IPEの果樹園2019

今週のReview

6/24-29

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2020年アメリカ大統領選挙 ・・・アメリカとイラン ・・・香港人の自由 ・・・ボリス・ジョンソン ・・・アメリカと世界経済 ・・・ギリシャとイタリアの並行通貨案 ・・・中国消費者のボイコット ・・・スーダンの弾圧 ・・・ドイツ・モデル ・・・Facebookの世界通貨発行

[長いReview

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主要な出典 FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, Foreign Policy, The Guardian, NYT: New York Times, PS: Project Syndicate, SPIEGEL, VOX: VoxEU.org, Yale Globalそして、The Economist (London)

[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.] 


 2020年アメリカ大統領選挙

NYT June 13, 2019

Liberal Wonks, or at Least Elizabeth Warren, Have a Plan for That

By Paul Krugman

ずっと前に、政治評論家たちは、ウォレンElizabeth Warrenの勝利するチャンスはない、と判定した。しかし、最近の調査で、彼女は復活した。メディアも肯定的に伝えている。

その重要な理由は、彼女の政策綱領が、ラディカルな内容と、それを裏付ける証拠、真剣な研究に満ちていることだ。

通常、大統領候補者たちは、個人的な物語よ、大きなテーマを掲げたレトリックを組み合わせる。ヒーローだ、アメリカン・ドリームのシンボルだ、エスタブリッシュメントと長年闘ってきた、大統領になって皆を団結させる、沼の水を抜いて掃除する、権力と闘う。

ウォレンは違う。彼女は中身を示す。細かく政策を提案する。伝統的な評論家は、そんなもの誰も読まない、というだろう。

ウォレンの支持者たちが着るTシャツに書いてある。“Warren has a plan for that!” 彼女は政策論争を通じて聴衆と結びつく。

なぜ他の候補者たちは、彼女のような詳しい中身を示さないのか? それには、政策をプラグマティックに探す真剣さと、大きなテーマについて妥協点を探す真剣さ、との違いがある。後者は、オバマ政権でジョー・バイデンがかかわったような、社会的給付の削減だ。

ウォレンの真剣な政策分析は、富裕層への実質的な増税が税制として優れているという研究に依拠して、しかし、幼児教育の重要性を支持する優秀なエコノミストたちの提案を取り上げる。

PS Jun 19, 2019

Don’t Feed the Donald

SHLOMO BEN-AMI

The Guardian, Thu 20 Jun 2019

Trump's 2020 kick-off proves he lacks the self-awareness to change

2015年、ドナルド・トランプの立候補声明は、トランプタワーのエスカレーターを見下ろして、雇われた支持者の群れが、メキシコは国境を越えて強姦犯どもを輸出している、という野蛮な非難で記憶されている。

4年経って振り返れば、それはもはや同じ恐怖の予感を呼ぶものではないが、トランプ・ワールドの内部の聖域として、再選をめざすトランプのスピーチライターが種子を見出すだろう。

そのセリフは、今も、トランプの発信するメッセージだ。「われわれの国には偉大な指導者が必要だ。仕事を取り戻し、製造業を取り戻し、軍隊を取り戻し、退役軍人たちの面倒を見る指導者だ。」

彼はまた好調な経済を自慢する。それはオバマの遺産だ。再選に向けた、一片の雲もない青空に、まっすぐ勝利を見る。

しかし、レーガンに比べて、トランプには柔軟さや変化への自覚がない。半世紀前のローリングストーンズの曲が鳴り響く会場で、トランプはノスタルジアの政治に閉じこもっている。彼に欠けているのは、神話的なアメリカの黄金時代ではなく、2016年の勝利からの自由である。

トランプの終末論的な世界観では、敵が門を破ってなだれ込む危機を、すべてのことが示している。彼の「美しい」壁は保護するためのものだ。そして悪夢のような視線が続く。「想像してみよ。バリアも壁もないまま、難民たちのキャラバンがやってくる。・・・あなたの想像を超えた混乱が、この国を襲うだろう。」

恐怖はなおトランプの大統領制を動かす基本原理だ。しかしトランプは間違っている。恐怖をあおる行為は、権力の外にある候補者がもっとも有利に利用できるのだ。

現職であるトランプが、「凶悪なヒラリー」や不幸なオバマの亡霊と再びうまく戦うことはないだろう。しかし、トランプは同じことを主張している。メキシコ国境を超える絶望した難民の脅威、あるいは、ホルムズ海峡のイラン海軍の脅威、そんなものを個人的に感じないであろう中西部の有権者に、恐怖をあおろうとして。

FT June 20, 2019

Trump bets that lightning will strike America again

Edward Luce


 アメリカとイラン

The Guardian, Fri 14 Jun 2019

Trump’s fanned the flames in Iran, now the fire risks getting out of control

Peter Beaumont

PS Jun 14, 2019

Taking on Tehran

RICHARD N. HAASS

アメリカのトランプ政権は、ロシア、中国、北朝鮮よりも、イランをとりわけ、2年半にわたり、持続的な圧力にさらしてきた。

アメリカの政策は機能している。ほとんどの国が(トランプの政策に反対する国も含めて)、イランより、アメリカとの貿易・投資の関係を維持するほうが良いと判断しているからだ。イランの石油輸出は急速に減少し、その経済的孤立が深まっている。経済は2018年に4%縮小し、今年も6%縮小すると予測される。通貨価値は急落し、物価が上昇し、食料や医薬品も不足している。

しかし、その政策の目的は明らかではない。トランプ政権には、イランの体制転換を望むものが多くいる。しかし、これは起こりそうにない。革命から40年を経て、イランの特異な宗教・政治体制は十分に強固であり、アメリカの圧力や経済困難を耐えることができるだろう。

もっと起きそうな事態は、経済戦争が現実に軍事的な戦争になることだ。イランはその意図を、苦痛を我慢するだけではない、と明確に示している。イランと、その1つもしくはそれ以上の近隣諸国、そしてアメリカと、戦争になるリスクは高まっている。紛争はエスカレートし、拡大して、アメリカ、イスラエル、イランが苦境になる。

戦争と体制転換との間に、第3の可能性がある。それはトランプが北朝鮮に示したように、外交による打開だ。

JCPOAには、トランプが指摘したように、そもそも問題があった。イランの核開発を制限するのは、比較的短期の合意、もとから10年で効果が失われる、と考えられていた。これは、アメリカが一方的に離脱したことを正当化するわけではない。しかし、再交渉は必要だ。

外交交渉の可能性はある。なぜなら制裁が効いているからだ。イランは当面対話を拒否しているが、アメリカが制裁の緩和をテーブルに載せれば、姿勢を変えるだろう。

JCPOA2.0は、イランのウラン濃縮や弾道ミサイル開発を制限し、アメリカは制裁を解除する。アメリカは、体制転換ではなく、政策の変更を求める。ヨーロッパ諸国が仲介するだろう。

アメリカはほかにも多くのことを求めるかもしれない。シリアやイエメンでイランが関与しないこと、テロ集団への支援を辞めること、国内でさまざまな改革を進めること。しかし、こうした要求をすべて求める外交は失敗につながる。それはイランの行動を何でも容認することではない。イスラエルは今後もイランの影響が周辺に及ぶことに軍事的な攻撃で対応するだろう。アメリカ軍はペルシャ湾か、その近隣地域に駐留させ、シリアやイランでも軍事力を保持する。

その結果、JCPOA2.0は地域の戦争や、核拡散のエスカレーションを止めるだろう。

FP JUNE 14, 2019

Maximum Pressure on Iran Means Maximum Risk of War

BY ILAN GOLDENBERG

FP JUNE 17, 2019

A Dangerous Game of Nuclear Brinkmanship

BY KEITH JOHNSON, COLUM LYNCH

ヨーロッパが中東における核軍拡競争を恐れて、イランを支持すると期待するのだろうが、それは成功しない。ヨーロッパはワシントンに影響力を持たない。

FT June 18, 2019

US-Iran tensions risk an escalatory spiral in the Gulf

アメリカ、イラン、湾岸諸国は、最大限の自制心を働かせて、外交による解決を優先するべきだ。

FT June 19, 2019

The US and Iran are playing nuclear roulette in the Gulf

David Gardner

湾岸地域におけるアメリカとイランの対立を「チキン・ゲーム」と呼ぶ者がいた。しかし、テヘランが2015年の核合意で決めたウラン濃縮の限界を破るという今週の発表は、ワシントンがこの地域への1000人の兵士を増派するという動きにつながり、危険な、核のルーレットに似てきた。

トランプは、北朝鮮の無法国家とその指導者、金正恩と同じように、ローハニとの記念撮影的な首脳会談を望むのかもしれない。しかし、このゲームは全く違うものだ。

NYT June 19, 2019

Trump and Iran May Be on a Collision Course, and It Could Get Scarier

By Nicholas Kristof


 香港人の自由

The Guardian, Fri 14 Jun 2019

Britain has a duty to help Hong Kong out of this dark moment

Chris Patten

FT June 14, 2019

Hong Kong is in danger of being hollowed out again

Michael Schuman

1980年代、中国は香港を空洞化した。当時のイギリス植民地として経済的奇跡を遂げた、おもちゃ、衣服の工場が、北京による市場型の改革が進展する中で、境界線の向こうの安価な生産拠点に移動したのだ。この土地が発展し続けたのは、金融、貿易、その他のサービスにおけるセンターとして自身を転換したからだ。

今また、中国は香港を空洞化しようとしている。しかし、今回は、回復できないだろう。それこそが、送還条例をめぐって激しい闘いが展開された理由である。

条例案は、香港が犯罪者の避難所になることを阻むために必要だ、という。しかし、多くの香港人は、自分たちの権利と独立に対する受け入れがたい侵害だ、と見た。共産主義体制がその批判者や、だれであれ、気に入らない者を取り除くために悪用できる。香港の息の根が止められる、と多くの人々は確信している。この闘いが敗北に終われば、香港も終わる。

1997年にUKが中国に支配権を返還したとき、香港は「特別行政区」として独自の法律を維持することが決まった。「一国二制度」である。この二制度の間にある壁が壊れ始めている。香港の最も重要な資産は、法の支配、である。この地域にまれな、中国には存在しないものだ。世界中のビジネスが、香港の行政府と独立した司法を信用してやってきた。

もし北京がそれを破壊するなら、ここは単なる中国の都市となってしまう。香港が成功したのは、中国ではないからだ。送還条例が成立すれば、大規模な脱出が始まるだろう。香港は、東アジアのビジネス拠点として最善の土地ではなくなる。

最大のリスクは、HSBC、ゴールドマンサックス、モルガンスタンレーなど、活気あるグローバル銀行業にある。香港の人材も流出するだろう。多くの香港市民が、ロンドン、バンクーバー、ニューヨークとビジネスや家族のつながりを持つ。これらの企業家精神と世界クラスのスキルをプールした拠点が彼らを招いている。

北京は政治的支配と経済的な競争力との選択に直面している。残念ながら、現体制は、経済に対する国家の優位を求める傾向がある。香港を、閉じた政治社会における許しがたい市民権の傷口とみなし、体制への脅威と感じている。

FP JUNE 14, 2019

How Hong Kong’s Unrest Plays to Beijing’s Hawks

BY MELINDA LIU

ラムCarrie Lam行政長官は「裏切者」と呼ばれた。香港警察は、平和的なデモに対して、ゴム弾、放水車、催涙ガス、ペッパー・スプレイを使用した。

危機の根源はラムではなく、1200マイル以上離れた北京にある。香港の混乱は、住民たちが習近平国家主席の権威主義体制について抱く強い不信感を示した。彼らは北京の司法システムが不明確で、政治的なものであるとみなしている。送還条例は、香港の人々を中国本土の裁判所で、政治犯やその他の理由で、裁かれるために送り出す。

香港の騒乱は、ワシントンとの緊張関係をエスカレートさせる、北京の強硬派によって利用されるかもしれない。強硬派は、どこでも外国勢力の見えない手が伸びていると考える。

1997年に中国へ主権が返還されてから、行政長官の仕事はますます不可能な課題になっている。ラムは地域住民の夢をくじいてしまった。資本主義的経済、独立した司法制度、報道機関の自由。北京はますます高圧的に支配するようになった。

香港に長く住むアメリカ人のコンサルタントは、「ナットを(回さず)ハンマーで叩く」ような警察の戦術を批判した。若者たちの間で、ラムへの信認は失墜した。

北京は、今このとき、香港の危機を望まない。中国の官僚たちは、特に101日の中華人民共和国創設70周年記念に向けて、何も起こさないことに熱心だ。北京の強硬派も、香港を強く弾圧することで国際的な孤立を招くことは避けたいと考える。香港に対するアメリカの特別な枠組みも見直される懸念がある。

ワシントンが香港を米中貿易戦争に利用するのは、北京が最も嫌うことだ。中国は、アメリカのハイテク技術や部品、サービスに対する依存を減らし、貿易・投資の再グループ化を進めている。アメリカも、中国も、貿易戦争を戦略的に、「スプートニク・ショック」として利用している。

香港は、その戦いが続く、長い、長い前線の一部である。

FT June 15, 2019

Hong Kong cannot respect freedoms while serving Beijing

Joe Leahy in Hong Kong

SPIEGEL ONLINE 06/15/2019

Brewing Conflict

Protests in Hong Kong Unlikely to Yield Results

By Bernhard Zand

NYT June 15, 2019

Why Hong Kong Will Still March on Sunday

By Yuen Ying Chan

FP JUNE 15, 2019

How to Speak Out and Stay Hidden in Hong Kong

BY TREY MENEFEE

FT June 16, 2019

Hong Kong, Taiwan and the hope for a better China

Gideon Rachman

中国本土では天安門事件の記憶が抹殺されているが、香港では30周年の大集会が開かれた。「一国二制度」は、香港の自由を守るだけでなく、中国にとっての自由を賭けている。

The Guardian, Mon 17 Jun 2019

The Guardian view on Hong Kong’s crisis: the people have spoken

Editorial

FT June 17, 2019

The Hong Kong people have spoken truth to power

NYT June 17, 2019

Beijing Is Treading Lightly in Hong Kong, for Now

By The Editorial Board

FT June 18, 2019

Taiwan stiffens resistance to China after Hong Kong crackdown

Kathrin Hille in Taipei

抗議デモを暴力的に弾圧したことは、北京に対する怒りを広め、香港の方の支配に対するビジネス界の信頼を損なった。

しかも、中国政府のダメージは、香港だけでなく、台湾の人々に民主主義と独立を守る決意を固めさせただろう。台湾大統領選挙において、北京に友好的な大統領が選出されることを企てるのが、むつかしくなった。

FT June 19, 2019

How Hong Kong defied Xi Jinping

Tom Mitchell in Beijing and Sue-Lin Wong and Nicolle Liu in Hong Kong


 ボリス・ジョンソン

FT June 14, 2019

Boris Johnson, the great pretender finally on the cusp of power

George Parker

ジョンソンBoris Johnsonはダウニング街10番地(イギリス首相官邸)に半分はいった。テリーザ・メイの後継者として、現代の政治家の中で、最もカリスマ的で、破滅的な、国家を分断する政治家が権力を目指す位置についた。

「われわれにはまだ多くのなすべきことがある。」と、ジョンソンは語った。保守党の党首選において第1回投票に勝利したときだ。彼は114人の保守党議員から最多数票を、彼に次ぐ3人の票を合わせたよりも多くの票を得た。

ジョンソンが政界のスターであるとしても、この分断された国を和解させる人物にはならないだろう。この元ロンドン市長が、2016年の国民投票でEU離脱を勝ち取り、もし首相となれば、国民を分断しているEU離脱を実現する任務に就く。世論調査は、ジョンソンが最も支持される、同時に、最も嫌われる政治家であることを示す。

ジョンソンがBrexitの行き詰まりを打開する方策は想像しがたい。首相候補としてジョンソンと、2008年にロンドン市長候補であったジョンソンは、非常に異なった人物だ。労働党支持者の多いロンドンで、保守党のエキセントリックな市長候補として、社会的にリベラルな、モダンで、コスモポリタンなイギリスを、熱心に支持する人物だった。

ジョンソンは市長として非合法移民に市民権を与え、その後、EU離脱のキャンペーンでは外国人への敵意を広め、モダニティと社会変化への不安をあおった。どちらのジョンソンが首相になるのか?

ジョンソンの答えは、「どちらのジョンソンがお好みか?」であった。彼は非公開の保守党議員の会合で語った。自分は合意なしの離脱を歓迎するBrexit強硬派であるとともに、EUからの非常にソフトな離脱を熱心に導く思いやりのある保守主義者である、と。

彼の友人であるドナルド・トランプに似て、ジョンソンは矛盾した性格を同時に帯びる。しかし、保守党員の多くが彼を支持する理由は単純だ。彼が勝つと思ったから。大混乱の中で失速する保守党にとって、彼だけが政治の嵐を打ち破る候補だと思ったから。誰もボリスが何をするのか知らない。しかし、彼に乗ることを好んだ。

The Guardian, Sat 15 Jun 2019

The Tory leadership battle is making Britain the kind of nation we used to laugh at

Gaby Hinsliff

FT June 17, 2019

European leaders risk no-deal Brexit by sitting on the fence

Wolfgang Münchau

Brexitの過程で決定的な瞬間が迫っている。それはUKではなく、今秋に予定されているEUの会合だ。EUBrexitを評価し、幻の「離脱」を完全に葬るときである。

ヨーロッパの指導者たちは分裂している。UKBrexitを逆転することを求める者と、UKの離脱を促す者と。流れは後者に向かっている。それを加速したのは、欧州議会選挙でBrexit党が勝利したことだ。

エマニュエル・マクロン大統領は、(延期が議論された)4月に、ギロチン(離脱の断行)を主張した。その時は妥協したが、今や、彼を支持する声が欧州理事会で増えている。

テリーザ・メイは、優れた交渉人であったが、戦略家ではなかった。もし彼女が、自分の合意案を支持するか、合意なき離脱を支持するか、という議会の採決を行っていたら、勝利しただろう。しかし、離脱しない、という選択肢を加えた3つの選択を問うた結果、合意案は敗北した。

EUは再交渉しない。ジョンソンは新しい政治生命をつけて、最終の採決を要求すべきである。合意案を採るか、合意なしの離脱を採るか。最後の選択だ、と。

私はメイの辞任後に彼女の合意案が成立することを支持する者の1人だ。評論家たちが見る以上に、合意案への支持は多いだろう。合意なしの離脱を支持できないからだ。ヨーロッパの指導者たちは、交渉を拒否し、UKが合意案を選択するのを待つことだ。

The Guardian, Mon 17 Jun 2019

The Guardian view on a Brexit election: the unicorns are back

Editorial

FT June 18, 2019

Boris Johnson’s ‘muffled language’ unveils darker instincts

Robert Shrimsley

The Guardian, Tue 18 Jun 2019

Labour has only one realistic option on Brexit – back remain

Paul Mason

FP JUNE 18, 2019

Will Boris Be Britain’s ‘Last Conservative Prime Minister’?

BY OWEN MATTHEWS

ジョンソンがこの国を率いるという展望は、エリートたちにとっての悪夢である。公に知られた人物の中で、彼ほど「深く憎まれている」人物はいない、とジョンソンの友人たちも認めた。少なくとも1人の婚外子を持ち、不正直さの長い経歴において、彼がチャーチルやサッチャーの政党を率いるのは、道義的にふさわしくないとみなされている。

ジョンソンは、Brexitを実現できないことが保守党にとって「生存の危機」である、と言うが、本当の生存の危機は、欧州議会選挙で、保守党が離脱派のBrexit党と残留派の自民党に敗北したことだった。

Brexitへの支持は減少してきた。そんなときにジョンソンは離脱強硬路線を選択しているが、支持される見込みはない。彼が、保守党最後の首相になる可能性もある。

The Guardian, Wed 19 Jun 2019

From Thatcher to Brexit: this Tory folly was 40 years in the making

Martin Kettle

FT June 19, 2019

Britain must act to save banking from decline

Bob Wigley

FT June 20, 2019

Scotland: Brexit uncertainty revives independence debate

Mure Dickie in Gretna

FT June 21, 2019

Tory economic policy fails to pass muster

FT June 21, 2019

Boris Johnson treads a fine line towards Downing Street

Robert Shrimsley


 アメリカと世界経済

FT June 14, 2019

How the US is weaponising the world economy

Tim Harford

2002年のことだが、インドとパキスタンの間で核戦争が起きることを人々は真剣に恐れた。数百万人が死亡するだろう。英米の警告に従い、市民たちが地域から脱出した。どのように危機を脱したのか?

NYTのフリードマンThomas Friedmanは、アメリカのビジネスマン(特に、デル社)にこんな話を好んでした。インドのサプライヤー(特に、Wipro)が事態を鎮静化するか、供給を止める、と説得したのだ、と。おそらく、デルのサプライ・チェーンが危機を防いだのだ。

フリードマンは、決して本気ではないが、「紛争回避のデル理論」を唱えた。すなわち、同じグローバル・サプライ・チェーンの一部に入った2国間では戦争しない、というのだ。だが、グローバル・サプライ・チェーンが、むしろ、敵対者に対する攻撃の道具にならないか?

アメリカ政府によるフアウェイへの制裁やメキシコへの関税引き上げと言う脅しは、まさにトランプ的である。ただし、他の大統領も同じような圧力を行使したし、アメリカが最初ではない。イギリスはそのロンドンの金融ネットワークをドイツとの戦争で利用した。

金融システムのメッセージを伝えるSwiftもそうだ。これはブリュッセルにある民間企業である。しかし、アメリカはイランの銀行を遮断するように要求した。EUは、それに従わないように求めたが、Swiftは選択を強いられ、アメリカの側についた。アメリカは、攻撃部隊を送るより、ブリュッセルのメッセージ・サービスを止めることで、その意図を実現できるなら、はるかに安全だ。

アメリカはこの経済的圧力を賢明に使用できるのか? 他国は、覇権国の監視や強制を避けて、異なるネットワークを構築しないか?

PS Jun 14, 2019

The Growing Risk of a 2020 Recession and Crisis

NOURIEL ROUBINI

昨年の夏、Brunello Rosaと私はアメリカと世界経済で不況が始まる引き金となる10のリスクを指摘した。その中の9つは今も存在している。

10番目の要因は、アメリカ連銀の金利引き上げであった。それは、トランプ政権の景気循環を強める減税策に対して、それを抑えるはずだった。しかし、その後、貿易戦争や原油価格の上昇があって、不確実性が増し、連銀の姿勢は金利引き下げに変わった。

こうした条件では、たとえ中央銀行が迅速に不況を回避する行動をとっても、ショックの効果を抑えられないだろう。金融政策も、財政政策も、すでに、その余地が限られている。

米中はともに、国内不況を回避したいと願うだろうが、米中貿易戦争の妥協の余地は減っている。グローバルな経済危機のリスクは高まった。

PS Jun 14, 2019

The US Recovery Turns Ten

JEFFREY FRANKEL

アメリカの好況は記録的な長期間に及んでいる。しかし、その簡単な説明は、それだけ2007-08年の世界金融危機後の大不況が、深い谷を形成したからだ。大不況は、1930年代以来、最悪の景気後退であった。

しかし、アメリカの景気拡大は、決して、世界的な長期記録ではない。期間ではオーストラリアが第1位である。1991年半ばから、途切れることのない景気拡大が、もうすぐ28年目を終える。

しかし、不況を判定する基準は、オーストラリアの場合、2カ月連続してGDP4半期成長率がマイナスになること、と機械的に定義されている。アメリカの場合は、雇用や、その他の多くの経済指標を考慮して、NBERが決定する(the Business Cycle Dating Committee of the National Bureau of Economic Research)。(日本もこれに近い。)

この方法は重要な違いを生じ、賛否両論がある。GDPの正確なデータを得るのは時間がかかり、修正されることが多い。また、長期的な趨勢で、人口減所やデフレを経験する日本と、人口流入が続いたオーストラリアでは、その評価が異なっている。

同様に、たとえGDP成長率がプラスでも、2007年の11%から6%に減少した中国経済は、大不況に苦しんでも、不況と判定されない。

NYT June 15, 2019

When Dead Companies Don’t Die

By Ruchir Sharma

FT June 20, 2019

China's US Treasury holdings are not a viable trade war weapon

By: Colby Smith


 ホルブルックとアメリカ外交

PS Jun 14, 2019

The American Century’s Last Man

CHRISTOPHER R. HILL

NYT June 14, 2019

Richard Holbrooke and a Certain Idea of America

By Roger Cohen

若い、ポーランド系ユダヤ人が、第2次世界大戦の始まる2か月前に名前を変えた。それがホルブルックRichard Holbrookeの父だった。彼の伝記が出版された。

ホルブルックの核心は、アメリカが彼の家族にしたように、救済し、回復し、改造することだった。彼は地球の隅々まで平和にしようと決意していた。「アメリカは、その価値と理想を、着実な構想と巧みな圧力を通じて実現するとき、常に、最善のことをする。」

「人間的な苦しみは彼を神経麻痺や哲学的な絶望に落とし込むことなく、熱狂的な行動に向かわせた。」

1995年、私はニューヨークタイムスの記者としてボスニア戦争を取材していた。当時、サラエボにいたジャーナリストのすべてが、すでに3年以上を経た戦争で10万人が殺害されていたが、戦争は終わらなかった。ホルブルックが止めたのだ。

彼のおかげで、バルカン半島に10万人の命が救われたことを、私は決して忘れない。

FP JUNE 17, 2019

When Zombie Neoconservatives Attack

BY STEPHEN M. WALT

読者の中には困惑する人もあるだろうが、NYTのコラムニスト、ブルックスが流すコラムを読むことは、アメリカ人にとって不幸なことだ。なぜなら彼らは、むやみに、外交に関する彼の考えを受け入れてしまうだろうから。

ブルックスは、アメリカ人が海外における軍事介入を支持しなくなった、と懸念している。その理由を、伝統的なリベラル国際主義を放棄し、孤立主義に戻ったからだ、と言うのだ。彼は、第2次世界大戦後のアメリカの指導力が、特に、いわゆる、リベラルな世界秩序の促進が、無私のステイツマンシップであり、数世代にわたって平和と繁栄を築いた、と信じているのだ。

だが今や、アメリカ人は世界から引き揚げつつある。この趨勢により、プーチンや習近平のような「狼たち」がその真空地帯に入ることを許し、イランのような諸国が中東をh儒安定化するのを許している。

彼は正しいのか? ・・・いや、間違っている。

そもそも、ブルックスの言うリベラルな世界秩序とは、リベラルではなく、グローバルでもなく、秩序あるものではなかった。1945年以来、アメリカはヨーロッパと北東アジアに関与して地域の安定化を助けた。しかし、ブルックスはその教訓を見失っている。アメリカの国際主義は、それが本質において防衛的なものであるとき、また、アメリカの死活的な利益をソ連が直接に攻撃することを抑止するのが明確に目指されているとき、最も有効に働いた。アメリカのパワーは、軍事力の行使も含むが、洗練された、長期の視点に支えられた外交と結びついているとき、特にその使命を達成できた、ということだ。

逆に、アメリカが世界の他の場所でローカルな政治を作り変えたとき、言い換えれば国家の建設に関わったときは、しばしば道義的に疑わしい、成功したとは言えないものになった。

ブルックスの示す、アメリカの敵の行動に関する解釈も極端な単純化である。プーチンがネット情報を操作したり、習近平がウイグルその他で反対派を弾圧したり、イランが示す中東の活動を、アメリカの関与が薄れたからだ、と考えるのは間違いだ。彼らを正当化するつもりはないが、もっと適当な説明がある。

ブルックスによれば、アメリカ人の精神的な回復が、事態を改善するカギとなる。しかし、アメリカ人が外交の成果に満足しないのは当然である。過去4半世紀に、繰り返し、アメリカ外交は完全に失敗したに等しいからだ。特に、2003年のイラク侵攻がそうだ。

ブルックスのような、失敗を認めず、学ぼうとしない者たちが、アメリカ国民の正当な感覚を非難するのは、まったく悪臭を放つ態度である。

NYT June 18, 2019

Trump’s Only Consistent Foreign Policy Goal Is to One-Up Obama

By Thomas L. Friedman

FT June 19, 2019

Democrats are too orthodox on foreign policy

Janan Ganesh

PS Jun 20, 2019

American Power Without Wisdom

ANA PALACIO


(後半へ続く)