍の司令部に向かった。そして民間人が移行期を責任あるものにするよう要求した。双方の間で緊迫した対話が数週間続いたあと、軍は弾圧に動いた。ダルフールの虐殺にかかわった準軍事組織が、6月3日、抗議運動のキャンプを襲撃し、数十人を殺害、数百人を傷つけた。死者の数を隠すために、多数の死体がナイル川に流された。分散した指導者たちが、ゼネラル・ストライキを呼びかけた。
軍が虐殺を止めたのは、アメリカ政府が平和的な解決を要求したからだ。アメリカは数十億ドルの人道支援を行っており、スーダンをテロ支援国家として指定し、外国投資を止めている。それはアメリカに効果的な仲介の役割を可能にするテコである。
しかし、将軍たちにも強力な支援者がいる。サウジアラビア、アラブ首長国連邦、エジプトだ。その権威主義体制は「人民のパワー」に強く反対する。しかも、彼らはドナルド・トランプの同盟者である。
The Guardian, Sun 16 Jun 2019
If you want to help Sudan, amplify the voices of those suffering
its horrors
Nesrine Malik
● 鉄道とインターネット
FT June 16, 2019
Big Tech is America’s new ‘railroad problem’
Rana Foroohar
インターネットはわれわれの時代の鉄道である。世界の商業・通信の大部分を担う、本質において公共インフラである。しかし、インターネットを支配する企業は民間部門であり、利潤追求を目的とする。かつて鉄道がそうであったように、独占問題が生じている。
しかし、われわれの時代の大企業は、すでに政治システムを支配している。
● ドイツ・モデル
FT June
17, 2019
Germany’s
economic model is not the problem
Marcel
Fratzscher
ドイツの経済モデルではなく、2つの幻想による政策の失敗が問題である。
ドイツ経済は、その輸出を地理的にも、部門間でも、多様化してきた。輸出は、高齢化や新興市場の追い上げにもかかわらず、ドイツの所得を増やし、安定化に貢献した。その強さは、弾力的で、高度に技術革新的な、特化した、中規模の家族経営企業にある。雇用者と組合との社会的パートナーシップや社会福祉国家が、それを支えてきた。
第1の危険な幻想は、ドイツが改革を実施し、他のユーロ圏諸国も同じように改革すれば問題は焼結できる、というものだ。ドイツは、過去10年間、重要な改革を行わなかった。公的・私的な投資不足は生産性の上昇を、特に非貿易部門で損なっている。2017年、経常収支黒字がGDPの8%に達した。
低生産性が低賃金部門を拡大している。地域間不平等や社会の分極化が進んでいるのに、政府は既得権の懐柔に努め、好況を経済モデルの改革に利用しなかった。
第2の危険な幻想は、ドイツがヨーロッパを必要としない、EUやユーロ圏をドイツの税金が奪われる移転同盟だ、とみなすことだ。これはドイツ国民がマクロン大統領のユーロ圏改革を支持しない理由となった。しかし、ユーロ圏から最も多くの利益を受けているのがドイツである。米中の地政学的な対立において、ドイツはより一層の統合化、強いEUを必要としている。
ドイツの政治エリートはそのことを認めない。
● 移民政策
FT June
17, 2019
US-Mexico
migrant deal is part of a shabby trend
PS Jun
17, 2019
Is
Immigrant-Bashing a Vote Winner for the Left?
PHILIPPE LEGRAIN
PS Jun
20, 2019
Making
Migration Work for Everyone
MD.
SHAHIDUL HAQUE
● ポピュリズムと政治の回復
NYT June
17, 2019
Why
Isn’t Trump a Real Populist?
By
Paul Krugman
トランプは、教育を受けていない貧しい労働者たちが好きだ、と述べた。そして彼らの半数以上がトランプを支持した。しかし、トランプが大統領になってから、彼らのために何もしていない。トランプは、その肌の色にかかわらず、貧しい労働者たちより、富裕層のために決定した。同じポピュリストと呼ばれても、オルバンとは全く違う。
FP JUNE
18, 2019
The
Secret Sources of Populism
BY BRUNO MAÇÃES
The
Guardian, Thu 20 Jun 2019
Europe
must stop this disgrace: Viktor Orbán is dismantling democracy
Timothy
Garton Ash
ハンガリーのオルバンは、民主主義を破壊し、EUの基本的な諸価値を否定して、民主主義国家の共同体であることを破壊した。「非リベラルな民主主義」という呼び名は、「リベラルな民主主義」に対する彼らの主張であっても、その実態は民主主義の破壊者だ。
EUは、何よりも、彼らの体制強化にEUからの補助金が使われていることを見直すべきだ。その額は年間30億ユーロ、ハンガリーのGDPの3%に近い。
オルバンの体制をその実態に即して否定し、ただちに、共産主義体制後の経済、東欧の汚職問題に詳しい、EU検察官を任命するべきだ。
PS Jun
19, 2019
Teflon
Populism
SŁAWOMIR SIERAKOWSKI
FP JUNE
20, 2019
Papa,
Don’t Preach
BY ANNA MOMIGLIANO
イタリア政府の副首相であるサルヴィーニMatteo
Salviniは、「6000万人イタリア国民の法王のように」感じる、と述べた。これに対して、リベラルなミラノ市長は、サルヴィーニをパパとは呼びたくない、と応えた。
サルヴィーニに対抗する政治家はイタリア政界にいなかった。真に彼に対抗できるのは、ローマ法王だけである。法王フランシスとサルヴィーニは、単に、意見が合わない、おそらくは、互いを嫌う指導者であっただけではない。ますます分裂する国で、西洋文明や価値に関する2人の敵対する意見は、まさにイタリア人の魂をめぐる闘いになった。
YaleGlobal,
Thursday, June 20, 2019
On
Restoring Responsible Political Parties
Frances McCall Rosenbluth and Ian Shapiro
有権者たちは政治から疎外され、政治に対する不満や怒りが高まるのには、多くの理由があった。黄金時代と言われながら、一部の超富裕層に富が集中した。2008年の世界金融危機で、何百万のもの人々が貯蓄や住宅を失った。汚職のスキャンダル、反西側のテロ、低成長と高齢化は財政赤字を増やし、医療費や年金の不安を強めた。
有権者からの支持を高めるために、政治家たちは権力を分散し、有権者との距離を縮めようとした。しかし、それは政府の能力を削ぐ結果になった。議会と2大政党による政治、ウェストミンスター・モデルが崩壊し、権力分散がシステムを全体として弱め、選挙はますます小さな問題に強い関心を示すマイノリティーが代表を決めた。
むしろ、集権化された政治システムにおける中心的な存在、代表制民主主義の悪意も多く持つが中核的な制度を復活させるべきだ。すなわち、それは政党である。政党は、異なる選挙区のさまざまな代表から、全体の政策綱領を形成して選挙に挑む。党首は候補者に対する強い権限を持ち、政党として選挙の勝利を指導する。政党の政策綱領は、その国全体の長期的な改革を目標に、その実現を競うのだ。
● 倫理的投資
FT June
18, 2019
Ethical
investing has reached a tipping point
Gillian Tett
● Facebookの世界通貨発行
FT June
18, 2019
Facebook’s
Libra coin is a symptom of banks’ flaws
FT June
18, 2019
The
great ‘unnewsed’ struggle to participate fully in democracy
Polly Curtis
20年前、インターネットが社会を平等化し、民主主義を再建する、というユートピアを私は信じていた。しかし、インターネットは確かに権力構造を破壊したが、新しい、まだ認知されていない危機を創りだしている。それは「アンニュースド」人口の出現だ。
ニュースを見ない人々は、若く、教育を受けておらず、貧しい。あたかも階級のように、民主的な社会に蓄積している。
FT June
18, 2019
What
exactly is Facebook's Libra Reserve?
By: Colby Smith and Izabella Kaminska
NYT June
19, 2019
Launching
a Global Currency Is a Bold, Bad Move for Facebook
By
Matt Stoller
火曜日、Facebookは、Uber,
Spotify, PayPal and VISAのような大企業と並んで、Libraと呼ばれる新しい世界通貨を創る、と発表した。世界は、安定した、インフレにならない、広く世界中で受領され、交換可能な、デジタル通貨を必要としている、と。
Facebookの子会社Calibraが、個人や企業に、貯蓄、支払い、送金のような金融サービスを提供する。通貨価値の基準、中央銀行、準備を設定する。
すでにBitcoin、Rippleなど、暗号通貨cryptocurrenciesが多く存在する。しかし、暗号通貨は利用者の意志に依拠するだけで、それ自体の価値はなく、政府も価値を保証しない。それゆえ価値が不安定だ。Libraの価値は、準備によって保証される。準備は、ドルとしてどこかに保有される。しかも、暗号通貨が実際には使用しにくいのに対して、LibraはFacebookやWhatsAppで使用でき、利用者に優しい。
Facebookの新通貨について、問題は4つある。第1に、もっとも単純なことだが、システム開発には莫大な投資が必要だ。銀行には多くの規制がある。資金洗浄、テロ活動の資金調達、脱税、偽造通貨を防がねばならない。
第2に、アメリカでは南北戦争以来、銀行業と商業とを分離してきた。銀行業や支払業務は特殊なビジネスであり、顧客の秘密情報に直接かかわる。銀行が互いに顧客をめぐって激しく競争することを、アメリカは歴史的に好まなかった。
第3に、システム・リスクが生じる。Libraの準備として保有される結果、債券市場や金融資産の価格が変動する。もしシステムに侵入されたり、準備を盗まれたりしたらどうなるのか? 利用者がLibraを売ったとき、準備資産が一斉に売却されたらどうなるのか? 大き過ぎて潰せない、民間国際決済ネットワークを創って、税金で救済するような事態は避けるべきだ。
第4に、Libraは国家安全保障や主権を侵す。市場の開放性は常に正しいものではない。その判断は政治に求められる。たとえば、アメリカは自国の金融システムの利用を拒むことで、個人や企業、国家に対して制裁を行う。もし並行して民間の国際決済システムがあれば、制裁の効果は失われるだろう。ベンチャー企業やFacebookの重役たちが北朝鮮に対する制裁の成否を決める。
数年前、ザッカーバーグMark
Zuckerbergは、Facebookが企業ではなく、ますます政府のような存在になる、と述べた。「われわれが本当に政策を決めている。」 彼は、あたかも主権国家のように行動してきた。たとえば、Facebookのコンテンツを最高裁判所に似た独立の法廷で決める。
今、彼は世界通貨を創出しつつある。
PS Jun
20, 2019
Facebook’s
Libra Must Be Stopped
KATHARINA PISTOR
26億人が活発に利用する、民間の、摩擦のない、支払システムを創る、というのは魅力あるアイデアだ。しかし、すべての銀行家や金融政策担当者が知っているように、支払システムには流動性がされる。それは民間企業が提供できないものだ。
国家でさえ、通貨価値を固定することは単なる安全性の幻想である。「事情が変われば」、多くの国家がその固定制を放棄した。2008年、アイルランドの金融危機を思い出せばよい。国家が民間銀行の債務を引き受けた途端、政府債務危機が起きた。
FacebookはLibraを単なる民間企業として進めている。しかし、民間企業は通貨価値を保証できない。Libraの価値は、通貨(政府が発行する人工貨幣)のバスケットによって保証されるようだ。需要によってそれらと交換可能とされる。しかし、それは幻想だ。Facebookが固定した通貨を無限に保有しているわけではない。
2008年9月にMMF(money
market funds少額で売買できる投資ファンド)はどうなったか。MMFの投資家は、それが銀行預金のように扱える、と約束された。しかし、リーマンブラザーズが倒産すると、投資家たちは一斉に売却しようとして、すべてのMMFと銀行への取り付けが起きるのを防ぐため、連銀が介入して流動性を供給した。Libraを救済する介入額ははるかに大きいだろう。
あるいは、銀行などと同じように、政府もリビング・ウィル(清算計画)を書くべきだ。しかし、多くの疑問が残る。多くの政府が頼めば、連銀のバーナンキが2008年9月、ECBのドラギが2012年7月にしたように、通貨は生き延びるのか? それに関わるすべての中央銀行は協力し、救済する力を発揮できだろうるか?
Facebookの計画を止めるべきだ。もし実現すれば、われわれがその代償を支払う。
NYT June
20, 2019
The Real
Reason for Facebook’s New Cryptocurrency
By Kevin Werbach
● 中国の新技術
FT June
18, 2019
China
and new tech generation shake old notions of good branding
John Gapper
● モルシの死
NYT June
18, 2019
Mohamed
Morsi’s Slow-Motion Death Sentence
By Mona Eltahawy
● メイの盛衰
YaleGlobal,
Tuesday, June 18, 2019
The Rise
and Fall of Theresa May
Joan Johnson-Freese and Chuck Houston
● ジャーナリスト
PS Jun
18, 2019
Justice
for Journalists
LEON WILLEMS
The
Guardian, Wed 19 Jun 2019
The
Guardian view on Jamal Khashoggi’s murder: Saudi Arabia and its friends
Editorial
● モディのインド
FT June
19, 2019
India
after Narendra Modi’s electoral earthquake
Martin
Wolf
選挙で勝利したモディはその個人としての栄光を手にし、国民会議派を粉砕し、ヒンドゥー・ナショナリズムを広めた。しかし、銀行の不良債権処理など、経済成長に必要な改革の遅れが懸念される。勝利したことで、強権的な手法を制度化したプーチンやエルドアンのような、改革の後退に向かうかもしれない。
● ドイツ緑の党
SPIEGEL
ONLINE 06/19/2019
Sudden
Success
Germany's
Green Party Faces Serious Growing Pains
By DER SPIEGEL Staff
NYT June
19, 2019
The
Greens Are Germany’s Leading Political Party. Wait, What?
By Jochen Bittner
● G20
PS Jun
19, 2019
The Lost
Spirit of the G20
JAVIER SOLANA
2008年11月にG20が初めて集まったのは、世界金融危機の最中であった。共同宣言は、保護主義に反対し、金融不安が高まる中で内向きの政策を取らないように求めた。
今は全く違う。特に、アメリカのトランプ政権は、問題を最高点にまで悪化させた。2国間の貿易赤字を嫌うトランプの感情に、米中のグローバルな覇権争いが加わり、アメリカはWTOルールの例外である「安全保障」を理由に関税引き上げを多用する。アメリカはドルの覇権を失い、ドル安による輸出の利益を得るかもしれないが、その戦略的な地位を破壊する。
● アフリカのデジタル革命
FT June
20, 2019
The
fight to control Africa’s digital revolution
David Pilling
● 中央銀行と新技術
FT June
20, 2019
Don’t
have too much faith in our central banking superheroes
Vishnu Kurella
FT June
20, 2019
Don’t
count on the Fed and ECB to revive emerging market growth
Brian Coulton and Robert Sierra
FT June
21, 2019
A chance
for the Bank of England to rethink its priorities
Huw van Steenis
グローバルな金融仲介の半分以上が、銀行システムの外で行われている。リスクは移動しつつある。それは利用者や経済にとって有益な機会を生み出す転換であるが、中央銀行はそのリスクに対応しなければならない。
● ロシアの戦略的利益
PS Jun
20, 2019
Russia’s
Strategic Priorities, Viewed from Within
CARL BILDT
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The
Economist June 8th 2019
Weapons of mass disruptiom
Economic geography: Flyover country v coastal elite
Chaguan: China courts the world
People power meets bullets: Sudan’s Tiananmen?
The war in Syria: Yet more misery
Global technology (1): Pinch points
Global technology (2): The silicon tightrope
(コメント) アメリカ政府は相互依存を深める世界経済を脅しに利用する。他方、中国は一帯一路において中国から司法システムを国際化するようです。
スーダンでは、首都に集まった民主化デモに対して軍が弾圧を開始しました。弾圧した特殊部隊に、軍や警察は反対する可能性があり、内戦の危機が近づいています。他方、シリア内戦が終わるとロシア、トルコ、イランの合意が成立するはずが、さらに戦闘は悪化しています。
相互依存する世界経済が、高度な技術とサプライ・チェーンを紹介します。それを分断するアメリカ政府の行動にも、正しい理由がある、と指摘します。
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IPEの想像力 6/24/19
2国間の貿易不均衡を、トランプにとって有利に解決できなければ、日米安全保障条約も破棄すると脅します。それほど、アメリカの安全保障は頼りないものとなりました。
国際秩序が失われると、さまざまな問題が専門分野の合理的交渉で決まらず、粗野な脅しと取引、強制によって、その場その場の妥協を重ねる世界になります。
****
2018年6月23日の「慰霊の日」の沖縄全戦没者追悼式で、沖縄県浦添(うらそえ)市立港川中学校3年相良倫子(さがらりんこ)さん(14)が読んだ平和の詩「生きる」がすばらしい。朝日新聞デジタル版で知りました。
****
・・・私の生きる、この今よ。
・・・七十三年前、/私の愛する島が、死の島と化したあの日。/小鳥のさえずりは、恐怖の悲鳴と変わった。/優しく響く三線は、爆撃の轟(とどろき)に消えた。/青く広がる大空は、鉄の雨に見えなくなった。/草の匂いは死臭で濁り、/光り輝いていた海の水面(みなも)は、/戦艦で埋め尽くされた。/火炎放射器から吹き出す炎、幼子の泣き声、/燃えつくされた民家、火薬の匂い。/着弾に揺れる大地。血に染まった海。/魑魅魍魎(ちみもうりょう)の如(ごと)く、姿を変えた人々。/阿鼻叫喚(あびきょうかん)の壮絶な戦の記憶。
・・・みんな、生きていたのだ。/私と何も変わらない、/懸命に生きる命だったのだ。
****
言葉の1つ1つが、よく考えて選ばれ、感性と想像力、痛みを想う彼女の声を伝えます。
しかし、彼女の詩が示す答は、おそらく、戦争を止められない。海底に沈む小さな貝のように、だれも戦争を止められない。彼女の声は、戦争を叫ぶ者たちに聞こえない。
安倍首相は、今年の式典を、人々に答えることなく去りました。
****
「こんなにもたくさんの命を犠牲にした戦争を、絶対に許さないことを。」
「全ての人間が、国境を越え、人種を越え、宗教を越え、あらゆる利害を越えて、平和である世界を目指すこと。」
「平和を創造する努力を、厭(いと)わないことを。」
「戦争の無意味さを。本当の平和を。/頭じゃなくて、その心で。/戦力という愚かな力を持つことで、/得られる平和など、本当は無いことを。」
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Facebookは世界通貨Libraを発行しようとしています。デジタル通貨・決済システムの時代、銀行業が、ますます、スマホのアプリに吸収されていく時代です。グローバル・ハイテク大企業が競って仮想通貨を発行し、現実の金融ビジネスから、トレーダーや投機家の莫大な利益を消滅させるのは良いことだ、と思います。
しかし、ゼロ金利、量的(質的)緩和、QEやQQEが続く世界では、だれでも通貨を容易に手に入れられる、と錯覚するのではないか? 特に、グローバルなハイテク大企業にとって、多くの国家よりも信用があり、世界中のいかなる国家よりも多くの利用者に支持されるのだから。
国債や株式を中央銀行が大量に購入する時代です。デフレの下で金融資産の膨張を人々は喜び、日銀と政治家との結託を支持し続ける。
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戦争は、許してもらうことを望んでいない。戦争は、平和を目指す者たちによって始められる。戦争には、平和に負けない意味がある。戦力によってしか得られない平和は、愚かであることも、愚かでないこともある。
香港と日本と、どちらが民主主義なのか? 香港の議会は半分しか住民によって選出されず、行政長官は中国共産党の候補者リストから選ばれます。しかし、香港人は天安門事件を記念する集会を開き、送還条例に反対して100万人以上の抗議デモを行いました。
日米安保に頼ることで、沖縄戦や辺野古埋め立てについて何も答えない姿勢を、トランプのツイートは刺激します。なぜ首相や外相、官房長官は、否定するだけで終わりなのか? トランプは正確に、自分が言いたいことを言ったのに。
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