前半から続く)


 一帯一路と都市の連鎖

FP APRIL 20, 2019

Catching China by the Belt (and Road)

BY ETHAN B. KAPSTEIN, JACOB N. SHAPIRO

FT April 23, 2019

BRI-inclined Europeans need a keen eye for detail

FP APRIL 23, 2019

This Banking Fraud Shows How Shady China’s Economy Remains

BY MATTHEW LOWENSTEIN

PS Jan 24, 2018

The Power of China’s Urban Clusters

ANDREW SHENG , XIAO GENG

2月、中国の広東省で、香港、マカオを含むthe Pearl River Delta浙江デルタのthe “Greater Bay Area” (GBA) 開発計画が発表された。世界では今も、どのように包括的で持続可能な成長を実現するか、論争し続けているが、中国はこの計画のように、それを達成しつつある。

PS Jan 24, 2018

China’s Great City Rivalries

ZHANG JUN

FT April 25, 2019

China needs to make BRI more transparent and predictable

James Crabtree

習近平の推進する一帯一路BRIは、北京に多くの指導者たちを迎えて、第2回目のフォーラムを開催した。5年前に開始してから、この論争的なインフラ投資計画は、数千億ドルを、東南アジアから中央ヨーロッパまで、港湾、鉄道、発電所に投資してきた。

その過程は様々な問題もある、受け入れ国の不透明な債務に関する批判を受けるものでもあった。しかし最近では、一方で、マレーシアが高速鉄道プロジェクトを再開し、またイタリア政府が参加を決定した。

BRIが欠陥を乗り越えて前進するには、3つの点が重要だ。1.債務に関する問題が起きた場合の処理を明確にする。2.融資の全体に関する情報を公開し、透明性を高める。3.様々な機関がばらばらに行っている事業と融資を、組織として整理する。

批判に応えて、習近平はBRIを「協力のためのオープンなプラットフォーム」として提示した。そのような改革は、北京にとっての地政学的な道具としてBRIの制約を意味するが、経済的な信用を高め、債務問題の処理を効率的に行うことでコストを抑える。中国経済の減速や経常収支の黒字が縮小する中で、制度化は重要な意味を持つ。

FP APRIL 25, 2019

FP’s Guide to China’s Belt and Road

BY FP EDITORS

FP APRIL 25, 2019

China’s Debt Diplomacy

BY MARK GREEN

中国は、パリ・クラブのような、アメリカなど21か国が参加する政府による発展途上国融資の国際機関には参加していない。


 スペインの選挙

FT April 21, 2019

Spain’s open election highlights its polarisation problem

David Gardner in Madrid

FP APRIL 23, 2019

Spain’s Political Deadlock Is Forever

BY MARK NAYLER

カタルーニャの独立問題と、極右の新興政党VOXが、選挙の争点になった。

FT April 26, 2019

Polarised Spain needs to find a co-operative spirit


 令和の時代

FT April 21, 2019

Why gender diversity matters for Japan’s economy

Kathy Matsui

日本経済に女性の活力は加わったか? 20年前、女性経済学の出版で提唱したことだ。しかし、最新のGlobal Gender Gap Indexでも、日本のジェンダー・ダイバーシティは、149か国中の110位である。2018年に、医科大学で女性の入試を組織的に低く採点していたスキャンダルが示すように、前進するより、むしろ後退している。

日本は人口の大変動を避けられない。3人に1人は老人となり、21世紀半ばには、労働人口が7500万人から4500万人へ、40%も減少する。登録されているペットの数が15歳以下の子供の数より多い。IMFは、最近、構造的な改革がなければ、日本の実質GDP40年間で25%減少する、と警告した。

政府、企業、社会には、できることが多くある。

FP APRIL 22, 2019

Japan Pushes the Speed Limit on Trade Talks

BY WILLIAM SPOSATO

FT April 23, 2019

A new era requires an optimistic new model in Japan

Gideon Rachman

日本は、令和の時代にも多くの課題を抱えている。特に、報復の感覚を持つかもしれない中国が台頭することは、人口減少とともに、日本人の悲観論を強めている。

日本がそのダイナミズムを回復し、アジアの強力な民主主義国家として繁栄することは重要だ。もし中国の台頭が、世界の次の秩序を築くのであれば、それはまずアジアを制覇しなければならず、その最大の物理的・政治的な障壁となるのが日本である。

人口減少や実質GDPの現象は、日本が世界最大の債務/GDP比率を持つことから、エコノミストたちを不安にする。

安倍の政治的なルーツは保守派であり、自衛隊をアメリカ軍とともに戦争に参加できるような法改正、防衛費の増額、そして、憲法改正を目指している。しかし、彼は同時に、現代のナショナリストがインターナショナリストとして同盟を築く必要を理解するほど十分に知的な指導者である。

日本の令和における挑戦が始まる。

FT April 23, 2019

Working-age Japan’s howl of rage against the elderly gains a name

Leo Lewis

FT April 24, 2019

Japan’s long holiday could yield a golden opportunity

Leo Lewis

10連休で、市場は閉鎖したままになれば、株価や為替レートがどうなるのか? それでも取引は行われるが、流動性が非常に低く、変動が大きくなるかもしれない。


 道化師の大統領

The Guardian, Mon 22 Apr 2019

Zelenskiy’s victory in Ukraine was extraordinary. But now he faces a real test

Katya Gorchinskaya

ゼレンスキーVolodymyr Zelenskiyは、当選後、インタビューで述べた。「私を見てほしい。なんだって可能だ。」

ゼレンスキーは、いくつかの約束を果たせない。大統領に、経済を立て直す力はない。しかし、汚職に関する対策では成果を求められる。また、彼の選挙を支援した大富豪Igor Kolomoiskyの扱いにも関心が集まる。

FT April 22, 2019

Big tests loom for Ukraine’s ‘break the system’ TV president

Ben Hall

ゼレンスキーは新年の前夜に立候補を表明した。TVシリーズで、まじめな学校教師が大統領になる、という話の役を務めたことだけで、何の政治経験もない。政党も、政策もない。外交、軍隊、司法について、彼が責任を果たせるのかだれも知らない。

41歳の漫画的な人物が国民の不満を吸収して支持された。経済は改善せず、汚職が蔓延し、ウクライナ東部におけるロシア軍の偽装した集団との間で軍事衝突が解決しない。

しかし、オリガークであるIgor Kolomoiskyとは関係がある。そのTV番組はゼレンスキーの選挙活動を放送したし、スタッフや法律顧問を与えた。

ゼレンスキーが試されるのは、第1に、Kolomoiskyの銀行の赤字と破たん処理、国有化の問題をどのように解明できるか、である。第2に、より長期的に、汚職撲滅だ。最大の問題は、ロシアとの紛争を終わらせることだ。

FP APRIL 22, 2019

Who’s Laughing Now: Zelensky or Putin?

BY JUSTIN LYNCH

FP APRIL 22, 2019

Ukraine’s Pretend President Now Faces a Real Test

BY ALEXANDER J. MOTYL

The Guardian, Tue 23 Apr 2019

Comedy is a tool, a trick – Ukraine will soon see that running a country is no joke

Jack Bernhardt

最も大げさに言えば、私は風刺がマーガレット・サッチャーを倒したと思う。ツイッターに、ERGBrexitをキャンセルした、と書くだろう。先週末までは、コメディーが世界を変える、というのは仮定の話だった。しかし、日曜日、ゼレンスキーがウクライナ大統領になったのは本当だ。

敵の最悪の点や偽善を攻撃するうえで、コメディーは有益な武器になる。しかし、武器はしょせん武器でしかない。政治家兼コメディアンは、未来のためのビジョンを創ることに関心がない。前にあるものはなんでもバカにするのだ。ゼレンスキーの約束はすべて、皮肉に彩られており、誰かがそれに挑戦すれば、「単なるジョークだよ」と否定するだろう。

コメディアンの政治家は空っぽの容器でしかない。Ihor Kolomoiskyが彼に見返りを求めないとは考えられない。政治家としてのコメディアンは、単なる腐敗の新しい上着である。

確かにコメディーが世界を変える。すべてのものに冷笑を詰め込み、希望を空っぽの笑いに代える。

FT April 24, 2019

The comic prince of Kiev prepares for prime time

FP APRIL 24, 2019

How a Jew Won Over the Land of the Cossacks

BY JUSTIN LYNCH

The Guardian, Thu 25 Apr 2019

Zelenskiy’s election proves Ukraine is a healthy democracy. Putin hates that

Natalie Nougayrède

プーチンはゼレンスキーに、祝福の電話をかけなかっただろう。ウクライナが達成したものは、ロシアの大統領にとって国を動かす障害である。すなわち、自由で、公正な、多元的に意見が問われる選挙。民主的な権力移行の見通し。

プーチン支配下のロシアは、共産主義のないソビエト体制だ。西側の犠牲になった物語、スターリンの遺産の復活、ロシアの1000年の栄光においてUSSRが積極的な1章となる。他方、ウクライナは、ソビエト時代の数々の犯罪を非難し、特に2014年のメイダン革命後、ヨーロッパに向かった。


 金融危機の前兆

PS Apr 22, 2019

Bipolar Markets in the “New Mediocre”

NOURIEL ROUBINI


 インドの選挙

NYT April 22, 2019

The Remarkable Comeback of Rahul Gandhi

By Sushil Aaron

FP APRIL 23, 2019

India’s $7 Billion Election

BY ABHEEK BHATTACHARYA


 ドイツの外交政策

FT April 23, 2019

Germany’s search for a new diplomatic map

Tobias Buck in Berlin

ドイツの外交政策は厳しい見直しを迫られている。ベルリンは、友人が敵に変わり、確実さが疑いに代わるのを見ている。ブダペストからワルシャワ、ローマ、ワシントンまで、新しいナショナリストの指導者たちが現れて、ベルリンに向けて敵意と対立の言葉を吐く。政治的、経済的な理由で、ドイツと、中国、ロシア、トルコ、主要諸国との関係は緊張を高めている。

同時に、ドイツ外交、そしてその戦後の繁栄が、数十年にわたり依拠してきた同盟関係の網の目は、かつてない亀裂を生じている。NATOEUUK、フランス。アメリカはもはや、かつてのように国際的責任を果たさない。国連など、国際機関もそうだ。

ドイツが抱く国際協力の願いと、われわれが実際にすることとのギャップは、あまりにも大きい。ノード・ストリーム2のガスパイプラインでも。ユーロ圏の改革でも。最も顕著な例は、アメリカとドイツとの間のNATO防衛費分担をめぐる論争だ。

3帝国の遺産だけが問題ではない。ドイツは自信を失ったのだ。「われわれが大戦略を立てて実行したとき、その結果は史上最大の文明崩壊であった。」・・・「われわれの善意を他国が信じるとは思えない。」

ドイツは豊かになった。再統一にも成功した。そして同盟諸国ばかりに囲まれている。それはこれまでにない、初めての状況だ。ドイツ人の歴史的経験、特に、1989年の再統一の成功が、ナショナリスト政治の復活にとって間違った条件を用意した。「ドイツは歴史の正しい側にあることを自覚したのだ。」

その希望が実現しないと分かったとき、すなわち、ヨーロッパの同盟が解体し、右派の権威主義が広まるとき、ドイツの迷いが生じた。


 アラブの第2の春

PS Apr 23, 2019

The Arab Spring’s Second Chance

ISHAC DIWAN

PS Apr 23, 2019

Algeria’s Moment of Truth

ZAKI LAÏDI

FT April 25, 2019

Sudan’s protests feel like a trip back to revolutionary Russia

David Pilling

The Guardian, Thu 25 Apr 2019

The Guardian view on Libya: this crisis is international

Editorial


 EUの冬

PS Apr 23, 2019

Is Winter Coming to the EU?

MARK LEONARD

The Guardian, Wed 24 Apr 2019

The Euro candidates have achieved the impossible – turned me into a Brexiteer

Hannah Jane Parkinson


 アメリカの都市

NYT April 23, 2019

The Best Way to Rejuvenate Rural America? Invest in Cities

By Amy Liu and Nathan Arnosti

NYT April 24, 2019

Don’t Forget About Paradise, or Those Below It

By Sarah Pape


 アメリカ企業とヨーロッパの消費者

FT April 24, 2019

American big business must not hobble EU consumer redress

Laura Antonini


 「途方もない特権」

FT April 24, 2019

America’s dollar privilege is not exactly exorbitant

John Plender

かつてヨーロッパ人は、アメリカが出す国際収支赤字のおかげで、ブレトンウッズ体制の下の国際取引の自由を得ていた。フランスの財務大臣であったジスカール・デスタンは、アメリカ政府が、世界の準備通貨としてのドルを使うことで、「途方もない特権」を持つ、と不満を述べた。

その後、アメリカがドル安を促していつでも競争力を回復することに懸念が変わった。新興市場からは政治家や中央銀行がアメリカの金融政策を批判した。彼らがドル建ての債務に依存しているとき、特にそうだ。

しかし、たとえ最近、財務省証券の価格が上昇し、利回りが低下しても、アメリカが支払う債券保有者への利払いは、他の発展した諸国の政府に比べて、十分に潤沢である。他方、シニョレッジを得ている、という批判についても、それはわずかなものだ。

アメリカ財務省証券はいつまで国際取引されるのか? ドナルド・トランプが大幅減税で作った今後の構造的赤字を埋めることが関係してくる。アメリカは世界の政府債務の約3分の1を占めるが、GDP比では104%である。しかし、そもそも経済成長率の方が政府債券への利回りよりも高いため、アメリカの債務危機を心配する必要はない。

投資家の心理が変わったときはどうか? イタリア政府の債務や成長率、インフレ率は、そのような懸念を生じる。市場で消化できない債務をイタリアの銀行が購入しており、そこに潜在的なシステム・リスクが存在する。

もちろん、アメリカはイタリアと違う。アメリカの財務省証券は世界で最も安全な資産として認められている。アメリカ経済のシェアが低下しても、ドルの世界準備通貨としての地位は続くだろう。その市場規模と流動性、また、1980年代のインフレ鎮静化の実績があるからだ。

アメリカは金融危機の発生源、世界経済停滞の脅威であったが、世界の投資家たちは安全な非難所としてドルや財務省証券を求めた。それは矛盾である。金融システムの運営失敗によって、資産管理者が利益を得た。他面では、アメリカ連銀が、他の中央銀行との通貨スワップを通じてドルを供給し、最後の貸し手として機能した。

確かに、アメリカはドルという特権をまだ持つだろうが、途方もない特権ではないのだ。


 イングランド銀行総裁の募集

FT April 25, 2019

The next Bank of England governor will need exceptional skills

候補者求む。政治的な資質とコミュニケーション・スキルを持った、例外的な移行過程において、巨大な経済の中央銀行を運営できる人物だ。しかも、政治的な介入にも抵抗しなければならない。

FT April 26, 2019

Central banks are finally taking up the climate change challenge

Gillian Tett


 アルゼンチン危機

FT April 25, 2019

Argentina is on the brink

Colby Smith

低成長、インフレ、通貨危機、デフォルト。市場型の改革を唱えたはずの新しい大統領は、価格統制に訴えた。もはや再選の機会を失ったようだ。

FT April 26, 2019

Argentine peso tumbles further as political angst rises

Colby Smith, Joe Rennison and Mamta Badkar in New York


 財政赤字削減の見直し

FT April 25, 2019

Why America is learning to love budget deficits

Sam Fleming and Chris Giles in Washington

金融政策がゼロ金利によって次の刺激策を取ることができない状況で、財政的な刺激策が注目されている。財政赤字の増大は、債務累積によって制約されるべきではない、という主張が強まっている。


 ハイテク企業の規制

PS Jan 25, 2018

How to Regulate Big Tech

MICHAEL J. BOSKIN


 グローバリゼーションと右派・左派のポピュリズム

FP APRIL 25, 2019

The Next Backlash Is Going to Be Against Technology’

BY KEITH JOHNSON

Foreign Policy: あなたは新著Straight Talk on Tradeでグローバル経済の健全さを回復するべきだと主張した。開放経済と国民主権とをバランスするにはどうすればよいのか?

Dani Rodrik: 1945年から1980年代まで、ブレトンウッズのルールは、そのような世界であった。グローバリゼーションは進んだが、国境の中には、諸国が自国経済を管理する十分な余地があった。

アメリカとヨーロッパ、中国が深い経済統合を許すような市場経済モデルに、中国も収れんすると仮定するのではなく、むしろ中国の経済モデルは異なったままであることをわれわれは認めるべきだ。同じように、中国は、アメリカや西欧が中国や発展途上国との貿易に懸念を持つのが正当なことであり、自国の社会的枠組みや独自の技術体系を保護する権利があることを認めるべきだ。

FP: しかし、リベラリズムと重商主義の対立はどうなるのか?

DR: 根本的な、構造的問題は存在するが、それは必ずしもリベラリズムと重商主義の対立ではない。すべての経済がその両方を持っており、ミックスの仕方が異なっている。アメリカ経済をリベラルな経済の模範とするのは間違いだ。それらの混合経済は実践を通じて変化しており、世界経済は必然的に異なる混合経済の併存したものである。単一のルールによってグローバルな経済が諸国の適用を求めるというより、各国が問題を解決するより大きな自由を許すことで、グローバリゼーションが健全かつ持続可能になるのだ。

FP: 25年前にWTOを設立して世界経済を改革してきたことは間違っていたのか?

DR: 国際経済システムは「自国窮乏化」を解決することに努力するが、「近隣窮乏化」を阻むことには十分に努力していない。それは、グローバルなタックスヘイブンの問題、通貨政策、巨額の経常黒字をためるドイツ、などだ。

FP: 新しい産業政策やグリーン・ニュー・ディールは正しいのか? 民主党の提案は行き過ぎか?

DR: 私は民主党左派の提案に励まされる。

FP: 既存の市場経済を改革できるのか?

DR: われわれは資本主義の諸制度を改革しなければならない時点に来ている。福祉国家は限界に達している。物の生産方法が変化しなければならない。企業に生産をゆだねて、その後に介入するのではなく、生産そのものを再編し、生産性を改善する政策だ。

FP: 大きな変化のためには、不平等をどうするのか?

DR: 技術革新に対する反動が起きると思う。労働市場を悪化させるということで、グローバリゼーションに反対したが、AI、自動化、デジタル技術にも反対するだろう。

FP: なぜポピュリストたちは支持者の利益に反するような政策を行うのか?

DR: 政治には需要面と供給面がある。ポピュリストは支持者たちの需要をうまく吸収した。しかし、求めるような結果を出せない。不公平な競争条件を創った経済エリート、大企業や銀行、富裕層による支配を攻撃する。しかし、経済問題を解決する生産性上昇政策を示すのは、右派よりも左派ポピュリストにふさわしい。

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The Economist April 13th 2019

Independence Day

The South China Sea: When love breaks down

Italy: A posse of patriots

France: The great debate

Charlemagne: A Machiavellian moment

The European Central Bank: Succession questions

Buttonwood: The diversification illusion

Free exchange: Monetary targets

(コメント) 中央銀行の金融政策が、政治からの独立性も含めて、信頼を失い、ポピュリスト政治家の道具になる危険が増しています。トランプはすでに、連銀理事の2つの空席を、十分な金融政策の知識も経験もない人物で埋めました。

1970年代のインフレが、政治家のインフレ加速による選挙戦術を封じ込めるものであるとしても、中央銀行の独立性は、インフレ目標とともに、金融政策を支配する金融専門家たちの護身術に変わったのか、と思います。イタリアのポピュリストが財政規律やECBに挑み、フランスのマクロンはユーロ圏改革の前にポピュリスト的な直接民主主義につまづき、ECB総裁人事は政治論争に向かいます。トランプだけは、ドルの時代を終わらせる破壊王を名乗って、人気を博しそうです。

中央銀行はその基盤を何に求めるのか?

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IPEの想像力 4/29/19

Brexitやトランプが宣言した新しい時代に、令和の日本が加わります。

各地のガバナンスが参加した政治経済秩序のグローバルな競争は、権力をめぐる代表制=民主主義を改革し、市場=資本主義を改革する。社会を映す2つの光源が移動します。

「資本主義」が、金融ビジネスによって、そして、グローバル・デジタル大企業によって、市場を通じて利益をため込むシステムを埋め込まれたからこそ、ポピュリストたちは「権威主義的指導者」に頼って対抗し、あるいは、「社会主義」による改革を唱えるのです。

極端な金融緩和に頼って、この種の資本主義を延命するより、現実に合わせた「社会主義」を導入することは可能だ、と思います。すなわち、現代の社会主義とは、おそらく、こういうものです。

1.金融資産市場をシグナルとして利用しながら、実物経済からは分離する。・・・金融ギャンブルが偏った社会的価値観を広めることなく、市場の評価メカニズムとして、その能力を正しく評価する仕組みに育てること。

2.土地を共有財産にする。さらに、デジタル・データも。・・・地代やレントとして、私的所有制が富と権力の私物化、階級制度や王朝支配に向かわないように、資源は社会が共有する。

3.労働機会を積極的に見直し、多くの分野で分業を廃止する。・・・能力に応じて専門職が人材を集めることと、貧しい諸国の搾取工場や人身売買、ロボットやAIに競争を強いられ、学ぶ機会、働く機会を失い、社会的な隔離に苦しむ人々が増えることを、同じ「分業」とは呼ばない。それぞれにふさわしい労働者の社会的配置をアレンジする。

4ITAI、ロボット、薬品、遺伝子操作、など、技術革新の普及とその利益を社会的にプールし、分配する。・・・技術革新の利用を積極的に推進できるには、その社会的影響を制度によって吸収し、利益を還元する。

5. 教育、福祉、社会資本に投資する。・・・豊かな社会で、投資機会が地理的、時間的に偏ることなく、社会的な合意によって、供給能力に見合う公共投資を長期的に行う。

6.老人たちは医療や年金、住居を含めて、ベーシック・インカムに転換する。・・・高齢化は楽しい。高齢化は豊かな社会の実質的な水準、政治社会の姿である。老人たちの参加を促し、家族や個人に押し付けない。

7.遺産相続は、社会が許容する範囲で、透明な信託基金のみとする。

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令和になっても、現実は何1つ変わるわけではありません。しかし1つの家族が新しい世代に引き継がれ、そのことで国民の意識を集中し、さまざまな問題を考え直す機会にしよう、と決めるのが元号制度であるとしたら、それを天皇か、宗教指導者、もしかしたら、Brexitや道化師が担うとしても、その評価を決めるのは国民の側の意識改革なのです。

雅子皇后が、現代において挑戦する女性のフロンティアにいたことを、さまざまな番組が紹介しています。ハーヴァード大学、オックスフォード大学でグローバル・ガバナンスを学んだ1人の女性が、皇室に入り、いよいよ、日本の保守層により政治的道具として天皇制が利用された時代から、この家族は完全に解放されるのかもしれません。

対中・対米外交が均衡を失い、目標を放棄したアベノミクス、迷走する消費税引き上げ・ポイント還元・電子マネー決済・幼児教育無償化、軍備増強や憲法改正を唱える長期・安倍政権が(すべての権力の末期がそうであるように)内政・外交に亀裂を生じる局面に入るでしょう。そのとき皇室の彼女は、日本に何を観るのだろうか、と思います。

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