(前半から続く)
● シンガポールの自信と慢心
FT June 10, 2019
Singapore, Singapura: From Miracle to Complacency by Nicholas
Walton
Review by
Victor Mallet
シンガポールはリベラルな作家や政治学者にとって謎である。ほとんど、苦悩だ。
この島は、都市国家であり、マレーシアとインドネシアに挟まれ、東南アジアの赤道に近くにある。戦略的には西側寄りで、経済は資本主義的だが、政治的には権威主義的で、社会的にも国家介入主義である。
シンガポールは大きな成果を収めた。自由を支持する西側の人々も、北朝鮮やベネズエラの非リベラルな体制を批判するのに比べて、シンガポールのリー・クアンユーとその後継者たちを管理型民主主義について批判するのはむつかしい。
2015年のPISAランキングで、シンガポールは3つの科目(数学、科学、読解)で1位だった。幼児死亡率はアメリカの半分だ。しかしここでは、著者のWaltonによると、1843年だけでも300人が虎に食われた。島の発展に最も寄与した発明はエアコンだ、とリー・クアンユーは言った。
Waltonは、1日で、島の端から反対側まで歩いた。このやり方で、ふつうは見えないものまで書こうとした。そして、正しい問題を立てる。「シンガポールの成功がもたらす人的、環境的コストは何か?」 「それは持続可能なのか?」
この島のメリトクラシーは不完全だ。特に、マレー人やインド人から見て。市民へのプレッシャーはあまりに強く、ときには亡命することになるほどだ。人口の85%は公共住宅に暮らしている。派手な邸宅も一部にはある。市民の多くは親の世代より豊かになった。本当に貧しいものは珍しい。しかし、シンガポール人は怒っている。大衆と、ガラスの天井に隔てられた、富裕層とのギャップだ。
Waltonは、シンガポールのエコロジカル・フットプリントを見る。シンガポールによる砂の輸入で、インドネシアの24の島が消滅した。Hong Lim Parkのスピーカーズ・コーナーには誰もいない。与党である人民行動党は政治権力を維持することに容赦ない姿勢でのぞみ、敵対者を告発する。
しかし、指導者たちは過去の成果をもたらした適応力と革新力を失った、と示唆する。
● 核エネルギー
FT June 10, 2019
Nuclear power will fade unless it becomes more competitive
Nick Butler
● トランプの関税と金融政策
FP JUNE 10, 2019
The Fed Is Trump’s Secret Ally in the Trade War
BY CHRIS MILLER
貿易戦争においてトランプ大統領はますます同盟者を失っている。しかし、1つ、決定的な同盟者が彼を守っている。それはアメリカ連銀だ。
経済学の教科書は、関税が物価を引き上げ、企業の競争力や消費者の購買力を失わせる、という。しかし、大統領とその顧問たちはこれを重視しない。特に、ナヴァロやライトハイザーは、貿易において関税が重要だ、と長年主張してきた。
連銀のエコノミストたちは、もちろん、経済学を学んだ。トランプとは逆に、関税が成長を損なうと考えている。これは大統領にとって素晴らしいことだ。なぜなら経済が減速するとき、(インフレが抑えられているなら)連銀は金利を低くして成長を刺激するからだ。過去6か月間、連銀は金利引き上げを抑制してきた。
連銀には、インフレを抑え、失業率を低くする、という2つの目標がある。1年前には、この2つに関して、金利を引き上げる兆候があった。経済の拡大が非常に長期に及び、失業率も歴史的な低水準であったからだ。しかも2017年の財政赤字による大型減税は、経済刺激を減らすべきときに行われた。実際、2018年のインフレは過去5年間で最高になった。
1年後、いくつもの関税引き上げを経て、事態は異なって見える。アメリカ企業と消費者は貿易に深く関わっているからだ。関税はサプライ・チェーンを妨げ、費用を高くする。短期的には経済にとって何も良いことがない。これに対して、金利引き下げが需要の減少を緩和する。また、連銀と同じように、トランプの関税を恐れる株式市場を支える。
これは危険である。トランプが関税を引き上げ、脅すほど、連銀は金利を下げる。それがますます、トランプの脅しを助長する。
連銀の金融緩和は、経済条件だけでなく、2020年の大統領選挙にも決定的な要因としてかかわってくる。連銀が経済状態を維持するほど、トランプの再選を助けてしまう。
連銀はその使命を果たしているだけだ。たとえトランプのツイッターが原因としても、関税(の脅し)が失業やインフレをもたらす(という不安を高める)なら、連銀は金利を下げる。政治から「独立」すべきだと言われるが、ホワイトハウスの命令に従うのではない。連銀が経済の減速、雇用や賃金の減少を許すよう、求める者はいない。
トランプは、この空前の経済成長を自分の手柄と主張する。
● 香港の送還条例と抗議デモ
NYT June 10, 2019
Hong Kong’s Government May Cave In to China. Its People Will Not.
By Yi-Zheng Lian
もし香港が、約束された2047年より前に、解体するとしたら、それは殺人で終わるラブ・ストーリーだからである。
日曜日、数十万人、もしかすると100万人が、政府による小さな事件の扱いで、北京の権威主義体制に香港を服従させる試みに、抗議するためデモ行進した。
香港の若い男性が、そのガールフレンドを、休暇旅行先の台湾で絞殺した事件があった。彼は香港に戻っていたが、香港と台湾の間に送還協定がないため、殺人容疑の裁判のために香港から台湾へ送還できない。香港でも、香港の外の事件を裁けない。
香港行政長官のCarrie Lamは、ファスト・トラック(修正なしに承認/否承認だけを求める)方式で、既存の送還条例の修正を求めた。彼女はこれを、法の支配を改善する、と述べた。香港と中国の間の抜け穴をふさぐもの、とも述べた。
しかし、多くの香港人にとって、この修正案は政治的な爆弾であった。まるで香港の誰でも、何か理由をつけて、中国から狙い撃ちにできるように見えた。過去において、中国当局は彼らの反対者を香港から誘拐するために、明らかに非合法な、汚い手を使う必要があったのだ。
さまざまな民主的団体、法律の専門家たちが、直ちに手を組んだ。ビジネス界からも一部が参加した。キリスト教会は、聖書を本土に送っても中国では重罪になる、と訴えた。最近の中国から移民してきた者も声を上げた。雨傘革命から5年経っても、自由、正義、民主主義を求めた、市民的抵抗の精神は生きている。
送還条例は過去に遡及適用されるだろう、と多くの香港ビジネスマンは懸念する。彼らは今も、かつても、中国のビジネスをするために賄賂を支払っている。あるいは、土地の有力者がするように、売春宿を利用し、ほかにも中国の法を犯した。
香港ビジネスマンは、今、さらに懸念することがある。彼らがアメリカと関係を持ち、米中貿易戦争が続くなら、中国当局による報復や強奪にさらされる恐れがあるのだ。Lamは、ホワイトカラーやビジネスに関連する犯罪を除外する、という修正を示したが、ビジネス界でもなお反対する者がいる。
もし修正を強行するなら、Lamは、北京のマスターに忠誠を尽くすあまり、行き過ぎたのだ。日曜日の群衆を見れば、香港人の北京政府に対する非難は新しいピークに達した。北京はこうした事態を望まなかった。
NYT June 10, 2019
Hong Kong’s Extradition Laws
Eddie Mak
NYT June 10, 2019
The Hong Kong Protests Are About More Than an Extradition Law
By The Editorial Board
Carrie Lam 行政長官も、China Dailyも、間違っている。香港の人々は「だまされた」わけでも、誤解しているわけでもない。
NYT June 10, 2019
Why Are People Protesting in Hong Kong?
By Mike Ives
香港は中国の一部ですか?
なぜ北京は香港に介入するのですか?
送還とは何ですか?
それに反対するのは誰ですか?
今後どうなるのですか?
The Guardian, Tue 11 Jun 2019
The Guardian view on Hong Kong’s extradition protests: an essential
stand
Editorial
FT June 11, 2019
The west should stand up for the rule of law in Hong Kong
FT June 12, 2019
Hong Kong risks becoming pawn in trade war with extradition bill
Tom Mitchell in
Beijing
FP JUNE 12, 2019
Britain Failed Hong Kong
BY MILIA HAU
1984年、イギリス議会下院は、香港総督から民主化改革案の報告を受けた。これらの提案に基づいて、議会は、香港返還に関するイギリスと中国との共同宣言に署名することを承認した。これらの改革は実現せず、中国共産党は香港に行政幹部の指導体制を確立した。住民たちの抵抗にもかかわらず、行政府は共産党の独自の要求を実行しており、イギリスはこうした香港の状態について法的・道義的に責任がある。
UKが最重要な責任を負うが、香港返還は国際社会の合意なしには実現しなかっただろう。西側には、香港におけるイギリスの植民地支配が終わり、中国人のエスニックな伝統が彼らの信念や価値観より重要であると考え、返還を支持する声があった。香港人の多くが、中国共産党の支配より、イギリス臣民の地位を好むことを、反帝国主義者たちは理解しなかった。
より重要なことは、当時、個人の自由、民主主義、人権という思想が、1997年以降、香港から中国へと広がるだろう、と考えられていたことだ。中国が豊かになれば、個人の自由や民主主義につながる、と。こうした見方は、天安門事件後に、間違いであることがはっきりした。イギリスは、1990年に香港人に国籍を与えたが、1984-1997年に香港人口の10%が流出した。
5年前の雨傘革命は、行政長官の選出に完全な普通選挙を求めたが、そのような改革は実現しなかった。香港は、リベラルな住民が、非民主的なシステムの下で暮らすケースである。
当然、海外のイギリス国民はイギリスの市民権を求める。しかし移民問題で分裂したUKに、どれほど道義的な強い理由があっても、香港人何万人にも市民権を与えることは政治的に不可能だ。しかし、彼らに支援があるよう、仲介することは可能だ。イギリスは国際的な役割を引き受け、明確に、2国間、多国間で、香港を支持しなければならない。
FP JUNE 12, 2019
Hong Kongers Won’t Bow to Beijing. But Their Leaders Will.
BY HILTON YIP
FT June 13, 2019
Hong Kong extradition bill protests erupt into violence
Nicolle Liu,
Alice Woodhouse and Eli Meixler in Hong Kong and Sue-Lin Wong in Shenzhen
NYT June 13, 2019
Hong Kong and the Future of Freedom
By Bret Stephens
想像してみよう。2018年、トランプ政権が、国中の秘密の場所で起きた不正行為について、アメリカ人を何の理由もなく拘束し、裁判にかけ、投獄できる、という法律を提案したとしたら。さらに、4300万人のアメリカ人が抗議のために立ち上がり、催涙ガスとゴム弾を浴びるだけで、ミッチェルとライアンが議会通過を図ったとしたら。しかも、それを阻止する司法や憲法はない。
それは、ほぼ、香港で今週、起きていることだ。
2015年、中国当局は5人の香港人を誘拐した。彼らはその書店で政治的に微妙な書籍を販売することで知られていた。彼らは何カ月も独房に監禁され、いくつかの罪で有罪となった。2017年には、億万長者のXiao Jianhuaが香港のフォー・シーズンズ・ホテルから誘拐された。それ以来、彼は公式の場に現れず、会社は解体された。
送還条例はその趨勢に続くものである。そして、最後のものでもないだろう。
1989年、当時は強固に思われたホーネッカーの体制も東ドイツで崩壊した。それは小さな西ベルリンに自由を許していただけだった。中国の最高指導者、習近平は、香港から同じことが起きるのを許しはしない。
しかし、彼はそれほど心配することはない。1980年代、自由世界は政治的に団結し、道義的な高さを保っていた。今は違う。ドナルド・トランプは、香港のデモについて、「何とかするだろう」と述べただけだ。それはポーランドの大統領との会談後に行われた記者会見だった。2人は、新しいポピュリスト的なナショナリズムの代表者だ。サウジアラビアでジャーナリストが殺害されても、北朝鮮で誰もが恐怖の下で暮らしても、気にしない。
トランプにとって、香港は中国の国内問題である。つまり、習近平は香港デモを好きなように処理することができる。国際的な批判を気にすることはない。トランプのアメリカは、あるとき関税をかけて脅すが、次には取引する。自由の女神のために拳を振り上げることはない。
世界の民主主義は衰退を続けている。アメリカ大統領の無視はそれを加速する。しかし、永久には続かない。権威主義体制の最大の恐怖は、香港でデモに参加する人々の良心だ。
FP JUNE 13, 2019
What’s next for Hong Kong?
BY AUDREY
WILSON
PS Jun 13, 2019
China Is Courting Disaster in Hong Kong
MINXIN PEI
● トランプの虚偽政策
NYT June 10, 2019
Trump’s Bullying Won’t Fix the Migrant Crisis
By Ioan Grillo
FT June 12, 2019
Trump’s Israel-Palestine ‘deal’ has always been a fraud
David Gardner
● モルドヴァ
FP JUNE 10, 2019
Moldova’s Governments Go Head to Head
BY AMY
MACKINNON
● スーダンと民衆弾圧
FP JUNE 10, 2019
Accused of Inaction, Trump Team Set to Appoint Sudan Advisor
BY ROBBIE GRAMER, JUSTIN LYNCH
国連職員・専門家たちは、アメリカの強い警告と、平和的な民政移管のための国際支援がなければ、スーダンは大量虐殺に直面する、と警告している。
FT June 11, 2019
As Sudan descends into violence, Algeria’s spring lives on
Heba Saleh
スーダンの市民蜂起は流血の弾圧へ向かっている。他方、アルジェリアの平和的な抗議活動は、体制の軍事指導者たちが頑なに態度を変えないまま、それでも継続して、成果を出している。
抗議運動は、イスラム主義者に乗っ取られることを避け、民政移管の要求を続けている。軍隊は、フランスからの独立以後、石油資源を守ってきた。
アルジェリアの将軍たちが暴力的な弾圧を控えたのは、何が起きるかわからないからだ。軍隊が命令に従うと確信できなかった。数万の群衆が金曜日ごとに集まるが、抗議デモと軍隊は、慎重に、エスカレーションを避けた。双方とも、10万人以上が死亡した1990年代の暗黒の時代を記憶していた。それは軍隊が選挙を中止させて、イスラム主義者の勝利を阻んだことで始まった。
また軍隊の中に、悪辣な指導者はいなかった。しかし、軍の指導者は、民主的な指導者への政権移行を拒んでいる。弾圧も起きる可能性がある。軍が直接に権力を奪うか、以降のための対話を始めるか。
地域の政治情勢も重要だ。サウジアラビアやアラブ首長国連邦は、軍による強固な支配体制を好む。権威主義的な体制への資金援助を強めている。移民・難民危機やテロに苦しむヨーロッパは影響力を弱めた。
NYT June 11, 2019
The Princes Who Want to Destroy Any Hope for Arab Democracy
By Iyad
el-Baghdadi
● 新しいネット産業
FT June 11, 2019
Retail: how bookshops survived the
Amazon onslaught
Frederick Studemann in London
Amazonの時代に復活する書店は何を示すのか? オンライン・ショッピングで読書する経験には限界がある。本の世界はもっと面白い。
FT June 12, 2019
Alibaba sees cheap way to bank credit with China
Louise Lucas in Hong Kong
PS Jun 12, 2019
Can UBI Survive Financialization?
LENA LAVINAS
FT June 14, 2019
Facebook’s ‘stablecoin’ punt raises questions for regulators
Gillian Tett
● ベネズエラ
NYT June 11, 2019
Negotiating Venezuela’s Transition
By Abraham F.
Lowenthal and David Smilde
● 中国の通貨政策
FT June 11, 2019
Why ‘cracking seven’ is a big deal for China’s currency
Hudson Lockett
in Hong Kong and Robin Harding in Tokyo
FT June 13, 2019
China should not remake its bond markets in US image
Daniela Gabor
● 新技術と共産主義
NYT June 11, 2019
The World Is a Mess. We Need Fully Automated Luxury Communism.
By Aaron
Bastani
● ECB新総裁
FT June 12, 2019
Jens Weidmann casts a shadow over the ECB
Martin Wolf
マリオ・ドラギを継ぐ、次のECB総裁はだれか? これはヨーロッパ諸国の政府が決定するもっとも重要な問題である。UK離脱も、トランプの扱いも、欧州委員会や大統領の決定も、これに劣っている。次のECB総裁が、その任期の最後、2027年に、ユーロ圏が存在するか、おそらくはEUが存在するか、それを決定するだろう。
ユーロ圏全体をあつかうことができる唯一の機関として、ECBだけがその力を持っていた。ECBは旧弊を破って、最後の貸し手として行動した。ドラギは2012年7月に、「われわれの権限において、ユーロを守るために何でもする用意がある」と宣言した。ECBは、2012年8月に、OMTを、2015年1月から、量的緩和を始めた。
同じ要求を満たせる候補が誰か、決めるのはむつかしい。しかし、最も危険な候補は、断然、ドイツ連銀総裁のJens Weidmannヴァイトマンである。ヴァイトマンは、QEを含む、多くのドラギの革新的手法に反対した。ドイツ憲法裁判所で、OMTを批判する証言までした。
しかし、もしドイツ人の多くが同じように考えているなら、彼は真実を国民に説明する必要がある。特に、ドイツ連銀より、ECBの下で、インフレ率は低かった。世界の低インフレは、一般に、非常に低い金利を意味しており、彼らの貯蓄には大きな価値がない、ということだ。
ドイツ人総裁は、ドイツの民間部門が投資を超える過剰貯蓄を、日本に匹敵するほど多く持っている、と追加して説明するべきだ。ドイツは大幅な経常収支黒字があるから、完全雇用と財政黒字を出すことが可能だ。しかし、もしドイツがユーロ圏に入っていなかったら、それは非常にむつかしいだろう。ドイツ・マルクは変動し、大幅に増価するだろうから。ドイツは今やデフレの中にあり、輸出部門はドイツ国外に移転し、その金融政策は日本のようになる。
要するに、ドイツはユーロ圏から大きな利益を受けてきたのだ。そしてヴァイトマンはECBの行動を何度も支持するだろう。
残念ながら、証拠が示すのは、そうではない。ECBに懐疑的なドイツ人か、より広い視点を持つ人物か。それは国民性の問題ではない。前者なら破滅であり、後者なら祝福に終わる。
FT June 13, 2019
Franco-German tension complicates race for EU’s top jobs
Alex Barker in
Brussels, Victor Mallet in Paris and Guy Chazan in Berlin
● アフリカの新時代
PS Jun 12, 2019
Africa’s Gig Opportunity
OLGA
MORAWCZYNSKI , DAVID PORTEOUS
● 高齢社会
YaleGlobal, Thursday, June 13, 2019
Shelter for an Aging World
Kanzuda Islam
● 日本人はロボットを恐れない
FT June 13, 2019
Why Japan isn’t afraid of robots
Gillian Tett
先週、マッキンゼーの報告書は警告した。今後12年間で、「1億2000万人の女性が、機械化により現在の職を失うだろう。」
欧米の労働者や政治家は、機械化が雇用を破壊する、と言う恐怖を広めている。そしてポピュリストや過激な政治党派が台頭した。しかし、そんな恐怖を持たない国が1つある。日本だ。
日本は工作機械やロボットの先端分野で競争力を持っている。ロボットの多い経済を、非常に効率的なイメージとしてとらえている。日本のメディアでは、ロボットが恐怖ではなく尊厳の源であり、その国の革新能力を示している。
「私たちはロボットが好きなんだ。」と、日本の友人は言った。
より繊細な理由として、ロボットが友人として紹介されることだ。若者たちは、鉄腕アトムAstro Boyの漫画を読んで育った。
第3の理由は、人口の減少。出生率が非常に低い。企業は女性を雇用し、もっと労働者の多い土地から労働者を輸入している。そして、高齢者の増加と、AIの開発だ。
第4の理由は、公的な社会保障制度が十分に整備されていること。それを欠いているアメリカの労働者たちに比べて、ロボットを恐れることは少ない。
VOX 13 June 2019
The Bank of Japan’s exchange-traded fund purchases and implications
for the future
Tatsuyoshi
Okimoto
日銀によるQEやQQE、特にETFを通じた株式の購入は、その効果を失いながら、日銀保有株式の価値が下落する大きなリスクを示している。予防措置が必要ようだが、QEの抑制もむつかしいままだ。
● アフガニスタン
PS Jun 13, 2019
The Afghanistan Conundrum
AMIN SAIKAL
● 福祉国家
PS Jun 13, 2019
Paying for the Welfare State Without Raising Taxes
ROGER E.A.
FARMER
● AIと中国
FP JUNE 13, 2019
AI Can Thrive in Open Societies
BY BRUCE
SCHNEIER, JAMES WALDO
AI開発において、ビッグデータの処理で中国の優位を説明する話には、誤解がある。
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The
Economist June 1st 2019
The next to blow
The trade war and big tech: One thousand and one sleepless nights
The British constitution: The referendums and damage done
Recession planning: Automatic for the people
Bello: Export or stagnate
Nigeria’s economy (1): More misery ahead
The European Parliament elections (1)
Charlemagne: And they’re off!
Free exchange: The bonds that tie
(コメント) 議会が爆発し、あるいは、政治エネルギーが充満して、その出口を求めています。貧困層は新興経済が成長を実現する瞬間を待っています。貿易、投資、債券市場、それらを組み合わせて、人々が生産的に富を実現し、消費できる仕組みを、分割された各地の政治は求めています。
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IPEの想像力 6/17/19
ニュースやコラムは<世界>の鼓動を伝えます。
1997年から50年間、香港の「一国二制度」を保障する基本法は、香港返還時に成立しました。2047年に、自分は生きているだろうか? と思いました。もし中国からの介入が続くなら、もっと早い時期に、システムは崩壊し始めます。
中国は、香港の条例が認めるなら、その住民を、中国の法律によって強制的に送還させる力があります。他方、アメリカは、世界中の国・銀行・企業に対して、関税を引き上げて、情報ネットワークや、金融システムを介する制裁・遮断により、強制力を発揮します。
香港から台湾へ、中国共産党の秩序再編は、民主的なガバナンスと対決します。台湾大統領選挙には、米中市場統合に依拠して急速に拡大してきたFoxconnの創立者、テリー・ゴウTerry Gouが、国民党候補として立つようです。台湾の独立ではない、高度な自治と民主制を、国民党は共産党に対抗して保障できるのでしょうか。
アメリカの2020年大統領選挙は、すでに民主党、共和党の、それぞれの候補者指名争いが始まっています。トランプは、アメリカ連銀を組み込んだ成長の拡大を前提に、貿易・関税による脅しが有効である、と満悦します。他方、民主党には、中国に負けない、産業政策・地域振興銀行=貯蓄機関への資金供給、雇用や中産階級、地方の復活に向けた、新しいQEを行うというアイデアがあります。
イタリアは新しい少額債券、あるいは、「通貨」を発行するかもしれません。ユーロ紙幣そっくりで、イタリアだけが発行し、政府に対して税金として支払うことができる「債券」という話です。それは、おそらく、支払い手段として流通することになるでしょう。ECBとは別に、イタリア財務省が「通貨」を供給し、その通貨は独自の金利や為替レートを生じます。
ユーロ圏はこれをどうするのか? ユーロ圏の財政赤字規制は批判されています。低インフレやデフレ、ゼロ金利に応じて、積極的な財政刺激策をルールに組み込む必要があります。欧州委員会の強いる財政規律に対抗して、各地のポピュリストが財政刺激策を主張することは、民主主義がEUを解体する道です。
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ナイジェリアでは、輸出収入の9割を占める、石油価格の下落だけでなく、政策によっても経済の悪化を続けている、とThe Economistの記事が紹介しています。失業率は23%、インフレ率は11%。1日1.90ドル以下で生活する人々が9400万人もいます。
ナイジェリアの通貨価値を下落させるより、政府はドルの固定レートと割り当てを実施しました。中央銀行は多くの産業にドルを供給しません。輸入を高関税で阻止して、国内生産を求めます。しかし、ドルが無ければ設備も動かなくなり、工場が閉鎖されます。労働者は失業し、不況になりました。
中央銀行は複数の為替レートを採用して、事態を悪化させた、と言います。一部の優遇された複数の為替レートと、国民が闇市場で交換する、もっと条件の悪いレートがあります。
アジアのような輸出型の成長を目指す政策はありません。政府は、道路も、学校も、電力も供給せず、民間投資家は、自分たちですべて負担しなければなりません。ガソリン価格の補助金を削れば財政赤字を解消できるとしても、かつて抗議デモが起きたことを恐れて、政府は放置しています。
学校も社会保障もありません。
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われわれが問われているのは、こうした世界に生きる自分たちの展望です。日本の政治は、無風状態、に見えます。地方都市の首長選挙は、30%が無風です。他方、地球温暖化は自然災害を増やします。
何かが破裂したら、日本人は無風状態を後悔すると思います。もっと若者を加えて、新しいアイデアを積極的に議論する政治が、200万人のデモのあとの香港と同様、この国にも必要です。
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