(前半から続く)
● 台湾問題
PS Jan 11, 2019
China’s Perilous Taiwan Policy
MINXIN
PEI
中国の台湾に対する高圧的な政策は、一時的な心理的満足を得るだけで、台湾住民の独立を目指す姿勢を硬化させるだろう。台湾の与党が地方選挙で敗北したとき、習近平は、軍事力行使も辞さない、という強硬路線を確認した。
この悪循環を解かない限り、エスカレーションの末に米中の軍事衝突も起きるだろう。
● 短期移民労働政策
PS Jan 11, 2019
Why Is Immigration Different from
Trade?
AMAR
BHIDÉ
FP JANUARY 14, 2019
Here’s Why Colombia Opened Its Arms
to Venezuelan Migrants—Until Now
BY
MEGAN JANETSKY
FT January 15, 2019
Britain’s blue-collar immigration
plan is a superficial fix
Sarah
O’Connor
高齢化する諸国はゆっくりと増大する高齢人口に苦闘している。高齢者を世話する労働者が必要だ。しかし、企業は労働力不足を訴える。ロボットはまだ助けにならない。政治家たちの直面する難問とは、経済が必要とする移民を、市民たちが進んで受け入れるような形で、どのように導入するか? である。
先月、ドイツと日本は低熟練労働者に対する門戸を開く法律を成立させた。UKも、Brexit後のブルーカラー移民労働者に対する政策を、企業や国民の声を聴いて、模索してきた。政府は、「低リスク」諸国(特定していない)から、低熟練職を望む者に対して、一時ビザを販売する。その政策では、低熟練の雇用を12か月だけ許す。その後、12か月のクーリング・オフ期間を置かねばならない。家族を連れてくることや、社会給付を受けることはできない。
そのようなケチな条件でUKに来て働きたい者がいるのか、という問題とは別に、どの国を「低リスク」国に含めるのか、という問題がある。賃金格差が大きいほど、人々は望んで来るだろう。この政策の長所は、Brexit後も労働移民がなくならないこと、ビザが雇用主に固定されないことだ。それはビジネスにとって、経済の変化に柔軟に応じ、また、労働者にとって、湾岸諸国で起きているような搾取を避ける点で意味がある。
政府はまた、市民が受け入れ可能な条件を重視している。そのために、移民労働者は、学校など、地方のサービス給付を受けず、長期滞在することを許されない。しかし、低熟練労働者を1年後に強制的に帰国させることは、彼らの統合化を不可能にする。コミュニティやブルーカラーの職場は、土地の習慣を知らない、根付くことも、英語を学ぶこともない、移民たちの絶え間ない渦巻きを経験するだろう。
国民はどちらを望むのか? こうした事態はすでに起きている。世論調査によれば、移民たちが「根付いて統合化する」ことと、数年働くと「根付かずに帰国する」ことの、前者を支持する者が約60%、後者が約40%である。また、政府は一時ビザを実施しても強制できず、多くの移民が影の経済に残留する、と多くの者が疑っている。
雇用主は、12か月ごとに新しいスタッフを雇うのは頭痛でしかなく、訓練にも投資しないだろう。これは生産性にマイナスの政策だ。スタッフの補充を仲介機関に大きく依存する。仲介機関が労働者を拘束し、労働者にビザを給付する代価を要求するかもしれない。監督機関のチェックを実施するスタッフは、100万人を派遣する約1万8000の機関に対して、14人しかいない。
低熟練移民労働者に関する困難なトレード・オフは、政治の成熟を求めている。政府の表面的な解決策は、すべての者をなだめる試みだが、だれにも機能しない。
NYT Jan. 16, 2019
There’s
Nothing Wrong With Open Borders
By
Farhad Manjoo
● 日本は鯨を保護し、捕鯨を続ける
NYT Jan. 11, 2019
‘Japan Is Committed to the
Conservation of Whales’
Takeshi
Osuga (press secretary of the Ministry of Foreign Affairs of Japan)
第1に、日本は鯨の保護を約束して、それを守っている。IWCが確立した科学的方法でクジラの捕獲数を制限している。
第2に、日本の捕鯨は国際法に照らして合法である。捕鯨は日本の排他的経済水域に限られる。日本は1986年の「モラトリアム」、30年間の捕鯨禁止、を守ってきたが、政治的な動機によってモラトリアムが永久化されたと判断し、IWCを離脱することに決めた。
第3に、捕鯨は日本の文化の一部である。これは、ノルウェー、アイスランド、デンマーク、そして、アメリカとカナダの先住民にも共通する。日本だけを非難するのは公平ではない。日本の決定を、「短期的な政治利益」を目指す「ナショナリストの政治家たち」に結びつけるのは不当である。
FT January 15, 2019
Yen’s erratic moves test the ‘haven’
thesis
Katie
Martin
● ベラルーシ
FP JANUARY 11, 2019
The Belarusian President Won’t Go
Down Without a Fight
BY
AMY MACKINNON
● 中国経済の減速と資本移動
FT January 12, 2019
Renminbi rally sparks talk of tacit
G20 pact
Steve
Johnson
厳重に管理された人民元の為替レートが、1日で0.6%もドルに対して上昇した。北京のエリートが何を考えているのか、想像させる。
通貨のウォッチャーたちが「上海2.0」と言っている。アメリカ連銀が金融引き締めのスピードを落とした。2018年は人民元が下落したが、それは25%の関税引き上げを緩和したのではないか、という。
2016年2月の、いわゆる上海合意、が再現される。当時、G20と中国の間で、中国が大幅な金融刺激策を取る、と同意し、1年に及ぶ人民元の減価(そして、短期のドル安)が起きた。
今回も、連銀は金融引き締めを遅らせ、北京の人民元高を、すなわち、ドル安を得たのではないか、というわけだ。中国伊は通貨供給によって安定性を得る。アメリカは、その他の世界における需要刺激によって、景気を維持する。
FT January 14, 2019
The impact of China’s slowdown is
spreading
FT January 15, 2019
Xi Jinping’s turn away from the
market puts Chinese growth at risk
Nicholas
Lardy
アメリカがくしゃみをすれば、カナダは風邪をひく、と言われた。今や、中国がくしゃみをすれば、その弱さが世界に感染する、と多くのエコノミストたちは懸念する。
中国の諸問題は、1.国内需要が減っている、2.経済の成熟化、3.アメリカとの関税戦争、などの要因によって起きている。たとえアメリカとの貿易紛争が解消しても、グローバルな経済成長の機関車という役割はおわるだろう。それは習近平主席が、中国の35年におよぶ方針、市場志向の改革を逆転したからだ。
鄧小平の下で1978年に始まった市場志向の改革は、民間経済の繁栄を許した。その後の経済成長、雇用、輸出に民間企業が特に重要な役割を果たしてきた。しかし、習近平が2012年に峡湾党書記長になってから、この方針は概ね放棄され、反汚職キャンペーンが強調された。そして産業政策や国有企業が重視されるようになった。
国有企業は、その5分の2以上が大幅な赤字を出しており、銀行融資を増やし続けている。習は、特定分野で、国家による大企業の合併を進めてきた。それは競争を弱め、技術革新の動機を奪い、コストが膨張している。長期的な趨勢は逆転し、民間企業による投資が近年では減少した。
米中の貿易摩擦に関わらず、共産党支配のために、国有部門を維持するという習の方針は、成長を減速させ、世界に重大な結果をもたらす。
PS Jan 15, 2019
How US Monetary Policy Has Tamed
China
DAVID
LUBIN
中国経済の資本移動に対する脆弱性を考えれば、アメリカ連銀の金融政策を無視して、攻撃的な外交政策を展開することには限界がある、と北京指導部は認めるだろう。
PS Jan 17, 2019
America Must Face Reality on China
P.H.
YU
● コンゴ民主共和国
PS Jan 12, 2019
The Road Ahead for the DRC
ADITI
LALBAHADUR
● 民主党指導部は左派に向かう
FT January 14, 2019
The Clinton-Obama era ends as US
Democrats seek a radical new voice
Edward
Luce
注意して聞けば、わかるだろう。民主党の指導部は世代交代に向かっている。民主党を選挙のかつ、ウォール街にも支持される政党に変えた時代は終わった。不平等よりもグローバル市場を歓迎した世代から、もっと大胆な政治表現を好む世代へ。
2020年の民主党大統領硬派がだれであれ、新しいニュー・ディールを求める党の過激化を示すだろう。
彼らはドナルド・トランプに感謝するべきだ。彼が、民主党指導部の温めてきた、システムに対して慎重な考え方を吹き飛ばした。トランプは、エスタブリシュメントを倒すために武器を取り、その勝利を得る手本を示した。トランプは不平等を悪化させたが、それを生み出したわけではない。
民主党の候補者がだれになるかは重要だが、党の重心が移ったことに意味がある。「すべての者に医療保険を」、「グリーン・ニュー・ディールを」、公的な選挙資金を、そして、もっと高い税率を。29歳の社会主義者、最年少議員、Alexandria Ocasio-Cortezへの注目度は高い。70%の所得税率を主張する彼女を、クリントン政権の財務長官であったサマーズLawrence Summersが支持した。サマーズは1990年代のワシントン・コンセンサスを体現した人物だが、ケインズと同様に、事実が変われば姿勢を変える。
アメリカの左派がアイデアの工場になりつつある。数十年間で初めて、アメリカの知的なエネルギーが左派に生じた。それは1930年代のF.D.ルーズベルトなのか、1972年のマクガバンGeorge
McGovernなのか。どちらが正しいにせよ、クリントン=オバマの時代は終わった。新しい時代が始まりつつある。
FT January 17, 2019
Casey Gerald and how a new
generation is reworking the American dream
Simon
Kuper
● グローバル通貨システムの混乱
FT January 14, 2019
Cracks are opening in the global
monetary system
Russell
Napier
多くの投資家が景気循環のどの段階にあるかを心配するうちに、グローバルな通貨システムが崩壊しつある。初めはそっと静かに、しかし最後には鐘を叩くように。初めは、株式市場で投資家が損をする。最後には、ブレトンウッズ体制の最後、国際金本位制の最後と同様、資産価格が暴落する。
アジア経済危機で、通貨システムは応急処置を施された。多くの国が自国通貨の増価を抑える介入を行った。1999-2014年に、約10兆ドルが外貨準備に加わり、アメリカの財務省証券を購入した。外国の中央銀行による保有率が、1995年の13%から、2014年の3分の1に増えた。
グローバルな貯蓄は民間部門に回った。他方、中央銀行は10兆ドルの資産を増やした。グローバルな投資家たちにとって、リスクのないグローバルな低金利と、中国など、新興市場の通貨供給増で高まった成長率、という、これ以上は願ってもない世界だった。
その後、外貨準備の増大は終わった。アメリカ政府の赤字を埋める仕事は、外国の中央銀行から、貯蓄家たちにもどった。むしろ外国の中央銀行もアメリカ連銀も財務省証券を売った。この貯蓄の構造変化は、トランプ減税で強まった。これは、貯蓄家たちが他の資産を売るか、貯蓄を増やして応じることを意味した。資産価格が下落し、成長にもマイナスだ。
低成長、低インフレ、低資産価格、キャッシュ・フローの減少が、支払い不能を増やす。非金融部門の債務がGDPに対するグローバルな比率は234%である。これは、2007年、先の金融危機直前の210を超えている。この10年間、債務の増大が広義の貨幣増大や名目GDPの増大を超えていた。中央銀行は金融安定性を犠牲にして成長を買ったのだ。
世界の外貨準備が低成長となることの他の側面は、為替レートを目標に通貨供給する体制の終わりだ。その問題は中国で強く示されている。平和な時代ではかつてない債務/GDP比率の急速な上昇が終わった。経済はギアを落とす。その調整コストはデフレや債務のデフォルトになるだろう。おそらく中国は変動レート制に移行し、その債務をインフレで減らす自由を得ようとする。中国の為替レート調整が現在のグローバルな通貨システムを破壊する。
その重大な結果は、ユーロ圏の解体だ。5月の欧州議会選挙では、極右と極左の議席が増えると予想される。彼らは主権を自分たちの議会に取り戻し、単一通貨を破壊する。グローバルな通貨システムの破壊はユーロ圏諸国の資本規制で始まる。
投資家たちは、ユーロ圏が崩壊する中で、所有権を懸念する。明ス主義と法の支配が概ね維持されるUKは、ヨーロッパの投資家たちに安全な避難所を提供するだろう。投資家たちは「人民の、人民による、人民のための政府」が生き延びるとは信じていない。
PS Jan 15, 2019
The Leader the World Bank Needs
HOMI
KHARAS, ESWAR PRASAD
FP JANUARY 16, 2019
The World Bank Needs to Join the
21st Century
BY
NANCY BIRDSALL
Jim Yong Kimは、世界銀行総裁を突然辞任し、企業の買収や再構築を行うプライベート・エクイティ・ファームに移った。
次の世銀総裁は、男性でも女性でも、アメリカ人であってもなくても、有利な点を持つこと、が重要だ。理想的には、経験豊富な、清廉で、精通した、発展途上国出身の女性が望ましい。
彼もしくは彼女は、グローバルな公共財のために資本調達する外交と交渉のスキルを持ち、貧しい諸国のインフラに民間資金を動員する役割を銀行が担う形にするための金融ノウハウと経営スキルを持ち、発展途上諸国を保護するルールや政策を得るためにグローバルな政策アリーナで闘いながら、豊かな諸国の支持を確保するほど賢明であり、開発の問題の複雑さを理解することへの深い情熱を持たねばならない。
● 21世紀の福祉国家
PS Jan 14, 2019
Battling Eight Giants with Basic
Income
GUY
STANDING
1942年、ベヴァレッジWilliam
Beveridgeは戦後の福祉国家を描いたとき、その5つの敵disease, idleness,
ignorance, squalor, and wantを挙げた。
21世紀の福祉国家の敵は8つある。不平等、経済的不安定、債務、ストレス、増大するプレカリアート、ロボット、生態系の破壊、繁栄する包括的な成長モデルの登場を阻むポピュリズム。
● アメリカ中東外交の混乱
FT January 15, 2019
Donald Trump struggles to be the
Middle East’s anti-Obama
Roula
Khalaf
PS Jan 15, 2019
The Trumping of the Middle East
SHLOMO
BEN-AMI
FT January 16, 2019
US withdrawal from Syria will remove
restraints
David
Gardner
アメリカの外交は中東の混乱を拡大している。
2015年のイラン核開発計画を監視する国際合意をアメリカが一方的に離脱したことは失敗だった。この条約は、フランス、ドイツ、イギリス、ロシア、中国も署名した、長い困難な外交交渉の末に達成された重要な成果であった。それなしには、戦争と核の拡散である。トランプはそれに代えて、サウジが率いるスンニ派とイランのシーア派による聖戦を取り上げた。イラクにおけるスンニ派政府の打倒後、イランは中東に代理戦争を拡大している。
しかし、トランプの公式は、スンニ派とイスラエルとの間に幻想の同盟を仮定している。また、トランプの中東チームはイスラエルのすべての目標を支持したが、それは中東におけるアメリカの同盟者を減らしている。その上さらに、トランプがシリアから米軍を引き上げれば、その真空を埋めるのは、トルコとロシアであろう。
すでに中東におけるロシア、イラン、トルコの拡大をわれわれは観ている。これらの国は失った帝国の時代を懐古している。シリアにおける2つの戦争は激化するだろう。すなわち、トルコとシリア北部のクルド人との戦争、イスラエルとシリアのシーア派・ヒズボラとの戦争だ。また、ISISの勢力はほとんどの地域で掃討されたが、今も残っている。
トランプは米軍を引き上げて勝利を宣言するだろうが、その結果は、国境を超えたスンニ派過激主義の拡大である。
FP JANUARY 16, 2019
Trump Is Making the Mess in Syria
Even Messier
BY
AMANDA SLOAT
FT January 17, 2019
An ideological struggle will shape
Islamism in the Middle East
Katerina
Dalacoura
● ハイテク大企業の市場支配力
PS Jan 15, 2019
Disruption, Concentration, and the
New Economy
RAGHURAM
RAJAN
ハイテク大企業が市場支配力を増している。それは効率性を損なうのではないか? 市場の構造変化は、技術革新や将来の富の分配に悪影響を与えないか? アメリカ・カンサスシティ連銀のシンポジウムThe annual Jackson Hole
Economic Policy Symposium in Wyomingは議論の材料を与えている。
起業の率は減っている。特に、市場公開まで、十分な成長をせずに、ハイテク大企業に買収されてしまう。ハイテク大企業は、技術革新御能力が高いから市場支配を拡大しているのか? しかし、経済全体の生産性上昇は減速している。ハイテク大企業は、特に知的財産やデータ集積を使って、共謀して消費者から不当に大きな利潤を得ているのではないか? 革新的技術の開発投資や経済全体への普及を、FAANGs (Facebook, Amazon,
Apple, Netflix, and Google)が妨げているかもしれない。
少数のエリートに富が集まるというより、少数の企業の帰属する者(スーパースター企業のトップスキル人材)だけに富が集まり、取り残された者たちは不満を強めている。不平等が注目され、企業も、労働者も、その暗黙の共謀や独占力を抑えるほうが、社会のバランスにとって良いかもしれない。そのために、将来の競争を促す方向で、政策担当者たちには多くのことが可能である。
伝統的な独占禁止法には限界がある。例えば、個人データの所有権を認めることが提案されている。ハイテク大企業は、データの売り手ではなく、買い手になるのだ。また、労働も含めて、「非競争的な契約」をもっと中立的な機関が排除するべきだ。
中央銀行の政治学が重大な問題を生じる。人々がエリートを標的にするとき、中央銀行が最も目立った存在である。庶民とは違う言葉で、抽象的な目標について語る、定期的にバーゼルで会合する、どこにも帰属しない専門家集団。ウォール街の金融機関を救済し、閉ざされた部屋で取引し、自国の人々を無視したグローバルな条件を強いる。政治家たちは自分たちの政治評価を高めるために中央銀行を非難する。
中央銀行は人々の信頼を得て、グローバルな安定性を維持し、技術革新の利益を社会に分配できるか?
● ユーロ生誕20年
FT January 16, 2019
Marking the euro at 20: the eurozone
is doomed to succeed
Martin
Wolf
人と同じく、20歳は熱病に苦しむ思春期を経て、成熟する年齢だ。しかし、その経験があまりにも困難なものであれば、重大な問題を感じるだろう。それは次の4つだ。
第1に、ユーロは意味のある考えだったのか? 先月のMario Draghiの講演は、その合理的根拠を明快に説明した。すなわち、単一通貨無しに、深く統合した単一市場を維持することはできない、と。「もし企業が生産性を高める投資をしても、他国における競争的切下げという『近隣窮乏化』によって、その利益の一部を失うなら、単一市場への支持が損なわれる。」
しかし、ユーロは明らかに非常に危険な状態だ。共通の金融政策が累積的な乖離を進めてきた。高インフレ(そしてブーム)の国には実質的な低金利、その逆には逆の政策だから。これほど異なった経済制度と行動を取る諸国が一緒に繋がると、特に政治過程が共有されていないなら、ユーロは人々を協力させるより、反目させる。
第2に、ユーロの経済パフォーマンスはどうか? 確かに、大きなショックや苦痛の大きな分裂を生き延びた。しかし、それは分裂(もしくは1国の離脱)するコストがあまりにも大きくて、だれもが恐れたからだ。また、深刻な危機の中では、政治家たちが必要な行動を取った。2012年7月にドラギが約束したように、ECBは中央銀行にできる非常時の手段を行使した。こうした緊急融資枠を設定するべきだ。
しかし、生き残ったやり方はまずかった。危機の対処に時間がかかり過ぎた。その深い傷は、脆弱な諸国に深い、長く続く、経済・社会・政治的な影響を残した。生活水準は収れんせず、むしろ乖離した。ユーロ圏内の銀行融資は崩壊し、余りにも低いインフレがコストの格差を調整するのを難しくした。危機に陥った諸国は、緊縮策を強いられ、しかも、ドイツやオランダなどが出す黒字のせいで、ユーロ圏は危機後の調整の大部分を外部化した。
第3に、ユーロ圏は将来も生き残るのか? おそらく。住民の4分の3がユーロを支持している。しかし、生き残る最大の理由は、解体するコストが大きいことだ。ユーロが崩壊すれば、EUも維持できない。EUは常に経済統合を基盤としてきたからだ。
最後に、どのように生き残るのか? Grosは「大陸規模の労働市場改革は進んでいる」という。現在、成人労働者の労働力率はアメリカよりも高い。最も厳しい危機を経験した国でも失業率は減少しつつある。
しかし、ユーロ圏は「最適通貨同盟」ではないし、そうならないだろう。いかなる意味でも、連邦制は目標に入っていない。根本的な政治問題、すなわち、ユーロ圏の政策責任と、各国の政治的説明責任との不統一、はこの先も続く。必要な変化は、「十分に良い」同盟である。リスクは、国境を超える民間投資が担う。それゆえ、銀行同盟と金融市場同盟が重要である。より容易、勝つ、受け入れ可能な形で、債務を再編するべきだ。少なくとも、マクロ経済政策の調整は対照的でなければならない。
より長く、健康に生きるには、実質的な改革を進めることだ。
● 技術革新の責任
FT January 16, 2019
Responsible technology can transform
millions of lives
Eric
Jing
● グローバリゼーション
PS Jan 16, 2019
Long Live Globalization
LEE
HOWELL
● イギリスのエネルギー政策
The Guardian, Thu 17 Jan 2019
The Guardian view on nuclear power:
expensive mistakes
Editorial
FT January 17, 2019
Hitachi’s Wylfa nuclear decision is
bad news for UK government
Nick
Butler
NYT Jan. 17, 2019
We Need More Than Solar and Wind to
Power the Green New Deal
By
Jesse Jenkins and Samuel Thernstrom
FT January 18, 2019
The UK needs a more realistic energy
strategy
● シンガポールの社会保障
FT January 17, 2019
Singapore updates health and safety
for a white-collar world
Yik-Ying
Teo
● 韓国の外交
PS Jan 17, 2019
Korea’s Year of Living
Diplomatically
YOON
YOUNG-KWAN
FP JANUARY 17, 2019
South Korea Is an Ally, Not a Puppet
BY
S. NATHAN PARK
● タイの軍政
NYT Jan. 17, 2019
How Thailand’s Generals Rule by
Numbers and the Stars
By
Edoardo Siani
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The Economist January 5th 2019
The Trump Show,
season two
The euro at 20:
EUR not safe yet
Brazil: A
dangerous populist, with some good ideas
The euro at 20:
Undercooked union
The king of
Thailand: A royal pain
Banyan:
Wailing whalers prevail
Childhood: The
generation game
(コメント) ユーロ圏に関する整理は的確な中身です。ユーロは改革の正しい方向を示しているとしても、政治的な合意は不足しており、困難が続くのです。
むしろ、2つの記事が面白いです。ブラジルのポピュリスト政権に正しい社会保障システム改革の思想があること。幼年時代がいかに大きく変わったか。
軍政下でタイの王位が継承される過程の異様さは、日本の皇室を連想させます。また、日本がIWCを抜けたことを支持する記事にも注目します。
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IPEの想像力 1/21/19
ニュースに絶句しました。
「バーで高額注文→つけ膨らむと風俗店に紹介 容疑で逮捕」朝日新聞デジタル2019年1月16日、「気弱そうな女性と疑似恋愛、性風俗店にスカウト」読売新聞2019年01月17日
四条河原町など、京都の繁華街で、地方出身のおとなしそうな女子学生を狙い、イケメン男子学生が「ナンパ」する。恋愛関係と思わせて、職場の上司に紹介するから、と祇園のバーに連れて行き、高額のお酒を注文させる。多額の債務を負った女性は、返済できないと、風俗店で売春させる。しかも、その報酬から上前をはねて、彼女たちが働く限り報酬を受け続ける。・・・これは、ヤクザの手口ではないか? 闇ビジネスのマニュアルと同じなのか?
その犯罪者も、被害者も、大学キャンパスで「学ぶ」はずだった若者たちです。犯罪行為が、キャンパスを舞台に使って広がったに等しい、と思います。学生である、という身分、サークルやゼミで飲みに行く、会話よりもラインで交流し、短いメッセージに一喜一憂する。
風俗・売買春、詐欺、暴力、脅迫、賭博、薬物・ドラッグ、強姦・・・ こうした悪行や不道徳を、闇の世界、関わってはならない犯罪集団として、市民生活から排除・隔離してきた時代、そういう社会が、およそ20年も前に、終わったようです。漫画、写真雑誌、ゲーム、そして何よりインターネット。
テレビや映画の中で、闇の世界が日常として描かれ、両者が混じる恐怖や緊張感が「作品」として存在していたと思います。それらが、一種、異様なスピードでミックスし、逆転したのかもしれません。ゲームの世界を楽しみ、夢中になるとき、殺戮や犯罪が、犠牲者を獲物としてしか見ない、価値判断は、ゲームで獲得されたポイントや、効果的な稼ぎ方の間の比較でしかない。
****
子どもは未来の社会です。未来に向けた人類の理想でもあると私は思います。世界中で、富裕化と都市化、少子化、高齢化が進む衝撃は、「幼年期」の本質、そして、人間や社会の本質を根本的に変えてしまいました。
The
Economistの特集記事が、ちょうど、それを示しています。
「私が子供のころ、私たちはいつも外で、一日中、友達と遊んでいた。互いの家を出たり入ったりして、ポケットにはサンドイッチを。自分たちの楽しみがあった。親たちは朝から晩まで見なかった。われわれには物が無かったけれど、好きなように行き来し、多くの冒険があった。」
これがおよそ30年前の豊かな国にあったことだ、と記事は述べます。しかし、今は、工業化し、都市化して、子供の数が減りました。コミュニティは失われ、両親はしばしば離婚し、モザイク状の家族を子供は渡り歩きます。混雑し、危険な都市環境で、親は少数の、おそらく1人の子どもを、家政婦や養育施設に頼って育てます。中国の中産階級も含めて、裕福な両親が子供に投資し続けています。
子どもは一日中、屋内で、ゲームを楽しむ。そのほうが親も安心する。スマホを与えられて、ネットのゲームを楽しみ、親は所在を確認できる。子供は大人とばかり話をし、ネットの情報で価値観や社会規範を知る。親たちは競って子供の教育に投資し、子供の将来を自分よりも豊かな条件にしようと決意している。そして、朝から晩まで、さまざまなレッスンや施設の間を子供は行き来する。
****
私が考えていたのは、定年後の暮らしでした。「幼年期」と同じように、「老年期」も大きく変わったはずです。健康であれば、気力や体力がある限り、私は働きたいと思います。もちろん、楽しく、のんびりと。でも、懸命に。60歳から70歳の間に「老人宣言」をすれば、すべての資産はコミュニティに帰属し、住宅から食事まで、コミュニティの示すオプションを選んで暮らす、という世界を夢想しました。そして、老人たちの職場も開拓します。
憲法前文を書く。NHK未来塾を観ました。専門家たちの解説ではなく、学生たちの志や文書の力に感銘を受けます。・・・憲法の2つのタイプ。「広場」と「目標を掲げる組織体」 ・・・憲法は専門家たちが書くだろう。しかし、国民が支持しなければ、憲法ではない。僕たちには「想像」という方法がある。
タイの王室が軍政下の王位継承をめぐって、不人気な皇太子と不人気な政府との軋轢を生じているようです。日本でも、憲法と皇室の問題が、日本の保守政治をあぶり出します。平成の天皇が示した「老人宣言」の方が、もっと関心を集めるべきではないでしょうか。
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