(前半から続く)
● 情報通信の国際監督機関
FT May
5, 2019
Build a
global body to oversee telecoms infrastructure
Geoff Mulgan
● 核拡散禁止条約
FT May
5, 2019
The US’s
wrong-headed decision to pull out of the nuclear arms treaty
Liu Xiaoming
● 本と銃弾
VOX 05
May 2019
Books
not bullets
Dominic Rohner, Alessandro Saia
● トランプ外交
NYT May
5, 2019
The Real
Trump Foreign Policy: Stoking the GOP Base
By Susan E. Rice
アメリカ国民がトランプ政権の外交を評価するには時間がかかった。政権がスタッフを入れ替え、内部で主張が矛盾し、トランプは衝動的で、明確な目的や価値、イデオロギーがないように見えるからだ。
しかし、詳しく見れば、その原則は明白だ。外交は国内政治の手段なのだ。
ロシア、イスラエル、何より、ラテンアメリカの政策を見ればよい。キューバの政策を逆転し、冷戦時代に戻った。外交としての成果は何も期待できないが、彼の支持者は歓迎する。ベネズエラに対する強硬発言もそうだ。ベネズエラ国民を救済するために一時的なビザの発給を増やす、などとは考えない。まったく可能性はないのに、軍事介入をほのめかす。
共和党は、このような外交を支持する、という無責任さを示した。
FP MAY
5, 2019
HOW TO
WIN AMERICA’S NEXT WAR
BY ELBRIDGE COLBY
FP MAY 6, 2019
If Nobody Knows Your Iran Policy, Does It Even Exist?
BY STEPHEN M. WALT
トランプのイラン外交は何を目指しているのか? 形を成さない。想像するなら、1.歌舞伎でしかない。2.新しい核合意。3.体制転換。4.予防戦争。5.封じ込めと地域同盟。
● 環境の危機
The Guardian, Mon 6 May 2019
Loss of biodiversity is just as catastrophic as climate change
Robert Watson
The Guardian, Mon 6 May 2019
We are full of bright ideas to solve ecological problems. So let’s
act on them
Chris Packham
環境の危機には希望がある。
新しい国連報告は、人類の活動によって、およそ100万種の生物が絶滅する危機に瀕している、と示した。生物多様性が失われることは、気候変動、人口増加、海洋の汚染やプラスチックごみ、などと切り離せない。32億人が土壌の劣化に苦しんでいる。
しかし、こうした結びつきは、1つの問題を解決することが必然的に他の多くの問題を改善することでもある。牛の放牧をやめる提案もある。われわれの生活スタイルを変えることには意味がある。
この数週間の運動、Extinction
Rebellion絶滅への抵抗、も重要だった。先週の議会の討論に変化が生じた。しかし、証拠を示しても、農家や酪農家の行動を変えることはむつかしい。
彼らが革新的な思想に従うべきだ、と言うのではない。しかし、新しい多くのアイデアはすでにある。変化を受け入れるような、支援の仕組みが必要だ。われわれ自身も変化することだ。
SPIEGEL ONLINE 05/06/2019
The Anti-Environment Party
AfD Hopes to Win Votes by Opposing Climate Protection
By Vera
Deleja-Hotko, Ann-Katrin Müller and Gerald Traufetter
PS May 9, 2019
The Case for Climate Tariffs
SHANG-JIN WEI
● 米中貿易戦争
FT May 6, 2019
Donald Trump’s latest China tariff threat is just bluster
Edward Luce
アメリカ大統領は、貿易戦争に勝つのは容易だ、と述べた。現実には、通常、はるかに複雑だ。日曜日、彼は中国からの輸入品に対する関税を引き上げる、と脅した。100人を超す中国からの通商交渉チームがワシントンに来る2日前だ。
今や、中国チームは来ないか、来ても少数だろう。強制されて交渉するのを好む国はない。ましてや、中国は新興のグローバル大国である。
中国は、貿易戦争のエスカレーションを恐れて合意した、という意味の、メイツを失うことは避けねばならない。他方、トランプは「最大限の圧力」と気まぐれな要求とを繰り返す。それは、金正恩が良く知っている。
しかし、アメリカと中国との違いはおそらく溶けることがない。トランプは習の「中国製造2025」をやめさせたい。それは、2025年までに、10の分野で中国は西側に追いつき、2030年までに、人工知能を中国が支配する、という政策だ。単なる経済目標ではなく、習近平の認めた国家安全保障戦略、中国のグローバル大国を目指す計画だ。
トランプは、中国が国有企業への補助金カットを薄めたことに憤慨した。北京は、貿易不均衡を減らす大豆の追加購入には応じるが、国家戦略を変えるつもりはない。
トランプが圧力を最大化したのには、2つの理由がある。1.アメリカの成長は強く、株式市場も堅調だ。連銀のパウエル議長が進める金融引き締めにイライラしたが、連銀は姿勢を変えた。2.中国との貿易赤字をなくすことがトランプの評価に結びついている。多くのエコノミストたちは、その目標は達成できないし、望ましくもない、と言うが。しかも、トランプが中国製品に課す関税を支払うのは、アメリカの消費者だ。
いずれにせよ、トランプの戦略には先がない。中国は要求に応えないだろう。どうなるのか? 金正恩が知っている。
習は、いくつか大きな約束をするが、その細部はもやもやしたままであろう。細部についてはマーラ・ラーゴの別荘で封印する。トランプを軟化させるには、それで十分だ。
FT May 6, 2019
Why Democrats don’t want to mention Trump’s (trade) war
Demetri
Sevastopulo in Muscatine, Iowa and James Politi in Washington
FT May 6, 2019
Why oil could help resolve the US-China trade stand-off
David Sheppard
NYT May 7, 2019
Xi Jinping Wanted Global Dominance. He Overshot.
By Yi-Zheng
Lian
習近平は、中国がいわゆる経済の奇跡を示す上昇期に権力を得た。彼は「チャイニーズ・ドリーム」を唱え、オバマ大統領に「新しい大国間関係」と提案した。それは漢民族に帝国復活の喜びを与えた。
しかし、それは反対派を抑え込んだ国内のパフォーマンスでしかない。貿易戦争は、習の最初のテストであったが、その結果は良くない。中米関係の扱い方を間違ったのだ。毛沢東以来、亜米利加との対決は避けて、国内改革に利用してきた。2001年のWTO加盟のように。その後も中国は、アメリカの金融市場で資金を調達し、シリコンバレーから先端技術を獲得し、中国自身のハイテクハブを築いた。
しかし、習は攻撃的な姿勢を示して、反米的な主張が公式メディアに広がった。中国政府はアジアでアメリカの軍事力に挑戦することを鮮明にした。台湾、南シナ海は、ますます危険な情勢に向かっている。トランプ政権内のタカ派は、中国を第1に敵とみなすようになった。それは、アジアの他国、オーストラリア、ニュージーランド、ヨーロッパにも影響を及ぼす。
歴史の先例に従うなら、毛沢東がソ連の指導力に挑戦し、世界支配を目指したように、習近平もアメリカに挑戦し、失敗するだろう。中国経済の長期の構造的な限界を示されているが、それに対応する政策がない。急速な高齢化、労働人口の減少、債務の膨張、などだ。
習近平は、憲法を変更して、死ぬまでその地位にとどまることことも可能になった。深刻な失敗が表明化するまで、権力を維持できる。
FP MAY 7, 2019
The Panama Canal Could Become the Center of the U.S.-China Trade
War
BY MAT YOUKEE
● 世界経済の低金利状態
PS May 6, 2019
Explaining Inflation Inertia
CARMEN M.
REINHART
FT May 8, 2019
How our low inflation world was made
Martin Wolf
世界経済の現状を理解するには、それがどこから来たか、考える必要がある。現状とは、実質・名目金利の超低水準、ポピュリスト的な政治、グローバル世界経済に対する敵意である。
驚くことに、2009年以前に、イングランド銀行が銀行への短期金利を2%より下にしたことは1度もなかった。ナポレオン戦争や、2度の世界大戦、大不況に対して金利を大幅に下げたが、今では10年もほとんどゼロの水準にとどまっている。アメリカ連銀、ECB、日銀もそうだ。
Ray Dalioは最近の著書(Principles for
Navigating Big Debt Crises)で、その背後のロジックを描いた。自国通貨で債券を発行できる諸国では、過剰な信用拡大の後に、金融危機を政府が管理した。大量倒産と需要の大幅な落ち込みを回避して、調整を数年にわたって行ったのだ。それは「美しい債務削減」であった。
それには4つの要素が結びついた。1.緊縮策、2.債務組み換え、あるいは、デフォルト。3.中央銀行による「紙幣の増刷」、4.所得・資産の移転。重要なことは、長期金利が所得の名目成長率よりも低く維持されることだ。
しかし、それは政治的には不人気であった。金融危機の損失を分担することは、危機後の弱い回復と並んで、国民の怒りを高めた。
われわれはどこにいるのか? 1.成熟経済において、金融部門、また、家計の債務は、所得に対して相対的に減少した。しかし、政府と非金融部門はそうではない。2.大西洋圏の債務削減ショックは、他の地域、特に中国で、債務の膨張を生じた。3.金融危機に陥った諸国の所得水準は、まだ危機前の水準に達していない。4.左右のポピュリスト政治家が躍進した。これらすべては過去の金融危機にも見られた。
次は何が起きるのか? 危機の前には、安全な資産に対する実質金利が低下していた。それは、アジア金融危機の後、世界で最もダイナミックな経済の諸国が資本輸出に転じたことが決定的であった。他の要因もあった。重要な新興経済では貯蓄率が高かった。高所得国で生産性上昇が遅かった。高齢化する経済では物的資本への需要が減った。高所得国で脱工業化が進んだ。サタに重要なこととして、資本財の相対価格が急激に低下し、所得分配が利潤や高賃金に有利な形でシフトした。潜在的な所得に比べて、支出は伸びなくなった。その結果は、実質金利の下落であった。
この20年間を、「危機前の長期不況」と「危機後の長期不況」とに分けるべきだ。世界経済は不安定化を抑制するのか? 新しい債務危機、政治不安に向かうのか? 最善の政策対応は何か?
FT May 8, 2019
Why central banks need to be less dogmatic on inflation-targeting
Marie Owens
Thomsen
VOX 09 May 2019
No Moore golden era for US monetary policy
Jeffrey Frankel
● イギリス王室
NYT May 6, 2019
Meghan Markle Is the Duchess the Royal Family Needs
By Tanya Gold
NYT May 6, 2019
‘Her Royal Highness and the Baby Are Both
Doing Well’
By The
Editorial Board
NYT May 7, 2019
The Royal Baby and Blackness as a Badge of Honor
By Lizzie
Skurnick
● アメリカとイランの危機
FP MAY 6, 2019
How Dangerous Are U.S.-Iran Tensions?
BY KEITH JOHNSON
FP MAY 7, 2019
Trump’s Iran Policy Is Becoming Dangerous
BY COLIN KAHL
The Guardian, Wed 8 May 2019
Trump’s antics over Iran have endangered us all. The stakes are now
lethally high
Jonathan Freedland
トランプ政権のカーニバルが続く。アメリカの外から見ると、それは大舞台、長期にわたるリアリティー・ショーだ。しかし、その俳優たちのばかげた姿にもかかわらず、トランプ政権の動きは本物であり、重大な、あまりにも深刻な結果をもたらす。
イランとの核合意から離脱すると宣言した。昨年5月8日、トランプは軍事・安全保障の助言を無視して、「最悪の取引だ」という理由で。しかし、もしかすると、まったく笑うべきことだが、オバマが残した成果に対する彼の羨望と恨みから、この地政学的に重大なシフトが決まったのかもしれない。
アメリカによる第2の制裁を恐れて、ヨーロッパの企業はイランから逃げ出し、すでに苦しむイラン経済の息の根を止めつつある。それはイラン国民にアメリカへの反撃を要求させる。テヘランは核合意を守るが、決して模範的な国ではない。クレムリンとともに、シリアで残虐なアサド政権を支援した。地域におけるテロ集団の母体である。国内反体制派にも野蛮な弾圧を行った。
今や、ヨーロッパ諸国はジレンマに直面する。トランプに従えば、制約はあるが、価値の高いイラン核合意が崩壊する。トランプに逆らえば、ヨーロッパの大企業が罰金を科される。トランプの制裁を回避する金融メカニズムを築こうとしたが、成功していない。しかも、Brexitの前でイギリスの力は失われる。
トランプの道化が、テレビ・ドラマのような筋書きで、現実世界に深刻な影響を及ぼす。
FT May 8, 2019
Risks rise of an accidental war in the Middle East
David Gardner
軍事部隊を中東に派遣するというアメリカの決定は、トランプ大統領の国家安全保障顧問であるジョン・ボルトンにより、「イランの体制に向けた、明確な、誤解のない警告」である、と述べた。アメリカやその同盟諸国に対するいかなる攻撃も「容赦ない軍事力」で報復される、という。
しかし、アメリカが差し迫った、イランンを憤慨させる、攻撃をするのか、その明確な情報はない。
空母USSエイブラハム・リンカーンの打撃群は、ボルトンが指摘したが、予定された交代の航海を、地中海から湾岸へ、もう1カ月も続けている。ボルトンは好戦的戦略家だ。
トランプは、アメリカがイランとの核合意を一方的に離脱すると宣言したが、イランとの取引をやめなければ制裁を再び科すと同盟諸国も脅した。イラン革命防衛隊をテロ集団と指定し、イランから石油を輸入する中国、インド、トルコなどに、制裁の適用除外を認めない、と発表した。
しかし、イランへの圧力は、予想通りの結果を導かない。イランは地域紛争の一方である。2003年、アメリカ主導のイラク侵攻、2011年、アラブの春があった。5年も続いたイスラム国の存在っも含めて、シーア派とスンニ派との対立が過熱している。スンニ派の不満は、イランが、イラク、シリア、レバノンなどを通るシーア派の地帯を築いたことだ。
サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)は、シーア派の地帯に脅かされる地域のスンニ派を支援する。しかし、世界のこの部分では、すべての行動に同様に、反対する行動が生じる。
中東では多くの危険な部品が動いている。首脳たちの行動を信じる多くの過激なアクターが存在する。そして、アメリカにはトランプという突発的な行動をとる大統領がいる。
アメリカとイランが戦争を始めなくても、偶発的な事件から戦争が始まるだろう。
FP MAY 8, 2019
Iran Sends a Threat, and Europe Scrambles
BY KEITH
JOHNSON, ROBBIE GRAMER
FP MAY 8, 2019
Echoes of Iraq in Trump’s Confrontation with Iran
BY MICHAEL
HIRSH, LARA SELIGMAN
The Guardian, Thu 9 May 2019
Trump’s foolish Iran policy only makes war more likely
Simon Tisdall
FT May 9, 2019
Iran nuclear decision raises tension with US
● パレスチナ国家
The Guardian, Tue 7 May 2019
Britain needs to recognise Palestine as an independent state
Ian Black
ラマダンの断食、イスラエルの独立記念日。最近の境界地帯では、イスラエルに向けてロケット弾が飛び、イスラエル軍は空爆した。25人のパレスチナ人と5人のイスラエル人が死んだ。それは2014年の夏に、2250人のパレスチナ人と67人のイスラエル人が死んだことに比べれば小さな事件だ。
2国家案を侮辱することが流行しているが、それは間違いだ。バルフォア宣言から100年の記念に、イギリスは責任を果たすため、国連安保理決議に従い、イスラエルだけでなく、パレスチナ国家の独立を正式に承認するべきだ。
● ロシアのパスポート
PS May 7, 2019
Russia’s Passport Expansionism
AGNIA GRIGAS
● 経済制裁
PS May 7, 2019
Seven Fallacies of Economic Sanctions
HASSAN HAKIMIAN
経済制裁の有効性は極めて低い。制裁が戦争に至るケースもある。
● ポピュリストと選挙
NYT May 8, 2019
Populists Don’t Lose Elections
By Jan-Werner
Müller
トルコのエルドアン大統領は、その与党Justice
and Development Party候補者が敗北したイスタンブールの市長選挙を、「投票箱の強奪」のような顕著な不正があったとして、やり直すように命じた。
これは、ポピュリスト型権力者に珍しいことではない。エルドアンのような政治家は、自分たちだけが人民を代表している、と主張する。だから、彼らが選挙で敗北することはないし、もし敗北すれば、それは選挙で不正があったことを意味する。リベラルなエリートたちが、彼らをだますような投票操作を行ったのだ。ハンガリーのオルバンや、アメリカのトランプも、同じような主張をしている。もし市民が彼らを支持しないなら、それは本当の市民ではない。
トランプは、2016年に、もしヒラリー・クリントンが勝利したら受け入れるのか、という質問に、悪名高い答えを示した。「そのときになったら教えてやる。」 もちろん、トランプの支持者たちにはその本当の意味がはっきりと理解できた。トランプ支持者の70%が、もし民主党候補者が勝利したら、投票は操作されたに違いない、と考えていた。ポピュリストたちは、組織的に、民主的な制度に対する不信感を高めたのだ。そして、トランプは、公式な集計からは非合法な数百万票が引かれねばならない、と主張し、2016年の得票数では負けているという事実を、決して受け入れなかった。
どうすればよいのか? 1.圧倒的な差で勝利する。2.国際的な選挙監視団を増やす。しかし、実際に可能な方法としては、3.ポピュリストに譲歩して、負けを受け入れさせる、となる。彼らの敗北は部分的なものであり、彼らが訴追されることはなく、すべての権力を失うわけでもない。
それは極端に好ましくない結果だが、民主主義を回復するには、支払う価値ある代償かもしれない。
SPIEGEL ONLINE 05/09/2019
The AfD Dilemma
Germany Struggles to Find Right Approach to Populists
By DER SPIEGEL
Staff
FP MAY 9, 2019
Is There a Secret Recipe for Preventing Far-Right Populism?
BY PAUL
HOCKENOS
● 台湾民主主義とアメリカ
FP MAY 9, 2019
Taiwan’s Self-Made Democracy Still Needs U.S. Partnership
BY TSAI ING-WEN(祭英文the President of Taiwan)
1979年4月10日、台湾関係法が署名された。その1か月前にアメリカ議会を通過した。1979年1月、カーター大統領は中華人民共和国と公式の関係を持ち、同時に、中華民国・台湾との関係を断つ決定をしたからだ。
当時、台湾は民主主義ではなく、人口1700万人、1人当たりGDPが1958ドルであり、冷戦の嵐に瞬くロウソクの火のようであった。
台湾関係法は、アメリカが西太平洋の平和、安全、安定性に関与する権限を与えている。アメリカは台湾を包摂し、強制に抗する十分な防衛力を持つよう保証している。
冷戦の中で、台湾が民主主義の理想の国を目指すとは、だれも予想しなかった。しかし、台湾民衆は権威主義的体制からの民主化を実現し、活気ある民主主義国家として、1996年、最初の大統領選挙を行った。4年後には、異なる政党へ、平和的な政権交代を行った。2016年には、最初の女性大統領を選び、議会には多くの女性議員を送った。
台湾は、また、援助を受ける国から、ハイテク工業国家となり、人的資本、ルールに依拠した市場、健全な司法制度において抜きんでた国となった。
20世紀における民主主義の前進において、40年間、アメリカ議会の承認した台湾関係法は重大な基礎を与えてきた。我が国とアメリカのパートナーシップは、第2次世界大戦後のルールに依拠した秩序への挑戦に対して、これまで以上に重要である。
われわれは権威主義体制に決して屈することはない。友人たちとともに、未来の世代に、開放的で、自由なインド太平洋、さらにそれを越えて、より良い世界を残すため、私は闘い続ける。
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The
Economist April 27th 2019
Technology and security: The right call on Huawei
Indonesia’s election: Us and them
Identity politics in India: Vote terror
Banyan: Cross-strait love and hate
Global infrastructure: Seeds of suspicion
Panama’s election: Miffed, but moderate
Sudan: The struggle continues
Ukraine: Ready for prime time?
Bosnia: Hanging together
Monarchy: Sovereign immunity
Oil markets: Crude tactics
Argentina’s economy: The price of desperation
Trade deal: Much to report
Free exchange: A hot mess
(コメント) 興味深い記事が多くありました。各地の選挙は、軍事介入後も含めて、その土地の安定化に役立つのか、インドネシア、インド、台湾、パナマ、スーダン、ウクライナ、アルゼンチンを観て、大いに考えてみるべきです。
第5世代通信システムの導入、グローバルなインフラ整備、国際石油市場、通貨・金融市場、それらにおける米中対立も記事にあります。
トランプ政権が激しく恐喝してまとめさせた、NAFTAに代わるUSITCは、どれほど成果を上げているのか? 経済全体において評価する分析が進んでいます。同等に、アルゼンチンのインフレ鎮静化にIMFが関わり、地球温暖化と温暖化ガスの排出抑制だけでなく、その大気中からの除去、環境エンジニアリングに関しても、グローバルな政治経済と制度化の時代が意識されます。
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IPEの想像力 5/13/19
私たちは、もはや、アメリカの外交・安全保障に頼ることに安心できない、と認めるべきだ。
もし中国がWTOやIMFを介した交渉で解決を目指すなら、米中貿易摩擦では、アメリカではなく、中国を支持することが正しい。同様に、トランプ政権は環境問題を軽視・否定している。環境問題や地球温暖化対策、電気自動車、脱化石燃料、AIや5G通信システムにおいても、中国と協力することが正しい。
確かに、Huaweiの情報通信ネットワークに、中国政府や軍が情報提供を求める懸念はあるだろう。ネットワークに参加する国が、明確な形で、情報を守るルールと監督機関を置くことが正しい。それは、アメリカやロシアなど、多くの国の諜報活動についても言える。ソーシャル・メディア対策、インターネット犯罪、遺伝子操作、動物や人間の感染症、種の絶滅、など、多極化する世界で優れたルールを示し、普及させる国と、私たちも協力し、信頼することが正しい。
もしトランプが、軍事的威嚇と挑発を繰り返し、サウジアラビアやイスラエルとともに、イランとの戦争を始めたら、日本はそれに参加するのか? アメリカによる核の傘を失うことはできないから?
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中国は、対米貿易黒字が大きく、輸入に対する関税で対抗することができない。しかし、トランプの関税を支払うのは、もっぱらアメリカの消費者だ。貿易・通商政策に関する交渉が、為替レートや金融政策、補助金や輸出促進システム、商慣行、輸入を促す国内ルールの改正まで、拡大しつつある。それは1980年代後半の日本を見ているようだ。
アメリカが中国に促しているのは、貿易戦争から、為替レート・通貨戦争、外貨準備・金融政策戦争、管理貿易・ブロック化に向かうG2世界なのか? 日本はそれに反対するべきだ。
イランに対する制裁を国際金融システムによって強いることは、ドルによる国際決済システムからの離脱、多極化、SDRによるIMFの口座間決済システムへ、中国だけでなく、トルコやヨーロッパを向かわせる。日本の企業や銀行も、ドルからの離脱を準備するのが正しい。
アメリカの軍事力や核の傘を失うことは、ヨーロッパのような地域安全保障の制度化と交渉メカニズムを鍛える必要を示している。トランプ政権がそれを求めている。アメリカとの2国間安全保障同盟から、地域安全保障システムへ、日本も進むことが正しい。
アメリカによる国際秩序ではなく、アジアにおける中国を盟主とした秩序に従うのか? 貿易、証券投資、企業の直接投資、移民・難民、情報・通信・治安、など、日本が中国との対話を積み重ねることで、双方の合意を形成することになるだろう。中国には中国の、「権力=秩序の正統性」が、求められるはずだから。
それは、必ずしも、リベラルな民主主義のモデル、人権・民主化・法の支配、宗教・思想信条・表現の自由、ではないだろう。地球のすべての生活を1つのモデルに縛ることはできない。その土地にふさわしい、共同生活の道徳理念、家族や地域社会を再建するメカニズムを求める。
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習近平体制がたどった、権力の歴史的な構造を考えることは重要だ。高い成長率を政治的な正統性に代える時代は終わった。中国にとっても、日はまた沈む。中国経済の構造的転換、インフラ投資や債務膨張、人口の高齢化や労働力の減少、地域格差・所得格差に応じた、多様な政策、都市中産階級の発言力を吸収できる政治システムが求められる。
アメリカとの摩擦と構造協議、国際協調に乗り出した日本の1980年代を、中国はバブル崩壊なしに、制度改革、革新的な政策で、独自に進む意欲を示している。私たちは、中国の姿勢を称え、協力することが正しい。
同時に、中国は独自の民主化を、基本的な社会的価値を、ナショナリズムを、多様な社会システムの安定化として実現するべきだろう。中国は、少数派や政府批判の権利を認め、他国との平和的な共存を目指し、国際的な支持を得るのが正しい。
そのような世界は可能だと思う。もし中国が、明確に、台湾との再統一を平和的に実現する、香港の民主主義や、西域、チベットなどで、少数民族の権利を尊重するという方針を示せば、アジアは中国とともにあるだろう。
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